発狂する騎士
どこだ。あの帽子の女はどこだ。
ひどく息を切らして、奇妙な形の木を支えにしながら前かがみに私は歩いていた。
先の戦いで、私たち騎士団は目も当てられないほどの大敗を喫した。伏兵の奇襲により瓦解した騎士たちは、撤退の内に一人、また一人と魔物に捕らえられ、最後の一人となった私は無我夢中で走った。
三日三晩飲まず食わずで逃げ続け、飢えと極度の緊張で精根尽き果てたころ、気づけばこの奇怪な森の中にいた。
「どこだ…どこだ…」
さっきの帽子をかぶった女。異常なほど熱く滾った体を引きずって私は彼女を探していた。
襲い掛かってはこないものの魔物だらけのこの森の、拓けた場所で呑気にもティータイムを満喫していた女。近くにいる唯一の人間である彼女にすがろうという気持ちも確かにあった。
しかし、今彼女を探している理由は別にあった。
彼女が立ち去った後、私は飢えと渇きにに負けて、残していったティーポットから紅茶を飲み、中に入っていたスライスされたキノコまで食べた。人間が口にしていたものだから問題はないはず、と考えた私の判断は誤っていたらしく、あれを口にしてから、ひどく体が熱く、心臓が早鐘を打っている。
いったいあのティーポットに入っていたものは何だったのか問い質す。そしてあわよくば解毒もさせる。
いや、本当は自分が何を飲んだのかも、なんのためにあの女を探しているのかもわかっている。ただ、生まれてから教団に教え込まれ、教団でずっと育んできた倫理観から自分自身にそのような言い訳をしているにすぎなかった。
「止まれ。そこの人間よ。」
木の陰から一匹の魔物が現れた。ピンクとワインレッドのツートンカラーの髪を地面に引きずるほど長く伸ばし、体をローブで隠している。
魔物にまともに出くわしたというのに、剣の柄に手をかけることすら思い浮かばず、頭の中は邪な考えで支配されていた。
「案内人もつけずにここまで来たことを誉めてやろう。褒美として、不思議の国で最も淫らな一族の私が、お前の相手を務めてしんぜよう。」
魔物が口にした言葉も耳に入らず、側頭部から生える角や背中から生える翼も目に入らない。
ワインレッドの長い睫。吊り上がって気の強そうではあるが、ルビーのように輝く瞳。ふっくらと瑞々しい唇は自信たっぷりに弧を描き、褐色の肌が艶めいている。
あの紅茶に毒された私は、その魔物を「魔物」ではなく、「女」だと認識した。
コノサイオンナナラダレデモイイ…
「!?」
目の前の「女」を押し倒し、髪と同じツートンカラーのローブを剥ぐ。ローブの下は何も着ておらず、鋭い爪や粘液に覆われてらてらと光る鱗、背中から生えたグロテスクな一対の口が露わになる。
しかし、目は、肉欲をそそる褐色の肌、揺れる豊満な胸、しまった腰と肉感のある臀部と太腿が作るくびれに、くぎ付けとなる。
色に狂ったその光景によって、発情の頂点に達した私は、引きちぎるようにベルトを外し、鎧と衣服を脱ぎ棄てて、紅茶を飲んでから怒張し続けていたそれを露出させる。
「あはぁ♥」
抵抗のそぶりすら見せない彼女に、頭の片隅に残った罪悪感すらも押し流され、私は欲望のままその膣穴に肉剣を突き刺した。
「んちゅ…ぅんんっ……はぁ…んちゅう…」
ぴちゃぴちゃと鳴る水音と、体を這いまわる熱くぬめったものの感触に意識を取り戻した。力尽き気を失うまで彼女を犯し続けた挙句、おそらくは魔物に捕まってしまったのだろう。
体を舐められているような感触をいぶかしみながら、恐る恐る目を開けた。
「…んちゅ、あはぁ…起きたか。私も今起きたところだぞ。」
目を開けた先には、予想外にも散々犯しつくした魔物が、蕩けた淫猥な笑みを浮かべて私に寄りかかっていた。口からはよだれがだらしなく垂れ、背中から伸びた触手の先から見える口が私の胸と肩をべろべろと舐めている。
彼女は舌なめずりをし、身を起こして自らの肢体を見せつけた。へそのあたりから内腿にかけて、白濁液がべっとりとこびりついていた。
「タケリダケまで食べて襲い掛かるとは…私の夫としてふさわしい……それにあんなに激しく……あぁ、思い出しただけでまたイキそうだ♥」
卑猥な肉付きの腰がビクビクと痙攣し、膣からこぽこぽと精液が流れ出て、内腿をさらに精液まみれにした。
