第五話 結婚式の直前に
ギルと共に愛し合ってからかれこれ一週間が経った。
今の私は、されるがままの人形になっている。
それと言うのも…
「アレイスター様? もうちょっと右を向いてください?」
「う、うむ…」
メイドに手伝ってもらい、化粧をしていたのだ。
吸血鬼は鏡に映らない、なんて伝承があるらしいが、一体どこから湧いて出たのやら。
私が吸血鬼であるとメイドたちに明かした際、一番最初に聞かれたのがその話題だったのには驚きだったが、理由を聞いて驚きは呆れに変わる。
「化粧出来ないんじゃないですか?」だと?
私が化粧をしているようにでも見えたと言うのか、あのメイドは…
まぁ今となってはすっかり和解して、メイクの手伝いをしてくれている訳だが。
「も、もう良いか…?」
「あ、動かないでくださいね。メイクがズレてしまいますので」
「うむ…」
どうして私が手伝いまでさせて化粧しているかというと…
「もうそろそろかい?」
「あ、ご主人様。もう少しお時間を戴けませんか?」
「うん、分かった。皆にもそう伝えておくよ」
「ありがとうございます」
ギルディアがメイクルームへ入ってきた。
白いスーツ姿で。
かく言う私も、純白のドレス姿だ。
それが意味する事はと言えば…
「……まさか私が結婚などと…」
吸血鬼が教会にいるという事自体、聞いたことも無い。
もしも来賓として呼んでいる者たちの中に吸血鬼が居たならば、きっと笑いものにされるだろう。
「…あっ! すみません、アレイスター様。メイク道具が足りていなかったので取りに行って参ります。少々お待ちくださいね」
「なっ……行ってしまったか…」
呼び止める暇もなくメイドは部屋を飛び出していってしまった。
これでは部屋に一人ぼっちになってしまうではないか。
それはなんというか…寂しい。
「しかし……綺麗なものだな、化粧というのは…」
改めて、鏡に映る自分の顔をよく見てみる。
元から美女だとピュアには言われていたが、自分ではそこまで自信を持てるほどの物でもなかった。
それがどうだ。
目の前に居るのが本当に自分なのかと疑いたくなるほど綺麗な女性が鏡に映っているではないか。
男性体だった頃は勿論の事、女性となってから化粧などしたことの無かった、というより興味の無かった私にとって、その変貌ぶりは驚愕の一言に尽きるというものだ。
「…へぇ、あの子、かなり綺麗に仕上げてくれてるみたいだね」
「ぎ、ギルディアっ?!」
ついつい愛称ではなく名前で呼んでしまった。
それをよく思わなかったのか、ギルは私の腕を掴んで自分の元へと抱き寄せる。
ダンスを踊っている訳ではないぞ?
「す、すまない…ギル…」
「えっ? どうして謝るのさ?」
そのキョトンとした顔はやめてくれ、私にはかなり効く。
噴き出して笑いそうになるとかそういうのじゃなくて、心がときめいてしまう。
「い、いや…特に意味は…ひゃんっ!」
「あっ…」
クシャッという何かを握る音と共に、胸を揉まれる感覚が背筋を走る。
視線を少し下げてみると確かに、ギルの手は私の胸を揉んでいた。
それも、揉んでいると分かるや否や執拗に揉み始める。
「ぎ、っる…ふぁっ…何をして…」
「……」
まるでオモチャを見つけた子供のように、無心になって私の胸を揉み続ける。
別に胸を揉む事自体は構わないのだが、時と場合を気にして欲しいものだ。
振り払おうにも彼の揉み心地の良さが勝ってしまっている現状では振り解ける物も振り解けない。
結局、彼の思うがままにされ…る訳には行かない。
「やめっ…シワになるぞ…」
「関係ないよ…アリスだってその気だったんじゃないのかい?」
どうにかギルからの解放を試みては見るものの、どうにもならないようだった。
膝が笑っているような状態では、マトモに力を入れる事もできずギルの腕を掴むので精一杯だ。
「め、メイドだってすぐに帰って…ひぅん!」
「大丈夫だって…すぐ終わらせるから…」
「お前は…はぅんっ…」
首筋に口づけされるだけで、痺れるような快感が身体中を駆け巡る。
それは私の専売特許だろうに、あの時の仕返しのつもりか?
