U:陽と陰と【Double persona】 6章
ワーワー
「あっははは、それっ♪」
「や、やめてくれーーーっ!」
「逃がさないわよ、あなたはこれから一生
あたしの夫として精を出してもらうんだからねっ!」
メデューサに襲われた騎士が、その場に倒された後
身体を硬直させられ、全身に巻きつかれる。
「ぐっ、俺の負けだ……さっさと殺せ!」
「ほほう、なかなか強かったなお前。私がここまで昂ったのは初めてだ。
そして負けてもその気迫、気にいった!」
「何を……っ!」
善戦したが破られたベテランの剣士は、
戦ったサラマンダーに見初められ、迫られる。
「いやぁ……た、たすけて………」
「ふふふ、あなた結構可愛い顔してるじゃない♪」
柱まで追い込まれた新入りの女性騎士は、
ローパーの触手に取りつかれ、今まさに卵管を挿入されそうになった……が、
「私の〜卵を〜……うっ!?」
「………?」
その寸前にローパーの背中に斧が突き刺さる。
「お前らの好きには……させん!!」
ローパーはたまらずその場で一旦液状になり逃げ去った。
巨大な斧を振っていたのは燃えるような赤毛にルビーのような瞳、
鬼のような形相で戦っていたクルトマイヤーだった。
彼はその比類なき強さで襲いくる魔物たちを薙ぎ払っていく。
今の彼なら、ドラゴンさえも葬れそうな勢いだ。
「人間はまだ、負けてはいない!」
『おーっ!!』
現在、グランベルテ王宮では王国最後の戦力が魔物の群れと戦闘を繰り広げている。
既に城下町は魔物たちの手に落ち、あたりはすっかり魔界と化した。
逃げまどう民、兵士、貴族。対抗する手立て無き者たちは、
次々と魔物と魔界の魔力に捕らわれ、女は魔物と化し、男は捕獲される。
魔界と化した地は植物が禍々しく生え変わり、空は暗黒色に染まっていく。
その光景は正気を保っていた者たちを絶望にいざなうのに十分であった。
人間の誇りをかけた最後の抵抗。
王宮の玉座の間にて人と魔物が乱戦を繰り広げる。
元々能力で劣る人間たちだったが、さらに数の上でも圧倒的不利であり
戦っても戦っても一向に減ることのない魔物の群れに、
さすがの勇敢な騎士たちも疲労困憊を極めてきていた。
その中で、自ら中心に立って阿修羅のごとく奮闘するクルトマイヤーは
周りの兵士たちを少なからず勇気づける。
所で諸君は覚えているだろうか?
なぜクルトマイヤーはこれほどまでの強者となりえたのか。
そう、彼は幼いころ恋した一人の少女のために、
他の全てをかなぐり捨てて努力した結果なのだ。
もし彼が幼いころ偶然クリスティーネと出会っていなければ、
書に名を記されること無き一介の騎士で終わったのかもしれない。
恋のために生き恋に翻弄された最強の騎士、それがクルトマイヤーだった。
そして、彼は今まさに愛する者のために自らを犠牲にすることで、
その人生の最期を飾ろうとしている。
「あら?あなた………」
「どうしたそこのサキュバス、俺とやる気か?」
突然一人のサキュバスがクルトマイヤーに話しかけてきた。
「ねえ…あなたは一体どんな理由で戦ってるの?」
「何?勿論お前らから国と民を守るために決まってるだろう!」
「ううん、違うの、そういうことじゃない。あなた、恋人がいるでしょう?」
「恋人……ああ、いるとも。世界で一番愛する人がな。
もっとも、その恋人はお前らが来る前にここから脱出させた。
俺は彼女が無事に逃げられるように、命を張ってるんだ!」
「その恋人………魔物じゃないかしら?」
「は!?」
そのあり得ない言葉にクルトマイヤーは一瞬驚くも、
隙をついて攻撃してきたオーガの一撃を躱し、反撃する。
「馬鹿言うな。俺の恋人は正真正銘の人間だ!それも王族の!」
「そうなの?だってあなたの身体から魔物の香りがするもの。」
「ふん、きっとさっきから戦ってる魔物どもの返り血の匂いだろう。」
「違うわ……その香りは、魔物と交わったときの匂い…。
きっとあなたの恋人さんは人間の姿をした魔物よ。」
「……………ふん、何を言うかと思えば馬鹿馬鹿しい。」
クリスティーネが魔物…それはあり得ない話だ。
例え化けていたとしたらどこかに違和感を感じるだろうし、
王宮内で生活することなんてできやしないのだ。
しかし……もしそれが本当だとしたら?
「ねえ、今からでも遅くないわ。私達の仲間にならない?
きっとあなたの恋人はあなたが戦うことを望んでいないわ。」
「黙れ!それ以上減らず口を聞くと貴様の脳天をこの斧で…!」
と、クルトマイヤーが逆上してサキュバスに斧を振り下ろそうとしたその時……
ポンポンッ
「っ!誰だ……と思ったらモルティエ?何でお前がここに?」
一切気配がなくて気がつかなかったが、
どこかに行っていたモルティエが彼の右肩を叩いた。
「どうしたモルティエ……お前らしくもない顔しやがって。」
モルティエの顔に微笑みがない。
初めて見る真剣な表情でクルトマイヤーを見据えると、
そのまま彼の左手を強くつかみ、その場から走り始め、
突然のことにクルトマイヤーは大いに慌てた。
「ま、まてモルティエ!俺をどこに連れていく気だ!
今俺はこの場から逃げるわけにはいかない!離せ!」
掴まれた手を離そうともがくが、モルティエの力が想像以上に強い。
手を解かれないままとうとう大広間から飛び出して、廊下を進んでいく。
ここでクルトマイヤーが思い浮かべたのは、
もしかしたらまだクリスティーネが脱出できずにいるということだった。
(そうだとしたら大変だ!クリス様にはなんとしても無事にいてもらわなければ!)
