前編 敗走の果ての出会い
どれだけ走り続けたであろうか……もはやそれすらも分からないくらい走り続けた。同時に同じくらいの悲観を続けた。
人間は悲観的な考えを続けると肉体にも精神にも悪影響を与えるもの。体力も精神も限界を超えたことで女戦士は走ることをやめ、歩くことすら放棄して地面に座り込んでしまう。
静けさが漂う、不気味な森に女性の荒い呼吸と嗚咽が響き渡る。
「もう、ヒック……疲れた……足…動かない…ック。 どうせ…助からない……ウッ!?ゴホ!ゴホ!……もういやだ…」
『どうしたの?お姉さん?』
「えっ?」
女戦士以外に人がいないはずの森に声が響き渡る。どこから声が聞こえたのか、必死にあたりを見回すが草木が多い茂っていることもあり、人影が見当たらない。
『ここだよ。お姉さん…クスクス………♪』
「ど、どこですか!どなたか存じませんが助けてください!私、死にたくないんです!」
『???………誰かに襲われてるの?おかしいな?ここでお姉さんみたいに可愛い人を襲うのは私達くらいだと思ってたんだけどな』
「そんなことはありません!ここは危険な魔界の森、そこらじゅう魔物だらけ……まもの………えっ……襲うのは私達って、えっ?じゃあ、私は誰と?」
『危険な森?ここに来る人間って皆同じこと言うんだよね〜、こんなに過ごしやすい場所なのに失礼しちゃうな〜』
女戦士の発言に対してのんびりと憤慨した様子の声が響き渡る。それに対し女戦士はここが魔界の森であることを思い出し、自分が誰と話をしているのかに気づき、顔を徐々に青ざめさせていく。
『ん?お姉さん大丈夫?顔が青いけど、気分でも悪いの?』
「あ、あなた……いや、お前は…魔物なのか?」
『そうだけど?』
相手が魔物、それを理解した瞬間、女戦士の心に戦士としての心がよみがえり己を奮い立たせた。
「くっ!?出て来い!隠れて私を油断させて、闇討ちをしようという魂胆なのだろう!だがその手には乗らないぞ。私は誇り高き神の加護を受けし戦士団の一員!たとえ一兵卒になろうとも、私は魔物には屈しないんだ!」
『えー、別に隠れてるわけじゃないんだけどな…それにお姉さんちょっと勘違いしているよ?』
「私が何を勘違いしているというんだ!」
『闇討ちだとか、油断させてとかの部分だよ。もしかしたらさっき襲うとか言っちゃったからそれで勘違いしちゃったのかな?だったらごめんね』
「騙されんぞ!それが魔物の常套手段だということも知っているのだ!」
『むぅ〜、さっきからひどいな〜。そんなに言うなら姿を見せてあげる。でも移動するの大変なんだからね』
そういった後、女戦士の前方にある茂みから何かが飛び出し、真上にある木の枝に絡みつくのが見えた。それは触手だった。次にその触手を支えに茂みから何かが飛び出してくるのが見えた。最初は触手の塊が飛び出して来たのかと身構えた女戦士だったが、着地した姿を見てそうではない事がわかった。
その姿は少女だったがひと目で魔物であることがわかった。ただしその姿は女戦士が今まで見た魔物と比べかなり異なっていた。人間なら手の部分であろう場所には触手を内包した花が生えていて、下半身には根っこのように何本も触手が生えていた。体の至る所に無数の触手が蠢いていて、うじゅるうじゅると粘液の絡まる音が響き渡っている。触手もよく見てみると1本1本形が異なっていて、そのどれもが相手を悦ばせるために発達したものであることが分かった。
だが女戦士はその姿に共感を持つことは出来ず、逆に嫌悪感を抱いていた。
「な、なんだお前!その気持ちの悪い触手は!?」
「むぅ〜、姿を見せろっていうから見せたのに今度は気持ち悪いだなんて〜お姉さんわがままだよ」
「うっ……それは、その、すまない。……ってそうじゃない!何故私は敵に謝っているんだ!」
