みらい 後編
――――――――――《Side Jung》――――――――――
僕たちは何のために生きている？目的は何だ？
―教会の司祭は云う。人間は神のために生きるのだと。
人間は神のために働き、神のために祈り、神のために全てを捧げる。
神は敬虔な人間に、恵みを与え、力を与え、知恵を与え、愛を与えるという。
―大昔の哲学者は云う。人間は知るために生きるのだと。
森羅万象、無限に広がる知識を探求し、世を余すことなく知った時、
人間は全知の向こうに、現世を超越した世界を見るという。
―霧の大陸の仁者は云う。人間は人間のために生きるのだと。
家を築いた祖先に感謝し、自分を生んだ父母を尊び、次代の子孫に後を託す。
友との友情を大切にし、愛した人を生涯愛し続ける。それが人の使命。
…なんてね。実は皆知ってるんだ。『答えなんてない』って。
これらはみんな、他人に納得してもらうための出まかせに過ぎない。
少なくとも、人間が生きる理由は、神の奴隷になるためじゃない。
全知の探究者になるためでも、他人への滅私奉公のためでもない。
―でもね、人は理由もなく生きていくことに耐えられるほどには強くない。
だから、そのために必要なんだ……それぞれが、それぞれに見つけた生きる理由っていうのが。
……必要なんだ、それは、僕にも。
――――――――――《Side Viorate》――――――――――
「そんな…小生ちゃん！それはいくらなんでもあんまりだよ！」
「あんまりとは心外だな。せっかく無償で元に戻してあげるっていうのに。」
「でも、ヴィオラちゃんにとってはどっちも酷よ……
せっかく…ユング君が元に戻るのに、ヴィオラちゃんのことも忘れるなんて！」
「あのね、小生はわざと記憶を消そうとしているのではない。これは副作用だ。
残念ながら小生は人間…君たち魔物のように何でも都合よくできるわけじゃない。」
私達の話に割って入ったノワちゃん。
普段あまり怒らない彼女だけど、今は珍しく本気で怒ってる。
……ノワちゃんはとても友達思いだ。
私のために必死になってインテグラに喰ってかかっている。
でも、私には分かっている。普通はそんな都合のいいことなんてあるわけない。
もう少し落ち着いて考えてみよう。
私だってユング君だって、一刻も早く現状を打破したい。
けど全てを白紙に戻せばこの先どうなるか見当がつかない。
最悪、ユング君は私のことを嫌うかもしれない。
リリムだからあり得ない……ちょっと前までの私ならそう考えたかもしれない。
今は違う…知ってしまったから。私は思っていた以上に無力だったんだって。
優秀なリリムが、愛する人の一人も救えないなんて……
他の姉妹にこんなことを話したら、きっと馬鹿にされるだろう。
…
ううん、ここで諦めるのは私らしくない。
ちょっと落ち着こう。今の私は落ち込みすぎてる。
いつもの私ならどんなことを考えただろうか？
う〜ん……要するに記憶だけそのままで体を戻すことはできない。
あれ？でも…まって、もしかしたら逆なら…
「ねえ小生さん。」
「おっと、決心したかい。」
「一つ聞きたいことがあるの、いいかしら？」
「質問かい？いいとも。」
「今から行う術で、例えば…腕だけとか足だけとかってできるの？」
「身体の一部だけ？まあ…ちょっと面倒だけど出来ないことはないよ。
でもこう言ってはなんだけど、脳だけってっていうのは無理だけどね。」
「そう、なら十分だわ。」
「ヴィオラちゃん、何かいい案があるの？」
「ええ…一発逆転の秘策があったわ。」
私はリリム。魔王の娘であり……史上最高峰のサキュバスだから
「じゃあ小生さん、ユング君の『おち○んちんだけ』元に戻してくれるかしら。」
「ちょ！ヴィオラちゃん！？何言ってるの！？」
「男性器だけ…だって？あっはっはっはははははははははは！！
なるほど、実に愉快なことを言うじゃないか。そうかそうか！
まったく…なんとも魔物らしいばかげた考えだ。君には負けたよ。」
「ふふふ、褒め言葉として受け取っておくわね。」
そう、一部だけ変えられるならそれだけでいいの。
ユング君と愛し合えるようになれば、私の力で何とかなる。
またモノ扱いするのかってユング君に怒られそうだけど、
少なくとも私はこの方法が最善だと信じてる。
私の意向を汲み取ってくれたインテグラは、早速術式の配置を変更しはじめる。
身体の周りに置いた青い液体の数を三分の一くらいまで減らし、
胸の上に置いてあった懐中時計をユング君の一物の上に置いた。
なんかとってもシュールな光景ね。
「でも、こんなことをしても最終的に元に戻る保証はないけど、それでもいいのかな？」
