二話 信者になった冒険者と魔女と触手
餌が、餌がほしい。
うごめくそれは、飢餓感に蝕まれていた。
魔力が枯渇し、それを求めるままに獲物を見定める。
その先には、机に向かう小さな少女の姿があった。
ゆっくり、ゆっくりと、背を見せている獲物に鎌首をもたげ……
「こーら、もう少し待って」
ポスンと頭に乗っかってくる触手をたしなめながら、
私はリコ様に渡す触手の観察日誌を書いていた。
触手の成長速度はとても早く、
僅か三日で私の全身に絡み付けるくらいの長さになってしまった。
……成長したというよりは伸縮が利くといった方がいいだろうか。
どう言う仕組みなのか分からないが、
最初の鉢植えに隠れられるくらいの大きさに戻ることも出来るし、
最大の長さ、これが日を追うごとに私の胴回り三周分は長くなっていくのだ。
おまけに今朝なんか、根元から二股に分かれて二本になって見せたのだ。
これも出し入れ自由なようで、片方を縮めて一本に戻って見せた、便利な体してるなあ。
あまりの育ちっぷりに慌てて報告を上げたものの、
「ふむ、魔物の魔力で成長できた個体はより強力になるのかもしれんの」
とだけ言われて、続けての観察を命じられてしまった。
確かにこういった結果も貴重な情報になるとは思うのだが、
餌が餌なだけに、本当に大丈夫なのかと不安になってしまったのだ。
「おまたせ、おいで……」
日誌を書き終わり、触手へ向けて手を伸ばす。
これからこの触手にその餌をあげなければいけないのだ。
にゅるにゅる にゅるにゅる
嬉しそうに体を激しくくねらせる触手、
まだ短い付き合いだがこの子に感情があるのはもう間違いないだろう。
なかなかに悪戯好きで、餌を上げている最中は特にそれがひどくなる。
「ン……ほーら、慌てない……」
待ち切れなさそうに私の体にまとわり付く触手は、
今伸びうる最大の長さをもって私に催促してくる。
愛嬌のある動きで軽減されているとはいえ、
男の人のそれに似た触手に触れると言うことには、
まだ少しだけ気恥ずかしさを感じてしまうのだ。
「それじゃあ……あげるね」
痛くないようにそっと触手の先端を両手で包み込むように掴む。
嬉しさに興奮してはねる触手に少し戸惑いながら、
芯に感じる硬さを意識できる程度の加減で手に少しずつ力をこめて……
「ハァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
両手に魔力を集中させて、それを触手に流してあげる。
いや、こんなふうに思いっきり気合をこめてやる必要はないのだが、
初日に緊張しすぎてこのような感じであげてしまい、
それからすっかりこのノリが癖になってしまったのだ。
しばらくそうして魔力を送っていると、
満足した触手は自分から体を離してくれる。
「あら、もういいの?」
そう聞くと、うなずきながら体を躍らせる、かなりご機嫌のようだ。
大きくなった分、あげる魔力も増えるかと思ったが、
別段そういうわけでもないようだ。
「うん、大丈夫、だよね」
そう、不安にもなったが今のところは無理矢理エッチなことをされたり、
それで強引に魔力を吸われたりするようなことは一切なかった。
……私だって魔物娘だ、エッチなことには興味があるが、
やっぱりそう言うのはお兄様としたいのだ、と言ってもまだお相手はいないけれど。
そういえば、結局リコ様は触手の育て方等については教えてくれたが、
お兄様が出来ると言うことについては後のお楽しみだと秘密にされてしまった。
面白い性質と言っていたが、今のところ特に何かをしてくれる様子は見られない。
「お兄様かぁ……ねえ、私にはどんなお兄様が出来るのかな?」
ふと、触手にそんなことを聞いてみる。
触手は動きを止めてまるで私をうかがうようにこちらに身を向ける。