「それにさっきから思ってたんだけど、聞いていいお姉さん?」
「な、なんだ唐突に?言っておくが変なことを聞いたらタダでは済まさんぞ」
「別に変なことは聞かないよ。なんでお姉さんはさっきから泣いていたり、怒ったり、青ざめたりしているの?そんな顔をするよりももっと幸せそうに笑ったほうが絶対に似合うのに」
「なっ?!いきなり何を言ってるんだお前は!こんな場所で笑えるわけがないだろうが!」
「でも、この辺に住んでいる人達はけっこう幸せそうに笑っているけど?」
「それはこの辺りの魔物が、だろう?私は人間だぞ」
「あっ、そうか。えへへーすっかり忘れてた」
「………なんだかな、調子の狂うヤツだ」
「あっ、やっと笑った。やっぱ笑顔が一番だよ」
どうやら気がつくと女戦士は笑っていたらしい。そのことに女戦士が気がつくと、ハッとした顔になり、すぐに睨みつけるような険しい顔に戻る。
「私は笑っていないぞ!私が魔物に心を許すはずが無いだろう、勘違いも甚だしいぞ」
「えー、嘘だ!絶対笑ってた!」
「いーや、笑っていないぞ!笑っていないと言ったら絶対笑っていない!」
「笑ってた!ほらさっきみたいに『フッ』って笑ってみてよ」
「お前がやると笑うというよりも人を小バカにした表情にしか見えないな」
「ひどいー!人(魔物)が真剣にいってるのに〜」
「あっ、すまない。言い過ぎた」
「もう許さないもん…反論できないように私の手で笑わせてあげる」
「えっ、なにを!?………くっ!?」
不穏な一言を発した後、突然少女から触手が凄まじい勢いで伸びてきて女戦士の四肢を拘束する。
「そういえば、まだ自己紹介していなかったね。私はこの魔界の森に住むテンタクルっていう魔物なんだ。見ての通りこの森に生息していた触手植物が魔力を蓄えたことともう一つは…えっと………秘密!」
「いや、自己紹介すると言っておいて秘密はどうなのだろうか?」
「とにかく秘密!…こほん、とにかくその二つの要因が重なったことで、こうして人型になれて会話をすることも出来るようになったの」
「それでさっきのように私に言葉巧みに近づいてきたわけか。どうせ、その触手で私のことを締め殺すのだろう?こうして手足も動けない以上どうしようもない。さっさと殺せばいい」
「???………何言ってるのお姉さん。私は笑わせてあげるとは言ったけど、殺すなんて一言も言ってないよ?どうして人間って、すぐに殺すとか殺さないって思考になるのかな?」
「本気で殺す気が無いのか?ならば何故私はこのように拘束されているのだ?」
「うーん、これからやる行為って私が魔物化するまえからやってるんだけど。みんな最初は暴れちゃうから危ないんだよね〜。だから安全確保のためかな?」
「それを聞いたらなおさら、暴れたくなってきたんだが」
「え〜。それは嫌だな。それじゃその前に笑わせてあげる」
そう言うと少女は女戦士の体を引き寄せて後ろから優しく抱きしめる。女戦士が困惑していると鎧の中にヌルッとした感触が広がり始めたことに気が付く。
「な…!?何をしている!」
「何って、これからお姉さんを笑わせてあげるんだよ。この触手でね♪」
その言葉と同時に鎧の中に触手が一気に進入を開始する。両の手から生えている触手が鎧の隙間から我先にと言わんばかりに群がりねじ込んでくる。進入した触手は女戦士の肌触りや感じる場所を確かめるように優しく這い回り始める。女戦士は自分が辱められていることに漸く気が付き、激しく抵抗しもがき始める。
「や、やめろ!こ、こんな、クッ…ハズカシ、ッ!?……イヤァ…」
「むぅ〜、まだそんなに顔を強張らせて……それなら」
