誘う声
「こんにちは」
ふもとの町に続く山道を歩く僕に、
背筋がゾクリとするような済んだ綺麗な声が聞こえた。
突然かけられた挨拶に驚いて声のする方向を向いてみると、
そこには体の半分ほどが隠れる大きさの岩陰から、
上半身だけを乗り出すようにしてこちらを見ている女性がいた。
「こ……こんにちは」
サラサラと触り心地のよさそうなブロンドの髪、
吸い込まれそうな金色の瞳、整った顔に露出度の高い服と、
何よりも挨拶の一声だけで聞き惚れてしまうような綺麗な声に惚けながらも、
僕は何とか返事を返すことが出来た。
「私はミリィっていうの、あなたのお名前を聞いてもいいかしら」
「……セイトって……いいます」
優しく耳をくすぐりながら頭の奥へ潜り込んでいくような不思議な声に、
まるで誘導されるようにほとんど反射的に名前を答えてしまっていた。
「そう、セイト君っていうんだ、ねえ、これから何か用事があったりするのかな？」
「いや……特には……ない……ですけど」
そう、山の仕事が一段落する時期だし、
たまにはと思ってふもとの町に遊びに行こうと思っただけなので、
大した用事があるわけではない。
でもこの山道は僕の住む小さな山村とふもとの町を結ぶだけの道で、
基本的に知っている顔以外の人が通ることはまずない道なのだ。
理性ではこの怪しい人物に近づくべきじゃない、
早く話を切り上げて立ち去るべきだと分かってはいるのに。
「良かった……じゃあ、少し私に付き合ってくれない？」
「あ……付き合う……って？」
この声を聞いていると……なんだか……
「フフ……とりあえずは……おしゃべりかな」
頭がぼんやりしてきて……もっと聞いていたくなる。
ミリィのおしゃべりは別段変わったものではなかった。
普段どんなことをしているかとか、どういう食べ物が好きかとか、
本当になんでもない普段の出来事を色々と聞いてくるだけだった。
それだけなのにその声を聞くと、
背筋がゾクゾクとして、頭がどんどんぼやけてきて、
最初に感じていた疑問や警戒心がとろけるように薄れていってしまっていた。
「じゃあねえ、そうだ、恋人とか……いたりするかな？」
「え……っと……恋人？」
恋人がいるかなんて、こんな美人に聞かれたら戸惑ってしまうような質問をされて、
少し言いよどんでいると。
「ねえ……おねがい、教えてよ……いいでしょ？」
ちょっと声音を落として、
まるで頭にねっとりと絡みつくような声でもう一度聞かれる。
お願いをされているだけなのに、
有無を言わさぬ命令のように強く、深く、染み入るように言葉が刻み込まれていく、
その不思議な感覚の前に、わずかに残っていた疑問や戸惑いも消え去ってしまった。
「……いない……よ」
口が勝手に質問に答えていく、
次の質問が楽しみでしょうがなくなってくる。
どんどんと引き込まれていっているのが分かる、
ただ声を聞いているだけなのに気持ちが良い。
もっと聞いていたい、もっと近くで、もっと囁いて、
頭の中がミリィの声だけになっていく。
そんな僕の心を見透かしたように、
ミリィは嬉しそうににっこりと微笑む。
「……うん♪ ……ねえ、セイト君？」
「……？」
「イイコトしてあげる、こっちに来て……」
ミリィが誘うような声で近づくように促してくる。
その瞳に、まるで獲物を見るような感覚を感じて、
最初の警戒心が少しだけ戻ってきたけれど、
「ああ……」
完全に声に絡め取られてしまった頭が、僕の足を勝手に動かしていく。
「そう……もっとこっちに来て……」
「ゆっくりでいいわ……少しずつ……」
「……いい子ね」
気がついたらもうミリィの顔に手を伸ばせば届く距離まで近づいてしまっていた。
「それじゃあ行くよ、それ！」
突然ミリィは隠れていた岩陰から飛び出して僕に抱きついてきた。
「え……？」
抱きつかれたことにも驚いたけれど、