何か考えてくれているのだろうか、しかし、喋れないので当然返事は返ってこない。
「貴方がいると私にお兄様が出来るって言われたけれど、どういうことか分かる?」
返事の出来ない触手に半分独り言のように話しかけ続ける。
「まあそう言うことが出来たとしても、まず周りに男の人がいないと無理だよね」
私の身近にいる男の人といえば、私の脳裏に先輩と慕ってくれるライト君の顔が浮かぶ。
ライト君ならまあ……やぶさかではないと言うか……むしろ良いかもしれないけれど。
でも、ライト君にとって私は先輩であって、妹にはしてくれそうにないなあ。
「それでも、もしもライト君がお兄様になってくれたら……きっと……」
きっと……先輩なんてつけないで、呼び捨てにして頭なんか撫でてくれたりして、
それで私も抱きついたりなんかして、そしたら、そうだ、冒険者やっていたんだから、
意外としっかりしててたくましい筋肉が服の上からでもわかったりして、
それで、それから……うふ……うふふふふ……
「……先輩? もしも〜し、サニーせんぱ〜い?」
「うえぇ!? あ、あれ? ライト君? な、ななななんで? いつの間に?」
いきなり目の前に、妄想の中のお相手が現れたせいでひどく慌ててしまう。
あれ? 部屋の鍵は閉めてあるはずなのに。
「ど、どうやって入ったの! き、聞いた? 今の、今の……」
「いや、ノックしてもお返事が無くて、そしたら触手君がドア開けてくれて……何も聞いてないッスから、落ち着いてください、先輩!」
そうだ、落ち着け、私は先輩なんだから、深呼吸、深呼吸……
「……こほん、なら良いわ、えっと、何か御用かしら?」
「あ、はいッス、リコ様からちょっと今の時点の観察日誌が見たいから持って来いと」
ああ、それだけか、それにしても本当にびっくりした。
いつの間にかドアの前に移動していた触手をにらむ、開ける前に教えてほしかった。
「それじゃこれね、ごめんね、変に慌てちゃって」
「いえ、こっちこそ驚かせちゃって申し訳ないッス」
観察日誌を渡してさっきのことを謝る。
ライト君も気にしてないみたいで良かった。
「それじゃ、自分はこれで失礼しまッス」
「は〜い、お使いお疲れ様」
そういってライト君が部屋から出ようとしたそのとき……
がちゃり
「あれ? 触手君、なにするんスか」
突然、触手はドアの鍵を閉めて、
まるでライト君を帰さないと言わんばかりに立ちふさがる。
「こら! 悪ふざけしていないでどいてあげな……さい……?」
「せ……先輩、どうちゃったんスか、触手君」
ぐにゅぐにゅ……ぐにゅにゅにゅにゅにゅ……
触手の様子が……どんどん伸びて長くなって、
二股どころじゃなく何本にも増えていたりして、
それでもってじりじりと私たち二人に近づいてきていて……
「ちょっと……ま、待って、キャ、キャアア〜〜〜〜〜〜〜」
「先輩! うわ!?」
ついに襲い掛かってきた触手に私もライト君も捕らえられてしまう。
ライト君のほうは両手足を拘束されているだけのようだが、私のほうは……
「や、本当に、あ、や、やめて、そんなところ、やぁぁ〜〜〜」
触手がどんどん服の中に入ってきて、服の裏から肌に絡み付いてきて、
その先端が、ゆっくりと私の胸を撫でさすり始める。
「おっぱいはぁ、や、やあぁん」
少しずつ少しずつ、性感を引き出そうとするような愛撫。
こうして無理矢理されているにも関わらず、その動きは驚くほど優しかった。
「先輩!先輩ィ! この! 畜生! 放しやがれ!」
ライト君が触手から逃れようと暴れだすが、
しっかりと四肢に絡みつかれた触手はビクともしない。
ライト君は、暴れながら必死に私のことを呼んでくれる。
いつもの言葉遣いも忘れるくらいに、私を助けようとしてくれている。
