初めて仲間ができたぜ、ヒャッハー! BACK NEXT

第七話




ドラゴンが動かなくなって俺はよく姿を見ようとその周りを回り始めた。

ドラゴンの大きさは大体20mくらいかな…MSとほぼ同じ大きさとは…恐れ入る。

鱗は美しく金に輝き硬い、こりゃあ矢が効かないわけだ。

そういえばこいつの首輪はよく壊れないな…こいつも逃れようと色々とやったはずだしな。

感心して何気なく首輪に手を翳した瞬間、首輪が光り始めた。

あ、コレまずくね?

まるで立体パズルを崩すように翳した部分が組み替えられ、カチッと音がして首輪が外れた。

…うん、どうせこいつは立ち退いてもらわないと困るし結果オーライだ。

ああ…疲れた…。

…ん…?…やべ……安心したら……ね…む……。





「起きろ」

ん?…ハッ!?

いつのまに寝てしまったのか、俺は驚いて辺りを見渡した。

そして後ろを振り向くと、金色の鱗がすぐ目の前に見えた。

「ゲッ」

「安心しろ、もう喰う気はない」

「…」

いや、今まで(俺からしたら)命のやり取りしてた相手だよ?信じられるはずもないじゃん。

「ふむ…その目は信じてないな?そもそも何故我をこの鎖から開放してくれた者を喰わねばならんのだ」

む…正論て言えば正論か?でもな…

「…次におぬしは『信じられるか』という」

「信じられるか…ハッ!?」

おいおい…こいつ読心術でももってんのか?

「無理もない。おぬしは普通の人間、我は曲がりなりにも何百年と生きてきたドラゴン、だが、害をなす気がないというのは本当だ」

「…」

まだ疑わしいが、このまま平行線でいっても仕方がない。ここは折れよう。

「…わかったよ。それで、お前はこれからどうするんだ?」

「おぬしと共に行く」

…え?

「待った、今なんて?」

「おぬしとともにいく、ここはつまらん」

「…」

「我がいったいどれほど長い間ここに幽閉されていたと思う?首輪に繋がれ、食料もなく、この無機質な空間と永遠に広がる荒野しか見えぬこの場所に。たまに来る愚かな人間どもしか話す相手もおらなんだ。だからこそ、おぬしに恩返しもしたいのだ」

「…そか…いいよ」

「!ほんとか!?」

嘘言ってどうすんだよ…。

「ああ。これからよろしく」

「うむ!」

俺が握手しようと手を伸ばすと、ドラゴンも手を伸ばしたが、一瞬手を引っ込めて何か考えると、次の瞬間光ながらその形を変えていった。

背は縮み、髪のようなものが見えると光が消え、中から要所要所に鱗を纏った髪が長い女性が現れた。

顔立ちは日本人っぽいが、金色の髪と赤い目を持っていてとても綺麗で一瞬焦った、いや、いまでも焦ってる。

「…さっきのドラゴン?」

「いかにも。魔王が変わったからなのか、こちらの方がしっくりくるな…どうした?」

やべ、あんまりジロジロ見すぎた。気を悪くしたかな?

「では改めて」

「は、はい」

俺とドラゴンは硬く握手を交わした。

「…ところで…」

俺は根本的な問題がまだ終わってない事に気がついた。

「なんだ?」

「…貴女名前はなんですか?」

「そんなに急に余所余所しくならないでくれ。我の名前か……知らん」

「…え?」

これは驚きだ。何百年と生きているのなら名前のある有名なドラゴンだと…。

俺がなんて呼ぼうか考えていると、ドラゴンから話しかけてくれた。

「…おぬしが付けてくれぬか?」

「え?」

まぁ、まさかこんな事いわれるなんて毛ほども思ってなかったけど。

「我を解放してくれたからの、生まれ変わった気分なんじゃ。だから…名付け親になって欲しい」

「とはいっても…」

う〜ん…彼女の特徴か…金髪…赤い目…炎…うん。

「じゃあ…焔なんてどうだ?」

「ホムラ?」

「そう、こういう風に書く」

うろ覚えだったけど、地面に漢字を書く。

「俺の地元の言葉でな…炎って意味だ」

「なるほど、我の代名詞である雷ではなくあえて炎をとるか…面白い。そういえば我もぬしの名を聞いてなかったな」

「須藤康介だ。こう書く」

また地面に名前を書くと、不思議そうな顔をされた。

「不思議な文字だ、我は見たことないな」

「そ、そうですか…」

…そういや報酬とかどうなるんだろう…。

「そういえば、宝物とか持ってるのか?」

「宝か?あるぞ」

そう焔が言って指で小さく円を描くと、ちょうど彼女の背後に黒い穴ができて、そこからドサドサと金銀財宝がザックザク出てきた。

あまりに簡単に出てきたからこっちが驚く暇がなかった。

というか小山ができるほどあるってどういうことだよ…。

「…」

「ところで急にどうした?宝なんぞ、興味がないように思えたが…」

「俺も凡庸な人なんでね。でもこれは…」

考えてもみろ、こんなにいっぱいあったって俺はおそらく自堕落な生活をしてしまうだろう。正直言って、そんな生活はしたくない。向こうで嫌と言うほどしてきて後悔していた所だったからな、中々止まらないんだよなこれが。