もし甘噛みでもしてこようものなら、逆に噛み返していた所だ。
スーツが血で汚れるとか知った事か。
……まぁ、そんな余力が私にあれば、の話だが。
「ほ、ホントにやめ…っ?!」
これはまずい。
廊下の方から誰かが走ってくる音が聞こえるのだ。
音からしてブーツやヒールの類ではない。
それを履いているとすれば、この建物の中ではメイドたちくらいな物だ。
そしてこちらへ走って向かってくるという事は…
「あれ、案外早かったね…」
「早かったね…じゃないだろう!」
こんな事をしている所を見られては、また怒られてしまう。
以前、私たちが初めて交わった時も探しに来た彼女の「どうして教えてくれなかったんですか」と2時間ほど叱られたものだ。
今度は二時間では済まないかもしれない。
そうなってしまっては、式に来てくれている者たちに示しがつかないではないか。
「いいから隠れろ!今すぐにだ!」
「えっと…それじゃここに」
「お、おいっ!?」
何をどうトチ狂ったら私のスカートに隠れようなどと思いつけるのだ。
しかも今から追い出そうにも、足音はもう扉の前でピタリと止まった所ではないか。
「お待たせしましたー! さぁ、アレイスター様! メイクの続きをしますよ?」
「す、すまないな、取りに行かせてしまって」
さてどうしたものか…
動こうにも、足元に居るギルがどうにも邪魔で一歩も歩く事が出来ない。
下手に動いてしまえば、スカートからギルの足が出てきてバレてしまう。
「いえいえ、仕上げが整えられないなんて事、私達メイドにはあってはならない事ですからー!」
「そ、そうk…んひっ!」
いきなり、内腿を触られた感触が背筋にゾクッとした感覚と一緒に襲い掛かる。
ギルがスカートの中でこっそりと触って来ているのだろう。
顔を近づけているのか、息がかかってくすぐったい。
「…? アレイスター様、どうかされましたか?」
「い、いや? なんでもない……一瞬、ハエか何かが通ったような羽音が聞こえてな」
「あー、分かります!いきなり耳元でブーンって来られるとビックリしちゃいますよねー」
どうやらセーフだったようだ。
我ながらかなりそれっぽい作り話をでっち上げられた物だ。
一瞬だけ耳を澄ませて部屋の音を聞いていると、確かに蚊でも入り込んでいるのか微かに羽音が聞こえる。
だが、気取られないように集中を研ぎ澄ませたのが仇となってしまった。
「んぁっ!!」
「あ、アレイスター様っ?!」
ギルの吐息がショーツ越しにかかっただけで、危うくイッてしまいそうだった。
もしあと少しだけでも集中力を高めていればその場で果ててしまっていたかもしれない。
「す、すまん……髪が敏感な所に当たってしまってな…忘れてくれ…」
「あぁ〜…私もたまにありますねー、くすぐったくて声出ちゃうアレですよね?」
「あぁ…」
話を分かってくれるメイドで本当によかった…
なんて思っていたのも束の間。
「そういうかん…じぃぃぃ!!」
「ど、どうしたんですかっ?!」
ギルめ…覚えているがいい…
お前は本当に隠れる気があるのか?
お前が隠れるスペースを作る為に開いている股の間に顔を突っ込んでいるのはまだスペースに余裕が無いから仕方ないとはいえ…
ショーツ越しに私の秘裂にキスをするなどとは。
反射的に閉じた私の脚でプレスされてしまえ!
「な…なんでもない…」
「そんな事言ったって、こんなにも顔が真っ赤…待っていてください! お医者様を呼んできます!」
またしても呼び止める間もなく走り去ってしまった。
健気なのは良い事だが、もう少し落ち着いてほしいものだ。
そして…
「……おい、ギル…」
「ふがふが…っ!」
どうだ、呼ばれたとて返事する事も出来まい。
まぁ、喋られた時点で私の負けなのだと気付くのはこの後すぐだったが。
「ふあぁぁっ!!」
吹きかけられた吐息と動かれた際のくすぐったさは私にとって、耐えられるようなものではなかった。
もしテーブルへ手を掛けていなければ、そのまま前のめりに倒れ込んでしまっていただろう。
「ぷぁ! 全くもう……ふかふかだったよ」
「き、貴様はぁ…」
やっとスカートの中から出て来てくれたはいいものの、どういう事だそれは?
なぜ、私の履いていたショーツをその手に持っている?
