読切小説
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俎板の上の恋
 海中、浅瀬に作られた人魚による人魚たちの人魚の棲む国家があった。
 これは、人を愛し海を愛し、何よりも歌を愛するその国に住む、一人の人魚の物語。

「……んっ! は…あはっ…」

「ふっ…ふっ…い、いくっ!」

 ここは町はずれのサンゴ礁。
 サンゴ礁がまるで森のように立ち並ぶ姿はきっと真珠のような美しさを放っているでしょう。
 そんな物陰で愛し合う人魚と人間が、今まさに愛し合っておりました。

「きてっ! どくどくってまただしてぇ!」

「うっ…けど、そんな事したら…」

「いいからぁ! バレたりしないって! アイドル候補生続けていくし…だからぁ!」

「け…けど……うあぁぁもう無理だぁぁ!!」

 アイドル…ああ、何という事でしょう。
 この国においてアイドルの存在は国の宝のようなもの。
 誰の物でもなく全ての人たちの憧れたるアイドルの卵、それがアイドル候補生。
 そんな彼女が、サンゴ礁にもたれかかって彼氏のモノを受け入れて、ましてやその長い魚の身体をラミア種がやっているように巻き付けて彼を縛り付けてまで愛するなんて。
 あれだけ柔軟な体をしているという事は、彼女の身体はタチウオか何かなんでしょうか。

「あっ……んはぁぁ… あっついのきてる…きてるよぉ!」

「やば…やばい… 吸い取られてヤバい…」

「ねえねえ、まだ時間余裕あるし、もう一回シよ?」

「え、ちょ…今イッたとこ…あひぃ!」

 どうやらまだまだ元気なようで。
 若さって時折、羨ましさすら感じちゃいますよね。

 あ、私が誰か、ですか?


「……んぅっ……ふぅ、ごちそうさまでした…」

 人気の無いサンゴ礁で自分を慰めていたらいきなりラブラブそうなカップルが入り込んでくるんです、覗かない訳がないじゃないですか。
 そのまま一部始終をバッチリと覗きあげてスッキリするまでが私のお仕事なのですから。
 恋愛研究家、愛の伝道師 ラクス・コーラルとは私の事です。

「あの子、はやく気付いてあげられるといいけれど…」

 きっとあの彼氏の方、まだこちらへ来て日が浅いかインキュバスとなって日が浅いのでしょう。
 魔物娘の人間とは全く違った搾り取り方に身体が付いて行っていないようでした。
 私の方も、旦那様と出会って最初の一発目はそれはもうえげつない疲弊っぷりでしたから。

 あら嫌だ、一発目だなんて下品でしたね。

 彼女は私のような愚かな過ちをしないよう、ここで密かにお祈りしておくとしましょう。

「…さてと、そろそろ帰らなきゃ」

 愛する彼の待つ我が家へ。
 世界へ飛び立つ為に日々のレッスンを頑張るアイドルたちを教える立場の彼に、帰って来たのをおかえりなさいと迎える為に。
 女の子たちの匂いがベッタリなのはもう慣れました。
 アイドルのたまご達を鍛え上げ、世界へ送り出していくよう鍛えるのが彼の仕事なんですから。
 浮気とかは疑っていません。
 だって、あの人は私が居ないとダメなんですから。


「ただいまー、さって夕飯の準備しな…きゃっ?!」

 あっと言う間に帰宅してさあ夕飯の準備だと思ったところで手を掴まれる。
 一体誰が手を掴んだと言うのか。
 振り返ればその答えはあっと言う間に視界に入り込んできた。

「あなたっ!」

「……」

 愛しのマイダーリン、どうしてこんなに早くに家へ?
 そう聞く暇もなく、私は唇を奪われていた。
 こんなおかえりのキスの仕方もあるなんて…また一つ学んでしまいました。

