「我が魔力にて現れ出でよ、それは我がため、汝がため」
　石造りで出来た頑丈そうな広い部屋に幼い少女の声が響き渡る。
「我が汝に望む使命は、汝にもまた益をもたらすだろう」
　継ぎ目のほとんど見られない、良く舗装された床には、
　文字のようにも見える、複雑な幾何学模様が円状描かれていた。

「出よ、出よ、出でよ、その暁に『力』と『贄』を与えてやろう」
　床の模様が、少女の声に呼応するかのように光を放ち始め、
　そして光の中から、黒い影が蠢きながら湧き出てくる。

「ククク、よう来た、よう来た、さあ、まずは『力』を受け取るが良い」
　その一言と共に、床の光から赤い粒子が浮かび上がり、影にまとわり付いていく。
　粒子は影に呑み込まれるように消えていき、影はそれに歓喜するように体を震わせる。
　やがて全ての粒子が吸収されると、それを生み出していた模様も光を失っていき、
　部屋が完全に暗くなるころには模様すら消えてただの床に戻ってしまった。

「これで良し……あやつの反応が楽しみじゃ、クックック、ハーハッハッハ」
　少女の高らかな笑い声と何かが蠢く音だけが、
　光の消えた部屋に響き渡るのだった。










　……足音が聞こえてくる、二人いるようだ。
　それでもやらなければならない、一刻も早くここを出て、
　邪悪な存在である魔物共を滅ぼさなければならないのだから。

　音か近くなってくる、壁に張り付き、タイミングを見計らう、
　手にはガラス瓶、こんなものでも無いよりましだ。
　音が止まる、瓶を強く握り締める、ドアノブがゆっくりと回る。
　開いたドアから現れた人影の頭に、横合いからガラス瓶を振り下ろ―

「危ないのう」

　コトン

　手ごたえ無く振り下ろされたガラス瓶には持ち手の部分しか残らず、
　その先の部分は柔らかいカーペットの床に落ちて割れずに硬質な音を立てる。
　ガラス瓶を二つに分けた、カーペットよりも柔らかそうな毛に包まれた手からは、
　黒いオーラが生み出され、私の喉元に突きつけられている。

「元気があるのは結構じゃがな、そのようにおてんばだと嫁の貰い手が無くなるぞ」
　バフォメット、魔物の中でも上位の存在と言われている存在だが、
　目の前にいるそれは一見人間の少女と代わりが無いように見える。
　しかし、彼女の四肢に生える毛、そして尻尾と角が、
　彼女を人外の生き物である魔物だと言うことを知らしめている。

「まったく、いい加減わしらに対する認識を改めてもらえんものか」
　バフォメットは呆れた表情を浮かべながら魔力の刃を引っ込める。

　……最初はこんな子供の魔物がそのような強大な力を持つ存在とは、
　話には聞いていてもそれこそ認識しがたかったが、噂通りの圧倒的な魔力と、
　何よりその魔力で作り出した闇の刃を直接自分の手にまとわせて、
　剣のように扱い戦う姿は、この地にサバトを起こしたとされるバフォメットの異名、
　『ブラックソード』と呼ばれるにふさわしいものだった。

「だまれ！　あんな戯言を信じるわけが無いだろう！」
　曰く、今の魔物はもう人間を喰らったりはせず、友好を求めているとか、
　全ての魔物は女性体になっていて、人間を伴侶としているのだとか、
　そんな嘘を何食わぬ顔で、本当に真実であるかのように語って見せたのだ。

　……馬鹿馬鹿しい話だ、ずいぶんと真摯な様子の演技をしてくれたり、
　出入りの自由こそ無いが過分な部屋と食事を与えられたりしたが、
　主神様の教えに反する戯言に騙されたりはしないのだ。
　そうだ……きっと騙されてしまっただけなのだ、絶対に、絶対に許せない！

「とまあ、こんな具合に聞く耳をもってくれなくてのう、サニー…………サニー？」
　不意に誰かを呼ぶバフォメット、そういえば気配は二人だったはずだが姿が無い。
　開けっ放しのドアから廊下を覗くバフォメットに釣られ視線をそちらに向けると……

