ぬくもり恋しい眠りに
今日も無事、一日が終わった。
寝巻きに着替え、後は寝るだけだ。
「お休みなさいっと」
誰に言うでもなく呟いてベッドに入る。
肌寒くなってきた時期、入ってすぐのベッドは外気と同じ冷たさで迎えてくれる。
お休みを言う相手すらいない、一人寝の孤独が身にしみる。
それでも慣れ親しんだベッドはやがて暖かさを蓄え、
日々の疲れも手伝って、その孤独すらも沈み込むように意識を眠りの世界に誘って行く。
……今夜はなんだか、吸い込まれるような不思議な感覚がある。
目を閉じているはずなのに、目の前がぐらぐらとゆれているような、
どこかに飛ばされそうな、しかし、それを確認しようとしても、
ぴたりと閉じた瞳はなぜか開くことが出来ない。
（なんだ……この感じ）
ようやくそれを頭に浮かべることが出来たのを最後に、
翻弄される感覚に巻き込まれるように意識を飛ばされてしまうのであった。
「なんだろ〜、これ〜」
「人間が使う〜、ベッドってやつじゃないですか〜」
「おお〜、すごい柔らかい〜、あ、お姉ちゃん見て見て〜」
「あら〜、人間の男の人ですね〜、眠ってますね〜」
「いいな〜、こんなふわふわな所で寝たら気持ち良さそうだな〜」
「うふふ〜、じゃあ一緒に寝ちゃいます〜？ なかなかカッコいい人ですし〜」
「そうだね〜、一緒に寝て〜、気持ちよ〜くなっちゃお〜か〜」
まぶた越しに明るい光が見える。
もう朝なのだろうか、あまり長く寝た気はしないのだが。
もう少し、ぬくもりを感じていようと体をベッドに擦り付けようとする。
「うふふ〜」「んん〜、むにゃ」
なにやら、柔らかい物に阻まれる。
左右から挟むように暖かく、触り心地の良い何かが体に密着している。
寝ぼけたまま、手を動かしてそれに触れてみる。
ふわっふわの綿のような柔らかさの下に、
今度はやわ餅のような暖かい柔らかさがあり、
それぞれ絶妙な感触を返し、その手触りに思わず手に力をこめる。
「ん……ふふ〜、エッチ〜」「んにゃあ、や〜ん」
この暖かさと柔らかさはまるで恋しかった人肌のようで、
しかし、さっきから聞こえてくる声は、いったいなんだろう……
「…………あれ、ここは？」
目を見開いて最初に見えた光景は白い雲が程よく散りばめられた青い空。
爽やかな風の中にかすかに葉が擦れる音がする、どう考えても野外だ。
そして、ベッドから起き上がるのを拒むように左右から体に絡みつく手と、
耳にくすぐるように当てられる寝息のような呼吸音。
両隣に可愛らしい女の子が二人、気持ち良さそうに眠っていたりする。
顔を向ければ唇が触れてしまいそうなほど身を寄せ合っている彼女達からもれる寝言が、
夢うつつに聞いていた声と同じであることに気づく、
そして先ほどから自分の手に離れがたい感触をもたらしている物は、
彼女達の胸だと理解したとたん、一気に眠気が吹き飛び、飛び起きる。
「……まて！ どうなっているんだこりゃ！！」
本当に外だ、見渡す限りの大草原に、ポツンと自分のベッドが置かれているだけだ。
大自然とは程遠い家のアパートから常識的な手段でこんな場所まで運べるとは思えない。
しかし、はっきり覚醒した意識と、先ほどの……感触から、
これが夢というわけでは無いということもわかる。
「んにゅ〜、なにぃ〜？」「ふわ〜あぁ〜、おはようございまふぅ」
大声で飛び起きたせいで、寝ていた女の子達が目を覚ます。
そうだ、この子達から何か聞けないだろうか。
「ねえ君達、ここがどこだか教えてもらえるかい？」
「ん〜、えっとね〜、私達の原っぱ〜」
「そういうことじゃないでしょ〜、でも、この辺に地名とかはないですね〜」
地名が無いとは、少なくともここは自分の住んでいた国ではなさそうだ。
そんな考えがまだまだ甘いと言うことをすぐに思い知ることになる。
「そういえば〜、以前ここを通りがかったサキュバスさんが〜、ここは明緑魔界になってるって言ってましたよ〜」
いきなり聞きなれない単語を聞いて一瞬意味がわからなくなる。
サキュバスって言ったら、ゲームとかに出てくるエロい悪魔のことだろうか。
そして、『めいりょくまかい』の『まかい』って言うのは、
ひょっとして魔界のことだったりするんだろうか。
……そもそも今更ながらだが、この二人からして頭に角を生やし、
髪の毛にまぎれて動物のような耳を付けている。
まさかと思いながらも恐る恐る聞いてみる。
