08 D・M・この墓場は怖い場所なのか?
そして、俺たちがフェルス興国を離れてから…
どうやらメリィさんは結構近道をしていくつもりのらしい。
なのだが…旅をして一日目に早速…まさかここを通るなんて…
「ほ…本当にここを通るんですか!?」
「当然よ?だって近いじゃないの」
……マジでーー!?
「デメトリオよ…そんなに嫌がっておるが…ここはどこなのじゃ?」
「あぁ…ゾーネか…ここは危険度LV☆×5の墓場だよ!なんで初日でこんなところに…危険度1の街道を通ればいいじゃないか!」
「そうなのか…でも、わしはここでもいいぞ?この土地の土は結構いい素材なのじゃ!」
頼むから、通りたくないと言って欲しかった。
この墓場は、【世界ガイドブックなう】という俺の愛読本の情報だと、危険度は5で、地名は旧ステイン国処刑場跡大墓地…
この地域が危ないと言われているのは、この土地を通って無事だった男は一人もおらず、どこが危険なのかの情報は0…
唯一の救いは、この土地は朝の間は特に何も起こらないらしい…
それまでに、抜けるのに約3日はかかるここを抜けれれば…って、無理だよなぁ…やっぱり
「……行くしかないんですよね?やっぱり」
「当然だ、行こう」
うはぁ…行く道すべてが墓石だらけだよ…
さらに、あちこちに放置された骨…
入ってすぐに、俺は本気で帰ろうかと思った。
「ねぇ…メリィさん、帰りませんか?」
「何を言ってんだデメトリオ!旅1日目じゃないか!」
「そうは言ってもスカニ…こんな怖い場所…」
「あれ?もしかしてデメトリオ…怖い?」
怖いさ!怖いけど…
これで怖いって言ってしまったらこれから先の俺の面子が…
「こ、怖い!?お、俺が?はぁ?一体、何をいっていらしまするのか…」
「お前、なんだか話し方が変だぞ?大丈夫ですか?あ・た・ま」
くそーー!!物凄くむかつくんだが…
「………気を落とさないで、お兄さん」
「せ…セム様!疲れてはおりませんか?なにか飲み物でも…」
俺は物凄く慎重にセムちゃんの体調を気遣う。
やはり、家柄が高貴なお方の身に何かがあったら…
俺がそう思いながらセムちゃんのために何か飲み物を持ってくる。
野菜ジュースだが、口に合うのだろうか?
そう思いながら戻ってくると…
「いいなぁ〜セムは…もうデメトリオを奴隷にするなんて〜」
「……キュラスちゃん、私はそんなつもりじゃ…」
「いやいやぁ、アレはかなりの高等テクニックだよ〜私もやりたいなぁ〜」
「キュラスちゃんも、星の声を聞けばわかるよ」
「そっかなぁ〜…私は忠実な奴隷としてデメトリオを落とせれば、それでいいんだけど…」
「……それは駄目!!」
「そういっても、私だって一人立ちしたいんだもん!いいでしょ!それとも…どっちがデメトリオを奴隷にするのがふさわしいかで勝負を…」
俺は、このタイミングでキュラスを殴りつけた。
「うみゅっ!?いった〜い!!デメトリオ!何するの!?」
「キュラス!こちらにいらっしゃるお方をどなたと心得る!?恐れ多くもグロリア家の四女、グロリア・セム様でいらっしゃるのだぞ!?そのような野蛮なこと…絶対に許してはおけない!!」
「そんなこと言っても無駄よ!セムはセムだもん!」
「……キュラスちゃん、星の声を聞くための方法を教えてあげるから、列の後ろに行こう?」
「え!?本当?」
「…うん、じゃあ、お兄さん…また後で…」
そう言って、セムちゃんとキュラスは去っていった。
俺は、周りをあまり見ないようにしながら、他のメンバーのほうを見た。
といっても、何人かのメンバーは朝に弱いらしく、ほとんどがゾーネが作っていた小規模移動式テントの中で寝ているのだがね…
と言うか、本音を言うと俺も寝ていたかったよ…
「ジャンヌさん、その剣って、重くないですか?」
俺は、暇つぶし目的でジャンヌに話しかける。
「別に…私は旅に出るのに装備を持っていない貴様が心配だ」
……そこは言わないで欲しかったところです。
というか、本当に丸腰なんだが…こんな装備で大丈夫か?
「・・・」
「・・・」
会話が途絶えてしまった。
俺は気まずくなったのでそっとその場を後にした。
そして、今俺は誰と話しているかと言うと…
「あの…ちょっと聞いてもらってもいいですか?ジュンコさん」
「え?なに?脂肪でも付けたいの?」
「そうじゃなくて…ちょっと相談があったらいつでも聞くって言ったじゃないですか」
「ええ…言ったけど、どうしたの?」
「本音を言えば、俺この道をもう進みたくないんですよ〜…怖くて怖くて…」
「大丈夫よ、怖いと思うのは心がそう思い込んでいるからだし…無心でいればどうってこと無いわよ?それより…チョコ食べる?」
「あ…いただきます…そうですか…心の問題なんですか…」
俺には少し難しいかも知れないな…
やっぱり、無心なんてなれないし、怖いものは怖い。
そして、俺がもらったチョコを食べようとしたときだった。
後ろのほうから軽快に地面をかける音が…
「デメトリオだけずるいな〜私もチョコ欲しい!というか、ケーキを作れるようになるんじゃなかったの!?さぁ!レベッカさんのところに行こーーー!」
「ちょっ…それはお前が勝手に思い込んでいる幻想で…うわあぁぁーーー!」
そして、俺は列の後方に引きずられていった。
「あれ?デメトリオ?まだお昼を作っている途中なんだけど…」
「さすがに俺もそこまで空腹じゃないよ、一つ気になることがあるんだが…いいかレベッカ?」
「いいけど…早くしてよ?料理が崩れちゃうから」
……そうか、なら手っ取り早く言わせてもらうとするかな。
「歩きながら料理をなぜ作れるんだ!?しかも!胸の上に食材を並べた状態で歩くんじゃない!」
「大丈夫よ!だってこの道のプロだもん」
……そうじゃないんだ!
