連載小説
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第8回 後編


ザザーーン


フィス「うみーーーーーーっ!!」

アーシェ「久々の海なのじゃー♪」

ルシア「ふふっ、二人ともあんまり遠くに行かないように
    僕の目の届くところで遊ぶんだよ。」

二人『はーい!』



エル「おうルシ公、ますます保護者みてぇだなおい。」

ルシア「えっとルシ公って僕のことかな?
    保護者って言われてもあんまり嬉しいとは思わないけど…
    放送局の裏ってこんな海が広がってたんだ。」

フィーネ「去年はここでステラちゃんとビーチバレーしたんだよね。」

ルシア「ここって聞いた話だと亜空間らしいんだけど、
    海まであるなんて思わなかったなぁ。」

エル「実際は空間が有り余っちまって、かといって平地じゃつまらねぇ
   ってんで、いっそのこと海にしちまおうって話になったわけよ。」

ルシア「ようやるな……。で、僕たちは今回
    何のために放送室抜け出して場所を移すことにしたの?」

フィーネ「それはね、部屋の中じゃ食べられない特別料理を用意したから
     皆で食べてみようかなって思って。」

ルシア「部屋の中では食べられない特別な料理?なんだろう?」

エル「現在本編で進行している『カナウス大海戦』に出てくる
   ちょっとユニークな料理でい!しかも年間通して夏しか食えない代物だ!」

ルシア「へぇ〜…ちょっと楽しみだ。このラジオっていつからか分からないけど
    毎回何かしらの食べ物が出てくるって来てたんだけど、
    まさかこんな大掛かりなことするなんてね。どんなのだろう?
    おーい二人ともーー。エルさんたちが御馳走してくれるって!」


フィス「本当!何食べさせてくれるの?」

アーシェ「カキ氷かの?はたまた焼きそばかもしれんな!」

フィーネ「はーい、じゃあみんなこっちのテーブルに着席してね。」



さて、砂浜に設置された長方形のテーブルの上には
物々しい数のお皿と、バケットに入った黒パン、
それにスライスしたチーズや玉ねぎ、トマト、ジャガイモ、
あとは牛乳がたくさん入った瓶も用意されている。
一見すると行軍中の兵士の朝食メニューのように見える。


ルシア「え?これが夏限定の食べ物なの?」

エル「違わい。メインディッシュは今から到着すっとよ。」

フィーネ「さて…今のうちに覚悟を決めておこうかな。」

フィス「覚悟?」

アーシェ「な、何やら物々しくなってきたのぅ……何が出てくるんじゃ?」





レミィ「エル司令官ー、もってきましたー!」

サン「と、取扱注意です〜!」

エル「おっ!ごくろうさん。」

フィス「木箱?……ん、なんか変なにおいがする…」

ルシア「そうだね……何とも形容しがたい臭いが………」


レミィとサンが持ってきた木箱は頑丈な木材が使用され、
木の隙間も蝋封がしてある徹底した気密性だが……
その木箱自体が異様な臭いを放っている。


アーシェ「も、もしやそれは……『シュールストレミング』か!!」

フィス「しゅ、シュール…何?」

アーシェ「シュールストレミングじゃ!世界一臭いという噂の
     ニシンの塩漬けを元にした発酵食品なのじゃ!」

フィーネ「あ、よく知ってるね。そうそう、これはにしんの塩漬け。
     今回のカナウス大海戦の際に偶然出来て、それ以来
     帝国北方沿岸地方の迷産名産品になっちゃったんだよね。
     ちなみに私達の世界ではシュールストレミングとは
     呼ばれてないよ。あくまでニシンの塩漬けの一つなんだ。」

ルシア「偶然できたってこれが…?」

エル「おうよ。そもそもこいつぁ帝国海軍が保存食として
   ニシンの塩漬けを輸送船に大量に積み込んだってのは
   良いんだが、木箱の中でさらに発行が進んじまってな。」

レミィ「最初はこの世のものとは思えない臭いのせいで、完全に
    腐っちゃったかと思ったんだけど、何だかんだあって
    食べられることが判明しちゃったのよ。」

サン「けっこうクセがあるんだけど……強いお酒に合うってことで
   帝国では密かに人気の発酵食品になっちゃいました。
   で、でも私はまだちょっと遠慮したいかな…?」

ルシア「そんなものを食べるのか………っていうかアーシェは
    どうしてこの食べ物のことを知っていたんだ?
    食べたことはあるのか?」

アーシェ「食べたことはないが、聞いたことはあるのじゃ。
     なんでも魔物すら寄ってこなくなるほど激臭じゃとか、
     ダンジョンで食べたらそのダンジョンは一ヶ月の間
     毒ガスが充満していると勘違いされたりしたそうじゃ…」

