第7回 前編
エル&ユリア『スーパー クレールヘンシスターズ!!はじまります!!』
♪OPテーマ『Maiden's Garden』♪
エル「ごきげんよう諸君。俺がエルだ。」
ユリア「ごきげんようございます。エンジェルのユリアです。」
エル「この番組は、連載小説『英雄の羽』を基礎にした特別外伝!」
ユリア「パーソナリティは…私とエルさんの二人でお届けいたします♪」
エル「で……ラジオの前の諸君は冒頭から突っ込みどころ満載かもしれないが、
まずは玄米茶でも飲んで落ち着いて聞いてほしい。」
ユリア「フィーネさんは、今日は士官学校の卒業試験の勉強のためお休みです。
そのかわりと言っては何ですが、私がパーソナリティの代行を致します。」
エル「本人はどうしても出たいと言っていたが、
あいつにとっては人生を左右する試験だから真剣に取り組んでもらおう。」
ユリア「フィーネさんのファンの方、申し訳ありませんでした。」
エル「そんな奴…いるのでしょうか?」
ユリア「それと、なのですが今回は放送室ではなく、クレシス放送局内にある
和室にて収録を行っています。畳があるお座敷からジパング庭園が見えますね。
合わせて私たちはジパングの伝統衣装である『着物』を着用しています♪」
エル「本編だとローディア(第二軍団第一師団参軍所属:女性ソードマスター)が着てますけど、
実際に着てみるとあまり戦いに向いてませんね。
あいつはなぜこんなの着て戦ってるんでしょう?」
ユリア「戦いのスタイルは人それぞれなのでしょうね。
ですがエルさんが着ています藍色を基調にした模様の着物…とてもお似合いですよ!」
エル「そ、そうですか…ユリアさんにそういってもらえると嬉しいです。
そういうユリアさんは桜色の着物ですね。ユリアさんの可愛らしさが強調されて
いつもとは違うやさしさを感じさせてくれていますね。」
ユリア「ふふふ♪お褒めいただいてとても嬉しいです。
着付けをがんばった甲斐がありました。」
エル「ですが…、ジパングの男性もこんな風な着物を着るのだろうか?
まさかとは思いますが…いや、そんなはずは……」
ユリア「あら、エルさんの着ている着物も女性用ですよ。」
エル「だろうと思いましたよ!!そうでしょうよ!!
どーせ俺が着せられるのは大抵は女物でしょうよ!」
ユリア「まあまあエルさん。似合っていますからいいではありませんか。」
エル「似合ってなくてもいいですから…たまには男の格好を……」
ユリア「だめですよ。エルさんはマスコットなんですから。
収録に当たってはちゃんとかわいらしい服を着ませんと♪」
エル「ま……マスコット……」
ユリア「ではリスナーの皆様、本日もよろしくお願いします。
この番組はロンドネル公営放送により、クレシス放送局からお送りいたします♪」
―――――『今日の戦友!!』―――――
エル「毎回恒例の戦友…ゲストの紹介だ。」
ユリア「先週はバーチャルネットピクシーアイドルであるステラさんが来てくれました。」
エル「また妙な称号が……」
ユリア「ステラさん自身もラジオパーソナリティでしたから、
その才能を生かして容赦なくツッコミに回ってもらいました。
ビーチバレーとても楽しかったですね。」
