読切小説
[TOP]
黒ギャル援交(風)アタック!
雑踏、ネオン、客引き。
都会の夜は、昼よりも明るく、騒がしい。

「そこの社長! どうすか、いい娘いますよ?」
「前払いだから大丈夫! 本当に大丈夫だから!」
「俺の紹介に任せといて下さいよ!」

これらの声を無視し、ゆっくり、というよりはとぼとぼと歩く、中年の男。
彼の名は萩尾正治。ごく普通の、中間管理職のサラリーマン。
頭髪は耳の周辺を残して禿げ、腹には贅肉でっぷり、表情はクタクタ。
いかにもすぎて逆に珍しい程の、『うだつの上がらないオッサン』の風貌。

夜の街で一遊び、という訳ではない。
単純に、ここを通るのが自宅への最短ルートであるというだけだ。
普段は避けて通っていたが、この日は何となく、この道を選んだ。

「おーじさん♪」

故に、彼女との出会いは偶然だった。



「んもー。こんなカワイコちゃんが声かけたのに、無視するなんてひどーい!」
「美人局としか思えなかったんだ……悪かったよ。
 でもいいのかい? こんな安い店で。君ぐらいの年頃なら、
 こんなおじさんじゃなくて、若い男の子とおしゃれな店に行きたいものだろう?」

歓楽街の外れにある大衆料理店、その隅のテーブル席にて。
野菜炒め定食を食べる正治の前で、声をかけた女子高生……ダークエルフの涼風ミナモは、
チャーハンと坦々麺(どちらも大盛)を食べながら、口を尖らせる。

無視して行こうとしたところ、腕を掴まれ、引っ張られた。
強引なキャッチだなと思っていたところ、「私、お腹空いてるんだー」と言われ、
なりゆきで食事をごちそうすることとなったのである。

「男のコは好きだけどさー、学校の男子とは、なーんか合わないんだよねー。
 あたしを……というか、ダークエルフを軽く見てるっていうか、夢見過ぎってゆーかさ。
 いいじゃん、女の子がたくさん食べても、スイーツよりラーメンが好きでも」
「そういうものなのか」
「そういうものなの。……で、おじさん。この後ヒマだったら、ホ別2万でどう?」

水を飲み込むのがあと1秒遅れていたら、盛大に吹き出していたであろう。
タイミング的には、思いっきり咳き込む程度でどうにかなった。

「ちょっ、大丈夫?」
「それはこっちのセリフだよ。おじさんをからかうのもほどほどにしなさい。
 おじさんは色々諦めがついてるからいいが、勘違いしたらどうするんだ」
「あたしは本気だよ? てゆーか、さっきのでなんとなく分からない?
 あたしは学校の男子にあんまり興味ないの。むしろ、おじさんはド真ん中ストライクだよ?」
「……諦めついてるとは言っても、まだ下半身は元気なんだ。そこまでにしてくれ」
「だったら尚更。ダークエルフの褐色ドスケベボディ、好きにしていいよ?」
「……この辺詳しくないから、場所は適当に探してくれ」

正治の見た目は枯れているが、性欲は若かりし頃と同じくらいには旺盛。
学生離れした豊満な胸の下で腕を組み、その重みを強調されては、
まずい事だと理解してはいるが、本能には逆らえなかった。

  
 
「ここ、この前見つけたとこなんだー。身体洗ってくるから待ってて。
 あ、おじさんは洗わないでね。そっちの方好きだから」

ラブホテルより安く、入りやすいということで訪れたレンタルルーム。
正治は、頭を抱えた。

(……いい年して何を色気づいてるんだ俺は!)

相手は(少なくとも見た目の上では)自分の娘と言っても違和感ない程には年下。
誘ってきたのは彼女とはいえ、いくらなんでも、常識から逸脱している。

「落ち着け。考えるんだ正治。ここは穏便に済ませるべきだ。
 そう、例えばお金はきっちり置いておきながら去るとか、そういう……」
「そういう、何?」
「うおぉっ!?」

思ったより遥かに早く、ミナモは浴室から出ていた。
そして、驚いたのは不意に声をかけられたからではない。

なんと、彼女はこの時点で全裸だった。
健康的かついやらしい、ダークエルフ特有の褐色の肌に、くびれたウエストの曲線美、
そして豊満かつ若々しく突き出た美巨乳を惜しげもなく晒している。
バスタオルでも巻いてくるものだと思っていた正治は、完全に面食らった。

「ちょっ、君! 女の子なんだから慎みを持ちなさい! 大体ね、おじさんのような……」
「どうせやることは決まってるんだから一緒じゃん?
 あ、おじさんってバスタオルがはらり……とかにクるタイプだった?」
「いやそういう……って、考えてみればここに来てる時点で、何も言う資格はないか……
 悪いね、年をとるとこう、説教臭くなって……」
「気にしないで。けど珍しいね。ヤってから説教し始めるおじさんはよく聞くけど、
 ヤる前に説教しようとするおじさんなんて、聞いたことないよ」
「変なプライドこじらせてるだけだ。不快にさせてすまない」
「もー、いちいち謝らなくっていいって。もしかしておじさん、童貞?」
「……素人童貞だ」
「マジ!? おじさんいくつ!?」
「君より干支二回りは上、とだけ言っておこう」
「奥さんは? 子供とかいる?」
「随分前に別れた。子供は浮気相手の子だったよ。
 ずっとレスだったのに、急に迫ってきたからおかしいと思って調べたら、ドンピシャだ」
「あ……」

流れで、地雷を踏んでしまった。
気まずい沈黙が、辺りを包む。

しばらくして、この沈黙を破ったのは、正治だった。

「まぁ、俺がその程度の男だったというだけの話だ。
 ……気持ち悪いだろう? だから、こんなおじさんに身体を売るのはよしなさい。
 おじさんは、いつも一人の夕食を、君のような可愛い子と一緒に食べられただけで、
 十分幸せだ。それだけで、2万円くらい払う価値はある」