フィス「ど…どれも臭いに関するうわさばっかじゃない…。
    美味しいとか不味いとかの話は無いのかしら?」

アーシェ「味のことについてはあんまり聞かないのう。」


エル「さ、そんなわけで、本編に先駆けてこの悪魔に
   立ち向かってみようじゃねぇか。」

サン「じゃ、じゃあ私達は…」

レミィ「これで…」


グワシッ


エル「待ちな!せっかくだからおめぇらも喰ってけ!遠慮すんな!」

二人『にぎゃーー!?』

ルシア「…本当にやるの?もう結構臭ってきてるんだけど……」

フィス「嫌な予感しかしないよぅ………」

フィーネ「それ以前に誰がこの箱を開けるの?」

エル「ここぁ厳正にくじ引きにしようじゃねぇか。ほれ、用意したぞ。」

アーシェ「ぬぅ、どうやら後には退けぬ様じゃな。覚悟を決めるとしよう。」


全員『いっせーのーせっ!!』


スポッ



フィーネ「レミィちゃん大当たりー!!」

レミィ「最悪だぁーーーーー!!!!」

エル「ほれ、この斧で開封だ。」

サン「がんばれレミィ!」

フィス「私達はちょっと下がってよっかルー君。」

ルシア「うん…それがいいかもしれないね。」

アーシェ「内容物が噴き出すかもしれぬ…
     プロテク(障壁魔法)の発動準備もしておくのじゃ。」

フィス「わ、分かったわ。」

エル「気ぃつけろよレミィ。手にかかっちまったら
   臭いは当分とれねぇかんな!」

サン「手袋も忘れないでね。」

レミィ「や、やっぱり誰か代わってくれない?」

フィス「だめですよ。これは厳正なくじ引きの結果ですから。」

ルシア「それにレミィさんが持ってきたんだから、
    一蓮托生ということで。」

レミィ「まさか私が開けることになるとは思わなかったからよ!
    ええい、ままよ!これでもくらえっ!!」

ドカッ!!

ブシューーッ



全員『臭っ!!!!!!!!』


ルシア「な…なんという臭いなんだ……」

フィス「いやぁ、ちょっとこれ食べ物の臭いじゃないよ!」

アーシェ「ゲ、ゲホッゲホッ…これはたまらぬ!!
     臭いだけでベルゼブブもデビルバグも気絶しそうじゃわい!!」

エル「や…ぁ、相変わらず凄まじい………」

フィーネ「やっぱやらない方が良かったかも…」

サン「……ちょっと気が遠くなってきました〜〜〜」


レミィ「あのさぁ…、一番被害を受けたのは私なんだけど……」



ただいま混乱中です。しばらくお待ちください…



エル「さて、木箱を開けたなぁいいんだが…」

アーシェ「おおぉ、臭いからしてどんなものが出てくるか
     恐怖しておったが…意外とニシンの原型を保ってるのう。」

フィス「でもなんか浸けてある液体が凄い色してるんですけど。」

ルシア「泡が出てるってことは、まだ醗酵してるってことだよね。
    ってことは今日開けなければこれからまだ臭くなるのか。」

サン「実際の解禁月は虹蛇の月(八月くらい)ですから、
   臭いのピークには若干足りてませんが。」

フィーネ「それでもこの臭いはひどいよ!この時点で
     全員鼻栓してないと正気が保てないなんて!」


※出演者たちの要望により全員鼻栓を着用しています


ルシア「じゃあ…とりあえず食べてみようか。」

エル「おうよ。これしきことを恐れて司令官やてられっかってんだ。」

フィス「そ、その割には言葉に覇気が無いような…」


レミィ「あの………司令官、私ギブアップさせてもらってよろしいですか?」

エル「なんでぇ、怖気づいたってのかぃ?」

サン「大丈夫レミィ?」

レミィ「ちょっと…というかかなり危険な状態なので……
    私はニシンの塩漬けの無い世界へ行きたいと思います………」


レミィ退場


アーシェ「あやつは斧を振り下ろした時に飛沫をもろに受けておったからのう。
     しかたなかろうて。」

フィーネ「絶対数日間臭ったままなんだろうな…かわいそうに。」

ルシア「二人は…大丈夫?」

フィス「うん、なんとか…」

アーシェ「わしも正気じゃ、たぶん。」

ルシア「じゃあみんなでいっせーので食べよっか。」

エル「おうよ、あと死にたくなかったら直に喰うんじゃねぇぞ。
   おっ付け合わせのパンやチーズにちびっとだけはさむんだ。」

ルシア「これくらいやれば……いやもうちょっとジャガイモを…」

フィス「うひゃぁ………なんか緊張してきた。」

エル「そんじゃ準備が整ったところで。」


全員『いただきます。』



!!




フィス「う………く…これはまた……」

アーシェ「な、なんじゃこりゃああぁぁぁ!!」

エル「………(汗」

フィーネ「はぁぅっ!?」

ルシア「うわっ塩辛っ!!ニシンの味がほとんどしないよこれ!」

サン「う〜ん…何度食べても慣れないなぁこの味…
   先輩たちはおいしいおいしいって食べてるのに。」

アーシェ「こ、これは腐っているとしか思えん!!」

フィス「あぁ、皮は硬いけれど身はドロドロドロドロ……
    皮は硬いけれど身はドロドロドロ………」

エル「い…いゃぁ、ちょっ…、死ぬ…!衛生兵…衛生へーーーい!!」

フィーネ「にいさんにいさん!縛りプレイ忘れてるってば!」

ルシア「う〜〜ん、確かにこれはとっても癖がある味だ……
    でも…臭いさえ我慢できれば、意外と味は悪くないかもしれない。」

フィス「うそっ!?ルー君平気なの?」

アーシェ「さ、さすが兄様は大人なのじゃぁ……わしはもうダメじゃ…」

フィス「子供には刺激が強すぎるよぅ……」

フィーネ「じゃあ苦悶してるにいさんの味覚は子供…ってことで。」

エル「………てやんでい!これくらいなんてことねぇやべらぼうめい!」

フィーネ「あ、気合で立ち直った。サンちゃんは大丈夫?」

サン「まあ私はこれが初めてってわけじゃないから。」

ルシア「じゃあ、二切れ目食べられる人いる?」

フィーネ「私はなんとか大丈夫…かな?あまり食べたくないけど。」

サン「私もまだいけます。」

エル「やってやろうじゃねぇか!こちとら江戸っ子でい!」

フィス「ルー君が食べるっていうなら私も付き合わざるを得ないわ。」

アーシェ「わしだけ食べないのも気が引けるのじゃ。」

ルシア「む、無理しなくていいんだよ。」

サン「うう…やっぱ凄い塩辛い。お酒が欲しいよぅ。」

ルシア「あー確かに。お酒とかによく合いそうだ。」

フィス「そうね…。お酒飲んじゃダメ?」

フィーネ「う〜ん、本当はお酒と一緒に食べるものだから用意するのが
     普通なんだけど、フィスさんもアーシェさんも
     見た目が子供だしルシアさんも未成年だから、
     とりあえずミルクで我慢してくださいだそうです……」