俺が言いたいのは、何もそこだけじゃない!
「じゃあ、後一つ…胸の谷間の間にきゅうりときのこを挟んでおくのは目に毒だ!お願いだからやめてくれ!」
「えぇ〜…これ、便利なのに…」
「それでもだ!」
俺は、そこの部分だけは絶対に譲らなかった。
自分で言うのもなんだが、良く譲らなかったと思ってる。
そう言えば、マヘリアというゴーレムの女の子がいたと思うが…宿屋での自己紹介のときは寝てたし…これからのたびのためにも仲魔のことは知っておきたい。
しばらくあたりを見回すと…いたいた。
俺はマヘリアに近づくと、驚くべき光景を目にした。
ヘレンがマヘリアの背中にしがみつき、そのまま石になっているからだ。
「ま、マヘリアさん…重くないですか?」
「大丈夫です〜姉さまはそんなに重くないんですよ〜?」
「へ…へぇ〜…マヘリアさんは、夜に弱いんですか?自己紹介のときはずっと寝てましたけど…」
「私は朝専用ですからね〜あ、デメトリオさんでしたっけ?姉さまに触ったら、犯しますよ?」
俺は、そういわれて慌てて、伸ばしていた手を引っ込めた。
いやぁ…危なかった…
俺が、次の話題はどうしようかな〜と思っているとき、前のほうからゾーネが俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
俺はゾーネの元に行ったが…もしも研究どうのこうのの話だったら…
「ついにデメトリオの武器が出来たのじゃ!丸腰のままじゃあ、わしの壁にもならんしのぅ…」
……なんだかなー、武器が出来たのはうれしいが、素直に喜べないんだよな…
「ありがとう、頼んでないけど…助かったよ。で、武器は?」
「これじゃ!」
そう言って、ゾーネは俺におもちゃの剣を渡してきた。
切っ先がとがっている様子もなし…バスターソードみたいに重量で叩くほど重くもなし…まさか、本当におもちゃの剣じゃないだろうな?
「……これが俺の武器?攻撃のダメージを与えられるのか?これ…」
「この剣は相手に一定以上攻撃を加えると、相手を子供にすることができるのじゃ!」
「だから?」
「いや…小さい女の子が好みのおぬしなら泣いて喜ぶであろうと…」
「俺はロリコンじゃねぇ!!」
そう言いながら、本気で地面に叩きつけるが…
ぜんぜん痛んだ様子は見えない。
「そんな事をしても無駄じゃ、この剣は、元はサイクロプスの友から譲り受けたものじゃからのぅ…そう簡単には折れぬぞ?」
「……はぁ、まぁ、相手が小さい子供の姿になったら抵抗しなくなるだろうし、よしとするか…」
「ちなみに、Zボタンを押しながら相手を切ると元の姿に戻せるぞ?なんと天才的な便利機能…」
「……Zボタンってどこだよ?」
「このもち手のここじゃ!この小さい凹みがZボタンじゃ!」
……気づかないかも知れないな、この大きさだと…
「まぁ、助かったよ、ありがとう」
こうした出来事もあり、墓場をひたすら歩き続けて8時間…
ついに、夜になってしまった。
「め、メリィ…や、宿屋の中で寝ましょうよ!暗い中歩くのって、危険ですよ!」
「大丈夫よ、夜の7時まではこのまま歩くわ」
「いやだぁーーー!!」
俺が嫌がっていると、テントの中から寝ていたメンバーが出てくる。
うらやましぃ…俺も寝たかったのに…
「ひぃっ!?」
時々、雑草が風で揺れる音で驚く俺…
情けないっていうなよ!俺は慎重なだけなんだからな!
「あぁ〜…」
「あれ?さっき誰か何か言いましたか?」
「いうわけ無いじゃない…だいじょうぶ?」
…ケイトがそういい、俺は勘違いかと思いながら前を向き、歩き始める。
確かに、さっき誰かのうめき声が聞こえたと思ったんだが…
そして、ついに夜の7時…
ついにこの時間が来たー!!
「こ、これでこの空間からもおさらばだぜ…ゾーネ!早く俺の宿を展開してくれ!」
「待つのじゃ…そんなに急いでもいいことはないぞ?」
「いいから、早く!」
「仕方がないのう…少し待っておれ…」
そういうと、ゾーネはルービックキューブ状になった俺の宿をかちゃかちゃし始めた。
「ここで…こうじゃ!」
そして、外部パーツを付け、上部から鍵を開けると…
一気に俺の宿が元の姿に…でも、明らかに部屋数は増えているだろうな…
外見的にも、部屋が増えているのがわかった。
「よし!早く宿に入って俺は寝る!」
俺は、ラグーンメンバーの誰よりも早く宿屋に走っていった。
「よしっ!俺は自分の部屋のベッドで…」
そう言いながら自分の部屋に行くと…
俺の部屋の壁は、きれいに粉々の状態になっていた。
一体なぜ!?なぜだ?
