3話:うっかり亡者の悲喜こもごも(前編)
誘うように消えた少女を追った先。
そこは男女共通の生理現象を消化する場所だった。
本来男子禁制の領域。
望む望まぬを考えても一度踏み込めば社会的信用の失墜は免れぬそこへ、俺は堂々と踏み込んだ。
虎穴に入らずんば虎児を得ず。
だが、この場合は虎児が親の居ぬ間に呼んでいるのだ。
なら行くしかないじゃないか!
「お邪魔しまーす、と」
キィ、と潤滑油がそれ程塗布されていないのか小さい悲鳴を上げる扉。
軽い挨拶をして、目的である少女を探す。
「何処にいるのかなー?…って、丸分かりなんだけどねー♪」
扉を開いてすぐ左奥。
あからさまに誰か居る事を示唆するように奥の個室は閉まっていた。
その様子に、ただ開けるだけでは勿体無く感じてしまう。
(そうだ。ちょっと焦らしてみるか?)
何せこちらを誘うように移動しているのだ。
終着点が個室なら目的は限定される。
こちらは男。向こうは女だ。
やる事なんて決まりきっているだろう。
「好き者には今後の為に、ちょっとお仕置きだな…」
小さく自分以外聞こえない程度の声が漏れる。
俺も彼女の気持ちに応えたいが、心の準備は必要だろう。
「どこだろうな〜、暗くて分からないな〜。…ここかな〜?」
一番手前の扉を開け放たれている、少し大きめにスペースのとられている個室。
懐中電灯で照らすが、当然中には誰も居ない。
「隣かな〜?…残念、居ないな〜」
次も同じように懐中電灯で照らす。
映るのは無人の個室のみ。その隣、その隣とぞんざいに眺めては進む。
最後の個室の前に立つ。だが、ノックはしない。扉も開けない。
「ここにも誰も居ないんだろうな〜。仕方ない、帰るか〜」
わざとらしく声を張って話しかける。
ここで俺に帰られては困るだろ?さあ、俺はここに居るから、ドアを開けるんだ。
話しかけてから数分待つ。
予想に反して、鍵の開く音も奥で動く音もしない。
「…え、ちょっと。俺帰っちゃうよ?いいの?」
俺の声だけが小さく木霊する。
そこに何も居ないのが当然、というかのように微動だにしないドアに俺は軽く苛立った。
「君だって期待してここに居るんだろ?わざわざ俺を誘ったんだからさ!開けてくれよ!」
少し乱暴にドアを叩くと扉が開く。
予想外に大きな軋みを立てて開くその中には、誰も居なかった。
「……あれ?」
先程の少女は何処だ?個室のドアが閉まっている以上、ここにしか居ないのではないのか?
まさか、担がれたのか!?
自分が見ていたのは小さく軋んで動く女子トイレのドア。
そして閉められたドアのある個室だけだ。
予め仕込んでおけば、あたかもその中に駆け込んだように見えなくもない。
では彼女は何処に消えたのか?