数えききれないほどの回数射精したにもかかわらず、私は再び性器を勃起させるほどに興奮していた。しかし、極度の疲労からか体を動かすことができない。
「溢れかえるほど中で出してくれた礼に、今度は私が気持ちよくしてやろう。」
そういって彼女はふたたび自分の体を私に密着させ、三つの舌での愛撫を再開する。
腹に感じる柔らかい乳房と固くなりコリコリとした感触の乳首。首筋、肩、胸の三点を這う舌。それらのもたらす快楽が、あの紅茶の効果が切れて戻ってきたわずかばかりの理性や倫理観を完全に亡きものにした。
さらに、彼女の唾液に濡れた部分が熱く火照り、次第に強く性感を伝えるようになってきた。敬虔な信者としての矜持などは蕩けて流れ出ていき、ただただ快楽を享受しその悦楽を貪る。
「どうだ?最も淫らな種族である私なら、唾液に淫毒を混ぜることもたやすい。」
「っうぅ…」
「あはぁ♥気持ちいいようだな……♥」
「っくあぁ!?」
突如肉棒にも刺激が加えられる。視認はできないが、おそらく髪の毛の先でくすぐっているのだろう。彼女も見えないはずなのに的確にカリや裏筋がなぞられ、背筋をゾワゾワと肌が粟立つような快感が這い回った。刺激を受けてさらに多くの血が回った肉剣が、ビクビクと跳ね暴れてもなお執拗に弱い部分を攻めてきて、逃げようのない性感が電流のように襲いかかってくる。
「気に入ったか?生まれてから一度たりとも刃を入れたことのない自慢の髪だ。」
髪の毛の味を存分に覚えこませ、私の快楽に悶える姿を観察した彼女は、爛々と情欲にまみれた光を放つ目を満足そうに歪め、今度は手の平で撫でるようにして髪を肉幹にこすりつけ始めた。ぴちゃぴちゃと体を舐める音に混じって、にちにちと粘着質な音が耳に入り込み、いやでもイチモツに与えられる刺激に注意を向けさせた。髪のサラサラとした感触と、厳つい見た目に反する彼女の手の柔らかく熱い感触に、早くも限界が近づいてきた。
「イキそうか?イキそうか?もっと私を感じて、もっと私で感じて、私の自慢の髪をあなたのものにしてくれっ!」
髪ごとペニスを握りこみ、激しく手を上下させる。にちゃにちゃと激しく扱かれる音が鼓膜にへばりつき、一対の巨大な舌がはい回る音が骨身に染み込んで淫欲の火に油を注ぐ。
あまりの急激な快楽に我慢しようという気も起きず、また我慢するような暇も与えられずに、彼女の絹糸のような美しい髪に無慈悲に汚液を浴びせかけようと、陰嚢から尿道に熱いものがこみあげてくる。
「………っ、ああっ……」
「ふふふ♥うれしいぞ、あれだけ出したにもかかわらずまだこんなにたくさん♥」
色欲に狂いに狂った龍は、つやつやと輝いて宝石を糸にしたような極上の女性の象徴である髪を鈴口に被せ、一滴も漏らさずにより髪を精液づけにしようとするかのようにためらいもなく手で劣情の奔流を受け止めた。射精が終わったのを確認すると、体を起こし、見せつけるようにして白く濡れた髪を顔の前に持ってくる。肉欲にまみれ焦点の合わなくなった目で恍惚とした笑みを浮かべて、まるで貴婦人が香油を塗り込むかのように、白濁を髪になじませた。
淫らに狂った異常な光景にあっけにとられていると、熱い液体が股間に滴り落ちてきた。目線を下してみれば、またもや淫乱ドラゴン娘の腰がビクビクと震え、ぼたぼたと肉壺から粘ついた白い液体が垂れていた。狂気に満ちた森の中に、汗でしっとりと濡れた彼女の匂いが漂い、むせ返るような甘さに狂っていると判断する思考力も奪われる。
「もっと、もっと私の髪をあなたで染めてくれっ!」
切羽詰まったように熱い息を漏らしながら、自身の髪とともに陰茎を両太腿で挟む。だらしなく口を開けてにへらと蕩けた笑みを浮かべて、髪のまだ精液に濡れていない部分が白濁に濡れるのを見つめている。すでに狂気を感じなくなった今、その淫靡な光景に欲情し、射精した後も萎えていなかった肉棒がさらに大きさを増し、更なる悦楽を求めてガチガチに固くなっている。
彼女は両腿を上下に動かして腿コキを始めた。程よくのった脂肪が見た目を軽く上回る柔らかさで髪と竿を隙間なく包み込み、その下の筋肉が地上の王者といわれるドラゴン属に恥じないその弾力をもって刺激を与えてくる。それだけでも耐えがたい快感であるのに、髪の束が亀頭をぞろりと撫でて無慈悲に蹂躙する。腿肉のしっとりとした吸い付き、その下の筋肉の締め付け、敏感な部分を弄ぶ髪の三種の快楽が代わる代わる襲い掛かる。
