連載小説
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番外編. 逃げ出した男の末路
雨がざあざあと降り注いでいる。空は厚い雲で覆われ、夜でもないのに薄暗い。

「ちっ……!あんなクズ共のせいで、教会を手放す事になるとは……!」

クレティアンは毒づきながら、馬を走らせる。
「(だが、まぁいい……!この先にある親魔物派の村に、部下達が向かっているはず!)」
教会から逃げ出した後、教会の外で活動をしていた部下に連絡を取る事に成功した。
この先の村を襲撃し、食料・金品を奪う予定だ。
「(くく……憂さ晴らしに、村人を嬲り殺しにするのも良いな)」
魔物や新魔物はの人間をじわじわといたぶる所を想像すると、自然と笑みがこぼれた。
「くく……くははははは……!」

「止まれ。」

道の真ん中に一人の男が立っていた。フードを深くかぶっているせいで、顔はよく見えない。
あわてて馬を止まらせる。
「なっ……!無礼者!私を誰だと思っている!」
「ファナト教会最高責任者、アベル=クレティアン。……お前の部下から聞いた。」
「な……!?」
「いきなり村にやって来て村人を殺そうとしていたんでな、ちょっと痛めつけてやったらすぐに吐いてくれたよ。」
「く……!あの、役立たず共め……!」
「さて、それでは……その役立たずの所まで案内してやろう。」
男が腰の剣に手を掛けたのを目にし、クレティアンは馬をすぐに走らせた。
馬に乗っている時点で、クレティアンは圧倒的に有利なはずだった。
目の前に居る男の実力は計り知れない。
それならば無理に戦う必要は無い。逃げてしまえばそれで終わりだ。
「出来る物ならやってみろ!馬鹿め!」
「……」
ヒュッ!と風を切る音が聞こえ、蒼い閃光が瞬いたように感じたが、男はもう遥か後ろに居る。
今更何も出来ないだろう。
「(はっ!口だけか!あの程度なら……)」
後ろを振り向こうとすると、世界が急に傾いた。
「(落馬?そんな馬鹿な、何故……)」
クレティアンが見たのは、首から血を噴水のように噴き出しながら、馬から崩れ落ちる「誰か」だった。
「(なんだあれは?馬に乗りながらやられるなんて、どこの間抜けだ?全く、どいつもこいつも屑ばかりだ。まあいい、村に着いたら―――)」

視界が急速に暗くなり、自分が何を考えていたのかすら分からなくなり始めてからやっと―――クレティアンは、目の前の「間抜け」が誰なのかに気付いた。
しかし、その後クレティアンの思考が働くことはなかった。

「……」
キンッ!
いつの間に抜いたのか、男は剣を鞘に納める。
懐からタバコを取り出し、雨に濡れないように火をつける。
「……フゥーッ」
紫煙を吐き出すと、マントを翻し村に向かって歩き始めた。
「……食料と水を分けてもらったら……次は……東に向かうか。」
13/06/02 17:41更新 / ホフク
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■作者メッセージ
最終話であった部分をちょっと修正して、別の話として載せました。
っていうのも、実は今MAMONO GEAR SOLIDを一回休んでこっちの続編を書いているので、
思い出してもr……ゲフンゲフン。ちょっとこちらの修正をしたかったのです。

ものすご〜く間が開いてしまいましたが、これからもよろしくお願いします!

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