トレジャーハンターと一体のドラゴン
ここは、とある山奥にある洞窟。
そこに棲む一体のドラゴンが集めている宝を求め、過去に何人ものトレジャーハンター達がこの洞窟へ足を運んでいった。
だが、その内部は幾多の分かれ道がある複雑な構造の為、途中で力尽き、或いは挫折し、引き返した者も多く、最深部までたどり着けた者は未だ誰もいなかった。
そんな中、たった一人だけこの複雑な自然迷宮を攻略し、最深部へたどり着いた者が居た。
これはそのハンターとドラゴンの物語である・・・
***最深部・ドラゴンの間***
「愚かな人間よ、よくぞこの最深部へたどり着いた」
「・・・さて、アンタの集めた財宝、渡してもらおうか?」
「フン、そう簡単に渡すと思うてか?貴様はここで我と戦って惨敗し、惨めな姿を晒す事となるのだ!」
「上等じゃねぇか、やってやらぁ!」
ドラゴンはファイティングポーズを、男は愛用の剣を抜刀し、ほぼ同時に攻撃態勢に入る・・・そして、先にドラゴンの方が動いた。
「行くぞ、この攻撃かわせるk・・・」
ドラゴンが地面を蹴って男に襲い掛かる・・・瞬間、足元にあった“小さな突起”につま先を引っ掛けて躓いてしまった!
「ひゃあん!?・・・って、あブゥッ!!?」
そして盛大に・・・・あ、ズッコケた。
「・・・・・は?え?ちょ、大丈夫か?」
ドラゴンにはあるまじき声に、一瞬目が点になる男。だが、何だか“嫌な予感”がしたので、今が戦闘中なのも忘れてドラゴンに駆け寄った。
「・・・・・・・。」
ピクリとも動かない。
「お、おい?大丈夫か?」
心配になって声を掛ける男。
「・・・・・・うぅ」
「・・・・・・え?」
「うっ・・・うわ〜〜ん!!いだいよぉ〜〜!!」
「・・・って、ええええ〜〜!?」
突然わんわんと泣き出すドラゴンに困惑する男。さっきまでの威厳はどこへやら・・・。
コイツ本当にドラゴンか?男は呆れながらそう思っていた・・・
***数分後***
「ほら、もう手当ても済んだし、いい加減泣き止めよ」
「グスン・・・・ひっぐ・・・・ひっく・・・」
「ったく・・・お前、ホントにドラゴンか?」
「グズン・・・だって・・・今まで誰もここまで来てくれなかったし、この前もあまりに寂しかったから、街の上を飛んで街の様子を眺めてただけなのに、“魔物だ〜!!”って言って皆逃げだすし・・・」
「そりゃ、この辺の街は反魔物領だからだろ・・・」
「ずっと・・・ぐすん・・・一人で・・・ひっぐ・・・寂しかったんだもん・・・ひっく・・・ふぇぇぇ〜ん・・・・」
・・・・なんか可哀想になってきたな。ずっと一人で寂しかった上に初の戦闘開始直後、無様に転倒、挙句に怪我。そりゃ泣きたくもなるわな・・・
・・・もうお宝諦めて帰ろう。うん、それがいい。
と言うか何かもうどうでも良くなったし・・・
男が無言で立ち上がり、出口へ向かおうとすると、ドラゴンはそっとズボンの裾を掴んで来た。
「何処か行っちゃうの・・・?私を置いて行かないで・・・もう寂しいのはやだよぉ・・・ぐすん・・・」
「とは言ってもなぁ・・・」
「お願い、何でもするから!・・・それに、手当てしてもらった時に貴方の事が好きになっちゃったから・・・ダメ?」
上目遣いで見つめてくるドラゴン。
・・・その表情は反則じゃねぇか、コンチクショウ。
「うっ・・・ったく、好きにしろ」
「・・・・・・・うん♪」
その後、夫婦となった二人は親魔物領で幸せに暮らしましたとさ・・・・
