13 執念が呼び寄せるドロー4
……一つ聞きたいことがあるんだ。どうして俺もトランプを持ってスタンバイしているんだ!?
確かに前回の話で巻き込まれないほうがいいなぁとは言ったけど、まさか巻き込まれるとは…
「じゃあ、トランプからやりましょうか…どの対戦にする?」
「あの…俺は抜けたいんですが…」
「大富豪シエスタとかどうです?究極の選択が熱いですよ〜?」
……む、無視された…それにしても、チェルシーがカードゲームに出るだと!?今まで空気キャラだと思っていたのに…
「シエスタは運要素が強すぎるわ…ロストジャックにしましょう?それでいいわね?」
「いいよ〜…私が絶対に勝つ!」
…もういいや、今回もフラグなんだろ?あきらめるよ…
さぁ、始まりましたロストジャック!!
ルールを説明しておこう、ロストジャックとはトランプのJをロストさせるのが目的の名前のとおりのゲームだ!
だが、普通に山札からJを当てるだけなら簡単すぎる…ということで、このゲームには忘れてはいけないルールがある。
まず、絵柄のQを引いた場合、持っているカードをJも含めすべて山札に戻す…
Kを引いたら全員の手札からJを収集できる。
そして、ジョーカー…このカードを引いた場合、全員の手札がランダムシャッフルされ入れ替わる仕組みになっている。
勝利条件は1から10の数字のカードを集め、Jを4枚ロストゾーンに送ることだ。
Jは4枚集めることで初めてロストゾーンに送ることが出来るぞ!
……なにゲームの説明をしているんだろうか?
まぁいいか、で…俺の順番はいつだ?
「じゃあ、参加メンバーは私とチェルシーとジュンコとデメトリオ…あなたたちのチームはあなただけでいいの?」
「ふっふっふ…余裕よ…私達ショタコン山賊団を甘く見ないでよね!」
……ネーミングがちょっとなぁ〜、さてやるか…
早くこの山も越えて行きたいもんだなぁ…
今、俺の手札には2が2枚…そしてなんとJが1枚手札にある状況だ。
始まりとしては良すぎる始まり方だぜ…
「私の番ね…」
はじめは俺達のリーダー、メリィからだ…
まぁ、俺達のうちの一人が勝てばいいから俺が勝つ必要は無いんだけど、やるからには勝ちたいぜ…俺、今までこういったゲームに勝ったこと無いからな…
「ドロー…私は6よ?」
「私のターン…10ですね〜」
「私のターンは…5です〜」
……そういえば忘れていた、このゲームってすごく地味だったんだ…
だが!俺は地味な勝負だからといって手は抜かないぜ!!
「…ドロー!!な…んだと…」
「どうしたのよ?小物…早くこの場にさらしなさい!」
……嘘だろ!?1ターン目でこんなカード…
俺は泣きそうな気分でドローしたカードを場に出した。
「…あっはっは!1ターン目でQ…あっひゃっひゃ!」
「デメトリオ…ふふっ、無様ねぇ…ふふふ…」
「まぁ、こんなときもあるさ〜!あっはっは!」
「お前達はどっちの見方だよ!!早く次引けよ!」
……くそ!絶対に全員見返してやるからな!
そして、このトランプゲームを始めて30分…そろそろ手札が充実してきた。
今の状況はメリィがJを3枚集めているという勝利確定かといわれた状況でも俺のターン…ここで、俺は勝負の流れを変えてやるぜ!!
「来い!俺の時代!!」
さぁ…何が引けたんだ!?気になる…気になるぜ…
俺は自分の引いたカードをちらりと見てみる…
来たーーーー!!このカード…まだまだ戦いはわからないぜ!?
「くらえ!!ジョーカー!!」
さぁ、俺の出したジョーカーでこの戦いを混沌の渦に巻き込んでやるぜ!!
「な!?今来るのそれ!?」
「くっ…デメトリオ…余計なことをしてくれちゃって…」
「ふっ…どうやら俺の一手に混乱してるようだなーー?」
やばい!!すごく気持ちいいぜーーーー!!
これが…勝利の味か?
「じゃあ、私が山札をシャッフルするよ?」
しばらく勝利の味を味わっていた俺に、チェルシーが話しかけてくる。
すごいな〜…あんなに早くシャッフルできるものなんだ…
チェルシーの手際に少々驚きながらも勝負はまた1から仕切りなおしだ!
この戦い…俺が始めてカードゲームで勝利した戦いとさせてもらおう!
「そろそろ…本気で行くよ?」
このゲームでは本気も何も運しかないだろ…チェルシー、俺が勝つのをそこで黙って見ているがいい!!
そして、俺がハイテンションで勝負を1から仕切りなおしたこの試合…
俺はテンションが非常にダウンしている状況だった…なぜかって?