「あわわ……あわわわわ……」
　少女が一人、廊下に尻餅をついてへたり込んでいた。
　おそらく被っていたのだろう特徴的な三角帽は床に落ち、
　短すぎるスカートは見事にまくれあがって隠されるべき白い布地を覗かせている。
　姿は普通の人間のように見えるが、ここにいる以上はやはり魔物なのだろう。

「何をやっておるんじゃ、しっかりせんかサニー」
「す、すみませんリコ様、その、びっくりしてしまいまして」
　倒れた少女を助け起こすバフォメット、彼女らの可愛らしい容姿、
　悪意を感じない言動、その全てが、全てが演技なのだ。
　やはり魔物は恐ろしい、それを知っていてなお、騙されそうになってしまうのだ。

「さてさて、名前も教えてくれぬ勇者殿よ、わしは誠心誠意、我ら魔物娘の現状を説いてきたが、おぬしは一向に心を開いてくれぬ」
「あ、当たり前だ、誰が、誰が貴様らなどに！」
　確認するような口調に、思わず言葉を詰まらせてしまう。

「このままでは埒が明かない、そこでじゃ、非常に、ひじょ〜〜に、心苦しくはあるのだが、ここは一つ体で分かってもらうことにしようと思うてな」
「すっごい嬉しそうに言っても説得力ありませんよ……」
　少女の言うとおり、手をワキワキさせながら、
　にんまり笑みを浮かべて言われても嬉しそうにしか見えない。

「何を……する気だ……？」
「クックック、なぁに大丈夫じゃ、たっぷりねっぷり分からせてやるからの♪」
　問いに答えず不気味に笑うバフォメット、
　魔物のやることだ、どうせろくでも無いことに決まっている。
　武器も無い、相手は二人、抵抗しても無駄だろう。
　力が及ばず、何も出来なかったことに悔しさが沸いてくる。

「くそ……くそ！　何が友好だ！　何が魔物娘だ！　結局は力ずくじゃないか！」
「むぅ、そう思うのならば少しは話しを聞いて欲しいのじゃが」
　自分でも確かに理不尽だと思うが、認められないのだ。
　幼いころから当然のように信じてきた教団の教えと、それと……

「黙れ！　黙れぇ！　そう言って騙したに決まってる！　あいつの、あいつのことも！」
「！……ほう？　ただ『勇者様』だから拒み続けてきたわけではないと言うことか」
　こうして話すのも癪だが、もういい、もう全部ぶちまけてやる！

「貴様らは、貴様らは私の友達を連れ去ったんだ！」
「……ふむ、単純だがなるほどの、そのお友達と言うのは……男性かの？」
「……だったらどうした！」
　家が隣同士で、ずっと一緒に遊んでて、私が勇者になっても友人でいてくれて、
　そんなあいつが、あいつがあんな……

「ふふん、だったら心配は要らんぞ、魔物娘と一緒になったなら今頃幸せ絶頂じゃろうて、もしおぬしも惚れているのならおぬしも混ざってしまえ、魔物娘なら問題無しじゃ」
　私たちの常識ではとんでもない事をあっさり言うバフォメット、だが、違うのだ……

「もし、もしも、お前の言うことが本当だとしても、私はきっと受け入れてもらえない」
「おぬしほどの器量の持ち主が何を情けない、やる前から諦める物ではないぞ」
　だって、だって、あいつは……





「あいつは、ロリコンになってしまったんだ！！！」
「…………なぬ？」「…………はい？」
　魔物二人が間の抜けた声を出す、貴様たちの仕業の癖に、白々しい！

「あいつが行方不明になって、捜索の一環で、あくまで一環で、あいつの部屋を調べていた時、一冊の日記を見つけたんだ」
　内容を読み進めていくうちに湧き上がる絶望を今でも覚えている。
「それには、あいつが魔物であろう少女と出会ってからの出来事が書かれていて」
　少しずつ壊れていく彼の心情がありありと綴られていて。
「初めは普通だった内容がどんどん、『ちっぱいハァハァ』だの『幼女パンツ万歳』だの、下劣な物に変わっていって」
　ページが終わりに近づくにつれ、それは見るに耐えない物になってしまっていて。
「日記の最後の、あいつが行方不明になった日付のページに『サバトに行ってくる』とだけ書かれて終わっていたんだ」
　その一文を見た瞬間、不覚にも泣き崩れてしまいもしたのだ。