「何故かって? そんなの決まってるじゃないか…」
「ひゃんっ! 貴様、何を…や、やめっ…ひぅ…」
スカートを持ち上げて、腰に引っかけるようにして私の下半身が露わになる。
異様に風通しが良くなったように感じるが、やはりショーツを脱がされているようだ。
見られているのと涼しい感覚だけでも身体が震えてしまう程の快感が私を襲う。
「大丈夫、すぐ終わらせるから…」
「そ、そういう問題ではないっ!」
「どうだか。アリスの方は準備万端みたいだけど?」
あっと言う間にズボンを降ろして、ギルのそそり立つモノが姿を現した。
既に臨戦態勢なようで、ビクンビクンと脈打っているのが顔を近づけずとも分かってしまう。
これからあれが私の大事な場所に入ってしまうのだと思うと、思わず涎が出てしまいそうだ。
勿論、下の口から。
「よいしょっと…挿れるよ?」
「ま、まっ…んぅぅぅ!」
クチュクチュといやらしい音を立てながら、私の膣内へギルが入ってくる。
一気に貫くのは以前に体験していたが、ゆっくりと挿入されるのもなかなかにクセになりそうだ。
「はぁ…はぁ…っ…」
「くぅ……う、動くよ?」
「い、今はまd…ひぅん!」
どうして彼はこうもせっかちなのだろうか。
まだ待ってくれと言い切る前にはもう腰を動かされていた。
だが、自分ではなく相手のペースで責められるこの感覚は、私を狂わせてしまうには十分だ。
ズンズンと突き入れられているお返しにキュンキュンとギルのモノを締めつけていると気付いたのは、かなり後になってからだった。
「はっ…あっ…こ…こんなっ…犬っ…みたいな…恰好でぇ…」
「アリス…どうだいっ…気持ち…いいだろぉ?」
結局あのまま、机に掴まっている事も出来ず床に崩れ落ちてしまった。
今となっては四つん這いでギルに犯されているが、ドレスが汚れてしまわないか心配だ。
「そんな…事…あはぁ!…そこっ…やめぇっ…」
「はぁっ…はぁっ……うっ!」
犬のような激しい腰振りをしていたからだろうか?
ギルめ、何も言わずに果ててしまったらしい。
ドクドクと膣内に流し込まれた精液のなんと甘美な事か。
なんて思っていたのも最初の内だけだ。
このままでは折角のドレスが汚れてしまうではないか!
「ご…ごめんよ……すぐに出しちゃった…」
「はぁ…はぁ……それよりも…拭く物だ…」
「えっ?」
「そこらから拭く物を持ってこいと言っているのだ、馬鹿者…」
ドレスのスカートにかかってしまっては、匂いに聡い者にバレてしまうではないか。
特に私の招待した者たちは、そのほとんどが魔物なのだ。
ピュアなどはサキュバスなのだし、あっという間に見破られてしまうだろう。
そして「ご主人様、だいたーん!」とか言われて変なポーズと共に弄られる事になる。
「ごめんなさい…あうっ!」
「き、貴様っ?!」
あぁ、してやられた。
まだギルのモノの中には吐きだせるだけの精子が残っていたらしく、引き抜いた際の刺激でそれがスプレーのように噴き出してしまった。
おかげでスカートの内側はすっかりギルの精液でベトベトだ。
「っっっ〜…」
「え、なにその顔…」
必死にこうならないよう気を配っていたというのに、貴様のせいで「精液臭い結婚式」になってしまうではないか。
ウェディングドレスの替えもなければ着替える時間も無いし、魔法で匂いを消そうにも私はその手の魔法はあいにくの不得手。
こうなってしまっては、もうこの精液臭いドレスのまま本番に臨まなくてはならない。
そうなってしまえば、こんな「泣きたいのと照れてるのが同居したような」顔にもなろうと言う物だ。
全部貴様のせいなのだぞ!
「…ごめん、もう一回いいかな?!」
「貴様…はぅっ!」
まさか出したばかりだというのに、早くも準備が整っているようだ。
今にも射精してしまいそうな程膨らんだ逸物が、またしても私の膣内へ入り込んでくる。
「んにぃぃぃ…」
「はぁ…はぁ……アリスの中…とっても締まって……すぐにでも射精ちゃいそうだ…」
「な…なら……早く終わって…ひんっ!」
まったく、催淫していなくともこれだけ元気とは、ギルには大したものだ。
もしやインキュバスとやらになっているのではなかろうか?
