読切小説
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ミイラ取りがミイラにイカされる
〜〜〜〜〜

「―――い!リック〜!お〜〜い!」

「は〜い!なんですか〜?」

「―――はぁ…はぁ……よかったぁ、お前であってたか〜…」

僕たち「シャングリラ探索隊」は、ここ「古代遺跡シャングリラ」にて大規模な宝探しを実施している。
この遺跡はつい数か月前に突如として砂漠地帯のオアシス帯を起点に現れ、大騒ぎとなった。
もちろん数多くの盗掘屋や冒険家が挑んでいったが、帰ってきた物は誰も居ないとされている。
なので今回は、複数のチームを一つに纏め、物量で攻めてやろうという訳らしい。
どうにも残念な作戦だと思うが、解決策が無いのであれば致し方ない。
なお、どうして帰ってこれなかったかは言うに容易いと思う。

「アテンさんもご無事で何よりです」

「あぁ、俺の事は気にするな。それより、捜索を続けるぞ?」

「はい」

彼は僕の人生の師ともいえる存在だ。
今まで何度も厳しい境遇の中を助けてもらってきた。
そんな彼が、また今度も助けてくれる。
そう思っていた。

「アテンさ――」

「…ん?どうした、リック…リックーーっ?!」

弟分を守るように、アテンが先頭に立って安全を見極めつつ進んでいき、リックはその少し後ろを付いていくように随伴する。
今にして思えば、こちらの方が色々と良かったと思う。
罠を作動させたのも自分であれば、それに引っ掛かったのも自分なのだ。
それに兄貴分であるアテンを巻き込まなかった事だけでも良しと思わなければ。
そんな思考が巡っていく中、リックは身を宙へ投げ出していた。

「おいっ!?大丈夫か、リックーーーっ!!」

いきなり床が沈み込み、というか足場の一部が崩れ去って大きな穴が口を空けてリックを飲み込む。
リックは内心気付いていた。
自分が、ブロックの一つを踏み抜いた時の違和感も、それがどんな罠かを悟った瞬間も。
だがそんな考えがすべて終わるまでの間も無く自分はその大穴の中へ落ちて行く。
最後に聞こえたのは、自分を呼ぶアテンの叫び声だった。

―――――――――――――

「………っぐ……う……ぁ…」

何か、とても気持ちの良い夢を見ていた気がする。
そんな曖昧な意識と共に、リックは意識をだんだんと覚醒させていく。
じわじわと取り戻しつつある感覚の中に、ふと違和感を覚える。

「じゅるるっ……んぐっ……あむあむ……じゅるる…」

と、そんな何かを咥えて啜るような音が聞こえてくるのだ。
それだけではない。
自分の下半身が、というか股間がすごく気持ちいいのだ。
そんな違和感がある物だから、大慌てで起き上がる。

「うあぁあぁっ!??!」

「あぶっ!」

いきなりの行動に順応できなかったのか、下半身のモノを咥えていた相手は勢いに弾かれて大きくのけぞる。
そして、そこまで来てようやく相手の正体が分かった。
最初こそ魔獣の類かとも思ったが、どうやら違うらしい。
薄い褐色の肌を持つ、リックと同じか少し年上のような印象を受ける女性。

「ゲホッ!ゴホッ!…ぇ……ぅえ……」

が、どうやらいきなり起き上がった事がダメージに繋がったらしく、その場で咳き込みえづいていた。
リック自身も、立ち上がった瞬間に頭がフラフラする程気張って居なければ、きっと射精してしまっていたであろう程の快感と刺激に立つのがやっとと言った様子。
それにしても、この構図はなんとも面白い。
片や、シャツ一枚で顔を真っ赤にしてその場に佇む青少年が一人。
片や、喉奥まで蹂躙される事故に見舞われえづく女性が一人。

「ぁぅ……あだっ!?」

「あ……だい…じょ…ぶ…?」

急に頭の方に血が上り過ぎたのか、リックはその場で立ち眩みを起こして足元へ倒れ込み尻もちを突いてしまう。
岩があった訳でも、尖った物が刺さっている訳でも無かったことは救いと言えるだろうか。
そんなリックの様子を見て、褐色の女性はそっと手を差し伸べてきた。
よく見ても居なかったし、女性の身体をジロジロ見るような趣味も持ち合わせていなかったリックは、ここで初めて目の前の女性の身体を全体像として捉えることが出来た。