「貴様らのせいだ！　人を堕落させる邪悪な魔物共め！　貴様らさえいなければぁ！」
　たとえこいつらの言うことが真実だとしても、私のように背が高くて胸も大きい女は、
　ロリコンになってしまった彼には受け入れてもらえないだろう。

「……えっとじゃな、そういう意味の堕落については否定しないでおくとしてじゃ」
　呆れ顔を見せるバフォメット、悪気の欠片もない様子にますます怒りが募る。

「のうサニー、最近新しい信者を連れてきた魔女がうちにおったかのう？」
「うーん、最近は布教よりも研究が中心だったんで、そういった話はないかと」
「じゃよな、てなわけで、連れ去ったヤツはうちとは別のサバトだと思うんじゃが」
「……貴様らの仕業じゃ……無いって言うのか」
　この地域でサバトと言えば、堂々と存在を表明しているここだと思っていたが、
　隠れて活動しているやつらも相当な数いるのだろうか。

「……そんなことは関係無い、魔物は、魔物は許さない！　絶対に許さないんだ！」
　それでも、怒りに任せて声を荒げる。
　勇者としてどの道、邪悪な魔物は倒さなければならない。
　そんな大義名分と彼を取られた悔しさが入り混じって、
　もはや半分八つ当たりになっているのを自覚しつつも止まらなくなってしまっていた。

「う〜む、なんか思ったよりもめんど……複雑じゃったな」
　……面倒で悪かったな。
「よろしい、わしらのせいと言うのなら責任を取ってやろうではないか」
「……どういう……ッ！？」
　つもりだと聞くつもりだったが、
　急速に膨れ上がる彼女の魔力に思わず息を飲んでしまった。

「責任って、どーせやる気だったくせに」
「やかましいわい、いいからちゃんと記録しておくのじゃぞ」
　のんびりとした口調とは裏腹に、彼女の練り上げる魔力から、
　何かしら大掛かりな術を使おうとしているのは間違いないだろう。

「くっ……冗談じゃ、無い！」
　恐怖に駆られてなりふり構わず、
　開け放たれたままのドアから走って廊下に飛び出す、しかし……

「無駄じゃよ」
　声と同時に何か太い綱のような物に四肢を一瞬で捕らえられてしまう。
　そのまま部屋の中に引きずり込まれてしまい、慌てて綱を外そうとした時。
　自分を捕らえているそれが綱などではないことに気付く。

「ヒ……な、なんだこいつは！？」
　四肢を捕らえるそれはぬめった粘液に包まれぶよぶよとした生物的な柔らかさを返し、
　その根元をたどっていくとそれまで部屋には存在しなかった物体が目に入る。

「クックック、触手の森から召喚し、わしの魔力で少〜し強化した特注の触手君じゃよ」
　男性器を模した物、ひだに覆われた物、細くどこにでも潜り込めそうな物、
　大小や形が様々な触手が寄り集まりって塊を成している。

「や、やめて……やだ……やだぁ！」
　そんな物体が私の体を捕まえているのだ。
　私の精神はあっという間にパニックに陥り、情けない声を上げてしまう。

「大丈夫じゃよ、と口で言っても信じれんじゃろうし、構わんからヤってしまうのじゃ」
　その言葉に反応するように触手は私の体を持ち上げて宙吊りにし、
　何十本と数え切れないそれを、一斉に襲い掛からせる。

「ヒィィ……やだ……気持ち悪いぃ」
　普段着ていた頑強な鎧も武器と一緒に取り上げられており、
　代わりに与えられたヒラヒラと頼りない服は触手の侵入を防ぐ役には立ってくれず、
　隙間からするすると入り込んで私の体を這い回る。