エル「では、今回の戦友なのですが、久しぶりに人間一人となっています。」
ユリア「あら、フレイヤさん以来ですね。」
エル「早速紹介しましょう。『のんきな女性剣客シリーズ』より
御巫友華(みかなぎ ともか)さんです。どうぞ!」
スススッ
襖を開けて入ってきたのは、白い着物に青い法被を着た
肩の辺りで切りそろえた黒髪を持つ、ジパング人の女性だ。
腰にはカタナ(日本刀)を携えているが、見た感じは穏やかでのんびりした雰囲気がある。
友華「はいはいな〜、ごきげんようさん。わてが御巫友華いいます。
おっ父からなんか無理矢理剣を極める旅に出されよりましたが、
なんやかんやで半分は物見遊山気分でのんきに旅しとります。
せやけど、いつかは一流の剣士になれるよう、自分なりにも頑張っとりますわ。
ほんなわけでエルはん、ユリアはん、よろしゅう。」
エル「うむ、今日は一日よろしく。」
ユリア「よろしくおねがいします♪」
友華「おーきに。」
エル「一応ジパング人には何回か前に星やん…じゃなくて星村空理君と会ったが
友華さんは話し方が少々独特なのだな。」
友華「せやな、わては西の方出身やさかい。他の同郷の人とは
ちょっくら違うかもしれへん。」
ユリア「つまり、方言か訛りなんですね。でも、そのしゃべり方も
独特で友華さんが使うとなんかかわいいですね♪」
友華「そやの?むしろ……話には聞いておましたが
お二人ともほんまにべっぴんさんやなぁ。」
エル「べっぴん……あ、うん。ありがとう。」
友華「うちの故郷では髪の毛が金色い人は
稲荷さん意外あんまり見ぃへんからなぁ。
知らんかったらきっと神様の使いかなんかと
かんちがいしてもうところやなぁ。」
ユリア「…一応ですが、私は神の使いですよ?」
友華「おっとせやったな!失礼したわ、かんにんな。」
エル「あと、俺はこう見えても男だからな。
初対面だとみんな俺のことを女性だと思うようだが。」
友華「ほ、ほんまかいな!エルさん、どっからどう見ても女の人やがな!
せやけどその顔といい、体型といい…どっからどうみよっても……」
ユリア「…?友華さん、顔色が優れないようですがいかがなさいましたか?」
友華「い…いやな、ちょいと思い出しとうない記憶が……」
エル「なんだろうな?俺に似たようなやつでトラウマでもあるのか?
まあいいや、今日はつまらん事を忘れて楽しもうじゃないか。」
友華「せやな!ほんなわけで改めてよろしゅうたのみますわ!」
ユリア「では、次のコーナーに入る前にこちらをご用意しました。」
友華「ん?なんや…?」
ユリア「菓子店『セプテット・シュプレヒコール』の店長のグレーテルさんが
ジパングのスイーツにチャレンジしてみたそうです。」
友華「おっ、まさかこんな所で羊羹が出てくるとはおもわへんかった!」
エル「ヨウカンっていうのか、これ。」
友華「それに饅頭や最中、金鍔までありよる!
なんや…わて、いきなり偉うなった気分やわ…」
ユリア「ふふふ。さ、遠慮なくどうぞ。」
友華「ほんではお言葉に甘えて、いただきます。」
エル「うん、どれどれ…ジパングの甘味とはどんなものかな?」
…
友華「ちょいとまてや、なんかやたら甘くあらへんか?