女戦士が必死に耐えようとしているのが気に入らないようで、少女は不満げな顔をする。同時に女戦士の鎧の中に進入している触手の動きを変え始めた。優しく這い回る動きは変わらないが、先ほど見つけた感じやすい場所を中心に責め始めたのだ。両胸に巻きつくようにゆっくりと這い回り、徐々に乳輪に焦らすようにゆっくりと近づいていく。他にも背中、首、へそまわりと優しく撫で回していく。撫で回すたびに触手の粘液がネチャネチャと絡み合い、鎧の中ということもあっていやらしい音が響き渡る。
女戦士は体中の様々な場所から送られる優しくねっとりした刺激に身を捩らせたい衝動に駆られるが快感に耐えようとぐっと歯を食いしばり耐える。
その反応が面白くない少女は待ち望んでいたであろう乳首への刺激を開始する。乳首を嘗め回すように触手で弄り回し、時々ツンっと突いてみたり、刺激の強弱を変えたりと責めたてていく。同時に鎧の中に触手をさらに入れて埋め尽くしていき、隅から隅まで余すことなく責めたてていく。あまりにも凄まじい快楽に女戦士も耐えることが出来ずに声をあげて身を捩じらせてしまう。
「んくぅああああ!だ、だめえ!」
「あっ、やっと声を出してくれた♪でも、まだ顔は笑ってないね。もっと気持ちよくして笑わせてあげる」
「や、やめ!んぁあああああ!っ………!?」
「あれ?もしかして、イッちゃったの?まだ体しか触ってないのに」
「はぁ、はぁ……」
「でも嬉しいな、それだけ感じてくれてるんだよね♪これならすぐ綺麗に笑えるようになるよ」
「まだ……続くの?」
「またそんな辛そうな顔をして………大丈夫だよ。絶対に笑えるようにしてあげるから」
少女は体の刺激を再開する。再び女戦士の体に快感が生まれる。
これ以上はマズイと本能でそう感じた女戦士は力を振り絞り暴れもがくが拘束している触手は解ける気配が無く、逆に体の刺激を増長する結果になってしまう。
「それじゃあ、そろそろこっちも触ってみようか」
「そ、そこは…!?駄目駄目駄目!そこだけは駄目!そんなものを近づけないで!」
細かい突起物が無数に生えている触手を女戦士の下腹部の前に待機させる。この触手で責め立てられたらどうなってしまうのか?そんな考えが女戦士の頭によぎる。そして気が付く、自分の秘所がさっきよりも濡れてしまっているということに。その愛液が両の足を伝って流れ落ちてきていることに女戦士は気がついてしまったのだ。当然少女もその愛液に気が付いていた。
「やっぱり感度がいいんだね。これ、さっきイッた時のだけじゃないよね?もしかして期待してくれているのかな?」
「ち、違う!違う違う違う!」
「でも、体は気持ちいいって言ってるみたいだよ?そんなに嫌がらなくてもいいじゃない、もっと気を楽にして気持ちよくなって楽しく笑おうよ♪」
「私はそんな淫乱な女じゃない!それにこの行為だって無理やりやっていることじゃないか!」
「…………そんなに嫌なの?」
「嫌だ!イヤイヤイヤイヤ!お願いだから!もう!やめてえええええ!!!」
女戦士が否定の言葉をつむぎ必死に体を動かし、身を捩り、もがき脱出を図ろうとする。だが、無常にも体の拘束は剥がれない。
もう無理なのか…女戦士があきらめ一筋の涙を流した時だった。
「わかったよお姉さん」
「えっ?」
突然少女は責めるのを止めて、四肢の拘束を外して鎧の中の触手を引いてしまったのだ。
女戦士は体が自由になったことで地面に降り立つことができたが、その頭の中には何故という疑問しか浮かばなかった。
「なんで?」
「だって、私が笑わせようとすればするほど、お姉さんが辛そうな顔をするんだもん。これ以上お姉さんを辛い目にあわせたくない。だからもうやめた」
「私の……ために?」
「うん」
そう言うと少女は女戦士に背を向け、どこかに触手を伸ばし移動の体制を作る。
「じゃあね…お姉さん。この道をまっすぐいけば多分出られるはずだから、こんなことをしておいてなんだけど……頑張ってね」
「待て!!!」
突然の大声にテンタクルの少女は体をびくんとさせる。