たから、大半は置いていってしまおう。

「…悪いけど、大体は残していってもいいか?」

「ん?どういうことだ?」

「いやさ、俺は元々ここには依頼できてんだけど、その報酬がお前が持ってるものだったんだ」

というより、塔の中に宝箱一つなかったから必然的にそうなるだろう。

「…ほう」

一瞬、怒気が感じられたが当たり前か。そもそもこいつの持ち物なんだからな。

「…それで?」

「でな、普通に考えたらこんなにいっぱい持って帰れるわけがない。だから置いていきたいんだ」

「我が持とう」

「…さっき言ったのは建前でな。実のところ自堕落的な生活をしそうだから置いていきたいんだ」

「ふむ…まぁ構わんよ」

「じゃあいくつか持って…」

「ああ、なら…」

ガサガサと焔が小山を探していると、その中から赤い腕のようなものを取り出した。

でも、腕というよりも肘から手先まで覆うような籠手だな、腕のところには見たこともないような文字が書いてあり、手首のところはドラゴンの顔のようになってそこから先に刺々しい鎧に覆われた手袋が一体化していた。

…一瞬メダル一枚だけで片手になって復活した怪人を思い出したが頭の隅に追いやろう。

「…」

「これはな、我が唯一この塔に来る前に持っていたものだ。誰が作ったかは覚えていない。ただ持っていたということだけ覚えているものだ」

「そんなものを貰ってもいいのか?」

むっちゃくちゃ大切なものだろうに…。

「いや、我を打ち倒したものだからこそ、受け取ってもらいたいのだ」

「…じゃあ、ありがたくいただくよ」

だが、俺が受け取ると突然右手と同化した。ほんとどうかしてるよ。

あまりに突然すぎて俺も頭が回らなかった。だが、それと同時に右手が焼けるように…それこそ溶けてしまうんじゃないかっていうくらい熱くなって俺はただその場に蹲って絶叫することしかできなかった。

「━━━━━っ!!!」

「む?そんなに痛かったか?」

「…」

痛いってもんじゃねぇよこれ…。

熱が引いてようやく右腕を見ると、そこには龍の顔…いや、ドラゴンの顔を模したと思われる赤い刺青があった。

なんか増えていくなこのタイプの刺青。

「…で、これは…」

「知らん」

「…は?」

ちょっとまて、持ち主なんだから知らないはずは…

「我が持っていたということ以外は分からん。ただ、何かしらのマジックアイテムであろう。おぬしの持っている籠手と同じでな」

うわ〜こりゃあマジで知らなさそうだな…追々調べないと…。

「ところで康介よ、どうやって帰るつもりだ?」

「…」

そういやあの神官帰り方教えてくれなかったな…クソゥ…。

まさかわざと俺を置いていって荒野の魔物まで退治させるつもりだったんじゃ…いやまさかな…。

「考えすぎか…」

「?どうした?」

「あ、いやなんでもない…そうだなぁ…」

チラリと隣を見る。

元々ドラゴンの焔、こいつに乗れば早いんだろうけど…もしも戦っていたときの雰囲気になられたら正直後がない。石柱の奇襲はもう通用しないだろうし…。どうしようかな…。

「我でよければ乗せるぞ?」

「…まじ?」

「本当だ」

「…凶暴になったりは…」

「ああ、あの姿はあくまでも首輪によって外界からの魔力の変異を防いでいただけだ。だが、今やその呪いは解け、我はおぬしに対しては礼を尽くそうぞ」

「あ〜とりあえず送ってくれるってことでいいのか?」

「構わんぞ、家はどこだ?」

「家というか宿なんだが、ここから北へ200キロくらい行ったとこにある街だ。ただ、3キロくらい離れたところで一旦降ろしてくれ、そこから歩く」

「む…そうだな、よかろう」

少し離れていろ。と焔が言うと、見る見るうちに巨大なドラゴンの姿に戻っていった。

「うわ〜おう」

「さぁ背中に乗るがいい」

うん、見事なナイスミドルボイスだな。

焔の背中に生えている金色の毛を掴み、しっかりと密着した。

「こっちはいいぞ」

そういうと焔はゆっくりと飛び上がり、北へ向けて飛び始めた。

風が気持ちい、こんな気分になるのは初めて…




もう何も怖くない!




嘘です冗談です、けっこう怖いです。

正直言って何度も空に飛ぶことを夢想した事はある、でもそれは猛スピードで飛ぶことじゃない!俺ジェットコースター苦手なんだよ!もっとスピード落としてくれー!!!




息も絶え絶えになりながら、俺たちは街から3キロ離れた森に着陸した。













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今日の日記:焔



ああ、こんな気分は初めてだ。
誰かに屈服されるのがこんなに良いとは知らなんだ。
ずっと一人だった我に訪れた光、そう康介こそ我が光だ。
最初こそ矮小な人間だと思っていたが、なかなかに面白く、我を一度でも打ち倒すとは思わなんだ。
あの光こそ、我が求めていたものに違いない。
片時も離れず、この光を守りたいと我は思う。






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14/03/23 23:06 up
…どうもです

最近暑くなったり寒くなったりしていますね。いやはや大変な時期です。

今年の四月から大学生になります。

それと艦これ始めました、そして今日、若葉が沈みました…グスン

ではそろそろ、また次回お会いしましょう。
kieto
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