肌は全体的に褐色で、日焼けしたような感じではない事から黒肌系の、いわばこの周辺の国によく見られる人種であろう事は分かる。
スタイルも非常によく、リックとほぼ同じ身長に加え、出る所は出ており、締まる所はトコトン締まった身体つきも煽情を掻き立てられる。
色素の薄い茶色がかった髪の毛が、彼女の片目を隠し、そこからも尚伸びる程の長さが彼女の艶やかさを際立たせる。
生気の薄い、トロンとした眠そうな瞳が見つめるのは、きっとリックただ一人なのだろう。
所々から除く肌には夥しい数のルーン文字が刻まれており、何かの呪術の媒体なのではないかと思わせる程である。
まぁ、その辺までは聞いていて「スタイルのいいお姉さん」程度にしか思わないだろう。
恰好を見てさえいなければ。
泥に薄汚れた不衛生な包帯を体中に巻き付けてなるべく肌の露出を抑えようとしているのはまだ分からないでもない。
身体を隠したりする上では良いだろうし、ジパング地方にはサラシという使い道もある。
が、この彼女、その薄汚い包帯以外に一切何も着ていないのである。
多分、包帯で隠れているが股間にも何も着用していないであろう。

「いっつつ……えっ?!」

「だい……ジョーぶ…?たて…ル…?」

尻もちをついた事によって走る激痛に苦しむリック。
そんな彼へ、その女性はそっと手を差し伸べる。
どうやら言葉が分からないとかそういったわけではなく、顎と舌の動きが緩慢なようだ。
彼女の顔を見ていればすぐにその事には分かった。

「あぁ、うん…ありがと…ぅ?!」

「うふふ……やったぁ…」

差し出された手を掴んだリックだったが、起き上がるより前に両者の手の握り方が、恋人同士のするソレへと形をスライドするように変えられてリックは驚きに表情が歪む。
妖艶な笑みを浮かべると共に笑う女性。
女性と繋がっている手からまるで生きる気力を吸われているような感覚に襲われる。
リックからすれば、その女性の表情だけで恐怖に畏縮するだろう。
きっと今頃は彼女の喉を突く程に成長していた愚息もションボリしている事だろう。

「ねぇねぇ……名前……教えて…?」

「えっ?り、リック…だけど…」

いくらか滑舌の良くなった彼女に名前を聞かれて、素直に答えてしまう。
まぁ、リック自身即座に偽名が思いつく程頭が回る訳でもなければ、偽名を彼女に対して使おうとも思わなかった訳だが。
それくらい、リックは目の前の女性に対して警戒心を抱いては居なかったのである。

「私はエリン……えへへぇ……これで…れっきとした…夫婦、だねぇ♪」

「えっ?………えぇえぇっ?!?!」

驚くのも無理はない。
エリンと名乗る女性が言うには、もう夫婦になってしまったらしい。
そんな事をした覚えなど無いのだが、もしかすると、手を繋いだ時点でそう認識されたのかも知れない。

「えへへぇ……あ・な・たぁ♪」

「ちょ、ちょっとまっ……つ、つよいぃ…」

手を振りほどこうとしても、抱きしめられた腕から逃れようとしても、全く動かない。
まるで力などありそうにない見た目に反して、その腕力は相当なようである。
リックもそこそこ力はあるはずなのに、全く離せそうにない。

「うぐぐ……」

「……っ!やっぱりぃ、夫婦になったらぁ、やる事…あるよねぇ…」

と言いつつ、顔を近づけてくるエリン。
何をされるかを悟ったリックが慌てて顔を逸らすがすぐにエリンが手を解くと顔を正面に向き直させた。
ゆっくりと、まるでキスするまでの間も楽しむようにエリンは近づいていく。
やがてその時は訪れた。

「んむっ……んんん〜〜っ?!」

「んっ……れるれるじゅるるるるるっ!!」

二人がキスを交わし、エリンの舌がリックの唇を割いて奥へ侵入していく。
あっと言う間にリックの舌を絡め取り、自分の口の中へと巻き上げる。
じゅるじゅると啜るような音を立てながら、リックの口の中をエリンの舌が蹂躙していく。
それを、リックはただただ受け入れる事しか出来なかった。

「んっ……んぇ……ぷぁ……あぁ……あはぁ…」

「んんんっ!じゅるるっ…ぷぁっ!……えへへぇ…」

やっと離す頃には、リックもエリンも、キスの余韻と刺激に頭の中がトロトロになっていた。
身体中もすっかり弛緩してしまい、もうエリンから逃げようとする気持ちすら起きない。

