本当の休憩
ベッドの上で身も心も深くつながり合った3人は、いったんベッドを離れて、備え付けの浴室に入っていた。
ベッドルームほどではないが、浴室もかなり広く、黒い大理石の床の中心に白い円形の浴槽が埋め込まれており、ここもまた外を一望できるように壁の一方向がガラス張りになっている。
早いもので、時刻はすでに夕方………水平線に沈みゆく太陽が大海原をオレンジに染め上げ、行きかう帆船が影絵のように黒く見える。
そんな幻想的な光景を見ながら、フリッツとエレオノーラ姉妹は、宿屋特製温泉で体力を回復しつつあった。
「お疲れ様、フリッツ君。初めてで疲れたかもだから、少し休憩しましょうね」
「ふふふ……フリッツ君の味、しっかり覚えちゃった♥ お腹の中もすごくあったかい……♥」
「あうぅ、は……恥ずかしくて、お姉さんたちの顔、まともに見れない…………」
その場の勢いがあったとはいえ、フリッツはとんでもないことをしてしまったと感じた。
けれども、後悔の気持ちは全くない。フリッツはすっかりセシリアとマノンのことが好きになっていたし、彼女たちがフリッツに向けてくる好意も本物だと信じている。
相変わらずの巨大な乳房が、左右からフリッツの顔を優しくはさみ、姉妹の手が彼の麻色の長い髪を撫でる。
三つ編みをほどいてストレートの長髪になったフリッツの見た目は、ほぼ女の子のそれだったが、セシリアもマノンも今や彼を立派な「雄」と認識していた。
「どうだった? 初めてのエッチ♥」
「私たちも初めてだったけど、こんなに凄いなんて思ってなかった♥ フリッツ君も気持ちよかった?」
「えっと……その、フワフワして、体がどこかに飛んで行っちゃいそうだった…………それに、お姉さんたちと繋がってると、そのまま溶けてなくなっちゃいそうで…………」
交わされる会話はまるでピロートークのようで……激しく交わった余韻を味わうように、初めての経験の感想を語り合った。
激しい交わりの最中では考える余裕すらなかったが、落ち着いた今になって最中の記憶を反芻すると、フリッツの顔はますます赤く熱くなってしまう。
そして――――体力を一度消耗しつくしたにもかかわらず「もう一度したい」という気持ちがわいてきた。
(どうしよう……お姉さんたちとエッチするの、癖になっちゃいそう……)
フリッツは生まれながらの商人である。
店を手伝っていた時は毎日様々な客が来ていたが、その大半は一度物を売ったらそれっきりだ。
そのせいで、彼は基本的に両親以外の人とは一期一会が基本であり、また、商売人として客を不平等に扱わないためにも、出会う人への思い入れや愛着は持つべきではないと考えている。
ところが今はどうだろう。
出会ってまだ一日しか経っていないのに、セシリアとマノンはフリッツにとって両親に匹敵するほど大切な存在になりつつある。
優しくて、笑顔が素敵で、いい匂いがして、声が心地よくて、この町のことをいろいろ知っていて、おっぱいが大きくて、アソコが気持ちよくて――――
フリッツは、今まで自分がどんな女の子がタイプなのかすら考えたことがないのに、姉妹はまさに彼の理想の女性そのものと言える。
(でも、結局……もしお付き合いするとしても、セシリアお姉さんかマノンお姉さん、どちらか選ばなきゃいけないんだよね…………そんなこと、僕に出来るんだろうか?)