……出来れば、彼は人間のままでいてほしいものだ。
「そうはいかないよ……アリスも…気持ち良くさせなきゃ…ならないからねっ…」
「ギル…貴様というやt…ひぎぃっ! お…おくっ…えぐりゅにゃぁぁぁあ!!」
ギルの逸物が大きい事は知っていたが、こんな芸当が出来ただろうか?
子宮口を、まるで掘削するかのように無理矢理こじ開けてグリグリと抉るように突き入れられる。
肉を抉るようなゴリゴリという音が、骨伝導の要領で耳に直接聞こえているようだ。
まぁ本当に抉られているのかは、透視でもしてみなければ分からないだろうが。
「気持ち良さそうでよか…あうっ!」
「んひぃ! ま…まだ…おおきくなってく…ふあぁああ!!」
一体どこまで肥大化すれば気が済むのやら。
私の膣内を拡張させたいのか、この逸物は。
「アリス…アリスぅ…」
「はぁ…はぁ……っ! それはダメだ!」
ギルが私に覆いかぶさるようにして身体を重ねてくる。
そのままキスを求めてくるのだが、それはいけない。
化粧が崩れてしまうし、なにより口紅も塗ってあるのだ。
「なら、ここは?」
「はぅん!」
奴め、すっかり首筋にキスするのに味を占めたようだ。
私が喘いでしまう程に気持ち良い場所なのだと理解した途端に、擽るようにしながら何度もキスしてくる。
吸い付いている訳ではないのでキスマークとか呼ばれる痣は出来ないが、それにしたってくすぐったい。
「んっ…ぎるっ……ぎるぅ……はぁぁぁ!!」
「ありすっ……気持ちいいよ…ありすぅぅ…」
もうどちらが腰を振っているのかすら曖昧だ。
クチュクチュと粘り気のある音が部屋中に響いているのが、快感でぼんやりとした意識の中でもしっかりと分かる。
たくしあげたスカートはもうすっかりしわくちゃになってしまっているだろう。
これを着たまま式に臨まなくてはいけないのかと思うと残念でならない。
が、今の気持ち良さの前にはもうどうでもよくなってしまいそうだ。
「はぁぁ……お、おくぅぅ……ぐりゅって…えぐってるみたいにぃ…」
「はぁ…はぁ……っと、危ない危ない…」
ギルめ、何を考えているのだ?
一瞬ドクンと脈打つように逸物が震えたのを確かに私は感じた。
それは射精しそうだったという事ではないのか?
だと言うのに奴め、どうして腰の動きを止める?
「はぅ……ぎる…どうした…」
「いや、アリスと一緒にイキたいなと思って…」
「っ!?」
「うぁ! 締まるっ!」
無意識だろうがなんだろうが、そんな言葉を掛けられればキュンと締めたくもなると言う物だ、馬鹿者。
あぁ、そして私はなんて幸せ者なんだろうか。
「っ……どうした…私と共に…んぅっ!…逝くのだろう…?」
「あぁぁっ!…も、もちろんっ…そのつもり…うぅぅっ…」
限界を超えて膨張している逸物が、今にも精を吐き出してしまおうと震えているのが膣越しにでも分かる。
震える刺激や膣内を抉るような彼の腰の動き、首筋に掛かる彼の吐息にグッと堪える度に聞こえてくる呻き声。
そのどれもが、私を絶頂へと追いやって行く。
「はぁ…はぁっ! …こ、こいっ…私もっ…もうっ…イキそうだぁ…ギルぅ!」
「はぅぁ! あ、アリス…アリス……いくよ、このまま…」
何度も一番奥を突き上げられ、何度も彼の逸物を私の愛液で満たし、何度もイッてしまいそうになるのを堪えて彼を弄る。
それらの快感は、私を絶頂へと押し上げるには十分すぎた。
きっとそれはギルの方も同じなのだろう。
腰使いが、私を気遣って比較的そっと捻じ込むようにしていたものが、だんだんと力任せにブチ込み欲望に身を任せているように感じられる。
「いいぞっ……わっ…私の……私の膣内をっ…貴様のでっ……いっぱいにしてくれぇぇ!!」
「ありすっ……いくよっ…僕の全てをっ……受け取ってくれぇぇぇぇ!!」
「あっ!! はぁあぁああああっ!!」
トドメに一番奥まで貫かれ、そのままドクドクと精液を流し込まれる。
ビュルビュルビュルと射精する音が、まるで耳元で聞いているかのような程しっかりと聞き取れてしまう。
それと同時に、私も絶頂に身を委ねて潮を噴いて果てていた。
私の噴いた潮とギルの吐き出した精液、そしてそれらが混ざった粘液でウェディングドレスはすっかり内側部分がドロドロになってしまった。
「はぁ…はぁ……んぅぅぅ…」
「うっ……うぁぁぁ…」
どうやらギルの方は、私よりも長く絶頂の余韻に溺れているようだ。
蕩けたような表情のまま、同時イキしてから暫く経っても壊れた蛇口のように射精を繰り返していた。
私がそっと繋がりを解いてからもそれは収まらず、少しずつチョロチョロと精液が尿を漏らすかの如く流れ出していく。
このままではまずい。
彼の人間としての、ひいては命そのものが危ないではないか。
「おいっ! ギルッ! しっかりしろっ!」
「あぅぅ……うあぁぁ…」
こんな状況になってしまっては、気持ち良さに浸っている余裕などない。
愛する者がこんな事になってしまっていてまで気持ち良さに逃げてしまうような臆病者には誰かを「愛」する資格などありはしない!