「んっ……んぅ…」

「……」

 お互いに待ち望んでいたような、最高に濃くて美味な彼のキス。
 舌を絡めあってお互いの境界線があいまいになってしまいそう程の熱い口づけに、今にもとろけてしまいそう。

「ぷはっ… どうしたの、いきなり…」

「……喋らないで…」

 とろけそうになっていた頭の中に、彼の言葉は水よりもずっと侵透しやすかった事でしょう。
 耳元で囁くような甘い声と一緒になんてなってしまえば猶更です。

「…?」

「……いい子…」

 とりあえず彼の言う通り、口を閉じてみたらそんな子供をあやすような褒め言葉と一緒に頭を撫でられて…
 尾びれと尻びれがビクンと跳ねて背筋がすごくゾクッとしちゃいます。
 甘く蕩けるようなその声音には、きっと私にしか効かない魔力が込められているのでしょう。

「……動いちゃ…ダメだよ…?」

「…っ?!」

 あぁ、言い忘れていました。
 彼の名前はノウト、ノウト・コーラル。
 見ての通り、ちょっと口数が少なくてたどたどしい男の子です。
 まぁ、そういう所もぜーんぶ含めて愛しているんですけどね。
 因みに背格好は男性にしてはちょっと低めですがこれでも30歳、立派な大人です。

「……布団、いこう…」

 そう言ってノウトは私をお姫様抱っこして寝室へ。
 いいですね、こういう新婚さんみたいな事しちゃうのもたまには。
 愛らしくて愛おしくて愛でたくて、それで襲っちゃったりした新婚の頃の事なんて水に流しちゃいましょう。

「…動かないで…ね?」

 動きませんとも。
 他でも無いアナタの言葉を、無視するわけがないのです。
 アナタを愛する私の心はどれだけの時を過ごそうが不変、変わる事はないのですから。

「………」

「っ?!」

 布団に寝かせられたかと思えば、そこに置いてあった8の字型のサンゴを手錠のように私の手に通してしまう。
 ああ、なんて事でしょう。
 声に従っている内に捕えられてしまうだなんて。
 まぁ後ろ手ではなく胸の前でお祈りをするような形で拘束されたのは彼なりの優しさなのでしょう。

「……」

 横にされて身体から尾ひれまでを一直線になるように伸ばされてしまいました。
 なんでしょう、整体の練習でもするんでしょうか。
 今まで何度か練習台になった事があるし、そうなのかもと頭の中では思います。
 けれど、わざわざ声を出させないようにする事や手錠を掛ける事に意味があるんでしょうか。

「……っ!」

「んひっ!」

 私の身体をじっと見つめてきたかと思えば、いきなりおへそに吸い付いてくるなんて卑怯です。
 びっくりして動いちゃったし声も出ちゃったじゃないですか。

「…動いちゃダメ…それと声も出さないで…」

「…っ〜〜!」

 何か一つでも言い返してやりたい所ですが、彼の言葉を裏切るような真似はもっとしたくありません。
 ここは身体を預け、彼の好きなようにされていきましょう。
 動きそうになっても声が出そうになっても我慢するのです。
 まな板の上の鯉、なんてよく言ったものですね。

「あむっ……ちゅるるっ…」

「んぅ!」

 またおへそに吸い付いたかと思えば、今度はゆっくり下へ場所を移して行って…
 小さなウミウシでも這っているような感触は、私の肌を敏感にさせるには十分すぎる刺激を与えてくれました。
 おかげでもう私のアソコはびちょ濡れです。大洪水です。ここ水の中ですけど!