アーシェ「わしらを子ども扱いするな!人間の見た目と
     魔物娘の見た目は別じゃ!しかもお主らの世界じゃと
     普通に未成年も飲んでおるじゃろうが!」

フィーネ「まあね。私も普通に飲めるくらいだし。」

ルシア「確かにミルクと一緒に飲めば若干ましになるみたい。
    元々塩辛いから薄味のものと相性がいいんだね。」

アーシェ「でもやはりこれは食べ物の味じゃないのじゃ……」

フィス「鼻栓してても結構臭いが来る……涙が止まらない。」

エル「この後本編でもこれを喰う羽目になんのか…たまらんなぁ。
   …………ひゅんっ!?や、やっぱ無理!もう無理!
   衛生兵…衛生へーーーい!!」

フィーネ「あーあ、にいさんはやっぱり駄目だったか。」


ユリア「大丈夫ですかエルさん!どこか具合が悪いところは御座いませんか?
    もしかして人工呼吸が必要だったりとかしませんでしょうか?」

フィス「わあ、びっくりした!いつの間に飛んできたの!?」

アーシェ「本当に衛生兵が飛んできおったわ!
     よし!人工呼吸じゃ!」

ユリア「はい!」

フィーネ「まってまってユリアお姉ちゃん!今にいさんの口の中は
     地獄のような臭いになってるはずだから危ないよ!
     それ以前に窒息してるわけじゃないから
     人工呼吸はいらないんじゃないかな!」

ルシア「えっと…ユリアさん鼻栓してないけど大丈夫なの?」

ユリア「そうですね………私は嗅覚がよすぎて
    逆に嗅覚が麻痺してしまっているようです。」

フィス「あらま。」

エル「し、心配いりませんぜユリアさん……
   あっしなら無事に生きてまさぁ。」

ユリア「ですがエルさんにしては珍しく必死な声で衛生兵を呼ばれましたので。」

ルシア「うん、まあ大分必死な声出してたよね。よほど切羽詰まってたのか。」

サン「じゃあユリアさんもこれ食べてみます?」

ユリア「そうですね。では私にも一口。」

アーシェ「何のためらいもないとは、チャレンジャーなのじゃ。」

フィーネ「はいユリアお姉ちゃん、どうぞ♪」

ユリア「はい、いただきます。」


ぱくりっ


エル「ユリアさん、お味の方はいかがでございやすか?」

フィス「あ、すごい。微笑みながら平然と食べてる。」

ルシア「エルさんは苦悶しっぱなしだったのに、えらい違いだ。」

ユリア「……………」

フィーネ「えっと、どう?臭くない?塩辛くない?」

アーシェ「微動だにしないのう。」

ユリア「……………」

サン「え……えっと、そろそろ何かリアクションが欲しいかなと。」



パタリ


フィーネ「うわっ!ユリアお姉ちゃんが倒れたっ!!」

アーシェ「やはり刺激が強すぎたんじゃ!」

フィス「衛生兵!冗談抜きに衛生兵早く!」

エル「なんてこったい!早く救護室に!」



※しばらくお待ちください




フィーネ「はーい…そんなわけで全員に地獄を見せた、
     ニシンの塩漬け本編前試食会は終了で〜す。
     ごちそうさまでした。」

全員『ごちそうさまでした。』

ルシア「もう当分食べたくないよアレ。まあ舌の経験にはなったし、
    絶対忘れられない思い出になるだろうね。」

アーシェ「本当に地獄じゃったなぁ…まだ臭いが残っておるぞ。」

フィス「でもさぁ、木箱の中にはまだ結構残ってたわ。
    あれどうするのかしら?」

エル「もちろん三人が家までお持ちかえりでぃ!」

三人『断る!!!!』

フィーネ「冗談冗談。残りはスタッフ全員で手分けして
     美味しくいただくつもりだから。安心してね。」

ルシア「あぁ…スタッフのみなさん御愁傷様です……」

フィス「それで、私達はいつまで鼻栓してればいいのかしら?」

エル「取りたかったら取っちまってもかまやぁしねぇが、
   たぶんべらぼうに臭うと思うぜぃ。」

アーシェ「そうじゃな…念のため数時間は取らないでおこうかのぅ。」

ルシア「明日にまで残らないといいんだけど。」


フィーネ「はーい、それじゃ次のコーナーいってみよぅ!」




―――――『オン・エル・バトル!』――――――



フィーネ「さあ!みなさんお待ちかね!
     『オン・エル・バトル!』の時間がやってまいりました!
     にいさんとゲストが毎回お題を変えてバトルするよ!」

アーシェ「結局泳ぎもしないうちに放送室に戻ってきちゃったのじゃー!」

フィス「どうせだったらスイカ割りとかもしたかったなぁ。」

エル「まぁ、収録が終わったら好きなだけ泳いでおくんなせぇ。」

ルシア「さてさて、僕たちはどんな競技で戦えばいいのかな?
    正直身体を動かすものだと僕に勝ち目はなさそうなんだけど…」

フィーネ「はいはーい、今回のテーマはズバリ……」

       『お城まであと一里』

ルシア「え?なんか聞いたことのない名前だね。どんなことするの?」



ファーリル「このゲームのルールは放送作家の僕が説明するよ。
    『お城まであと一里』はユリスで考案されたトランプゲームの一種なんだ。
     基本的なルールは以下の通りだ。」