全ての物事を諦めたかのような、哀しい目を細め、無理に笑みを浮かべる。
懐から長財布を取り出し、万札を2枚取り出して、ミナモに渡した。

「ほら、約束のお金だ。ある程度時間をおいてから、出てきておくれよ。
 今日はラッキーな事に、カモみたいなおじさんに出会えた、とでも思っておきなさい」
「ちょ、ちょっと待って!」
「足りないか? なら、もう1万円くらい……」
「いや、そうじゃなくて!」



「何で、おじさんがお金払ってるの!?」



「……うん?」

思考が、止まった。
一度頭をリセットしてから、ミナモの言葉を反芻する。

(おじさん、これは俺のことだな。お金払ってる、それも俺だ。
 で、『何で』と『払ってるの!?』は、疑問と驚き。
 そして、その対象は…………俺が、お金を払っていること)

理解した。
理解したが、理解できない。
どう考えても、ミナモが血迷っているとしか思えない。

とりあえず、この疑問を解決する為、当の本人に真意を聞いてみる。

「いや、君が言ったんだろ? ホ別2万って」
「言ったよ! あたしがおじさんを2万円で買うって!
 お金払うのはあたし! おじさんはお金貰う側!」
「……ハァ!?」

なんと、ミナモの言った2万円とは、正治を買った値段。
つまり、大衆料理店での『ホ別2万』とは、逆援交の誘いだった。

「いやいやいやいや!? 君は何を言ってるんだ!?」
「それはあたしのセリフだよ! おじさんからお金貰ったら、援交だよ!
 それじゃおじさんが捕まっちゃうじゃん!」
「逆援交も犯罪! というか、君はまだ未成年だろ!?
 お金のやり取りなくても、おじさん捕まるから!」
「あたしはおじさんの時間を2万円で買っただけだから、逆援交じゃないよ!
 それに、合意の上なら大丈夫だって! 最悪バレなきゃ犯罪じゃない!」
「直前の発言思い出して!?」

正治にとっては、完全に予想外の展開。
ミナモにとっても完全に予想外だったが、方向性が違う。

そのまま、論戦はおかしな方向へ。

「もしかして、2万円じゃ足りない?」
「違う! 2万円なんて大金をこんなおじさんとヤる為に払う必要はない!
 というか、どこからそんなお金が出てくるんだ!?」
「バイト代とか、読モの給料とか。あ、読モって読者モデルの略ね。
 ティーンズ向けのファッション誌なんだけど、去年から……」
「大事にとっておきなさい! 将来の夢とかあるだろう!
 そうでなくても服とか、鞄とか、そういう価値のあるものに使いなさい!」
「あたしにとっておじさんの数時間は2万円以上はするよ?
 おじさんのもらってる給料から考えたら、むしろ安いんじゃないかな」
「そんな妙にリアルなポイント押さえて金額を算出するんじゃない!」

結果、ミナモが正治の逆値切り交渉に根負けし、
先程の食事代とレンタルルーム代のみ支払うということで、決着した。



「わーい、たぷたぷー♪」
「恥ずかしいからやめてくれ……」

正治の腹肉を揺らしながら、ミナモは楽しそうに笑みを浮かべる。
されるがままの正治は、未だ状況のおかしさに順応できない。

「あぁもうたまんない。この脂ぎった肌とか、汗臭さとか、きゅんきゅん来ちゃう。
 おじさん最高……」
「君は本当に変わってるね……」
「『ミナモちゃん』って呼んで。できるだけねっとりした感じで」
「……ミナモちゃん」
「もっとねっとり!」
「……みぃぃぃ、なぁもぉぉぉ、ちゃぁぁぁん」
「誰が歌舞伎みたいにやれと。いいよもう、普通で」

呆れながらも、ミナモはベッドに腰掛ける正治のパンツを下ろし、陰茎を露にさせる。
「まだ下半身は元気」と言うだけあり、年齢にしては十分な仰角を持って勃っていた。

「これはこれは、童貞なのがもったいないカリ高おちんちんではございませんか」
「リップサービスありがとう。使い道は排泄と風俗だけだが」
「褒めてるんだから自信持ちなって。それに、リップのサービスはこ・れ・か・ら♥
 ……あむっ」

言葉のまま、ミナモは正治の一物を咥えた。
飴玉でも舐めているかのように亀頭を転がすと、吸いつきを強め、粘膜を擦り合わせる。
温かな口内に包まれた感触に、正治は思わず身震いした。

「おぉぅ……」
「んっ、んっ、んーっ、おじさんの、おっひ過ぎて、舐めるのふかれる……」
「うっ! 咥えながら、喋られるとっ!」
「うー? ほんなのも、ひもひいいんだ♪」

不平を口にしながらも、正治の反応が面白くて、ミナモはつい、顔を綻ばせる。
しかし、口内の圧力は更に強まり、送られる快楽は増大する一方。

潤いを持った瑞々しい唇が、浅黒い肉棒を食む。
極端なコントラストは、どこまでも淫猥に映る。

「んぐ、んぐ……んっ! んぐっ、んぐっ!」
「うぉぉ!?」

突如、ミナモは顔を前後に動かし始めた。
長めのストロークで、時折喉に当てるようにして、一物を飲み込む。
ただ舌で舐められているだけでも気持ちいいのに、ピストンまで加えられてはたまらない。
淫らな水音が辺りに響くほどに大きくなったことが、行為の激しさを聴覚に訴えている。

