16 俺の主人公特典は何処に?
……うぅ、も、もう朝なのか!?ちょっ!ヌペーちゃんそこは駄目だって!
結果的に一睡も出来なかった俺…しかも、ヌペーちゃん俺の体のあちこちを触ってくるからもう全身ぬめぬめだよ…あぁ…お、俺の宿が恋しいぜ…
「ふっふっふ…こっそりデメトリオをぬめってしたらきっと驚くに違いない!こんな物凄いことを考えるなんて…やっぱりあたい最強!?」
だ、誰かきやがった…これ以上の状況になるのは本気で嫌だな…でも、まだ動きたくないし…
結局頭が寝たい信号を出している状態であったので、俺は無理にでも寝ようと努めていた。
何もするなよ!?絶対だぞ…絶対だからな!?
「よ〜し…寝てるな〜…せーの!ぬめぬめぬめぬめ!」
「う…うぅ…」
「お!?もだえているわ!よっし、もっとやっちゃえ!!」
「あぁ!!ウザい!ウザすぎるぞ!一体全体何だって言うんだ!」
俺は顔を覆いながら立ち上がった。
目の前には悪戯者のような雰囲気の…明らかにこいつだろうって感じの女の子が立っていた。
「何なんだ朝から!眠らしてくれよ!」
「ふっふっふ…あたいは悪い女…だからデメトリオの睡眠の邪魔をしたのだ!」
……な、なんて迷惑な…マリーさんの子供って本当にいろいろなタイプの子がいるよな…
「やめてくれよ!俺は本気で寝たいんだよ…しかも、まだ夜中じゃないか!」
時計は5時を指しているわけだから、微妙なところだが…まだ辺りが暗いから俺は夜中と判断させてもらうぜ!
「最強のあたいに時間は関係ないのだ!へっへ〜!参ったか!」
「どうして最強なんだ?というか、もう本当にやめてくれ」
「最強=悪い女…悪い女=天才…天才=コーヒーの理論なの!完璧でしょ!」
………駄目だこいつ…確実に馬鹿だ…
本気で相手にするのも疲れてきたので俺は適当にあしらうことにした。
「いいから自分の部屋に帰れよ」
「なんで?別にいいじゃん!」
「いや…寝たいからさ…」
「寝たいって思うなら…寝なければいいのよ!!」
「もう意味もわからないだろうが!!頼む!もういいだろ?」
「えぇーー…でも、こんなに早く引き下がったら最強の名が…」
……しつこいなぁ、本当に…仕方が無い、少し知恵を使うか…
う〜ん…そうだなぁ…お!?よしっ!コレでいこう!
「そういえば、最強の布団が君の部屋に現れたと宇宙の友達が言ってたぜ!部屋に戻れば最強の布団があるかも…」
「え!?さ、最強の布団!?これは…行くしかない!」
……こうして、まるで嵐のような速さで女の子は部屋を去った。
よかったぜ…いまどき子供でもだませないほどの嘘でもだませる馬鹿で…
そして、物凄く少しだが仮眠を取ることが出来た俺は朝、マリーさんに起こされた時、凄く頭が痛かった。
「うぅ…ね、眠い…」
「どうしたんですかデメトリオさん?あ…昨晩はヌペーちゃんの面倒を見てくださってありがとうございますね?」
「あ…はい」
さすがに…母親の前でお宅の娘さん、結構寝ているときの手癖悪かったですよとか言えないよなぁ…
結構心の中でいろんなことを考えている俺…まぁいい…一晩泊めてもらったんだ。おいしい料理のレシピも教えてもらったし…な?
「あ…まだ他の二人…寝てるようですね〜…起こしてきてもらえませんか?」
「え!?お、俺がですか?」
むむむ…コレはフラグの予感…なんかとてもイヤラシイ、フラグの予感がするぜ…
出来れば断りたい…いや、むしろこんな展開来ないで欲しい…
今は寝たいんだ!寝たいんだよ俺は!
「お願いします〜娘達のために朝ごはんを作らないと…あ、皆さんのも作りますわね?では、お願いします」
「あ…はい、わかりました」
結局断ることが出来なかった俺…駄目だ…やっぱり頼まれるとNOと言えないんだよなぁ…
えっと…この部屋か?ん?結構扉固いな…何か閂でもしてるのか?
そう思いながら前後に押し引きしていると、微妙に隙間が出来てきた。
「ふっ…チャンス!!オープン…THA…ドア!!」
俺が勢いよく扉を開けると中から大量の毛玉が!?
な、なんだこれは…どうしてこうなった!?
「……はっ、早くメアリーときーちゃんを見つけないと!?」
邪魔だこのもふもふ…物凄く邪魔だぞコレ…あ、でも手触りいいかも…
なんか…幸せになった気がするぜ…このもふもふ貰っておこう。
何処だ…何処にいるんだ…よく考えたら二人とも体毛白じゃないか…
もふもふと同じ色だから本当にわからねぇ…
ん!?あの角は…メアリー・ロングコートをもふもふの中に発見しました!