普通、10ターンも続けてQ出すかぁ!?俺…
「だが…俺はこのターン、流れを変えてみせる…」
「雑魚、ごみ、邪魔者…早くしなさい…」
め、メリィ…本当に俺達は仲間なのか!?なんか、少し風当たりが酷い気がするんだが…
「ドロー!!あぁ…ま、またかよ…Q…」
「じゃあ、次あたしね?ドロー!ふふっ、私たち山賊団の理想郷は近いようね…、この試合に勝って軍資金に近づくわよーー?」
……もう、俺のQに対してのコメントがきれいになくなったな。
もう、俺トランプ一生したくないぜ…
「ちっ…このトランプ引き裂いてやろうか…おっと!?私の番ね?ドロー!」
さっき、素のメリィが出てこなかったか!?それとも…裏の顔か!?
「……9だ…まぁ、いいとするかな…次はあなたよチェルシー?」
「リーダー…この戦い、私の勝ちのようですね?」
な!?ドローもしていないのに次のカードがわかるというのか!?
まさかの伏兵!?いや、ただの勘違いかもしれないし…
「ドロー!ほら…K!!」
「「「な!?なんだってぇ!?」」」
あっという間にJがすべてチェルシーの手に渡っていく…
だけど、1から10までの数字をそろえなければ勝ちはないはず…
ま、まさか!?
俺は一瞬で直感し、チェルシーのほうを向いた。
「ゲーム…セットですね?」
チェルシーがそう言って、持っている手札をすべて公開してきた!
あ、あの手札…ありえない、ありえないぜ!?
なんと、チェルシーの手札はカードが全種類階段状にそろっており、絵柄カード以外はすべてそろっていた!しかも、ダブりカードは無し!あ、ありえない…
「そんな手札…普通にプレイしていたらありえない形じゃないのか!?」
「そうだねデメトリオ…私が普通にプレイしていたらね?」
まさか…普通にプレイしていなかっただと…
「しょうがないなぁ…特別に教えてあげるよ。私が高速シャッフルをしたときあったでしょ?あのときに1から10の数字のカードを袖の中にあらかじめ仕込んでおいたの。そして、あなたの順番にかならずQが来るように仕込んだだけの作られたバトルにする…10ターン目にあなたがQを引いて落ち込んでいるときの私のシャッフルのときに私の番にKが来るようにしておけば、80%の確立で私は勝てるからさ?」
な!?そ、それってイカサマじゃ…
俺がそう思ったとき、山賊側のナスカと呼ばれていた少女が激怒した。
「それってイカサマじゃないの!こんなことってないよ!私のショタお兄ちゃん帝国結成の野望が…」
「あれ〜?このトランプ勝負…イカサマ無しって誰がいったっけ〜?常に物事はよく聞いておかないと?」
…俺にはチェルシーはぜんぜんそういった話を聞いていないように見えたのに、以外に抜け目が無いなぁ…
いや、まぁ負けたね…負けたけど、俺はそんなに悔しくないね…
だって、俺はようやくトランプから解放されたからさぁ!!
そして、UNOの勝負は山賊側の勝利で終わり、戦いは今のところドロー…
勝負は人生ゲームで決まることになった…
「デメトリオ…なに他人事みたいな顔してるの?あなたも行きなさいよ?」
「えぇ!?俺、トランプやったぜ!?も、もういいだろ!?俺、少々精神的に…」
「行くわよね?当然…」
「…はい」
さっき、一瞬だけメリィが裏の顔を出しかけた気がしたぜ…
まさか、トランプの件いまだに根に持っているのか!?
それで俺に八つ当たりしてこなくても…いいんじゃないか!?
そう思いながらも、結局逆らえない俺は人生ゲームの4人組のメンバーの中に組み込まれていた。
ボードゲーム…ボードゲームかぁ…弱いんだよ俺…これも。
「アイネ…お手柔らかに頼むぜ?」
「姉さまも、昔のように直接攻撃してくることが無いようお願いしますよ?」
「出来るだけなぁ?ま、気が昂ぶらない事を祈っておくんだなぁ?」
……暴力沙汰に巻き込まれないようにジャンヌの近くに待機しておこう…
俺、ジャンヌ、サタナ、アイネの順番で人生ゲームが始まった!
さて…早速俺の番だぜ…
「さぁ、真っ先にあの数字が出てくることを祈ろうか…」
俺は心で2が出るように祈りながら一発目のルーレットを回した。
だって、2を出したら保険に入れるんだぜ!?保険って便利だぜ?今まで人生ゲームで何回事故したことか…
そして、くるくる回っていたルーレットは無常にも5を指した。
2はこなかったんだよ!なんで5なんだよ!?