これはもう、心地よい感触に浸らせるものではない。
絶頂へと上り詰め、射精を促す責め。

「ミっ、ミナモちゃん! でっ、射精るっ!」
「んっ、んぅっ…………んううっ!?」

裏筋を舌が撫でた瞬間、正治はミナモの口内で果てた。
放出した精液は小さな口に収まりきらず、端から零れ落ちている。

ミナモは射精中の陰茎に吸い付きながら、漏れ出した精液を指ですくい、唇に塗った。
リップクリームでも塗るような仕草で、唇を湿らせている。

しばらく続いた射精が終わると、ミナモの細い喉が3回鳴った。
この状況で飲み込んでいる物と言えば、一つしかない。

「……ぷはっ。こってりザーメン、ごちそうさま♪」
「はぁ、はぁ……あ、ありえないくらい射精た……」

今まで経験したフェラチオはおろか、あらゆる性行為の快楽を上回っていた。
搾精に特化したとしか思えない、ミナモの口淫奉仕による射精。
それは、彼女の種族を―――享楽の道を選び、サキュバスに身体を差し出したエルフである
『ダークエルフ』であるということを、雄弁に物語っていた。

そして、ここまでは前戯に過ぎないということを、ベッドに乗ったミナモが臀部を向け、
四つん這いになったことで思い出す。

「ねっ、おじさん。あたしのおっぱいもみもみしながら、犬みたいに突きまくって。
 あたしとわんわんえっちで、素人童貞、捨てちゃお♪」

キュッと締まった腰とは対照的な、安産型の大きな尻。
海外AV女優のような肉付きの、上向きの美尻。
恐らく、尻肉を支える筋肉が非常に発達しているのだろう。

そして、要求されたのは、本能丸出し、快楽最優先の、獣のような交尾。
人間の尊厳を捨て、子を生す為の神聖な行為であるという事など気にしない、雄と雌の交尾。

「……今更、止められないからな」
「止めないし、止めさせないから♥」

己がいきり勃った剛直を、ぐちゃぐちゃに湿りきった陰部に押し当て。
力任せに、ミナモの中へと押し入れた。

「んぐぅっ!」
「うっ!」

素人童貞卒業による、肉襞の歓待……と言うには、酷く苛烈な責めだった。
ぐじゅぐじゅに蕩けた淫肉が、全力で陰茎全体に絡みつく。
『弱い部分を責める』のではない。弱い部分含め、『全てを責めて』いる。

一応、責めているのは正治だが、実質的には責められている側。
ダークエルフの基本的思想、『男=性奴隷orペット』は、身体にもその影響が出ている。

「うぉっ、ちょっ、ミナモちゃん!?」
「あぁんっ! もっと、おじさんもっとぉ♥」

既に余裕が無い正治をよそに、ミナモは快楽に溺れ、正治の一物を締め上げることに必死。
特に意識している訳でもないのに、勝手に膣が蠕動し、蠢き、肉棒を責め立てる。
それらの動きが目指すのはただ一点。『おちんちんから、精液を搾り取る』。ただそれだけ。

激しい責めで、強引に射精反射までの時間を短くされ。
今まで経験したことの無い、膣肉からの刺激の数々に抵抗できるはずもなく。

「うっ、うっ、うおおおっ!?」
「あああああんっ! 射精てる、射精てる〜♥」

挿れてから一分ともたず、精を『撒き散らさせられた』。
自分のピストンでイったのではなく、ミナモにイカされた、ということを強く感じさせる、
身体の奥底から全ての水分が吸い取られるような、壮絶な射精だった。

「もっと、もっともっともっとしてぇ! あたしのおまんこでイッてぇ!」
「あっ、もう、またっ、あっ、あああああ!」

射精しながら、射精させられる。
一つ前の絶頂が終わり切らぬ前に、別の絶頂が襲い掛かる。
二重、三重、四重と、どんどん絶頂感が重なってゆく。

「ほらっ、あたしのおっぱいも揉んで! 上に乗っていいから!」
「ひっ、ひぃっ、ひひぃっ!?」

まともな言語を発せなくなった所で、上半身が起こせなくなり、正治はミナモの背に倒れた。
すかさず、ミナモは正治の手首を掴み、自分の胸に押し付ける。

「もっと腰振って! おっぱい揉んで! 気持ちよくしてぇ!」
「あぁ……あぁ、あああああ!?」

度重なる絶頂に生命の危機すら覚えながらも、本能で神経に電気信号が走り、乳房を揉んだ。
両手からはみ出すほど大きく、心地よい重みを持つミナモの胸は、柔らかくありながらも弾力十分。
ダークエルフ特有の粘っこい感触と、若々しい肌のハリが、性的欲求充足感を更に後押しする。

(この世に、こんなエロい感触のものが存在するなんて……!)

正治は興奮と同時に、感動すら覚えていた。
しかし、ダークエルフという種族ならではの艶美さ、ミナモの明るいエロさの比重が強い為、
必然、神秘的であるとかいったやや場違いな感想は、淫靡さに塗りつぶされていく。

「ああん♥ おっぱい気持ちいい〜♥」
「なっ、おぉっ!?」

どうやら、胸はミナモの性感帯の一つであるらしい。
揉みしだくごとに、膣が締まり、陰茎を奥へ、奥へと引きずり込もうとする。

「もっともみもみしてぇ〜♥ おっぱいもおまんこも気持ちいいの〜♥」
「ちょっ、また締まって……うぅっ!」

甘い声で快楽をねだり、全身をくねらせ、正治の男根をもみくちゃにするミナモ。
後背位という、基本的には挿れている側が主導権を握る姿勢であるのだが、
実質的な攻守は完全に逆であり、正治はただ、ひたすら搾られることしかできなかった。



「うぅ……ん?」

気がつくと、レンタルルームには自分しかいなかった。
辺りを見回しても、ミナモの姿はない。
もしかして、あれは夢だったのかと思ったが、それはないと確信した。
何故なら。