羊羹ってこんなべたべた甘いもんやったっけ?」
エル「そうなのか?俺は初めて食べたから何ともいえんが。」
ユリア「そもそも材料はなんなのでしょうね?」
友華「わてもよう知らんけんど、たしか小豆とか栗とかだった気がするわ。」
エル「アズキ……豆の一種だったか?」
ユリア「私達はジパングのことはよく知りませんが、
でもやはり何か違う気がします。」
友華「ん〜、なんか饅頭もごっつう甘いな?どないなってまんの?」
一同混乱中……
エル「個人的にはこの味でもいけるが、
友華さんとユリアさんはお気に召さなかったようだな。」
友華「あかん、胸焼けがしてきてもうた……。お茶もう一杯くれへんか?」
ユリア「はいどうぞ♪」
友華「ふぅ〜、さすがに茶は味が変わらへんな。
しかしこれまた美味い茶やなぁ、こんな上等な茶はそうそう飲めへんな。」
注:玄米茶を使用しています
ユリア「どこがおかしいかは私達ユリス人には判断できないようです。
後日、星村空理さんか立宮美核さんにきいてみることにしましょう。」
友華「せやな。『餅は餅や』ともいいよるしな。」
エル「なんか違う気がする……。
では、この辺りで次のコーナーに行こうか。」
―――――『今日のエル縛りプレイ』――――――
ユリア「はい、では今日も張り切ってエルさんを縛っていきましょう♪」
エル「ユリアさん……言い方が怖いです。」
友華「エルはんいきなり縛られまんの!?なんでやの!?」
ユリア「いえ。物理的に縛るのではなく、お題で行動を縛るのです。」
友華「せやったんか。わて、早合点してもうたわ!」
ユリア「ちなみに前回はなんと羊の着ぐるみを着て『もきゅ』しか喋れない
といった内容でした。私も多少は目を外しましたが♪」
エル「また一つ、思いだしたくない思い出が……」
ユリア「エルさん。人は辛い思いを乗り越えることで強くなれるんですよ。」
エル「暫く乗り越えられそうにありません……」
友華「まあまあ、そんなに落ち込まんといてな。
その代り今日は気楽にいこうやさかい。」
ユリア「あ、でしたら友華さん。今回は友華さんが
何かお題を出してみたらいかがでしょうか?」
友華「わてが?何でもええのか?」
ユリア「はい。エルさんはどんな無茶でも答えてくれますから♪」
エル「お手柔らかに頼みます。」
友華「せやな…、だったらエルはんも『なにわ言葉』で話してみるなんてどや?
それかもう少し上品に『都言葉』なんてのもありかもしれへんなぁ。」
ユリア「あら、とても面白そうですね。
ではエルさんには今から都言葉(京都弁)で司会進行してもらいますね。」
エル「京言葉………、……、…
まいどおおきに。なんのおかまいもできまへんが、
どうぞ、ごゆるりと過ごしておくりやす。」
友華「うわ〜、なんでや。エルはんは男の人やろ?
何で男の人がそんなん艶っぽい喋り方できるんねん!?
あやうく心奪われるところやったわ〜。」
ユリア「エルさんって喋り方を変えるだけで、かなり雰囲気が変わりますね。」
エル「さ、さいどすか…。我ながらえらい複雑やわぁ。」
友華「えらく多芸なんやなぁエルはんは。うらやましいわ。」
エル「無理矢理やらされとるだけどす。」
ユリア「話は変わりますが、友華さんは普段からその恰好をしているのでしょうか。」
友華「そやけんど?」
ユリア「せっかくの機会ですので、友華さんも着物を着てみたらいかがでしょう。」
友華「ええの!?わて高い着物は着たこんあらへんから、憧れてたんや。」
エル「決まりやな。おーいファーリル。
きずつないが友華はんに似合った着物を用意しておくれやす。」
ファーリル「りょーかい。ローディア、友華さんの着つけ手伝ってあげてね。」
ローディア「はーい。」
ローディア「では友華さん。こちらにご用意がございますので、どうぞ。」
友華「おおきに。ではエルはんユリアはん、少々席をはずしまっせ。」
ユリア「ええ、友華さんの着物姿を楽しみにお待ちしています。」
スススッ