「他に可能性があるとすると、向かいの資料室か空き教室だよな…」
仕方ない、鬼ごっこに付き合うとしよう。
そう思い急に醒めた頭を抱えて女子トイレを出ようとドアを押す。
ドアの軋む音が聞こえる。
背後から。
思わず振り返ってしまう。
そこには、先程開け放った筈の個室のドアがピッタリと閉まった状態となっていた。
但し先程と違うのは、何か得体の知れない空気が満たされ始めている事だ。
今迂闊に近寄ったら間違いなく自分にとって良からぬ事が起きる。
生存本能とでもいえばいいのか、俺の感はそう告げていた。
「た、立て付けが悪いのかもなぁ此処のドア。きっと此処には居ないだろ。次行こう」
後ろを向いてドアを開ける。
たったこれだけの事があまりにも困難だった。
後ろ手をトイレのドアに添えながら微動だに出来ず女子トイレ奥のドアをじっと見ている状態だ。
もし第三者が今の俺を見ていれば、きっと指を指して笑ったろう。
だが、本人としては至って真剣だ。
何にとは分からないが、今後ろを向いても確実に何か起こる。
そう確信せざるを得ない予感が、たかだか閉まっただけのドアからしていた。
「ドア開けるのに、後ろ向きじゃいけないなんて法律はないよな、このまま開けても全然おかしくなんてないんだ」
耳鳴りがしそうな程の緊張感の中、俺は誰に聞かせるでもなく一人ごちた。
そうだ。後ろ向きに開ければ仮に何があっても見逃さないだろう。
開けて、出て、離れる。
たったそれだけの簡単な事だ。
さぁやれ。今だ。此処が最上階だし、和夫にさえ会えば何とでもなる。
女の子だってきっと同じように先に進んだんだ。
これは手の込んだ悪戯なんだから、動いたって何も起こりゃしないんだ。
だから、そう。
徐々に隙間を広げる個室のドアだって、きっと見間違いなんだ。
そう思った瞬間、俺の思いを嘲笑うかのように一際大きな軋みを上げて扉が開く。
俺は弾かれるようにドアを開けて駆け出していた。
「お邪魔しまーす、と」
彼が扉を開いて入ってきた瞬間、私の胸の鼓動は一気に跳ね上がった。
勿論心臓など無いのだから魔力の流れに過ぎないのだが、そんなもの関係ないと思う。
今、彼は私のテリトリー内に居る。
それだけで私の心は有頂天なのだ。
現在私は透明化している。
位置は当然一番奥の個室。
そこは長年私が占拠してきた空間であり、最早私自身といっても過言ではない。
ちなみに私は不自然さを出す為に、前回と違いわざと扉を閉めている。
以前の馬鹿共と同じように不用意に扉を開ければ上から私が覆い被さる、というのが今回の趣向だ。
「何処にいるのかなー?…って、丸分かりなんだけどねー♪」
どうやら気付いたようである。
(おほほー♪いらっしゃーい。今はちょっと【化粧】をしてるから私本来の姿でもないし、感触も違うけど痛くしないからねー♪)
以前の【化粧】で間近に顔を寄せ、ちょっと笑い掛けてやれば軽く恐慌状態は作れるだろう。
その後振り払われて、彼が安全圏まで逃げたと思ったら実は憑いていた、というのが理想的。
彼にとっての安全圏とはほぼ確実に自宅だろう。
憑いていった後じっくり私色に染まってもらう。
既に頭がこれからの桃色性活で埋め尽くされんとしていたのだが、女子トイレのドアから数歩しかない距離のに個室のドアが開かない。
不思議に思って透明化したまま顔を出すと、このまま真っ直ぐ来ると思っていた彼はあろう事か立ち止まっていた。
え?何で?
予想外の事態に少し慌てたが、続く言葉で行動で納得した。
「どこだろうな〜、暗くて分からないな〜。…ここかな〜?」
―――成る程、焦らしプレイか。
どうやら彼は中々遊び心があるようである。
ちょっとお腹の辺りに溜まるような感覚があるが、彼の声なので寧ろ心地良い。
どうやら個室を順々に調べて、最後に此処を開けようとしているようだ。
…好きなものは最後に取っておく派なのかしら?
OK、お付き合いしましょう。
彼は順々に懐中電灯で個室を照らしては覗いていく。
一つ、二つ、三つ――――――
一番奥、六つ目の個室の前に彼は立った。
さあ、最後よ。盛大に開けなさい!
「ここにも誰も居ないんだろうな〜。仕方ない、帰るか〜」
…ちょっと何言ってるか分かりませんね。いいから開けなさい。そして油断しなさい。
だが、数分程経過しても彼は一向にドアを開ける素振りは無かった。
「…え、ちょっと。俺帰っちゃうよ?いいの?」
(良い訳ないでしょう!?アンタが始めた事なんだから終わりまでしなさいよ!!)