そう考えるとクルトマイヤーの足取りも自然と早くなり、
モルティエと並走する形で長い廊下を駆ける。
まだ王宮の居住区には魔物の手が及んでおらず、
澄んでいた王侯貴族は殆どが避難してしまったこともあり、
この辺りは不気味なまでに静まり返り、二人の足音だけが響く。
やがてクルトマイヤーはモルティエの案内でクリスティーネの部屋の前まで来てしまった。
「クリス様の部屋はここか!」
彼は現在緊急事態だと考えてノックもせずに扉を開け、
明りの付いていない薄暗い部屋に乗り込む。
「クリス様!ご無事ですか!?クリス様………」
そして部屋の奥で彼が見たのは
『おかえりクルト。』
「え……?これは…一体?俺は幻でも見ているのか?」
部屋の奥にあるお姫様ベッドに腰掛ける二人のクリスティーネ。
頭の転変からつま先までどこを見ても全く同じの二人。
恐らくどんなによく似ている双子でもここまで似ることはないだろう。
なぜなら彼女たちは同じ存在なのだから。
クリスティーネは自分のドッペルゲンガーと出会い、
身も心も同一のものに溶け合った。
「私はあの時、大きな過ちを犯しました。
理想に浸って現実を見ず、世界で最も大切な人を傷つけてしまった。」
「でも、それを救ってくれたのはもう一人の私でした。」
「もう一人の………クリス様?」
二人のクリスティーネは淡々と今までの自分たちの身に起こったことを語った。
もう一人のクリスティーネはドッペルゲンガー…つまり魔物であり、
クルトマイヤーに恋してしまったがために自分の身を偽って彼の愛を一身に受けた。
だがクリスティーネ本人も心の奥ではクルトマイヤーに恋焦がれていて、
初めて会った時からずっとずっと身体と心を重ねることを望んでいた。
その気持ちに嘘偽りはない。
クルトマイヤーも何も言わず、その言葉に真摯に耳を傾けた。
騙されたとは思わない。愛する相手を間違えたとも思わない。
クリスティーネは心の底から自分を愛していた、それだけで十分だった。
「クリス様、僕たちは一体何をしていたんでしょうね?」
「クルト……」
「つまらない格式にとらわれて、お互いの心が見えなくなってしまった。
僕たちの心は子供の時のままで止まっていた……だから…」
クルトは二人のクリスティーネの一歩手前に傅き、
二人の手を片方ずつ手に取り、その手の甲に口付けする。
「僕、クルトマイヤーはクリスティーネ様だけの恋人となり、
この手で守り、そして一筋に愛することを誓います。」
「はい……私の身も心も全てクルトに捧げます。」
「片時もそばを離れず、クルトを愛することを誓います。」
形式だけの騎士の誓いとは比べ物にならないほど美しく見える愛の誓い。
それはまるで結婚式で永遠の愛を誓っているかのようだった。
「んっ…ふぅぁっ……クルト、ずっとこうしていたかったの………」
「キスしてるだけでも…蕩けちゃいそう。」
あの後すぐに三人はお互いに抱き合い、寝所に身を投じた。
片やクルトと抱き合うまで至っていない身体。
片や数日間の預け状態だった身体。
その二つが混じり合ったクリスティーネ二人は
クルトマイヤーを抱きしめた瞬間発情し、愛する人を求め始める。
一人で二人分の愛に応えなければならないクルトマイヤーは大変なことだろう…
「クリス様……僕のこと、怖くありませんか?」
「怖くなんかないわ。クルトは本当は優しいんだもの。」
「私が怖かったのはクルトが被ってた『仮面』だったの。
でも今はもう仮面は無い。昔のままのクルトが目の前にいるの。」
そのうち一方のクリスティーネが彼の唇を独占し始める。
より多くクルトと交わる範囲を増やしたい一心で口腔を犯し、
唾液と唾液をかき混ぜるように舌が踊る。
もう片方はクルトマイヤーの股間に顔を埋め……
「は…ぁ、クルトの………初めて見たわけじゃないのに、
すごい…ドキドキするの……、この熱も…この匂いも…。」
恋人の屹立に舌を這わせ、ゆっくり味わいながら口の中に迎え入れる。
「あっ……すごい…ビクビクしてる。
レ、レロッ…ンプ、ンンンッ…おいひぃ………クルトの味がする…」
「あくっ……こ、こんなことって……。いくらなんでもヤバすぎるっ!!」
身体の二か所を同時に責められることなど今まで経験したことはない。
完全に二人に主導権を奪われたクルトマイヤーは為す術もなく、
二人の愛撫に身を捩らせるしかなかった。
とても嬉しそうに自分の剛直を舐るクリスティーネを見た彼は、
その可愛さに思わず彼女の髪の毛を左手で優しく撫でる。
「くぅと……うれひぃ………」
それがスイッチとなったのか、彼女の抽送がより激しくなる。
しかもそれがもう一方のクリスティーネにも伝わり、
彼女もまたクルトマイヤーの股間に顔を寄せる。
「そんな……ふたりがかりでっ…くっ、はっ…」
二人は自分の欲望のままクルトマイヤーを求めているにもかかわらず、
お互いが口にする部位が被らないよう絶妙なコンビネーションを見せる。
一方が先端を咥えたかと思えばもう一方が竿に舌を這わせ、
かと思えば二人の舌が同時に肛門まで侵入しクルトマイヤーを驚かせた。