それよりも驚愕することが僕の頭を一時的に覚醒させた。
「足が……無い？」
岩陰に隠れていたミリィの下半身には足が無く、まるで蛇のようになっていたのだ。
ミリィは僕の体をあっという間にその蛇の胴体でぐるぐる巻きにして、
逃げられないようにしてしまった。
（もしかしてこれが魔物？ 教会の人たちが言うには魔物は人をさらって食べるって……まさか僕のことも！？）
その想像に恐怖を感じて、
僕は何とか振りほどこうと力の限りもがいてみるがまるでびくともしない。
ミリィは、そんな僕の耳元にそっと唇を近づけて……
「大丈夫」
唇が触れてしまいそうになるほど耳元で、あのゾクゾクする声でそっと囁かれる。
「ひどいことはしないから」
振りほどこうとしていた体から力が抜けていく。
「怖がらなくても大丈夫」
囁く声が、耳に、頭に、背筋を通って全身に広がっていく。
「私に……身を任せて」
もう僕はミリィに逆らえなくなっていた。
「ほら……もっと気持ち良くなって？」
僕が抵抗をやめてもミリィは囁き続ける。
そのつぶやきの一言一言が、体中を電流のように駆け巡り、
脳にたどり着くとそれは陶酔感となって、僕に快楽と安らぎをもたらしていく。
そのあまりの気持ちよさに、とうとう自身を支える力すら失って、
ミリィに体を預けるように寄りかかってしまう。
「だいぶ力が抜けてきたね……大丈夫、もっと私に身を任せて……」
なすがままになっている僕の頭を胸元に寄せて優しく抱きしめる。
「よしよーし、いーこいーこ♪」
子供をあやすようにゆっくりと頭を撫でられる。
まるで頭の中で響き渡っているミリィの声をより馴染ませるかのように、
ゆるゆると僕の頭を手のひらでなぞるように撫でていく。
それだけでも気持ちが良いのに、
僕の顔のすぐ下にあるミリィの形の良い胸がふにふにと僕の体に当たっている。
柔らかくてとても触り心地が良さそうな感触が、
声に陶酔している頭をより深い快楽に誘っていく。
たまらなくなって僕はその胸に手を伸ばし、
その柔らかさを両手で触れて確かめ始める。
「んぅっ……もう、いきなりなんてずるいよ♪」
言葉とは裏腹にとても嬉しそうな声で僕の行為を受け入れてくれる。
それに気を良くした僕はさらにその触り心地を堪能するために手を動かし続ける。
その動きの中で元々露出度の高かった服は、
少しはだけさせるだけですぐにその胸を露出させてしまう。
柔らかく自在に形を変えるその頂点にある乳首が、
快楽を感じているのを示すかのようにピンと立ち上がっていた。
「いいよ……んっ、もっと触って……ああん♪」
その頂点に触れるたびにもらす彼女の声が、
また僕に快楽となって返ってくる。
触り心地の良すぎる胸と、
それによる快楽を伴う喘ぎ声に夢中になっている僕に、
ミリィは更なる誘惑を囁く。
「あっんぅ♪ ……ねぇ……そろそろ……しよう？」
「す……る……？」
「そう……えっちするの、この中にあなたのモノを入れちゃうの♪」
そう言ってミリィは自分の蛇身を一撫ですると、
そこには蛇であった下半身に隠れていた女性器が物欲しそうに口を開いていた。
完全に虜になってしまっている僕の頭の中に、
既にミリィを拒もうなどという意志は欠片一つ残ってはいなかった。
「する……したい！ ……エッチしたい！！ ミリィの中に入れたい！！！」
その答えにミリィはとても嬉しそうに微笑むと、
するすると僕の体を愛撫するように撫でまわしながら、
僕のズボンの中に手を潜り込ませて、すでに準備の整ってしまった肉棒を、
ゆっくりと形を確認するかのように指で弄びながら、
それを外気の元に曝け出してしまった。
その指の動きだけで体がビクビクと震え上がり、
もう限界に張り詰めていると思っていたモノがさらに少し大きくなってしまう。
「大きくなっちゃってるね……さあ、入れちゃうよ？」