エル「最近はこの場面になると俺が着替えのためにブースを出ていくこんが
通例になっておりますが、ゲストが席を立つのは初めてなんではおまへんでしょうか?」
ユリア「そうですね。私たちクレールヘンシスターズは、
基本的にゲスト様には
着替えなどを強要しませんからね。」
エル「前回放送の時はしてたような気がしよります。」
ユリア「あら、そういえばそうでしたね。」
エル「ゲストにも度々恥をかかせてまんなぁこの番組は。
さて、友華はんを待ってる間に少々雑談していましょか。」
ユリア「そろそろ年越しが近いのですが、まだいろんな連載が中途半端になってますね。
本来の予定ですと『英雄の羽』は外伝一本を仕上げ、
『あなたがほしい』は出来れば完結。『失われたハッピーエンド』は
IFまでいかなくともU部後編までは……と思っていたのですが、
なかなか執筆の時間がとれません。」
エル「そやかというに参謀本部は小説のアイディアだけは必要以上に思い浮かびよる。
よって、沈黙の天使様に倣っていまここでアイディアの披露をして
出来れば読者の皆様に拾っとっただきたいと思うんどす。」
ユリア「本来であればこのようなことは避けたいのですが、
このままでは日の目を見るのは十数年後になりかねません。
でしたら死蔵してないで公表したいと思います。」
エル「まず、題名は『友達試験』いいます。
とある町の引っ込み思案の魔物娘…種類は何でもかまわへん…の子供が
その街の魔物娘の子供たちがつくっとる友達グループに入ろうとする。
そやけども、その友達グループのリーダー格が条件として
試しにしばらくの間仲間たちと一緒に行動して、
認めてもらえたら合格いう課題を出したんどす。」
ユリア「まあ、聞いている限りではあまりよい方法ではありませんね。」
エル「主人公は認めてもらおうて必死になって、
時にはみんなと笑いあい、時には誰かと喧嘩しよったりもしながら、
皆とだいぶ仲良くなった頃、いつになったら認めてもらえんのと
リーダーに聞いてみたんや。するとな、彼女はこういったんや。」
ユリア「『なにをいってるの?あなたはもうすでに私達の友達よ♪』と。」
エル「つまり『友達試験』というのは、内気な主人公を積極的にするための
リーダーなりの作戦だったわけなんやな。」
ユリア「多少無理やりですが、いいお話ではありませんか。」
エル「その他の特徴としては、登場人物が全員魔物娘、それも子供なんどす。
参謀本部の書くSSはどれも人間の比率が多めのような気がしますさかい、
一切人間が登場せぇへんのも一向やと思うとります。」
ユリア「この説明だけではなんとなく分かりにくいかもしれませんが、
もしこのアイディアで書いてみたいという方がいらっしゃいましたら、
ご一報いただければと思います。」
スススッ
友華「おまたせー、着替えてきましたわ〜。
どないでしょう?似合ってまっか?」
エル「おーおーおー!どえらくお似合いどすなぁ!
夕日のようなオレンジを基調とした紅葉の刺繍の着物、
そしてそれを淑やかに彩る薄緑の帯、
まさに友華はんのためにあるようどすな!」
ユリア「まったくです。画像がないのが残念なくらいですね。」
友華「ほんまか!いやー、えらいうれしいわ!
なんや、わていきなり偉ろうなった気分やなぁ。」
エル「結構簡単に偉うなるんやな…。」
ユリア「どうですか?動きにくいとかないですか?」
友華「いんや、見た目は動くのえらいかと思うとりましたが、
実際着てみるとそうでもあらへんな。むしろむっちゃ着心地ええな。」
ローディア「それはですね、ジパングの高級な着物は
ジョロウグモの糸で作られているそうです。以上。」
エル「ちょいまちやローディア。それだけかいな。
もうちょい説明あらへんのかいな?」
ローディア「そ…その、これ以上は声が入るから、恥ずかし……
失礼しましたぁーーーー!!!」
友華「ありゃま、顔が真っ赤っかや。どないしたの?」
ユリア「ローディアさんはちょっと恥ずかしがり屋なんですよ。
