15 谷から落ちて、半分泣いた
やばいぞ…前方に見えるのは岩だぞ!?
前回の話で、坂道を荷車に乗った状態で下っている俺たち…
「ついに…ついに来たぜエンドフラグ!!俺はまだ遣り残したことがあるというのに…」
「大丈夫じゃ!この荷車はそんなやわな作りではないのじゃ!」
ゾーネがはっきりと言い切るが…本当に大丈夫かなぁ…?
俺は、微妙に見え隠れしている不安をぬぐうことが出来なかった。
「岩が来るのじゃ!皆…近くにある手すりをもつのじゃ!」
えぇ!?て、手すり…手すりっと…
俺は一番近くにあった手すりをつかんだが…変にべとべとしているなぁ…
そう思いながら構えていると、物凄い衝撃が体を突きぬけていった!
この浮遊感…コレが無重力か?って、なんで無重力を俺は味わっているんだ!?
「デメトリオーーー!!」
「ま、まさか…俺だけ飛ばされたーーー!?」
俺の目の前で無常にも仲間たちの乗っている荷車は角を曲がり、俺の目線から消えていった。
俺の人生はここで終わるのか……もう少しいいフラグが訪れると思っていたのに…やっぱり死ぬのか…短かった…こんなことなら、さっきのウシオニの所で男らしく散っておけばよかった…
いろいろな後悔が浮かんではすぐに消えていく…俺、こんなに後悔してたんだな…
さようならみんなーーー!!
両手で十字を切った俺…俺の背中に何かやわらかい物が当たる…
え?やわらかい物?というか、俺…生きてる!?
「あれ?そんなに痛くないな…まさか、痛みも味わう前に死んだのか?即死?」
そう言いながら俺は立ち上がり、自分の背中に当たったものが何かを確かめてみた。これは…なんて大きなキノコなんだ…
辺りを見回すと、どうやら俺は崖の下に飛ばされたようだな…谷の下のほうは森になっていたのか…結構霧が濃いんだな…
「……食料もそんなに無いしなぁ…早めにこの森を抜けないと餓死してしまうし…」
俺は、その場でただ突っ立っていても埒があかないと思い、この森を進んでいくことにした。
……一人で霧がかかっている森を進むのがこんなに辛い事だとは…
久しぶりに恐怖心が芽生え始めてきたぜ…
この状況で誰かがいきなり出てきたら…もう俺、気絶しそうだぜ…
そう言いながらもしばらくの間森を歩いていると、少しだけ開けた場所に出た。ちょうどいいぜ…ここで少し休憩するか…
「いやぁ…良かったぜ…もう、本気で足がくたくたで…疲れたところだったんだ。」
そう言いながら、俺のお気に入りの干し肉とチーズを近くの切り株の上に置き、カスタニアワインを凄く薄めた物を手に持つと、地味な昼食の準備が出来た。
「……ああ…一人の食事かぁ…これほど静かな食事なんて、旅に出る前以来だよなぁ…久しぶりにしてみると、結構悲しい気分になる食事だったんだなぁ」
気のせいか、周りが静かなこともあり俺のテンションは下がる一方だった。
いくら好きなものを食べているとしても、虚しい食事は心を満たさないんだなぁ…
俺は、早くメンバーたちと合流しようと決意し、食事を早めに切り上げた。さて…行くかぁ…
俺が荷物を取り、森の中へまた足を踏み出そうとしていたときだった…
なんだろうな?あのもこもこの毛皮の山は…
ここは、ちょっかいを出すべきところなのか?それとも、スルーするべきところなのか?どっちだと思う?
「……ここは、スルーするべきところだよな?」
「あははーー」
……誰だこのふわふわ浮いている綿毛みたいな魔物娘は…?
「き、君は…誰だ?」
「……お兄さん、面白い顔してるーー!」
そういうと、目の前の綿のような女の子は俺の顔を使って遊んできた。
「ひゃ…ひゃめろおみゃえ…いっひゃいひゃんひゃんだ?(や…やめろお前…一体何なんだ?)←こう言ったんだからな!?」
「あはは〜…変な顔〜」
ひ、酷い…って、あれ?あの毛皮の山が近づいている?
俺の気のせいだろうか…さっきまでりんごの木の近くにあった毛皮の山が明らかに近くに…
よく見たら、もぞもぞ動いてないかアレ!?
「何だ…何なんだあの毛皮は…!?嘘だろ!あぁ!あ、足が生えた!?」
やばい…大きく振りかぶって俺の顔めがけて毛の山が…
「熊じゃなくて羊ですぅ〜!!」
「ぐはぁっ!?いきなりそ、そんなの…しらねぇよ…がくっ」
不意に心地よい眠気に誘われた俺は、ふわふわ感を顔で受け止めながら眠りに
ついた。
「あぁ!?や、やってしまったです〜…」
「あはは!一撃だ〜」
「……あらあらあら〜…大変なシーンを目撃してしまいましたわ〜…」
「「……あなた、誰ですか!?」」
「気にしないで下さい〜〜ただのとおりすがりですから〜」
……うぅ、なんだったんださっきのは…いきなり殴ってくるなんて酷いなぁ…
そう思いながら近くにいたやつらを見る…って、なんか一人増えてるーーー!