そうか!では行って来いデメトリオ!死ぬなよ!?
ラジャー!
と変な会話を頭の中で繰り返しながらメアリーのところに向かっていった。
「メアリー!朝だ!朝なんだ!起きろよ…」
「Zzzzz…Zzzzz…」
……熟睡しているのか?俺は寝不足だというのに?
…ふざけるなよ!絶対に起こしてやる!
「おい!起きろコラ!!」
「Zzzzz…あへーー」
「起きろおおぉぉぉーーーー!!」
俺は物凄い声でメアリーを起こしにかかった。
ん?なんか少し動いた気がするな…いけるか!?
「起きろ!早く!!起きろって!!」
「うるさいの!まだ寝るんだからぁ!!このォ!!」
へ?な、なんだあのモーションは…ま、まさか?まさかの…
俺の目の前にもふもふの毛皮がたくさん展開されている腕が…
お願いだ!俺はいいことをしたはずなのに…そんなフラグ…殺生なぁ!
「ぐはぁっ!!」
そう言いながらもふもふの間に埋もれていく俺…
なぜだ?このもふもふに埋もれるたびにだんだん楽しく…気持ちよくなって…
しかも、殴られてから急激に眠気が…まさか…BADEND…か…
「い、嫌だ…せ、せめて…なにか一言…あ…あへぇ…」
結局俺は幸せな気分になりながら眠気に身を任せてしまった…
俺の人生…最後に後悔していたことは一つ…なんで…最後にいいのこした言葉があへぇなんだ…がくっ…
そして俺は真っ白の空間を浮遊していた…
えぇ!?さっきの冗談のつもりだったのに本当に死んだの俺!?
嘘っ!?俺の主人公補正は!?普通…こんな無様にENDしないだろ!?
「おぉ…デメトリオよ、死んでしまうとは情けない」
「えぇ!?」
「生き返らせてやろうと思ったが…めんどくさいからやめにしたぞ。一生そこで死んでおれ役立たずが!」
「ひ、酷い…そ、そんなに言い放たなくてもいいじゃないか!」
「ふむ…ではおぬしに何ができるのだ?このザコめ!貴様など運が無ければ只のザコであろうが!いっそのこと死ねカス!!お前のようなやつは死んでしまえ!」
……ここまで言われる俺って一体…
そう思っていたとき、ぱーっと灯りが差し込み、別の声が聞こえてきた。
「死んでいい人などこの世にいません…デメトリオよ…まるでデビルバグのように何を言われてもくじけない心を持って人生を歩みなさい!」
「おおーー…あ、ありがたい…ありがたすぎる!!」
俺は後から聞こえてきた台詞が俺のことをこんなに思ってくれている台詞だということに半ば感動していた。
そして不意に体が真上に上がって行くような気がして…
「ありがてぇええええーーー!!って…あれ?ここは…俺生きてたの!?」
ま、まさかの夢オチだというのか!?
「デメトリオさん…何していたんですか…?床で寝るなんて…もうメアリーさんもきーちゃんも食堂にいますよ?」
「床?あれ?もふもふは!?」
俺は一気に周りを見回してみたが、俺の体の上にあり、さらにはこの部屋全体を覆いつくしていたもふもふが姿すら残さずに消えているだと!?
凄い!!まるで魔法のようだぁ!!などと思っている場合じゃないぞ…俺…
「むぅ…まぁいいです。さぁ食堂にいきましょう?」
「了解です」
……俺の気のせいだったのか?なんか違う気もするんだけど…えぇー?
心なしか納得できなかったが、俺は食堂に歩いて行った。
「遅いよデメトリオさん!!どこにいたんですか?」
「へ?君達を起こしにいったんだが…?」
「……あぁー…じゃああの時踏んだのって…」
「ん?」
「な、なんでもありませんって…た、食べましょう!油断してたらあの子たちときーちゃんに全部食べられちゃう…」
……なんかごまかされた気がするないろいろ…
いや、それより…油断したら全部食べられる?まさか…
「あはー…こ、これめっちゃおいしい!!もぐぅっ!!」
「あたいは最強だからいくらでも食べるのだぁ!!うおぉおぉおぉぉぉ!!」
……えぇーー…どれだけ人気なんだよアレ…
そして…またあの馬鹿か……
「あーー!!お姉ちゃんまた一人締めしてーーー!!」
「酷いよーー!私もマシュマロ食べたい!」
「うわーーん!!おかあさーん!!」
まさに暴挙のような行動をしてるな…ま、俺には関係ないけど…
そう思いながら、自分の皿に置かれた焼きマシュマロに手を伸ばす…
ふぅ…一緒の皿じゃないから焦る必要なんて無いんだぜ?もっとゆっくり食うさ…
「さぁて…マリーさんの神クラスの料理の腕をまた…」
そう言いながらマシュマロを口の中に放り…こめなかった。
あれ?飛んでこない…?まさか失敗した?それとも邪魔が入ったのか?