そう心の中で毒づくと、その声を耳聡く聞きつけたのかミスティが念話で割り込んできた。
≪どう〜?若いお二人さん〜、お見合いは進んでる〜?≫
≪アンタ…、分かってて言ってるでしょ?≫
≪うん〜≫
心の中で溜息をつき、一気に脱力する。
こちとら今か今かと待っているのであるのだからして、可及的速やかに行動を起こして貰わねば然るべき結果を出せない。
≪少し計算狂ったわ。折角お膳立てして貰ったけど、私から行くべきかしら…?≫
≪あの人、すこーし積極性がたりないのかな〜?そのへんは花ちゃん任せだよ〜≫
なし崩し的に方針変更の相談をしていると、ドアの前から再び彼の声が聞こえた。
「君だって期待してここに居るんだろ?わざわざ俺を誘ったんだからさ!開けてくれよ!」
少し乱暴に叩かれたドアが軋んで開く。
鍵を掛けている訳でもないので何の抵抗も無く開くドア。
私は透明化しているから今実体は無く、開くドアも難なく身体を通り抜けていく。
懐中電灯の光が逆光となり、彼の姿は全く見えない。
ドアに篭められていた力は少し強かったらしい。
一瞬で開き彼の持っていた懐中電灯が個室内と私を照らし、反動で少し戻ってきたドアが僅かに光が浸食する領域を制限している。
少し強いだけで篭められた力は大した事は無かった。
個室のドアに加わった衝撃など微々たるものだ。
光が揺らぐ。
彼から見れば無人の空間の中、私は聞き流せない事を聞いた。
≪…ねぇ、ミスティ。此処まで誘導してくれたのはレインよね?≫
≪おぅ、い〜えす≫
自分に此処まで何の感情も乗せない声が出せるとは意外だった。
念話だからこそ直接話すよりもより発言に感情が乗り易いのだが、何故か上手くいかない。
≪聞き違いかしら?彼の発言だと『レインが彼を誘惑して誘導した』って取れるんだけど?≫
≪の〜。レインちゃんはプルプル震えてたから、そんな余裕なかったよ〜≫
≪あら、そう?じゃあどういう事かしら。協力してくれるって言ってたのに、誰か抜け駆けしたのかしら?≫
淡々とした発言と共に発せられる威圧感に圧される事無く、普段のペースでミスティは答えた。
≪それも、の〜。誘導した子は一人残らず、もう一人のソノダって人のところにいったよ〜?それ以外の子も残るかいったかしてる〜≫
≪…どういう事かしら?≫
≪たぶん、直前に会ったのがレインちゃんだったから、かな〜≫
発言の意図が理解しかねる。
どういうことかと考えていると、ミスティが補足してきた。
≪あの人がまだ『花ちゃんを見ていない』からじゃないかな〜?ここに居るのがレインちゃんだって思い込んでるのかも〜≫
≪あ…っ!≫
そうだ。迂闊だった。
私は確かに同じ空間内に居るが、向こうは私が見えてないんだった!
≪うん、うん。乙女だね〜、花ちゃん〜≫
≪うう…ごめん。そうよね、私が馬鹿だったわ…≫
快く応援までしてくれた仲間を疑うなんて。我ながら本当にどうかしている。
≪穴があったら埋まりたい…≫
≪まあまあ〜≫
まるでその場に居るかのように宥めてくるミスティ。
この子も、本当に良い子なのよね・・・。
≪まだ始まったばかりじゃない〜。花ちゃんがレインちゃん以上にバシッと見せ付ければいいんだよ〜≫
≪…そう?私いける?あの人ゲット出来る?≫
≪よゆうよゆう〜≫
仲間の気遣いが心に沁みる。
そうだ、自分が欲しいと思った人に此処まで周りが協力的だった事なんて今まで無かった。
皆、私が彼と結ばれるのを祝福してくれたじゃない。
≪も、もし。其処の御仁。私の名はヘイズという。どうだ、その、私を嫁にしてみないか?///≫
≪はいはーい!私ファムっていいまーす!元気娘とのメイク・ラヴって興味ありませんかーっ!!≫
≪あ゛ーっ!何抱きついてんですか!羨ましい!あ、自分レインって言います。ハーレムって興味ありません?≫
……たとえ、男の尻を追っかけてても祝福してくれたじゃない!
