その物の価値
「いらっしゃい！いらっしゃい！豆腐はいらんかね！
美味くて安い！栄養豊富な豆腐だよ！」
とある町のとある市場で、今日も威勢のいい豆腐屋の客引きが聞こえる。
この豆腐屋は兄が豆腐を作り、弟が売り手をしている。
「うちの豆腐は今日も活きがいいぜ！っていうか生きてるぜ！
さあさあそこの奥さん！今日の夕飯のお味噌汁に豆腐は欠かせないよ！
もちろんお味噌汁だけじゃなくて、オニオンスープやビーフシチューにも合うよ！
カレーの具にも、ラーメンの具にも！冷奴の上に乗せて食うのもアリだ！」
「おいこら、デタラメ言いながら売るんじゃねぇよ。
本気でやって『不味い』って苦情が来たらどうすんだ。」
豆腐万能論を唱える弟に兄が豆腐を作りながら突っ込む。
すると、店に貧相な格好をした客がやってきた。
年齢はおそらく、まだ二十歳になっていないであろう青年で、
どこかやつれた表情をしている。
「へいらっしゃい！採れたて新鮮な豆腐だよ！」
「俺が作ってるんだけどな。」
「すみません。この店で一番かたい豆腐をください。」
「かたい豆腐！？そうなると……兄貴、どれがいいかね？」
「んー、そうだな。やっぱ木綿豆腐かな？」
「よしきた！木綿豆腐一丁で銅貨1枚だ！」
「は、はい。ありがとうございます。」
豆腐屋は銅貨1枚を受け取ると、
防水布に水を張って木綿豆腐をくるんで渡す。
ここまではいつも通りの光景だった。
しかし、青年がボソッと…
「…これでやっと死ねる。」
「！？」
その言葉は小さいながらも豆腐屋にはしっかり聞こえていた。
「おい兄ちゃん！これでやっと死ねるってどういうことだ！？」
「あ…聞こえちゃいましたか。」
「なにか死にたいと思うようなことがあったのか？」
「はい…実は…」
青年は一息間をおくと自分に起きた惨状を語り始めた。
説明は約10分間にもわたる転落人生物語で、
非常に長いためここでは割愛する。
まあ、要は貧困苦だった。
「…ということです。ご理解いただけたでしょうか？」
「うむ、全くをもってわけわかめだ。」
ただでさえ長くて要領を得ない上に、途中から
昼ドラもかくやと思うくらいの複雑な人間関係が発生したため
豆腐脳の豆腐屋にとっては何が何だかサッパリだ。
「もう生きるのが辛くて辛くて…
これまで何回も死のうとしましたが、その都度失敗しました。
ある時は服毒死しようと思いましたが、毒は高くて買えず、
ある時は紐で首をつろうかと思いましたが、
紐をケチったせいで体重を支えきれず
またある時は入水自殺をしようとするも、川が浅く…」
「……まあ、あんたが不運なのか強運なのか知らんが、
なんでうちの豆腐を買うんだ？豆腐に未練があるのか？」
確かにそれは大きな疑問だった。
しかし、青年はとんでもないことを言い出した。
「いえ、『豆腐の角に頭をぶつけて死ね』と言われているように
堅い豆腐の角に頭をぶつけて死のうかと…」
「バカジャネーノ！！」
豆腐屋は思わず絶叫してしまった。
冷静沈着な兄の方も、豆腐を作る手を止めて唖然としている。
それもそうだろう。
過去に「豆腐合戦やるから店の豆腐を買い占める」という客はいたが
「豆腐を使って死にたい」という客は前代未聞だ。
「ばかやろう！豆腐の角に頭をぶつけて死ぬなんてことは
この町一番の豆腐屋であるこの俺が許さん！！
豆腐がかわいそうだろ！凶器になる豆腐の身にもなれ！」
「弟よ、微妙に論点が違うぞ。」
「僕はもうこれ以上生きていけません！
今払った銅貨1枚が僕の全財産だったんです！」
「あんたもなけなしの金を、こんなしょうもないことに使うなよ。」
その後、豆腐職人が憤る二人を何とか抑える。
「兄ちゃん。そんなに簡単に死のうと思っちゃいけねぇ。