「ああ……ライトく、うぐぅ!?」
ライト君に呼びかけ返そうとした時、触手の一本が私の口の中に飛び込んできた。
口の中一杯に広がる異物の衝撃と、舌の上で踊る肉質的な味に驚いている間に、
先端に空いていたあの穴からとろみのある液体が吐き出される。
「んぐぅ〜〜〜、ング、ング」
口を塞がれている私は、その液体を飲み込んでしまう。
……しかし、まずくはなかった、生臭いんだけれど、それが癖になるような。
「ン……プハァ……ハァ、ハァ……あ、ふえぇ?」
まるで、それを飲み込ませるのが目的だったかのように、
触手は私の口を解放する、しかし、息をつく暇もそこそこに、
私の体は異常を感じ始める。
「あ……んあぁ……なんかぁ……体が熱いよぅ♥」
なにやら体が火照り始めて、ドキドキと早鐘を打つ心臓の鼓動が心地良くなってきて、
肌にすれる触手が気持ち良くなってきて、頭が……なんだか……ボーっとしてきて……
「ひあぁ……なんらか……きもひいぃ……」
私の服の裏ではもう、触手が体を余すところなく這い回っている。
時折、口に飲まされたのと同じ液体で体を濡らされベトベトにされ、
それがすり付けらた部分は熱くなり、快感を生み出し始める。
「ふぁ……あ……ライトくぅん」
不意に、触手は私の体をライト君の前まで持っていく、
そして、まるで見せ付けるように、私の両足を大きく開かせ、
スカートをまくり上げて私のパンツをあらわにする。
私の自慢の真っ白なパンツは、触手ではなく、自らが生成した液に濡れ始めていた。
「ッ!……せん……ぱい」
ライト君が私のことを見ている。
その視線が、私のパンツに集中しているのが分かる。
ライト君が見てる、私のエッチな姿を、私が、そういう対象として見られている。
「ふあぁぁ……ライトくぅん♥……らいとくぅん♥」
見られていることを意識すると、体を巡る快感が更に増えてしまった。
触手は、なぜか私のパンツの中には入ってこず、その表面を優しくくすぐるだけ。
焦らされる体は、やがて我慢の限界を向かえ、その欲求は、
こっそりと意識し続けていた、目の前の異性に向けられる。
「あぁぁ……らいとくぅん……ほしいよぉ……らいとくんのがほしいよぅ」
「先輩……うわ!?」
触手が、いきなりライト君のことを放す、
その彼の前で、触手は私のパンツを脱がせて、
すっかり融けた秘部を見せ付ける、早く犯してやれと言うように。
「触手君……まさかこのためにこんなことを?」
自由にしている一本が、ライト君の言葉に大きくうなずく。
その様子はまったくもって、いつも通りの触手だ。
こうして全身を絡みつかれていても、やはりこの子から凶暴性は見られない。
「おねがぁい……いいからぁ……らいとくんなら……わたしぃ」
「……先輩、その……ほんとにいいんスね?」
ライト君が意を決した表情を私に向ける。
「うん、らいとくん……わたしのおにいさまになってぇ♥ サニーをいもうとにしてぇ♥」
「……わかったよ……じゃあ……サニー、いくよ!」
ズボンを脱ぎ、触手のように固く伸びたそれを、私の秘部に押し当てて……
「あ……あああああぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
散々に焦らされた体にようやく与えられたその刺激に、
私は一気に高いところまで追い詰められてしまう。
「おにいさまぁ、わたしぃ、ひぃい、きもちいいのぉ♥」
「サニー……すごいよ」
秘肉をそれにえぐられるたびに、私は快楽に打ち震える。
私の中がどんどん適応していっているのが分かる、
私に、お兄様が出来るんだ、私が、妹になるんだ。
「ッ!? やあぁぁぁ、おっぱいもいじられてるぅ」
その快楽に気を取られている隙に、触手が胸への愛撫を再開する。