「へっへっへ〜…あたいがもらっちゃうもんね〜あむっ!甘ーい♪」
「……次やったら…」
俺が言う前に俺の焼きマシュマロが目の前でさらに一個食べられてしまった…
これは…間違いない!俺に対する宣戦布告と捕らえさせてもらおう!
「ふっ…この皿のマシュマロも、もらったよ?」
「させるものか!!うおぉぉぉぉ!!」
「遅ーい!!この速度…おおなめくじと思って油断したかぁ!あたいは最強だからこんなことも出来るのだ!」
あぁ!!さ、皿を引き寄せて口の中にマシュマロを入れる!?そんなの卑怯じゃないのか!!
「ひ、卑怯だぞ!!そんな悪魔の所業…ゆ、許されて言い訳がないだろう!酷すぎる!」
「ふっふっふ…甘い!まるでこのお母さん直伝焼きマシュマロのように甘い男ねデメトリオ!!あたい=最強…最強=悪い女よ!!」
くそぉ…泣くぞ…俺、泣くぞぉ!!
「もう皆さん食べましたね?じゃあ下げますよ〜」
「え!?ちょ…俺まだ…」
「ありがとうおかあさん!!もうおなかいっぱい!!へへ〜」
……こいつ…自分がたくさん食べたからってぇ…
くそ…何も言えない俺が…憎いぜ…
「むー!!むー!!」
「もうみんな…そんなに文句いわないの!マシュマロは貴重なんだから!」
「うぅーー…」
「むぅー…」
……マリーさんの子供達も少し納得いってないようだな…俺もだよ!
あいつ…好き放題食堂を荒していきやがって…
これは嫉妬の感情ではなく、怒りの感情…どこが違うのかを突っ込むのは無しな?
「じゃあ…あたいは少しやることがあるのだーー!!お母さん!話をしようよー!」
「あらあら…ルタ…珍しいわ〜…そういえば、前回の家全体の落書き事件…あなただったわね…そのことでも話があったのよ〜…ね?」
「いいよいいよ!あたいのお母さんを震えさせる作戦が成功したときはあまりの楽しさにはまっちゃって…実は今日もやろうと思ってるのー!あ、でもコレは内緒ね?」
「話が一つ増えたわ」
マリーさん!!そいつに天罰を与えてやってください!どうか!俺達のために!
俺は焼きマシュマロをルタに奪われたあの子達のためにも、心から祈った。
そして朝の8時…ついにお別れの時間がやってきた…
一夜お邪魔して泊めてもらっただけだというのに、この変な疲れは何なんだろう?絶対にヌペーちゃんとルタのせいだろ…
「デメトリオさん…お別れの前に一つお願いが…」
「…なんですか?恩もあるし、大したことでなければ…」
「ルタを旅に連れて行ってあげてください…この子、家にいても迷惑ばかりかけるし…社会の厳しさを教えてあげて欲しいのよ…本人も乗り気だし…」
「あたいの最強日記帳に新たな一ページが…」
「残念ですが、連れて行きませんよ!絶対に!」
おれは断固として拒否した。当然だろ!あんなことされたのに誰が一緒に行動するか!
「えぇ!?な、なんでです?私の可愛い子供の一人なのに…」
「それでも、ルタちゃんは俺には面倒を見切れないよ!なんなんだあの性格!?…まぁ、マリーさんに言っても仕方が無いんですけど…」
「あたい…絶対にデメトリオと一緒に行く!お母さん!あたいの野望のことを話したでしょ!」
「…むぅ…デメトリオさん…あきらめてください!私はやっぱり…子供のその後が心配なのです!」
「な…なんで…えぇー…」
やっぱり、最終的に断ることが出来なかった俺がそこにいた…
そして、マリーさんと感動の別れをした後…俺達はまだ森を歩いていた。
だが、今は別に怖くない!なぜか…俺は地図を持っているからさ!!
「あははー!楽しかったねー!」
「私は結構疲れましたーー…でも、たのしかったですね〜」
「その楽しさはあたいのおかげよ!もっとたたえなさい!」
「おおーー!!るーちゃん凄い!」
「そう?あたいの凄さがわかるなんて…きーちゃん、見る目あるわ!」
「そうだったんですかきーちゃん!?凄いです〜、超能力ってやつかも知れませんね…」
………本当に、どうしてこうなった…
えっと…この状況を表す表現は…これだぁ!!
うぉぉぉぉぉぉぉっ………orz
どうだ!体を張ったぜ!?これで注目を集めたに違いな…
「でねー?あたいの賢いところはそこで壁に水で流れる落書きをして、拡散的に被害を与えたところなんだよー!」
「るーちゃん最強!!いえーい!」
「い、いえ〜い…(どこが最強なんだろ…?)」
む…無視されましたー…
そんな…たまに体を張って注目を集めようとしたらこの仕打ち…
そのくせ、絶対に構って欲しくないときに限ってこっちに話が来る…
世の中間違ってるんだ!