「5だと…?確か5は…」
カードマスだったはずだぜ…?しかも、ブラックカードマスのはずだ…
ブラックカードマス…引くカードが全て悪い効果のカードという、出始めには絶対に止まりたくないマスだ。
「くくっ、引けよカード」
サタナが俺にブラックカードを投げつけて言い放ち、俺はそれを顔面で受け止める。
俺はカードが出来るだけ酷いあたりで無いように必死に願った。
「……こ、このカードは!?PAD!?まさかの!?」
まさか、一回目でPADを引き当てるとは…あ、ありえないぜ…
PAD…パッド…正式名称パーフェクトアーマードディフェンサー…
女性にはありがたく、男性には少し期待を裏切った気持ちを与える魔性のアイテム…バスト3UPも夢じゃないアイテムのカード…
このカードは、プレイヤーが女性の場合は、男性のプレイヤーに1000リーフもらい、このゲームの中でのみ胸が大きくなった設定で進めることが出来、男性だった場合はゲーム内の女性全員に1000リーフ払い2ターンスキップするという男殺しのカードだ…
「PAD!?デメトリオ…貴殿、運が無いな…」
「早く全員にリーフ払うんだな?おっと、それなら早速1000リーフ借金か…ははっ…」
「う、嘘だーーーー!?1ターン目で借金!?」
早速1ターン目で借金を抱えた俺だったが、何も俺だけがこんな目にあうわけじゃないはずだ!
「私のターン…4のようね?」
4…何も起こらない白紙マス…いいなぁ白紙マス…
え?白紙マスがどれほどいいマスかわからないようだな…
白紙マスは何もイベントが起こらない…つまり、一番初めに止まるときにマイナスが一切起こらない安全圏というわけだ。
俺も2番目にここに止まりたかったぜ…
「俺のターンか?俺は6だ」
6…6か…6?6って確か、自分が言った事を誰かに実行できる命令マスじゃないか!?
命令通りに実行しないと一気にゴールにいけるというチートマスじゃないか!
まぁ、プレイヤーの半数以上の反対がある命令は実行されないルールだがね?
「へぇ…じゃあ俺はアイネに対して、俺に従い俺と共に山賊をするという誓いをここでしてもらおうかなぁ?なぁ…アイネ?」
……そんな大事な誓いをゲームの途中でするというのはどうかと思うぜ俺は…
「姉さま…申し訳ありませんが、それは遠慮させていただきます…山賊をやっていてマッチョのイケメンにはそうそう出会えなさそうなので…」
「本人の意見を私は尊重しよう?」
二人の意見は反対意見…かぁ…これは、俺で決まるパターン?
まぁ、俺の答えはもう決まっているんだけどな?
「俺もその件については認められないなぁ?その件は両者の同意があった上で決まることだからね?」
「ちっ…そうかよ…じゃあ、そこの最後に俺の邪魔をしたひょろひょろピーマン野郎、お前に命令させてもらうぜ?」
「えぇーー!?」
な、流れ弾が飛んできやがっただと!?なんでこんな損な役回りばかり俺が受けるんだよぉ…
「俺はお前…デメトリオに命令するぜ…3回殴らせろ!!」
「はぁーーー!?な、なんで俺が!?嫌だよ俺は!痛い目に会うのなんて絶対に嫌だ!」
当然だろう!?だって、要望が通じなかったからって俺に飛び火するなんて普通考え付くか?
頼むぜ他のみんな…反対意見を出してくれ!
「デメトリオならいいんじゃない?いつもみんなの足を引っ張ってばかりだから、どんな目にあってもさ」
ジャンヌ…ひ、酷すぎるぜそれは!?
俺だって好きで足を引っ張っているわけじゃないんだぞ!?
「私も、デメトリオ…貴殿には少々不満が残るから、ここで姉さまに鍛えられるのもいいだろう…そして、理想のイケメンになってもらおうか?」
……そもそも、マッチョ=イケメンというわけではないし!さらにぃ!不満ってなんだよ不満って!!俺だって精一杯頑張ってるんだぞ!?
「待ってくれよ!!毎回毎回俺ばっかりこんな目にあわせてよぉ!!たまには俺の待遇を良くしてくれよ!泣くぞ俺!?」
「別に…デメトリオだったら何されてもいいかな?どう思うアイネ…」
「まぁ、デメトリオだったらOKかと…」
「そうか…デメトリオだったら何してもいいのか…いいことを知ったぜ」
君達はデメトリオって存在を誤解しているぞ!?
来るぞ…来るぞ…来るぞ…いや、やっぱり来ないでぇ!!
だ、駄目だ…一体どれほどのパンチが俺に飛んでくるのか…
「あ、あまり痛くしないでくれよ?お願いだからさ…な?」
「……お前、男だろ?男なら少々の痛みは我慢しねえとなぁ?」
「い、いや、決して男だから痛みに強いとかそういったことは無いから!そこのところは間違えないで…ぐはぁっ!?」
俺の顔に容赦なく鎧で防御されている状態の拳が飛んできて俺を吹き飛ばした!
物凄い勢いで後ろに飛ばされた俺は地面に背中から叩きつけられた…
本当に洒落にならないほどのダメージだぞ…普通、鎧はずして殴るだろ!?
……もしかしたら、背骨に大ダメージ食らったかも…
さっきから背骨がじわじわ痛くなってきた…
しかも、まだ2発のパンチが残っている…これは夢だ!夢なんだ!