「あ、起きた…よかった〜…」
「いきなり何なんだ!!意味もなく顔を殴るなんて…」
「すみません〜…よく第一印象が熊みたいだって言われるので…てっきり…」
第一印象?毛皮の何かだったけど…まぁいい…
霧の立ち込めた森の中で一人ぼっちってことにならなかっただけましとするかな…
「次からは気をつけてくれよ?まったく…」
「……あなたはどこから来たの?見たところ旅人のようだけどなぁ…」
「俺?俺は崖から落ちて…と、まぁいい。この森を抜けるルートを知らないか?仲間とはぐれちゃってさ…困ってるんだよ」
どうやら、俺に危害を加えるつもりは無いようだ。だったら、仲間達に出会うまで一緒に行動するのもありだろ?
そう思った俺は、目の前の魔物娘達にさりげなくこの森の抜け方を聞いた。
「森の抜け方…ですか?うぅ〜…わからないですね…きーちゃんはどうですか?」
「あははーー、知らないーー!」
……駄目じゃないかこいつら!森の抜け道を知らないって、完璧に終わったフラグだろう!
こうなったら俺一人でこの森を抜けるしか…
「私…知ってますよ〜…来るまでに這って来た道筋に跡が残っているはずですから〜」
「な…何!?」
終わったと思っていたが、まさかの展開に!いや…待て待て、期待させていて実は嘘とかいう可能性も…無しじゃないな…
俺は事実を確かめるために一応、おおなめくじの彼女の後ろを見てみた…
うっすらと銀色の線が見える…?あれがそうなのか?
「あの銀色の線がそうなのか?本当に?」
「はい!あの線を伝っていけば私のMyホームに着きますから〜…可愛い娘達が待っているんですよ!」
「そうですか…ま、まぁ、とにかく先に行かないと始まりませんし…俺は行きます。ありがとうございました!」
そう言って、俺はこの場を立ち去る…本音、一人で森をさまようのは嫌だから誰かに来て欲しいんだけど…でも、そんなことかっこ悪くていえないよなぁ…
「私達もついていきます!こんな森からは早くおさらばしたいです〜!」
「あはー…メアリーたんが行くならあたしも行くーー!」
「私もそろそろ帰りますから〜…一緒に行動しましょうよ〜!」
……よっしゃあ!!
計画は一切してなかったし、期待もしていなかったけど、まさか来てくれるとは…心強いけど、心細かったのをばらさないようにしよう…
「あ、ああ…まぁ、無理についてくるというのなら止めはしないよ?うん…」
「むーーー…だったらいいです!私達は別に動きますから!」
「え!?そ、それは…勘弁してもらいたいかなぁ〜と…」
しまった…すぐに素を出してしまった…今回はかなり素を抑えると決めていたのに…
そっとワーシープのメアリーと呼ばれていた魔物娘のほうを見る…
な、なんだあの若干弱者を見るような薄目は!?や、やめろ!そんな若干エロい目で俺を見るな!!
「へぇ〜…そこで両膝をついてお願いしたら…一緒にこの森を抜けよう?」
「お願いします!!」
え?土下座するのが早いって?まぁ、当然?
もう、変なプライドとか持ってても疲れるだけだと思ったんだよ俺!
「デメトリオさん、飴玉舐めます〜?」
「あ、もらうよ…この飴って、何味?」
「私にはわかりません〜…きーちゃんに聞いてください〜」
「この飴って何味なんだ?」
「それねーおねえちゃんがくれた飴で、凄く甘いんだよー!」
「へぇ…で、お姉ちゃんってどこに?」
「昔、空を二人で散歩してたらいつの間にかいなくなってたーー!変だよね〜!」
それは、君のせいだと思うよと俺は思った。
まぁ、口には出さずに思うだけにとどめたけどね?最近、自分の発言で自分の状況を追い詰めている気がするからさぁ…
そして、手に持った飴のほうに目を向ける…
きーちゃんは甘いと言ったけど…人それぞれ…魔物それぞれ味覚は違うもんだろ?本当に甘いのかな…
そして、意を決して飴玉を口の中に入れた。
「うっ…」
…なんだこの味は…物凄く柑橘系特有のすっぱい酸味がはじめに来て、その後かなり強めのこの苦味…甘さは本当に少しで、心なしか塩辛い気もする…
全ての味が混ざり合っており…なんとも言えない味だ。
はっきり言うと…かなり不味い!