「大丈夫。後は全部私がなんとかするわ。」
「そう…なら問題ない。術式を始めよう………」
インテグラが始めた術は未だかつて見たことがないものだった。
インテグラは呪文を唱えることも、魔法陣を書くことも一切しない。
懐中時計の針を文字通り『反時計回り』に回す。
すると時計の針はインテグラが触れなくとも自然に動き始め、
それと同時に周りにおいてある液体の瓶が輝く。
「ふしぎ……魔力の気配が一切ないわ。」
「なんか錬金術みたいだね。」
ユング君の股間は濃い青色の光に包まれていて、どう変化し始めてるのかは分からない。
得体の知れない術を見るのはまさに期待半分、不安半分な気分……
「よし…！なんとか制御できた。一部だけ進退させるなんて初めてだから、
出来るかどうか不安だったけど……ここまで出来ればもう問題ない。」
しばらくするとインテグラは術の捜査をやめてユング君から離れてしまった。
「あら？もう終わりなの？まだなんか途中みたいなんだけど。」
「小生の手で出来ることは一段落したからね。後は少し時間がかかる。
なぁに、ほんの数刻あれば十分さ。その間に……ちょっと話でもしようか。
あなた…ヴィオラと言ったね。ヴィオラはなぜこの子に興味を持ったんだい？」
「ん〜…そうね…」
私は今までの経緯をインテグラに全て話した。
気まぐれに散歩している時にたまたま目にとまった吟遊詩人の男の子ユング君。
最初はちょっとだけ味見するつもりで近寄った。
結果、私は生まれて初めて拒絶された。
たったそれだけの些細なこと…だけど私はユング君に惹かれた。
私は運命なんてあまり信じていない。
でも、ユング君との出会いはほとんど奇跡に等しいと今でも思う。
心を閉ざしていたユング君の気持ちが分からなくて、
たくさんたくさん傷つけてしまった。
ユング君のおかげで、今までの未熟な自分を知ることが出来た。
だけど、同時にユング君といることで初めて分かったことも多い。
だから…私にはもうユング君しかいないの。
「そっか……いわば『天使の恋』っていうやつか。」
「天使の恋？なんで天使なの？ヴィオラちゃんは魔族だよ？」
聞きなれないフレーズに私もノワちゃんも首をかしげる。
「不幸があったから…辛いことがあったから…実った恋のことさ。
天使はね、困った人を見たら助けてあげずにはいられない…
だから、天使が恋をした人は何か不幸なことがあったからこそ、
奇跡的に恋をして幸せになることができたってわけさ。」
「そっかぁ。ユング君にとってヴィオラちゃんは天使なんだね。」
「私は正直あまり褒められた気がしないわ。」
だってそうでしょう？インテグラは遠まわしに、
ユング君が何事もなく平穏な人生を歩んでいたら、
私はユング君と結ばれることはなかった……って言ってるんだから。
確かにそれはそうかもしれないし、もっと言えば私じゃなくても
他の娘がユング君を助けた可能性だってあったわけだ。
「でもね……一つ大事なことを見落としてるわよ。」
「ほう？何を？」
「そもそも、ユング君がこうなっちゃった原因は小生さんにあるんじゃない。」
「ヴィオラちゃん！それは…」
「小生が原因……ね。」
私は静かに静かに…怒っていた。
ユング君にかかっていた不可思議な呪いをここの教会に伝授したのは、
インテグラ自身だってさっき言っていたはずよ。
元凶は…今まさに目の前で余裕の笑みを浮かべている。
「あなたがこんな残酷な術を使わなければ、ユング君は不幸な人生を送らなかった。
あなたがこんな非人道的な術を教えなければ、何人もの子供が普通に生きていられた。」
「……………」
インテグラは黙って微笑んでいた。
「あなたは……あなたはっ…」
「………」
「このことを何とも思わないの！？答えなさい！インテグラ！！」
「…逆に問おう。ヴィオラは今まで何人の人間を魔物に変えてきた？」
「私が魔物化した人の数…？そうね…今まで200人くらいかしら？
これでも結構少ない方よ、なにせ私のやり方は――」
「小生は、正確な人数を聞いているんだ。
〜くらい…だなんて抽象的な数字じゃなくてね。」
「それは……」
「そんな数いちいち覚えていない、ちがうかい？」
インテグラの顔からはいつの間にか笑みが消えて、
初めて見せたとても真剣な表情をしている。
「あなたたち魔物は、人間を魔物化する時いちいち相手の了承を得るかい？
普通はそんなことしないはずだ。君たちは人間の意志なんか気にしないし、
魔物化したほうがより幸せになれると信じているからね。
でも、我々人間が同じことを人間にやったら………
やれ残酷だ、やれかわいそうだ…君たちは無意識にそんなことを思っている。」