混線なのかもしれないが、えらくクリアーに聞こえる雑音が脳裏を過ぎる度に目から汗が流れる。
≪花ちゃん泣いてる〜?≫
≪汗よ!仲間から託されたプレッシャーを感じて出る汗よコノヤロー!!≫
≪…よっぽど堪えたんだね〜、キャラぶれまくりだよ〜≫
≪〜〜〜!っていうか、何で念話繋がりっぱなしなの!?使い終わったら切っときなさいよ!≫
≪嫁いだらともかく〜、まだ魔力に余裕がある場所にいるからね〜。うっかりじゃない〜?≫
どんなうっかりだ。
アレか!?聞いて欲しいのか!聞いて欲しいんだな!?
≪む、何と!既に妻がいる……して、その妻は人間か?…おぉ、そうなのか!私さえ良ければ、か?全く構わないぞ!≫
≪え、可愛いなんてそんな…///。元気だけが取り柄ですし…、その、宜しくお願いします///≫
≪抱きついていいって…♪。あふぅ、凄くいい匂い・・・♥≫
最早ピロートークのような甘さが染みつつある一方的な送信に、私の我慢もそろそろ限界である。
≪聞かせたいのかお前らぁぁあああああっ!!!!≫
≪花ちゃん、花ちゃん〜≪何っ!≫あの人、行っちゃうみたいだよ〜?≫
≪へ?≫
覗くと何時の間にか、もう用は無いとばかりにドアに向かって後ろ向きになっている彼。
うわ、ミスティとの漫才に時間掛けすぎた!
≪どどどどどどうしよう!?何か凄い帰りますって感じなんだけど!?≫
≪落ち着いて〜。まずは扉を閉めて仕切りなおししよ〜≫
≪そ、そうね!≫
もう少し冷静だったら別段行かせてもいいや、という余裕を見せられたろう。
だが、私はミスティに言われた通り先程の失敗を無かった事にする方向で動いていた。
潤滑油の少ない蝶番が、悲鳴のような音を鳴らす。
その音に彼も気付いたようで、こちらへ振り返った。
≪花ちゃんって予想外の事態には弱いよね〜。攻めと受けなら攻めるほうだし〜≫
≪いやどっちかというと受けたいけど…まぁ、いいわ≫
振り出しに戻った結果となったが、仕切り直せるなら何でもいい。
今度こそ上手く―――
≪ミスティさんや≫
≪な〜に〜?≫
≪あの人、ドア後ろ手に構えたまま何ですが≫
そう、彼は微動だにせずこちらを―――正確にはこちらの個室のドアを―――見たまま固まっていた。
今になって漸く思い至った。
開いたドアがピッタリ閉じていたら、そりゃ警戒する。
彼はじっと視線を外さず、後ろ手にガチャガチャとドアを開けようとしてた。
≪…凄く、帰りたそうね≫
≪…そうだね〜≫
不器用なのではなく、切羽詰ったような表情からすると指自体が上手く動いていないのだろう。
何というか、必死の努力が空回りしている様は見ていて可哀想になってくる。
≪取り敢えず、出してあげよっか。機会は彼が出るまでまだ有るし、最悪の場合憑いていけばいいもの≫
≪花ちゃん優しい〜。その辺はまかせるわ〜≫
彼には悪いが、まさか最初の最初で躓かれるとは思わなかった。
理解していたとはいえ、やっぱり【あの人】とは外見以外全くの他人なのだ。
【あの人】と同じ神経を期待するのは、彼に失礼だろう。
私は極普通に個室のドアを開けた。
軋む音が少し煩わしいが、彼の隣の壁を通り抜けて外から開けてやれば簡単に転げ出るだろう。
私自身は大して力はないが、ちょっとした裏技というか得意技はあるので仮に成人男性が全力で体重を掛けていても問題ない。