そうして、しばらく歩き続けていると、少し開けた場所に出た。
そこには自然と調和しましたといえる木造の家が建っていた。あれがマリーさんの家だな…多分…建てた職人さん…いい腕してるぜ!
「あそこが私の家です〜!」
「あ!お母さんおかえり〜!」
「その人…お父さんと同じ男の人ー?」
「そんなことより、今日の晩御飯って何ーー?」
な…!?マリーさんの家から女の子達が次々と這いながらこっちにやってくるだと!?まさか…あれが全員マリーさんの子供だというのか!?
雑に見積もっても3、40人はいるぞ!?
「みんな!今帰ったわよ!」
……なんか、マリーさんって子供を見ている時ってテンション高いよなぁ…
母親ってのはそういうものなのか?
俺がそう思っていると、家のほうから物凄いスローペースで男性が一人歩いてくる。あれがマリーさんの旦那さんか!?
……なるほど、めがねをかけて知的な雰囲気を演出=ポイント高しってやつか?まぁ、そんなことがわかったとしても、俺はめがねが似合わないって知ってるからどうでもいいことなんだけどな?
「マリー、おかえり。その方々は?」
「エコーズ!珍しいわね…あなたが書斎から出てくるのって…」
「…いや、面白いオーラを感じてね?僕の名前はエコーズ…君は?」
「あ、デメトリオっていいます。よろしくお願いします」
……面白いオーラってなんだよ!?
やばいぜ…凄い気になるけど…ここは押さえて置かないと…
「そうだ、今日はもう遅いし、今日はここで泊まっていきなよ…マリー、いいかい?」
「そうね…結構日が落ちてきているし…」
……むやみに夜動き回るのは確かにいい考えではないよなぁ…ここは、泊めてもらうとするか!
「じゃあ、俺は今晩…やっかいになります」
「私も泊まって行きたいです〜!きーちゃんはどうしますか?」
「私は泊まるーー!!楽しそうだし!」
「全員泊まるのでいいね?じゃあ、マリー…僕は少し調べ物があるから先に書斎に行ってるよ?家を案内してあげてくれ」
そういうと、エコーズは物凄い遅いペースで家へと戻っていった。
家の中に入ってみると…凄いきれいに掃除されているな…さすがだ。
「みんな!部屋の掃除をしてきなさい!今日の晩御飯はカレーよ!」
「カレー!?やったあ!じゃあ、掃除してくるねー!」
「今からわくわくが止まらないよーー!」
「よーしっ!今から早く掃除を終わらせて食事の準備を手伝おっと!」
…なるほど、カレーかぁ…こんな森でもカレールーって手に入るものなんだな…それとも、行商人でも来るのか…?
「ここが客室です…昔は娘達の部屋の一つだったのですが、上手く結婚してくれたみたいで…昔はこの家にも60人いたんですけど…今では39人です…でも、良い人を見つけれたみたいで、良かったです!」
ろ…60人…凄いなこの人…違う意味で…
「そういえば!この部屋に娘達が送ってきた手紙を挟んであるアルバムが…あった!コレです!」
マリーさんの手につかまれている赤いアルバム…か…
見たい…中が見たいぜ…
「あの…それ、少し見てもいいですか?」
「いいですよー!どうぞ」
お!?言ってみるもんだなぁ…どれどれ…
『お母様へ 今日初めて、旦那と初夜を過ごしました。はじめは少し痛かったけど、凄く気持ちよかった!旦那も、必死になって腰を振ってくれて可愛かったなぁ〜…最後は旦那の友達と旦那で私の中に濃いのをいっぱい出してくれたし…凄く楽しかったよ!私も頑張って子供、たくさん作るから心配しないでね!』
な…なんて卑猥な文章なんだ…ん?こんなところに写真が…
俺は、手紙の中に一緒に入れられていた写真を取り出してみる…
「アへ顔ダブルピースしてんじゃねぇ!!」
俺はその写真を見た次の瞬間、アルバムを躊躇なく地面に叩き付けた!