「どう?そろそろ限界じゃない?」
「クルトの子種、私達に一杯かけてね♪」
そしてとどめに二人の舌がツツーっと射精を促すように幹を舐め上げる。
「あっ……うわあぁっ…!?」
トクン、ビュッ、ビュッ
「んふううぅぅーーっ!ンンゥーー」
「ん、ん、ふあああ、んんッ!!」
数日間出されずに溜まっていた精がクリスティーネ達の顔に直撃し、
顔や胸を白く染めていく。
「ん、ん……。ちゅっ…レロレロー……」
「コク、コク、コク……ん……コクン……」
「あぁ……凄いです、クリス様………うくっ!」
付着した白濁を舐めとり嚥下する二人からもたらされた快感で
クルトマイヤーは追加の精液を放ってしまう。
「やんっ♪おかわり、ちょうだい♪」
「クルトのせーし……凄い濃くて、匂いも……」
だが、これだけの量を出したにもかかわらずクルトの屹立は衰えることはなく、
寧ろ二人の痴態によってさらに力を増したようにも見える。
「ね、クルト……まず私の方から来て♪」
「わかりました。それでいいですかクリス様?」
「うん、もう一人の私に入れてあげて。」
クリスティーネの一方をその場に組みしだいて、
中が十分潤ってることを確認すると、入り口を探り当てて一気に挿入した。
「いっ!?あっああああぁぁっ!!」
「く、クリス様!?これは……」
いつも以上に中が狭いと思った矢先に、何かを突き破る感触が響いた。
奥に入れた剛直を戻してみると、そこには破瓜の血が付着している。
「ふふっ……よく頑張ったわ、もう一人の私♪」
「あ、ありがとうクルト。私いますっごくしあわせよ♪
クルトが…私の中に入ってる。先っぽから根元までいっぱいいっぱい入ってるの。
それに、トクットクッって脈打ってて、私の中から聞こえてくるよ。
あは♪ま、まるでクルトが赤ちゃんになって私の中にいるみたい……。」
「クリス様……痛かったら言って下さい。優しく、致しますから。」
「大丈夫、クルトが入ってるだけですごく気持ちよくて…♪
わ、私も……腰が動いちゃうっ♪」
どうやら今交わっているのが元々本物のクリスティーネだったのだろう。
だが、あまり痛そうなそぶりを見せず、むしろいつものように
貪欲にクルト自身を求めているようだった。
「ああんっ!初めてのクルトのおちんちん!そして久しぶりのクルトのおちんちん!
ずっとずっと欲しかったの!もうこれさえあれば私は他に何もいらないの!」
「クリス様!クリス様!好きです!ずっと愛しています!」
「ねえクルト!私にもキスして!もっと舌で掻き回してぇ!」
クリスティーネの細い身体に全力で腰を打ちつけながら、
もう一人のクリスティーネと唇を重ねディープキスをする。
「クルトっ!くるとぉっ!好き!大好きぃ!」
「んふっ…精子とヨダレのミックスジュース、舌に浸みこんでくるぅ!」
「可愛い、ですよクリス様……っ。クリス様の口も…中も……
まるで僕のためにあるみたいで…二人もいるのに一人占めしたいくらい!」
「一人占めにして!私の子宮はクルト専用の精液溜めなんだから!」
「こっちも…わたしの下の口も撫でまわしてほしいのっ!
もう一人の私からクルトのおちんちんが暴れるのが伝わってくるの!」
「クルト!ああぁぁっ!クルト!来る来ちゃう!」
「私も……イクの!クルトに抱っこされてイクぅぅぅぅっ!」
「はぁっ…!クリス様、あっ!?ふあぁっ!?」
二人からもたらされる快楽は相乗効果で2倍どころか4倍ほどまでとなり、
それを一身に受けるクルトマイヤーも、根源で繋がってるがゆえに同時に快感を受ける
二人のクリスティーネもあっという間にエクスタシーの頂点に達した。
ビクビクンッ!ビューーッ!ドクドクッ!
『ふあああぁぁぁああぁぁーーーーーっ!!』
クリスティーネは二人同時に甲高い悲鳴をあげ、
クルトの身体にギュッとしがみついてくる。
そして、クルトマイヤーもまた二度目の射精でクリスティーネの蜜壺に精を放つ。
まるで溶鉱炉の鉄が流しこまれたかのような熱い奔流が、
クリスティーネの子宮を直撃し、その感覚まで二人同時に感じることとなる。
「あぁ…クルトのせーし………私の子宮が、悦んじゃってるぅ♪」
「私のも……キュンキュンいって、痺れちゃうくらい…」
「ふ……ぅ、僕も思わず熱くなってしまいましたね……」
まだ息が荒いクルトマイヤーがクリスティーネの膣内から自身を引き抜くと、
逆流していき場を失った精液の残りが空気の玉を作り、やがて崩れ滴り落ちる。
「さ、次はこっちのクリス様の番ですよ。」
「クルト、疲れてない?まだ…」
「いえ、例え二人いようとも、僕はクリス様を待たせたくはありませんから。」
「っ……クルトっ!うれしい!ひああぁぁぁっ!!」
今度は後背位からうつぶせのクリスティーネの蜜壺に屹立を呑みこませる。
そしてその上にもう一人を仰向けに乗せて自分の方を向かせる。
「な、何か不思議な気分……入れられてるのはもう一人の私なのに、
まるで私がクルトと繋がってるみたい。」
「く、クルト……早く私をメチャクチャにして!