ですがそれがまた可愛いところですけどね♪」
友華「さよでっかー。いろんな人がおるんやなぁ。
それより、この着物はジョロウグモの糸で作られるんか。
通りで着心地ええと思うたわ。」
エル「気に入ってもらえてなによりどすわ。
ほんなら、次のコーナー行こか。」
―――――『羽の兵法書!』――――――
ユリア「今回は特別コーナーになります。」
友華「探求の羽ちゃうの?」
エル「探求の羽への質問があらへんどすさかい、
今回は『第一回戦記もの講座』をやっていきますえ。
需要があるかどうかはわかれへんどすが。」
ユリア「友華さんは兵法書ってご存知ですか?」
友華「あんまし戦には詳しゅうあらへんけど、
まごこはんなら、うちもよう知っとるで。」
エル「はて…まごこ?」
友華「『敵を知り、己を知れば勝てる』とか
『風林火山』とかのアレやったと思うんやがな。」
ユリア「…友華さんが言っているのは『孫子(そんし)』では?」
友華「あら、『そんし』と読むんかいな。知らんかったわー。」
エル「なんか『蘇我馬子(そがのうまこ)』みたいなネーミングどすなぁ。」
ユリア「『そんこ』さんとも読めそうですね。」
エル「それは『でんこ』ちゃんみたいどす。
まあそんなことはどうでもええ、今回はこの三人で
図鑑世界での『戦記物』について考察していきますえ。」
友華「わてもか?」
ユリア「友華さんと私は基本的に生徒みたいな立ち位置になります。」
友華「さよか。にしても戦争かー、うちの故郷は平和やさかい
あまり身近には感じられへんな。」
エル「友華はんのおっしゃるとおりどすな。
このサイトの読者さまは基本的に日本人やから
戦争ゆうのは一種の非日常的な光景どす。」
ユリア「そもそも本来はこのサイトで戦記物を書くこと自体が
ルール違反ぎりぎりの行為なのですが、
やってできないことはありません。」
図鑑中世と現実中世
ユリア「戦争は時代や地理に大きく左右されます。
ですが、ここでは図鑑世界における戦争を
以下のように定義したいと思います。」
通常設定
・人 対 魔物(魔物と共存する人を含む。)
又は親魔物国 対 反魔物国(主に教団とか)
・時代はもちろん中世。地域はヨーロッパがモデル。
・武器は剣や槍、弓矢が主流。
図鑑世界における特殊設定
・万能兵器、魔法。攻撃、防御、支援に大活躍。
・戦いの主役は勇者と呼ばれる超人である。
・魔物はよほどのことがない限り人間の命を奪わない。
友華「現実の戦争とどないなところが違うんやろか?」
エル「そもそも現実の中世の戦争とファンタジー世界の中世は
環境が真逆やと考えてもかまわへん。
中世ヨーロッパは別名『暗黒の時代』やさかい、
魔物がおらんとも、人がばたばた死んでまう世界なんどす。」
友華「食べもんもおいしゅうないとも聞いたことがあるわ。」
ユリア「朝食は黒パン一個、昼食はなし、夕食は生のジャガイモです。
これでは美味しくない以前の問題かと。」
エル「そやけんど図鑑世界は戦争さえ起こさんとけば、
みんな平和に暮らせるんどすえ。ええ世界やわ〜。」
友華「戦争起こしているエルはんがそれを言いますか(汗」
クロビネガ…愛と勇気の物語
エル「基本的に主人公は人間男性どすな。そいでストーリーは
一緒に戦っとる仲間と愛で結ばれ、ついでに敵対勢力を
倒すのが大まかな流れどす。」
友華「敵を倒すのはついでなんか?」
ユリア「図鑑世界に限らず、ファンタジー世界の戦記物は愛と勇気の物語です。
極端な話ですが、戦争は主人公と魔物娘が結ばれるきっかけ程度でも
構わないということですね。」
エル「ましてやここは恋愛小説を書く場どすから、なおさらですわ。
魔物娘を題材にして戦記物を書くんやったら、
主人公を親魔物側の人物にした方が圧倒的に楽でっせ。」
友華「女性じゃあかんのやろか?あー、でもそないすると
恋愛が殆どなりたたへんな。」
エル「その場合は主人公を魔物のすればええんどす。
ハーレム形式は書きにくうなる代わりに、