確かに生きることはつらいことかもしれんが、死ぬことはいつでもできる。」
「簡単に死ぬことが出来ないから僕はこうして豆腐を…」
「シャラップ！言い訳など漢らしくもない！俺の話を黙って聴け！
いいかい、人生というのは豆腐に似ている…」
「はぁ…」
その後数分間にわたって、豆腐を無理やり絡めたような
意味不明な人生論が展開された。
「…ってなわけだ。それなのに兄ちゃん！あんたときたら
今まさに人生をふいにしようとしている！
そんな豆腐を溝に捨てるようなもったいないことをするな！」
「………」
当然だが、青年の心にはあまり響いていないようだった。
「兄ちゃんにはまだ豆腐を買おうとする気力があるじゃねえか！
その心さえあれば、まだまだいろいろ出来るさ！」
「…なんだかわからないけど、
僕もう少し生きるのを頑張ってみようかな？」
「おう！その意気だ！そんなわけでこの銅貨は返すぜ！」
「え！？なんで？」
「その豆腐は俺のおごりだ！豆腐のように強く生きろよ！」
「はい！ありがとうございました！」
青年は豆腐屋にお礼を言って店を出ていく。
豆腐屋もまた青年の背後から呼びかける。
「兄ちゃーん！もう二度と死のうとなんて思うなよー！
特に西の森は死ぬのに手頃だから絶対行くなよー！」
「おいちょっとまて。」
「なんだよ兄貴。」
「今お前、最後に自殺をほう助するかのようなこと言ったよな。」
「豆腐で死なれたら豆腐がかわいそうだからな。」
「いやいやいや、きちっと最後までとめろよ。」
先ほどとは打って変わった弟の態度に、
兄は怪訝な表情をする。
しかし弟は、驚くべきことを口にした。
「豆腐を大切にしない奴は死ねばいいんだ！」
「お前にとっては、豆腐＞他人の命なのか！？
じゃあなんであの客に豆腐を渡したんだよ。」
「そりゃだって、死ぬ時も豆腐がそばにあれば寂しくないだろ。」
「寂しいよ。虚しいよ。そしてカッコ悪い。
あと、売り上げを返したのはなぜだ。」
「あれは三途の川の渡し賃だ。
船に乗れなくて仕方なく生き返ったら困るだろ。」
「酷いこと言うなぁ、お前も。」
案外薄情な豆腐屋であった。
青年は町から出て西の森に来ていた。
もちろん、死に場所を探すために。
「確かに死ぬのには手ごろそうな場所だけど…、
手段が問題だよな。」
手に豆腐を持ちながら死に場所を求める姿は
かなりシュールな光景だったが、
いずれは死ぬ身なのでそんなことは問題ではない。
しかし、歩いていてもこれといった方法が思い浮かばない。
「うーん、どうしたものかな………、
そういえば、ここはどこだ？」
この森は見た目以上に高低差があり、
方向感覚に狂いが生じる危険が高い。
つまり…
「まずい、遭難した。」
このままさまよえばいずれ餓死するだろう。
「餓死だけはごめんだ！いくらなんでも長く苦しむのは嫌だ！
だからこそ死にたくても食べるものだけは何とか食べてたんじゃないか！
それに比べれば、一瞬の激痛なんかまだましだ！たぶん。」
死にたがりにだって手段を選ぶ権利はあるらしい。
まあ、いざとなったら豆腐があるが
何もつけないで食べるのはさすがに無理があるかもしれない。
考えていても始まらないので、青年は再び歩き出す。
そして数十分くらい歩いたころ…
「ん？あそこに何か黒いものが横たわって…
ってよく見たらあれは人だ！人が倒れているんだ！」
前方に人が倒れているのを発見した青年は、駆け足で近寄る。
見れば、その人は女性で、服装は下級の聖職者が着るような修道服。
つまり彼女はシスターらしかった。
「だ、大丈夫ですか！怪我などはありませんか！」
「うぅ…、あなたは…？」
どうやらまだ意識ははっきりしているようだ。