「……本当に、最近の娘は進んでるな」

ベッドの脇に置いていた、仕事用の鞄の上に乗っていたもの。
レンタルルームの宿泊代と、昨日払った食事代。
そして、『おみやげ♥』と書かれたメモ用紙に、紫色のランジェリー。
それは、気を失う前に最後に見たものと同じもの。

「時間制限はなかったが、ゆっくりもできなかったな……時間?」

ふと、外していた腕時計を見る。
指し示す時刻は、8時45分。

「……会社ー!!!!!」

始業時刻まで、一刻の猶予もない。
大急ぎでスーツを着直し、レンタルルームを飛び出した。



会社からそう遠くない場所だったこともあり、なんとか始業時刻に間に合った正治。
いつも通り、席について仕事を始める。

「えーっと、広告の修正点は……」
「ハゲ尾係長ー? 三上企画さんとこのポスター、どうなりましたー?」
「あぁ、文字サイズだけ変更だ。デザイン課にメールを転送しておく」

「萩尾くん。君は本当に言われたことしかしないね」
「課長、おはようございます。自分は『余計なことはしない』ということが身上ですので。
 兵士以外の場合、無能な怠け者は連絡将校向きと言いますし、有能な方の仕事には踏み込みません」
「大層なことだな。お飾り係長が」
「存じております」

部下からは馬鹿にされ、上司からは嫌味を言われる。
それでも、今日も正治は部下の悪口は気にせず、上司の嫌味は受け流す。
この柔軟さが、『新聞を読むのが仕事』と言われているくらいには窓際族の彼が、
係長の椅子に座っている理由であることは、本人含め、社内の人々は殆ど知らない。



いつもと同じく、気づいたら時間になったという感じで迎えた昼休み。
正治の携帯が震えた。

「……ライン?」

業務上便利なアプリケーションを入れる為、彼はスマートフォンを所持している。
しかし、スマホの代表的なアプリの一つであるLINEは、あまり使ったことがない。
故に、スパムか何かだと思ったが、アイコンの画像を見てぎょっとした。

「なぁっ!?」

一瞬、社内の人々の目が集まったが、すぐに逸らされた。
彼に興味を示す人間があまりいなかったことが、この時ばかりは幸いだった。

アイコンの画像は、見覚えのあるダークエルフ。
そして、ダークエルフで見覚えがあるとなったら、昨日出会った一人しかいない。

アカウント名は『ミナモ@今月のまもむすDays表紙!』。
受信した内容は。

『おじさんやっほ〜♪ ミナモだよ★ 昨日はおつかれ。勝手に登録したよ(笑)
 おじさんって萩尾正治って言うんだね。今度から正ちゃんって呼ぶね♥
 ところで明日ってヒマ? あたし、久々にオフなんだ。
 よかったらデートしない? 連絡待ってるね〜。じゃ★ミ』

「……この間の下着を返すだけだ。うん、それだけしたら帰ろう」

正当化する理由としては微妙だが、そうとでもしないと、色々と整理がつかない。
予定は特に無いということだけを伝え、正治はコンビニへと向かい、
昼食のついでに、表紙に褐色で耳の尖った少女が載っている雑誌を買った。



翌日、朝11時前。
アパレルショップ等が立ち並ぶ、都心部付近の駅前にて。
ミナモは、正治を待っていた。

ミナモは読者モデルとしてはかなり有名なので、伊達メガネなどで軽く変装している。
もっとも、すらりと伸びた手足に、自己主張の激しい巨乳、日光を浴びて輝く銀髪など、
元々の魅力は隠しきれていないので、あまり意味は無いが。

正治が来たのは、約束の時間の5分前。

「おじさんおそーい!」
「……11時に『集合』で合ってたよな?」
「『待ち合わせ』ね。デートにわざと遅れてくるのはもう古いよ?」
「それは俺も知ってるし、そんなことをするつもりはなかったんだが……」

悩みはしたものの、下着を返すという大義名分を借りて、正治はミナモの誘いに乗った。
勿論、その大義名分は。

「ほら、この前のおみやげとやら。俺のとは分けて洗ったから、大丈……」
「オカズにしてくれた?」
「しとらん! というかこんな場でそんなことを口走るんじゃない!」
「なーんだ。じゃっ、遊ぼっ! 折角だし、おじさんの服選んであげる!」
「ちょっ、引っ張らないで……」

大方の予想通り、イベント回避には何の役にも立たなかった。



「それそれー!」
「うぉっ、とっ、とっ、とぉっ!?」

アパレルショップを冷やかしたり、昼食のデザートに買ったクレープを食べさせあったりと、
男の年齢が妙に高いことを除けば、ごくごく一般的なデートを楽しむ二人。
現在はゲームセンターでエアーホッケーに興じている。

「あっはは! 正ちゃん弱すぎー!」
「厄年迎えたおじさんに無理させないでくれ……」
「ごめんごめん。何か飲み物買ってくるから待っててー」

パタパタと忙しなく駆けて行く後姿を見送り、正治は壁際のベンチに腰掛ける。
普段の仕事以上に疲れてはいるが、その疲れが心地よい。

(考えてみれば、こんなに充実した時間はいつぶりだったかな。
 学生の頃は勉学に明け暮れたが、要領が悪くて落ちこぼれ、
 浪人して入った大学は留年して中退、なんとか入った会社じゃ置物扱い。
 気づけば独り身のまま年を重ね、緩やかに孤独死への道を歩むのみ。
 あるのは脂肪と使い道のない預金ぐらいで、特に何も成し遂げていない。
 ……こんなおじさんに時間使うなんて、酔狂な娘もいたもんだ)