　あっという間に服の中で全身を絡めとった触手からは、
　ぬるぬるとした粘液が常に分泌されていて、それを私に塗りつけてくる。
　その量は尋常ではなく、全身を濡らし、服もぐじょぐじょになってしまうほどだ。
　そんな触手たちが体をすべる感触に、私は嫌悪感を感じていた、はずだった。

「うぅぅ……気持ち悪い……ひうぅ！？　……気持ち悪……い？」
　体の敏感な、そういうところがこすれるたびに、
　少しずつ不快な物とは程遠い真逆の感覚が私の体を支配し始めていた。

「どうじゃ、良くなってきたんじゃないかのう？」
　言い当てられた、その事実に動揺し、同時に、そのように考えたことにも動揺する。
　つまり、こんな気色の悪い触手に私は感じているのだと、
　快楽を得ているのだと自分で認めてしまっていると言うことなのだ。

「ふざけっ……るなぁ……ンゥゥ……そんなわけなぃぃ」
「ほ〜う、じゃあちょっと見せてもらおうかの♪」
　そんな自分の強がりに、バフォメットは嬉しそうにそう言うと、
　何か、軽い魔力を私にぶつけてきた、その瞬間。

「や……やあぁぁぁぁ……見ないでぇ！」
　粘液にまみれながらも、私を覆ってくれていた服が下着ごと消え去ってしまっていた。
　体に感じながらも、今まで目では見ることなかった触手が体を這い回る様を、
　今度は視覚でもありありと見せ付けられてしまった。

「ククク、ほれ、その立派な胸のポッチはずいぶんとしこり立っておるではないか♪」
「ち、違うのぉ、ふああ♥　こ、こんなの違うのぉぉ」
　そう口では言っても自分でも分かる、あらわになった乳首は、
　今までに無く固く立ち、触手に這われるたびに甘い電流を生み出している。

「意地っ張りじゃのう、じゃあそろそろ素直になってみるかの」
　その言葉を聞き終わる前に言葉を聞いている余裕を無くす。
　触手の一本が私の口の中に飛び込み、口内で暴れだしたのだ。
　乱暴な動きにもかかわらず、えずくほど奥には入ってこず、
　口の中を練り上げるように動き回ってくる。

「んん、んんん、ッ！？　ングゥゥゥゥ！？！？！？」
　そして、しばらく自身をねぶらせた触手は、
　突然、大量の粘液を先端から吐き出してきたのだ。

「んぐぅぅ……ング、ング……ン…………ゴク……ゴク、ゴク」
　口を塞がれていた私は、その粘液を飲まざるをえなかった。
　生臭く、飲めるはずも無いはずのその粘液は、
　不思議とその粘性からは考えられないほどするりと喉を通り、
　飲んでいくたびにそれに抵抗が無くなる、むしろ、もっと飲みたくなるような……

「ゴク、ゴクン、コク……ちゅ……ちゅぶ」
　気が付けば喉を鳴らしてその粘液を飲み切り、
　口の中の触手を舐めしゃぶることまでしていた。
　でも、なんだかもっと飲みたくて、なんだか気持ち良くてどうでも良くなってきて……

「出来上がってきたのう、ほれ、どんな気分じゃ？」
「ぷあ…………はれぇ……きもひいぃ♥」
　触手が口の中から出て行き、そんな事を聞かれたが、
　もう頭が回らない、朦朧とした意識が勝手に返事をしていた。

「よしよし、まだまだこれからじゃからの、頑張るのじゃぞ」
「ふぇぇ……ヒッ……アヒィィィィィィィ」
　胸からの快楽が跳ね上がる、見れば大きな触手が二本、
　先端を大きく開けて口のようになって私の胸を覆ってしまっていた。

　完全に触手にしゃぶりつかれた私の胸は、
　中で更に細かい多数の触手になぶられているようで、
　その中でも乳首は、何か小さい歯をもった触手に甘噛みでもされているのか、
　硬質な感覚に緩急付けてはさまれているような断続的な刺激に、
　たまらない快楽を生み出し続けてくる。