久しぶりに表面上に嫉妬心が出てきた気がする。
「あぁ!?私の娘との大切な思い出のアルバムが!?」
「あ…す、すみません!つい出来心で…」
「仕方ないですね〜…」
……許してくれた!?な、なんて心が広い方なんだ…
俺だったら絶対に内心では激怒していたに違いないな…
「ここが書斎ですよ、まぁ、普段はエコーズしか使いませんけど…」
書斎の中には、結構な量の本があった。まぁ、図書館ほどは本は無いけど、それでもかなりの量だと俺は思うな。普通の一般家庭においている本の数よりは圧倒的に多いだろう…
「エコーズ?みんな連れてきたわ?」
「ん?マリーか?ちょっと待っててよっと!!」
しばらくして、書斎の奥から相変わらずのスローな動きでエコーズが歩いてきた。しかし…殴りたくなるくらい動きが遅いな…本当に…
「お疲れ様マリー…少し早いけど、今からデメトリオを占いたいから先にカレー、作っておきなよ」
「わかったわ、じゃあカレー、作ってきますね?」
「あ、私も行きます!」
「私は他の子たちと遊びたいーー!!遊んでくるねーー!」
そうして、俺とエコーズさん以外は全員、この部屋から去っていった。
「さて…まずは君の嫌いなタイプでも占おうか…1から100までの中で一番好きな数字はなんだい?」
占い?俺は占いは信じてないんだけどなぁ…まぁ、いいか。
「えっと…61です!」
「へぇ…君はどうやら勝ち組が嫌いなようだね…多分、自分よりもいいことがあった人のことを見ると、むかついてくるんじゃないかな?」
あ…当たっているだと!?いや、もしかしたらまぐれかも…
「じゃあ次に、君の性格を判断しようか?このトランプを適当に引いてみてくれ」
「じゃあ、コレで」
「ふむ…君は嫉妬深い性格のようだね…自分の出来ないことを他人が出来るとかなりむかつくんじゃないかな?そのくせ、努力するのが結構嫌い…でも、人から何か頼まれると断れないお人よし…といったところだね…」
す、するどい…本当に当たるのかも知れないぞ…
俺は少し占いというものを信じてみようかなという気になった。
「じゃあ、最後に…君の結婚運でも調べてみようか」
お!?それは非常に気になる…
「ちょっとオーラを解析するから待っててくれよ?」
オーラ…だと?さっきから気になっていたんだが…オーラって何だろう?
俺は少しの間、オーラという物について考えていたが、結局答えを導き出すことはできなかった。まぁ、俺が考えてもよくわからない代物なんだろうな。
「むむむむむむ……プラズマーーーーー!!」
「え!?な、何かあったんですか!?」
い、いきなり耳元で叫ばれ発された言葉がプラズマ!?もうなんだか意味がわからないぜ…
「わかった…君は結婚することは出来るようだね…しかも、運命の相手は5人いる…最後に決めるのは君だし、僕は君の運命の相手を教えることは出来ないけどね?」
………どうやら最後の占いの結果ははずれのようだな!
今までの21年間でそんな出来事起こらなかった俺だぜ?5人も…ありえないよなぁ…
「そうだ、気になることも読み取れたから伝えておくよ。君、自分自身の人生の選択肢は間違えないようにね?軽く見た程度でも理想の結婚相手ではない魔物の女の子と結婚するフラグが49本、無理やり犯され野原に投げ捨てられるフラグが200本、死亡フラグが19本、君の旅が終わるまでに起こるからさ?じゃ、カレー食べに行こうか?」
………ぜ、絶対に俺は占いを信じないぞ!そ、そ、そ、そんな脅しに屈するものか!ふっ…か、カレーを食べに行こうっと…
……なんだこの不気味な緑色の食べ物は!?ま、まさか…これがカレーか!?カレーだというのか!?
「あら?デメトリオさんってカレー…嫌いなのですか?」
「うっ…い、いただきます…」
せ、折角マリーさんが作ってくれたんだもんな…た、食べないと失礼だよな?
俺は意を決して口の中に放り込んでみた…ん!?上手いぞこれ!
ほんのりとさっぱりした野菜の味が口を駆け巡り、その後隠し味にされているチーズの味が口をかける…カレー的要素は一切無いけど、コレはコレでいけるぞ!?
そして、食事も終わり…寝る準備も整えた現在…俺が何をしているかというと…
「デメトリオさんはどんな旅をしてきたのー?」
「聞きたい聞きたいーー!!」
「こらこらみんな!デメトリオさんは明日からまた旅を続けるんですから…おとなしく眠らせてあげなさい!」
「はーい!」
……さすが、あれが母親というものか…
で、俺の布団の中にもぐりこんでいるこの子はどうして戻らないんだ?
「こら!ムペー!早く他のお姉ちゃんたちと一緒に自分の部屋に戻りなさい!」
「……<<o(>_<)o>>!」
「駄々こねても駄目です!ほら!」
「……(ToT)」
「…仕方無いわね…他の子たちには内緒よ?」
「……o(^_^)b!」
待て!!なんでわかるマリー!?
俺には変な動きをしているようにしか見えなかったぞ!?
俺にもわかるように説明プリーズ!
「じゃあデメトリオさん、娘をよろしくお願いしますね!」
「ちょ!?えぇ…わ、わかりましたけど…」
結局断れなかった俺は、ムペーちゃんを布団に入れて寝かしつけるとようやく眠りに入ることが出来た…
まったく、一見5歳児にしか見えないぞ…なんで俺が眠る時間を削ってまで…
まぁいい…明日、仲間と合流できたらいいけどなぁ…
そう思い、眠りにつこうとするが…ムペーちゃんが変なぬめりのある手で体を触ってきて気持ち悪くて眠れない!