見たところ、外傷は見当たらない。
「自己紹介は後です！それよりも、なぜこんなところで！？」
「道に…迷ってしまいました…。」
「まさか遭難したの！？」
「もう…1週間も…何も口にしていません…。」
「！！それは大変だ！さぞかし苦しかったことでしょう！けど…」
青年が今持っている食料は豆腐一丁のみという悲惨な状況だ。
さらに、自身も遭難しているため、町に帰ることは難しいだろう。
今さらながら、青年は豆腐を買ったことを大いに後悔した。
もっとましなものを買うべきだったと…
「あのー…、豆腐しかないんですけど…、よかったら…」
「え？いいのですか？」
「ごめんなさい。僕が不甲斐ないばかりに、こんな物しかなくて…」
豆腐をこんな物呼ばわりする青年。
もしここに豆腐屋がいたら、即座に殴り飛ばされていただろう。
しかし、空腹の限界を迎えているシスターにとっては、
その豆腐は何よりも輝いて見えた。
「本当にいただいてよろしいのですか？」
「ええ、どうぞ。
僕はその豆腐に対して特に思い入れはありませんから。」
「そうですか…ではお言葉に甘えて…」
直後、シスターは青年が持っていた豆腐にくらいついた。
「あむ！あむ！べちゃ！べちゃ！はふ！うぅん！くちゃ！くちゃ！」
よほど空腹だったのか、彼女は見栄も外聞もなく
ひたすらものすごい勢いで豆腐を食べ続ける。
しかも醤油や薬味もないのに非常においしそうだ。
豆腐も、ここまで嬉しそうに食べられれば本望だろう。
「はぁ、美味しかったです。お陰で一命を取り留めました。」
「ええ…それはなによりです。」
少年としては非常に複雑な心境だ。
「あ、そうです。申し遅れましたが、私はラーラリアと申します。
宣教の旅をしているシスターです。」
「僕はリドっていいます。よろしく。」
「素敵なお名前ですね。
ところでリドさんはなぜこの森に？」
「うーん、話していいものかな…？
いや、実はですね…」
彼は再び豆腐屋に話した自身の絶望的な状況をシスターに話した。
それはまるで、彼女に苦しみを理解してほしいと
一身に願うような話し方だった。
そしてラーラリアはその話を聞いて、本気で涙していた。
「そのようなことが…さぞかしお辛いことだったでしょう…。」
「ええ、ですからもう生きるのに疲れたんです。」
「…私もシスターですから、あなたが死にたいと思っているなら
私には止める義務があります。しかし、非力な私では
あなたを説得して思いとどまらせるのは
難しいかもしれません…。」
「…………。」
「ですが、一つだけお聞きしてもよろしいですか？」
「なんでしょう？」
ラーラリアは目にたまった涙を拭い、
リドの目を見据える。
「リドさんは、死ぬことが怖くないのですか？」
「なっ！？」
「リドさんが自殺に失敗しているのはたまたまではなく、
もしかしたらリドさんは無意識に死なないように
身体が動いていたのではありませんか？」
「……そう…なのか？」
「川が深いか浅いかは見た目ですぐに判断できますし、
豆腐の角で頭をぶつけても死なないことくらい
普通は分かるはずです。」
「ええ…まったくです…」
本人は割と本気だったので、なんだか馬鹿にされた気分だった。
「僕だって本当は死ぬのは怖いんだ！
いや、出来るならずっと生きていたかった！
だけど…だけど…」
「やっぱり、リドさんは心から死を
望んでいたのではないのですね…。安心しました。」
そういうとラーラリアは笑顔を見せた。
その笑顔はリドにとってまるで女神のようだった。
「でしたら、生きることが辛くなければ解決するのですね！」
「簡単に言いますけど…、それができれば苦労はしません。」
「なので、命を救っていただいたお礼に