とはいえ、この状況をどうするか…
「ええぃ、ままよっ!」
「へぶっ!」
とりあえず顔面に両側から挟み込むようにビンタする。
これならその後に式へ赴こうともビンタの跡は残るまい。
だが…
「うぁぁ…」
「ダメか……これならどうだっ!」
「はぅぁ!?!」
ビンタでは効果は無かった。
ならば、暴走しているモノそのものを打つ。
股を蹴りあげ、逸物の勢いをダメージで以て削ぐ。
しかし…
「くっ…また噴き出したか…」
「はぁ…はぁ…あぁぁ…」
私の足に射精しただけで、射精そのものは収まらない。
もう彼の顔色がどうにもならなさそうな程に悪くなっていくのが見て分かる。
こうなってはしょうがない。
「……んっ!」
こんな馬鹿らしい理由で、貴様に死んでもらっては困るのだ!
こうなってしまえばもうメイクがどうとか知った事か。
後で整え直して貰えばいいだけだ。
今考えると、どうしてここでキスしようという考えに至ったのだろうか。
普通に考えたならば、むしろ逆効果だろうと言うのに。
「……」
「……」
だが、効果はしっかりと現れていた。
射精はすっかり収まり、顔色も徐々に元へ戻って行く。
「……ぷぁ…」
「………ありす…」
意識も戻ってくれたようだ。
感謝だけでなく安堵からでもあるのだろうが、抱きついてくる彼を優しく受け止め、彼の言葉をしっかりと思い出してあることに気付く。
「ギル…」
「うん…?」
「私達魔物にとって、言葉とは時として武器にもなるのだ…だから、「僕の全て」などと言うな」
ギルの全て、つまりは命すらも私へと流し込もうとした事になってしまう。
もし、私が途中で繋がりを解いていなければ、ギルはまず間違いなく全てを精にして流し込んで腹上死していた事だろう。
そんな馬鹿な話で愛する夫を失ったともなれば未来永劫笑い者だ。
「そうなのか……ごめん、今度からは気を付けるよ…」
「当然だ、馬鹿者…」
お互いをギュッと抱きしめ合い、無事を確認すると同時に廊下の方から誰かが歩いてくる音が聞こえてくる。
メイドが医者を探すと言っていたし、その医者を連れて帰ってきたのだろう。
…それにしても、ギルに起こったあの現象はなんだったのだろうか。
さっきはああ言いくるめる事が出来たが、正直言って私にも何が起きたのか分からないでいる。
もしかすると、魔物娘とはそこまで人間を壊してしまえる存在だという事なのだろうか?