純愛形式がぐっと書きやすうなるはずどす。」
友華「なるほどなー。」
エル「また、主人公を親魔物側にするいかいな利点は、
戦争の大義名分を深く考えなくてもええことどす。
魔物娘はん達は前提として絶対正義どすし、反魔物国は存在自体が悪どすから、
魔物娘はん達は「男が欲しい」とか「魔物娘の輪を広げたい」
くらいの理由で戦争を完全に正当化できまんのや。
また、相手から先に手を出してくればそら正当防衛どすので、
相手が大義名分を作ってくれることにもなるんどす。」
ユリア「特に『正当防衛』は大義名分として非常に優れています。
FEの主人公も大抵『正当防衛』を大義名分として使っているんですよ。」
友華「戦争にはちゃんと理由が必要なわけやな。そらそうや、
なんもなしにどつかれたら、理不尽やからな。」
ユリア「その上、先ほど申し上げましたように、前提として敵は悪ですので
何の後腐れもなく倒すことが出来ます。
敵が根本的な悪ではないなら、戦いの中でお互いをぶつけ合い
最終的には理解し合うといった展開も可能です。」
エル「ただ、ライバルみたいな敵がいれば、ストーリー展開がさらに熱くなってます。
やので全員が全員どうしようもない悪人ばかりではなく、
中には敵もってあっぱれな人物を入れておくとええでしょうな。」
友華「ほうして最後に主人公はんの手で世界が平和になって、
愛する人と結ばれてめでたしめでたしになるんやな。
せやったらこの世界でも戦記物は大丈夫そうやな。」
ユリア「はい♪ですから逆に『恋愛ものが苦手なので戦記物を書く』
などもってのほかです。戦記物は恋愛小説の発展型だと考えて下さいね。」
友華「ほしたら逆に主人公が反魔物側ってのは無理なんか?」
エル「それはうちを全否定しとると違いますか?」
友華「いやいやいや、そんなこんあらへんがな!」
ユリア「主人公が反魔物側ですと途端に執筆難易度が跳ね上がります。
なぜなら主人公は魔物娘と戦う訳ですから、
読者が納得できる大義名分を掲げていなければいけません。」
友華「そらえらいむずいな。」
ユリア「あと、結局のところ反魔物側は世界観設定上、
どうあがいても最後には負ける運命にありますので、
ハッピーエンドで終わらせたいのであれば主人公は
どこかで反魔物側を裏切って親魔物側になる必要もありますね。」
エル「そもそも反魔物側で戦ういうことは、その間魔物娘を傷つける
こんになるんや。せやから読者の反感を買いやすいことにも
気をつけんとあかんどすえ。」
剣と魔法が兵法書を笑う
エル「次は戦闘についてどす。ところでユリアはんは
将棋というゲームを知っています?」
ユリア「いえ。初耳です。」
友華「ユリアはんの世界には将棋はあらへんの?」
エル「いんや、似たような物にチェスいうものがあるさかい。
持ち駒がない将棋みたいなものどす。」
友華「持ち駒ないん!?そんじゃやられた駒はどないすんねん?」
ユリア「それは当然ゲームから除外されますね。」
友華「それじゃ下手したら駒が無くなってまわんの。」
エル「ときどきそないなこともありまんな。」
ユリア「エルさん、持ち駒って何ですか?」
エル「将棋はやっつけた敵の駒を自分の物に出来るんどす。
相手にも同じことが言えるさかい、
自分が取られたらその駒は相手のもんになるんどすえ。」
ユリア「駒が減りませんね……」
友華「まるっきり逆やな…」
エル「そないなわけで、図鑑世界の戦いは将棋に似てるんどす。
倒した敵はその瞬間から味方になるんどす。」
友華「なるほど!分かりやすいわ!」
エル「さて、図鑑世界の戦いでは数より質が重要どす。
現実世界では質より量が優先どすが、そら個人個人に
あまり力の差がないからどす。
よって、
魔力などによって際限なく強くなれる図鑑世界では、
一人ひとりの力量にあまりにも差が出てしまうのどす。」
ユリア「大体、一般兵10人が騎士1人相当。
騎士10人がリザードマン1匹相当。
リザードマン10匹が勇者1人相当。