「じゃあ、その……ひょっとして二人とも、人間じゃあなかったりとか……するのかな？」
「そうですよ〜、私達はワーシープという種族なんです〜」
「羊さんの〜、魔物なんだよ〜」
こんなファンタジーなことが起こりえる物なのだろうか、
気が付いたら魔界にいて魔物と寝ていましただなんて、
魔界とは思えないほど爽やかな光景に、
魔物とは思えないほど可愛い女の子達ではあるけれど……
あまりに現実味の無い状況に、軽く眩暈を起こしそうになる。
「あれ〜、どうなさいました〜？ お具合が悪そうですけど〜？」
ふらつきを払おうと頭を振る様子を見てか、女の子の一人が声をかけてくれる。
薄クリーム色の髪の毛から覗けるその目は本当に心配をしてくれているように見える。
魔物だと本人達は言っていたけれど、怖がるような存在ではないのかもしれない。
「ありがとう、だいじょッ！？ ムグッ！？」
「調子が悪いなら寝るのが一番だよ〜、もう少し一緒に寝ようよ〜」
大丈夫だと答えようとした時、突然視界が真っ白に染まる。
何とか白い圧迫から目だけを出すと、
もう一人の子が胸から覆いかぶさるように抱きついてきていた。
完全な白を表現するかのような羊毛が鼻先に突きつけられ、
その下から感じる柔らかい感触は当然彼女の胸で、
全身に感じる肢体の暖かさは女性の魅力を存分に感じさせる物で。
このままでは、いかがわしい感情がわきあがってきそうになってしまう。
「ぷはぁ！ まって、大丈夫だから、ちょっと離れて……うわ！？」
「そうですね〜、そういう時は寝るのが一番ですよ〜」
なんとか顔を離して抱きつくのをやめさせようとするが、
こんどは心配してくれていた子まで抱きついてくる。
体の各所に生えたふわふわの毛を擦り付けてきながら、
胸にしなだれかかるように抱きついて、
起こしたばかりの上半身を再びベッドに戻そうと体重をかけてくる。
「君までそんな……ぁ……ふわぁ……？？？」
「いいからいいから〜、寝ちゃお〜寝ちゃお〜」
「そうですよ〜、寝ちゃいましょ〜」
あくびを漏らした自分に、いつの間にか漏らすほどの眠気を覚えている自分に驚く。
女の子二人に抱きつかれた状況で眠気など感じるだろうか、
しかし、何もかも投げたしてしまいそうな心地良い眠さが、考える力を奪っていく。
「ほら〜、一緒に寝よ〜、とっても気持ちいいよ〜」
「何も心配ありませんから〜、力を抜いてくださいな〜」
「でも……こんなことしている場合じゃ……あふぅ……」
決して力ずくではない、自然な体重の重みでベッドに誘われていく。
本当だったら寝ている場合ではない、状況を把握して、
この場所、あるいは世界のことを聞いて、これからどうするかを考えなくてはいけない。
しかし、彼女達に生える体毛からのふわふわが、
離れがたい抗いがたい、眠気を伴う心地良さを与えてくれて、
あくびが漏れ、まぶたが重くなり、体から力が抜けていく。
「もう少しもう少し〜、んふふ〜、すりすり〜、ぎゅう〜」
「いいですよ〜、そのままですよ〜、……あったかぁい」
「…………あぁ……」
抵抗空しく、二人によってベッドに再び倒されてしまう。
毛布をかけ直され、普段から慣れたいつものぬくもりと、
その中で体に女体が絡みつき、彼女らのふわふわな毛が全身を包む、
女の子の感触が体に余すところ無く伝わっていく。
暖かくて、柔らかくて、自分以外の誰かの熱が伝わる心地良さ。
ふわふわもふもふでぽかぽかぬくぬくで、
とろけるような心地良い眠気に支配されていく。
もう何も考えられない、考えようとする意識がその心地良さにゆっくりとかされて……
「……気持ち良さそうだね〜、んふふ〜、わたしもいい感じ〜」
「ですね〜、良い抱き心地の人ですね〜」
「……ねえ〜、お姉ちゃん〜」
「ふふ〜、いいと思いますよ〜、こんなに気持ちいいんですもの〜」
「そうだよね〜、じゃあ〜、も〜っと気持ちよ〜くなっちゃお〜か〜」
「…………ぁ……何……を……？」
「いいから〜、いいから〜」
「……うふふ〜」
ぼやけた意識の中で、二人の動きに変化が出てきたことを感じる。
ゆっくりと体中を這っていた二人の手が、寝巻きを脱がそうとしてきているのだ。
体をまさぐりながら上着のボタンを一つ一つ外していく指の動きさえゆっくりで、
ズボンを下ろすのにも、少しずつずらすようになされ、眠りの心地を阻害しない。