「なんで……」
「…………」
「なんでお前が泣いているんだ」
「…私が泣いてる?」
「ああ、泣いてる」
知らずのうちに涙を流していることに少女は気が付いていなかった。
女戦士はその涙を見て察した。この少女は本当にただ私を笑わせたかっただけなのだろうと、ただ魔物であるがゆえにこういうやり方しかわからなかったのだと。
その瞬間、女戦士の中である決意が固まった。いつもより気分が高揚していて今ならどんな恥ずかしいことでも行える……そんな気さえした。
決意が固まれば、ためらいなど欠片もなかった。
「お前は私を笑わせるのではなかったのか?」
「だって……」
「それとも、お前は遊びのつもりであんなことをしたのか?」
「ち、違う!」
「だったら何故最後までやらないんだ」
「だって、お姉さんが」
「私の所為にするな!お前は本気で私に笑って欲しかったのだろう?あのやり方がお前にとって人を笑わせることが出来る唯一の方法なのだろう?ならば最後までやり通せ!私を笑わせて見せろ!」
「ど、どうして?お姉さんにとって魔物にエッチなことをされるのって駄目なんでしょ?」
「それならば、これでどうだ」
そう言うと女戦士は身につけている鎧の留め金を一つ一つ外して地面に投げ捨てる。簡易の下着も脱ぎ捨て一糸纏わぬ体をあらわにする。
「この姿が神に仕える誇り高き戦士の姿に見えるか?否、今の私はただの女だ。魔の快楽を求める堕落した女だ」
「お姉さん」
「ほら、そんな泣きそうな顔をするな。お前は私を笑わせたいのだろう?ならばお前が笑わなくてどうする」
「本当にいいの?」
「ああ。だが私もタダでは笑わん。だから本気でかかってこい!そうでなければ私を笑わせられないぞ!」
「……わかったよお姉さん。其処まで言うなら本気で笑わせてあげるから覚悟してね!」
女戦士と少女の戦い。その第2幕が切って落とされるのであった。
人間は悲観的な考えを続けると肉体にも精神にも悪影響を与えるもの。体力も精神も限界を超えたことで女戦士は走ることをやめ、歩くことすら放棄して地面に座り込んでしまう。
静けさが漂う、不気味な森に女性の荒い呼吸と嗚咽が響き渡る。
「もう、ヒック……疲れた……足…動かない…ック。 どうせ…助からない……ウッ!?ゴホ!ゴホ!……もういやだ…」
『どうしたの?お姉さん?』
「えっ?」
女戦士以外に人がいないはずの森に声が響き渡る。どこから声が聞こえたのか、必死にあたりを見回すが草木が多い茂っていることもあり、人影が見当たらない。
『ここだよ。お姉さん…クスクス………♪』
「ど、どこですか!どなたか存じませんが助けてください!私、死にたくないんです!」
『???………誰かに襲われてるの?おかしいな?ここでお姉さんみたいに可愛い人を襲うのは私達くらいだと思ってたんだけどな』
「そんなことはありません!ここは危険な魔界の森、そこらじゅう魔物だらけ……まもの………えっ……襲うのは私達って、えっ?じゃあ、私は誰と?」
『危険な森?ここに来る人間って皆同じこと言うんだよね〜、こんなに過ごしやすい場所なのに失礼しちゃうな〜』
女戦士の発言に対してのんびりと憤慨した様子の声が響き渡る。それに対し女戦士はここが魔界の森であることを思い出し、自分が誰と話をしているのかに気づき、顔を徐々に青ざめさせていく。
『ん?お姉さん大丈夫?顔が青いけど、気分でも悪いの?』
「あ、あなた……いや、お前は…魔物なのか?」
『そうだけど?』
相手が魔物、それを理解した瞬間、女戦士の心に戦士としての心がよみがえり己を奮い立たせた。
「くっ!?出て来い!隠れて私を油断させて、闇討ちをしようという魂胆なのだろう!だがその手には乗らないぞ。私は誇り高き神の加護を受けし戦士団の一員!たとえ一兵卒になろうとも、私は魔物には屈しないんだ!」