「ははっ、貧弱だなお前…もう少し筋肉つけろよ?あと2発だな?」
「ちょ…やめてぇ!!ストップだってマジで!し、死ぬって!」
俺、必死だな…まぁ、あんなパンチ食らったら必死にもなるって!
「でも、これはルールだしなぁ?おとなしく受けとかないと俺がゲームに勝つぜ?あきらめな?」
……待てよ?そうだよ!ゲームなんか放棄して隙を突いて先を行けばいいじゃないか!
俺…逃走開始っと!!
そう決断すると、俺は即座にその場を走り去った!
「あ!?てめえ、待ちやがれ!!」
「悪いな!!俺は先に行かせてもらうぜ!?メリィ!!他のみんな!後から追いかけてきてくれよ!?お先!」
来たぜーーーー!!お前にプライドが無いのかって諸君はいいたいだろうから言わせてもらおう!無いさ!!
痛いなんて勘弁願いたいぜ!俺は結果的に人間だからな!?
痛いものは痛いし、怖いものは怖いんだ…
「待って!そこから先は絶対にいっちゃ駄目だ!聞いてる?」
「そう言って俺の気を紛らわそうとしたって無駄だぜ!」
「本当にいっちゃ駄目なんだって!ちょっと!!」
「そこから先は行くな!!絶対に行くな!」
山賊たちが必死になって俺を止める…?なにかここに秘密でもあるのか?
いや、とにかく今はこいつらを撒かないとな…
今の俺…なんでこんなにスタミナが続くんだ?普段ならこんな少しの距離でも息が上がるというのに…これが、山パワーか!?
普段以上のスタミナを発揮した俺は、山頂付近でついに山賊たちを撒くことに成功した。はじめからこうしておけばよかったんじゃないか…どうして気付かなかったんだ?
山頂付近でメリィたちを待ち始めて、1時間ほど…いまだに一人で干し肉食べてます…
「まったく…来るの遅くないか?もう結構待ったぞ…熱いし…」
本当に、このむさくるしい暑さはどうにかならないのか!?
どこか、この暑さをしのげるところは…無いのか?
お!?あんなところに洞窟…か?ラッキー!!
洞窟の中に大喜びで入る俺…やっぱり、自然っていいよな!?
涼しい…涼しいぜここ!!やっぱり最高だぜ自然!
「それにしても…この洞窟広いなぁ…あまり入り口から離れると怖いからさ…」
声が響く…だと?やばい、楽しすぎるぜ洞窟!
「やっほーーーー!!」
洞窟から俺の声が反射して聞こえてくるのがこんなに楽しいことだったとは…
「オォォォォォォォ…」
ん?風の音か?この洞窟…もしかして風が通る道があるのか?
気になる…気になるぜ…
「オオォォォォォォ…!!」
「おぉ!?今回はまたひときわ激しい風だな…ははっ、ここ楽しいや!!」
俺のテンションはどんどん上がっていっているぜ!!
そう思っていたとき、いきなり地面が物凄い地響きを立てて揺れ始めた!
やばいぞ…!?じ、地震か!?
「や、や、やばいぜ…こんな洞窟の中にいたら落石でもくらったらぺしゃんこじゃないか!は、早く出ないと…」
這いずってでも洞窟を抜けて行こうとする俺の足を何かが固定した。
こ、これは…まさか、もう落石が足に落ちてきたのか!?俺、絶体絶命!?
「オトコ…ゲットぉ…」
え…!?さっきのは風の音なんかじゃなくて明らかに女性の…声…だよな?
俺は意を決して恐る恐る後ろを振り向いてみた。
……えぇ!?ウシオニだと!?しかも…野生…!?
ははっ…嘘だろ?野生のウシオニはジパングの遠い山にしか生息していないって口コミで聞いたぞ…?
「アハハハハハハッ!ハハハハハハッ!」
…駄目だぁ!やっぱり本物じゃないか!あの口コミ嘘だったのかよ!
俺は容赦なく足をつかまれ、洞窟の奥に連れて行かれた…と思ったか!?
「嫌だぁ!絶対に行かないぞ俺は!」
必殺…暴れる!!これが俺の出来る唯一の手段だ!
…必死に暴れていた俺だけど…もう無理かもしれない…
「いや!神は言っている!ここで引きずられて行く定めでは無いと!」
「やっぱり…遅かったか!?」
あ、あれは山賊たち!?つ、詰んだ…
「デメトリオ!まだ無事!?」
め、メリィ!?どうして山賊と一緒にいるんだ!?まあいい!
た、助けて下さい!早く!
あ…しまったぁ!!あまりに助けが来たときの喜びで両手を離してしまっただと!?お、俺の馬鹿ーーーー!!
そして、物凄い力で後ろに引っ張られるのを感じると共に、遠くでメンバーが叫んでいるのが聞こえる…
「デメトリオーー!!絶対助けに行くからまってるのよーーーー?」
……某ゲームではお姫様の役をしているのか俺は!?