「嘘だろ!?まさかのこの現状…これは夢だーー!」
そう言いながら、一階に移動したゾーネの研究室に走りこむ。
「ゾーネ!俺の部屋の壁がスプラッタ状態になっているじゃないか!見事なまでに粉々になってたぞ!?これはどういうことだ!」
「あぁ…おぬしの部屋の壁を切り抜いて他の部屋の柱に変えてしまったからのぅ…少し壁に破片が残っているのはそのときの名残じゃ」
……また勝手に変なことを!俺の宿…というか、俺をここまで追い詰める意味があるか!?
「直してくれよ!ゾーネは天才だから出来るだろ!?」
「嫌じゃ、わしは今からゆっくりして行くつもりなのでな…修理は自分でやるのじゃ!」
そう言って、お茶をすすりながら俺に大きな木の板と釘…あと小型ハンマーを渡してくる。
そうか…コレで直せと…ゾーネ、後で覚えてろよ…
そして、今俺は他のメンバーが明るい部屋の中でくつろいでいる中、一人で部屋の壁の修理をしていた。
「くそ!何で俺が毎回このようなことを…ゾーネめぇ…俺に研究成果を壊されたことがそんなに嫌だったのかよ!」
俺は出来るだけ周りを見ないようにして、木の板を部屋の壁に打ち付けていく。
「それにしても…この土地、やっぱり怖いよなぁ…旧処刑場跡地だろ?その後に墓地になったなんて…本当にお化けとか出そうだよなぁ…」
そうぼやきながらひたすら釘を打ち続ける作業…もう少しで作業が終わるのを考えると…今日の俺は本当に仕事がはやいよなぁ…
不意に、背中を叩かれた気がして後ろを振り向いてみるが、誰もいなかった。
まぁいい、この最後の板を打ち終わったら修復完了だ!
早く終わらせて自分のベッドで寝るぞー!
そう決意してすばやく板を打ち終わったときだ。
今度ははっきりとわかった。誰か俺の肩を叩いたのだ!
「だ、誰だよ…?脅かすのとか無しだろ?いや、本当にさぁ」
そう言いながらランプで暗闇を照らしたときだった!
ズボォッ!と大きな音がして、俺の足が何かにつかまれる!
「うおぉ!?な、何だ!?」
慌てて俺はその手を振り払い、その場から後ろに後ずさる!
「うあぁ〜…逃げられちゃった…」
俺の足をつかんできていたのはゾンビの女性だった!まさか…この墓場、出るの!?
そして、俺は慌てて宿屋の中に駆け込み、救援を呼ぼうと考えたが…
「うぅ?あ…人間…」
「あはぁ?70年ぶりだなぁ〜…」
ま、まずいぞ!?まだまだいた!
気がつくと俺は、異常な数のゾンビたちに囲まれていた。
「ひぃ!ど、どうしよう…何か、何かいい手は無いのか!?」
俺は慌てて何か逃げる手段を考えるが…駄目だ!ぜんぜん思い浮かんでこない!
こうしている間にも、ゆっくりとゾンビたちは俺との距離を狭めている!
そして、俺は腰に持っていた剣に気がついた!
これはゾンビを切ることは出来ないから倒せないが…
一か八かだ!
「てりゃあ!」
俺のすごくスローリーな剣の技は、ゾンビの一人に当たり、少しゾンビがひるんだ!コレなら…いけるか!?
そう思いながら剣を振り回し続けた結果…あることに気がついた!
この戦い方…敵の数を減らせないじゃないか!
やはり…必要なのか!?固有技が…
「仕方が無い…形だけでもやってやる!」
俺は、適当にかっこいいポーズを決め、固有技を繰り出してみた!
「くらえ!本当にくらってくれ!行くぞぉ!【嫉妬ストリームアタック】!」
そういうと、俺の頭に今まで耐えてきた嫉妬心を高めるシーンがプレイバックされた!今ならいける!
俺は一回横なぎ払い切りをして、近くにいたゾンビたちに攻撃を仕掛けていった!
すると、ゾンビたちがみるみるうちに幼女体型になっていく!
さぁ…これで道が開け…てはくれなかった。
「まさか…幼女体型になっても困惑せずにこちらに向かってくるだと!?」
逆に、俺が困惑している始末だ。
「うわぁ〜…押し倒しちゃうぞ〜…」
「もう…あきらめちゃいなよ〜」
……まずいぞ、コレは…
俺の頭の中に、ゾンビに押し倒されて輪姦される俺の姿が浮かんできた!
ここは…宿屋からは少し遠ざかるが、後方のゾンビたちに攻撃を与えて少し囲いをなくしたほうがいいな…
どうやら、危機的状況に追い詰められ、頭の回転が普段より速くなったようだ。
俺は、後ろを振り返り、またも固有技を発動させる!