1.各プレイヤーに5枚ずつカードを配る。残ったカードは裏向きにして重ね、積み札とする。
2.積み札の1番上のカードをめくり、場に表向きにして置く。これが一番最初の台札となる。
3.親の左隣の人から順番に、台札と同じマークのカードか、同じ数字のカードを出していく。
手札の中に出せるカードが無い場合は、積み札からカードを1枚引く。
そのカードが場に出せる場合は、出すことができる。
4.役札が出た場合は、「役札の効果」に従ってゲームを進める。
5.カードを出したときに手札の残りが1枚だった場合は、
「お城まであと一里」と宣言しなければならない。
また、最後の1枚を出す時には、「到着」と宣言しなければならない。
これらの宣言を忘れた場合は、ペナルティとして積み札からカードを5枚取らなければならない。
6.このようにしてゲームを続けていき、一番最初に手札を無くした人の勝利となる。
あがったプレイヤーには、残りのプレイヤーの手札の点数を合計した点数が与えられる。
あがらなかったプレイヤーには、それぞれの手札の点数分だけマイナスされる。
(手札の点数は、「カードの点数」によって計算される。)


ルシア「なるほど。つまりアメリカンページワンみたいなものか。」

フィス「アメリカンページワンって言えばトランプで出来るUNO……
    というよりもUNOの元となったゲームだっけ。」

ファーリル「そうそう、よく知ってるね。」

アーシェ「雑貨屋『アルケミー』にもUNOは売っておるぞ。」

ファーリル「え、そうなの?あのプラスチック紙どうやって作ってるんだろう。
      まあそれはさておき、このゲームについてもう少し詳しく説明しよう。
      今回使うトランプは前使ったのじゃなくて、特別なトランプを使うよ。
      画像は用意できなかったけど……」

フィス「あ、トランプに中世っぽい絵が描いてある!これは…エルフかな?」

アーシェ「みてみよ!バフォメットもあるのじゃ!」

ルーシア「ん〜〜、Kに女の人の絵が書いてあって、
     逆にQに男の人の絵が書いてある。なんか妙な感じ。」

ファーリル「ね、面白いでしょう。このトランプは
      このゲームのために特別に作られたものなんだ。
      まあ普通のトランプでもできるけど、このほうが
      カードの効果が分かりやすいからね。
      さあ次はこのゲーム独特のルールだ。覚えてね。」


1.役札以外のカードにも何かしら特殊効果がある


番号 カードの種類 特殊効果
A 教皇 世界呪文の行使が可能 必ず使わなくてもよい
K 皇帝 世界呪文の効果を打ち消す
Q 宰相 次の人とカードを一枚交換
J 騎士 7(お姫様)と一緒に出せる
10(役札)船 スキップ 次の人は一回休み
9(役札) 商人 リバース 順番が逆回りになる
8(役札) 僧侶 ワイルド 場のマークを任意に変更可能
7 お姫様 J(騎士)がないと場に出せない
6 ドワーフ 5の次には出せない
5 エルフ 6の次には出せない
4 冒険者 次の人は3・2・ジョーカーが出せない
3(役札) バフォメット 次の人はカード3枚を引き一回休み(ドロー3)
         ただし3を持っていればまた次の人に押しつけ可能
         次の人はそれにさらに3枚追加される
2(役札) 魔女   次の人はカード2枚を引き一回休み(ドロー2)
         ただし2を持っていればまた次の人に押しつけ可能
         次の人はそれにさらに2枚追加される
ジョーカー サキュバス  次の人はカードを4枚引き一回休み
(役札)      さらにスートを任意に変更可能(ワイルドドロー4)
         ただし最後にこれで上がることはできない

なお、点数は役札20点。A〜Jは10点。それ以外は書いてある数字が点数。


フィス「ちょ、ちょっと待って!これ全部覚えるの!?」

アーシェ「あと『世界呪文』とはなんじゃ?」

ファーリル「世界呪文っていうのは一人につき一回使える
     強力な切り札なんだ。そこに裏面が赤いカードがあるよね。」

ルシア「えっと、どれどれ……絵しか描いてないね。
    この絵は……女の人が手でビームをつかんでる?」

ファーリル「おしい!それは主神の武器―雷霆をイメージしているんだ。」

ルシア「へぇ〜…どんな効果があるの?」

ファーリル「ふっふっふ…効果は超強力なんだなこれが。
      指定した相手に強制的に4枚引かせて一回休みにするんだ。」

フィス「そ…それはまた…強力すぎやしないかしら?」

アーシェ「主神のくせに生意気なのじゃ!」

ルシア「いやいやいや二人とも…神様はそれくらい強くてあたりまえだって(汗」

ファーリル「まあね。でも効果はサキュバスより少し強いくらい
      っていうのがなんとなく皮肉だけどね。
      じゃあこれが今回使える世界呪文の一覧だ!」


2.世界呪文
A(教皇)を場に出した時に使うことが出来る。
ゲームの初めに一人一枚づつ配られる。『到着』のときに残っていてもいい。
ただし、他の人が『到着』したときに持っていると-20点。

・運命改変 全員の手札を総入れ替え
・隕石召喚 自分以外全員にカード2枚強制追加
・雷霆一閃 指定した人にカード4枚強制追加で一回休み
・呪文反射 自分への攻撃効果を相手に返す
        攻撃効果は世界呪文と2・3・ジョーカーの役配効果のこと。
・魔王誘惑 自分以外全員。3か2かジョーカーを持っていれば一枚捨てる。
        