私の中にも精液どぴゅどぴゅして孕ませてほしいのぉ!」
クリスティーネ達はまたしても嬉しそうな悲鳴を上げながら
クルトマイヤーをもっと自分の中に欲しいと妖艶に蠢く。
自分の下に組み敷いて容赦なく抉っている相手もクリスティーネで、
涙と精液で塗りたくられながら至高の表情で見つめてくるのもクリスティーネ。
愛しい人が二人もいるだけで彼の興奮は高まるばかり。
愛しても愛しても愛したりない。
十年前のあの日……
もしクリスティーネがお城からこっそり抜け出さなかったら
広い王都の中、偶然にもクルトマイヤーがいた場所に行かなかったら
勇気を出して約束していなかったら
そしてあのときドッペルゲンガーの少女が現れなかったら
きっとクリスティーネとクルトマイヤーは二度と肌を重ね合わせることはなかっただろう。
運命の女神はちゃんと二人を祝福してくれた。
決して二人を引き裂くだけでは終わらなかった。
もう彼らを阻む物は何もない。後は幸せだけが待っている。
軍事大国グランベルテ王国、魔物の群れによって陥落。
開戦からわずか一週間余りの出来事だった。
王宮内の騎士たちは奮戦の甲斐無く悉く魔物娘達に捕まり、
城内の至る所で交わり続ける光景が見られた。
領土の大半は魔界と化し、その魔力によって各地で魔物が次々と生まれ
避難しようとしているグランベルテ国民はそれらによって逃亡を阻まれる。
王侯貴族たちも無事に脱出できたかは定かではない。
しかし確実に言えるのは、周辺諸国にグランベルテ王族が
避難できた事例は一つたりともないということだ。
「終わったな……」
「あっという間でしたね。」
魔界と化した王都ノルバニアを騎乗戦闘用の飛竜の上から遠く見つめる二人。
最後の防衛戦で辛くもその場を脱したインザーギとカメリアだ。
「神よ……私達は無力でした。もはや、主たる神々に縋るほかありません……。
どうか…どうか姫様だけでも……邪悪な者たちより御救いくださいませ。」
「ふんっ、神様がわざわざ俺たちの頼みを聞いてくれるかねぇ。
だが今は何としてでも生き延びなきゃいけねぇ。マイヤーのためにもな。」
クルトマイヤーとクリスティーネが今何をしているかも知らない二人は、
この後なんとか人間の勢力圏まで逃げのびることとなる。
二人が逃げ込んだ先は……かの宗教国家レスカティエ。
この時代にはまだ魔界と化していないこの国に移り住み、
カメリアは剣を捨て修道女となり、インザーギはその腕を買われ戦闘教官となった。
二人はグランベルテの悲劇を世に知らしめるために共同で本を執筆し、
数年をかけて数十章からなる叙情詩を完成させた。
そのうちの一つ……『騎士と姫の運命』が世間の注目を集め、
長い年月をかけて発展していくことになる。
しかし現実は………
「お!そこにおわすはマイヤー君じゃないか!」
「やあボーリュー、久しぶりだな!」
「おやマイヤー君ずいぶんと丸くなったんじゃないかい?」
「ふっふっふ、元々僕は子供のころからこんな性格だったぞ。」
「うわっ一人称まで変わってるよ。」
ここは陥落してから数日経った王都ノルバニア。
今ではすっかり魔物とその夫たちが大勢住む町となり、
にぎわいを取り戻すどころかグランベルテの時以上に繁栄しているように見える。
「それにしてもマイヤー君、君は本当にお姫様と結婚したんだね。
しかも二人と。すごいじゃないか!」
「まぁ…元々は一人だったんだけど色々あってね。」
クルトマイヤーの両側には彼にべったりとくっつく女性が二人……
しかもその二人は何から何まで一緒の姿なのだ。
「ふふっ…今日はね、あのときのデートを再現しようってことにしたの♪」
「一方の私がデートはまだだったからね。」
「この後は一緒にお昼を食べて♪」
「城外の原っぱで三人でエッチするの♪」
「ま、まあそういうわけだ、うん。」
「ははは〜、熱いねぇ。」
「むぅ、私達もクリスティーネ様に負けてられないね!」
「そう言うボーリューもミリアさんと結婚したのか。意外だな。」
「まーね。俺も最初はなんでこんなことにって思ったけど、
意外と俺たち身体の相性いいみたいでさ、いまじゃぞっこんだよ。」
「よかったわねミリア、いい人が出来て。」
「姫様も…クルトマイヤーさんと仲直りできてよかったですね。」
たった数日でここまで交友関係が変わるとはだれが思っただろうか。
その場にいる五人はとても愉快な気分だった。
「そーいえばインザーギ君とモルティエは?」
「ああ、俺もモルティエを探したんだがどこにもいなくてな。」
「モルティエには色々お礼を言いたかったのにね。」
「カメリア先輩も見かけませんね。」
「まあ、カメリアはきっと魔物になってうまくやってるわよ。」
その後多少惚気話をして、二組はそれぞれの道を歩き始めた。
「ねぇクルト。」「ねぇクルト。」
「どうしましたかクリス様?」
二人の身体がクルトマイヤーをギュッと抱きしめる。
『大好きよ。ずっと愛してる。』
「もう、クリス様ったら…きょう5回目ですよ。
でも……僕もクリス様のことをずっと愛してますからね。」
それはもう一生離れることのない絆。
繋がれた手は決して離れることはない。
そして三人の、幸せな生活が始まっていく。
めでたしめでたし
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
はい、二回目のお話はここでお終い。
結構長いお話だったけど寝ちゃった人はいないかな?
このお話はあの後生き残った二人の騎士によって別の物語になったんだけど、
それは彼らが祖国を取り戻すためのプロパガンダとして作られたんだね。
まあ、結局祖国を取り戻すどころか約140年後にはレスカティエまで魔界化しちゃうんだから
神様も本当にやる気ないってことが分かるよね。
さて、今回出てきたお姫様は……
言っちゃ悪いかもしれないけど若干精神を病んでる節があるよね。
たぶん生まれつき思い込みが激しいんだと思う。
でも、彼女は十年間も恋人を待ち続けることが出来た。
それだけでも十分に凄いことだと思わないかい?