まぁ、固有技っていっても、ただの横切りだし、固有技というのも俺が勝手に思っている妄想だけどね。
「死にたくないよ〜!!【嫉妬ストリームアタック】!」
技を発動しながら、半分なきそうな顔で走りぬける俺…
なんてかっこいいんだ!ゾンビが次々幼女になっていく中で、まるで疾風のように走り抜ける俺…今までで一番かっこいいと思う。
「うぅ〜…まて〜」
「誰が待つかよ!やったぜーー!!」
そう言いながら、大きく回り込みながら俺は宿屋に逃げ込もうとした。
すると、なんとうれしいことに、頑丈な鎧を身にまとった女騎士がそこにいたんだよ!た、助かった〜…
「す、すみませ〜ん!お願いです!助けてくださ…」
そして、その人が振り向くときに、いきなり首が地面に落ちた!
デュ、デュラハンじゃないか!?なんでここに…
……そういえばここ、魔界化してたんだったーーーー!!
俺は、一瞬足を止めてしまったが、すぐに足を宿屋に向けて走り始めた!
デュラハンも俺の後ろを走って追いかけてくる!
じ、冗談じゃないぞ!?
こう思った俺は、宿屋に向かって一気に走り出す!
すると…目の前にはなんと…スケルトンとゴーストが…さらに、後方から迫っているデュラハンと横から攻めてくるゾンビの群れ…ゾンビの中には何人かグールが混じっているこの現実…これ、終わったんじゃ?
というか、この墓場どうなってるんだ!?アンデッド系の魔物がそろって出現するなんて…
そして、そこで俺はあることがガイドブックに書いてあったことを思い出した。
昔、ここは処刑場として、大量の犯罪者を裁いていたが、ほとんどが強盗などの悪事に手を染めた女の子など…さらに、人種差別が当時はかなり深刻な問題になっており、大勢の人がここで散っていったと書いてあった。
只でさえ恨みが土地に宿っているのに、それに魔界化現象が拍車をかけたのだろう…いまじゃここは有名なアンデットワールドといってもあながち間違いじゃない場所になってるじゃないか!
そして、ついに俺の人生が終わるときがやってくる…
ついに、宿屋の本当に少し手前で囲まれてしまった!
ほとんどのモンスターが、俺を好奇の目で見ている…
「久しぶりの男だなぁ…最後に見たのは…70年前か?」
「……そうよ、前に見たのは70年前…旅の商人だったわね?」
グールとスケルトンが何か話し込んでいる。
70年前から、この土地には男が入っていない…?
いや、そんなことより…
「い、嫌だ!まだ死にたくない!」
「死なないよ〜?お兄さんは私が考えているとおりのことになっちゃうだけだから…」
そうゴーストが言うと、一瞬だけ俺の頭の中に直接イメージが送られてきた!
そのイメージの中で、アンデッドモンスターの彼女たちに散々射精され、目から光が消えた俺がそこに横たわっている…さらに、幸せそうな表情なのが、やけに悲しいところだ。
俺は、慌ててそのイメージを振り払った!
「あはぁ〜…はやくやりたいなぁ〜」
「そうだね〜70年ぶりだもんね〜」
ゾンビたちも俺を犯すことを目的にこっちににじり寄ってくる!
俺は声が続く限り、必死で助けを呼ぶことにした!
「ヘルプミーーーーー!!助けてメリィーーーーーーーーーー!いや、この際誰でもいいからーーー!」
すると…ついに俺にも神からのお慈悲が!!
なんと、モンスターラグーンのメンバーが武器を手に助けに来てくれた!
「みんな!殺しては駄目よ!私たちモンスターラグーンの合言葉は不殺生!わかってるわね?まぁ、相手はもう死んでいるけど…」
「おぉーー!!」
め、メリィ…なんと頼もしい…
俺はこのときほどモンスターラグーンのメンバーが救いの使者に見えたことは無かった。
そして、俺たちとラグーンメンバーはアンデッドの彼女たちに気をつけながら、無事に宿屋に逃げることに成功した!
ありがとう神様!俺に死亡フラグをまだ立てないでいてくれて!
「ゾーネ!!お前のおかげで俺がどんな目にあったか…お前がゆっくりしていた結果はこれだぞ!?」
「うるさいのう…折角のお茶がまずくなるではないか!」
「俺とお茶と…どっちが大事なんだよ!こっちは危うく…」
「お茶に決まっておるのじゃ!お前がどうなろうとわしには知ったことではない!」
「ちくしょーー!!」
俺は悔しいと思いながらも、疲れたので自分の部屋に戻っていった。
「ふぅ…ようやく眠ることが出来るな…」
俺は自分の部屋のベッドにもぐりこんだが…誰か俺のベッドにもぐりこんでいるようだ。
「誰だ?頼むから普通に眠らせてほしいよ…」
「ふっふっふ〜、私の完璧な計画は、誰にも真似できないはず…」
「キュラス、何やってるんだ?」
俺のベッドの中にいたキュラスをベッドから下ろし、部屋から追い出そうとした。
「俺は寝たいんだよ…とっとと出て行ってくれ」
「やだ!ここで一気にデメトリオを私の奴隷に…」
「はいはい…そんなことは自分の部屋で考えておくんだな」
「あぁ〜!か、髪をつかんじゃだめぇ〜!」
俺は、キュラスを部屋からつまみ出すとようやく寝ることが出来る状況になったが、眠ろうとすると俺の部屋の壁…修理したばかりの壁から大勢のアンデッドの女性たちの話し声やらが聞こえてくる。
でも、俺は疲れていたようで、気がつくと眠っていた。
どうやらメリィさんは結構近道をしていくつもりのらしい。
なのだが…旅をして一日目に早速…まさかここを通るなんて…
「ほ…本当にここを通るんですか!?」
「当然よ?だって近いじゃないの」
……マジでーー!?