私からリドさんに生きる元気を差し上げます。」
「へ？それはいったい…って、んんっ！？」
先ほどまでリドを見据えていたラーラリアの顔が急接近し、
そのまま唇と唇が重なる。
（え！？え！？何々！？どういうこと！？）
あまりの急転直下の事態にリドは混乱する。
しかし、それがファーストキスだと気づく前に
リドの口を次なる感覚が襲う。
「んんん…れ…れろ…」
「――っ！？」
リドの口の中に、何やら生暖かいものが侵入してくる。
それはラーラリアの舌だった。
それはまるで意思を持った生き物のように、
長い舌がリドの口の中を縦横無尽に蹂躙する。
舌を絡ませ、歯茎を舐め上げ、より深くまで侵入しようとする。
リドが今まで感じたことのない、想像を絶する気持ちよさだった。
「んっ……んんっ、……ちゅっ…はぁっ、あっ…んふ……」
二人の唾液が口の中で混じり合う音が森の中に響く。
とてもシスターとは思えない淫らな接吻をしながら
ラーラリアは身体を徐々にリドに預けてくる。
修道服は薄い生地で出来ているらしく、
彼女の大きな胸が布越しにはっきりと感じられる。
（ああ…気持ちいい……。でも…こんなことって…）
その上彼の一物もズボンの中で膨張していた。
女性経験のないリドは、彼女の猛攻で
今にも暴発しそうだった。
一方ラーラリアは恍惚な表情で接吻を続け、
自身の体をさらに強く押しつける。
もはや恩返しをしているのか自分の欲望のためなのか
分からなくなっているようだ。
「ん、んふ……ん……くちゅ…ちゅぶ…ちゅ……んん…」
腰を引き、脂汗を流すリド。
もはや限界が近そうだと感じたラーラリアは
とどめとばかりに局部に太腿を押し付ける。
「んぅっ！？」
この強烈な刺激に、リドはもはや耐えることはできなかった。
「くっ……、んんん……！？」
ビクン！！
舌を絡め取られたまま、リドはくぐもった呻き声を上げる。
彼の股間にじんわりと熱が広がるのを感じた。
するとラーラリアはようやく接吻を終えた。
「ぷはっ！どうですか？気持ちよかったでしょう？」
「う……、はあぁ……」
うっとりとした表情でほほ笑むラーラリアに対して
リドはもはや頷くことしかできない。
「でも、私のせいで汚してしまいましたね…。
責任を持って綺麗にして差し上げます。」
「え…え！？ちょっと！なにやってるの！？」
あっという間にベルトをはずし、下着をめくる。
するとそこには白濁にまみれたリドの一物が姿を現す。
「はふぅ…、すごい匂い…。
嗅いでいるだけで体が熱くなってきてしまいます。」
「ら…ラーラリアさん…これ以上はもう…」
これ以上は申し訳ないと、抵抗するリド。
しかしそんなことはお構いなく、彼の一物を口に呑みこむ。
そして…
「じゅっ、じゅるっ、じゅるる…、じゅるるるるるる！」
「う、うわぁ！？」
周囲に付着する精液と共に、尿道に残った精液を吸い上げる。
あたりに卑猥な音が響く。
ラーラリアはそのまま舌を這わせると、
上から下へと丁寧に舐めはじめる。
「くちゅ、ちゅぷ、ちゅぴ……、くぷっ、くぷっ、くちゅん…」
「あうっ、あっ、はうっ…！？」
先ほどまで自分の口の中を蹂躙していた舌が、
今度は一物を這いまわっている。
その光景を目の当たりにしたリドは
短時間で追い詰められていく。
「あっ…！ああ！ラーラリアさん！で…出る！でちゃう！」
「ええ！下さい！出してください！あなたの精液を！私の口の中に！」
「くっ…くあ…、うああぁぁ…！」
「んんっ！んんんんんんっ！！」
先端から一気に根元まで咥えられたものだからたまったものではない。
彼は二度目の精をラーラリアの口の中に放つ。
「んっ………んん……こく…こく……こく……ん。」