ぼんやりと気持ちの良いまま、毛布の中で肌を晒されてしまう。
「もっとも〜っと、気持ち良くなるだけだから〜」
「そのまま身を任せていてくださいね〜」
その言葉にもう返事すら出来ない、完全にとろかされた頭は言われるがまま、
なされるがままに体を弄ばれることしかできなかった。
体を撫で付ける手の一つが、するりと下半身にのびて竿を探り当てる。
魅力的な二人に挟まれ、すでに臨戦態勢を整えてあるそれを、
ゆっくりと形を確かめるように撫で、さすり、揉み、こねくり回す。
「すごいよ〜、お姉ちゃん〜、もうとってもおっきい〜」
「気持ち良くなってくれているんですね〜、このままゆっくりしてあげましょうね〜」
竿を弄り回していた手が、そっと全体を包み、しごく様に動き始める。
毛布や、擦り付けられる胸の柔らかさのような、体に感じる心地良さ、
二人の羊毛から感じる、うたた寝のような不思議な気持ちの良い眠気、
そして自分以外の、それも可愛い女の子二人に抱きしめられる安心感、
それらの心地良さをまったく邪魔せず、むしろ混ざるように性感が高められていく。
「…………う……ぁ……」
「ビクビクしてきた〜、ねえ〜、そろそろいっかな〜？」
「良さそうですね〜、ゆっくりと味わいなさいね〜」
「は〜い、んふふ〜」
緩やかな愛撫を続けていた手を不意に止められ、毛布の中にもぐられる。
もぞもぞと下半身で蠢く感触にぼんやりと目を開けば、
中で何をしているのか、ぽっこり一人分膨れた毛布が見える。
「あら〜、見たいですか〜、それじゃあよ〜く見てくださいね〜」
そのまま添い寝してくれていた子が、するりと毛布を取り払う。
その光景は眠気にとろけた頭にも驚きをもたらす物だった。
「あ、もう〜、気づかれないように入れようとしたのに〜」
いつの間に消えたのか、彼女の秘部を覆っていた羊毛が無くなっており、
その部分に、自分のモノがあてがわれようとしていたのだ。
「ごめんね〜、なんだか見たそうにしてたから〜」
「ん、いいよ〜、動きやすくなったし〜」
体を起こして膝立ちになった彼女は、改めて狙いを定めるように腰を下ろし始める。
止められない、体が気持ち良くて動かない、頭がとろけて考えてくれない、
ぼんやりとした気持ち良さの中で自身が飲み込まれるのを見ることしか出来なかった。
「んん〜、入ってくぅ〜、ふっぅ、あっあはぁ！」
綺麗なピンク色の秘部はぬるぬるの粘液に包まれ、
驚くほどスムーズにそれを受け入れてくれる。
途中、僅かな抵抗と何かを破る感触を感じたが、
それすらもすぐに通り過ぎ、あっさりと奥まで包み込まれてしまった。
「わぁ〜……そんなすぐに……痛くは無いの？」
「……んっ……あぁ！ これぇ痛くないぃ！ な、なんかすごい！ すごくなりそうぅぅ」
のんびりとしていた彼女の表情が崩れ、体をぶるぶると震わせ始める。
それと同時に、腰にも上下運動が加えられていく、
具合を確かめるように数回往復した後、一気に速度を上げて激しい抜き差しが行われる。
「あっあっあぁ！ 男の人のってぇ！ こんなにっすごいのぉ！ 気もっちっいい！ 一人でスルのと全然ちがぁぁ！ 止まらなっ！ 止まらないよぉぉぉぉぉ！！！」
「そ、そんなに〜、すごいの〜？」
こっちもたまらない、ぬめり締まるその中に自分のモノが入れられ、
先ほどの愛撫とは比べ物にならない激しさに翻弄されてしまう。
今まで高められていた快楽が叩きつけられるようにどんどんと上乗せされていく。
それと同時に、体を擦り付けてくる子から感じる不思議なまどろみも健在で、
体全体を使ってすがり付き、抱きしめてくれる暖かさが、
我慢などと言う言葉を脳から追いやってしまう。
快楽だけが溜まっていく、眠気にとろける頭はそれを受け取るだけ。
与えられる気持ち良さのままに、あっさりとその結果を放出してしまう。
「…………ぁ……で……る……」
「あっ……でったぁ！ あ？ うぁ？？？ あ……………………ッ！！！」
気持ちがいい、全てがそれに終始する。
「へん、なのぉ、アソコにぃ、アソコなのにぃ、気持ち良いのとぉ、おいしいのが、いっしょにぃ…………ッ！ ダメェ！！ ア……すごいぃぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜！！！！！！」
「…………わぁ……」