「…んっ…んっ……はむっ…」

「んくひぃ!」

 おへそからお腹を伝って下へ降りて行き、果ては肌と鱗の境目、言ってしまえばオマ…女の子の大事な部分ですね?
 そんな場所にまで届いてしまいました。
 シたいならシたいと言えばいいのに、シャイなんですから。ああ可愛らしい。

「……ここ…?」

「ふー…ふー…ふ…んぅぅ!!」

 取ってきたお魚を下拵えするように正確かつ慣れた手つきでスッと指を捻じ込まれてしまう。
 私の膣の中で彼の指があっちだこっちだと突き回して暴れているのがダイレクトに伝わって来て…
 もう頭の中までぐちゃぐちゃに掻き回されてるんじゃないかってくらいの刺激ですよねコレ。

「……ん、分かった…」

「っ?! っ〜〜〜?!!?」

 水の中にいたって聞こえてくるくらい激しくクチュクチュ音を立てているのはどこの誰でしょう。
 私です。
 食べやすいようお魚を切り分けて行く前に、その中身を綺麗に掻き出すような手つきで彼の指は私の中身を掻き回してくるんです。
 きっとこのまま、私は彼に食べられてしまうんでしょうか。
 かつて私が、彼が苦しんでいるのも構わず舞い上がってしまい、犯すように腰を振っていたあの頃のように。
 今度は彼の元気になったアレが私の中をぐちゅぐちゅになるまで蹂躙してくるんでしょうか。

 そう考えただけで、ド派手にイッてしまいました。

「…っはぁ…はぁ…」

「……お疲れ様…もう動いていいし喋っていいよ…」

 やっとお許しが出たのはいいけれど、今の私は満身創痍。
 動く余裕もなければ喋る余裕もありません。
 暫くは息が上がっていたのを落ち着けて、やっと話が出来るくらいになるまで待ってくれたノウトには感謝しないといけませんね。
 多分彼の息子は元気にビクンビクン跳ね回っていたでしょうに。

「んぅ…アナタ、どうしてこんな事を…?」

「……おまじない…」

 ちょっと言い辛そうにしている顔もまた可愛くて悶絶しちゃいそう。
 だけどここは抑えなくては。

「……レッスンの休憩中に…トレーナーの人が…「やってみなさい」って…」

 オススメされたのを実践した、と。
 しかも聞いて行けばなんですかとツッコミを入れたくなる事ばかり。

 家から帰って最初の絶頂まで声を我慢したら卵が出やすい?
 無抵抗の方がもっと成功率が高くなる?
 元気な子を持つ人魚たちはみんな実践してるから?

 そういう影響されやすい所もまた可愛くって…
 あぁ、もし許されるなら今すぐにでも彼と水棲哺乳類のような濃厚で激しいセックスをしたい…

「…それで…その……赤ちゃん…欲しいなって…思って…」

「っ?!?!」

 恥ずかしそうに俯いて顔を逸らす彼の姿、きっと生涯ずっと私の脳内に焼き付いて離れない事でしょう。
 忘れるもんですか、こんなにも羞恥に悶え顔を赤く染める彼の事を。

 そして思い知らせてあげるのです。
 どっちがまな板の上に乗せられていたのかを。
 …あ、逆襲したいとかそう言う訳じゃないですよ?
 自分に課した戒めなんて脱ぎ捨てて、目の前の死ぬほど愛してしまっている旦那様を……食べてしまいたい!

「もうダメ、限界ですっ!」

「…むぐっ! …っ!…〜!」

 モジモジと恥ずかしそうにしている彼を抱き寄せて、私の腕の中へと引き寄せる。
 自慢じゃないですけど、大きめな胸に顔を埋めた直後の事だったでしょうか。
 ノウトの身体がブルッと震えたかと思えば、私達を包んだのは、何物にも代えがたい甘く苦く辛く酸っぱい匂い。

「…あら?これは…」

「ひぅっ!……ご、ごめんなさい…」

 まさか抱きつかれて胸に顔を突っ込んだだけで射精してしまうだなんて。
 ノウトが女の子みたいな悲鳴を上げた原因は、果たして何なのか。
 ズボン越しに私の手が触れた事が原因なのか、彼の申し訳なさそうに怯える態度を見て、心のリミッターが悲鳴を上げてブチ壊れている私の顔を見てなのか。
 正直な所、私自身いま自分がどんな顔をしているのか、全く想像もできません。
 一つ言えるとするなら、少なくとも真顔ではないという事でしょうか。
 よくて我が子を愛する母親のような慈悲に満ちた表情、悪くて獲物を捕え舌を這わせる女豹のような表情、なのかもしれません。