持っていない場合はカード4枚強制追加

また、K(皇帝)を持っていれば世界呪文が発動した時
場に出すことで自分への効果を無効化する。


アーシェ「どれも強力じゃが、使いどころが難しいのぅ。」

ファーリル「そうだね。場合によっては自分の思ったように
      効果が発揮できないときもあるからね。」

エル「ま、やってきゃあそのうち慣れるってもんよ!」

フィーネ「じゃあまずは一回戦目は世界呪文なしで、
     あと役札以外の効果はなくしてやってみることにするよ。」

ルシア「よーし軽く肩慣らしだ。」

フィス「負けませんよ!」

エル「おし、まずは親決めからでぃ。カードをおっ引いて
   数字が一番大きい奴が親だってんだ。」


親決め


ルシア「K」

フィーネ「ルシアさんより大きい数字持ってる人いない?」

エル「俺はQだ。」

アーシェ「3を引いたのは何かの縁かの。」

フィス「私も3だからルー君が一番大きいみたい。」

フィーネ「親が決まったところで順番は時計回りに――」


ルシア→アーシェ→エル→フィーネ→フィス→ルシア


フィーネ「となるよ。さあルシアさん、ドラオープン!」

ルシア「いやいやいや、麻雀じゃないから。」


台札:スペード6


ルシア「スペード6か〜。じゃあハートの6で。」

アーシェ「まずは点数が高い札から片付けるのじゃな。」

エル「役配も点数が高いがよぉ、いざっつう時備えて
   とっておくのも悪くねぇな。ほれ、ツーだ。」

フィーネ「そうだね。私もツーで。」

フィス「わーっ!?いきなり手札が4枚も増えた〜〜!」






エル「よーし『お城まであと一里』でぃ。」

フィーネ「む、にいさん後一枚か。じゃあ私も
     追っかけリーチ…じゃなくて『お城まであと一里』だよ。」

ルシア「確か宣言忘れると5枚のペナルティーだっけ?」

フィス「まいったわねぇ……まだ私こんなに手札があるのに、
    早く追いつきたいところだわ。」

ルシア「じゃあ僕が手助けしてあげようか。はい、リターン。」

アーシェ「兄様〜!わしの番の前で方向を変えるなんて殺生なのじゃ〜!」

フィス「やった。ごめんねフィーネさん、スキップ♪」

フィーネ「ありゃ。」

エル「よーし『到着』でさぁ!」

フィーネ「えぇっ!?」

アーシェ「なんと!こやつ僧侶で上がりおったわ!」

フィス「そういうアーシェだって僧侶で到着するつもりだったでしょ。」

アーシェ「なんじゃ、ばれておったのか。」


※8(僧侶)はその場のマークに関係なく出せるため、安定性の高いカードである。


エル「ちなみによぅ、最後に僧侶を出して勝つこんを
   俗に『坊主勝利』つって、禁止するローカルルールもあるんでさぁ。」

ルシア「確かにやられるとずるいなって思うけど、それも作戦だからね。」

エル「よーし、得点清算でぃ。全員手札見せやがれ。」

ルシア「僕は…エルフ二枚と冒険者で14点かな。あまり高くならなくてよかった。」

フィス「私はまだ5枚も残ってるから……うげっ!?54点…!?」

アーシェ「二枚とも役札じゃから余計点数が高くなってしまったのじゃ〜。」

フィーネ「私も最後の一枚が魔女だったから20点だね。」

       ルシア フィス アーシェ エル フィーネ

第一回戦目  -14 -54 -40  128 -20



アーシェ「人が多ければ多いほど点数の差は大きくなりそうじゃな。」

フィーネ「一回勝てば結構点が入るから逆転しやすいのもこのゲームの特徴だね。」



エル「次の回からはいよいよ世界魔法をおっ含めて、
   本格的にこのゲームの神髄を味わってもらいまっさぁ。」

フィス「世界魔法だけじゃなくて役札じゃないカードにも注意しなきゃ。」

エル「さ、この赤いカードの中から好きなのを一枚引いてくんな!」

ルシア「5種類って聞いたけど…けっこうあるな。増やしたのかい?」

エル「いんや、世界呪文は何も全員が違う効果とは限らねぇわけよ。
   手前が持ってるから他の奴が持ってねぇなんて考えねぇようにな。」

アーシェ「何が来るかたのしみなのじゃ。」


世界呪文配布完了


エル「親は前回勝った俺からでぃ。台札はこれでぃ!」


台札:ハート10


エル「ほれ、早速出港でぃ。スペード10。」

フィーネ「ちょっ!?いきなり私のターン飛ばされた!」

フィス「ん〜…途端に戦略の幅が広がったわ。
    前までは手元にあったらすぐに場に出してたKとかQも
    場合によっては取っておく必要があるものね。」

ルシア「………(まいったな、お姫様があるのに…騎士がない)
    そうだね。じゃあ僕はドワーフで。」

アーシェ「………(兄様のせいでエルフが出せなくなったのじゃ…)
     しかし抱え落ちすれば点数が跳ね上がるしのう。」

フィーネ「特に世界呪文は博打性が結構高いよね。」

エル「今まで以上に閃きと戦略性と運が重要なんでぃ。
   そういう訳だからよ、可愛い妹には高貴な姫様
   の護衛をいっちょよろしく頼まぁ。フェアメイデンっと。」

フィーネ「ちょっとにいさん!私騎士のカードなんて持ってないよ!」

フィス「兄妹同士でも容赦ないのね……」


※Qで相手にお姫様のカードを押し付けることを
俗に『フェアメイデン』と言って、特に相手が最後の一枚の際
絶大な威力を持つ。ただ、交換なのでこちらにも不利なカードが
来る可能性もあることは考慮に入れておいた方がいい。
また、リーチ中の相手にわざとサキュバス(ジョーカー)を押しつけて
『到着』を妨害することを『メイデンフェーセル』という。
これをやり過ぎて、くれぐれもリアルファイトに発展しないように…