「うーーーーそーーーーだぁーーーーーー!!」
俺の叫びは洞窟に反射しすぐに消えていった…
確かに前回の話で巻き込まれないほうがいいなぁとは言ったけど、まさか巻き込まれるとは…
「じゃあ、トランプからやりましょうか…どの対戦にする?」
「あの…俺は抜けたいんですが…」
「大富豪シエスタとかどうです?究極の選択が熱いですよ〜?」
……む、無視された…それにしても、チェルシーがカードゲームに出るだと!?今まで空気キャラだと思っていたのに…
「シエスタは運要素が強すぎるわ…ロストジャックにしましょう?それでいいわね?」
「いいよ〜…私が絶対に勝つ!」
…もういいや、今回もフラグなんだろ?あきらめるよ…
さぁ、始まりましたロストジャック!!
ルールを説明しておこう、ロストジャックとはトランプのJをロストさせるのが目的の名前のとおりのゲームだ!
だが、普通に山札からJを当てるだけなら簡単すぎる…ということで、このゲームには忘れてはいけないルールがある。
まず、絵柄のQを引いた場合、持っているカードをJも含めすべて山札に戻す…
Kを引いたら全員の手札からJを収集できる。
そして、ジョーカー…このカードを引いた場合、全員の手札がランダムシャッフルされ入れ替わる仕組みになっている。
勝利条件は1から10の数字のカードを集め、Jを4枚ロストゾーンに送ることだ。
Jは4枚集めることで初めてロストゾーンに送ることが出来るぞ!
……なにゲームの説明をしているんだろうか?
まぁいいか、で…俺の順番はいつだ?
「じゃあ、参加メンバーは私とチェルシーとジュンコとデメトリオ…あなたたちのチームはあなただけでいいの?」
「ふっふっふ…余裕よ…私達ショタコン山賊団を甘く見ないでよね!」
……ネーミングがちょっとなぁ〜、さてやるか…
早くこの山も越えて行きたいもんだなぁ…
今、俺の手札には2が2枚…そしてなんとJが1枚手札にある状況だ。
始まりとしては良すぎる始まり方だぜ…
「私の番ね…」
はじめは俺達のリーダー、メリィからだ…
まぁ、俺達のうちの一人が勝てばいいから俺が勝つ必要は無いんだけど、やるからには勝ちたいぜ…俺、今までこういったゲームに勝ったこと無いからな…
「ドロー…私は6よ?」
「私のターン…10ですね〜」
「私のターンは…5です〜」
……そういえば忘れていた、このゲームってすごく地味だったんだ…
だが!俺は地味な勝負だからといって手は抜かないぜ!!
「…ドロー!!な…んだと…」
「どうしたのよ?小物…早くこの場にさらしなさい!」
……嘘だろ!?1ターン目でこんなカード…
俺は泣きそうな気分でドローしたカードを場に出した。
「…あっはっは!1ターン目でQ…あっひゃっひゃ!」
「デメトリオ…ふふっ、無様ねぇ…ふふふ…」
「まぁ、こんなときもあるさ〜!あっはっは!」
「お前達はどっちの見方だよ!!早く次引けよ!」
……くそ!絶対に全員見返してやるからな!
そして、このトランプゲームを始めて30分…そろそろ手札が充実してきた。
今の状況はメリィがJを3枚集めているという勝利確定かといわれた状況でも俺のターン…ここで、俺は勝負の流れを変えてやるぜ!!
「来い!俺の時代!!」
さぁ…何が引けたんだ!?気になる…気になるぜ…
俺は自分の引いたカードをちらりと見てみる…
来たーーーー!!このカード…まだまだ戦いはわからないぜ!?
「くらえ!!ジョーカー!!」
さぁ、俺の出したジョーカーでこの戦いを混沌の渦に巻き込んでやるぜ!!
「な!?今来るのそれ!?」
「くっ…デメトリオ…余計なことをしてくれちゃって…」
「ふっ…どうやら俺の一手に混乱してるようだなーー?」
やばい!!すごく気持ちいいぜーーーー!!
これが…勝利の味か?
「じゃあ、私が山札をシャッフルするよ?」
しばらく勝利の味を味わっていた俺に、チェルシーが話しかけてくる。
すごいな〜…あんなに早くシャッフルできるものなんだ…
チェルシーの手際に少々驚きながらも勝負はまた1から仕切りなおしだ!
この戦い…俺が始めてカードゲームで勝利した戦いとさせてもらおう!
「そろそろ…本気で行くよ?」
このゲームでは本気も何も運しかないだろ…チェルシー、俺が勝つのをそこで黙って見ているがいい!!
そして、俺がハイテンションで勝負を1から仕切りなおしたこの試合…
俺はテンションが非常にダウンしている状況だった…なぜかって?