僕を飲み込みたそうに蠢くその入口に、
食べられることを望んでしまっている肉棒が添えられる。
「フフ……じゃあ、いただきます♪」
ずぶりとその口は待ちかねていたご馳走をほおばるように、
僕のモノを一気に飲み込んでいく。
その瞬間、とろとろの蜜に濡れた肉壁が一斉に絡みついて来て、
もう離さないと言わんばかりに吸い付き、奥へ奥へと誘うように蠢いてくる。
「あはぁ♪ ……食べちゃった♪ ……ん……んふぅ……うぅん……やっぱりおいしぃ♪」
ミリィは嬉しそうにそう言うと、ゆっくりと味わうように腰を押し付けてくる。
一方僕は気持ちよさのあまりにおかしくなりそうな体を押さえつけるのに必死だった。
「あああぁぁ……ミリィ！ …………ミリー！！！」
気持ちが良すぎる、許容量を超えた快感に体が勝手に震えてしまう。
その快楽に意識が吹き飛んでしまいそうになり、
僕はミリィの体にすがるようにぎゅうっとしがみ付く。
そんな僕を本当に嬉しそうに、
楽しそうに抱きしめ返しながら、ミリィはまた耳元で囁いてくる。
「アン♪ こんなに震えちゃって……あたしにしがみ付いて……ねえ……気持ち良い？」
気持ち良くない訳が無い、もうまともに返事すら返せず僕はただ頷き返すだけだった。
「嬉しい……もっと気持ち良くなっていいのよ、あたしがもっともっと良くしてあげる♪」
そう言うとミリィはゆっくりと腰を動かし始める。
「うっ……あ……あァァ……ミッリィ……ィ……」
「う……ん……ふっぅ……ウフフ♪ ……もっ……と……もっと……気持ち良く♪」
突くたびに奥へと蠢き、抜くたびに放すまいと絡み付いてくる、
まさしく快楽のるつぼに飲み込まれる僕は限界へと追い詰められつつあった。
「ミ……リ…………うっあっあぁぁ……」
「あぁ……ん……アッハァ♪ 気持ち……ンッ♪ 良かったら……いつでもイッて良いのよ♪」
たしかに今にも達してしまいそうな圧倒的な快楽、
頭に響き渡る声の陶酔感が今も全身を駆け巡り、僕を追い詰めている。
しかし、その今まで感じたことの無い快楽と陶酔による忘我の意識の中で、
僕はわずかな物足りなさを感じていた。
こんな快楽があるとは今まで知らなかったと思えるほどの気持ち良さ、
だけどその更に一歩先が気持ち良さの中に見え隠れする。
それが何なのか分からないまま、
僕はそれを求めるように自分からミリィに腰を深く突き立てた。
「ふあああぁぁぁぁぁぁん♪」
「！？」
ミリィの甘い嬌声を聞いた瞬間、全身に痺れが走ると共に、
足りなかった何かが満たされる感覚に、僕は体と心を奮わせる。
（そうだ、僕だけじゃあ駄目だ、彼女もいっしょに気持ち良くならなきゃ駄目なんだ）
その確信が、快楽に振るえ、なすがままだった体に活力を与える。
（もっとあの声が聞きたい、彼女が気持ち良くなる声をもっと聞いていたい！！！）
僕は心の叫びに突き動かされるままに、
どうすればもっとあの気持ち良い声が引き出せるのかを探りながら、
彼女の体に指を這わせ、彼女の胸を舐めしゃぶり、彼女の肉壺をかき回していく。
「あああぁぁぁん♪ ふっぅっあああああ♪ きゅ……ううっん♪ 急に、あん、あっあっあっはっぁ、どうし、ンァン♪ たの？」
どうしたかなんて決まっている。
全てを吐き出してしまいそうな快楽を必死にこらえながら、
僕は何とか自分の願いを紡ぐ。
「ミ……リィ……も…………気持ち……良く……なっ……て……いっしょにぃ」
「……え？…………あ？ ……あぁ……んぅ〜〜〜〜〜〜♪♪♪♪♪♪」
僕の願いを聞くと、ミリィは全身を震わせて長く艶を含んだ声を上げる。
「……え？ ……な……に……今の？」
「ミリィ……ミリィも……もっと！」
「ヒ……ヒアァ♪ な……なんでぇ？ こんな……急に……気持ち良いぃぃぃ♪♪♪」
戸惑うミリィに僕は最後の力を振り絞って全力で快楽を引き出すための動きを再開する。