「アヒィ、こんにゃの……ッ！？　ああ！！　ひぃやぁぁぁぁぁぁぁ！！！」
　私の秘部に一本の触手が体を擦り付けていた。
　驚くほど柔らかく、全身にひだの付いたそれは、
　私の鋭敏な豆を絶え間なくなぞり、秘部の入口を刺激してくる。

　蛇のように太い触手が絶妙な力加減で、粘液のぬめりを腹部に塗りつけてくる。
　糸のように細い触手が耳の中に入り、優しく快楽を引き出すように耳をくすぐる。
　イソギンチャクのようなたくさんの先端を持った触手が、太ももをゆっくりとなぞる。

「もうらめぇ、ヒィ、ヒグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」
　触手たちの猛攻に、あっという間に高みに持ち上げられ、
　長々と悲鳴を上げてしまい、頭の中を快楽一色に染め上げられてしまった。





「うわ……すごい」
「クックック、さすがわしが改良した触手じゃな」
　意識の遠くから、誰かの会話が聞こえる。
　頭がぼんやりとして内容は理解できない。

「でもリコ様、この人まだ……」
「慌てるでない、本番はここからじゃ♪」
　ほんばん……ってなに？
　そんな疑問がようやく頭に浮かぶ程度の私に、容赦無く、その本番が突き刺さる。

「ヒギィ！？！？！？」
　突然、お腹の中に強烈な衝撃が走った、どこか殴られたわけではない。
　それが何かを確認する前に否応無くその存在を認識させられる。

「アヒィ、ヒィィィィ、お、おしり、おしりがぁぁぁぁぁ」
　お尻の中に触手が突き刺さり、激しく上下に動いていたのだ。
　より大量に分泌された粘液に摩擦はまったく感じられず、
　柔らかく微細なひだが直腸に快楽を塗りつけるように這い回る。

「らめぇぇぇぇぇぇきもひッ！？　……ヒィィィィィィィ」
　お尻の中に何かを出された、粘液、だけじゃない。
　何か、私を作り変えてしまう何かが、私の中に出されている。

「大丈夫、そのまま受け入れるんじゃ」
　強烈で圧倒的な快楽に、全身を蝕まれるような感覚を覚える。
　体を覆う触手が何故だか大きくなり、快楽を与える部位を増やしてくる。

「ヒ、ア、きもひぃ、きもひぃぃ、きもひぃぃぃぃ」
　激しく動くお尻の触手もますます大きさを増し、
　増大した快楽と衝撃に意識が飛んでしまいそうになる。

「クックック、すぐにお友達の居場所も分かるようになるし、そやつも一目でドッキュンメロメロになってしまうほど素敵になれるからのう」
「あ、あいつが……ふあぁぁぁぁぁぁん♥」
　その言葉に、朦朧としていた意識が僅かに反応する。

「あ、あいつがぁ、ヒィ、わたしを、あぁぁ、わたしのことを」
「そうじゃ、おぬしはそやつ好みの、素敵な女の子に変われるんじゃ」
　その一言に、私の快楽は一気に加速する。
　体中、全身、触手まみれで、お尻の中まで触手に貫かれて、
　ぐちゃぐちゃな快楽が全部まとまって一気に襲い掛かってくる。

「イク、イクゥ、イカせて、わたしを、変えてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
　全身に快楽を擦り付けられ叩きこまれたような感覚とともに、
　私は再び喜びの頂点へと押し上げられた。
　それと同時に、ようやく触手は私から離れ、
　私は粘液に濡れたカーペットの上に下ろされた。

「アレ……なんだかみんなおっきぃ……」
　倒れた私を見下ろす二人の大きさに、
　妙な違和感を覚えながらも、私の意識は闇に落ちていってしまった。










「んにゃ……あれ……私は」
「お、目が覚めたかのう」「あ、大丈夫ですか？」
　私は部屋に備えられていたベッドに寝かされていた。
　机に向かって何か書き物をしていたバフォメットと少女は、
　私が目を覚ましたことに気が付くと、それを中断して声をかけてくる。