結局俺は、夜を眠ることもなく過ごしたのだった。
前回の話で、坂道を荷車に乗った状態で下っている俺たち…
「ついに…ついに来たぜエンドフラグ!!俺はまだ遣り残したことがあるというのに…」
「大丈夫じゃ!この荷車はそんなやわな作りではないのじゃ!」
ゾーネがはっきりと言い切るが…本当に大丈夫かなぁ…?
俺は、微妙に見え隠れしている不安をぬぐうことが出来なかった。
「岩が来るのじゃ!皆…近くにある手すりをもつのじゃ!」
えぇ!?て、手すり…手すりっと…
俺は一番近くにあった手すりをつかんだが…変にべとべとしているなぁ…
そう思いながら構えていると、物凄い衝撃が体を突きぬけていった!
この浮遊感…コレが無重力か?って、なんで無重力を俺は味わっているんだ!?
「デメトリオーーー!!」
「ま、まさか…俺だけ飛ばされたーーー!?」
俺の目の前で無常にも仲間たちの乗っている荷車は角を曲がり、俺の目線から消えていった。
俺の人生はここで終わるのか……もう少しいいフラグが訪れると思っていたのに…やっぱり死ぬのか…短かった…こんなことなら、さっきのウシオニの所で男らしく散っておけばよかった…
いろいろな後悔が浮かんではすぐに消えていく…俺、こんなに後悔してたんだな…
さようならみんなーーー!!
両手で十字を切った俺…俺の背中に何かやわらかい物が当たる…
え?やわらかい物?というか、俺…生きてる!?
「あれ?そんなに痛くないな…まさか、痛みも味わう前に死んだのか?即死?」
そう言いながら俺は立ち上がり、自分の背中に当たったものが何かを確かめてみた。これは…なんて大きなキノコなんだ…
辺りを見回すと、どうやら俺は崖の下に飛ばされたようだな…谷の下のほうは森になっていたのか…結構霧が濃いんだな…
「……食料もそんなに無いしなぁ…早めにこの森を抜けないと餓死してしまうし…」
俺は、その場でただ突っ立っていても埒があかないと思い、この森を進んでいくことにした。
……一人で霧がかかっている森を進むのがこんなに辛い事だとは…
久しぶりに恐怖心が芽生え始めてきたぜ…
この状況で誰かがいきなり出てきたら…もう俺、気絶しそうだぜ…
そう言いながらもしばらくの間森を歩いていると、少しだけ開けた場所に出た。ちょうどいいぜ…ここで少し休憩するか…
「いやぁ…良かったぜ…もう、本気で足がくたくたで…疲れたところだったんだ。」
そう言いながら、俺のお気に入りの干し肉とチーズを近くの切り株の上に置き、カスタニアワインを凄く薄めた物を手に持つと、地味な昼食の準備が出来た。
「……ああ…一人の食事かぁ…これほど静かな食事なんて、旅に出る前以来だよなぁ…久しぶりにしてみると、結構悲しい気分になる食事だったんだなぁ」
気のせいか、周りが静かなこともあり俺のテンションは下がる一方だった。
いくら好きなものを食べているとしても、虚しい食事は心を満たさないんだなぁ…
俺は、早くメンバーたちと合流しようと決意し、食事を早めに切り上げた。さて…行くかぁ…
俺が荷物を取り、森の中へまた足を踏み出そうとしていたときだった…
なんだろうな?あのもこもこの毛皮の山は…
ここは、ちょっかいを出すべきところなのか?それとも、スルーするべきところなのか?どっちだと思う?
「……ここは、スルーするべきところだよな?」
「あははーー」
……誰だこのふわふわ浮いている綿毛みたいな魔物娘は…?
「き、君は…誰だ?」
「……お兄さん、面白い顔してるーー!」
そういうと、目の前の綿のような女の子は俺の顔を使って遊んできた。
「ひゃ…ひゃめろおみゃえ…いっひゃいひゃんひゃんだ?(や…やめろお前…一体何なんだ?)←こう言ったんだからな!?」
「あはは〜…変な顔〜」
ひ、酷い…って、あれ?あの毛皮の山が近づいている?
俺の気のせいだろうか…さっきまでりんごの木の近くにあった毛皮の山が明らかに近くに…
よく見たら、もぞもぞ動いてないかアレ!?
「何だ…何なんだあの毛皮は…!?嘘だろ!あぁ!あ、足が生えた!?」
やばい…大きく振りかぶって俺の顔めがけて毛の山が…
「熊じゃなくて羊ですぅ〜!!」
「ぐはぁっ!?いきなりそ、そんなの…しらねぇよ…がくっ」
不意に心地よい眠気に誘われた俺は、ふわふわ感を顔で受け止めながら眠りに
ついた。
「あぁ!?や、やってしまったです〜…」
「あはは!一撃だ〜」
「……あらあらあら〜…大変なシーンを目撃してしまいましたわ〜…」
「「……あなた、誰ですか!?」」
「気にしないで下さい〜〜ただのとおりすがりですから〜」
……うぅ、なんだったんださっきのは…いきなり殴ってくるなんて酷いなぁ…
そう思いながら近くにいたやつらを見る…って、なんか一人増えてるーーー!