ルシア「ふふっ、ごめんねフィス。サキュバスを出すよ。」

フィス「甘いわルー君『呪文反射』!!」

ルシア「うわ…しまった!!まさか呪文反射持ってたなんて!」

フィス「そして私がマーク変えられるのよね♪じゃあハートに変えて、
    さらにハートのKを場に出して…『お城まであと一里』ね。」

フィーネ「あ、ってことは……喰らえ『魔王誘惑』!!」

フィス「ちょっと!ここで魔王誘惑とか…!K持っておくんだったわ!」

エル「ちくしょう!俺も防げるカード持っちゃいねぇよ!4枚追加だ!」

ルシア「そんな…また四枚増えたよ……」

アーシェ「わしは魔女を持っていて助かったのじゃ。
     ついでに『お城まであと一里』なのじゃ。」

エル「ちっ…そのまま『到着』はさせねぇぜ。
   今来たばかりのバフォメットだ!」

アーシェ「かっかっか!悪いのう、そっちにも対策済みじゃ。
     わしもバフォメットを出して『到着』じゃ。」

ルシア「今回はアーシェの勝ちだね。綺麗な勝ち方だ。」

フィス「ん〜もう少しで勝てたのにな。世界魔法恐るべし……!」

フィーネ「やっぱり『魔王誘惑』って強いけど使いどころが
     一番難しい魔法だね。防がれる手段が多いんだもん。」

アーシェ「さてさて、得点計算するかの。」



       ルシア  フィス アーシェ エル フィーネ

第一回戦目  -14  -54 -40 128 -20
第二回戦目  -166 -108 239 72 -37


ルシア「うわ……これはちょっと厳しい戦いになりそう。」

エル「全5回勝負だからな、まだまだこれからってもんよ!」

アーシェ「わしが親か。台札はスペードのAじゃな。」

フィーネ「一応ラジオだからカードを出す時色々叫ぶけど、
     そうすると勘の鋭いフィスさんやにいさんに
     手札の構成がばれちゃうかもしれないんだよね。」

ルシア「ああ、確かに。じゃあさ、一つ聞きたいんだけど…
    あ、カードを出しながらで構わないよ。」

※手元ではカードによる容赦ない攻防が行われています

ルシア「なんでサキュバスだと『到着』できないの?」

エル「それはいわばこのゲームが出来た時代の政治背景ってもんよ。」

フィス「政治背景?」

フィーネ「実はね、このカード全部には色々な意味が込められてるんだよね。
    当然サキュバスは私達ユリスからすればもちろん敵ってことになる。
    サキュバスで到着する反則は俗に『レスカティエ』って言われてるよ。」

アーシェ「レスカティエと言えば魔界三大都市の一つじゃな。」

フィーネ「つまりサキュバスで『到着』するとお城は魔界になっちゃうってことなの。
     リスナーのみなさんは「良いことなんじゃないの?」って思う
     かもしれないけど、このゲームは反魔物国で出来たからね。
     それに従ってルールも政治的背景が影響しているんだ。」

ルシア「なるほどね…じゃあ魔界だと『レスカティエ』は反則にならないのかな。」

エル「さあな。そもそも親魔物国にこのゲームが伝わってるかどうかも知らねぇや。
   ついでにアーシェさんに対ぇして『雷霆一閃』発動でぃ。」

アーシェ「ぬぅ…4枚追加じゃ。ではどうしてバフォメットや魔女は
     最後の一枚に残っていてもよいのじゃ?」

フィーネ「まあ、そこまでやるとルールが難しくなりすぎるから
     妥協したんじゃないかな。もちろんローカルルールはこの限りじゃないけど。
     そして……2到着や3到着ばっかりする人のことを何て言うか……せーの。」

全員『ロリコン』

ルシア「あはは…カードゲームでロリコンって呼ばれるのは勘弁してほしいかな。」

エル「そのほかにも商人がどーしてリバースの効果をもつってぇのか。
   それはな、商人どもが金の力で市場を…ひいては世界情勢を
   動かせたっつうことが元になってるだなこれが。」

フィス「うわ…なんかファンタジーなのにすごい世知辛い……
    あ、それとマークをダイヤに変更で。」

フィーネ「まあ、戦場にお姫様がいたら邪魔なだけだからね。
     そこのところ凄いリアルに反映してるのがなんとも。」

ルシア「きっとファンタジー世界にも苛酷な現実が存在するってことを
    表現したいんだろうな。義務とか権利とか、勤労とか奉仕とか。」

フィス「夢がないわ……。もう少しマイルドに表現できないのかしらね。
    皇帝よりの教皇の方が強いなんて現実世界まんまじゃない。」

アーシェ「宰相のカード交換能力もくせものじゃな……
     これで何度戦略を乱されたことやら。」

フィス「っと『お城まであと一里』ね。」

ルシア「それにKも王様じゃなくて皇帝だし。やっぱり意味があるの?」

エル「俺も『お城まであと一里』っと。そうだな…
   このゲームが出来たのは俺たちが生きてった時代よりも
   500年以上も未来でさぁ。その時代は『ユリス帝国』っつうでけぇ国が
   ユリス全土を支配してやがるんだ。ユリス帝国の皇帝は代々女性がなるもんで、
   政治も軍事も全部女性皇帝がやってたんでぃ。」

ルシア「へぇ〜珍しい国だね。『お城まであと一里』」

フィーネ「ところが時代がすすむにつれて皇帝はお飾りになってっちゃってね、
     次第に宰相が国の実権を握るようになったんだ。だから
     外交なんかは全部宰相の仕事だったんだよね。」