私たちの邪魔にならないように控えめに、そして、
私たちを応援するように的確な愛撫で、私の体から快楽を引き出してくれる。
「ふあぁ、わらひぃ、おかひくなるぅ、きもひよくてぇ、おかひくなるぅ」
内と外からの快楽が交わりあい、限界へと上り詰めていく。
高まりすぎて、何も分からなくなりそうになったその時、
ポンっと私の頭の上に手が乗せられる。
「いいよ……サニー、いこう」
妄想の中でされていたように頭を優しく撫でられる。
それによる嬉しさで頭がいっぱいになったところに、
いきなり激しさを増した突き上げによって生まれた快楽を叩き込まれ、
さらに頭を撫でられる事によって、嬉しさと快楽が、
頭の中でぐるぐると掻き回され混ざり合って一気に……
「ひあぁ! ああぁぁぁ! ああああああああああああああぁ〜〜〜〜〜〜〜〜……♥♥♥」
高いところにいってしまった、気持ち良さが突き抜けて何も分からなくなる。
ツタ状の何かが私から離れて、放り出された私を目の前の体が受け止めてくれる。
あ、やっぱり結構たくましいな。
そんなことを考えながら、私はその体に甘えるように抱きつくのだった。
「うむうむ、男女の交わりを盛り上げる性質を持つと、文献通りじゃな」
もふもふの手に握られた水晶玉には、可愛い信者二人が愛し合う姿が映し出されていた。
「こうしてまた一組の兄妹を生み出し、同時に研究も進む、さすがわしじゃな♪」
全てがうまくいったときに見せられる満面の笑顔が少女に浮かぶ。
「研究はまだこれからじゃ、さしあたってはアレを使うかの、ククク……ハーハッハッハ」
水晶玉の映像のみが明かりとなっている暗い部屋に、少女の高笑いが響き渡るのであった。
「ぬお、第二ラウンドおっぱじめおった……おお〜、すげぇ〜……」
続く
うごめくそれは、飢餓感に蝕まれていた。
魔力が枯渇し、それを求めるままに獲物を見定める。
その先には、机に向かう小さな少女の姿があった。
ゆっくり、ゆっくりと、背を見せている獲物に鎌首をもたげ……
「こーら、もう少し待って」
ポスンと頭に乗っかってくる触手をたしなめながら、
私はリコ様に渡す触手の観察日誌を書いていた。
触手の成長速度はとても早く、
僅か三日で私の全身に絡み付けるくらいの長さになってしまった。
……成長したというよりは伸縮が利くといった方がいいだろうか。
どう言う仕組みなのか分からないが、
最初の鉢植えに隠れられるくらいの大きさに戻ることも出来るし、
最大の長さ、これが日を追うごとに私の胴回り三周分は長くなっていくのだ。
おまけに今朝なんか、根元から二股に分かれて二本になって見せたのだ。
これも出し入れ自由なようで、片方を縮めて一本に戻って見せた、便利な体してるなあ。
あまりの育ちっぷりに慌てて報告を上げたものの、
「ふむ、魔物の魔力で成長できた個体はより強力になるのかもしれんの」
とだけ言われて、続けての観察を命じられてしまった。
確かにこういった結果も貴重な情報になるとは思うのだが、
餌が餌なだけに、本当に大丈夫なのかと不安になってしまったのだ。
「おまたせ、おいで……」
日誌を書き終わり、触手へ向けて手を伸ばす。
これからこの触手にその餌をあげなければいけないのだ。
にゅるにゅる にゅるにゅる
嬉しそうに体を激しくくねらせる触手、
まだ短い付き合いだがこの子に感情があるのはもう間違いないだろう。
なかなかに悪戯好きで、餌を上げている最中は特にそれがひどくなる。
「ン……ほーら、慌てない……」
待ち切れなさそうに私の体にまとわり付く触手は、
今伸びうる最大の長さをもって私に催促してくる。
愛嬌のある動きで軽減されているとはいえ、
男の人のそれに似た触手に触れると言うことには、