そこに棲む一体のドラゴンが集めている宝を求め、過去に何人ものトレジャーハンター達がこの洞窟へ足を運んでいった。
だが、その内部は幾多の分かれ道がある複雑な構造の為、途中で力尽き、或いは挫折し、引き返した者も多く、最深部までたどり着けた者は未だ誰もいなかった。
そんな中、たった一人だけこの複雑な自然迷宮を攻略し、最深部へたどり着いた者が居た。
これはそのハンターとドラゴンの物語である・・・
***最深部・ドラゴンの間***
「愚かな人間よ、よくぞこの最深部へたどり着いた」
「・・・さて、アンタの集めた財宝、渡してもらおうか?」
「フン、そう簡単に渡すと思うてか?貴様はここで我と戦って惨敗し、惨めな姿を晒す事となるのだ!」
「上等じゃねぇか、やってやらぁ!」
ドラゴンはファイティングポーズを、男は愛用の剣を抜刀し、ほぼ同時に攻撃態勢に入る・・・そして、先にドラゴンの方が動いた。
「行くぞ、この攻撃かわせるk・・・」
ドラゴンが地面を蹴って男に襲い掛かる・・・瞬間、足元にあった“小さな突起”につま先を引っ掛けて躓いてしまった!
「ひゃあん!?・・・って、あブゥッ!!?」
そして盛大に・・・・あ、ズッコケた。
「・・・・・は?え?ちょ、大丈夫か?」
ドラゴンにはあるまじき声に、一瞬目が点になる男。だが、何だか“嫌な予感”がしたので、今が戦闘中なのも忘れてドラゴンに駆け寄った。
「・・・・・・・。」
ピクリとも動かない。
「お、おい?大丈夫か?」
心配になって声を掛ける男。
「・・・・・・うぅ」
「・・・・・・え?」
「うっ・・・うわ〜〜ん!!いだいよぉ〜〜!!」
「・・・って、ええええ〜〜!?」
突然わんわんと泣き出すドラゴンに困惑する男。さっきまでの威厳はどこへやら・・・。
コイツ本当にドラゴンか?男は呆れながらそう思っていた・・・
***数分後***
「ほら、もう手当ても済んだし、いい加減泣き止めよ」
「グスン・・・・ひっぐ・・・・ひっく・・・」
「ったく・・・お前、ホントにドラゴンか?」
「グズン・・・だって・・・今まで誰もここまで来てくれなかったし、この前もあまりに寂しかったから、街の上を飛んで街の様子を眺めてただけなのに、“魔物だ〜!!”って言って皆逃げだすし・・・」
「そりゃ、この辺の街は反魔物領だからだろ・・・」
「ずっと・・・ぐすん・・・一人で・・・ひっぐ・・・寂しかったんだもん・・・ひっく・・・ふぇぇぇ〜ん・・・・」
・・・・なんか可哀想になってきたな。ずっと一人で寂しかった上に初の戦闘開始直後、無様に転倒、挙句に怪我。そりゃ泣きたくもなるわな・・・
・・・もうお宝諦めて帰ろう。うん、それがいい。
と言うか何かもうどうでも良くなったし・・・
男が無言で立ち上がり、出口へ向かおうとすると、ドラゴンはそっとズボンの裾を掴んで来た。
「何処か行っちゃうの・・・?私を置いて行かないで・・・もう寂しいのはやだよぉ・・・ぐすん・・・」
「とは言ってもなぁ・・・」
「お願い、何でもするから!・・・それに、手当てしてもらった時に貴方の事が好きになっちゃったから・・・ダメ?」
上目遣いで見つめてくるドラゴン。
・・・その表情は反則じゃねぇか、コンチクショウ。
「うっ・・・ったく、好きにしろ」
「・・・・・・・うん♪」
その後、夫婦となった二人は親魔物領で幸せに暮らしましたとさ・・・・
12/09/07 17:36更新 / 四爺麓参