『えー、別に隠れてるわけじゃないんだけどな…それにお姉さんちょっと勘違いしているよ?』
「私が何を勘違いしているというんだ!」
『闇討ちだとか、油断させてとかの部分だよ。もしかしたらさっき襲うとか言っちゃったからそれで勘違いしちゃったのかな?だったらごめんね』
「騙されんぞ!それが魔物の常套手段だということも知っているのだ!」
『むぅ〜、さっきからひどいな〜。そんなに言うなら姿を見せてあげる。でも移動するの大変なんだからね』
そういった後、女戦士の前方にある茂みから何かが飛び出し、真上にある木の枝に絡みつくのが見えた。それは触手だった。次にその触手を支えに茂みから何かが飛び出してくるのが見えた。最初は触手の塊が飛び出して来たのかと身構えた女戦士だったが、着地した姿を見てそうではない事がわかった。
その姿は少女だったがひと目で魔物であることがわかった。ただしその姿は女戦士が今まで見た魔物と比べかなり異なっていた。人間なら手の部分であろう場所には触手を内包した花が生えていて、下半身には根っこのように何本も触手が生えていた。体の至る所に無数の触手が蠢いていて、うじゅるうじゅると粘液の絡まる音が響き渡っている。触手もよく見てみると1本1本形が異なっていて、そのどれもが相手を悦ばせるために発達したものであることが分かった。
だが女戦士はその姿に共感を持つことは出来ず、逆に嫌悪感を抱いていた。
「な、なんだお前!その気持ちの悪い触手は!?」
「むぅ〜、姿を見せろっていうから見せたのに今度は気持ち悪いだなんて〜お姉さんわがままだよ」
「うっ……それは、その、すまない。……ってそうじゃない!何故私は敵に謝っているんだ!」
「それにさっきから思ってたんだけど、聞いていいお姉さん?」
「な、なんだ唐突に?言っておくが変なことを聞いたらタダでは済まさんぞ」
「別に変なことは聞かないよ。なんでお姉さんはさっきから泣いていたり、怒ったり、青ざめたりしているの?そんな顔をするよりももっと幸せそうに笑ったほうが絶対に似合うのに」
「なっ?!いきなり何を言ってるんだお前は!こんな場所で笑えるわけがないだろうが!」
「でも、この辺に住んでいる人達はけっこう幸せそうに笑っているけど?」
「それはこの辺りの魔物が、だろう?私は人間だぞ」
「あっ、そうか。えへへーすっかり忘れてた」
「………なんだかな、調子の狂うヤツだ」
「あっ、やっと笑った。やっぱ笑顔が一番だよ」
どうやら気がつくと女戦士は笑っていたらしい。そのことに女戦士が気がつくと、ハッとした顔になり、すぐに睨みつけるような険しい顔に戻る。
「私は笑っていないぞ!私が魔物に心を許すはずが無いだろう、勘違いも甚だしいぞ」
「えー、嘘だ!絶対笑ってた!」
「いーや、笑っていないぞ!笑っていないと言ったら絶対笑っていない!」
「笑ってた!ほらさっきみたいに『フッ』って笑ってみてよ」
「お前がやると笑うというよりも人を小バカにした表情にしか見えないな」
「ひどいー!人(魔物)が真剣にいってるのに〜」
「あっ、すまない。言い過ぎた」
「もう許さないもん…反論できないように私の手で笑わせてあげる」
「えっ、なにを!?………くっ!?」
不穏な一言を発した後、突然少女から触手が凄まじい勢いで伸びてきて女戦士の四肢を拘束する。
「そういえば、まだ自己紹介していなかったね。私はこの魔界の森に住むテンタクルっていう魔物なんだ。見ての通りこの森に生息していた触手植物が魔力を蓄えたことともう一つは…えっと………秘密!」
「いや、自己紹介すると言っておいて秘密はどうなのだろうか?」
「とにかく秘密!…こほん、とにかくその二つの要因が重なったことで、こうして人型になれて会話をすることも出来るようになったの」