後ちょっと我慢できればもっと良かったんだけどね……
でも最後にはドッペルゲンガーと一つになって幸せになることが出来てよかったよかった。
じゃあ最後に、この真実の物語を記してくれた作者から何か一言どうぞ。
『全米が泣いた』
えっと、だから紙じゃなくて言葉で話そうね。
じゃあみんな次の話に移ろうか。とっておきのがあるよ。
「あっははは、それっ♪」
「や、やめてくれーーーっ!」
「逃がさないわよ、あなたはこれから一生
あたしの夫として精を出してもらうんだからねっ!」
メデューサに襲われた騎士が、その場に倒された後
身体を硬直させられ、全身に巻きつかれる。
「ぐっ、俺の負けだ……さっさと殺せ!」
「ほほう、なかなか強かったなお前。私がここまで昂ったのは初めてだ。
そして負けてもその気迫、気にいった!」
「何を……っ!」
善戦したが破られたベテランの剣士は、
戦ったサラマンダーに見初められ、迫られる。
「いやぁ……た、たすけて………」
「ふふふ、あなた結構可愛い顔してるじゃない♪」
柱まで追い込まれた新入りの女性騎士は、
ローパーの触手に取りつかれ、今まさに卵管を挿入されそうになった……が、
「私の〜卵を〜……うっ!?」
「………?」
その寸前にローパーの背中に斧が突き刺さる。
「お前らの好きには……させん!!」
ローパーはたまらずその場で一旦液状になり逃げ去った。
巨大な斧を振っていたのは燃えるような赤毛にルビーのような瞳、
鬼のような形相で戦っていたクルトマイヤーだった。
彼はその比類なき強さで襲いくる魔物たちを薙ぎ払っていく。
今の彼なら、ドラゴンさえも葬れそうな勢いだ。
「人間はまだ、負けてはいない!」
『おーっ!!』
現在、グランベルテ王宮では王国最後の戦力が魔物の群れと戦闘を繰り広げている。
既に城下町は魔物たちの手に落ち、あたりはすっかり魔界と化した。
逃げまどう民、兵士、貴族。対抗する手立て無き者たちは、
次々と魔物と魔界の魔力に捕らわれ、女は魔物と化し、男は捕獲される。
魔界と化した地は植物が禍々しく生え変わり、空は暗黒色に染まっていく。
その光景は正気を保っていた者たちを絶望にいざなうのに十分であった。
人間の誇りをかけた最後の抵抗。
王宮の玉座の間にて人と魔物が乱戦を繰り広げる。
元々能力で劣る人間たちだったが、さらに数の上でも圧倒的不利であり
戦っても戦っても一向に減ることのない魔物の群れに、
さすがの勇敢な騎士たちも疲労困憊を極めてきていた。
その中で、自ら中心に立って阿修羅のごとく奮闘するクルトマイヤーは
周りの兵士たちを少なからず勇気づける。
所で諸君は覚えているだろうか?
なぜクルトマイヤーはこれほどまでの強者となりえたのか。
そう、彼は幼いころ恋した一人の少女のために、
他の全てをかなぐり捨てて努力した結果なのだ。
もし彼が幼いころ偶然クリスティーネと出会っていなければ、
書に名を記されること無き一介の騎士で終わったのかもしれない。
恋のために生き恋に翻弄された最強の騎士、それがクルトマイヤーだった。
そして、彼は今まさに愛する者のために自らを犠牲にすることで、
その人生の最期を飾ろうとしている。
「あら?あなた………」
「どうしたそこのサキュバス、俺とやる気か?」
突然一人のサキュバスがクルトマイヤーに話しかけてきた。
「ねえ…あなたは一体どんな理由で戦ってるの?」
「何?勿論お前らから国と民を守るために決まってるだろう!」
「ううん、違うの、そういうことじゃない。あなた、恋人がいるでしょう?」
「恋人……ああ、いるとも。世界で一番愛する人がな。
もっとも、その恋人はお前らが来る前にここから脱出させた。
俺は彼女が無事に逃げられるように、命を張ってるんだ!」
「その恋人………魔物じゃないかしら?」
「は!?」
そのあり得ない言葉にクルトマイヤーは一瞬驚くも、
隙をついて攻撃してきたオーガの一撃を躱し、反撃する。
「馬鹿言うな。俺の恋人は正真正銘の人間だ!それも王族の!」
「そうなの?だってあなたの身体から魔物の香りがするもの。」
「ふん、きっとさっきから戦ってる魔物どもの返り血の匂いだろう。」
「違うわ……その香りは、魔物と交わったときの匂い…。
きっとあなたの恋人さんは人間の姿をした魔物よ。」
「……………ふん、何を言うかと思えば馬鹿馬鹿しい。」
クリスティーネが魔物…それはあり得ない話だ。
例え化けていたとしたらどこかに違和感を感じるだろうし、
王宮内で生活することなんてできやしないのだ。
しかし……もしそれが本当だとしたら?
「ねえ、今からでも遅くないわ。私達の仲間にならない?
きっとあなたの恋人はあなたが戦うことを望んでいないわ。」
「黙れ!それ以上減らず口を聞くと貴様の脳天をこの斧で…!」
と、クルトマイヤーが逆上してサキュバスに斧を振り下ろそうとしたその時……
ポンポンッ
「っ!誰だ……と思ったらモルティエ?何でお前がここに?」
一切気配がなくて気がつかなかったが、
どこかに行っていたモルティエが彼の右肩を叩いた。
「どうしたモルティエ……お前らしくもない顔しやがって。」
モルティエの顔に微笑みがない。
初めて見る真剣な表情でクルトマイヤーを見据えると、
そのまま彼の左手を強くつかみ、その場から走り始め、
突然のことにクルトマイヤーは大いに慌てた。
「ま、まてモルティエ!俺をどこに連れていく気だ!
今俺はこの場から逃げるわけにはいかない!離せ!」
掴まれた手を離そうともがくが、モルティエの力が想像以上に強い。
手を解かれないままとうとう大広間から飛び出して、廊下を進んでいく。
ここでクルトマイヤーが思い浮かべたのは、
もしかしたらまだクリスティーネが脱出できずにいるということだった。
(そうだとしたら大変だ!クリス様にはなんとしても無事にいてもらわなければ!)