「ノウト…まだ…行けますか?」

「っ! ……うん…」

 罰を許された子供のようにパァッと表情が明るくなっていく彼を見ていると、それだけで私の子宮が彼を求めてグングン降りてきているのが分かります。
 今すぐにでも彼のモノを抉るように私のアソコへブチ込んでグチュグチュに犯しまくってあげたい。
 もっと言えばノウトの特濃精液を子宮一杯になるまで流し込んで欲しい。

「んしょ…」

「……取るよ…」

 私がノウトのズボンを脱がし、ノウトは私の下着の紐を解く。
 今まで何度もやって来ているからこそ、こんなにも手早く準備を済ませられるのです。
 伊達や酔狂で夫婦やってるんじゃないんですよ!

「ほぉら…」

「………ふかふか…」

 胸をちょっと持ち上げて寄せて揺らす。
 それだけで、彼はいつもこうして夢中になって手を伸ばしてくる。
 柔らかい弾力に指を沈み込ませて、その感触で気持ち良くなって。
 すっかり元気になった彼のモノが今にも射精しそうなくらいビクンビクンと脈打ち始めた所で私は…

「…えいっ!」

「うぅっ! ……っはぁ…はぁ…」

 亀頭を、まるで乳首を弄るかのようにコリコリッと抓む。
 たったそれだけの刺激でも、彼が果てるには十分すぎたらしい。
 ドクドクと脈打って私の指を押し退けて精液が吐き出されていく。
 ノウトにはちょっと可哀そうかもしれないけれど、ザーメンシャワーの心地良さはいつ浴びても最高です。

「あぁ…今日もこんなにどろどろで…海水に混ざってしまうのがもったいないですね」

「はぁ…はぁ……らく…しゅ…」

 もう既に満身創痍といった様子。
 でも私は知っています。
 この疲弊っぷりは私を誘う為の演技。本当は体力もまだまだ余裕があると言う事を。

「まだまだ行きますよ? ほぉら、しーこしーこ…」

「あっ! はぅぁ!……や、やめっ…ふあぁ!!」

 出したばかりなのに、縮む事無く大きいまま揺れるおち……男性器。
 ここまで来て放置するなんて酷な事はしませんとも。
 苦しんで助けを求める夫の泣き顔を愛でるのもまたいい物かも知れませんけど、私に彼を虐めるような趣味はないんです。
 ほら、こんなにも苦しそうに膨らませて可哀そうに。私がシコシコして慰めてあげますからね。

「ふふっ…この体勢、なんだか…あんっ! 赤ちゃんプレイそのままですね」

「……んーっ……ちゅっ…ちゅるっ…っ!」

 おっぱいにしゃぶりつく赤ちゃんみたいで可愛さMAX!
 もうこのままノウトが赤ちゃんって事でいいんじゃないでしょうか…いいやいけない、それだとノウトのパパが居ないじゃないですか。
 シングルマザーになる気なんて毛頭ないですから、私!

「……ちゅぱっ…ママ…」

「っ?!!?」

 私の赤ちゃん、というにはちょっと大きすぎますけど、こんなに可愛い子供を愛でない母親が居るでしょうか?いや、居ない。
 歯を立てず食むように乳首に吸い付いてきて、母乳を搾り取ろうとするその動きは赤ちゃんもするような仕草。
 ちょっとゴリ押し感が否めない所ですけど、ここに居るのは私の赤ちゃんだと言う事にしておきましょう。