まだ少しだけ気恥ずかしさを感じてしまうのだ。
「それじゃあ……あげるね」
痛くないようにそっと触手の先端を両手で包み込むように掴む。
嬉しさに興奮してはねる触手に少し戸惑いながら、
芯に感じる硬さを意識できる程度の加減で手に少しずつ力をこめて……
「ハァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
両手に魔力を集中させて、それを触手に流してあげる。
いや、こんなふうに思いっきり気合をこめてやる必要はないのだが、
初日に緊張しすぎてこのような感じであげてしまい、
それからすっかりこのノリが癖になってしまったのだ。
しばらくそうして魔力を送っていると、
満足した触手は自分から体を離してくれる。
「あら、もういいの?」
そう聞くと、うなずきながら体を躍らせる、かなりご機嫌のようだ。
大きくなった分、あげる魔力も増えるかと思ったが、
別段そういうわけでもないようだ。
「うん、大丈夫、だよね」
そう、不安にもなったが今のところは無理矢理エッチなことをされたり、
それで強引に魔力を吸われたりするようなことは一切なかった。
……私だって魔物娘だ、エッチなことには興味があるが、
やっぱりそう言うのはお兄様としたいのだ、と言ってもまだお相手はいないけれど。
そういえば、結局リコ様は触手の育て方等については教えてくれたが、
お兄様が出来ると言うことについては後のお楽しみだと秘密にされてしまった。
面白い性質と言っていたが、今のところ特に何かをしてくれる様子は見られない。
「お兄様かぁ……ねえ、私にはどんなお兄様が出来るのかな?」
ふと、触手にそんなことを聞いてみる。
触手は動きを止めてまるで私をうかがうようにこちらに身を向ける。
何か考えてくれているのだろうか、しかし、喋れないので当然返事は返ってこない。
「貴方がいると私にお兄様が出来るって言われたけれど、どういうことか分かる?」
返事の出来ない触手に半分独り言のように話しかけ続ける。
「まあそう言うことが出来たとしても、まず周りに男の人がいないと無理だよね」
私の身近にいる男の人といえば、私の脳裏に先輩と慕ってくれるライト君の顔が浮かぶ。
ライト君ならまあ……やぶさかではないと言うか……むしろ良いかもしれないけれど。
でも、ライト君にとって私は先輩であって、妹にはしてくれそうにないなあ。
「それでも、もしもライト君がお兄様になってくれたら……きっと……」
きっと……先輩なんてつけないで、呼び捨てにして頭なんか撫でてくれたりして、
それで私も抱きついたりなんかして、そしたら、そうだ、冒険者やっていたんだから、
意外としっかりしててたくましい筋肉が服の上からでもわかったりして、
それで、それから……うふ……うふふふふ……
「……先輩? もしも〜し、サニーせんぱ〜い?」
「うえぇ!? あ、あれ? ライト君? な、ななななんで? いつの間に?」
いきなり目の前に、妄想の中のお相手が現れたせいでひどく慌ててしまう。
あれ? 部屋の鍵は閉めてあるはずなのに。
「ど、どうやって入ったの! き、聞いた? 今の、今の……」
「いや、ノックしてもお返事が無くて、そしたら触手君がドア開けてくれて……何も聞いてないッスから、落ち着いてください、先輩!」
そうだ、落ち着け、私は先輩なんだから、深呼吸、深呼吸……
「……こほん、なら良いわ、えっと、何か御用かしら?」
「あ、はいッス、リコ様からちょっと今の時点の観察日誌が見たいから持って来いと」
ああ、それだけか、それにしても本当にびっくりした。
いつの間にかドアの前に移動していた触手をにらむ、開ける前に教えてほしかった。
「それじゃこれね、ごめんね、変に慌てちゃって」