「ちょ…ちょっと待ちなさい！私達が人を魔物に変えるのと、
あなたたちが人の身体を勝手にいじるのを一緒にしないで！」
「いいや、本質は変わらないよ。ただ結果が違うだけ。
君たちが人を魔物化したら結果的に全員が幸せになれた…
我々が人を不老不死にしたら結果的に全員不幸になった…
でもね、双方とも結局は元の人生を捨てなきゃならない。」
「けど…！」
混乱していて上手く反論できない。
けど、インテグラが言っていることが正しいとは絶対に思えない。
そんな乱暴な理論なんて認めてたまるものか。
「それに……小生が行使した術は決して残酷な術なんかじゃない。信じられるかい？」
「信じられないわね。少なくとも人の身体をおかしくする術なんて最低だわ。」
「私も信じられない！この術を開発した人の顔を見てみたいくらい！」
「やっぱりそう思うか。」
「っていうか、この術は一体どんな仕組みなのかしら？」
「これはね……時を操る術。」
「時を操る！？」
そんな術があったなんて！
魔法でも、時を操る方法はほぼ失われているって言うのに。
「これは人が編み出した奇跡……魔力を使わずに物体の時を進めたり戻したりできる。
植物の生長を促進させたり、食べ物の醗酵を早めたり、ボロボロになった物を
新品同然に戻したり……術自体は至って平穏なものなんだ。」
「ふーん、そう聞くとなんか便利そうね。」
「ああ、とっても便利だ。それに労力もそれほどかからない。
ただし……それゆえ悪用されやすいのも事実だ。」
「あ…！」
「この教会の司祭たちもきっと、初めは平和目的に使ったと思う。
でもいつからか…その対象は人にも及び始めたのだろう。
ま、小生も生きてる植物に対して無理矢理術で成長を促進させたから、
人間だからやっちゃいけないなんておこがましいことは言えないけどね。」
「なるほどね……逆に人間から見れば私達が人を魔物化させるのは、
魔力を悪用しているようにしか見えない…ってわけね。」
私は今までそんなことちっとも考えたこと無かった。
いえ…考える必要なんてなかった。
それに今でも間違っているとは思っていない。
「ちょっと長い話を聞かせてあげよう。
人間はね、遥か大昔から君たち魔物と争ってきた。何度も何度も…お互いに命を奪いあっていた。
でも人間は魔物に対して格段に劣っていた。基礎能力に大きな差があったんだ、当然だ。
そこで人間は、身体で勝てないなら知恵で勝とうと思い至った。これが文明の始まり。
その後人間は繁殖力と技術の差で魔物に対して有利に戦えるようになったんだ。」
「確かに、この世の中のあらゆる道具は人が発明したのよね。」
「そう…けど、ある時この世界は一変した。最後の魔王交代を境に、
魔物は人と共に歩む道を選んだ…人と魔物は昔ほど争うことは無くなったんだ。」
「私のお母様は本当に偉大だと思うわ。」
「魔物たちは人と暮らすことで次第に文化を吸収し始めた。
そして今では多くの魔物が人間と一緒に街で社会を作って、
風雨を防げる家に家族で住み、調理された食べ物を食べている。
今となっては当たり前の光景だけど、大昔では信じられないことなんだ。」
「うんうん。」
「さて、さっきも言ったように魔物は人間に比べて基礎が優れている。
それに人間と違って魔物は皆優しく平和を好む。
その上魔物は皆人間女性よりも何倍も素晴らしい容姿を持っている。
するとどうだろう、魔物が作り出す道具・食べ物・武器・建物…どれもがみな
人の作ったものよりも何倍も優れた性能を持っている。
今や人間は…魔物に勝ることが何一つ無くなってしまったんだ。」
「ふぅん……」
「小生の生まれ故郷ではね、魔物に対して少し好意的だったけど、
それと同時に魔物に対するライバル心もかなり強かったんだ。
このままでは人間はただ魔物の欲求を満たすだけの存在でしかなくなってしまう…
我々は必死に努力した。その過程の一つとしてこの術が発明されたわけさ。
その他にも、禁忌扱いだった錬金術や、扱いにくかった火薬の研究も進んだ。
でも、結局我々がいくら努力しても魔物達は楽々追い越して行ってしまう。
もちろん逆もやった。我々にも人間を不老不死にできる力があるのか？
我々にも、魔都のような苦しみのない楽園を作ることが出来るのかと。
けどダメだった。生きる意味のない不老不死や、個のない楽園に何の意味がある？
これだけ色々やって得られた結論はたった一つ……
人間に出来て…魔物にできないことはない…ってね。」
私はインテグラの話を黙って聞いているほかなかった。
もし私が逆の立場だったら…そう考えると少しぐっと来るものがある。
相手に勝るものが何一つないとなれば、私だったら嫉妬しちゃうかも。