 けれど、ちょっと聞きたい事も出来ました。

「んしょっ……さぁ、ノウト? 隠している事を言って貰えますか…?」

「っ!……ま、まま…」

「誤魔化すんですか?だったら …お仕置きしちゃいましょうか」

 何かを隠そうとしているのは、彼の表情を見ていればすぐに分かりました。
 なんせ視線を逸らしてこちらを向こうとしないんですから。
 叱られる事を悟った幼子ですかと。
 そんな子には、この指でお仕置きしてしまいましょう。

「…っ?! や、ま…まって…ラクスッ!」

「まずは一回です。 っせい!」

 さっきまでシコシコしていた手をそのままゆっくりと動かしていって、忍者が印を結ぶように人差し指と中指に思いっきり力を込める。
 腫れ上がった愚息から滑り落ち、フクロを越えて辿り着くのはお尻の穴で。
 そこまで来て何をされるのか理解したノウトでしたけど、やめてと懇願する彼の顔に免じて…なんて甘い事はしません。
 一気に指の長さが許す限り奥まで一思いにぐちゅりとお尻の穴の中へ私の指を突き入れました。

「っ?! …んほぉ!」

「あっ、またイッたんですね?」

 やめてと言いたそうに足で私の腕を挟んでくるのも、きっと彼の意思というよりは条件反射的な物なんでしょう。
 かくいう本人の顔はと言えば、いきなりの刺激に舌を出して目が虚ろになる程に悶絶しているご様子。
 背筋とおちんぽを一緒にビクンビクンと反らせて、その度に精液がびゅっびゅと漏れ出てきました。
 海に溶けて行くのはもったいないですけれど、薄く広がった彼の精液を身体全体で浴びるように感じられるのはなんとも心地の良いものです。
 ぎゅっぎゅと指を奥へ押し込む度に彼の身体が大きく揺れて精液が飛び出してきて、まるでポンプかなにかのよう。
 けれど、あんまり無駄撃ちさせてしまうのも勿体ないしですし何より可哀そうですよね。

「んしょっと…」

「んひっ! …はぁ…はぁ…」

 指を引っこ抜くだけでもまたイッちゃったみたいですね。
 すっかり疲れ果てて、肩で息をしているようですが、こんなのまだまだ準備運動みたいな物ですよ?
 これからが本番…の前にちゃんとお話ししてもらいましょうか。

「さて、もうそろそろお話してくれますか? どうしていきなりこんな積極的に?」

「はぁ…はぁ…っ……えっと…実は…」


 そこから彼が話してくれたのは、なんとも言えないアイドル界の闇のような何かでした。
 物語の冒頭でセックスしてた人魚を覚えていますか?
 あの娘、なんとノウトの受け持つクラスの子だったらしいのです。
 いつもはちょっとした魔力の残滓を引っ掛けてくるようなくらいだった彼女が、昼休みから遅れて戻ってきたらむせ返るような男の精の匂いを引っ提げて帰って来てクラス中大パニックになったんだとか。あの時、私が止めていればその混乱、避けられていたのでしょうか。
 さておき、それが原因でレッスンはブチ壊され中止になり、代わりに先生たちの説教が行われ他の生徒はこうならないよう注意を受けその日は家へ帰らされる事になったそうで。
 元から素行の良くない生徒だったらしいのですが、話が進むにつれ「本当はノウト先生も狙ってた」なんて話が出てきたそうで彼も帰らさせられたんだとか。私から彼を奪おうなんて画策するとは、今度会ったら命はありませんね、あのタチウオ小娘。
 …コホン…それでノウトはその女生徒がぶら提げてきた「ヤッてきました」と自己主張しているかのような卑猥な匂いにあてられて家に帰ってきたそうです。
 そのすぐ後に私が帰って来て、心の抑えが効かずに前聞いていた「子宝のおまじない」を思い出して実践したとの事。

「ご……ごめん…なさい…んむぅ?!」

「ん〜!なーんて可愛いんですか、アナタはぁもぉー!」

 可愛いから、愛しいから、愛しているから、私の胸の中へ顔を突っ込んでくださいな。
 イエスもノーも聞きません。YES一択です。この中へ捻じ込みます。
 私には分かっています。
 アナタがこうするだけでおちんちんをビンビンに勃起させている事を。