背筋をのけぞらせて嬌声をあげる子の中に出し続ける。
「ヒィ！ ヒグゥ！ アッアア！」
彼女もそれを飲み込み、脈動の続く限り、受け止め続けてくれる。
「すご……い……のぉ」
ゆっくりと彼女の体が倒れる。
柔らかい彼女の胸を再び感じながら、ようやくその動きが止まる。
「……あ……あんなになっちゃうんだ……ン……」
毛布の中、絡みつく足のあいだから、もう一つの熱いぬめりも感じながら……
「…………ン……フ……ゥ……」
「……おねぇ……ちゃん」
二人の声が聞こえる。
「ッ！？ あ……大丈夫……なの？」
「うん……おねえちゃん、がまんできなかった？」
「え？ ちが、じゃ無くて、何のことですか〜？」
気持ち良さをくれた、暖かさをくれた二人の声が。
「……んふふ〜、次はお姉ちゃんの番だよ〜」
「……え？ 私の番って？」
「決まってるでしょ〜、お姉ちゃんもしてもらうの〜」
でも、まだ片方だけ。
「……でも……この人は貴方の彼氏に……」
「ふふ〜、ほら見て〜」
「……あ……まだ……こんなに……」
あの気持ち良さを、あの暖かさを。
「お姉ちゃんのことも欲しがっているんだよ〜」
「……私……も？」
「……お姉ちゃんも一緒じゃなきゃ、ダメなんだよ〜」
「……ん……ありがと」
二人とも、二人分、一緒に、一緒に感じたい。
「ン……ン……ア……ッツ！？」
「大丈夫だよお姉ちゃん〜、ゆっくりだよ〜」
再び気持ち良さの中に包まれる。
同じように一瞬だけ抵抗を感じるが、
すぐに通り抜けて最奥まで飲み込まれる。
「ね〜、平気でしょ〜？ ……どんな感じ〜？」
「ン……平……気……ほんとにぃ……こ、これぇ！」
入れられているモノにも感じられるほど体を震わせ、
どこか余裕のある、ぽやんとしていた表情がとけ崩れるところもそっくりで、
「ア……アァ……おいしいの……わかるぅ……残ってるおいしいのが……中にぃ……」
ゆっくりと中のそれを混ぜ合わせる動きか開始される。
ゆっくりと……ゆっくりと……激しくは、ならない。
「……お姉ちゃん？」
「気持っち……いいの……すごくって……ン……動けっないよぉ……」
彼女の震えは、体をビクビクとはねさせるほどに激しくなっているが。
抜き差しするその運動だけは、時々止まるほどにゆったりとしたリズムを刻む。
「あっあっああ！ で……でもっぉ、止まらないのぉ……気持ちよっすぎてぇ、動けなっいのにぃ、気っ持ちっ良くて、止まらっないのぉ」
抜いては止まり、飲み込んではまた止まる。
先ほどの行為のような激しさは無いが、その分、まどろみによる心地良さが強く現れ、
それが性的な快楽と混ざり合っていく。
「……お姉ちゃんみたいなのもいいな〜、ふふ〜、お手伝いお手伝い〜」
再びベッドに戻った子がまた体を抱きしめてくれる。
ふわふわの毛を押し当て、擦り付け、不思議な眠気を増幅させてくれる。
「こ……これぇ……イってるっのぉ？ わたっしぃ……動くったびにぃぃぃ」
一突きするごとに体を震わせ、抜き差しそのものは止まるのだが。
そのたびに媚肉は粘液を吐き出しながら収縮し、包む竿に快楽を与えてくれる。
「アッ……ダメッェ……も……勝手にぃ……ヒッ……アッ……動っく……気持ちっいいぃ！」
まどろみの、何も考えられない中での気持ち良さ。
陶酔する、気持ち良さの中にまどろみ、陶酔する。
「アァ？？？ ……………で……？ ンンッ！？ アアアァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！！」
自分では分からなかった、ただ、気持ち良さの中に跳ね上がる感覚があっただけだった。
「ッ〜〜〜〜〜〜〜！ ッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！ ァ…………ァ…………！！！」
「……！？ …………！！ …………！！！ ………… ……」
長く、頂点に上り詰めるような極楽の心地に声すら出ない。
そして、その感覚がゆっくりと落ち着くとともに、
眠気の心地良さが一瞬で僅かな意識をさらっていく。
暖かく包まれ、孤独なんてどこにも無い、二人の鼓動を感じながら眠りに落ちていく。
この世界で暮らすにせよ、元の世界に戻るにせよ、
もうこの二人とは離れられない。
すでに半分夢の中にいながら、そんな当たり前のことを思い浮かべるのであった。
おしまい