「デメトリオよ…そんなに嫌がっておるが…ここはどこなのじゃ?」
「あぁ…ゾーネか…ここは危険度LV☆×5の墓場だよ!なんで初日でこんなところに…危険度1の街道を通ればいいじゃないか!」
「そうなのか…でも、わしはここでもいいぞ?この土地の土は結構いい素材なのじゃ!」
頼むから、通りたくないと言って欲しかった。
この墓場は、【世界ガイドブックなう】という俺の愛読本の情報だと、危険度は5で、地名は旧ステイン国処刑場跡大墓地…
この地域が危ないと言われているのは、この土地を通って無事だった男は一人もおらず、どこが危険なのかの情報は0…
唯一の救いは、この土地は朝の間は特に何も起こらないらしい…
それまでに、抜けるのに約3日はかかるここを抜けれれば…って、無理だよなぁ…やっぱり
「……行くしかないんですよね?やっぱり」
「当然だ、行こう」
うはぁ…行く道すべてが墓石だらけだよ…
さらに、あちこちに放置された骨…
入ってすぐに、俺は本気で帰ろうかと思った。
「ねぇ…メリィさん、帰りませんか?」
「何を言ってんだデメトリオ!旅1日目じゃないか!」
「そうは言ってもスカニ…こんな怖い場所…」
「あれ?もしかしてデメトリオ…怖い?」
怖いさ!怖いけど…
これで怖いって言ってしまったらこれから先の俺の面子が…
「こ、怖い!?お、俺が?はぁ?一体、何をいっていらしまするのか…」
「お前、なんだか話し方が変だぞ?大丈夫ですか?あ・た・ま」
くそーー!!物凄くむかつくんだが…
「………気を落とさないで、お兄さん」
「せ…セム様!疲れてはおりませんか?なにか飲み物でも…」
俺は物凄く慎重にセムちゃんの体調を気遣う。
やはり、家柄が高貴なお方の身に何かがあったら…
俺がそう思いながらセムちゃんのために何か飲み物を持ってくる。
野菜ジュースだが、口に合うのだろうか?
そう思いながら戻ってくると…
「いいなぁ〜セムは…もうデメトリオを奴隷にするなんて〜」
「……キュラスちゃん、私はそんなつもりじゃ…」
「いやいやぁ、アレはかなりの高等テクニックだよ〜私もやりたいなぁ〜」
「キュラスちゃんも、星の声を聞けばわかるよ」
「そっかなぁ〜…私は忠実な奴隷としてデメトリオを落とせれば、それでいいんだけど…」
「……それは駄目!!」
「そういっても、私だって一人立ちしたいんだもん!いいでしょ!それとも…どっちがデメトリオを奴隷にするのがふさわしいかで勝負を…」
俺は、このタイミングでキュラスを殴りつけた。
「うみゅっ!?いった〜い!!デメトリオ!何するの!?」
「キュラス!こちらにいらっしゃるお方をどなたと心得る!?恐れ多くもグロリア家の四女、グロリア・セム様でいらっしゃるのだぞ!?そのような野蛮なこと…絶対に許してはおけない!!」
「そんなこと言っても無駄よ!セムはセムだもん!」
「……キュラスちゃん、星の声を聞くための方法を教えてあげるから、列の後ろに行こう?」
「え!?本当?」
「…うん、じゃあ、お兄さん…また後で…」
そう言って、セムちゃんとキュラスは去っていった。
俺は、周りをあまり見ないようにしながら、他のメンバーのほうを見た。
といっても、何人かのメンバーは朝に弱いらしく、ほとんどがゾーネが作っていた小規模移動式テントの中で寝ているのだがね…
と言うか、本音を言うと俺も寝ていたかったよ…
「ジャンヌさん、その剣って、重くないですか?」
俺は、暇つぶし目的でジャンヌに話しかける。
「別に…私は旅に出るのに装備を持っていない貴様が心配だ」
……そこは言わないで欲しかったところです。
というか、本当に丸腰なんだが…こんな装備で大丈夫か?
「・・・」
「・・・」
会話が途絶えてしまった。
俺は気まずくなったのでそっとその場を後にした。
そして、今俺は誰と話しているかと言うと…
「あの…ちょっと聞いてもらってもいいですか?ジュンコさん」
「え?なに?脂肪でも付けたいの?」
「そうじゃなくて…ちょっと相談があったらいつでも聞くって言ったじゃないですか」
「ええ…言ったけど、どうしたの?」
「本音を言えば、俺この道をもう進みたくないんですよ〜…怖くて怖くて…」
「大丈夫よ、怖いと思うのは心がそう思い込んでいるからだし…無心でいればどうってこと無いわよ?それより…チョコ食べる?」
「あ…いただきます…そうですか…心の問題なんですか…」
俺には少し難しいかも知れないな…
やっぱり、無心なんてなれないし、怖いものは怖い。
そして、俺がもらったチョコを食べようとしたときだった。
後ろのほうから軽快に地面をかける音が…
「デメトリオだけずるいな〜私もチョコ欲しい!というか、ケーキを作れるようになるんじゃなかったの!?さぁ!レベッカさんのところに行こーーー!」
「ちょっ…それはお前が勝手に思い込んでいる幻想で…うわあぁぁーーー!」
そして、俺は列の後方に引きずられていった。
「あれ?デメトリオ?まだお昼を作っている途中なんだけど…」
「さすがに俺もそこまで空腹じゃないよ、一つ気になることがあるんだが…いいかレベッカ?」
「いいけど…早くしてよ?料理が崩れちゃうから」
……そうか、なら手っ取り早く言わせてもらうとするかな。
「歩きながら料理をなぜ作れるんだ!?しかも!胸の上に食材を並べた状態で歩くんじゃない!」
「大丈夫よ!だってこの道のプロだもん」
……そうじゃないんだ!