普通、10ターンも続けてQ出すかぁ!?俺…
「だが…俺はこのターン、流れを変えてみせる…」
「雑魚、ごみ、邪魔者…早くしなさい…」
め、メリィ…本当に俺達は仲間なのか!?なんか、少し風当たりが酷い気がするんだが…
「ドロー!!あぁ…ま、またかよ…Q…」
「じゃあ、次あたしね?ドロー!ふふっ、私たち山賊団の理想郷は近いようね…、この試合に勝って軍資金に近づくわよーー?」
……もう、俺のQに対してのコメントがきれいになくなったな。
もう、俺トランプ一生したくないぜ…
「ちっ…このトランプ引き裂いてやろうか…おっと!?私の番ね?ドロー!」
さっき、素のメリィが出てこなかったか!?それとも…裏の顔か!?
「……9だ…まぁ、いいとするかな…次はあなたよチェルシー?」
「リーダー…この戦い、私の勝ちのようですね?」
な!?ドローもしていないのに次のカードがわかるというのか!?
まさかの伏兵!?いや、ただの勘違いかもしれないし…
「ドロー!ほら…K!!」
「「「な!?なんだってぇ!?」」」
あっという間にJがすべてチェルシーの手に渡っていく…
だけど、1から10までの数字をそろえなければ勝ちはないはず…
ま、まさか!?
俺は一瞬で直感し、チェルシーのほうを向いた。
「ゲーム…セットですね?」
チェルシーがそう言って、持っている手札をすべて公開してきた!
あ、あの手札…ありえない、ありえないぜ!?
なんと、チェルシーの手札はカードが全種類階段状にそろっており、絵柄カード以外はすべてそろっていた!しかも、ダブりカードは無し!あ、ありえない…
「そんな手札…普通にプレイしていたらありえない形じゃないのか!?」
「そうだねデメトリオ…私が普通にプレイしていたらね?」
まさか…普通にプレイしていなかっただと…
「しょうがないなぁ…特別に教えてあげるよ。私が高速シャッフルをしたときあったでしょ?あのときに1から10の数字のカードを袖の中にあらかじめ仕込んでおいたの。そして、あなたの順番にかならずQが来るように仕込んだだけの作られたバトルにする…10ターン目にあなたがQを引いて落ち込んでいるときの私のシャッフルのときに私の番にKが来るようにしておけば、80%の確立で私は勝てるからさ?」
な!?そ、それってイカサマじゃ…
俺がそう思ったとき、山賊側のナスカと呼ばれていた少女が激怒した。
「それってイカサマじゃないの!こんなことってないよ!私のショタお兄ちゃん帝国結成の野望が…」
「あれ〜?このトランプ勝負…イカサマ無しって誰がいったっけ〜?常に物事はよく聞いておかないと?」
…俺にはチェルシーはぜんぜんそういった話を聞いていないように見えたのに、以外に抜け目が無いなぁ…
いや、まぁ負けたね…負けたけど、俺はそんなに悔しくないね…
だって、俺はようやくトランプから解放されたからさぁ!!
そして、UNOの勝負は山賊側の勝利で終わり、戦いは今のところドロー…
勝負は人生ゲームで決まることになった…
「デメトリオ…なに他人事みたいな顔してるの?あなたも行きなさいよ?」
「えぇ!?俺、トランプやったぜ!?も、もういいだろ!?俺、少々精神的に…」
「行くわよね?当然…」
「…はい」
さっき、一瞬だけメリィが裏の顔を出しかけた気がしたぜ…
まさか、トランプの件いまだに根に持っているのか!?
それで俺に八つ当たりしてこなくても…いいんじゃないか!?
そう思いながらも、結局逆らえない俺は人生ゲームの4人組のメンバーの中に組み込まれていた。
ボードゲーム…ボードゲームかぁ…弱いんだよ俺…これも。
「アイネ…お手柔らかに頼むぜ?」
「姉さまも、昔のように直接攻撃してくることが無いようお願いしますよ?」
「出来るだけなぁ?ま、気が昂ぶらない事を祈っておくんだなぁ?」
……暴力沙汰に巻き込まれないようにジャンヌの近くに待機しておこう…
俺、ジャンヌ、サタナ、アイネの順番で人生ゲームが始まった!
さて…早速俺の番だぜ…
「さぁ、真っ先にあの数字が出てくることを祈ろうか…」
俺は心で2が出るように祈りながら一発目のルーレットを回した。
だって、2を出したら保険に入れるんだぜ!?保険って便利だぜ?今まで人生ゲームで何回事故したことか…
そして、くるくる回っていたルーレットは無常にも5を指した。
2はこなかったんだよ!なんで5なんだよ!?