「ほぉら……これでぇ……裸なのぉ…」

「あぅぅ……ぐっ…」

「ひゃぅんっ!?」

気が付けば服も全て脱がされて全裸になっていた。
日に焼かれて褐色になっていたリックの肌が露わになるや否や、エリンは肌に舌を這わせる。
その倒錯的な快感に悶えたリックが、エリンの肌を触った途端にエリンの様子が急変する。

「あっ……はぅぅ……うぅぅ…」

「っと……ごめん……痛かった…?」

自身を抱えるように腕を回したエリンが、リックへ倒れ込む。
全身が震え、息も荒く顔も紅潮している。
そんな状態になっているのを見て、見捨てて逃げられるほど体力も無ければリック自身が許さない。

「ち…ちが………もうだめぇぇ!」

「えっ…あだっ!…な、何を……えっ…」

どうにか介抱してやろうとその場を動こうとしたリックだったが、それは真逆の方へ動き、押し倒される形となった。
リックが倒れ込んだ上にエリンが圧し掛かると、股間の包帯が自然にスルスルと解けて行く。
そのまま解けた包帯の束の中へと、リックの腰が飲み込まれていくのを、ただただ見ているしかない。

「もうっ……がまん……できないのぉぉ……んぅっ!」

「が、我慢ってそれ…あ……あぁぁ…」

気が付けば、両者は肉体的に繋がる結果となっていた。
あっと言う間にエリンの膣肉が、リックの中途半端な状態だったモノを元気づけようと揉んでいく。
その気持ちよさに、リックのモノはあっと言う間に肥大化して彼女の膣内を押し上げて行く。

「はぁぁ……きた…きた…きたのぉぉ…」

「うあぁぁ……な……なにこれぇぇぇ…」

リックとて童貞という訳ではない。
住んでいた場所も治安も稼ぎも悪く、自身の童貞を見知らぬ女性へ捧げて金にしていた。
リックの住んでいた地域ではさほど珍しくもない。
『初めて』を売り物にする事も可能な地区である。
処女を、童貞を散らして初めて一人前の大人と認めてもらえるような場所に彼は住んでいた。

「もうやだぁ……もう離さないぃ……ずっと一緒ぉ…」

「あぁぁあぁ……え、エリン……あっ……うあぁぁぁぁ…」

初めてではないリックだからこそ、エリンの女性器の不自然さが理解できたとも言えるだろうか。
腐っているとは言わないが、まるで別の生き物であるように肉の一つ一つがバラバラにモノを攻め立てている。
幾重にも重なった層で出来ているような、そんな快感がリックの背筋を逆撫でるように。
人間の女性ならばまず味わえないであろう感覚に、リックも次第に溺れて行くようにエリンを求める。
気が付けば倒れてきたエリンを、しっかりと腕で抱きしめる自分が居た事に、リックは驚いていた。

「あんっ……あぁぁ……ね、ねぇ……リック…って…よんでも……いぃ…?」

「あぁ……エリン……いいよぉ……い…いぃ……うあぁぁぁ…」

ただ繋がっているだけで、動いている訳ではない。
それだけなのに、二人が感じている快感は相当な物になっていた。
気持ちよさに心も体も壊れてしまいそうな感覚に見舞われながら、エリンはリックを、リックはエリンを愛おしく思うようになっていく。

「それじゃあ……んぅっ…動くね……リッ……リックぅぅぅ!!」

「ああぁぁっ!だ…だめだ……エリン………で…でるうぅぅぅぅっ!?!!」

少し腰を上下させ始めただけで、快感に耐え切れずにリックはエリンの中へと盛大に精をぶちまけていた。
今まで感じた事もないような強烈な射精感に、リックは気が狂いそうになる程の快感に包まれる。
それらを受け止めるエリンは、待っていたかのようにリックからの迸りの限りを全て飲み込んで行く。
射精が終わる頃には、リックもエリンもグッタリとその場に倒れ込んでいた。

「はぁ……はぁ……え…エリン…」

「はぅぁ……んぅっ……リックぅ……私ぃ…まだ…イッてないよぉ…?」

「はぁ…はぁ……えっ……うあぁぁあぁぁっ?!?!」

不意に起き上がったエリンが、リックにそう告げると二人の繋がりを抜く事もなくもう一度腰を振り始めた。
ただし、今度はリックの事など考慮してもいない、自分が気持ちよくなる為だけの強烈な腰振り。
二人の繋がりから白く濁ったモノが垂れてこようがお構いなしに腰を強く、ただ強く降り続ける。
厭らしい音がどことも知れぬ空間の中を満たしていくが構わない。
もっともっとと疼き、精を満たそうと動く彼女自身の本能が、リックを狂わせ自分も狂う。
気持ちよさを求める先には、狂乱に満ちた絶頂が待ち構えている事だろう。
そこを目指して、エリンはリックが何度果てようが、何度エリンの膣奥へ精を吐き散らそうが構わず腰を振り続ける。