「なにこれえぇぇぇ？？？ なにぃこれぇぇぇぇぇぇ♪♪♪ 気持ち良ぃぃぃぃぃ♪♪♪」
「ミリィ！！！ もっと！！！ もっとぉぉぉ！！！」
「ふあああああああぁああぁぁ♪♪♪ あっヒィィィィ♪♪♪ っこんなのぉ、こんらろぉぉ、あっ♪♪♪ あは♪♪♪ はじめてえぇぇぇ♪♪♪」
「ミリィ！！！ ミリィィィィィ！！！」
無茶を通した動きをしたことによって、
ただでさえ近かった限界がその最期を迎えようとしていた。
「ミリィ！！！ 僕……もう！！！」
「ああああぁぁぁ♪♪♪ あたしもぉぉぉ♪♪♪ もうぅ♪♪♪ イッちゃうのぉーーーーーーーーーー♪♪♪♪♪♪」
聞きたかったその嬌声に包まれながら、僕は堪えに堪えた快楽を吐き出した。
「うっ・・・・・・ぐぅぅ・・・・・・」
「あああぁぁぁ♪♪♪ でてりゅぅぅぅ♪♪♪ すごいのきてるのぉーーーーーーーーーー♪♪♪♪♪♪」
ただ気持ちが良いとしか分からない快楽の中に、
僕の意識はゆっくりと沈んでいってしまった。
気がつくと、どこかほら穴みたいな所で、
僕はいまだミリィに巻き付かれた状態で寝ていた。
「あら、目が覚めた？」
ミリィの話によると、ここは町に近い森の中のほら穴で、
好みの男探しをしているあいだ隠れ家にしていたとか、そして……
「ラミアの里？」
「そう、あたしたちの種族、ラミアが集まっている集落よ、セイト、あなたをそこに連れて行くわ」
僕はおめがねに適ったようで、
婿としてその集落に連れて行くことにしたと言われてしまった。
「気持ち良くなって、なんて言われたの初めてだったの、それがあんなに凄くって♪ ……いやだって言っても放してあげないんだから♪」
まさしく放すまいと全身に巻きつきながら、
気持ち良く耳をくすぐる囁きに、僕は微笑みながら返事を返す。
「僕はもう……ミリィには逆らえないよ」
おしまい
ふもとの町に続く山道を歩く僕に、
背筋がゾクリとするような済んだ綺麗な声が聞こえた。
突然かけられた挨拶に驚いて声のする方向を向いてみると、
そこには体の半分ほどが隠れる大きさの岩陰から、
上半身だけを乗り出すようにしてこちらを見ている女性がいた。
「こ……こんにちは」
サラサラと触り心地のよさそうなブロンドの髪、
吸い込まれそうな金色の瞳、整った顔に露出度の高い服と、
何よりも挨拶の一声だけで聞き惚れてしまうような綺麗な声に惚けながらも、
僕は何とか返事を返すことが出来た。
「私はミリィっていうの、あなたのお名前を聞いてもいいかしら」
「……セイトって……いいます」
優しく耳をくすぐりながら頭の奥へ潜り込んでいくような不思議な声に、
まるで誘導されるようにほとんど反射的に名前を答えてしまっていた。
「そう、セイト君っていうんだ、ねえ、これから何か用事があったりするのかな？」
「いや……特には……ない……ですけど」
そう、山の仕事が一段落する時期だし、
たまにはと思ってふもとの町に遊びに行こうと思っただけなので、
大した用事があるわけではない。
でもこの山道は僕の住む小さな山村とふもとの町を結ぶだけの道で、
基本的に知っている顔以外の人が通ることはまずない道なのだ。
理性ではこの怪しい人物に近づくべきじゃない、
早く話を切り上げて立ち去るべきだと分かってはいるのに。
「良かった……じゃあ、少し私に付き合ってくれない？」
「あ……付き合う……って？」
この声を聞いていると……なんだか……
「フフ……とりあえずは……おしゃべりかな」
頭がぼんやりしてきて……もっと聞いていたくなる。
ミリィのおしゃべりは別段変わったものではなかった。
普段どんなことをしているかとか、どういう食べ物が好きかとか、
本当になんでもない普段の出来事を色々と聞いてくるだけだった。
それだけなのにその声を聞くと、