「だからね、さっきヴィオラが『リリムにも出来ないことがある』って言った時、
小生はこの歳になってようやく魔物に勝つことが出来た
…と思って内心とても喜んだのだが。」
「ぐっ…つまり私はあなたに負けたってことね！」
「まあまあ、仕方ないよヴィオラちゃん…今回は分が悪かっただけだし…」
「ところがヴィオラは何を思ったかユング君の股間だけ元に戻せば、
後はすべて自分でできると言ってきたわけだ。
その瞬間、小生は君に逆転敗北を喫してしまったんだよ。」
「え？」
「まったく、ヴィオラの斜め上の発想には驚かされたよ。
だがその発想は君の力と自信があったからこそ出てきたものだ。
そしておそらくは…ユング君にとって最善の道となっただろう。」
「何だか知らないけど、やっぱ私の勝ちで良いってことね！
よっしゃ！さすが私！優秀なリリムは伊達じゃなかった！」
「ヴィオラちゃんはすぐに調子に乗るんだから…
でもやっぱりそう言う前向きなところがヴィオラちゃんの一番いいところだと思う。」
「でしょでしょ！」
「ふふふ、君は本当に面白いリリムだねヴィオラ。
もし小生が魔物だったら悪友になれたかもしれないな。
……っと、術が完了したようだ。」
長話が終わったとほぼ同じ時に、ユング君に掛けられた術は完了したようだ。
「どこか変わっているかしら？」
「う〜ん、見ただけだと分からないねぇ。」
見た感じユング君の外見は少しも変わっていない…当たり前だけど。
今の段階では確実に成功したかどうかは分からないんだけど、
少なくとも、インテグラが出来るのはここまでのようだ。
「さ、後のユング君の運命はヴィオラ次第だ。大切にしてあげてほしい。」
「言われなくても分かってるわよ。まだ先は長いかもしれないけど、
ゆっくりと、だけど確実にユング君と愛し合って行こうと思うわ。」
さて、やることはほぼ完了した。後は帰るだけなんだけど…
「ついでにやっておきたいことがあるの。」
「ん？まだ何かここに用があるのかな？」
「ええ、それも小生さんにね。」
「？」
怪訝な顔をするインテグラ。
さっきの話を聞いた後だと少し後味が悪いけど、私達は魔物だから
≪ノワちゃん、後ろからよろしく≫
≪おっけー≫
私とノワちゃんはゆっくりとインテグラに近付いていく。
「今よ！」「それっ！！」
そう、ついでだから今この場でインテグラを魔物化してしまおう。
そうすれば私達の知らない謎の技術が手に入るかもしれない！
インテグラ自身もかなりの魔力を持ってるから、一石二鳥ね！
けど…
「甘い。」
ヒュンッ！
ゴッチーン！
「あいたっ！？」「はうぁっ！？」
私とノワちゃんは見事にごっつんこしてしまった…うう、痛い…
「はっはっは。残念だけど、この図書館内で小生に手を出そうとしても無駄だ。
この空間内なら小生はあらゆるところに転移できるし、魔力も無尽蔵だ。」
「くっ！そんなの反則じゃない！」
インテグラはと言えば、いつの間にか図書館の中央に転移して
その場に何事もなかったかのような表情で宙に浮いていた。
「そんなに焦らなくても、小生もいずれは魔物になってしまうだろう。
けど小生はまだ、このクソ忌々しい人間の身でいたいと思う。
それよりもヴィオラは早く帰ってユング君に事の次第を話してあげてほしい。」
「……そうね、今回ばかりは見逃してやるわ。ノワちゃん、帰るわよ。」
「う、うん。そうだね…じゃあまたね小生ちゃん！」
私達は再び修道服を着こんで、寝ているユング君を背負って図書館を後にする。
「………ありがとう、インテグラ。」
「どういたしまして。そしてなるべく二度と来ないでほしいね。」
――――――――――《Side Another》――――――――――
「やれやれ、やっと帰ったね。まったく小生も器量が狭い。
魔物相手についつい愚痴をこぼしてしまうとは…
人間というのは本当に弱い生き物なんだな。」
ヴィオラたちが帰った後も愚痴を言いながら片付けをするインテグラ。
そこに、別の人々がやってきた。
「あの、インテグラ様……お願いがあるのですが。」
「ん？なんだ…君たちまだいたのか。」
声をかけてきたのは、聖歌隊の少女を連れた四人の司祭たちだった。
「我々にもぜひその術を伝授してほしい。」
「僕たちの手で、未来を奪われた子供たちを助けたいんです！」
「術を悪用しないと誓います！神の名にかけて！」
「…いいだろう。5年近くかかるだろうが、頑張れるか？」
『はいっ！！』
それ以降、サンダリヨン中央教会にいた成長を止められた子供たちは、
徐々に元に戻ることが出来た…という。
12/03/19 01:08更新 / バーソロミュ
戻る
次へ