「あぁあっ!!あはあああぁっ!!もうっ…もうすこしいぃぃ!!!」

「あがっ……え…りん……うがぁぁあぁぁぁ……やめっ……じぬぅ…」

何度も、それこそ無駄だと理解していても、快感に身体が押し負けてエリンの中へ次々に精を流し込む。
ドクドクと、音が伝わってきそうな程に激しく身体を震わせる両者を、最早止められるのは時間だけだった。

――――――――――――――――――――――

「……で…」

「えへへぇ……リック〜……らぁぶらぶなのぉ…」

あれから暫くして、この辺り一帯は砂漠地帯に突然発生した明緑魔界によって『魔界領シャングリラ区』として成立した。
その陰の功労者が身近な、というかアテンであると知ったのは、リックが彼と妻のファラオの結婚式に招待されてからである。

「今日はぁ〜……じゃじゃ〜ん♪」

「まさか、こんな事になるなんてなぁ…」

現在リックは、ファラオを始めアヌビスらの許可を得て昔住んでいた家を売り払い、このシャングリラ内で住むようになっていた。
リックの精液があれば特にこれといって食事が必要ではないエリンと違い、リックは食事が必要である。
という訳で、今日もエリンが食材を採ってきてくれる訳だが…

「こんなの採れたんだぁ…ねぇねぇ…すごいぃ…?」

「んんんぅぅっ?!?!んんぅ〜〜〜っ!!」

「あぁ……うん、凄いぞエリン……でも、食べられないから帰そうな…?」

さっきから巨大な草の葉が被せられていたことから大量に採ってきたか大物を採ってきたかの二択しか無かった訳で。
前者だと、あまりにやり過ぎるとアヌビスの方から注意が来るし、前者はないだろうと思う。
消去法で後者となったが、多分これで当たりなんだろう。
なんか微妙に震えているし。
なんて思ってたらエリンが草の葉をバサァッと引っぺがす。
中に居たのは、渦巻き状に締め上げられたサンドウォームだった。
どうやら助けを求めているようで、疑似餌となる人間部分がダランッと本体から内臓でも吐きだすかのようにだらしなく垂れている。
ただ、こっちも口や腕を縄で縛って居たりして、容赦の無さが伺える。

「リック〜!今日は大物捌いて料理してくれる…って…」

「あぁ、アテンさん」

「妻に判断を任せたのが間違いでした…可哀そうに…」

「ルネリスさんも」

どうやら、アヌビスのフルールさんに検閲を任せたのが色々と間違っていたようです。
きっとエリンに怪力の付与を授けて漁へ行かせたのもフルールさんの仕業なのでしょう。
今度会う事があったら、説教の一つや二つでもしてやらねば。
と、そんな事を考えている間にサンドウォームさんには拘束を解いて、街中で穴を掘らない事を条件に解放してやる事とした。
どうやら相当に臆病で腰が低いようで、姿が見えなくなるまでずっと疑似餌部分がペコペコと頭を下げていた。
悪い事をしたのはこちらだと言うのに。

「あぁ〜…せっかくとったのにぃ…」

「エリン……このっ!お仕置きだっ!」

「んひぃ?!らめっ!それ…いっくぅぅぅぅぅ!!!」

「あぁあ〜……まぁたおっぱじめて……っ?!アイツの気配ッ?!……お、俺もう帰るわぁ…」

「……ですね、私ももう帰りますか…夫婦水入らず、というやつです…」

そう言ってそそくさと帰ってしまう二人だが、リックがお仕置きを辞める事は無い。
肌に触れるか触れないかくらいの手加減で彼女の身体全体をくすぐっていく。
露出した肌部分に触れる度、エリンは身体をビクビクと震わせながら果てていた。
何度も達して、気が付けばこの前ドロドロだったからと新調してもらった包帯がもうビショビショだ。

「やらぁ……りっくぅ…はげ…しぃよぉぉぉおぉぉ!!!」

「あ〜あ〜、こんなに潮吹いちゃって……後が大変だなぁ…」

「あぁぁ……ひどおぉい…っ!?ひゃ!らめぇぇ…」

今となっては、幸せいっぱいの夫婦がここに居るのであった。

おしまい
15/10/11 18:18更新 / 兎と兎

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