背筋がゾクゾクとして、頭がどんどんぼやけてきて、
最初に感じていた疑問や警戒心がとろけるように薄れていってしまっていた。
「じゃあねえ、そうだ、恋人とか……いたりするかな？」
「え……っと……恋人？」
恋人がいるかなんて、こんな美人に聞かれたら戸惑ってしまうような質問をされて、
少し言いよどんでいると。
「ねえ……おねがい、教えてよ……いいでしょ？」
ちょっと声音を落として、
まるで頭にねっとりと絡みつくような声でもう一度聞かれる。
お願いをされているだけなのに、
有無を言わさぬ命令のように強く、深く、染み入るように言葉が刻み込まれていく、
その不思議な感覚の前に、わずかに残っていた疑問や戸惑いも消え去ってしまった。
「……いない……よ」
口が勝手に質問に答えていく、
次の質問が楽しみでしょうがなくなってくる。
どんどんと引き込まれていっているのが分かる、
ただ声を聞いているだけなのに気持ちが良い。
もっと聞いていたい、もっと近くで、もっと囁いて、
頭の中がミリィの声だけになっていく。
そんな僕の心を見透かしたように、
ミリィは嬉しそうににっこりと微笑む。
「……うん♪ ……ねえ、セイト君？」
「……？」
「イイコトしてあげる、こっちに来て……」
ミリィが誘うような声で近づくように促してくる。
その瞳に、まるで獲物を見るような感覚を感じて、
最初の警戒心が少しだけ戻ってきたけれど、
「ああ……」
完全に声に絡め取られてしまった頭が、僕の足を勝手に動かしていく。
「そう……もっとこっちに来て……」
「ゆっくりでいいわ……少しずつ……」
「……いい子ね」
気がついたらもうミリィの顔に手を伸ばせば届く距離まで近づいてしまっていた。
「それじゃあ行くよ、それ！」
突然ミリィは隠れていた岩陰から飛び出して僕に抱きついてきた。
「え……？」
抱きつかれたことにも驚いたけれど、
それよりも驚愕することが僕の頭を一時的に覚醒させた。
「足が……無い？」
岩陰に隠れていたミリィの下半身には足が無く、まるで蛇のようになっていたのだ。
ミリィは僕の体をあっという間にその蛇の胴体でぐるぐる巻きにして、
逃げられないようにしてしまった。
（もしかしてこれが魔物？ 教会の人たちが言うには魔物は人をさらって食べるって……まさか僕のことも！？）
その想像に恐怖を感じて、
僕は何とか振りほどこうと力の限りもがいてみるがまるでびくともしない。
ミリィは、そんな僕の耳元にそっと唇を近づけて……
「大丈夫」
唇が触れてしまいそうになるほど耳元で、あのゾクゾクする声でそっと囁かれる。
「ひどいことはしないから」
振りほどこうとしていた体から力が抜けていく。
「怖がらなくても大丈夫」
囁く声が、耳に、頭に、背筋を通って全身に広がっていく。
「私に……身を任せて」
もう僕はミリィに逆らえなくなっていた。
「ほら……もっと気持ち良くなって？」
僕が抵抗をやめてもミリィは囁き続ける。
そのつぶやきの一言一言が、体中を電流のように駆け巡り、
脳にたどり着くとそれは陶酔感となって、僕に快楽と安らぎをもたらしていく。
そのあまりの気持ちよさに、とうとう自身を支える力すら失って、
ミリィに体を預けるように寄りかかってしまう。
「だいぶ力が抜けてきたね……大丈夫、もっと私に身を任せて……」
なすがままになっている僕の頭を胸元に寄せて優しく抱きしめる。
「よしよーし、いーこいーこ♪」
子供をあやすようにゆっくりと頭を撫でられる。
まるで頭の中で響き渡っているミリィの声をより馴染ませるかのように、
ゆるゆると僕の頭を手のひらでなぞるように撫でていく。
それだけでも気持ちが良いのに、
僕の顔のすぐ下にあるミリィの形の良い胸がふにふにと僕の体に当たっている。
柔らかくてとても触り心地が良さそうな感触が、
声に陶酔している頭をより深い快楽に誘っていく。