「いえ、こっちこそ驚かせちゃって申し訳ないッス」
観察日誌を渡してさっきのことを謝る。
ライト君も気にしてないみたいで良かった。
「それじゃ、自分はこれで失礼しまッス」
「は〜い、お使いお疲れ様」
そういってライト君が部屋から出ようとしたそのとき……
がちゃり
「あれ? 触手君、なにするんスか」
突然、触手はドアの鍵を閉めて、
まるでライト君を帰さないと言わんばかりに立ちふさがる。
「こら! 悪ふざけしていないでどいてあげな……さい……?」
「せ……先輩、どうちゃったんスか、触手君」
ぐにゅぐにゅ……ぐにゅにゅにゅにゅにゅ……
触手の様子が……どんどん伸びて長くなって、
二股どころじゃなく何本にも増えていたりして、
それでもってじりじりと私たち二人に近づいてきていて……
「ちょっと……ま、待って、キャ、キャアア〜〜〜〜〜〜〜」
「先輩! うわ!?」
ついに襲い掛かってきた触手に私もライト君も捕らえられてしまう。
ライト君のほうは両手足を拘束されているだけのようだが、私のほうは……
「や、本当に、あ、や、やめて、そんなところ、やぁぁ〜〜〜」
触手がどんどん服の中に入ってきて、服の裏から肌に絡み付いてきて、
その先端が、ゆっくりと私の胸を撫でさすり始める。
「おっぱいはぁ、や、やあぁん」
少しずつ少しずつ、性感を引き出そうとするような愛撫。
こうして無理矢理されているにも関わらず、その動きは驚くほど優しかった。
「先輩!先輩ィ! この! 畜生! 放しやがれ!」
ライト君が触手から逃れようと暴れだすが、
しっかりと四肢に絡みつかれた触手はビクともしない。
ライト君は、暴れながら必死に私のことを呼んでくれる。
いつもの言葉遣いも忘れるくらいに、私を助けようとしてくれている。
「ああ……ライトく、うぐぅ!?」
ライト君に呼びかけ返そうとした時、触手の一本が私の口の中に飛び込んできた。
口の中一杯に広がる異物の衝撃と、舌の上で踊る肉質的な味に驚いている間に、
先端に空いていたあの穴からとろみのある液体が吐き出される。
「んぐぅ〜〜〜、ング、ング」
口を塞がれている私は、その液体を飲み込んでしまう。
……しかし、まずくはなかった、生臭いんだけれど、それが癖になるような。
「ン……プハァ……ハァ、ハァ……あ、ふえぇ?」
まるで、それを飲み込ませるのが目的だったかのように、
触手は私の口を解放する、しかし、息をつく暇もそこそこに、
私の体は異常を感じ始める。
「あ……んあぁ……なんかぁ……体が熱いよぅ♥」
なにやら体が火照り始めて、ドキドキと早鐘を打つ心臓の鼓動が心地良くなってきて、
肌にすれる触手が気持ち良くなってきて、頭が……なんだか……ボーっとしてきて……
「ひあぁ……なんらか……きもひいぃ……」
私の服の裏ではもう、触手が体を余すところなく這い回っている。
時折、口に飲まされたのと同じ液体で体を濡らされベトベトにされ、
それがすり付けらた部分は熱くなり、快感を生み出し始める。
「ふぁ……あ……ライトくぅん」
不意に、触手は私の体をライト君の前まで持っていく、
そして、まるで見せ付けるように、私の両足を大きく開かせ、
スカートをまくり上げて私のパンツをあらわにする。
私の自慢の真っ白なパンツは、触手ではなく、自らが生成した液に濡れ始めていた。
「ッ!……せん……ぱい」
ライト君が私のことを見ている。
その視線が、私のパンツに集中しているのが分かる。
ライト君が見てる、私のエッチな姿を、私が、そういう対象として見られている。
「ふあぁぁ……ライトくぅん♥……らいとくぅん♥」
見られていることを意識すると、体を巡る快感が更に増えてしまった。
触手は、なぜか私のパンツの中には入ってこず、その表面を優しくくすぐるだけ。