「あ、起きた…よかった〜…」
「いきなり何なんだ!!意味もなく顔を殴るなんて…」
「すみません〜…よく第一印象が熊みたいだって言われるので…てっきり…」
第一印象?毛皮の何かだったけど…まぁいい…
霧の立ち込めた森の中で一人ぼっちってことにならなかっただけましとするかな…
「次からは気をつけてくれよ?まったく…」
「……あなたはどこから来たの?見たところ旅人のようだけどなぁ…」
「俺?俺は崖から落ちて…と、まぁいい。この森を抜けるルートを知らないか?仲間とはぐれちゃってさ…困ってるんだよ」
どうやら、俺に危害を加えるつもりは無いようだ。だったら、仲間達に出会うまで一緒に行動するのもありだろ?
そう思った俺は、目の前の魔物娘達にさりげなくこの森の抜け方を聞いた。
「森の抜け方…ですか?うぅ〜…わからないですね…きーちゃんはどうですか?」
「あははーー、知らないーー!」
……駄目じゃないかこいつら!森の抜け道を知らないって、完璧に終わったフラグだろう!
こうなったら俺一人でこの森を抜けるしか…
「私…知ってますよ〜…来るまでに這って来た道筋に跡が残っているはずですから〜」
「な…何!?」
終わったと思っていたが、まさかの展開に!いや…待て待て、期待させていて実は嘘とかいう可能性も…無しじゃないな…
俺は事実を確かめるために一応、おおなめくじの彼女の後ろを見てみた…
うっすらと銀色の線が見える…?あれがそうなのか?
「あの銀色の線がそうなのか?本当に?」
「はい!あの線を伝っていけば私のMyホームに着きますから〜…可愛い娘達が待っているんですよ!」
「そうですか…ま、まぁ、とにかく先に行かないと始まりませんし…俺は行きます。ありがとうございました!」
そう言って、俺はこの場を立ち去る…本音、一人で森をさまようのは嫌だから誰かに来て欲しいんだけど…でも、そんなことかっこ悪くていえないよなぁ…
「私達もついていきます!こんな森からは早くおさらばしたいです〜!」
「あはー…メアリーたんが行くならあたしも行くーー!」
「私もそろそろ帰りますから〜…一緒に行動しましょうよ〜!」
……よっしゃあ!!
計画は一切してなかったし、期待もしていなかったけど、まさか来てくれるとは…心強いけど、心細かったのをばらさないようにしよう…
「あ、ああ…まぁ、無理についてくるというのなら止めはしないよ?うん…」
「むーーー…だったらいいです!私達は別に動きますから!」
「え!?そ、それは…勘弁してもらいたいかなぁ〜と…」
しまった…すぐに素を出してしまった…今回はかなり素を抑えると決めていたのに…
そっとワーシープのメアリーと呼ばれていた魔物娘のほうを見る…
な、なんだあの若干弱者を見るような薄目は!?や、やめろ!そんな若干エロい目で俺を見るな!!
「へぇ〜…そこで両膝をついてお願いしたら…一緒にこの森を抜けよう?」
「お願いします!!」
え?土下座するのが早いって?まぁ、当然?
もう、変なプライドとか持ってても疲れるだけだと思ったんだよ俺!
「デメトリオさん、飴玉舐めます〜?」
「あ、もらうよ…この飴って、何味?」
「私にはわかりません〜…きーちゃんに聞いてください〜」
「この飴って何味なんだ?」
「それねーおねえちゃんがくれた飴で、凄く甘いんだよー!」
「へぇ…で、お姉ちゃんってどこに?」
「昔、空を二人で散歩してたらいつの間にかいなくなってたーー!変だよね〜!」
それは、君のせいだと思うよと俺は思った。
まぁ、口には出さずに思うだけにとどめたけどね?最近、自分の発言で自分の状況を追い詰めている気がするからさぁ…
そして、手に持った飴のほうに目を向ける…
きーちゃんは甘いと言ったけど…人それぞれ…魔物それぞれ味覚は違うもんだろ?本当に甘いのかな…
そして、意を決して飴玉を口の中に入れた。
「うっ…」
…なんだこの味は…物凄く柑橘系特有のすっぱい酸味がはじめに来て、その後かなり強めのこの苦味…甘さは本当に少しで、心なしか塩辛い気もする…
全ての味が混ざり合っており…なんとも言えない味だ。
はっきり言うと…かなり不味い!
そうして、しばらく歩き続けていると、少し開けた場所に出た。
そこには自然と調和しましたといえる木造の家が建っていた。あれがマリーさんの家だな…多分…建てた職人さん…いい腕してるぜ!