たまらなくなって僕はその胸に手を伸ばし、
その柔らかさを両手で触れて確かめ始める。
「んぅっ……もう、いきなりなんてずるいよ♪」
言葉とは裏腹にとても嬉しそうな声で僕の行為を受け入れてくれる。
それに気を良くした僕はさらにその触り心地を堪能するために手を動かし続ける。
その動きの中で元々露出度の高かった服は、
少しはだけさせるだけですぐにその胸を露出させてしまう。
柔らかく自在に形を変えるその頂点にある乳首が、
快楽を感じているのを示すかのようにピンと立ち上がっていた。
「いいよ……んっ、もっと触って……ああん♪」
その頂点に触れるたびにもらす彼女の声が、
また僕に快楽となって返ってくる。
触り心地の良すぎる胸と、
それによる快楽を伴う喘ぎ声に夢中になっている僕に、
ミリィは更なる誘惑を囁く。
「あっんぅ♪ ……ねぇ……そろそろ……しよう？」
「す……る……？」
「そう……えっちするの、この中にあなたのモノを入れちゃうの♪」
そう言ってミリィは自分の蛇身を一撫ですると、
そこには蛇であった下半身に隠れていた女性器が物欲しそうに口を開いていた。
完全に虜になってしまっている僕の頭の中に、
既にミリィを拒もうなどという意志は欠片一つ残ってはいなかった。
「する……したい！ ……エッチしたい！！ ミリィの中に入れたい！！！」
その答えにミリィはとても嬉しそうに微笑むと、
するすると僕の体を愛撫するように撫でまわしながら、
僕のズボンの中に手を潜り込ませて、すでに準備の整ってしまった肉棒を、
ゆっくりと形を確認するかのように指で弄びながら、
それを外気の元に曝け出してしまった。
その指の動きだけで体がビクビクと震え上がり、
もう限界に張り詰めていると思っていたモノがさらに少し大きくなってしまう。
「大きくなっちゃってるね……さあ、入れちゃうよ？」
僕を飲み込みたそうに蠢くその入口に、
食べられることを望んでしまっている肉棒が添えられる。
「フフ……じゃあ、いただきます♪」
ずぶりとその口は待ちかねていたご馳走をほおばるように、
僕のモノを一気に飲み込んでいく。
その瞬間、とろとろの蜜に濡れた肉壁が一斉に絡みついて来て、
もう離さないと言わんばかりに吸い付き、奥へ奥へと誘うように蠢いてくる。
「あはぁ♪ ……食べちゃった♪ ……ん……んふぅ……うぅん……やっぱりおいしぃ♪」
ミリィは嬉しそうにそう言うと、ゆっくりと味わうように腰を押し付けてくる。
一方僕は気持ちよさのあまりにおかしくなりそうな体を押さえつけるのに必死だった。
「あああぁぁ……ミリィ！ …………ミリー！！！」
気持ちが良すぎる、許容量を超えた快感に体が勝手に震えてしまう。
その快楽に意識が吹き飛んでしまいそうになり、
僕はミリィの体にすがるようにぎゅうっとしがみ付く。
そんな僕を本当に嬉しそうに、
楽しそうに抱きしめ返しながら、ミリィはまた耳元で囁いてくる。
「アン♪ こんなに震えちゃって……あたしにしがみ付いて……ねえ……気持ち良い？」
気持ち良くない訳が無い、もうまともに返事すら返せず僕はただ頷き返すだけだった。
「嬉しい……もっと気持ち良くなっていいのよ、あたしがもっともっと良くしてあげる♪」
そう言うとミリィはゆっくりと腰を動かし始める。
「うっ……あ……あァァ……ミッリィ……ィ……」
「う……ん……ふっぅ……ウフフ♪ ……もっ……と……もっと……気持ち良く♪」
突くたびに奥へと蠢き、抜くたびに放すまいと絡み付いてくる、
まさしく快楽のるつぼに飲み込まれる僕は限界へと追い詰められつつあった。
「ミ……リ…………うっあっあぁぁ……」
「あぁ……ん……アッハァ♪ 気持ち……ンッ♪ 良かったら……いつでもイッて良いのよ♪」
たしかに今にも達してしまいそうな圧倒的な快楽、