アーシェ「その結果が…世界呪文が来なければ役に立たぬ皇帝なのじゃな…」

フィス「カード交換の駆け引きは外交交渉の駆け引きってわけね。
    そう考えると奥が深いわ。そしてこれで『到着』っと。」

エル「今度はフィス公が上がりでぃ。」


       ルシア  フィス アーシェ エル フィーネ

第一回戦目  -14  -54 -40 128 -20
第二回戦目  -166 -108 239 72 -37
第三回戦目  -190 83 179 -9 -67


ルシア「そろそろ勝たないと本格的にヤバイな。」

フィス「負け続けると痛いからね。」

フィーネ「世界魔法を引いてね。」


※第四回戦目から第五回戦目冒頭まで省略
第四回戦目はフィーネ勝利。



       ルシア  フィス アーシェ エル フィーネ

第一回戦目  -14  -54 -40 128 -20
第二回戦目  -166 -108 239 72 -37
第三回戦目  -190 83 179 -9 -67
第四回戦目  -195 -6 139 -29 94



フィス「『雷霆一閃』!エルさんに4枚!」

エル「うああぁ…4枚追加かよ……。もうすぐで到着できそうだってのに!」

ルシア「はい、アーシェ。僕からのプレゼントだ…受け取ってほしい。」

アーシェ「お姫様のカードなんていらないのじゃー!!
     あと二枚のときになんてことしてくれるのじゃ!
     くっ…騎士のカードよ、くるのじゃ……!!
     ………こない…!騎士は来なかったのじゃ……!」

フィス「心なしかアーシェの顎と鼻が鋭くとがって来たような?」

フィーネ「それにしても皆なかなか『到着』できないね。」

エル「見事に全員で足の引っ張り合いしてっからな。」

フィーネ「じゃあそんなアーシェさんには私からチャンスをあげるね。リバース。」

エル「てやんでい、それをスキップで飛ばしてやるぜぃ。」

アーシェ「空気読んでくれなのじゃー!早く騎士が欲しいのじゃ!」

ルシア「まあ確かに、いざって言う時に騎士がいないと困るよね。
    でも騎士ばかりじゃ困るからね。これで『お城まであと一里』だ。」

フィス「う、う〜ん…この手札じゃどうしようもないなぁ。」

フィーネ「大変だ!このままだとルシアさんが『到着』しちゃう!
     皆ごめん!『隕石召喚』!!」

フィス「わー!フィーネさん、それはだめぇ!」

エル「おいこらフィーネ、これ以上カード増やすんじゃねぇよ!」

ルシア「やった!これで皇帝を出して『到着』!!やっと勝てた!」

フィーネ「し、しまった……。戦略ミス!!」

アーシェ「まあ今のは仕方ないのじゃ。しかし…何もせぬうちに
     ここまでカードが増えてしまうとはのう。
     折角今ので騎士が来たというに…今更感バリバリじゃ。」

フィス「私も皇帝とっとけばよかった〜!
    しかも手元にあるの役札ばっかり!」

エル「ちくしょう…俺なんかまだ六枚も残ってやがらぁ!」


フィーネ「さてと、これで五回戦終わったから合計点を清算するよ。」

フィス「あ〜あ…最後の最後でこんな大敗北するなんて、ついてないなぁ。」

アーシェ「貯金がそろそろ崩れそうじゃ…」


       ルシア  フィス アーシェ エル フィーネ

第一回戦目  -14  -54 -40 128 -20
第二回戦目  -166 -108 239 72 -37
第三回戦目  -190 83 179 -9 -67
第四回戦目  -195 -6 139 -29 94
第五回戦目   25 -84 86 -100 70


アーシェ「なんとか逃げ切って見せたわい!大勝利じゃ!」

エル「ま…まさか俺が最下位とは……」

ルシア「ふぅ、一時はどうなるかと思ったよ。」

フィス「最下位は免れたとはいえ私も大敗北だわ…。
    なんかくやしい、もう一回やりたい。」

フィーネ「あはは、それはまた放送が終わってから受けて立つよ。」

エル「最後の世界魔法二連発がむちゃくちゃ痛かったぜこんちくしょう。」

アーシェ「出来ればもったいぶらずに使うべきじゃな。」

ルシア「なんだろう、僕ももう一回戦やりたくなってきたな。
    放送終わったらまたやろっか。」

フィス「賛成!」

アーシェ「次も圧勝してやるのじゃ!」

エル「おっと、俺も次は容赦しねぇよ。」

フィーネ「はいはい、またあとでね。以上、オン・エル・バトルでした!」






―――――『エンディング』―――――

♪EDテーマ『妄想ふぇてぃっしゅ』



フィーネ「エンディングです!お疲れさまでした!」

三人『おつかれさまでしたー!』

エル「さて、またいつもの喋り方に戻るとするか。そろそろ江戸っ子も飽きた。」

ルシア「え?エルさんって普段からそんな喋り方してるの?」

エル「当然だ。どんな喋り方してるものだと思って……やっぱいい、聞かなくて。」

フィス「なんていうかこう口に手を当てて
   『恋したいのなら魔界に行けばいいじゃない』みたいな。」

エル「……まあ、大方そんなんだろうとは思ってはいたが…」

フィーネ「はいはーい、にいさんは早く声変わりしようね。
     そんなわけで三人には高齢の記念品をプレゼントします!
     まずバトルで優勝したアーシェさんには……じゃじゃん!
     菓子店『セプテット・シュプレヒコール』のケーキ引換券をあげるよ!」