俺が言いたいのは、何もそこだけじゃない!
「じゃあ、後一つ…胸の谷間の間にきゅうりときのこを挟んでおくのは目に毒だ!お願いだからやめてくれ!」
「えぇ〜…これ、便利なのに…」
「それでもだ!」
俺は、そこの部分だけは絶対に譲らなかった。
自分で言うのもなんだが、良く譲らなかったと思ってる。
そう言えば、マヘリアというゴーレムの女の子がいたと思うが…宿屋での自己紹介のときは寝てたし…これからのたびのためにも仲魔のことは知っておきたい。
しばらくあたりを見回すと…いたいた。
俺はマヘリアに近づくと、驚くべき光景を目にした。
ヘレンがマヘリアの背中にしがみつき、そのまま石になっているからだ。
「ま、マヘリアさん…重くないですか?」
「大丈夫です〜姉さまはそんなに重くないんですよ〜?」
「へ…へぇ〜…マヘリアさんは、夜に弱いんですか?自己紹介のときはずっと寝てましたけど…」
「私は朝専用ですからね〜あ、デメトリオさんでしたっけ?姉さまに触ったら、犯しますよ?」
俺は、そういわれて慌てて、伸ばしていた手を引っ込めた。
いやぁ…危なかった…
俺が、次の話題はどうしようかな〜と思っているとき、前のほうからゾーネが俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
俺はゾーネの元に行ったが…もしも研究どうのこうのの話だったら…
「ついにデメトリオの武器が出来たのじゃ!丸腰のままじゃあ、わしの壁にもならんしのぅ…」
……なんだかなー、武器が出来たのはうれしいが、素直に喜べないんだよな…
「ありがとう、頼んでないけど…助かったよ。で、武器は?」
「これじゃ!」
そう言って、ゾーネは俺におもちゃの剣を渡してきた。
切っ先がとがっている様子もなし…バスターソードみたいに重量で叩くほど重くもなし…まさか、本当におもちゃの剣じゃないだろうな?
「……これが俺の武器?攻撃のダメージを与えられるのか?これ…」
「この剣は相手に一定以上攻撃を加えると、相手を子供にすることができるのじゃ!」
「だから?」
「いや…小さい女の子が好みのおぬしなら泣いて喜ぶであろうと…」
「俺はロリコンじゃねぇ!!」
そう言いながら、本気で地面に叩きつけるが…
ぜんぜん痛んだ様子は見えない。
「そんな事をしても無駄じゃ、この剣は、元はサイクロプスの友から譲り受けたものじゃからのぅ…そう簡単には折れぬぞ?」
「……はぁ、まぁ、相手が小さい子供の姿になったら抵抗しなくなるだろうし、よしとするか…」
「ちなみに、Zボタンを押しながら相手を切ると元の姿に戻せるぞ?なんと天才的な便利機能…」
「……Zボタンってどこだよ?」
「このもち手のここじゃ!この小さい凹みがZボタンじゃ!」
……気づかないかも知れないな、この大きさだと…
「まぁ、助かったよ、ありがとう」
こうした出来事もあり、墓場をひたすら歩き続けて8時間…
ついに、夜になってしまった。
「め、メリィ…や、宿屋の中で寝ましょうよ!暗い中歩くのって、危険ですよ!」
「大丈夫よ、夜の7時まではこのまま歩くわ」
「いやだぁーーー!!」
俺が嫌がっていると、テントの中から寝ていたメンバーが出てくる。
うらやましぃ…俺も寝たかったのに…
「ひぃっ!?」
時々、雑草が風で揺れる音で驚く俺…
情けないっていうなよ!俺は慎重なだけなんだからな!
「あぁ〜…」
「あれ?さっき誰か何か言いましたか?」
「いうわけ無いじゃない…だいじょうぶ?」
…ケイトがそういい、俺は勘違いかと思いながら前を向き、歩き始める。
確かに、さっき誰かのうめき声が聞こえたと思ったんだが…
そして、ついに夜の7時…
ついにこの時間が来たー!!
「こ、これでこの空間からもおさらばだぜ…ゾーネ!早く俺の宿を展開してくれ!」
「待つのじゃ…そんなに急いでもいいことはないぞ?」
「いいから、早く!」
「仕方がないのう…少し待っておれ…」
そういうと、ゾーネはルービックキューブ状になった俺の宿をかちゃかちゃし始めた。
「ここで…こうじゃ!」
そして、外部パーツを付け、上部から鍵を開けると…
一気に俺の宿が元の姿に…でも、明らかに部屋数は増えているだろうな…
外見的にも、部屋が増えているのがわかった。
「よし!早く宿に入って俺は寝る!」
俺は、ラグーンメンバーの誰よりも早く宿屋に走っていった。
「よしっ!俺は自分の部屋のベッドで…」
そう言いながら自分の部屋に行くと…
俺の部屋の壁は、きれいに粉々の状態になっていた。
一体なぜ!?なぜだ?