頭に響き渡る声の陶酔感が今も全身を駆け巡り、僕を追い詰めている。
しかし、その今まで感じたことの無い快楽と陶酔による忘我の意識の中で、
僕はわずかな物足りなさを感じていた。
こんな快楽があるとは今まで知らなかったと思えるほどの気持ち良さ、
だけどその更に一歩先が気持ち良さの中に見え隠れする。
それが何なのか分からないまま、
僕はそれを求めるように自分からミリィに腰を深く突き立てた。
「ふあああぁぁぁぁぁぁん♪」
「！？」
ミリィの甘い嬌声を聞いた瞬間、全身に痺れが走ると共に、
足りなかった何かが満たされる感覚に、僕は体と心を奮わせる。
（そうだ、僕だけじゃあ駄目だ、彼女もいっしょに気持ち良くならなきゃ駄目なんだ）
その確信が、快楽に振るえ、なすがままだった体に活力を与える。
（もっとあの声が聞きたい、彼女が気持ち良くなる声をもっと聞いていたい！！！）
僕は心の叫びに突き動かされるままに、
どうすればもっとあの気持ち良い声が引き出せるのかを探りながら、
彼女の体に指を這わせ、彼女の胸を舐めしゃぶり、彼女の肉壺をかき回していく。
「あああぁぁぁん♪ ふっぅっあああああ♪ きゅ……ううっん♪ 急に、あん、あっあっあっはっぁ、どうし、ンァン♪ たの？」
どうしたかなんて決まっている。
全てを吐き出してしまいそうな快楽を必死にこらえながら、
僕は何とか自分の願いを紡ぐ。
「ミ……リィ……も…………気持ち……良く……なっ……て……いっしょにぃ」
「……え？…………あ？ ……あぁ……んぅ〜〜〜〜〜〜♪♪♪♪♪♪」
僕の願いを聞くと、ミリィは全身を震わせて長く艶を含んだ声を上げる。
「……え？ ……な……に……今の？」
「ミリィ……ミリィも……もっと！」
「ヒ……ヒアァ♪ な……なんでぇ？ こんな……急に……気持ち良いぃぃぃ♪♪♪」
戸惑うミリィに僕は最後の力を振り絞って全力で快楽を引き出すための動きを再開する。
「なにこれえぇぇぇ？？？ なにぃこれぇぇぇぇぇぇ♪♪♪ 気持ち良ぃぃぃぃぃ♪♪♪」
「ミリィ！！！ もっと！！！ もっとぉぉぉ！！！」
「ふあああああああぁああぁぁ♪♪♪ あっヒィィィィ♪♪♪ っこんなのぉ、こんらろぉぉ、あっ♪♪♪ あは♪♪♪ はじめてえぇぇぇ♪♪♪」
「ミリィ！！！ ミリィィィィィ！！！」
無茶を通した動きをしたことによって、
ただでさえ近かった限界がその最期を迎えようとしていた。
「ミリィ！！！ 僕……もう！！！」
「ああああぁぁぁ♪♪♪ あたしもぉぉぉ♪♪♪ もうぅ♪♪♪ イッちゃうのぉーーーーーーーーーー♪♪♪♪♪♪」
聞きたかったその嬌声に包まれながら、僕は堪えに堪えた快楽を吐き出した。
「うっ・・・・・・ぐぅぅ・・・・・・」
「あああぁぁぁ♪♪♪ でてりゅぅぅぅ♪♪♪ すごいのきてるのぉーーーーーーーーーー♪♪♪♪♪♪」
ただ気持ちが良いとしか分からない快楽の中に、
僕の意識はゆっくりと沈んでいってしまった。
気がつくと、どこかほら穴みたいな所で、
僕はいまだミリィに巻き付かれた状態で寝ていた。
「あら、目が覚めた？」
ミリィの話によると、ここは町に近い森の中のほら穴で、
好みの男探しをしているあいだ隠れ家にしていたとか、そして……
「ラミアの里？」
「そう、あたしたちの種族、ラミアが集まっている集落よ、セイト、あなたをそこに連れて行くわ」
僕はおめがねに適ったようで、
婿としてその集落に連れて行くことにしたと言われてしまった。
「気持ち良くなって、なんて言われたの初めてだったの、それがあんなに凄くって♪ ……いやだって言っても放してあげないんだから♪」
まさしく放すまいと全身に巻きつきながら、
気持ち良く耳をくすぐる囁きに、僕は微笑みながら返事を返す。
「僕はもう……ミリィには逆らえないよ」
おしまい
17/04/26 19:15更新 / びずだむ