「あそこが私の家です〜!」
「あ!お母さんおかえり〜!」
「その人…お父さんと同じ男の人ー?」
「そんなことより、今日の晩御飯って何ーー?」
な…!?マリーさんの家から女の子達が次々と這いながらこっちにやってくるだと!?まさか…あれが全員マリーさんの子供だというのか!?
雑に見積もっても3、40人はいるぞ!?
「みんな!今帰ったわよ!」
……なんか、マリーさんって子供を見ている時ってテンション高いよなぁ…
母親ってのはそういうものなのか?
俺がそう思っていると、家のほうから物凄いスローペースで男性が一人歩いてくる。あれがマリーさんの旦那さんか!?
……なるほど、めがねをかけて知的な雰囲気を演出=ポイント高しってやつか?まぁ、そんなことがわかったとしても、俺はめがねが似合わないって知ってるからどうでもいいことなんだけどな?
「マリー、おかえり。その方々は?」
「エコーズ!珍しいわね…あなたが書斎から出てくるのって…」
「…いや、面白いオーラを感じてね?僕の名前はエコーズ…君は?」
「あ、デメトリオっていいます。よろしくお願いします」
……面白いオーラってなんだよ!?
やばいぜ…凄い気になるけど…ここは押さえて置かないと…
「そうだ、今日はもう遅いし、今日はここで泊まっていきなよ…マリー、いいかい?」
「そうね…結構日が落ちてきているし…」
……むやみに夜動き回るのは確かにいい考えではないよなぁ…ここは、泊めてもらうとするか!
「じゃあ、俺は今晩…やっかいになります」
「私も泊まって行きたいです〜!きーちゃんはどうしますか?」
「私は泊まるーー!!楽しそうだし!」
「全員泊まるのでいいね?じゃあ、マリー…僕は少し調べ物があるから先に書斎に行ってるよ?家を案内してあげてくれ」
そういうと、エコーズは物凄い遅いペースで家へと戻っていった。
家の中に入ってみると…凄いきれいに掃除されているな…さすがだ。
「みんな!部屋の掃除をしてきなさい!今日の晩御飯はカレーよ!」
「カレー!?やったあ!じゃあ、掃除してくるねー!」
「今からわくわくが止まらないよーー!」
「よーしっ!今から早く掃除を終わらせて食事の準備を手伝おっと!」
…なるほど、カレーかぁ…こんな森でもカレールーって手に入るものなんだな…それとも、行商人でも来るのか…?
「ここが客室です…昔は娘達の部屋の一つだったのですが、上手く結婚してくれたみたいで…昔はこの家にも60人いたんですけど…今では39人です…でも、良い人を見つけれたみたいで、良かったです!」
ろ…60人…凄いなこの人…違う意味で…
「そういえば!この部屋に娘達が送ってきた手紙を挟んであるアルバムが…あった!コレです!」
マリーさんの手につかまれている赤いアルバム…か…
見たい…中が見たいぜ…
「あの…それ、少し見てもいいですか?」
「いいですよー!どうぞ」
お!?言ってみるもんだなぁ…どれどれ…
『お母様へ 今日初めて、旦那と初夜を過ごしました。はじめは少し痛かったけど、凄く気持ちよかった!旦那も、必死になって腰を振ってくれて可愛かったなぁ〜…最後は旦那の友達と旦那で私の中に濃いのをいっぱい出してくれたし…凄く楽しかったよ!私も頑張って子供、たくさん作るから心配しないでね!』
な…なんて卑猥な文章なんだ…ん?こんなところに写真が…
俺は、手紙の中に一緒に入れられていた写真を取り出してみる…
「アへ顔ダブルピースしてんじゃねぇ!!」
俺はその写真を見た次の瞬間、アルバムを躊躇なく地面に叩き付けた!