のどに深々と突き刺さった陰茎から溢れる精液を、
必死に嚥下する。
一滴残らず飲み干し、一物から口を離すと
口と一物の間に白いかけ橋が出来た。
「はふぅ…、リドさんの精液…すごく美味しいです…。
豆腐なんかよりも…ずっとずっと…」
豆腐屋がリドに敗北した瞬間だった。
「ごめんなさい…ラーラリアさん…、こんなことをしてもらって…」
「あら、何を言っているんですか。ここからが本番ですよ♪」
「え…ここからが本番って…まさか…」
「はい。ご想像の通りです。」
ラーラリアはそのままリドを草の上に押し倒す。
その上で、自分は修道服の上下と下着を脱ぎ去り、
リドの上にまたがる。
「リドさん…。これから私があなたに
生きることの喜びを教えて差し上げます。」
そういうや否や、ラーラリアは股間をわずかに持ち上げ
自分の秘所に一物の先端をあてがう。
彼女の秘所は、リドに行った性行為の余波を受けて
十分に潤っていた。
「では、いきますね……、…んんっ…んはぁ…」
「ぅあ、あ…」
リドの一物はそのまま彼女の身体の中に呑みこまれていった。
「はあっ、はぁっ…いかがですか、私の中は…？」
「…あ、あったかく…て…、柔ら…かくて…すごく気持ちいい…です…」
「本当ですか！そう言っていただけてとても嬉しいです！
それじゃあ、もっともっと気持ちよくしてあげますからね！」
先ほど行き倒れていた時の雰囲気はどこへやら、
彼女は輝くような笑顔でリドの上で踊り始めた。
ぐちゃぐちゃと恥ずかしい水音を
まるで周りの木々に聞かせるがごとく
一心不乱に腰を振る。
時には激しく上下し、
時には優しく描き回すようにする。
「ああっ！すごい！私の身体の中がリドさんで満たされてる！」
「あ…はぁ！ラーラリアさん！僕、こんなの初めてで…」
（気持ちよすぎるっ！こんな気持ちのいいことがこの世に存在するなんて！）
あまりの気持ちよさに、リドは本能的に腰を動かし始める。
もはや申し訳ない気持ちは一mgたりとも残っていない。
「あはぁっ！リドさんが私の子宮を叩いてます！
すごい！私の身体の奥に突き刺さってしまいます！」
激しい動きに合わせてラーラリアの大きな胸が、
ばらばらに歪んで飛び跳ねる。
綺麗な長い銀髪も乱れ、肌のあちらこちらに張り付く。
「あっ、はぁっ、はっ、ふっ、ふうぅぅんん！」
「ふあっ、くっ、くぁ、はっ、ああっ！」
二人の呻き声にはもはや余裕がない。
限界が近いようだ。
「ラーラリアさん…僕…もうっ！」
「ああっ、来て、出して！このまま私の奥で…出して…下さい！
あはぁっ！イク！イっちゃいます！リドさん！リドさん！」
ひときわ強く、一物が子宮口に当たった瞬間、二人は同時に頂点を迎えた。
ラーラリアの膣はリドの一物を容赦なく締め上げ、
リドの一物もまた夥しい量の精をラーラリアの中に放った。
「はあっ、はあっ、はあっ…」
「はふぅ…久々に精を貰っちゃいました…。」
肩で息をするリドの胸元に、ラーラリアが顔をうずめる。
リドはもう体力の限界だが、彼女の身体を離さぬよう
しっかりと背中に手を回している。
「ふふふ…リドさんが生きる喜びを
私の中に見出してくれたようですね…。
私、とっても幸せです…。」
そういうとラーラリアは再びリドの口に接吻する。
先ほどまでは一方的だったのが、
今度はリドも彼女の舌の動きに応えてくれた。
「生きることからの苦痛と、死の恐怖から解放されたリドさん。
これから素晴らしい楽園でずっと私と共に過ごしましょうね。」
リドとラーラリアの身体を白い光が包みこむ。
光が収まると、そこにはもう誰もいなかった。
ただ、一枚の銅貨だけが、草の上に取り残されていた。
11/02/11 23:43更新 / バーソロミュ