「嘘だろ!?まさかのこの現状…これは夢だーー!」
そう言いながら、一階に移動したゾーネの研究室に走りこむ。
「ゾーネ!俺の部屋の壁がスプラッタ状態になっているじゃないか!見事なまでに粉々になってたぞ!?これはどういうことだ!」
「あぁ…おぬしの部屋の壁を切り抜いて他の部屋の柱に変えてしまったからのぅ…少し壁に破片が残っているのはそのときの名残じゃ」
……また勝手に変なことを!俺の宿…というか、俺をここまで追い詰める意味があるか!?
「直してくれよ!ゾーネは天才だから出来るだろ!?」
「嫌じゃ、わしは今からゆっくりして行くつもりなのでな…修理は自分でやるのじゃ!」
そう言って、お茶をすすりながら俺に大きな木の板と釘…あと小型ハンマーを渡してくる。
そうか…コレで直せと…ゾーネ、後で覚えてろよ…
そして、今俺は他のメンバーが明るい部屋の中でくつろいでいる中、一人で部屋の壁の修理をしていた。
「くそ!何で俺が毎回このようなことを…ゾーネめぇ…俺に研究成果を壊されたことがそんなに嫌だったのかよ!」
俺は出来るだけ周りを見ないようにして、木の板を部屋の壁に打ち付けていく。
「それにしても…この土地、やっぱり怖いよなぁ…旧処刑場跡地だろ?その後に墓地になったなんて…本当にお化けとか出そうだよなぁ…」
そうぼやきながらひたすら釘を打ち続ける作業…もう少しで作業が終わるのを考えると…今日の俺は本当に仕事がはやいよなぁ…
不意に、背中を叩かれた気がして後ろを振り向いてみるが、誰もいなかった。
まぁいい、この最後の板を打ち終わったら修復完了だ!
早く終わらせて自分のベッドで寝るぞー!
そう決意してすばやく板を打ち終わったときだ。
今度ははっきりとわかった。誰か俺の肩を叩いたのだ!
「だ、誰だよ…?脅かすのとか無しだろ?いや、本当にさぁ」
そう言いながらランプで暗闇を照らしたときだった!
ズボォッ!と大きな音がして、俺の足が何かにつかまれる!
「うおぉ!?な、何だ!?」
慌てて俺はその手を振り払い、その場から後ろに後ずさる!
「うあぁ〜…逃げられちゃった…」
俺の足をつかんできていたのはゾンビの女性だった!まさか…この墓場、出るの!?
そして、俺は慌てて宿屋の中に駆け込み、救援を呼ぼうと考えたが…
「うぅ?あ…人間…」
「あはぁ?70年ぶりだなぁ〜…」
ま、まずいぞ!?まだまだいた!
気がつくと俺は、異常な数のゾンビたちに囲まれていた。
「ひぃ!ど、どうしよう…何か、何かいい手は無いのか!?」
俺は慌てて何か逃げる手段を考えるが…駄目だ!ぜんぜん思い浮かんでこない!
こうしている間にも、ゆっくりとゾンビたちは俺との距離を狭めている!
そして、俺は腰に持っていた剣に気がついた!
これはゾンビを切ることは出来ないから倒せないが…
一か八かだ!
「てりゃあ!」
俺のすごくスローリーな剣の技は、ゾンビの一人に当たり、少しゾンビがひるんだ!コレなら…いけるか!?
そう思いながら剣を振り回し続けた結果…あることに気がついた!
この戦い方…敵の数を減らせないじゃないか!
やはり…必要なのか!?固有技が…
「仕方が無い…形だけでもやってやる!」
俺は、適当にかっこいいポーズを決め、固有技を繰り出してみた!
「くらえ!本当にくらってくれ!行くぞぉ!【嫉妬ストリームアタック】!」
そういうと、俺の頭に今まで耐えてきた嫉妬心を高めるシーンがプレイバックされた!今ならいける!
俺は一回横なぎ払い切りをして、近くにいたゾンビたちに攻撃を仕掛けていった!
すると、ゾンビたちがみるみるうちに幼女体型になっていく!
さぁ…これで道が開け…てはくれなかった。
「まさか…幼女体型になっても困惑せずにこちらに向かってくるだと!?」
逆に、俺が困惑している始末だ。
「うわぁ〜…押し倒しちゃうぞ〜…」
「もう…あきらめちゃいなよ〜」
……まずいぞ、コレは…
俺の頭の中に、ゾンビに押し倒されて輪姦される俺の姿が浮かんできた!
ここは…宿屋からは少し遠ざかるが、後方のゾンビたちに攻撃を与えて少し囲いをなくしたほうがいいな…
どうやら、危機的状況に追い詰められ、頭の回転が普段より速くなったようだ。
俺は、後ろを振り返り、またも固有技を発動させる!