アーシェ「なんと!あの天にも昇るような美味さと評判のケーキ屋か!
     しかも三枚あるではないか!……まあ当然三人で分け合うがのう。」

フィス「え、いいの!?」

アーシェ「あたりまえじゃろう、わしらは家族なのじゃからな♪」

ルシア「ありがとうアーシェ。」

エル「勝者の余裕って奴かもしれんな。」

フィーネ「さらに、さっきの勝負で使ったトランプもあげちゃいます♪
     世界呪文カードも一緒に入ってます。」

フィス「ふふふ、後で早速使おっと。」

フィーネ「さらにさらに!この春ロンドネルで解禁されたばかりの
     スパークリングワインもあげちゃいます!三本あるよ!」

アーシェ「ほほう…スパークリングワインか。この時代にもあったのじゃな。
     これがシュールストレミングの試食会で呑めたらよかったのじゃが。」

ルシア「まあ放送中にお酒なんか飲んだら酔っ払って放送できなくなっちゃうからさ。」

エル「結構前にヴィオラさんとかがやらかしてたからな。」

フィーネ「最後に毎回恒例のロンドネルの旅へご案内します!
     帰り際に三人でデートしていってくださいね。」

エル「んーーー、さてさて…今日の放送はここまでかな。」

フィーネ「そだね。それじゃあパーソナリティは妹、フィーネルハイトと。」

エル「兄、エルクハルトでお送りしました。
   そして本日の戦友は『忘却の少年と神隠しの少女』より
   ルシアさん、フィスさん、アーシェさんを迎えて
   にぎやかにお送りいたしました。やればできるもんだな。」

ルシア「僕たちのことがより知りたい人は、是非原作を読んでみて下さいね。」

フィス「前半の冒険と後半の恋愛が見どころです。」

アーシェ「ついでに『フミフミ☆ラジオ』も聞いてくれればうれしいのう。」


エル「では諸君、次回の放送でまた会おう。」

三人『ばいばーい!!』


第8回放送 終わり






おまけ


エル「ユリアさんの容体は?」

ファーリル「うん、さっき目が覚めたみたいだけど、まだ鼻の中に
      臭いが残ってるみたいだ。起きた時からしきりに
      エルの匂いが欲しいっていってるよ。」

エル「う〜ん……とりあえず良い香りがするお茶を出して
   良い香りがするお香を焚いて時間稼ぎするか…。」

ファーリル「そうだね。だからエル、髪の毛20本ほどもらうけどいいかい?」

エル「え?」

ファーリル「それっ」


ぶちっ!!


エル「いてえ!もっと加減しやがれってんだべらぼうめ!」

ファーリル「はいはい、また江戸っ子出てるよ。ところで……
      ゲストさんたちとフィーネとユニース、まだやってるの?」

エル「そろそろ五回戦に突入しそうだ。」

ファーリル「はまってるねぇ……」




フィーネ「速攻魔法発動!【アールケーニッヒズソウル(魔王誘惑)】!!」

アーシェ「あまいわ!【皇帝特権】!お主の世界呪文など効かぬわ!」

フィス「くっ…四枚も増えたわ。こうなったら私だって、
    今手札に加わったバフォメットを攻撃表示!」

ユニース「バフォメットね…私ももっていてよ。
    『お城まであと一里』ってとこかしら。」

ルシア「あーあ…6枚も増えちゃったよ。どうしよう……
    っていうかさっきからみんな邪気眼全開だし、
    どうしちゃったの?」

サン「この船は時間軸すら航行可能の性能を持つ…スキップ。」

フィーネ「おのれ、私ももう少しで一里塚だって言うのに。」

アーシェ「案ずるな。ワシの世界呪文が火を吹くのじゃ!
     ユニースよ!裁きの雷をうけるがいい!
    【トールハンマー(雷霆一閃)】なのじゃ!」

ユニース「無駄よ。私の【ミラーヴェール(呪文反射)】があるかぎり。」

アーシェ「ぬわぁ!ぬかったわ!」

ルシア「邪鬼眼消しゴムのお世話にならないといいんだけど……。」



いつまでつづくことやら。
12/06/17 20:32更新 / バーソロミュ
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■作者メッセージ

収録を終えて


みなさんごきげんようございます。エンジェルのユリアです。
この度は『スーパー クレールヘン シスターズ!!』を
読んでいただいてまことにありがとうございます!
この度は一部醜態をさらしたことをお詫びいたします……。
もう二度とあんなものは口にしない所存です。

まずは今回のゲストを紹介して下さった星村空理様、
三人のゲストの活躍でとても躍動感のある収録が出来ました。
何気に結構酷い目にあわせてしまったかもしれませんが、
言っていただければこの埋め合わせはなんでもいたします…。
参謀本部の一番のお気に入りはフィスさんだそうです。
なんでも、外見のせいでませて見えるところがいいんだとか。
私にはよく理解できません。ただ可愛いだけではいけないのでしょうか?

また、今回収録に登場したニシンの塩漬けなのですが、
特別に一箱ほどラインの領主さま宛に送っています。
ぜひともご賞味ください…だそうです。
届いた際には注意事項をよくお読みになり、
用法要領を守ってご賞味ください。死人が出るかもしれないので
くれぐれも化学兵器と間違われないように、慎重に扱ってくださいね。

そして、バトルで使ったゲームは参謀本部オリジナルです。
トランプがあればできるゲームなので、皆様是非とも
SSで何気に使うなり、実際にやってみるなりして
楽しんでみて下さいね。



さて、相変わらずお便り絶賛大募集中です。
ゲストや「探求の羽」への質問はもちろんのこと、
「おいでませ!マインシュタット!」やバトルのお題、
エルさんの縛りプレイなどいろいろ募集しています。
SSに出てくる料理紹介なども受け付けていますので、
色々と送ってきてみて下さい。送れば送るほど
参謀本部のモチベーションも上がりますよ。

では以上、ユリアからでした!
本編「英雄の羽」もよろしくおねがいします。
皆様ごきげんよう、さようなら♪

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