年甲斐も無くはしゃいでしまったな、で締めくくり、辺りを見回す。
馴染みのない光景を一通り見てから、正治はベンチを離れた。



(正ちゃんはお茶でいいかなー。年いくと炭酸は痛いだけって言うし。
 あ、でもビールとかは飲むよね。飲みそうな顔してるし。
 といってもこのサイダーはキツいか。んじゃやっぱお茶で……)

自販機の前で飲み物の選択に悩んでいたミナモが、結論をまとめた所。
背後から男の声が聞こえた。

「ねーちゃん、俺らとホテル行かね?」

不躾な誘いから入った、金髪の青年3人。
この時点で玉砕以前の問題だが、時刻はまだ昼間。かなり無理のあるナンパである。

魔物娘は人間、特に男性が大好きで、好き者と言って差し支えない程に性行為を好む。
と言っても、その部分だけを切り取って、『魔物娘はすぐヤれる』と思うのは、
常識的に考えて愚かな考えであり、そんな考えを持つ者はほとんどいない。
裏を返せば、わずかながらにそんなことを考え、実践してしまう愚か者もいるということだが、
そんな輩に返される言葉といえば。

「今日、彼氏と来てるから」

という、遠回しな断りと相場は決まっている。
そして、愚か者はそれで引き下がることはない。

「いーじゃん、俺らと楽しもうぜ?」
「っていうか、こいつミナモに似てね? もしかして本人?」
「うわマジかよ。カリスマ読モじゃん」
「人違い、というかエルフ違いね。もう戻るから、それじゃ」
「まぁそう急ぐなって。ダークエルフってのは一緒だろ? ならヤろーぜ」
「誰がヤるか。こっちだって選ぶ権利はあるの」
「へー、言うじゃん。こっち3人。そっち1人。マワされたいん?
 力ずくで勝てると思ってんの?」
「……はぁ」

あしらうのも面倒になってきたので、どうしようかと思った頃。



「どうもすいません。うちの娘が何かしましたかね?」



軽くおどけた口調で現れたのは、ミナモを迎えに来た正治。
事態を一目で察し、青年とミナモの間に割って入る。

「は? あんたオヤジ?」
「いかにも。この子はほとんど妻の遺伝子しか受け継いでませんけどね。一安心です。
 まぁ、そのせいで変な虫にたかられたりするんですけどね、君らみたいな」
「あ? ケンカ売ってんの?」
「いえいえそんなことは滅相もございません。ただの害虫駆除でございます。
 ということなんで、汚い虫の皆さんはどうかお引取りを」
「ざっけんなこのクソジジイ!」

青年の一人が、正治の顔面を思いっきり殴った。
モロに打撃を食らった正治は、派手に音を立てて床に倒れる。

「正治!」
「へっ、ジジイのくせにイキりやがって」
「この……!」

怒り心頭のミナモが、青年に殴りかかろうとした時。
巨大な影が、辺りを覆う。

「お客様……店内での暴力行為は固く禁じられております……」
「うっせーな、誰だお……前…………」

2mはありそうな体躯に加え、何人か殺してそうな目つきの、強面の男。
服装でゲームセンターの店員だと分かるが、パッと見は裏社会の住人か何か。

「当方の注意に応じて頂けない場合……制裁処置を……」
「「「ギャーーーーー!!!」」」
「ふぇ……」

青年たちは、一目散に逃げていった。
ミナモも、腰を抜かしてその場にへたり込む。

「お客様……ケガは…………?」
「あぁ、大丈夫ですよ。受身取りましたし、顔も贅肉のおかげでこの通り。
 いやぁ、太っていて得したことなんて初めてでしたよ。はっはっは」

容姿に加えて低い声である為、相当な威圧感を持つ店員に、明るく応対する正治。
この店員に気づいてもらえるように、わざと大きな音を立てて倒れたらしい。

「正ちゃん、何でこんな無茶……」
「おじさんになるとね、こういったやり方ができるんだよ。
 君みたいな娘が、人を殴ったりしちゃいけない。悪い奴と同じになってしまうだろう。
 こういう役目は、大人に任せておきなさい。……いたた」
「もう、こんなこと2回もするのやめてよ!」

倒れ込むようにして、ミナモは正治に抱きつく。
驚く正治だが、その直前のミナモの発言を聞き逃さなかった。

「……2回?」
「え、正ちゃん? もしかして、覚えてないの?」
「覚えてないというか、何のことだかさっぱり」
「あのさ、1ヶ月くらい前、ファーストフードのお店にいたよね?」
「先月……あぁ。確か、そうだった」
「その時のことなんだけど……」



「うーん、安いけどやっぱりビミョー……」

某ハンバーガーショップの昼下がり。
撮影の合間に選んだミナモの昼食は、大きなハンバーガーとサラダ。

「テリヤキにするべきだったかな……それかフィッシュバーガーか。
 まぁでも、この値段ならこんなもんか」

適当に腹を満たしていると、隣の席から声が聞こえる。
座っているのは、この日は同じ現場で撮影している、読者モデルの先輩。

「てゆーか、ミナモ? あいつ新人のクセに巻頭とか、調子乗ってない?」
「一回シメない? ちょっと可愛いからって何様って感じなんですけど」
「悪口なら直接言ってくれませんかね、先輩方」

放っておくことは、できなかった。

「あ? お前のことじゃねーし」
「思いっきり名前出してましたよね。今更取り繕わないで下さい。
 あたし、何かしました? 特に恨みを買うようなこと、してないはずなんですけど」
「うっせーな。エコヒイキされてるくせに」
「雑誌コンセプトに合ってただけです。それに、先輩方の主軸ってJD誌ですよね?
 そっちの方に出たことはありませんし、尚更恨まれる筋合い無いんですが」
「うるせーんだよ! どーせマクラで仕事もらってんだろクソビッチが!」
「そんな真似するくらいなら始めから読モなんてやってません」
「……うるせぇ!」