(手の掛かる旦那様だこと…)
そう、脳裏に思い描いた瞬間彼が発条で弾かれるようにドアを開けて駆け出して行った。
女子トイレには前に進もうとしたままの奇妙な姿勢で、私だけが固まっている。
≪お〜、さっそく飛ばしますな〜花ちゃんさんや〜≫
途端、先程の私と同じように少し年寄りくさい呼びかけをしてくるミスティ。
断じて違う。まだ私は何もしてない。
≪えー…とね、ミスティ?私まだ何もしてないんだけど…≫
≪えー?そんな訳ないよー?私見てたし〜≫
どういう事かと考えていると、ミスティから追加情報が届いた。
≪花ちゃんとおなじで透明化して天井から見てたけど〜透明化したまま魔力でドア開けたでしょ〜?≫
≪Oh……≫
疑問氷解。
つまり私は、『透明化を解かないまま』普段と同じようにドアを開けたのだ。
知らない人間が見たら独りでに閉まっていたドアが開くのだから、そりゃ驚く。
≪うんうん。呼吸するように私達に出来ない事を平然とやってのけるのが花ちゃんの凄いとこだよね〜≫
≪…それ、褒めてるの?それとも貶してるの?≫
≪もちろん褒めてるよ〜。花ちゃんに頼んで本当によかった〜≫
今一釈然としないが、これ以上追求しても埒が明く事はないだろう。
初っ端から上手くいかないスタートだが、一応脅かしてはいる。
だが、これで私の条件がクリアーされた事にはならないだろう。
≪ミスティ。彼、今何処に居るか分かるかしら?≫
≪げんざい廊下を全力疾走〜。せんせーにいいつけちゃお〜♪≫
先生って誰よ。
まぁ現在地がそう遠くないなら、後を追えば―――いや。
≪先回りするわ。何か彼に変わった事があれば教えて≫
≪…おや〜?まだ続けてくれるの〜?≫
相変わらず眠くなるような声で、悪戯っぽく聞いてくるミスティ。
本当にいい性格をしてる。
≪貴女の旦那様はこんな方法を期待した訳じゃないでしょう?≫
そうだ。今回の条件は【ショック療法になり得る位の脅かし】。
あんな一時の感情の爆発で解消されるようなものではない筈である。
≪そうかもしれないけど〜。でも花ちゃんはちゃんとしたじゃない〜。多分、大丈夫だよ〜?≫
≪…ねぇ、ミスティ。私本当に嬉しいの。もう一度【彼】を手に入れられるチャンスをくれた貴女に、感謝してるわ≫
それは偽らざる本音だ。
二度ない筈の機会は、彼女の手によって形となった。
≪だからこそ、私も、貴女も、貴女の旦那様も、皆納得行く方法を示したいの。中途半端は嫌。だからもう少しだけ、協力してくれない?≫
≪……私、既婚だけど。ちょっと惚れそうになったよ〜。花ちゃんかっこいい〜///≫
本気でない事を祈りたい返答だが、続く言葉は私の期待したものだった。
≪よ〜し、ワイフリーダー・ミスティ!花ちゃんを全力サポートだよ〜!≫
心強い言葉を受けて、私は移動する。
目指す場所は中央階段。
人間と異なり最短距離で移動できるこの身体は、仮に彼がこの建物内の何処に移動しても逃がさないだろう。
このチャンスに二度目はない。私に出来る全力を傾けるべきだ。
今度こそ自分を刻み込まなくては。
無機質なだけではない壁をすり抜けながら、口から無意識に、私の願いが零れた。
13/11/18 00:06更新 / 十目一八
戻る
次へ