と、一人会話に入ることも出来ず、内心で毒をはいていた。
そして…俺が話題に入れずにかなりの時間を一人で過ごしながら歩いていたときだった。目の前でなんと…倒れている女の子が!
まて…この状況前にも一度あったな…
「すいません…だ、大丈夫ですか?」
そういいながら、敵のパンチが飛んできたらよけられる場所で声をかけてみる。…攻撃してくる様子は無し…安全なのか?
「お、おなかすいた…」
「これ…少しだけど干し肉だから…食べなよ」
俺は、自分に害が無いと判断させてもらった。なら、困っている人を見捨てるのは駄目だろ?少しでも世の中は助け合わないとな?
「あ、ありがと……あ!おいしい!」
「そうかい?じゃあ…パンもあげるよ。じゃあ、これからも一人旅には気をつけて…」
「……待ってよ!ちょっとちょっと〜!いい人じゃないのよ〜?」
……なんか、食べ物を食べたら急にテンションが変わったな…また、変な人を助けてしまったんじゃないだろうな…
なんか…嫌な予感がするぜ…
「何か定職についてんの?ねぇ?」
「え…?あ、一応宿屋経営を一人でやってましたけど…今はスタッフを2名雇っているので3人で宿屋経営中ですね…」
「本当に!?それって…将来確実に安泰じゃん!ラッキー!」
「ラッキーって…何が?」
「だって、働かなくてもお金が自動で来るって事じゃん!それってなんて楽な話なんだろう!?もう、親戚は王族になってるし、こんなにいいことに出くわせるなんて…私ってもうラッキーな人生ね!これで後腐れなくニートできる!
」
……駄目じゃんこいつも!
これ以上関わらないようにしよう…うん、そうしよう。
「じゃ…もう会わないようにしよう!じゃあね?」
「逃がすかーー!!ふしゅっ!!」
な、なんだ!?急に背中が引っ張られている気が…嘘だろ!!
嫌だ!!これ以上こんな厄介なフラグに関わりたくない!
「へへっ…お疲れさん!さて…少しお兄さんにいい話があるんだけどなぁ〜…」
「俺にとってのいい話はあんたが俺のことを無視してここを去ることだよ」
「それは無い!お兄さんって、結婚は…?」
……何がいい話だよ!結局俺の過去を嫌な意味で掘り返しているだけじゃないかよ!
「してないよ!それが!?何か言いたいのか!」
「やっぱり…じゃあ、結婚しない!?ほら…お兄さんには安定した職と資金のルートがあるし…私は癒しを与えられるし…両方とも幸せじゃない?」
………なんか、金のためだけに言い寄ってきている気がしてならないんだが…
俺は一応、癒しとやらがどんなものかを聞いてみることにした。いや…もう癒しじゃないだろうってわかるんだけどね…?
「癒しって言うけど…どんなことがあるんだ?教えてよ」
「そうだなぁ〜…私の寝顔を見れるとか、私と夜の営みでエンジョイできるとか…一番は、心に私という名の癒しが訪れることかな!」
「……待て、一つ聞かせてくださいよ…ニートしたいって言ってましたよね?」
「うん。それがどうかした?」
「俺と結婚したと仮定して…まず、俺の宿の手伝いをしてくれるのかい?」
「絶対にしない。むしろ部屋で本見てる」
「……じゃあ、食事を作ってくれたり、洗濯物は…?」
「お兄さん、自分で出来るじゃないですか!私、出来ないし!」
「…………じゃあ、結婚して子供が出来てからの子供の世話は…?」
「もちろんお兄さんが一人で育ててください!私は適当に太らないように体型をキープしつつだらだら過ごします!!」
………駄目じゃねえか!本当に何が癒しだ!
ほとんど逆じゃねえかよ!しかも…癒しの内容…俺に対してそこまで癒し要素強くねぇ!!夜の営みって…お前がやりたいだけだろーー!
「あきらめてくれ…俺なんかよりもいい条件の男なんてそこらへんに転がってるだろ?じゃあね」
そうだよ…俺なんかよりも明らかにお金が入る職業の男なんてこの世界には掃いて捨てるほどいるだろ!
俺以外の男に寄生してやってくれ!
「駄目なのよ!!お金もっている男なんて今じゃアルラウネの蜜を手に入れるのと同じくらいの確立なの!!絶対にあきらめないから!」
「へぇ〜…じゃあ結構楽じゃないですか…俺、持ってますからね」
「……え!?安定した職業だけではなくお宝クラスのアイテムも持っている…もう絶対にお兄さんを逃がしませんから!私が楽に人生を過ごすため…絶対に結婚します!」
「だからやめろって!!絶対に寄生なんてさせないからな!自分で働け!」
おれは隙を突き、彼女から運よく逃げメアリーたちのほうに向かって走っていった!しかも、彼女のはく糸をきれいに避けながらだ!
いやぁ…俺、なんてかっこい…うわぁ!