「ぷはっ! …はぁ…はぁ…」

「ふふっ…もう我慢の限界みたいですね? ほぉら、見ててください?」

 顔を真っ赤にして息を荒げて、これじゃあまるで発情期のオスみたい。
 けれど、私が待っていたのはその表情です。
 私を食わんとばかりに元気になったそれこそが、私の求めていたアナタ。
 さぁ、手で開いてあげたおまんこにアナタのおちんぽを挿入するのです。

「はぁ…はぁ…っ…らく…しゅぅ!」

「んぅ! そう…そう…ゆっくりそのまま…」

 ゆっくりと挿入って来た彼のモノを、私の膣肉が四方八方から取り囲むように握り込む。
 そうするだけであっと言う間に彼のおちんちんはビクンビクンと脈打ち始めました。
 でもそこはノウトだって男の子、挿入しただけで果てるなんて男の恥だと思ったのでしょうか、気合いを入れて踏み止まってくれました。
 流石は私の旦那様。そうでなくては。

「……っ …入った…」

「はい、ちゃーんと私の中に入って来てますよ?」

 私には人間の足にあたる部分は無いですから、ちょっと分かりにくいかと思いますので体勢の解説をしましょうか。
 まず、私はベッドに仰向きに寝転がっています。勿論、おまんこは彼へ向けた状態です。
 そこへ彼がおちんぽを入れるべく私の魚身に跨るように腰を下ろして、そこから寝転がる私を押さえつけるように上から覆いかぶさって腰を突き入れている、といった感じです。
 身長差もあってか、覆いかぶさると言うよりは上に乗って来てるような感じですが言うときっと彼は怒るか泣くかしちゃうでしょうからやめておきましょう。

「……きゅんきゅんって…もう…でるっ…!」

「え、もうですかっ?!」

 聞くが早いか、彼は腰を一番奥まで入れきる前に一発出しちゃったみたいです。
 どくんどくんと流し込まれるのは嬉しいんですが、膣を満たしこそしても子宮には届いていないようですね。
 まったく満足できていない私が言うのです、間違いありません。

「だ〜……めっ! もっとシましょう!」

「はぅあ! …い、今デた…あぁぁ!!」

 最初は彼が珍しく私を下にして腰を振ってくれるかと思いましたが、どうやらもう今日の所は期待出来無さそうですね。
 なのでいっそ今度は私が上になって腰を振ってあげましょう。
 体勢をまるっきり逆転させて、今度は私が上に乗って腰を振る番です。

「あらあら、三擦り半で即復活。 まだまだ元気はあるみたいですねぇ?」

「んひっ! ……ち、乳首やめ…んはぁ!」

 背筋がゾクゾクするでしょう?
 両側の乳首を一緒に抓んでコリコリとすり潰すようにこねてこねて…
 おかげでおちんぽもすぐ復活してくれたようで何よりです。

「それじゃあ、また動いてあげますからね」

「ひゃ! …ら…らくす……顔、怖い…」

 怖い、なんて言いつつその表情はなんですか。
 快感に溺れて今にもイッちゃいそうな程に気持ちいいと書いてあるようなものじゃないですか。
 トロットロになるまで蕩けきった表情を向けられて怖いと言われても、説得力は全くありませんね。

「うふふふふ……れろっ…」

「んいぃ!!」

 あぁ、首筋を舐めただけで身体をブルリと振るわせてあっと言う間に射精してしまうなんて。
 この射精も、ちょっとは子宮に届いたかもしれませんが、まだまだです。
 赤ちゃんが欲しいなんて言ってくれたんですから、確実に妊娠できるまで出しまくって貰うとしましょう。
 残念ながら届かなかった精液たちは、零れていっても私と彼の力となってくれる事でしょうから。
 反永久機関、という訳ではないですが、まだまだ頑張ってもらいますよ?