「5だと…?確か5は…」
カードマスだったはずだぜ…?しかも、ブラックカードマスのはずだ…
ブラックカードマス…引くカードが全て悪い効果のカードという、出始めには絶対に止まりたくないマスだ。
「くくっ、引けよカード」
サタナが俺にブラックカードを投げつけて言い放ち、俺はそれを顔面で受け止める。
俺はカードが出来るだけ酷いあたりで無いように必死に願った。
「……こ、このカードは!?PAD!?まさかの!?」
まさか、一回目でPADを引き当てるとは…あ、ありえないぜ…
PAD…パッド…正式名称パーフェクトアーマードディフェンサー…
女性にはありがたく、男性には少し期待を裏切った気持ちを与える魔性のアイテム…バスト3UPも夢じゃないアイテムのカード…
このカードは、プレイヤーが女性の場合は、男性のプレイヤーに1000リーフもらい、このゲームの中でのみ胸が大きくなった設定で進めることが出来、男性だった場合はゲーム内の女性全員に1000リーフ払い2ターンスキップするという男殺しのカードだ…
「PAD!?デメトリオ…貴殿、運が無いな…」
「早く全員にリーフ払うんだな?おっと、それなら早速1000リーフ借金か…ははっ…」
「う、嘘だーーーー!?1ターン目で借金!?」
早速1ターン目で借金を抱えた俺だったが、何も俺だけがこんな目にあうわけじゃないはずだ!
「私のターン…4のようね?」
4…何も起こらない白紙マス…いいなぁ白紙マス…
え?白紙マスがどれほどいいマスかわからないようだな…
白紙マスは何もイベントが起こらない…つまり、一番初めに止まるときにマイナスが一切起こらない安全圏というわけだ。
俺も2番目にここに止まりたかったぜ…
「俺のターンか?俺は6だ」
6…6か…6?6って確か、自分が言った事を誰かに実行できる命令マスじゃないか!?
命令通りに実行しないと一気にゴールにいけるというチートマスじゃないか!
まぁ、プレイヤーの半数以上の反対がある命令は実行されないルールだがね?
「へぇ…じゃあ俺はアイネに対して、俺に従い俺と共に山賊をするという誓いをここでしてもらおうかなぁ?なぁ…アイネ?」
……そんな大事な誓いをゲームの途中でするというのはどうかと思うぜ俺は…
「姉さま…申し訳ありませんが、それは遠慮させていただきます…山賊をやっていてマッチョのイケメンにはそうそう出会えなさそうなので…」
「本人の意見を私は尊重しよう?」
二人の意見は反対意見…かぁ…これは、俺で決まるパターン?
まぁ、俺の答えはもう決まっているんだけどな?
「俺もその件については認められないなぁ?その件は両者の同意があった上で決まることだからね?」
「ちっ…そうかよ…じゃあ、そこの最後に俺の邪魔をしたひょろひょろピーマン野郎、お前に命令させてもらうぜ?」
「えぇーー!?」
な、流れ弾が飛んできやがっただと!?なんでこんな損な役回りばかり俺が受けるんだよぉ…
「俺はお前…デメトリオに命令するぜ…3回殴らせろ!!」
「はぁーーー!?な、なんで俺が!?嫌だよ俺は!痛い目に会うのなんて絶対に嫌だ!」
当然だろう!?だって、要望が通じなかったからって俺に飛び火するなんて普通考え付くか?
頼むぜ他のみんな…反対意見を出してくれ!
「デメトリオならいいんじゃない?いつもみんなの足を引っ張ってばかりだから、どんな目にあってもさ」
ジャンヌ…ひ、酷すぎるぜそれは!?
俺だって好きで足を引っ張っているわけじゃないんだぞ!?
「私も、デメトリオ…貴殿には少々不満が残るから、ここで姉さまに鍛えられるのもいいだろう…そして、理想のイケメンになってもらおうか?」
……そもそも、マッチョ=イケメンというわけではないし!さらにぃ!不満ってなんだよ不満って!!俺だって精一杯頑張ってるんだぞ!?
「待ってくれよ!!毎回毎回俺ばっかりこんな目にあわせてよぉ!!たまには俺の待遇を良くしてくれよ!泣くぞ俺!?」
「別に…デメトリオだったら何されてもいいかな?どう思うアイネ…」
「まぁ、デメトリオだったらOKかと…」
「そうか…デメトリオだったら何してもいいのか…いいことを知ったぜ」
君達はデメトリオって存在を誤解しているぞ!?
来るぞ…来るぞ…来るぞ…いや、やっぱり来ないでぇ!!
だ、駄目だ…一体どれほどのパンチが俺に飛んでくるのか…
「あ、あまり痛くしないでくれよ?お願いだからさ…な?」
「……お前、男だろ?男なら少々の痛みは我慢しねえとなぁ?」
「い、いや、決して男だから痛みに強いとかそういったことは無いから!そこのところは間違えないで…ぐはぁっ!?」
俺の顔に容赦なく鎧で防御されている状態の拳が飛んできて俺を吹き飛ばした!
物凄い勢いで後ろに飛ばされた俺は地面に背中から叩きつけられた…
本当に洒落にならないほどのダメージだぞ…普通、鎧はずして殴るだろ!?
……もしかしたら、背骨に大ダメージ食らったかも…
さっきから背骨がじわじわ痛くなってきた…
しかも、まだ2発のパンチが残っている…これは夢だ!夢なんだ!
「ははっ、貧弱だなお前…もう少し筋肉つけろよ?あと2発だな?」
「ちょ…やめてぇ!!ストップだってマジで!し、死ぬって!」
俺、必死だな…まぁ、あんなパンチ食らったら必死にもなるって!