一触即発、弩張剣抜。
言いがかりに正論で答えられ、激昂した先輩が立ち上がったところで。

「はいはい、公共の場では静かにしようか」

お盆の上にハンバーガーセットを持って現れた、ワイシャツ姿の男。
昼食に訪れていた正治である。

「あ? うるせーよハゲ」
「うん? それはおじさんのことかな?」
「お前以外にいねーだろハゲ」
「はは、そうかもしれないな。けど、君たちも気をつけたほうがいいよ。
 そんなにカッカしてちゃあ、若いうちからハゲてくるからね」
「うるせーよこのハゲ!」

ミナモの先輩読者モデルの少女はハンバーガーを掴み、正治の顔面にぶつけた。
肉汁やらソースやらが顔に塗られ、垂れた分がワイシャツを汚していく。

「おやおや、食べ物を粗末にしちゃあいけないね。
 それに、これはおじさんがお金を出して買ったものだ。弁償してもらうよ」
「うっせーんだよいちいち! ハゲデブがうるせぇ!」
「おかしなことを言うねぇ。おじさんはずっと静かだよ。
 うるさいのは君たちじゃないか。言葉の半分が『うるさい』になってるし。
 そんなのだから、人をビッチ呼ばわりしたりするのかな」
「うるせー!」

少女が正治の持っていたお盆を弾き飛ばし、掴みかかろうとした瞬間。
背後から来た店員が、羽交い絞めにして引き離した。

「お客様! これ以上は他のお客様の迷惑になりますので、退店して頂きます!」
「あ!? 何だよ離せよクソが!」
「おーい! 警察呼んでくれ! ガチでヤバいから!」
「サツとか呼ぶんじゃねぇよ! アタシを誰だと思ってんだ!」
「知るか! あ、ちょっと来い! そっちも押さえてくれ!」

突然の事態に呆然としていたミナモだったが、慌てて正治に頭を下げる。

「ごっ、ごめんなさい! あの、服とごはんと、全部払いますから!」
「大丈夫。洗えば落ちるし、ごはんは別のとこで食べるから。
 変なところで関わってごめんね。おじさん、こういうのはほうっておけないタチでね」
「そんな、とんでもないです! 本当にごめんなさい!」
「謝らなくていいよ。じゃ、おじさんはこの辺で」
「あのっ! せめてお名前を!」
「名乗るほど大した者じゃないよ。ただのハゲて太ったおじさんだ。それじゃ」

ハンカチで顔を拭きながら、急ぎ足で去っていく正治。
追いかけようとしたが、すぐに人混みに消えていった。



「あぁ、あの時の」
「本当に覚えてなかったんだ……でも、それもそうか。
 正ちゃん、あたしが出てるような雑誌、読まないでしょ?」
「そうだな。君が有名人だと知ったのも、つい最近のことだよ」
「あたしね、あの時キュンってしたんだ。学校の男の子じゃ、絶対ありえないもん。
 また会えないかなって思って、夕方に色々なとこ歩いてたんだ」
「おじさんは喧嘩、苦手だからね。被害者になって、誰かに助けてもらうんだよ。
 あってケガしたり、服が汚れたりする程度で済むんだ、安い物だよ」
「正ちゃん……」

簡単に自分の身を投げ出す、自己犠牲の精神。
直接的な暴力を使わずに解決する、大人ならではの対応力。
そこに、ミナモは惚れていた。

「正ちゃん。あたし、ちょっと疲れちゃった。
 休憩できるところ、行きたいな。……お城みたいな感じの建物で」
「……おじさんをからかうのもほどほどにしなさいと、言ったはずだ」
「からかってなんかないよ。あたしは、心からそうしたいって思ってる。
 ……もう一回、あたしを抱いて欲しい」
「……親御さんに、連絡しておきなさい」

ゲームセンターを後にして、歓楽街へ。
まだ明るい時間帯だが、二人は休憩へと向かった。



「さっすがラブホテル。色々完備してるね。
 鞭に蝋燭なんかもあるんだ。……興味、ある?」
「勘弁してくれ。そういった方向の趣味は無い」

ムード溢れる明かりが照らす室内に、若いダークエルフとくたびれた男。
ハタから見たら、完全に犯罪である。

「お風呂場も丸見えだねー。正ちゃんにならいくら見られてもいいけど♥」
「……こっ恥ずかしいことを言うんじゃない」
「今からやるのはもっと恥ずかしいことですが」
「ベクトルが違うだろ……」

お互いに、ラブホテルに入るのは初めて。
部屋の中を物珍しげに歩き回るミナモに対して、正治はベッドの上に腰掛けたまま。
こういった展開になったことについては、もう諦めていた。

「シャワー浴びる? 今日暑かったし。
 ご希望でしたら汗だックスもOKというか、大歓迎でございますけども」
「浴びさせてくれ。ただでさえ汚い体してんだ」
「むー、正ちゃんはそこがいいんだけどなー。……ぷにぷに」
「腹をつつくな。じゃ、風呂『に』しよう」
「かしこまー。お風呂『で』しますかー♪」
「……分かっていたよ」



シャワールームは、意外と広い。
そして、そこかしこにそれらしいアイテムが点在している。

「おー、これが噂のスケベ椅子。正ちゃんも座ったことある?」
「一応は」
「元素人童貞はダテじゃないって訳か。今はバッチリ非童貞ですが♪」
「おかげさまでな」
「まぁこれはこれとしまして……せっかくのラブホですし、コレ使いますか」