「それでさっきのように私に言葉巧みに近づいてきたわけか。どうせ、その触手で私のことを締め殺すのだろう?こうして手足も動けない以上どうしようもない。さっさと殺せばいい」
「???………何言ってるのお姉さん。私は笑わせてあげるとは言ったけど、殺すなんて一言も言ってないよ?どうして人間って、すぐに殺すとか殺さないって思考になるのかな?」
「本気で殺す気が無いのか?ならば何故私はこのように拘束されているのだ?」
「うーん、これからやる行為って私が魔物化するまえからやってるんだけど。みんな最初は暴れちゃうから危ないんだよね〜。だから安全確保のためかな?」
「それを聞いたらなおさら、暴れたくなってきたんだが」
「え〜。それは嫌だな。それじゃその前に笑わせてあげる」
そう言うと少女は女戦士の体を引き寄せて後ろから優しく抱きしめる。女戦士が困惑していると鎧の中にヌルッとした感触が広がり始めたことに気が付く。
「な…!?何をしている!」
「何って、これからお姉さんを笑わせてあげるんだよ。この触手でね♪」
その言葉と同時に鎧の中に触手が一気に進入を開始する。両の手から生えている触手が鎧の隙間から我先にと言わんばかりに群がりねじ込んでくる。進入した触手は女戦士の肌触りや感じる場所を確かめるように優しく這い回り始める。女戦士は自分が辱められていることに漸く気が付き、激しく抵抗しもがき始める。
「や、やめろ!こ、こんな、クッ…ハズカシ、ッ!?……イヤァ…」
「むぅ〜、まだそんなに顔を強張らせて……それなら」
女戦士が必死に耐えようとしているのが気に入らないようで、少女は不満げな顔をする。同時に女戦士の鎧の中に進入している触手の動きを変え始めた。優しく這い回る動きは変わらないが、先ほど見つけた感じやすい場所を中心に責め始めたのだ。両胸に巻きつくようにゆっくりと這い回り、徐々に乳輪に焦らすようにゆっくりと近づいていく。他にも背中、首、へそまわりと優しく撫で回していく。撫で回すたびに触手の粘液がネチャネチャと絡み合い、鎧の中ということもあっていやらしい音が響き渡る。
女戦士は体中の様々な場所から送られる優しくねっとりした刺激に身を捩らせたい衝動に駆られるが快感に耐えようとぐっと歯を食いしばり耐える。
その反応が面白くない少女は待ち望んでいたであろう乳首への刺激を開始する。乳首を嘗め回すように触手で弄り回し、時々ツンっと突いてみたり、刺激の強弱を変えたりと責めたてていく。同時に鎧の中に触手をさらに入れて埋め尽くしていき、隅から隅まで余すことなく責めたてていく。あまりにも凄まじい快楽に女戦士も耐えることが出来ずに声をあげて身を捩じらせてしまう。
「んくぅああああ!だ、だめえ!」
「あっ、やっと声を出してくれた♪でも、まだ顔は笑ってないね。もっと気持ちよくして笑わせてあげる」
「や、やめ!んぁあああああ!っ………!?」
「あれ?もしかして、イッちゃったの?まだ体しか触ってないのに」
「はぁ、はぁ……」
「でも嬉しいな、それだけ感じてくれてるんだよね♪これならすぐ綺麗に笑えるようになるよ」
「まだ……続くの?」
「またそんな辛そうな顔をして………大丈夫だよ。絶対に笑えるようにしてあげるから」
少女は体の刺激を再開する。再び女戦士の体に快感が生まれる。
これ以上はマズイと本能でそう感じた女戦士は力を振り絞り暴れもがくが拘束している触手は解ける気配が無く、逆に体の刺激を増長する結果になってしまう。
「それじゃあ、そろそろこっちも触ってみようか」
「そ、そこは…!?駄目駄目駄目!そこだけは駄目!そんなものを近づけないで!」
細かい突起物が無数に生えている触手を女戦士の下腹部の前に待機させる。この触手で責め立てられたらどうなってしまうのか?そんな考えが女戦士の頭によぎる。そして気が付く、自分の秘所がさっきよりも濡れてしまっているということに。その愛液が両の足を伝って流れ落ちてきていることに女戦士は気がついてしまったのだ。当然少女もその愛液に気が付いていた。