まぁ、固有技っていっても、ただの横切りだし、固有技というのも俺が勝手に思っている妄想だけどね。
「死にたくないよ〜!!【嫉妬ストリームアタック】!」
技を発動しながら、半分なきそうな顔で走りぬける俺…
なんてかっこいいんだ!ゾンビが次々幼女になっていく中で、まるで疾風のように走り抜ける俺…今までで一番かっこいいと思う。
「うぅ〜…まて〜」
「誰が待つかよ!やったぜーー!!」
そう言いながら、大きく回り込みながら俺は宿屋に逃げ込もうとした。
すると、なんとうれしいことに、頑丈な鎧を身にまとった女騎士がそこにいたんだよ!た、助かった〜…
「す、すみませ〜ん!お願いです!助けてくださ…」
そして、その人が振り向くときに、いきなり首が地面に落ちた!
デュ、デュラハンじゃないか!?なんでここに…
……そういえばここ、魔界化してたんだったーーーー!!
俺は、一瞬足を止めてしまったが、すぐに足を宿屋に向けて走り始めた!
デュラハンも俺の後ろを走って追いかけてくる!
じ、冗談じゃないぞ!?
こう思った俺は、宿屋に向かって一気に走り出す!
すると…目の前にはなんと…スケルトンとゴーストが…さらに、後方から迫っているデュラハンと横から攻めてくるゾンビの群れ…ゾンビの中には何人かグールが混じっているこの現実…これ、終わったんじゃ?
というか、この墓場どうなってるんだ!?アンデッド系の魔物がそろって出現するなんて…
そして、そこで俺はあることがガイドブックに書いてあったことを思い出した。
昔、ここは処刑場として、大量の犯罪者を裁いていたが、ほとんどが強盗などの悪事に手を染めた女の子など…さらに、人種差別が当時はかなり深刻な問題になっており、大勢の人がここで散っていったと書いてあった。
只でさえ恨みが土地に宿っているのに、それに魔界化現象が拍車をかけたのだろう…いまじゃここは有名なアンデットワールドといってもあながち間違いじゃない場所になってるじゃないか!
そして、ついに俺の人生が終わるときがやってくる…
ついに、宿屋の本当に少し手前で囲まれてしまった!
ほとんどのモンスターが、俺を好奇の目で見ている…
「久しぶりの男だなぁ…最後に見たのは…70年前か?」
「……そうよ、前に見たのは70年前…旅の商人だったわね?」
グールとスケルトンが何か話し込んでいる。
70年前から、この土地には男が入っていない…?
いや、そんなことより…
「い、嫌だ!まだ死にたくない!」
「死なないよ〜?お兄さんは私が考えているとおりのことになっちゃうだけだから…」
そうゴーストが言うと、一瞬だけ俺の頭の中に直接イメージが送られてきた!
そのイメージの中で、アンデッドモンスターの彼女たちに散々射精され、目から光が消えた俺がそこに横たわっている…さらに、幸せそうな表情なのが、やけに悲しいところだ。
俺は、慌ててそのイメージを振り払った!
「あはぁ〜…はやくやりたいなぁ〜」
「そうだね〜70年ぶりだもんね〜」
ゾンビたちも俺を犯すことを目的にこっちににじり寄ってくる!
俺は声が続く限り、必死で助けを呼ぶことにした!
「ヘルプミーーーーー!!助けてメリィーーーーーーーーーー!いや、この際誰でもいいからーーー!」
すると…ついに俺にも神からのお慈悲が!!
なんと、モンスターラグーンのメンバーが武器を手に助けに来てくれた!
「みんな!殺しては駄目よ!私たちモンスターラグーンの合言葉は不殺生!わかってるわね?まぁ、相手はもう死んでいるけど…」
「おぉーー!!」
め、メリィ…なんと頼もしい…
俺はこのときほどモンスターラグーンのメンバーが救いの使者に見えたことは無かった。
そして、俺たちとラグーンメンバーはアンデッドの彼女たちに気をつけながら、無事に宿屋に逃げることに成功した!
ありがとう神様!俺に死亡フラグをまだ立てないでいてくれて!
「ゾーネ!!お前のおかげで俺がどんな目にあったか…お前がゆっくりしていた結果はこれだぞ!?」
「うるさいのう…折角のお茶がまずくなるではないか!」
「俺とお茶と…どっちが大事なんだよ!こっちは危うく…」
「お茶に決まっておるのじゃ!お前がどうなろうとわしには知ったことではない!」
「ちくしょーー!!」
俺は悔しいと思いながらも、疲れたので自分の部屋に戻っていった。
「ふぅ…ようやく眠ることが出来るな…」
俺は自分の部屋のベッドにもぐりこんだが…誰か俺のベッドにもぐりこんでいるようだ。
「誰だ?頼むから普通に眠らせてほしいよ…」
「ふっふっふ〜、私の完璧な計画は、誰にも真似できないはず…」
「キュラス、何やってるんだ?」
俺のベッドの中にいたキュラスをベッドから下ろし、部屋から追い出そうとした。
「俺は寝たいんだよ…とっとと出て行ってくれ」
「やだ!ここで一気にデメトリオを私の奴隷に…」
「はいはい…そんなことは自分の部屋で考えておくんだな」
「あぁ〜!か、髪をつかんじゃだめぇ〜!」
俺は、キュラスを部屋からつまみ出すとようやく寝ることが出来る状況になったが、眠ろうとすると俺の部屋の壁…修理したばかりの壁から大勢のアンデッドの女性たちの話し声やらが聞こえてくる。
でも、俺は疲れていたようで、気がつくと眠っていた。
12/02/29 20:27更新 / デメトリオン
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