「あ……私は……」
　すぐに、私は自分の中の魔力が魔物のそれになっていることに気づいた。

「そうじゃ、おぬしも今日から魔物娘なのじゃ、気分はどうかの？」
　昔の私なら怒ったかもしれないが、今は怒りなどわいてこない。
　あの壮絶な快楽におかしくなったのかもしれない。

　でもそれ以上に、今の、この魔物の体ならあいつに喜んでもらえる、
　振り向いてもらえる、そして、あいつに抱かれることが出来たなら、
　あれ以上の快楽を得ることができるであろう確信が、
　過去に想像する怒り以上の喜びとして私の中に存在していた。

「……分かる、あいつのいるところが、分かる」
　遠くから、あいつの匂いのような、波長のような、
　不確かなのに絶対いると思える不思議な感覚があった。
　それに誘われるようにベッドから出ようとして、
　床に立とうとするも足か届かず、転びそうになってしまった。
　……あれ？





「おおっと、気を付けるんじゃぞ、まだその体に慣れてないじゃろうからな」
　周りが大きい、いや、私が小さい？　二人と背丈が同じなような。
「それにしても見事に縮んでますね、さっすがリコ様♪」
　そう言えばやけに胸が軽い、長年の重みがすっかり消え去っている。
「うむ、そうじゃろ、サキュバスやローバーではなく、魔女にする触手、すごいじゃろう」
　無い、無い……無い！　胸のあった場所に手を這わせるが、見事にペターンである。
「こいつが量産できれば、自然と我らの同士が増えるであろう」

「じょうだんじゃな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い！！！！！」
「うお！？」「ひえ？？」
　耐えかねて吼える、私が、何で子供になっているんだ！！！

「おい、何だこの体は、ど、どうして、どう言う事だ！」
「お、落ち着け、間接的とは言えわしの魔力で魔物娘になったんだから魔女になるわけで」
「ふざけるな！　私の胸はどこいった、今すぐ戻せ、戻すんだ！」
「無理じゃ、できたらわしが自分で、じゃなくて、あれ、サバトに染まっておらんのか？」
「そ、そんな、ひそかに自慢だったのに……」
　あまりのショックに膝を付いてしまう、こんなことがあっていいのか……

「う〜む、失敗かの……」
「リコ様、これは……？」
「うむ、わしの魔力で魔女にすることは出来たが、思想まで教育は出来ないと言う事か」
　何かほざいているようだが私の耳には入らない。

「その、ほらあれじゃ、お友達はロリコンなんじゃろ？　その体で喜ばせてやれるじゃろ」
　ポンと肩に手を置かれ（もふもふが地味に気持ちいい）慰められる。
「確かに、そうなんだが、でも、あの胸は……」
　大切な、そんな理屈とは別の大切な物だったのだ……

「むう、よし、ならば責任を取ってやろう！」
「なんだと……どうす……ッ！？」
　激しくいやな予感。

「今度はわし手ずから、その幼体の素晴らしさをしっかり教え込んでやろうではないか」
　手をワキワキさせるバフォメット、やはり心底楽しそうである。
「ま、待て、そういうのはもう、ほ、本当に待って」
「サニー」
「えっと、ごめんなさいね」
　後ろに回った少女に羽交い絞めにされてしまう。
　慣れない体ではろくに抵抗も出来ない。

「えっと、あ、ちょ、また触手が、ヒィ、そこは、ああぁ……助けてえぇぇぇぇぇぇ……」





「詰めが甘かったかの、良いアイディアじゃと思ったんじゃが」
　腕を組んで考え込む、自分のもふもふが気持ちよかったりする。
「まあ技術の発展に失敗は付き物、気を切り替えて頑張るかのう」
　何事もポジティブに行かねばな。
「さし当たって次は何をするか……そうじゃな、あれを作ってみるか」
　素晴らしいわしの頭脳に、また一つのひらめきが浮かぶ。
「まあ、普通のではないがの、クックック、ハーッハッハッハ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

■作者メッセージ
お待たせいたしました。

今回は中々難産で、
構想だけで始めちゃいけないと言うことを痛感いたしました。
次はもう少し早めにお送りしたいと思います、うん頑張ろう。

それでは、読んでいただきありがとうございました。