「やっぱり感度がいいんだね。これ、さっきイッた時のだけじゃないよね?もしかして期待してくれているのかな?」
「ち、違う!違う違う違う!」
「でも、体は気持ちいいって言ってるみたいだよ?そんなに嫌がらなくてもいいじゃない、もっと気を楽にして気持ちよくなって楽しく笑おうよ♪」
「私はそんな淫乱な女じゃない!それにこの行為だって無理やりやっていることじゃないか!」
「…………そんなに嫌なの?」
「嫌だ!イヤイヤイヤイヤ!お願いだから!もう!やめてえええええ!!!」
女戦士が否定の言葉をつむぎ必死に体を動かし、身を捩り、もがき脱出を図ろうとする。だが、無常にも体の拘束は剥がれない。
もう無理なのか…女戦士があきらめ一筋の涙を流した時だった。
「わかったよお姉さん」
「えっ?」
突然少女は責めるのを止めて、四肢の拘束を外して鎧の中の触手を引いてしまったのだ。
女戦士は体が自由になったことで地面に降り立つことができたが、その頭の中には何故という疑問しか浮かばなかった。
「なんで?」
「だって、私が笑わせようとすればするほど、お姉さんが辛そうな顔をするんだもん。これ以上お姉さんを辛い目にあわせたくない。だからもうやめた」
「私の……ために?」
「うん」
そう言うと少女は女戦士に背を向け、どこかに触手を伸ばし移動の体制を作る。
「じゃあね…お姉さん。この道をまっすぐいけば多分出られるはずだから、こんなことをしておいてなんだけど……頑張ってね」
「待て!!!」
突然の大声にテンタクルの少女は体をびくんとさせる。
「なんで……」
「…………」
「なんでお前が泣いているんだ」
「…私が泣いてる?」
「ああ、泣いてる」
知らずのうちに涙を流していることに少女は気が付いていなかった。
女戦士はその涙を見て察した。この少女は本当にただ私を笑わせたかっただけなのだろうと、ただ魔物であるがゆえにこういうやり方しかわからなかったのだと。
その瞬間、女戦士の中である決意が固まった。いつもより気分が高揚していて今ならどんな恥ずかしいことでも行える……そんな気さえした。
決意が固まれば、ためらいなど欠片もなかった。
「お前は私を笑わせるのではなかったのか?」
「だって……」
「それとも、お前は遊びのつもりであんなことをしたのか?」
「ち、違う!」
「だったら何故最後までやらないんだ」
「だって、お姉さんが」
「私の所為にするな!お前は本気で私に笑って欲しかったのだろう?あのやり方がお前にとって人を笑わせることが出来る唯一の方法なのだろう?ならば最後までやり通せ!私を笑わせて見せろ!」
「ど、どうして?お姉さんにとって魔物にエッチなことをされるのって駄目なんでしょ?」
「それならば、これでどうだ」
そう言うと女戦士は身につけている鎧の留め金を一つ一つ外して地面に投げ捨てる。簡易の下着も脱ぎ捨て一糸纏わぬ体をあらわにする。
「この姿が神に仕える誇り高き戦士の姿に見えるか?否、今の私はただの女だ。魔の快楽を求める堕落した女だ」
「お姉さん」
「ほら、そんな泣きそうな顔をするな。お前は私を笑わせたいのだろう?ならばお前が笑わなくてどうする」
「本当にいいの?」
「ああ。だが私もタダでは笑わん。だから本気でかかってこい!そうでなければ私を笑わせられないぞ!」
「……わかったよお姉さん。其処まで言うなら本気で笑わせてあげるから覚悟してね!」
女戦士と少女の戦い。その第2幕が切って落とされるのであった。
14/06/13 01:34更新 / ミズチェチェ
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