問題はまだある。
フリッツの故郷の国コモンウェルスは典型的な人間国家であり、基本的に一夫一妻制をとっている。
貴族などの例外はあるとはいえ、主神教の道徳が広くいきわたった世の中では、恋人になる人も、結ばれて夫婦になる相手も一人に限られ、二股以上の関係は忌避される傾向にある。
なので、フリッツが仮に姉妹と正式なお付き合いをすることになっても、どちらか一方しか選べないと考えてしまうのは仕方ないことだ。
「ん……? どうしたのフリッツ君、少ししょんぼりした顔してるわ」
「お父さんとお母さんが恋しくなっちゃった?」
「……ううん、何でもない」
フリッツの微妙な表情の変化に気が付いたセシリアとマノンが心配そうに声を掛けるも、本当のことが言えない彼は、その場ではぐらかしてしまう。
それがまた今までのもやもやした気持ちにさらに積み重なり、心がより切なくなってくる。
フリッツは気持ちを落ち着かせたいのか、ほとんど無意識に、目の前に浮かぶセシリアの乳首に吸い付いた。
「お姉さん………んっ、ちゅうっ♥ ちゅうぅ♥」
「あんっ♥ んっ♥ 甘えたいのね♥ いいよ、好きなだけお姉さんのおっぱい吸って♥」
「フリッツ君、赤ちゃんみたいで可愛いな♥ 後で私のおっぱいも吸ってね♥ ふふっ、いいこいいこ♥」
せめて今だけは、余計なことを考えたくない―――――歌白百合の香りがほのかに芳る湯船で、フリッツは外の景色が暗くなるまで、姉妹の胸の中でゆっくりと甘えた。
三人が湯船から上がり、部屋に用意された室内着に着替えてリビングルームに戻ると、そこには驚きの光景が待っていた。
「あれ!? テーブルの上に料理がたくさん!? い、いつの間に、だれが置いたんだろう!?」
「へぇ……さすが、島で一・二を争う『サイレントサービス』ね。頼んでおいて正解だったわ」
「扉は開けっ放しだったはずなのに、私たちが気が付かないうちにこれだけのものを運び込むなんて凄いわ」
高級ソファーがあるテーブル一面に、豪勢な料理が所狭しと並んでいるではないか。
メインディッシュの、分厚い魔界豚ステーキの虜の果実添えをはじめ、コートアルフ名物のミラドポテトサラダや、サルバシオン発祥の魔貝とスライムゼリーのテリーヌ、それにアル・マール近海で獲れた海鮮カルパッチョなどなど…………
名前を挙げれば統一感がないように思えるが、見た目も味の組み合わせも高度にバランスが整えられており、大国の王侯貴族の食卓ですら霞むのではないかと思えるほどだ。
「こ……こんなに高そうなものばかり! お金……大丈夫なの?」
「心配ないわ。お部屋を取るときに一緒にお金払ったもの。っていうか、これも宿代で賄われるサービスなのよ」
「ふふふ……凄いでしょう♪ 私たちがエッチに夢中になってる間、気づかれることなく夕飯を用意してくれたり、お風呂に入っている間にベッドを一瞬で綺麗に直してくれたりするのよ。どんな魔物娘ちゃんが働いてるのかは企業秘密らしいけど」
まさかこれほどまでのサービスが宿代込みというのは、フリッツにとって信じられないし、信じたくもなかった。
ここまで行くと、むしろ従業員に過剰労働させていないかが心配になってくるレベルだ。
しかし、そんな思考は、すぐにテーブルの上から漂ってくる料理のいい匂いにかき消され、セシリアとマノンに手を引かれるまま、食卓へと向かっていった。
ベッドルームほどではないが、浴室もかなり広く、黒い大理石の床の中心に白い円形の浴槽が埋め込まれており、ここもまた外を一望できるように壁の一方向がガラス張りになっている。
早いもので、時刻はすでに夕方………水平線に沈みゆく太陽が大海原をオレンジに染め上げ、行きかう帆船が影絵のように黒く見える。
そんな幻想的な光景を見ながら、フリッツとエレオノーラ姉妹は、宿屋特製温泉で体力を回復しつつあった。
「お疲れ様、フリッツ君。初めてで疲れたかもだから、少し休憩しましょうね」
「ふふふ……フリッツ君の味、しっかり覚えちゃった♥ お腹の中もすごくあったかい……♥」
「あうぅ、は……恥ずかしくて、お姉さんたちの顔、まともに見れない…………」
その場の勢いがあったとはいえ、フリッツはとんでもないことをしてしまったと感じた。
けれども、後悔の気持ちは全くない。フリッツはすっかりセシリアとマノンのことが好きになっていたし、彼女たちがフリッツに向けてくる好意も本物だと信じている。
相変わらずの巨大な乳房が、左右からフリッツの顔を優しくはさみ、姉妹の手が彼の麻色の長い髪を撫でる。
三つ編みをほどいてストレートの長髪になったフリッツの見た目は、ほぼ女の子のそれだったが、セシリアもマノンも今や彼を立派な「雄」と認識していた。
「どうだった? 初めてのエッチ♥」
「私たちも初めてだったけど、こんなに凄いなんて思ってなかった♥ フリッツ君も気持ちよかった?」
「えっと……その、フワフワして、体がどこかに飛んで行っちゃいそうだった…………それに、お姉さんたちと繋がってると、そのまま溶けてなくなっちゃいそうで…………」
交わされる会話はまるでピロートークのようで……激しく交わった余韻を味わうように、初めての経験の感想を語り合った。
激しい交わりの最中では考える余裕すらなかったが、落ち着いた今になって最中の記憶を反芻すると、フリッツの顔はますます赤く熱くなってしまう。
そして――――体力を一度消耗しつくしたにもかかわらず「もう一度したい」という気持ちがわいてきた。
(どうしよう……お姉さんたちとエッチするの、癖になっちゃいそう……)
フリッツは生まれながらの商人である。
店を手伝っていた時は毎日様々な客が来ていたが、その大半は一度物を売ったらそれっきりだ。
そのせいで、彼は基本的に両親以外の人とは一期一会が基本であり、また、商売人として客を不平等に扱わないためにも、出会う人への思い入れや愛着は持つべきではないと考えている。
ところが今はどうだろう。
出会ってまだ一日しか経っていないのに、セシリアとマノンはフリッツにとって両親に匹敵するほど大切な存在になりつつある。
優しくて、笑顔が素敵で、いい匂いがして、声が心地よくて、この町のことをいろいろ知っていて、おっぱいが大きくて、アソコが気持ちよくて――――
フリッツは、今まで自分がどんな女の子がタイプなのかすら考えたことがないのに、姉妹はまさに彼の理想の女性そのものと言える。
(でも、結局……もしお付き合いするとしても、セシリアお姉さんかマノンお姉さん、どちらか選ばなきゃいけないんだよね…………そんなこと、僕に出来るんだろうか?)