「えいっ…えいっ……最初はゆっくり…」

「ふー…ふー……さ、さいしょ…?」

 今度は緩急のお勉強です。
 何事も最初からトップスピードなんて愛の欠片もありません。
 それじゃあ機械で絞り出すのと何も変わらないではないですか。
 恋愛の研究家たるもの、夫を全身全霊で愛せずして何が研究家ですか。

「んうっ…そぉれ…だーんだーん、はやくなーって…いっきまっすよー?」

「あっ……あぅ…ラクス…すごいぃ…」

 最初はゆっくりと、そしてだんだん早く腰を振るようにしていって、たまにまた速度を落としたかと思えばまた早くしていってを何回か繰り返す。
 それはきっとノウトにとっては頭の中が蕩けてしまいそうな刺激だった事でしょう。
 腰を深くまで落とす度に亀頭は私の子宮に熱いキスをしてくれるし、呼吸をする度にモノが揺れて思わぬ角度からの刺激に私も気持ち良くなっていく。

「んー……それじゃここらで…えいっ!」

「んぃっ!!」

 そろそろ頃合いかなーと思った所で、私は腰を振るのをやめました。
 ちょっと間を置いて余裕が生まれてきた所へ、今度は一番深い所までおちんぽを捻じ込みます。
 ノウトも驚いておちんぽを最大限までビクンと跳ねあげてくれて私もちょっと釣られて身体がビクンとなって…でもなんだか物足りません。
 彼もビクンと震えるだけで射精してくれた訳ではないですし、次のステップですね。

「あ…あぁぁ……うあぁぁぁぁ!!」

「うふふ、どうですか?私の腰遣いは…」

 今度は上下に揺れるばかりではなく、前後左右に彼のモノをこねまわすような腰遣いでクネクネと動き回る。
 どこへどう動かそうが彼のモノは私の子宮の入り口にずっと貼り付けている。射精したらいくらでも子宮の中へぶちまけて貰うためだ。
 腰を捻る度に彼のおちんちんはビクンと震えてどんどん大きくなっていく。
 あまりの快感に我慢できなくなってなのだろうけれど、私を抱き枕のように抱きしめてプルプルと震えているのが死にそうなくらい可愛らしい。

「だめっ…だめっ……らくすっ! だめぇ!」

「いいんですよ?いつでも出して。 ほら、どっぴゅっぴゅー♪」

 あ、どっぴゅっぴゅーのリズムに乗ってちょっと出たみたい。
 でも本格的な射精はまだみたいですね。
 そろそろ次のステップに行きましょうか。

「よくできました。 今度はこう…んぅっ! ですよ?」

「ほぁ! きゅっって…きゅぅぅってぇ!」

 腰をくねくねさせるのと一緒に、膣に力を込めてキュンキュンと彼のおちんぽを締めあげちゃいましょう。
 締めてー、緩めてー、締めてー、ギュッと締めて!

「はっはっはっはっ…」

「っっ?!」

 もう言葉も出ないくらい射精を我慢してるみたいですね。
 少しでも私と一緒に気持ち良くなりたいのと、男として夫として少しでも妻を悦ばせようと頑張るその健気さは私、すっごく自慢したくはあります。
 顔を真っ赤にして、獣みたいに舌を出して息を荒げながら一生懸命に腰を振り上げて頑張る姿は、私の子宮をきゅんきゅんにするには十分すぎるのでした。

「これで…トドメですよ…んっ…一緒に…イキましょ……はぁむ…」

「んぅっ!! ん〜っ!んんん〜〜ぅ!」

 彼の唇へどろどろになった私のお口を重ねてあげれば、彼へのトドメとなりました。
 舌を絡め、唾液を流し込み吸い上げて彼の舌も一緒にもぐもぐしてあげて、きっとそれだけで彼の頭の中はドロドロに解けてしまっていたことでしょう。
 最後に一発、腰を一番奥まで突き上げてくれたのがトドメとなって私も彼と一緒に快楽のドン底へと一気に飛び込んで行きます。