いつの間にかミナモが持っていたのは、銀色の小袋。
備品として、シャワールームの前に置いてあったらしい。

「ローション風呂の素だって。シャワー浴びてる間にできそうだし、
 ぬるぬるプレイと洒落込みましょう♪」
「……任せたよ」
「任されたー♪」
(……いい加減、変なプライドは捨てるか)

いちいち楽しげなミナモを前にして、ようやく正治も覚悟を決めた。
自分は、自分の娘くらいの年の少女と、性行為をする。
その事実を受け止め、どうせなら楽しもうと決意した。



時折ミナモにちょっかいを出されながら、シャワーを浴び、浴槽へ。
程よい粘性の液体に満たされた、ローション風呂が完成していた。

「これの経験は流石に無いな」
「そうなんだ? どこの入浴料数千円のお風呂屋さんでもあるものかと」
「君は何でそうちょくちょくネタを挟んでくるんだ」
「んー、緊張のごまかしかな。あたし、正ちゃんの以外は指かバイブしか入れたこと無いから」
「そうだったのか……待て、それって」
「うん。実は処女だったんだ。大好きな正ちゃんに捧げられて、嬉しかったよ♥」

ここに来ての、衝撃の告白。
見た目は経験豊富そうだが、それは本当に見た目だけ。
正治の素人童貞卒業と、ミナモの処女喪失は、全くもって同時だった。

「初めてであれだけ乱れたら分かんないよね。もっとそれっぽくしといた方がよかった?」
「そういうことはないが、何で援交まがいの誘い方したんだ?」
「正ちゃんの時間買うんだから当然でしょ?
 今思えば、あたしの見た目なら援交風に誘えばエロさ3割増しだし♥」
「……それは、否定しない」

JKダークエルフから援交を持ちかけられ、誘惑に負けない男は果たして何人いるのか。
少なくとも、まだまだ現役のおじさんでは、拒むことは不可能だった。

「じゃっ、折角のお風呂だし、潜望鏡でもしよっか。ほら、腰浮かして」
「あぁ。……っと」
「出てきた♪ ばっちり勃起してるし、それじゃ……あ、そうだ。こっちにしよっ」

そう言いながら、ミナモは自分の胸の下部に手を沿え、正治の肉棒の上に乗せた。
ローションで滑りやすくなっていた為、いとも容易く谷間へと吸い込まれていく。

「あたしのおっぱい、ずっと見てたもんね♥ 
 ぬるぬるのおっぱいで、潜望鏡パイズリしてあげる♥」

ぬめる胸を両手で器用に抱え、上下に揺らす。
弾性に富んだミナモのロケットおっぱいは、左右から力を加えずとも、
十分に一物を挟んで刺激することができる、パイズリに最適の乳房だった。

「えへへ、気持ちいい?」
「あぁ、すげぇなこれ……ミナモ、一体いくつあるんだ?」
「バスト? プロフには89って書いたけど、実はもうちょっとあるんだ。
 93のGカップだよ♪」

ミナモは全体的にはスレンダーな為、ただでさえ大きい胸は余計に目立つ。
仕事はあくまで服が主役なので、逆サバを読まざるを得なかったらしい。

「合うブラ中々無いから、基本的に下着はオーダーメイドなんだ。
 ……勿論、正治はこのおっぱいだって、好きにしていいんだよ?」
「お前は何でこう、脳にクること言えるんだよ……!」
「ダークエルフですから♥」

滑りやすくなった胸は、あまり速く動かすことはできない。
しかし、ぬるぬるの胸に一物を扱かれる快感は、達するのに必要な閾値を超えている。
徐々に、射精が近づいていることが分かってきた。

「あぁ……もう、射精そうだ……」
「いいよ〜♥ ちゃんとイクまでおっぱいでずりずりしてあげるから、
 射精したくなったらいつでも射精していいからね〜♥」
「あぁ……ヤバい、もう……うっ!」

どぷん、どぷんと、優しい刺激で緩やかに精液が溢れた。
じわじわと広がる射精感が、深く長い快楽と共に押し寄せつつ、谷間を白く汚していく。

「んしょ、んしょ」

射精中の陰茎も、適度に乳肉越しにこね回し、しっかりと快楽を引き出す。
天にも昇る心地よさが、最後の最後まで続いていった。

「濃ゆ〜いの、いっぱい射精たね♥」
「待った、力入らん……」
「わっ、おっとっと」

バランスを崩して沈みかけた正治の背中に手を回し、抱き寄せる。
ローションで大分滑ったが、なんとか姿勢を安定させることに成功した。

「しばらくこのままでいいよ。シャワー出して、あったかくしとくね。
 無理に上がろうとしなくても大丈夫だから、ゆっくりね」
「あぁ……すまんな」



ローションプレイを堪能し、シャワールームを出た二人。
ベッドに戻り、互いの身体を抱きしめあう。

「あったかーい♥ ドーパミンどばどば出る〜♥
 ハグでストレスなくなるって本当だねー。今すっごい幸せ〜♥」
「おじさんはさっきから落ち着かんよ」
「あたしに興奮してるってことだよね? ま、仕方ないか。
 今から現役JKダークエルフとドスケベセックスしちゃうんだもんね」
「多少は羞恥心持ちなさい」
「やだー♪ 正ちゃんといーっぱい気持ちいことするのに、そんなの邪魔♪
 おまんこにおちんちんずぽずぽして、どぴゅーってしてもらうんだもん♪」
(……本当に、エロい娘だ)