久しぶりに表面上に嫉妬心が出てきた気がする。
「あぁ!?私の娘との大切な思い出のアルバムが!?」
「あ…す、すみません!つい出来心で…」
「仕方ないですね〜…」
……許してくれた!?な、なんて心が広い方なんだ…
俺だったら絶対に内心では激怒していたに違いないな…
「ここが書斎ですよ、まぁ、普段はエコーズしか使いませんけど…」
書斎の中には、結構な量の本があった。まぁ、図書館ほどは本は無いけど、それでもかなりの量だと俺は思うな。普通の一般家庭においている本の数よりは圧倒的に多いだろう…
「エコーズ?みんな連れてきたわ?」
「ん?マリーか?ちょっと待っててよっと!!」
しばらくして、書斎の奥から相変わらずのスローな動きでエコーズが歩いてきた。しかし…殴りたくなるくらい動きが遅いな…本当に…
「お疲れ様マリー…少し早いけど、今からデメトリオを占いたいから先にカレー、作っておきなよ」
「わかったわ、じゃあカレー、作ってきますね?」
「あ、私も行きます!」
「私は他の子たちと遊びたいーー!!遊んでくるねーー!」
そうして、俺とエコーズさん以外は全員、この部屋から去っていった。
「さて…まずは君の嫌いなタイプでも占おうか…1から100までの中で一番好きな数字はなんだい?」
占い?俺は占いは信じてないんだけどなぁ…まぁ、いいか。
「えっと…61です!」
「へぇ…君はどうやら勝ち組が嫌いなようだね…多分、自分よりもいいことがあった人のことを見ると、むかついてくるんじゃないかな?」
あ…当たっているだと!?いや、もしかしたらまぐれかも…
「じゃあ次に、君の性格を判断しようか?このトランプを適当に引いてみてくれ」
「じゃあ、コレで」
「ふむ…君は嫉妬深い性格のようだね…自分の出来ないことを他人が出来るとかなりむかつくんじゃないかな?そのくせ、努力するのが結構嫌い…でも、人から何か頼まれると断れないお人よし…といったところだね…」
す、するどい…本当に当たるのかも知れないぞ…
俺は少し占いというものを信じてみようかなという気になった。
「じゃあ、最後に…君の結婚運でも調べてみようか」
お!?それは非常に気になる…
「ちょっとオーラを解析するから待っててくれよ?」
オーラ…だと?さっきから気になっていたんだが…オーラって何だろう?
俺は少しの間、オーラという物について考えていたが、結局答えを導き出すことはできなかった。まぁ、俺が考えてもよくわからない代物なんだろうな。
「むむむむむむ……プラズマーーーーー!!」
「え!?な、何かあったんですか!?」
い、いきなり耳元で叫ばれ発された言葉がプラズマ!?もうなんだか意味がわからないぜ…
「わかった…君は結婚することは出来るようだね…しかも、運命の相手は5人いる…最後に決めるのは君だし、僕は君の運命の相手を教えることは出来ないけどね?」
………どうやら最後の占いの結果ははずれのようだな!
今までの21年間でそんな出来事起こらなかった俺だぜ?5人も…ありえないよなぁ…
「そうだ、気になることも読み取れたから伝えておくよ。君、自分自身の人生の選択肢は間違えないようにね?軽く見た程度でも理想の結婚相手ではない魔物の女の子と結婚するフラグが49本、無理やり犯され野原に投げ捨てられるフラグが200本、死亡フラグが19本、君の旅が終わるまでに起こるからさ?じゃ、カレー食べに行こうか?」
………ぜ、絶対に俺は占いを信じないぞ!そ、そ、そ、そんな脅しに屈するものか!ふっ…か、カレーを食べに行こうっと…
……なんだこの不気味な緑色の食べ物は!?ま、まさか…これがカレーか!?カレーだというのか!?
「あら?デメトリオさんってカレー…嫌いなのですか?」
「うっ…い、いただきます…」
せ、折角マリーさんが作ってくれたんだもんな…た、食べないと失礼だよな?
俺は意を決して口の中に放り込んでみた…ん!?上手いぞこれ!
ほんのりとさっぱりした野菜の味が口を駆け巡り、その後隠し味にされているチーズの味が口をかける…カレー的要素は一切無いけど、コレはコレでいけるぞ!?
そして、食事も終わり…寝る準備も整えた現在…俺が何をしているかというと…
「デメトリオさんはどんな旅をしてきたのー?」
「聞きたい聞きたいーー!!」
「こらこらみんな!デメトリオさんは明日からまた旅を続けるんですから…おとなしく眠らせてあげなさい!」
「はーい!」
……さすが、あれが母親というものか…
で、俺の布団の中にもぐりこんでいるこの子はどうして戻らないんだ?
「こら!ムペー!早く他のお姉ちゃんたちと一緒に自分の部屋に戻りなさい!」
「……<<o(>_<)o>>!」
「駄々こねても駄目です!ほら!」
「……(ToT)」
「…仕方無いわね…他の子たちには内緒よ?」
「……o(^_^)b!」
待て!!なんでわかるマリー!?
俺には変な動きをしているようにしか見えなかったぞ!?
俺にもわかるように説明プリーズ!
「じゃあデメトリオさん、娘をよろしくお願いしますね!」
「ちょ!?えぇ…わ、わかりましたけど…」
結局断れなかった俺は、ムペーちゃんを布団に入れて寝かしつけるとようやく眠りに入ることが出来た…
まったく、一見5歳児にしか見えないぞ…なんで俺が眠る時間を削ってまで…
まぁいい…明日、仲間と合流できたらいいけどなぁ…
そう思い、眠りにつこうとするが…ムペーちゃんが変なぬめりのある手で体を触ってきて気持ち悪くて眠れない!
結局俺は、夜を眠ることもなく過ごしたのだった。
12/02/07 21:54更新 / デメトリオン
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