どくどくびゅるると、まるで私の子宮の中すべてを満たしてくれている程に多くの精液をこれでもかと叩きつけてくれていました。
ビクンビクンと震えながら、ちゅぱちゅぱと吸い付く私の子宮口に亀頭を弄ばれながら、くちゅくちゅと混ざり合う互いの舌の感触に溺れながらの射精は彼の心をどこまでも満たしていった事でしょう。
そして私も、彼のイキ顔を目と鼻の先で眺めながら腰を限界まで押し付けて彼の全部を子宮の中へ飲み込む勢いで受け止めて、それと一緒にイクのです。



「はっ…はっ…はっ…」

「お疲れ様でした」

 あれからも何度か彼から精液を搾り取って、もはや彼は絞っても何も出ないボロ雑巾状態になってしまっていました。
 私の方はと言えば、インキュバスである彼をそんなになるまで絞り尽くしたんです、精液だらけでお腹がちょっと膨らんじゃって妊婦さんみたいですね。
 今はと言えば、これ以上のセックスは彼の今後に関わるだろうと言う事で中断して休憩中です。
 ぐったりした彼を膝枕して、優しく頭を撫でてあげている所ですよ。

「結局、またノウトをまな板の上の鯉のような事にしてしまいましたね」

「はっ…はっ……まないたの…?」

「一方的にされるがままになっていた、という事です」

 無抵抗な、とか付くことわざだった気もしますが、私的には私を2,3度イかせる程度は抵抗の内に入らないのです。
 なので今回もまた、彼を一方的に蹂躙し好き勝手苦しめてしまったという結果がある訳で。
 しっかりと心に決めたはずだったのに、それをすぐに捨ててしまうなんて、私はまだまだ修行が足りないようですね。
 ……でも、彼とセックスしたいんですからしょうがないですよ…ね?

「……ううん、気にしてない…」

「…えっ?」

「……ラクスになら……一方的でも…うれしい…から…」

 あ、ダメですねこれは。
 せっかく今日はここまでとついさっき決めた所だというのに、早くもその取決めをブチ壊してしまいそう。
 というよりブチ壊しちゃいますね。
 アナタが悪いんですよ、ノウト。
 そんな、私を悦ばせるような事を無垢な笑みと一緒に向けてくるんですから。
 反則です、反則。 え、私が言うな?だったらどっちも反則ですね。反則と反則をブチ当てましょう、気持ち良くなっちゃうまでずっと。

結局、次の日の朝までずっとセックスし通しだった私達。
ノウトは腰の振り過ぎが祟って腰痛に悩まされお仕事を休まざるを得なくなり、私はと言えば…。

「あら、ごきげんようラクスさん」

「ローズさんもお元気そうで」

 腰痛に苦しむ夫を寝かしつけて、教会へ懺悔に来ていました。
 ここは町はずれの小さな小島の上にある小さな教会。
 普段はあまり人が居ないのですが、最近は聖歌隊というのをここのシスターが考案した事で人が増えてきたんだとか。
 流石は歌を愛する国です。

「ラクスさん、いつもよりツヤツヤしてない?ウロコとかツヤッツヤだし」

「ローズさんも、やけにお肌がつやつやしていませんか?」

「「あっ」」

類は友を呼ぶ。
お互い、旦那様はもっと大事にしてあげなくてはいけませんね。
それではこれにて。
私の思いの丈、聞いてくれてありがとうございました。

おわり
18/10/06 13:02更新 / 兎と兎

■作者メッセージ
深夜テンションの赴くままに筆を全力疾走してしまった…
かなりお久しぶりとなります、この作品。いかがでしたでしょうか。
久しぶりすぎて描写がちょっと不安です。

あとこれ作品内で何回"愛"って言ってるんだろうか…

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