そう考えるとクルトマイヤーの足取りも自然と早くなり、
モルティエと並走する形で長い廊下を駆ける。
まだ王宮の居住区には魔物の手が及んでおらず、
澄んでいた王侯貴族は殆どが避難してしまったこともあり、
この辺りは不気味なまでに静まり返り、二人の足音だけが響く。
やがてクルトマイヤーはモルティエの案内でクリスティーネの部屋の前まで来てしまった。
「クリス様の部屋はここか!」
彼は現在緊急事態だと考えてノックもせずに扉を開け、
明りの付いていない薄暗い部屋に乗り込む。
「クリス様!ご無事ですか!?クリス様………」
そして部屋の奥で彼が見たのは
『おかえりクルト。』
「え……?これは…一体?俺は幻でも見ているのか?」
部屋の奥にあるお姫様ベッドに腰掛ける二人のクリスティーネ。
頭の転変からつま先までどこを見ても全く同じの二人。
恐らくどんなによく似ている双子でもここまで似ることはないだろう。
なぜなら彼女たちは同じ存在なのだから。
クリスティーネは自分のドッペルゲンガーと出会い、
身も心も同一のものに溶け合った。
「私はあの時、大きな過ちを犯しました。
理想に浸って現実を見ず、世界で最も大切な人を傷つけてしまった。」
「でも、それを救ってくれたのはもう一人の私でした。」
「もう一人の………クリス様?」
二人のクリスティーネは淡々と今までの自分たちの身に起こったことを語った。
もう一人のクリスティーネはドッペルゲンガー…つまり魔物であり、
クルトマイヤーに恋してしまったがために自分の身を偽って彼の愛を一身に受けた。
だがクリスティーネ本人も心の奥ではクルトマイヤーに恋焦がれていて、
初めて会った時からずっとずっと身体と心を重ねることを望んでいた。
その気持ちに嘘偽りはない。
クルトマイヤーも何も言わず、その言葉に真摯に耳を傾けた。
騙されたとは思わない。愛する相手を間違えたとも思わない。
クリスティーネは心の底から自分を愛していた、それだけで十分だった。
「クリス様、僕たちは一体何をしていたんでしょうね?」
「クルト……」
「つまらない格式にとらわれて、お互いの心が見えなくなってしまった。
僕たちの心は子供の時のままで止まっていた……だから…」
クルトは二人のクリスティーネの一歩手前に傅き、
二人の手を片方ずつ手に取り、その手の甲に口付けする。
「僕、クルトマイヤーはクリスティーネ様だけの恋人となり、
この手で守り、そして一筋に愛することを誓います。」
「はい……私の身も心も全てクルトに捧げます。」
「片時もそばを離れず、クルトを愛することを誓います。」
形式だけの騎士の誓いとは比べ物にならないほど美しく見える愛の誓い。
それはまるで結婚式で永遠の愛を誓っているかのようだった。
「んっ…ふぅぁっ……クルト、ずっとこうしていたかったの………」
「キスしてるだけでも…蕩けちゃいそう。」
あの後すぐに三人はお互いに抱き合い、寝所に身を投じた。
片やクルトと抱き合うまで至っていない身体。
片や数日間の預け状態だった身体。
その二つが混じり合ったクリスティーネ二人は
クルトマイヤーを抱きしめた瞬間発情し、愛する人を求め始める。
一人で二人分の愛に応えなければならないクルトマイヤーは大変なことだろう…
「クリス様……僕のこと、怖くありませんか?」
「怖くなんかないわ。クルトは本当は優しいんだもの。」
「私が怖かったのはクルトが被ってた『仮面』だったの。
でも今はもう仮面は無い。昔のままのクルトが目の前にいるの。」
そのうち一方のクリスティーネが彼の唇を独占し始める。
より多くクルトと交わる範囲を増やしたい一心で口腔を犯し、
唾液と唾液をかき混ぜるように舌が踊る。
もう片方はクルトマイヤーの股間に顔を埋め……
「は…ぁ、クルトの………初めて見たわけじゃないのに、
すごい…ドキドキするの……、この熱も…この匂いも…。」
恋人の屹立に舌を這わせ、ゆっくり味わいながら口の中に迎え入れる。
「あっ……すごい…ビクビクしてる。
レ、レロッ…ンプ、ンンンッ…おいひぃ………クルトの味がする…」
「あくっ……こ、こんなことって……。いくらなんでもヤバすぎるっ!!」
身体の二か所を同時に責められることなど今まで経験したことはない。
完全に二人に主導権を奪われたクルトマイヤーは為す術もなく、
二人の愛撫に身を捩らせるしかなかった。
とても嬉しそうに自分の剛直を舐るクリスティーネを見た彼は、
その可愛さに思わず彼女の髪の毛を左手で優しく撫でる。
「くぅと……うれひぃ………」
それがスイッチとなったのか、彼女の抽送がより激しくなる。
しかもそれがもう一方のクリスティーネにも伝わり、
彼女もまたクルトマイヤーの股間に顔を寄せる。
「そんな……ふたりがかりでっ…くっ、はっ…」
二人は自分の欲望のままクルトマイヤーを求めているにもかかわらず、
お互いが口にする部位が被らないよう絶妙なコンビネーションを見せる。
一方が先端を咥えたかと思えばもう一方が竿に舌を這わせ、
かと思えば二人の舌が同時に肛門まで侵入しクルトマイヤーを驚かせた。