「………っ!……が、ぁ……!!」
「あっ、ぁひっ、はぁぁっ、あっ!」
あまりの性感の強さに言葉のならない悲鳴を上げ続ける私を見て、満足そうに笑いながらも彼女も快楽を得ているらしく、よだれがこぼれるのも構わずに喘ぎ声を漏らす。
粘ついた水音と彼女の嬌声に耳を嫐られ、お互いの股から漂う淫臭が鼻から脳を蹂躙し、くねくねと動く腰使いとふるふると揺れる汗で淫靡に光る褐色の豊満な胸に視界を支配される。
感情までも姦淫に染められ、あっという間に射精欲が頂点に達し、肉棒から快楽と精液が爆発した。
「ぁひぃっ、あ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
彼女は吹き出る精液を髪と体で受け止めながら、ガクガクと腰を痙攣させてひときわ大きな声を上げた。暴れまわる男根を柔肉でしっかりととらえ、力を入れて腿筋を締めてさらに精液を絞り出す。淫蕩に蕩けきった表情で全身を痙攣させながら、おそらく無意識のままその貪欲な動きをしているのだろう。
大した刺激も得ずにいともたやすく絶頂に達し、イキながらもより多くの精液を得ようと無意識に搾り取ろうとする。その圧倒的なまでの淫乱さにあてられたのか、幾度となく射精してきたはずの陰茎は萎えることなくいまだ劣情を主張している。
「……ぁはぁぁ♥」
カクカクと下半身を震わせたまま身をよじり、蕩けきっただらしない顔を白濁にまみれたペニスに近づけた。
「あっ、っっ、はぁぁあ♥」
嬉しそうに深く息を吸い込み、その凄まじい性臭を鼻から肺にまで染み渡らせると、またもや小さく喘ぎつつ全身を震わせ、エクスタシーを貪る。すでに彼女の意図が読めていた私は、彼女の頭をつかみ、自らの分身に押し付けて彼女を急かした。
ビクンと大きく尻を跳ねさせてふたたび絶頂を迎えつつも、亀頭にむしゃぶりつき、一気に根元まで銜え込む。深く喉奥まで入っているのもものともせず、銜え込んだまま舌でのご奉仕を始めた。溶け落ちてしまいそうなほど熱い口内で、ざらざらとした舌がはじめの手での愛撫で把握した裏筋やカリなどの弱いところを丹念に刺激する。舌での攻めに並行して器用にも唇で根元を締めて性感を増幅させている。気持ちよすぎて乱暴にでも快楽を得ようとしていた体の力が私の意志から離れていった。
私の快楽に蕩けた顔を見て、さらにそのピンク一色の頭を情欲で滾らせたのか、待ちきれないかのように口全体で男性器を激しくしごき始める。最大限に興奮を高めた陰茎は、神経がむき出しになっているかのような外側からの快感と、マグマのように滾った粘液に尿道が押し広げられる内側からの快楽を同時に脳へと叩き込んだ。
「っうがぁぁぁぁぁぁあっ!!」
「んっ、ぷはぁっ、あはぁ♥」
射精の直前、彼女は肉棒から口を離し、吹き出る肉欲を頭からかぶるようにして受け止める。三度の射精で、彼女の美しく身長ほどもある自身も誇りにしていた髪を、根元から先まですべて自らの欲望で穢しつくしたという征服感は、私のすべてを作り変えてしまって二度と帰れなくなるような味がした。
「見てくれ、これで私は完全にあなたのもの♥」
子種を浴びた彼女は、眉を寄せて恍惚の笑みを浮かべながらぶるると痙攣している。
「早くっ、早くあなたのメストカゲを愛でてくれっ♥」
熱く荒い吐息を漏らしながら、色狂いメストカゲは大股を開いて仰向けになり、おねだりするように腰を揺らす。真っ白になっていたはずの陰唇はあふれ出た愛液によって精液を流して露わになっており、ぱくぱくともの欲しそうに蠢いている。
底の見えない淫らさを目の当たりにして、底知れない欲望のままに息を荒げて亀頭と陰唇を触れさせる。
「っ、ぁひぃっぇあっ。」
軽く先を中に埋めただけでいともたやすく声を上げて絶頂する。そのような状態にもかかわらず期待に目を輝かせる彼女を見て、この快楽の宴が終わらないことを確信した。
その時、自身の口元がいやらしく弧を描いたことを、私は気づかなかった。
14/01/22 04:20更新 / わらびもち