寝巻きに着替え、後は寝るだけだ。
「お休みなさいっと」
誰に言うでもなく呟いてベッドに入る。
肌寒くなってきた時期、入ってすぐのベッドは外気と同じ冷たさで迎えてくれる。
お休みを言う相手すらいない、一人寝の孤独が身にしみる。
それでも慣れ親しんだベッドはやがて暖かさを蓄え、
日々の疲れも手伝って、その孤独すらも沈み込むように意識を眠りの世界に誘って行く。
……今夜はなんだか、吸い込まれるような不思議な感覚がある。
目を閉じているはずなのに、目の前がぐらぐらとゆれているような、
どこかに飛ばされそうな、しかし、それを確認しようとしても、
ぴたりと閉じた瞳はなぜか開くことが出来ない。
（なんだ……この感じ）
ようやくそれを頭に浮かべることが出来たのを最後に、
翻弄される感覚に巻き込まれるように意識を飛ばされてしまうのであった。
「なんだろ〜、これ〜」
「人間が使う〜、ベッドってやつじゃないですか〜」
「おお〜、すごい柔らかい〜、あ、お姉ちゃん見て見て〜」
「あら〜、人間の男の人ですね〜、眠ってますね〜」
「いいな〜、こんなふわふわな所で寝たら気持ち良さそうだな〜」
「うふふ〜、じゃあ一緒に寝ちゃいます〜？ なかなかカッコいい人ですし〜」
「そうだね〜、一緒に寝て〜、気持ちよ〜くなっちゃお〜か〜」
まぶた越しに明るい光が見える。
もう朝なのだろうか、あまり長く寝た気はしないのだが。
もう少し、ぬくもりを感じていようと体をベッドに擦り付けようとする。
「うふふ〜」「んん〜、むにゃ」
なにやら、柔らかい物に阻まれる。
左右から挟むように暖かく、触り心地の良い何かが体に密着している。
寝ぼけたまま、手を動かしてそれに触れてみる。
ふわっふわの綿のような柔らかさの下に、
今度はやわ餅のような暖かい柔らかさがあり、
それぞれ絶妙な感触を返し、その手触りに思わず手に力をこめる。
「ん……ふふ〜、エッチ〜」「んにゃあ、や〜ん」
この暖かさと柔らかさはまるで恋しかった人肌のようで、
しかし、さっきから聞こえてくる声は、いったいなんだろう……
「…………あれ、ここは？」
目を見開いて最初に見えた光景は白い雲が程よく散りばめられた青い空。
爽やかな風の中にかすかに葉が擦れる音がする、どう考えても野外だ。
そして、ベッドから起き上がるのを拒むように左右から体に絡みつく手と、
耳にくすぐるように当てられる寝息のような呼吸音。
両隣に可愛らしい女の子が二人、気持ち良さそうに眠っていたりする。
顔を向ければ唇が触れてしまいそうなほど身を寄せ合っている彼女達からもれる寝言が、
夢うつつに聞いていた声と同じであることに気づく、
そして先ほどから自分の手に離れがたい感触をもたらしている物は、
彼女達の胸だと理解したとたん、一気に眠気が吹き飛び、飛び起きる。
「……まて！ どうなっているんだこりゃ！！」
本当に外だ、見渡す限りの大草原に、ポツンと自分のベッドが置かれているだけだ。
大自然とは程遠い家のアパートから常識的な手段でこんな場所まで運べるとは思えない。
しかし、はっきり覚醒した意識と、先ほどの……感触から、
これが夢というわけでは無いということもわかる。
「んにゅ〜、なにぃ〜？」「ふわ〜あぁ〜、おはようございまふぅ」
大声で飛び起きたせいで、寝ていた女の子達が目を覚ます。
そうだ、この子達から何か聞けないだろうか。
「ねえ君達、ここがどこだか教えてもらえるかい？」
「ん〜、えっとね〜、私達の原っぱ〜」
「そういうことじゃないでしょ〜、でも、この辺に地名とかはないですね〜」
地名が無いとは、少なくともここは自分の住んでいた国ではなさそうだ。
そんな考えがまだまだ甘いと言うことをすぐに思い知ることになる。
「そういえば〜、以前ここを通りがかったサキュバスさんが〜、ここは明緑魔界になってるって言ってましたよ〜」
いきなり聞きなれない単語を聞いて一瞬意味がわからなくなる。
サキュバスって言ったら、ゲームとかに出てくるエロい悪魔のことだろうか。
そして、『めいりょくまかい』の『まかい』って言うのは、
ひょっとして魔界のことだったりするんだろうか。
……そもそも今更ながらだが、この二人からして頭に角を生やし、
髪の毛にまぎれて動物のような耳を付けている。
まさかと思いながらも恐る恐る聞いてみる。