焦らされる体は、やがて我慢の限界を向かえ、その欲求は、
こっそりと意識し続けていた、目の前の異性に向けられる。
「あぁぁ……らいとくぅん……ほしいよぉ……らいとくんのがほしいよぅ」
「先輩……うわ!?」
触手が、いきなりライト君のことを放す、
その彼の前で、触手は私のパンツを脱がせて、
すっかり融けた秘部を見せ付ける、早く犯してやれと言うように。
「触手君……まさかこのためにこんなことを?」
自由にしている一本が、ライト君の言葉に大きくうなずく。
その様子はまったくもって、いつも通りの触手だ。
こうして全身を絡みつかれていても、やはりこの子から凶暴性は見られない。
「おねがぁい……いいからぁ……らいとくんなら……わたしぃ」
「……先輩、その……ほんとにいいんスね?」
ライト君が意を決した表情を私に向ける。
「うん、らいとくん……わたしのおにいさまになってぇ♥ サニーをいもうとにしてぇ♥」
「……わかったよ……じゃあ……サニー、いくよ!」
ズボンを脱ぎ、触手のように固く伸びたそれを、私の秘部に押し当てて……
「あ……あああああぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
散々に焦らされた体にようやく与えられたその刺激に、
私は一気に高いところまで追い詰められてしまう。
「おにいさまぁ、わたしぃ、ひぃい、きもちいいのぉ♥」
「サニー……すごいよ」
秘肉をそれにえぐられるたびに、私は快楽に打ち震える。
私の中がどんどん適応していっているのが分かる、
私に、お兄様が出来るんだ、私が、妹になるんだ。
「ッ!? やあぁぁぁ、おっぱいもいじられてるぅ」
その快楽に気を取られている隙に、触手が胸への愛撫を再開する。
私たちの邪魔にならないように控えめに、そして、
私たちを応援するように的確な愛撫で、私の体から快楽を引き出してくれる。
「ふあぁ、わらひぃ、おかひくなるぅ、きもひよくてぇ、おかひくなるぅ」
内と外からの快楽が交わりあい、限界へと上り詰めていく。
高まりすぎて、何も分からなくなりそうになったその時、
ポンっと私の頭の上に手が乗せられる。
「いいよ……サニー、いこう」
妄想の中でされていたように頭を優しく撫でられる。
それによる嬉しさで頭がいっぱいになったところに、
いきなり激しさを増した突き上げによって生まれた快楽を叩き込まれ、
さらに頭を撫でられる事によって、嬉しさと快楽が、
頭の中でぐるぐると掻き回され混ざり合って一気に……
「ひあぁ! ああぁぁぁ! ああああああああああああああぁ〜〜〜〜〜〜〜〜……♥♥♥」
高いところにいってしまった、気持ち良さが突き抜けて何も分からなくなる。
ツタ状の何かが私から離れて、放り出された私を目の前の体が受け止めてくれる。
あ、やっぱり結構たくましいな。
そんなことを考えながら、私はその体に甘えるように抱きつくのだった。
「うむうむ、男女の交わりを盛り上げる性質を持つと、文献通りじゃな」
もふもふの手に握られた水晶玉には、可愛い信者二人が愛し合う姿が映し出されていた。
「こうしてまた一組の兄妹を生み出し、同時に研究も進む、さすがわしじゃな♪」
全てがうまくいったときに見せられる満面の笑顔が少女に浮かぶ。
「研究はまだこれからじゃ、さしあたってはアレを使うかの、ククク……ハーハッハッハ」
水晶玉の映像のみが明かりとなっている暗い部屋に、少女の高笑いが響き渡るのであった。
「ぬお、第二ラウンドおっぱじめおった……おお〜、すげぇ〜……」
続く
12/07/12 20:49更新 / びずだむ
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