「でも、これはルールだしなぁ?おとなしく受けとかないと俺がゲームに勝つぜ?あきらめな?」
……待てよ?そうだよ!ゲームなんか放棄して隙を突いて先を行けばいいじゃないか!
俺…逃走開始っと!!
そう決断すると、俺は即座にその場を走り去った!
「あ!?てめえ、待ちやがれ!!」
「悪いな!!俺は先に行かせてもらうぜ!?メリィ!!他のみんな!後から追いかけてきてくれよ!?お先!」
来たぜーーーー!!お前にプライドが無いのかって諸君はいいたいだろうから言わせてもらおう!無いさ!!
痛いなんて勘弁願いたいぜ!俺は結果的に人間だからな!?
痛いものは痛いし、怖いものは怖いんだ…
「待って!そこから先は絶対にいっちゃ駄目だ!聞いてる?」
「そう言って俺の気を紛らわそうとしたって無駄だぜ!」
「本当にいっちゃ駄目なんだって!ちょっと!!」
「そこから先は行くな!!絶対に行くな!」
山賊たちが必死になって俺を止める…?なにかここに秘密でもあるのか?
いや、とにかく今はこいつらを撒かないとな…
今の俺…なんでこんなにスタミナが続くんだ?普段ならこんな少しの距離でも息が上がるというのに…これが、山パワーか!?
普段以上のスタミナを発揮した俺は、山頂付近でついに山賊たちを撒くことに成功した。はじめからこうしておけばよかったんじゃないか…どうして気付かなかったんだ?
山頂付近でメリィたちを待ち始めて、1時間ほど…いまだに一人で干し肉食べてます…
「まったく…来るの遅くないか?もう結構待ったぞ…熱いし…」
本当に、このむさくるしい暑さはどうにかならないのか!?
どこか、この暑さをしのげるところは…無いのか?
お!?あんなところに洞窟…か?ラッキー!!
洞窟の中に大喜びで入る俺…やっぱり、自然っていいよな!?
涼しい…涼しいぜここ!!やっぱり最高だぜ自然!
「それにしても…この洞窟広いなぁ…あまり入り口から離れると怖いからさ…」
声が響く…だと?やばい、楽しすぎるぜ洞窟!
「やっほーーーー!!」
洞窟から俺の声が反射して聞こえてくるのがこんなに楽しいことだったとは…
「オォォォォォォォ…」
ん?風の音か?この洞窟…もしかして風が通る道があるのか?
気になる…気になるぜ…
「オオォォォォォォ…!!」
「おぉ!?今回はまたひときわ激しい風だな…ははっ、ここ楽しいや!!」
俺のテンションはどんどん上がっていっているぜ!!
そう思っていたとき、いきなり地面が物凄い地響きを立てて揺れ始めた!
やばいぞ…!?じ、地震か!?
「や、や、やばいぜ…こんな洞窟の中にいたら落石でもくらったらぺしゃんこじゃないか!は、早く出ないと…」
這いずってでも洞窟を抜けて行こうとする俺の足を何かが固定した。
こ、これは…まさか、もう落石が足に落ちてきたのか!?俺、絶体絶命!?
「オトコ…ゲットぉ…」
え…!?さっきのは風の音なんかじゃなくて明らかに女性の…声…だよな?
俺は意を決して恐る恐る後ろを振り向いてみた。
……えぇ!?ウシオニだと!?しかも…野生…!?
ははっ…嘘だろ?野生のウシオニはジパングの遠い山にしか生息していないって口コミで聞いたぞ…?
「アハハハハハハッ!ハハハハハハッ!」
…駄目だぁ!やっぱり本物じゃないか!あの口コミ嘘だったのかよ!
俺は容赦なく足をつかまれ、洞窟の奥に連れて行かれた…と思ったか!?
「嫌だぁ!絶対に行かないぞ俺は!」
必殺…暴れる!!これが俺の出来る唯一の手段だ!
…必死に暴れていた俺だけど…もう無理かもしれない…
「いや!神は言っている!ここで引きずられて行く定めでは無いと!」
「やっぱり…遅かったか!?」
あ、あれは山賊たち!?つ、詰んだ…
「デメトリオ!まだ無事!?」
め、メリィ!?どうして山賊と一緒にいるんだ!?まあいい!
た、助けて下さい!早く!
あ…しまったぁ!!あまりに助けが来たときの喜びで両手を離してしまっただと!?お、俺の馬鹿ーーーー!!
そして、物凄い力で後ろに引っ張られるのを感じると共に、遠くでメンバーが叫んでいるのが聞こえる…
「デメトリオーー!!絶対助けに行くからまってるのよーーーー?」
……某ゲームではお姫様の役をしているのか俺は!?
「うーーーーそーーーーだぁーーーーーー!!」
俺の叫びは洞窟に反射しすぐに消えていった…
12/02/01 01:01更新 / デメトリオン
戻る
次へ