そして俺は地面に張り巡らされた糸に足を引っ掛け、倒れてしまったのだった…
結果的に一睡も出来なかった俺…しかも、ヌペーちゃん俺の体のあちこちを触ってくるからもう全身ぬめぬめだよ…あぁ…お、俺の宿が恋しいぜ…
「ふっふっふ…こっそりデメトリオをぬめってしたらきっと驚くに違いない!こんな物凄いことを考えるなんて…やっぱりあたい最強!?」
だ、誰かきやがった…これ以上の状況になるのは本気で嫌だな…でも、まだ動きたくないし…
結局頭が寝たい信号を出している状態であったので、俺は無理にでも寝ようと努めていた。
何もするなよ!?絶対だぞ…絶対だからな!?
「よ〜し…寝てるな〜…せーの!ぬめぬめぬめぬめ!」
「う…うぅ…」
「お!?もだえているわ!よっし、もっとやっちゃえ!!」
「あぁ!!ウザい!ウザすぎるぞ!一体全体何だって言うんだ!」
俺は顔を覆いながら立ち上がった。
目の前には悪戯者のような雰囲気の…明らかにこいつだろうって感じの女の子が立っていた。
「何なんだ朝から!眠らしてくれよ!」
「ふっふっふ…あたいは悪い女…だからデメトリオの睡眠の邪魔をしたのだ!」
……な、なんて迷惑な…マリーさんの子供って本当にいろいろなタイプの子がいるよな…
「やめてくれよ!俺は本気で寝たいんだよ…しかも、まだ夜中じゃないか!」
時計は5時を指しているわけだから、微妙なところだが…まだ辺りが暗いから俺は夜中と判断させてもらうぜ!
「最強のあたいに時間は関係ないのだ!へっへ〜!参ったか!」
「どうして最強なんだ?というか、もう本当にやめてくれ」
「最強=悪い女…悪い女=天才…天才=コーヒーの理論なの!完璧でしょ!」
………駄目だこいつ…確実に馬鹿だ…
本気で相手にするのも疲れてきたので俺は適当にあしらうことにした。
「いいから自分の部屋に帰れよ」
「なんで?別にいいじゃん!」
「いや…寝たいからさ…」
「寝たいって思うなら…寝なければいいのよ!!」
「もう意味もわからないだろうが!!頼む!もういいだろ?」
「えぇーー…でも、こんなに早く引き下がったら最強の名が…」
……しつこいなぁ、本当に…仕方が無い、少し知恵を使うか…
う〜ん…そうだなぁ…お!?よしっ!コレでいこう!
「そういえば、最強の布団が君の部屋に現れたと宇宙の友達が言ってたぜ!部屋に戻れば最強の布団があるかも…」
「え!?さ、最強の布団!?これは…行くしかない!」
……こうして、まるで嵐のような速さで女の子は部屋を去った。
よかったぜ…いまどき子供でもだませないほどの嘘でもだませる馬鹿で…
そして、物凄く少しだが仮眠を取ることが出来た俺は朝、マリーさんに起こされた時、凄く頭が痛かった。
「うぅ…ね、眠い…」
「どうしたんですかデメトリオさん?あ…昨晩はヌペーちゃんの面倒を見てくださってありがとうございますね?」
「あ…はい」
さすがに…母親の前でお宅の娘さん、結構寝ているときの手癖悪かったですよとか言えないよなぁ…
結構心の中でいろんなことを考えている俺…まぁいい…一晩泊めてもらったんだ。おいしい料理のレシピも教えてもらったし…な?
「あ…まだ他の二人…寝てるようですね〜…起こしてきてもらえませんか?」
「え!?お、俺がですか?」
むむむ…コレはフラグの予感…なんかとてもイヤラシイ、フラグの予感がするぜ…
出来れば断りたい…いや、むしろこんな展開来ないで欲しい…
今は寝たいんだ!寝たいんだよ俺は!
「お願いします〜娘達のために朝ごはんを作らないと…あ、皆さんのも作りますわね?では、お願いします」
「あ…はい、わかりました」
結局断ることが出来なかった俺…駄目だ…やっぱり頼まれるとNOと言えないんだよなぁ…
えっと…この部屋か?ん?結構扉固いな…何か閂でもしてるのか?
そう思いながら前後に押し引きしていると、微妙に隙間が出来てきた。
「ふっ…チャンス!!オープン…THA…ドア!!」
俺が勢いよく扉を開けると中から大量の毛玉が!?
な、なんだこれは…どうしてこうなった!?
「……はっ、早くメアリーときーちゃんを見つけないと!?」
邪魔だこのもふもふ…物凄く邪魔だぞコレ…あ、でも手触りいいかも…
なんか…幸せになった気がするぜ…このもふもふ貰っておこう。
何処だ…何処にいるんだ…よく考えたら二人とも体毛白じゃないか…
もふもふと同じ色だから本当にわからねぇ…
ん!?あの角は…メアリー・ロングコートをもふもふの中に発見しました!
そうか!では行って来いデメトリオ!死ぬなよ!?