「じゃあ、その……ひょっとして二人とも、人間じゃあなかったりとか……するのかな？」
「そうですよ〜、私達はワーシープという種族なんです〜」
「羊さんの〜、魔物なんだよ〜」
こんなファンタジーなことが起こりえる物なのだろうか、
気が付いたら魔界にいて魔物と寝ていましただなんて、
魔界とは思えないほど爽やかな光景に、
魔物とは思えないほど可愛い女の子達ではあるけれど……
あまりに現実味の無い状況に、軽く眩暈を起こしそうになる。
「あれ〜、どうなさいました〜？ お具合が悪そうですけど〜？」
ふらつきを払おうと頭を振る様子を見てか、女の子の一人が声をかけてくれる。
薄クリーム色の髪の毛から覗けるその目は本当に心配をしてくれているように見える。
魔物だと本人達は言っていたけれど、怖がるような存在ではないのかもしれない。
「ありがとう、だいじょッ！？ ムグッ！？」
「調子が悪いなら寝るのが一番だよ〜、もう少し一緒に寝ようよ〜」
大丈夫だと答えようとした時、突然視界が真っ白に染まる。
何とか白い圧迫から目だけを出すと、
もう一人の子が胸から覆いかぶさるように抱きついてきていた。
完全な白を表現するかのような羊毛が鼻先に突きつけられ、
その下から感じる柔らかい感触は当然彼女の胸で、
全身に感じる肢体の暖かさは女性の魅力を存分に感じさせる物で。
このままでは、いかがわしい感情がわきあがってきそうになってしまう。
「ぷはぁ！ まって、大丈夫だから、ちょっと離れて……うわ！？」
「そうですね〜、そういう時は寝るのが一番ですよ〜」
なんとか顔を離して抱きつくのをやめさせようとするが、
こんどは心配してくれていた子まで抱きついてくる。
体の各所に生えたふわふわの毛を擦り付けてきながら、
胸にしなだれかかるように抱きついて、
起こしたばかりの上半身を再びベッドに戻そうと体重をかけてくる。
「君までそんな……ぁ……ふわぁ……？？？」
「いいからいいから〜、寝ちゃお〜寝ちゃお〜」
「そうですよ〜、寝ちゃいましょ〜」
あくびを漏らした自分に、いつの間にか漏らすほどの眠気を覚えている自分に驚く。
女の子二人に抱きつかれた状況で眠気など感じるだろうか、
しかし、何もかも投げたしてしまいそうな心地良い眠さが、考える力を奪っていく。
「ほら〜、一緒に寝よ〜、とっても気持ちいいよ〜」
「何も心配ありませんから〜、力を抜いてくださいな〜」
「でも……こんなことしている場合じゃ……あふぅ……」
決して力ずくではない、自然な体重の重みでベッドに誘われていく。
本当だったら寝ている場合ではない、状況を把握して、
この場所、あるいは世界のことを聞いて、これからどうするかを考えなくてはいけない。
しかし、彼女達に生える体毛からのふわふわが、
離れがたい抗いがたい、眠気を伴う心地良さを与えてくれて、
あくびが漏れ、まぶたが重くなり、体から力が抜けていく。
「もう少しもう少し〜、んふふ〜、すりすり〜、ぎゅう〜」
「いいですよ〜、そのままですよ〜、……あったかぁい」
「…………あぁ……」
抵抗空しく、二人によってベッドに再び倒されてしまう。
毛布をかけ直され、普段から慣れたいつものぬくもりと、
その中で体に女体が絡みつき、彼女らのふわふわな毛が全身を包む、
女の子の感触が体に余すところ無く伝わっていく。
暖かくて、柔らかくて、自分以外の誰かの熱が伝わる心地良さ。
ふわふわもふもふでぽかぽかぬくぬくで、
とろけるような心地良い眠気に支配されていく。
もう何も考えられない、考えようとする意識がその心地良さにゆっくりとかされて……
「……気持ち良さそうだね〜、んふふ〜、わたしもいい感じ〜」
「ですね〜、良い抱き心地の人ですね〜」
「……ねえ〜、お姉ちゃん〜」
「ふふ〜、いいと思いますよ〜、こんなに気持ちいいんですもの〜」
「そうだよね〜、じゃあ〜、も〜っと気持ちよ〜くなっちゃお〜か〜」
「…………ぁ……何……を……？」
「いいから〜、いいから〜」
「……うふふ〜」
ぼやけた意識の中で、二人の動きに変化が出てきたことを感じる。
ゆっくりと体中を這っていた二人の手が、寝巻きを脱がそうとしてきているのだ。
体をまさぐりながら上着のボタンを一つ一つ外していく指の動きさえゆっくりで、
ズボンを下ろすのにも、少しずつずらすようになされ、眠りの心地を阻害しない。
ぼんやりと気持ちの良いまま、毛布の中で肌を晒されてしまう。