適度に体温が混ざり合ったところで、ミナモは正治と手を繋ぎ、上へ。
今回は完全に、主導権を握りにかかるらしい。

「あぁ、なんか上からも下からも涎出てきた……挿れるね。
 正ちゃんは楽にしてていいよ。あたしが全部、してあげるからっ!」

亀頭と陰裂を軽く合わせ、一気に腰を落とす。
愛液で濡れきったミナモの膣は、簡単に正治の一物を最奥まで呑み込んだ。

「ぐっ……!」
「あ、今射精そうになったでしょー♪ なんで我慢したのかなー?
 そんな正ちゃんは……ぐりぐり攻撃でお仕置きだー!」
「うおおおっ!?」

奥まで咥えたまま、腰を左右に激しく捻りつつ、押し付ける。
挿入した時点でイきかけていた肉棒を膣内で強く擦られては、
耐えることなどできなかった。

「はぁ、ああ、でっ、うおおおっ!!!」
「射精た〜♪ いっぱい射精して〜♪」
「ちょっ、一回止ま、うああっ!!!」

動きは多少緩くなったが、元々の締め付けの強さや肉襞の細かさもあり、
射精中の陰茎をゆるやかに揉みほぐすというのではなく、敏感なところを
思いっきり責められているという状況。
それを知ってか知らずか、悶絶する正治をよそに、体勢を整えると。

「こっからが本番だかんね〜。あたしの本気セックスで、正ちゃんの溜まったザーメン、
 ぜーんぶ搾り尽くすんだから♥」

反応を待たずして、ミナモは腰の動きを加速させた。
圧倒的な存在感の胸を揺らし、快楽に顔を歪め、ハイスピードで上下、上下。
計ったかのように正確なリズムで、正治の肉棒を膣全体で締め上げ、舐り、扱く。
それはさながら、淫猥な水音を奏でるメトロノームのようだった。

「ほらほら、いーっぱい射精しちゃお♥ 身体中の水分全部ザーメンにして、
 あたしのおまんこにぜーんぶぴゅっぴゅしちゃお♥」
「あああああ!!! こっ、本当無理っ! でっ、射精るっ!」

体勢上は自分が優位の後背位の時でさえ、散々に搾り尽くされたというのに、
女性優位である騎乗位では、ハナから勝負にならない。
だというのに、ミナモは一切責めの手も腰も膣も緩めない。

「まだイケるよね? いっぱいヤろっ♥ いっぱい気持ちよくしてあげるから♥
 正ちゃん大好き♥ 大好き♥ 大好き♥」
「ひぃぃっ! もう、勘弁してくれー!!!」

ぬるぬるの肉筒に男の急所をしゃぶり尽くされ、嫌という程に射精快楽を味わわされる。
それは天国か、地獄か。いずれにしても、ミナモの魔性の肉体と性技から逃れることなど、
彼が男である以上、どうあがいても不可能であった。



「…………んっ」
「あ、起きたんだ」

下着姿のミナモが、ジュース2本片手に駆け寄る。
初めての時と同じく、気を失うまで続けられたらしい。

「おじさん、腹上死するかと思ったよ」
「大丈夫だって。多少は手加減したし、そのうちインキュバスになるし」
「あれで手加減したのか!? ……で、インキュバスになるってことは、
 これからもこういうことするのか」
「当然。せっかく見つけたんだもん。私の理想のペット♥」

快楽にとことん貪欲で、性欲はいつも溢れんばかり。
しかし、周りに居る男と言えば、チャラついた同級生か、いやらしい目の雑誌スタッフ。
前者は都合のいいセフレ候補、後者は金のなる木としか、自分を見ていない。

そこに現れたのが、自分を2度も助けてくれた男。
おじさんが好きだったのか、好きになったのがおじさんだったのかは定かでは無いが、
今となっては、どうでもいいことだった。

「ペットか……まぁ、俺とミナモちゃんじゃ、釣り合わんしな」
「ペットを彼氏にしちゃいけないなんて法律は無いよ? それに……んっ」

唐突に、口に柔らかな感触。
それがキスだと理解したのは、行為が終わってから数秒後だった。

「本当にペット扱いなら、こんなことしないでしょ?
 順番逆になっちゃったけどさ、正ちゃんは今日から、あたしの彼氏兼ペットね」
「拒否権は」
「あると思ってる?」
「だよな……まぁ、君なら仕方ないか。これから、宜しく頼むよ」
「ふふっ、安心して。あたしに服従する限り、正ちゃんはずーっとあたしのペット。
 いつでもどこでも、気持ちよーくしてあげるから……♥」

うだつの上がらない中年男と、カリスマ読モのダークエルフ。
その間にはっきりと、主従関係が結ばれた瞬間である。



それから、数ヶ月後。

「あ、正ちゃーん!」
「……参ったな。1時間前で負けるとは」
「ご主人様に勝とうなんて10年早いよ。あ、でもご主人様より後だから罰を与えないと。
 とりあえず、ご飯おごりね♪」
「かしこまりましたよ、ご主人様」

傍から見れば、援助交際にしか見えないカップル。ある意味、それは間違ってはいない。

「ねぇ、本当に大丈夫なの? 毎回お金出してもらってるけど。
 あたしだって、ご飯代くらい出せるよ?」
「心配いらんよ。これでも、俺は年齢なりに給料もらってる。
 どうせ使い道ないし、ちょっとは見栄張らせておくれよ」
「……あたし、甘えだしたらキリないよ?」
「構わんよ。カリスマ読モとやらのペットになれるなら、これくらい安いもんさ」
「もう、ご主人様孝行なペットなんだから……大好きだぞ♥」

デート代のみの援助は、今でも続いている。
17/07/26 05:33更新 / 星空木陰

■作者メッセージ
当初の予定はサキュバスでしたが、援交シチュなら黒ギャルだなと。
そして、褐色肌でこの手のことが一番似合うのはダークエルフと見ました。
援交から始まる純愛というニッチなジャンルが好きなんですが、
魔物娘と援交を掛け合わせるのは難しいですね。
どうしても、こうなっちゃいました。
楽しんで頂けたなら、幸いです。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33