ラジャー!
と変な会話を頭の中で繰り返しながらメアリーのところに向かっていった。
「メアリー!朝だ!朝なんだ!起きろよ…」
「Zzzzz…Zzzzz…」
……熟睡しているのか?俺は寝不足だというのに?
…ふざけるなよ!絶対に起こしてやる!
「おい!起きろコラ!!」
「Zzzzz…あへーー」
「起きろおおぉぉぉーーーー!!」
俺は物凄い声でメアリーを起こしにかかった。
ん?なんか少し動いた気がするな…いけるか!?
「起きろ!早く!!起きろって!!」
「うるさいの!まだ寝るんだからぁ!!このォ!!」
へ?な、なんだあのモーションは…ま、まさか?まさかの…
俺の目の前にもふもふの毛皮がたくさん展開されている腕が…
お願いだ!俺はいいことをしたはずなのに…そんなフラグ…殺生なぁ!
「ぐはぁっ!!」
そう言いながらもふもふの間に埋もれていく俺…
なぜだ?このもふもふに埋もれるたびにだんだん楽しく…気持ちよくなって…
しかも、殴られてから急激に眠気が…まさか…BADEND…か…
「い、嫌だ…せ、せめて…なにか一言…あ…あへぇ…」
結局俺は幸せな気分になりながら眠気に身を任せてしまった…
俺の人生…最後に後悔していたことは一つ…なんで…最後にいいのこした言葉があへぇなんだ…がくっ…
そして俺は真っ白の空間を浮遊していた…
えぇ!?さっきの冗談のつもりだったのに本当に死んだの俺!?
嘘っ!?俺の主人公補正は!?普通…こんな無様にENDしないだろ!?
「おぉ…デメトリオよ、死んでしまうとは情けない」
「えぇ!?」
「生き返らせてやろうと思ったが…めんどくさいからやめにしたぞ。一生そこで死んでおれ役立たずが!」
「ひ、酷い…そ、そんなに言い放たなくてもいいじゃないか!」
「ふむ…ではおぬしに何ができるのだ?このザコめ!貴様など運が無ければ只のザコであろうが!いっそのこと死ねカス!!お前のようなやつは死んでしまえ!」
……ここまで言われる俺って一体…
そう思っていたとき、ぱーっと灯りが差し込み、別の声が聞こえてきた。
「死んでいい人などこの世にいません…デメトリオよ…まるでデビルバグのように何を言われてもくじけない心を持って人生を歩みなさい!」
「おおーー…あ、ありがたい…ありがたすぎる!!」
俺は後から聞こえてきた台詞が俺のことをこんなに思ってくれている台詞だということに半ば感動していた。
そして不意に体が真上に上がって行くような気がして…
「ありがてぇええええーーー!!って…あれ?ここは…俺生きてたの!?」
ま、まさかの夢オチだというのか!?
「デメトリオさん…何していたんですか…?床で寝るなんて…もうメアリーさんもきーちゃんも食堂にいますよ?」
「床?あれ?もふもふは!?」
俺は一気に周りを見回してみたが、俺の体の上にあり、さらにはこの部屋全体を覆いつくしていたもふもふが姿すら残さずに消えているだと!?
凄い!!まるで魔法のようだぁ!!などと思っている場合じゃないぞ…俺…
「むぅ…まぁいいです。さぁ食堂にいきましょう?」
「了解です」
……俺の気のせいだったのか?なんか違う気もするんだけど…えぇー?
心なしか納得できなかったが、俺は食堂に歩いて行った。
「遅いよデメトリオさん!!どこにいたんですか?」
「へ?君達を起こしにいったんだが…?」
「……あぁー…じゃああの時踏んだのって…」
「ん?」
「な、なんでもありませんって…た、食べましょう!油断してたらあの子たちときーちゃんに全部食べられちゃう…」
……なんかごまかされた気がするないろいろ…
いや、それより…油断したら全部食べられる?まさか…
「あはー…こ、これめっちゃおいしい!!もぐぅっ!!」
「あたいは最強だからいくらでも食べるのだぁ!!うおぉおぉおぉぉぉ!!」
……えぇーー…どれだけ人気なんだよアレ…
そして…またあの馬鹿か……
「あーー!!お姉ちゃんまた一人締めしてーーー!!」
「酷いよーー!私もマシュマロ食べたい!」
「うわーーん!!おかあさーん!!」
まさに暴挙のような行動をしてるな…ま、俺には関係ないけど…
そう思いながら、自分の皿に置かれた焼きマシュマロに手を伸ばす…
ふぅ…一緒の皿じゃないから焦る必要なんて無いんだぜ?もっとゆっくり食うさ…
「さぁて…マリーさんの神クラスの料理の腕をまた…」
そう言いながらマシュマロを口の中に放り…こめなかった。
あれ?飛んでこない…?まさか失敗した?それとも邪魔が入ったのか?