「どう?そろそろ限界じゃない?」
「クルトの子種、私達に一杯かけてね♪」
そしてとどめに二人の舌がツツーっと射精を促すように幹を舐め上げる。
「あっ……うわあぁっ…!?」
トクン、ビュッ、ビュッ
「んふううぅぅーーっ!ンンゥーー」
「ん、ん、ふあああ、んんッ!!」
数日間出されずに溜まっていた精がクリスティーネ達の顔に直撃し、
顔や胸を白く染めていく。
「ん、ん……。ちゅっ…レロレロー……」
「コク、コク、コク……ん……コクン……」
「あぁ……凄いです、クリス様………うくっ!」
付着した白濁を舐めとり嚥下する二人からもたらされた快感で
クルトマイヤーは追加の精液を放ってしまう。
「やんっ♪おかわり、ちょうだい♪」
「クルトのせーし……凄い濃くて、匂いも……」
だが、これだけの量を出したにもかかわらずクルトの屹立は衰えることはなく、
寧ろ二人の痴態によってさらに力を増したようにも見える。
「ね、クルト……まず私の方から来て♪」
「わかりました。それでいいですかクリス様?」
「うん、もう一人の私に入れてあげて。」
クリスティーネの一方をその場に組みしだいて、
中が十分潤ってることを確認すると、入り口を探り当てて一気に挿入した。
「いっ!?あっああああぁぁっ!!」
「く、クリス様!?これは……」
いつも以上に中が狭いと思った矢先に、何かを突き破る感触が響いた。
奥に入れた剛直を戻してみると、そこには破瓜の血が付着している。
「ふふっ……よく頑張ったわ、もう一人の私♪」
「あ、ありがとうクルト。私いますっごくしあわせよ♪
クルトが…私の中に入ってる。先っぽから根元までいっぱいいっぱい入ってるの。
それに、トクットクッって脈打ってて、私の中から聞こえてくるよ。
あは♪ま、まるでクルトが赤ちゃんになって私の中にいるみたい……。」
「クリス様……痛かったら言って下さい。優しく、致しますから。」
「大丈夫、クルトが入ってるだけですごく気持ちよくて…♪
わ、私も……腰が動いちゃうっ♪」
どうやら今交わっているのが元々本物のクリスティーネだったのだろう。
だが、あまり痛そうなそぶりを見せず、むしろいつものように
貪欲にクルト自身を求めているようだった。
「ああんっ!初めてのクルトのおちんちん!そして久しぶりのクルトのおちんちん!
ずっとずっと欲しかったの!もうこれさえあれば私は他に何もいらないの!」
「クリス様!クリス様!好きです!ずっと愛しています!」
「ねえクルト!私にもキスして!もっと舌で掻き回してぇ!」
クリスティーネの細い身体に全力で腰を打ちつけながら、
もう一人のクリスティーネと唇を重ねディープキスをする。
「クルトっ!くるとぉっ!好き!大好きぃ!」
「んふっ…精子とヨダレのミックスジュース、舌に浸みこんでくるぅ!」
「可愛い、ですよクリス様……っ。クリス様の口も…中も……
まるで僕のためにあるみたいで…二人もいるのに一人占めしたいくらい!」
「一人占めにして!私の子宮はクルト専用の精液溜めなんだから!」
「こっちも…わたしの下の口も撫でまわしてほしいのっ!
もう一人の私からクルトのおちんちんが暴れるのが伝わってくるの!」
「クルト!ああぁぁっ!クルト!来る来ちゃう!」
「私も……イクの!クルトに抱っこされてイクぅぅぅぅっ!」
「はぁっ…!クリス様、あっ!?ふあぁっ!?」
二人からもたらされる快楽は相乗効果で2倍どころか4倍ほどまでとなり、
それを一身に受けるクルトマイヤーも、根源で繋がってるがゆえに同時に快感を受ける
二人のクリスティーネもあっという間にエクスタシーの頂点に達した。
ビクビクンッ!ビューーッ!ドクドクッ!
『ふあああぁぁぁああぁぁーーーーーっ!!』
クリスティーネは二人同時に甲高い悲鳴をあげ、
クルトの身体にギュッとしがみついてくる。
そして、クルトマイヤーもまた二度目の射精でクリスティーネの蜜壺に精を放つ。
まるで溶鉱炉の鉄が流しこまれたかのような熱い奔流が、
クリスティーネの子宮を直撃し、その感覚まで二人同時に感じることとなる。
「あぁ…クルトのせーし………私の子宮が、悦んじゃってるぅ♪」
「私のも……キュンキュンいって、痺れちゃうくらい…」
「ふ……ぅ、僕も思わず熱くなってしまいましたね……」
まだ息が荒いクルトマイヤーがクリスティーネの膣内から自身を引き抜くと、
逆流していき場を失った精液の残りが空気の玉を作り、やがて崩れ滴り落ちる。
「さ、次はこっちのクリス様の番ですよ。」
「クルト、疲れてない?まだ…」
「いえ、例え二人いようとも、僕はクリス様を待たせたくはありませんから。」
「っ……クルトっ!うれしい!ひああぁぁぁっ!!」
今度は後背位からうつぶせのクリスティーネの蜜壺に屹立を呑みこませる。
そしてその上にもう一人を仰向けに乗せて自分の方を向かせる。
「な、何か不思議な気分……入れられてるのはもう一人の私なのに、
まるで私がクルトと繋がってるみたい。」
「く、クルト……早く私をメチャクチャにして!