勇者4人がドラゴン1匹相当だと言われているそうです。」
友華「てことは勇者一人で1000人の戦力があるいうことかいな。
ごっつう差があるんやなぁ。」
ユリア「『英雄の羽』の世界では鍛えればだれでも強くなれますので、
本人の努力次第では一般兵でもリザードマンと互角に戦えます。
ですが強さの基準は作者様によってもまちまちですので、
それほど気にすることもないかと。」
エル「あらけない言い方をすれば、素質がある人だけを集めて
しっかり育て、まとめて戦場に投入すればそれだけで勝てるということどす。」
友華「この前耳にした『レスカティエ教国』なんかは、そないな国やったな。
でも、結局負けてしもうてん。
なんぼええ剣を持っとったとしても、使い手が強くなければなまくら同然やし、
勇者を大勢擁しとるとはいえ、内部が腐敗していれば付け入れられるわけやな。」
ユリア「ええ、まさにその通りです。」
友華「おっ父も言うておったな。辛い時、悲しい時、人はそげんなときに
心の隙間に闇ができよる。その心の闇に、妖は容赦なしに入ってくるんやと。」
エル「友華はんのお父はんはどこの陰陽師やねん…」
ユリア「えー、話はそれましたが、量より質が重要と言うことは
戦場での動員兵力はそれほど多くならないものと思われますね。」
エル「1000人でもかなり多い方どす。普通は人員三桁、少ないと50人そこらなんどす。」
友華「そやな…1000人も町に攻めて来られたらかんにんやわ…」
エル「そないな時代背景やから、戦術は発展せえへんのどす。
お互い正面衝突の
力比べやさかい。」
ユリア「むしろ、主人公が親魔物側であるならば、
敵が弄してくる戦術を仲間と協力して打ち破るのが王道かと。
よい戦術とは、絶望的な戦力差の中で主人公が
一発逆転を狙う場合のみに限定されるかと。」
友華「エルはんはぎょうさん戦術つこうとるけん、あれは卑怯やの?」
エル「魔物娘側から見れば、えげつない勝ち方やさかい。
海に雷魔法をぶっ放すんをどない思う?」
友華「あかん!感電死してまう!」
ユリア「正義の主人公は小細工を用いず正々堂々と戦うものなのです。
それにSSでの勝敗をなるべく戦術で決しようとするなら、
悪いとは言いませんが、それこそ膨大な知識が必要になります。」
エル「あくまで楽やというぎりどすから、
あとは魔物娘への愛でカバーしときなはれ。」
友華「あの、一つ質問してもええでっしゃろか?」
エル「なんなりと。」
友華「今思い返してみたんやけど、エルはんの話は
ほぼ全部にわたって基本に沿ってないようなきがするんやけど。」
エル「…………………」
ユリア「…………………」
友華「な、なんやの…二人して黙っとって?」
エル「……ま、そこは気にしない方向で。」
友華「せやな、きにせんとこ。」
ユリア「では、特別コーナー『羽の兵法書』は以上となります。
次回があるかどうかは分かりませんが、何かご意見があれば受け付けますので
こちらの方もよろしくお願いいたします♪」
友華「次は何をするん?」
エル「次は町自慢のコーナーどすが、その前にここらで一旦休憩しますわ。」
ユリア「たくさん話してのどが渇いたでしょうから、どうぞお茶を一杯。」
友華「ユリアはん、こぶ茶ありまっか?」
ユリア「梅こぶ茶でよければ。」
エル「あるんかいな…」
ユリア「みかんやお煎餅もありますので、ご自由にどうぞ♪」
友華「至れり尽くせりやわぁ〜。これであとコタツがあれば極楽やな。」
ユリア「クレシス放送局は一年中春ですのでそこまで考えてはいませんでした。」
エル「コタツ?」
友華「せやった、エルはんはあまりうちの故郷を知らんのやな。
せっかくやからエルはんにも色々話したるさかい。」
エル「むっちゃ聞きたいわ。」
ユリア「では、この辺りで後編に続きます。」
11/12/18 23:03更新 / バーソロミュ
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