「へっへっへ〜…あたいがもらっちゃうもんね〜あむっ!甘ーい♪」
「……次やったら…」
俺が言う前に俺の焼きマシュマロが目の前でさらに一個食べられてしまった…
これは…間違いない!俺に対する宣戦布告と捕らえさせてもらおう!
「ふっ…この皿のマシュマロも、もらったよ?」
「させるものか!!うおぉぉぉぉ!!」
「遅ーい!!この速度…おおなめくじと思って油断したかぁ!あたいは最強だからこんなことも出来るのだ!」
あぁ!!さ、皿を引き寄せて口の中にマシュマロを入れる!?そんなの卑怯じゃないのか!!
「ひ、卑怯だぞ!!そんな悪魔の所業…ゆ、許されて言い訳がないだろう!酷すぎる!」
「ふっふっふ…甘い!まるでこのお母さん直伝焼きマシュマロのように甘い男ねデメトリオ!!あたい=最強…最強=悪い女よ!!」
くそぉ…泣くぞ…俺、泣くぞぉ!!
「もう皆さん食べましたね?じゃあ下げますよ〜」
「え!?ちょ…俺まだ…」
「ありがとうおかあさん!!もうおなかいっぱい!!へへ〜」
……こいつ…自分がたくさん食べたからってぇ…
くそ…何も言えない俺が…憎いぜ…
「むー!!むー!!」
「もうみんな…そんなに文句いわないの!マシュマロは貴重なんだから!」
「うぅーー…」
「むぅー…」
……マリーさんの子供達も少し納得いってないようだな…俺もだよ!
あいつ…好き放題食堂を荒していきやがって…
これは嫉妬の感情ではなく、怒りの感情…どこが違うのかを突っ込むのは無しな?
「じゃあ…あたいは少しやることがあるのだーー!!お母さん!話をしようよー!」
「あらあら…ルタ…珍しいわ〜…そういえば、前回の家全体の落書き事件…あなただったわね…そのことでも話があったのよ〜…ね?」
「いいよいいよ!あたいのお母さんを震えさせる作戦が成功したときはあまりの楽しさにはまっちゃって…実は今日もやろうと思ってるのー!あ、でもコレは内緒ね?」
「話が一つ増えたわ」
マリーさん!!そいつに天罰を与えてやってください!どうか!俺達のために!
俺は焼きマシュマロをルタに奪われたあの子達のためにも、心から祈った。
そして朝の8時…ついにお別れの時間がやってきた…
一夜お邪魔して泊めてもらっただけだというのに、この変な疲れは何なんだろう?絶対にヌペーちゃんとルタのせいだろ…
「デメトリオさん…お別れの前に一つお願いが…」
「…なんですか?恩もあるし、大したことでなければ…」
「ルタを旅に連れて行ってあげてください…この子、家にいても迷惑ばかりかけるし…社会の厳しさを教えてあげて欲しいのよ…本人も乗り気だし…」
「あたいの最強日記帳に新たな一ページが…」
「残念ですが、連れて行きませんよ!絶対に!」
おれは断固として拒否した。当然だろ!あんなことされたのに誰が一緒に行動するか!
「えぇ!?な、なんでです?私の可愛い子供の一人なのに…」
「それでも、ルタちゃんは俺には面倒を見切れないよ!なんなんだあの性格!?…まぁ、マリーさんに言っても仕方が無いんですけど…」
「あたい…絶対にデメトリオと一緒に行く!お母さん!あたいの野望のことを話したでしょ!」
「…むぅ…デメトリオさん…あきらめてください!私はやっぱり…子供のその後が心配なのです!」
「な…なんで…えぇー…」
やっぱり、最終的に断ることが出来なかった俺がそこにいた…
そして、マリーさんと感動の別れをした後…俺達はまだ森を歩いていた。
だが、今は別に怖くない!なぜか…俺は地図を持っているからさ!!
「あははー!楽しかったねー!」
「私は結構疲れましたーー…でも、たのしかったですね〜」
「その楽しさはあたいのおかげよ!もっとたたえなさい!」
「おおーー!!るーちゃん凄い!」
「そう?あたいの凄さがわかるなんて…きーちゃん、見る目あるわ!」
「そうだったんですかきーちゃん!?凄いです〜、超能力ってやつかも知れませんね…」
………本当に、どうしてこうなった…
えっと…この状況を表す表現は…これだぁ!!
うぉぉぉぉぉぉぉっ………orz
どうだ!体を張ったぜ!?これで注目を集めたに違いな…
「でねー?あたいの賢いところはそこで壁に水で流れる落書きをして、拡散的に被害を与えたところなんだよー!」
「るーちゃん最強!!いえーい!」
「い、いえ〜い…(どこが最強なんだろ…?)」
む…無視されましたー…
そんな…たまに体を張って注目を集めようとしたらこの仕打ち…
そのくせ、絶対に構って欲しくないときに限ってこっちに話が来る…
世の中間違ってるんだ!