「もっとも〜っと、気持ち良くなるだけだから〜」
「そのまま身を任せていてくださいね〜」
その言葉にもう返事すら出来ない、完全にとろかされた頭は言われるがまま、
なされるがままに体を弄ばれることしかできなかった。
体を撫で付ける手の一つが、するりと下半身にのびて竿を探り当てる。
魅力的な二人に挟まれ、すでに臨戦態勢を整えてあるそれを、
ゆっくりと形を確かめるように撫で、さすり、揉み、こねくり回す。
「すごいよ〜、お姉ちゃん〜、もうとってもおっきい〜」
「気持ち良くなってくれているんですね〜、このままゆっくりしてあげましょうね〜」
竿を弄り回していた手が、そっと全体を包み、しごく様に動き始める。
毛布や、擦り付けられる胸の柔らかさのような、体に感じる心地良さ、
二人の羊毛から感じる、うたた寝のような不思議な気持ちの良い眠気、
そして自分以外の、それも可愛い女の子二人に抱きしめられる安心感、
それらの心地良さをまったく邪魔せず、むしろ混ざるように性感が高められていく。
「…………う……ぁ……」
「ビクビクしてきた〜、ねえ〜、そろそろいっかな〜？」
「良さそうですね〜、ゆっくりと味わいなさいね〜」
「は〜い、んふふ〜」
緩やかな愛撫を続けていた手を不意に止められ、毛布の中にもぐられる。
もぞもぞと下半身で蠢く感触にぼんやりと目を開けば、
中で何をしているのか、ぽっこり一人分膨れた毛布が見える。
「あら〜、見たいですか〜、それじゃあよ〜く見てくださいね〜」
そのまま添い寝してくれていた子が、するりと毛布を取り払う。
その光景は眠気にとろけた頭にも驚きをもたらす物だった。
「あ、もう〜、気づかれないように入れようとしたのに〜」
いつの間に消えたのか、彼女の秘部を覆っていた羊毛が無くなっており、
その部分に、自分のモノがあてがわれようとしていたのだ。
「ごめんね〜、なんだか見たそうにしてたから〜」
「ん、いいよ〜、動きやすくなったし〜」
体を起こして膝立ちになった彼女は、改めて狙いを定めるように腰を下ろし始める。
止められない、体が気持ち良くて動かない、頭がとろけて考えてくれない、
ぼんやりとした気持ち良さの中で自身が飲み込まれるのを見ることしか出来なかった。
「んん〜、入ってくぅ〜、ふっぅ、あっあはぁ！」
綺麗なピンク色の秘部はぬるぬるの粘液に包まれ、
驚くほどスムーズにそれを受け入れてくれる。
途中、僅かな抵抗と何かを破る感触を感じたが、
それすらもすぐに通り過ぎ、あっさりと奥まで包み込まれてしまった。
「わぁ〜……そんなすぐに……痛くは無いの？」
「……んっ……あぁ！ これぇ痛くないぃ！ な、なんかすごい！ すごくなりそうぅぅ」
のんびりとしていた彼女の表情が崩れ、体をぶるぶると震わせ始める。
それと同時に、腰にも上下運動が加えられていく、
具合を確かめるように数回往復した後、一気に速度を上げて激しい抜き差しが行われる。
「あっあっあぁ！ 男の人のってぇ！ こんなにっすごいのぉ！ 気もっちっいい！ 一人でスルのと全然ちがぁぁ！ 止まらなっ！ 止まらないよぉぉぉぉぉ！！！」
「そ、そんなに〜、すごいの〜？」
こっちもたまらない、ぬめり締まるその中に自分のモノが入れられ、
先ほどの愛撫とは比べ物にならない激しさに翻弄されてしまう。
今まで高められていた快楽が叩きつけられるようにどんどんと上乗せされていく。
それと同時に、体を擦り付けてくる子から感じる不思議なまどろみも健在で、
体全体を使ってすがり付き、抱きしめてくれる暖かさが、
我慢などと言う言葉を脳から追いやってしまう。
快楽だけが溜まっていく、眠気にとろける頭はそれを受け取るだけ。
与えられる気持ち良さのままに、あっさりとその結果を放出してしまう。
「…………ぁ……で……る……」
「あっ……でったぁ！ あ？ うぁ？？？ あ……………………ッ！！！」
気持ちがいい、全てがそれに終始する。
「へん、なのぉ、アソコにぃ、アソコなのにぃ、気持ち良いのとぉ、おいしいのが、いっしょにぃ…………ッ！ ダメェ！！ ア……すごいぃぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜！！！！！！」
「…………わぁ……」
背筋をのけぞらせて嬌声をあげる子の中に出し続ける。
