連載小説
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謙弥×京華(ツンデレ妖狐)
今の時刻は午前6時をまわるちょっと前。
寮で暮らしている生徒の内で、こんな早くに起きる奴はそうそういない。     


はずだった。
     

「ちょっと、いつまで寝てんのよ!」
ベッドで寝ている男子の頭を平手でパシッと叩く、一人の妖狐がいた。

彼女の名前は京華。 この高校の一年生で吹奏楽部に所属している。そして、かなりのツンデレである。

「いって!!」と、叩かれた頭を必死で押さえている、彼の名前は謙弥。
頭が良く面倒見も良いので、いつも勉強が得意ではない生徒に勉強を教えたりしている。 ちなみに京華のことが中学校の頃から好きなのである。


「今日、あんた日直でしょ!」と、言われて謙弥はハッとした。

日直の仕事は朝早く起き、教室を開けたりすること。他にも多々あるが、一番つらいのはこれである。そして、もしもこの日直の仕事を一つでもできなければ、もう1日日直をやらなければならなくなるのだ。

「はやくしなさいよ!」 制服を謙弥に投げ渡しながら京華は言った。
「あ、そーだ、起こしに来てくれてありがとう。」 制服を着ながら謙弥が言うと、
「べ、別にあんたのためじゃないんだからね!」「私はただその•••••••」 顔を赤くしながらもごもごし始める京華。
そして、「これは自分のためなの! 明日も日直をやらないように! だから、あんたは関係ないの!わかった!?」
顔を文字通り真っ赤にして、半ば叫ぶように言う京華。 はいよ、と謙弥が軽く返事をすると京華は真っ赤な顔のまま謙弥の手を引き、職員室へ向かった。



内心こうな京華も可愛いなと思う謙弥だった。











第1章 ツンデレな彼女。(前編)



京華に手を引かれながら走ること数分。
謙弥と京華は職員室の前についた。
コンコンと、ノックをして中へ入る。
失礼しますと京華が言うと、    「あ、間に合いましたね〜♪」 こちらを見ながらおっとりした口調でしゃべるワーシープがいた。彼女の名前は静子 
謙弥と京華のクラス、一年3組の担任をしている。教えている科目は英語。

「本当は間に合わないと思ったんですけどね〜♪ さすがですね〜♪」 嬉しそうに言う静子先生。そこで謙弥は朝起こしてもらったことを正直に言うと、「あら、そうなんですか〜? ふふふ、まるで新妻みたいですね、京華さん♪♪」 これまた嬉しそうに言う静子先生。
それを聞いた京華はやっと治まろうとしていた熱がまた顔に集まっていくを感じた。
「な、なに言ってるんですか先生!! そんなんじゃありませんよ!!」 京華が必死で否定すると、
「あらあら、そんなに恥ずかしがらなくても良いじゃないですか〜♪♪ ただの例えですよ〜、英語で言うlike(〜のような)という意味ですよ〜。」 微笑みながら静子先生が言う。京華はうつむき、それでもやめてください、と言った。 

数分の間話をしていると、京華はやっと、ここに教室を開けるための鍵を貰いに来たことを思い出した。 
そして、そのことを静子先生に言うと、そうでしたね♪ と、手の平をポンと叩き、
引き出しから鍵を出してそれを渡してくれた。それを受け取ると、京華はまたも謙弥の手を引いてそそくさと職員室を出ていった。
静子先生は二人が出ていくのを笑顔で見送ると、「ふふふ、お似合いのふたり♪  頑張ってください謙弥君♪♪」 と、つぶやく。その後もクスクスと一人で笑っていたことを当の二人は知らない。


13/02/17 11:25更新 / 狐目の男
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