と、一人会話に入ることも出来ず、内心で毒をはいていた。
そして…俺が話題に入れずにかなりの時間を一人で過ごしながら歩いていたときだった。目の前でなんと…倒れている女の子が!
まて…この状況前にも一度あったな…
「すいません…だ、大丈夫ですか?」
そういいながら、敵のパンチが飛んできたらよけられる場所で声をかけてみる。…攻撃してくる様子は無し…安全なのか?
「お、おなかすいた…」
「これ…少しだけど干し肉だから…食べなよ」
俺は、自分に害が無いと判断させてもらった。なら、困っている人を見捨てるのは駄目だろ?少しでも世の中は助け合わないとな?
「あ、ありがと……あ!おいしい!」
「そうかい?じゃあ…パンもあげるよ。じゃあ、これからも一人旅には気をつけて…」
「……待ってよ!ちょっとちょっと〜!いい人じゃないのよ〜?」
……なんか、食べ物を食べたら急にテンションが変わったな…また、変な人を助けてしまったんじゃないだろうな…
なんか…嫌な予感がするぜ…
「何か定職についてんの?ねぇ?」
「え…?あ、一応宿屋経営を一人でやってましたけど…今はスタッフを2名雇っているので3人で宿屋経営中ですね…」
「本当に!?それって…将来確実に安泰じゃん!ラッキー!」
「ラッキーって…何が?」
「だって、働かなくてもお金が自動で来るって事じゃん!それってなんて楽な話なんだろう!?もう、親戚は王族になってるし、こんなにいいことに出くわせるなんて…私ってもうラッキーな人生ね!これで後腐れなくニートできる!
」
……駄目じゃんこいつも!
これ以上関わらないようにしよう…うん、そうしよう。
「じゃ…もう会わないようにしよう!じゃあね?」
「逃がすかーー!!ふしゅっ!!」
な、なんだ!?急に背中が引っ張られている気が…嘘だろ!!
嫌だ!!これ以上こんな厄介なフラグに関わりたくない!
「へへっ…お疲れさん!さて…少しお兄さんにいい話があるんだけどなぁ〜…」
「俺にとってのいい話はあんたが俺のことを無視してここを去ることだよ」
「それは無い!お兄さんって、結婚は…?」
……何がいい話だよ!結局俺の過去を嫌な意味で掘り返しているだけじゃないかよ!
「してないよ!それが!?何か言いたいのか!」
「やっぱり…じゃあ、結婚しない!?ほら…お兄さんには安定した職と資金のルートがあるし…私は癒しを与えられるし…両方とも幸せじゃない?」
………なんか、金のためだけに言い寄ってきている気がしてならないんだが…
俺は一応、癒しとやらがどんなものかを聞いてみることにした。いや…もう癒しじゃないだろうってわかるんだけどね…?
「癒しって言うけど…どんなことがあるんだ?教えてよ」
「そうだなぁ〜…私の寝顔を見れるとか、私と夜の営みでエンジョイできるとか…一番は、心に私という名の癒しが訪れることかな!」
「……待て、一つ聞かせてくださいよ…ニートしたいって言ってましたよね?」
「うん。それがどうかした?」
「俺と結婚したと仮定して…まず、俺の宿の手伝いをしてくれるのかい?」
「絶対にしない。むしろ部屋で本見てる」
「……じゃあ、食事を作ってくれたり、洗濯物は…?」
「お兄さん、自分で出来るじゃないですか!私、出来ないし!」
「…………じゃあ、結婚して子供が出来てからの子供の世話は…?」
「もちろんお兄さんが一人で育ててください!私は適当に太らないように体型をキープしつつだらだら過ごします!!」
………駄目じゃねえか!本当に何が癒しだ!
ほとんど逆じゃねえかよ!しかも…癒しの内容…俺に対してそこまで癒し要素強くねぇ!!夜の営みって…お前がやりたいだけだろーー!
「あきらめてくれ…俺なんかよりもいい条件の男なんてそこらへんに転がってるだろ?じゃあね」
そうだよ…俺なんかよりも明らかにお金が入る職業の男なんてこの世界には掃いて捨てるほどいるだろ!
俺以外の男に寄生してやってくれ!
「駄目なのよ!!お金もっている男なんて今じゃアルラウネの蜜を手に入れるのと同じくらいの確立なの!!絶対にあきらめないから!」
「へぇ〜…じゃあ結構楽じゃないですか…俺、持ってますからね」
「……え!?安定した職業だけではなくお宝クラスのアイテムも持っている…もう絶対にお兄さんを逃がしませんから!私が楽に人生を過ごすため…絶対に結婚します!」
「だからやめろって!!絶対に寄生なんてさせないからな!自分で働け!」
おれは隙を突き、彼女から運よく逃げメアリーたちのほうに向かって走っていった!しかも、彼女のはく糸をきれいに避けながらだ!
いやぁ…俺、なんてかっこい…うわぁ!
そして俺は地面に張り巡らされた糸に足を引っ掛け、倒れてしまったのだった…
12/02/11 00:07更新 / デメトリオン
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