「ヒィ！ ヒグゥ！ アッアア！」
彼女もそれを飲み込み、脈動の続く限り、受け止め続けてくれる。
「すご……い……のぉ」
ゆっくりと彼女の体が倒れる。
柔らかい彼女の胸を再び感じながら、ようやくその動きが止まる。
「……あ……あんなになっちゃうんだ……ン……」
毛布の中、絡みつく足のあいだから、もう一つの熱いぬめりも感じながら……
「…………ン……フ……ゥ……」
「……おねぇ……ちゃん」
二人の声が聞こえる。
「ッ！？ あ……大丈夫……なの？」
「うん……おねえちゃん、がまんできなかった？」
「え？ ちが、じゃ無くて、何のことですか〜？」
気持ち良さをくれた、暖かさをくれた二人の声が。
「……んふふ〜、次はお姉ちゃんの番だよ〜」
「……え？ 私の番って？」
「決まってるでしょ〜、お姉ちゃんもしてもらうの〜」
でも、まだ片方だけ。
「……でも……この人は貴方の彼氏に……」
「ふふ〜、ほら見て〜」
「……あ……まだ……こんなに……」
あの気持ち良さを、あの暖かさを。
「お姉ちゃんのことも欲しがっているんだよ〜」
「……私……も？」
「……お姉ちゃんも一緒じゃなきゃ、ダメなんだよ〜」
「……ん……ありがと」
二人とも、二人分、一緒に、一緒に感じたい。
「ン……ン……ア……ッツ！？」
「大丈夫だよお姉ちゃん〜、ゆっくりだよ〜」
再び気持ち良さの中に包まれる。
同じように一瞬だけ抵抗を感じるが、
すぐに通り抜けて最奥まで飲み込まれる。
「ね〜、平気でしょ〜？ ……どんな感じ〜？」
「ン……平……気……ほんとにぃ……こ、これぇ！」
入れられているモノにも感じられるほど体を震わせ、
どこか余裕のある、ぽやんとしていた表情がとけ崩れるところもそっくりで、
「ア……アァ……おいしいの……わかるぅ……残ってるおいしいのが……中にぃ……」
ゆっくりと中のそれを混ぜ合わせる動きか開始される。
ゆっくりと……ゆっくりと……激しくは、ならない。
「……お姉ちゃん？」
「気持っち……いいの……すごくって……ン……動けっないよぉ……」
彼女の震えは、体をビクビクとはねさせるほどに激しくなっているが。
抜き差しするその運動だけは、時々止まるほどにゆったりとしたリズムを刻む。
「あっあっああ！ で……でもっぉ、止まらないのぉ……気持ちよっすぎてぇ、動けなっいのにぃ、気っ持ちっ良くて、止まらっないのぉ」
抜いては止まり、飲み込んではまた止まる。
先ほどの行為のような激しさは無いが、その分、まどろみによる心地良さが強く現れ、
それが性的な快楽と混ざり合っていく。
「……お姉ちゃんみたいなのもいいな〜、ふふ〜、お手伝いお手伝い〜」
再びベッドに戻った子がまた体を抱きしめてくれる。
ふわふわの毛を押し当て、擦り付け、不思議な眠気を増幅させてくれる。
「こ……これぇ……イってるっのぉ？ わたっしぃ……動くったびにぃぃぃ」
一突きするごとに体を震わせ、抜き差しそのものは止まるのだが。
そのたびに媚肉は粘液を吐き出しながら収縮し、包む竿に快楽を与えてくれる。
「アッ……ダメッェ……も……勝手にぃ……ヒッ……アッ……動っく……気持ちっいいぃ！」
まどろみの、何も考えられない中での気持ち良さ。
陶酔する、気持ち良さの中にまどろみ、陶酔する。
「アァ？？？ ……………で……？ ンンッ！？ アアアァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！！」
自分では分からなかった、ただ、気持ち良さの中に跳ね上がる感覚があっただけだった。
「ッ〜〜〜〜〜〜〜！ ッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！ ァ…………ァ…………！！！」
「……！？ …………！！ …………！！！ ………… ……」
長く、頂点に上り詰めるような極楽の心地に声すら出ない。
そして、その感覚がゆっくりと落ち着くとともに、
眠気の心地良さが一瞬で僅かな意識をさらっていく。
暖かく包まれ、孤独なんてどこにも無い、二人の鼓動を感じながら眠りに落ちていく。
この世界で暮らすにせよ、元の世界に戻るにせよ、
もうこの二人とは離れられない。
すでに半分夢の中にいながら、そんな当たり前のことを思い浮かべるのであった。
おしまい
12/12/13 02:12更新 / びずだむ