私の中にも精液どぴゅどぴゅして孕ませてほしいのぉ!」
クリスティーネ達はまたしても嬉しそうな悲鳴を上げながら
クルトマイヤーをもっと自分の中に欲しいと妖艶に蠢く。
自分の下に組み敷いて容赦なく抉っている相手もクリスティーネで、
涙と精液で塗りたくられながら至高の表情で見つめてくるのもクリスティーネ。
愛しい人が二人もいるだけで彼の興奮は高まるばかり。
愛しても愛しても愛したりない。
十年前のあの日……
もしクリスティーネがお城からこっそり抜け出さなかったら
広い王都の中、偶然にもクルトマイヤーがいた場所に行かなかったら
勇気を出して約束していなかったら
そしてあのときドッペルゲンガーの少女が現れなかったら
きっとクリスティーネとクルトマイヤーは二度と肌を重ね合わせることはなかっただろう。
運命の女神はちゃんと二人を祝福してくれた。
決して二人を引き裂くだけでは終わらなかった。
もう彼らを阻む物は何もない。後は幸せだけが待っている。
軍事大国グランベルテ王国、魔物の群れによって陥落。
開戦からわずか一週間余りの出来事だった。
王宮内の騎士たちは奮戦の甲斐無く悉く魔物娘達に捕まり、
城内の至る所で交わり続ける光景が見られた。
領土の大半は魔界と化し、その魔力によって各地で魔物が次々と生まれ
避難しようとしているグランベルテ国民はそれらによって逃亡を阻まれる。
王侯貴族たちも無事に脱出できたかは定かではない。
しかし確実に言えるのは、周辺諸国にグランベルテ王族が
避難できた事例は一つたりともないということだ。
「終わったな……」
「あっという間でしたね。」
魔界と化した王都ノルバニアを騎乗戦闘用の飛竜の上から遠く見つめる二人。
最後の防衛戦で辛くもその場を脱したインザーギとカメリアだ。
「神よ……私達は無力でした。もはや、主たる神々に縋るほかありません……。
どうか…どうか姫様だけでも……邪悪な者たちより御救いくださいませ。」
「ふんっ、神様がわざわざ俺たちの頼みを聞いてくれるかねぇ。
だが今は何としてでも生き延びなきゃいけねぇ。マイヤーのためにもな。」
クルトマイヤーとクリスティーネが今何をしているかも知らない二人は、
この後なんとか人間の勢力圏まで逃げのびることとなる。
二人が逃げ込んだ先は……かの宗教国家レスカティエ。
この時代にはまだ魔界と化していないこの国に移り住み、
カメリアは剣を捨て修道女となり、インザーギはその腕を買われ戦闘教官となった。
二人はグランベルテの悲劇を世に知らしめるために共同で本を執筆し、
数年をかけて数十章からなる叙情詩を完成させた。
そのうちの一つ……『騎士と姫の運命』が世間の注目を集め、
長い年月をかけて発展していくことになる。
しかし現実は………
「お!そこにおわすはマイヤー君じゃないか!」
「やあボーリュー、久しぶりだな!」
「おやマイヤー君ずいぶんと丸くなったんじゃないかい?」
「ふっふっふ、元々僕は子供のころからこんな性格だったぞ。」
「うわっ一人称まで変わってるよ。」
ここは陥落してから数日経った王都ノルバニア。
今ではすっかり魔物とその夫たちが大勢住む町となり、
にぎわいを取り戻すどころかグランベルテの時以上に繁栄しているように見える。
「それにしてもマイヤー君、君は本当にお姫様と結婚したんだね。
しかも二人と。すごいじゃないか!」
「まぁ…元々は一人だったんだけど色々あってね。」
クルトマイヤーの両側には彼にべったりとくっつく女性が二人……
しかもその二人は何から何まで一緒の姿なのだ。
「ふふっ…今日はね、あのときのデートを再現しようってことにしたの♪」
「一方の私がデートはまだだったからね。」
「この後は一緒にお昼を食べて♪」
「城外の原っぱで三人でエッチするの♪」
「ま、まあそういうわけだ、うん。」
「ははは〜、熱いねぇ。」
「むぅ、私達もクリスティーネ様に負けてられないね!」
「そう言うボーリューもミリアさんと結婚したのか。意外だな。」
「まーね。俺も最初はなんでこんなことにって思ったけど、
意外と俺たち身体の相性いいみたいでさ、いまじゃぞっこんだよ。」
「よかったわねミリア、いい人が出来て。」
「姫様も…クルトマイヤーさんと仲直りできてよかったですね。」
たった数日でここまで交友関係が変わるとはだれが思っただろうか。
その場にいる五人はとても愉快な気分だった。
「そーいえばインザーギ君とモルティエは?」
「ああ、俺もモルティエを探したんだがどこにもいなくてな。」
「モルティエには色々お礼を言いたかったのにね。」
「カメリア先輩も見かけませんね。」
「まあ、カメリアはきっと魔物になってうまくやってるわよ。」
その後多少惚気話をして、二組はそれぞれの道を歩き始めた。
「ねぇクルト。」「ねぇクルト。」
「どうしましたかクリス様?」
二人の身体がクルトマイヤーをギュッと抱きしめる。
『大好きよ。ずっと愛してる。』
「もう、クリス様ったら…きょう5回目ですよ。
でも……僕もクリス様のことをずっと愛してますからね。」
それはもう一生離れることのない絆。
繋がれた手は決して離れることはない。
そして三人の、幸せな生活が始まっていく。
めでたしめでたし
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
はい、二回目のお話はここでお終い。
結構長いお話だったけど寝ちゃった人はいないかな?
このお話はあの後生き残った二人の騎士によって別の物語になったんだけど、
それは彼らが祖国を取り戻すためのプロパガンダとして作られたんだね。
まあ、結局祖国を取り戻すどころか約140年後にはレスカティエまで魔界化しちゃうんだから
神様も本当にやる気ないってことが分かるよね。
さて、今回出てきたお姫様は……
言っちゃ悪いかもしれないけど若干精神を病んでる節があるよね。
たぶん生まれつき思い込みが激しいんだと思う。
でも、彼女は十年間も恋人を待ち続けることが出来た。
それだけでも十分に凄いことだと思わないかい?
後ちょっと我慢できればもっと良かったんだけどね……
でも最後にはドッペルゲンガーと一つになって幸せになることが出来てよかったよかった。
じゃあ最後に、この真実の物語を記してくれた作者から何か一言どうぞ。
『全米が泣いた』
えっと、だから紙じゃなくて言葉で話そうね。
じゃあみんな次の話に移ろうか。とっておきのがあるよ。
12/08/06 21:09更新 / バーソロミュ
戻る
次へ