問題はまだある。
フリッツの故郷の国コモンウェルスは典型的な人間国家であり、基本的に一夫一妻制をとっている。
貴族などの例外はあるとはいえ、主神教の道徳が広くいきわたった世の中では、恋人になる人も、結ばれて夫婦になる相手も一人に限られ、二股以上の関係は忌避される傾向にある。
なので、フリッツが仮に姉妹と正式なお付き合いをすることになっても、どちらか一方しか選べないと考えてしまうのは仕方ないことだ。
「ん……? どうしたのフリッツ君、少ししょんぼりした顔してるわ」
「お父さんとお母さんが恋しくなっちゃった?」
「……ううん、何でもない」
フリッツの微妙な表情の変化に気が付いたセシリアとマノンが心配そうに声を掛けるも、本当のことが言えない彼は、その場ではぐらかしてしまう。
それがまた今までのもやもやした気持ちにさらに積み重なり、心がより切なくなってくる。
フリッツは気持ちを落ち着かせたいのか、ほとんど無意識に、目の前に浮かぶセシリアの乳首に吸い付いた。
「お姉さん………んっ、ちゅうっ♥ ちゅうぅ♥」
「あんっ♥ んっ♥ 甘えたいのね♥ いいよ、好きなだけお姉さんのおっぱい吸って♥」
「フリッツ君、赤ちゃんみたいで可愛いな♥ 後で私のおっぱいも吸ってね♥ ふふっ、いいこいいこ♥」
せめて今だけは、余計なことを考えたくない―――――歌白百合の香りがほのかに芳る湯船で、フリッツは外の景色が暗くなるまで、姉妹の胸の中でゆっくりと甘えた。
三人が湯船から上がり、部屋に用意された室内着に着替えてリビングルームに戻ると、そこには驚きの光景が待っていた。
「あれ!? テーブルの上に料理がたくさん!? い、いつの間に、だれが置いたんだろう!?」
「へぇ……さすが、島で一・二を争う『サイレントサービス』ね。頼んでおいて正解だったわ」
「扉は開けっ放しだったはずなのに、私たちが気が付かないうちにこれだけのものを運び込むなんて凄いわ」
高級ソファーがあるテーブル一面に、豪勢な料理が所狭しと並んでいるではないか。
メインディッシュの、分厚い魔界豚ステーキの虜の果実添えをはじめ、コートアルフ名物のミラドポテトサラダや、サルバシオン発祥の魔貝とスライムゼリーのテリーヌ、それにアル・マール近海で獲れた海鮮カルパッチョなどなど…………
名前を挙げれば統一感がないように思えるが、見た目も味の組み合わせも高度にバランスが整えられており、大国の王侯貴族の食卓ですら霞むのではないかと思えるほどだ。
「こ……こんなに高そうなものばかり! お金……大丈夫なの?」
「心配ないわ。お部屋を取るときに一緒にお金払ったもの。っていうか、これも宿代で賄われるサービスなのよ」
「ふふふ……凄いでしょう♪ 私たちがエッチに夢中になってる間、気づかれることなく夕飯を用意してくれたり、お風呂に入っている間にベッドを一瞬で綺麗に直してくれたりするのよ。どんな魔物娘ちゃんが働いてるのかは企業秘密らしいけど」
まさかこれほどまでのサービスが宿代込みというのは、フリッツにとって信じられないし、信じたくもなかった。
ここまで行くと、むしろ従業員に過剰労働させていないかが心配になってくるレベルだ。
しかし、そんな思考は、すぐにテーブルの上から漂ってくる料理のいい匂いにかき消され、セシリアとマノンに手を引かれるまま、食卓へと向かっていった。
20/05/31 12:19更新 / ヘルミナ
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