「むっ…いかんな…かくなる上は…」
「あ、アリスっ?!」
「先生、こっちです!」
医者を連れてきたのだろうが、もう無駄な事だ。
メイドには申し訳ないが、私には不必要故、お引き取り願おうか。
「んっ……むぅ…」
「んぅ…ちゅっ…んっ…」
「おっほ」
おいそこの老いぼれ医者、なんて声を上げているのだ。
熱烈なキスの最中なのだ、見世物ではないのだから、お引き取り願おうか。
「あー……先生、席の方へお戻りください…」
「そうじゃのう……うっひ」
あぁ、もう既に酒で出来上がっているな、この笑い方は。
私も以前、パーティーに招待された際にああいった笑い方をする酔いどれ伯爵に会った事があるから分かる。
ワインにビールにウィスキーにと呑みに呑んだ結果だろう。
「……ぷはっ…」
「ご主人様…」
「ふぅ…ごめんよ、我慢できなくて、ついね」
おお、こんな時でも庇ってくれるとは。
それでこそ男と言う物だ。
「全くもう…紅が移ってしまってるので、落としてから式場へいらしてくださいね」
「ああ、分かった。アリス、それじゃあね」
「う、うむ…」
去っていく彼の背中に、おもわずときめいてしまった。
式が終わるまでは内緒にしておいた方が良いだろう。
でないと、式の間も心の中がごちゃごちゃしてしまいそうだ。
それからメイクは仕切り直しとなって、だいたいが終わっていた事もあってかすぐに仕上がった。
途中、何かの匂いに首を傾げた時は心臓が止まるかと思ったものだ。
そして、結婚式の本番が始まったのだが…
====
「……」
「……」
チャペルの扉の前に立っているだけでも分かる。
人間の精液の匂いと、それを隠そうとする香水の匂いがこれでもかと漂っているではないか。
もしかすると、私の招いた者たちの大半が、待ち時間の間にどこかしらで致していたのではないだろうか?
私達のように。
ギルは特に匂いに関しては何も気付いていないようだったが、これは教えない方がいいだろう。
しかも、うっすらとだが魔力が漂っているのも感じられる。
「〜〜〜」
「! お二方、さぁどうぞ」
扉の奥で誰かが私達の到着を知らせていたらしく、それを合図にメイドたちが扉を開いてくれた。
被ったヴェールはちゃんと降りているし、種類は知らないが白い花も持った。
後はギルと腕を組んで、教えられた通りのタイミングで歩いて神父の前まで歩いて行く。
見れば、遠くの方ではピュアが手を振っているのも見える。
どうか大人しくしていてくれ。
「両者、前へ」
その言葉を合図に、神父が教典を開いて読み説いて行く。
それにしても、神父とはこんな恰好だっただろうか?
フードを深く被っていて、口元しかよく見えない。
それに、体格を見るにまだ若い、それも女性の神官のようだ。
私の招いた吸血鬼仲間やその従者たちも、人間以外はフードを被っているし、果たしてこれは結婚式と呼んでいいのか?
「夫、ギルディア・シュテリウム」
「はい」
「汝は、この者アレイスター・イルドーナを妻とし、良き時も悪き時も…」
うむ、練習していた通りに進んでいるようだ。
フードを被っている者たちの事が気になるが、何事も無く進んでくれているようで何よりだ。
「飢えし時も物足りなき時も」
あれ?
「せがまれし時もおねだりされし時も」
……んん?
「共に交わり、他の者に依らず」
……良き時も悪き時も、即ち大丈夫な日かダメな日、みたくなってはいないか?
「死が二人を別つその時まで、愛を誓い」
……おい、今ニヤリと笑わなかったか、口元が!?
「妻を欲し、妻のみに己の全ての愛を捧げる事を、神聖なる婚姻の契約の下に誓いますか?」
「誓います」
同じ事を私にも言ってくるが、ここは落ち着いてその場の流れに任せて「誓います」としておこう。
だが、その後が問題だった。
「それでは皆さん、ご起立ください」
その合図で会場の参加者全員が席を立つ。
こんな事、事前の練習ではやっていなかったではないか。
これは何かのサプライズなのか?
いや、サプライズだったならどれだけ良かったことか…
「それでは、新郎はズボンを、新婦はヴェールを取ってください。これで貴方達を隔てる物は何も無くなります」
「……はぁっ?!」
穏便に済ませる筈が、この指示には余りの驚きに声を上げてしまった。
「そして、私達もフードを取りましょう。男性の方々はズボンを脱いでお待ちください。女性の方々はまだ手を付けてはいけません」
「きゃー!貴方の、もう既におっきーい!」
あそこで騒いでいるのはピュアだろうか?
本気で止めて貰いたい。
出来ればこの会場全てをだ。
神聖な場である筈ではないのか、この教会は。
「それでは新郎の方、新婦に誓いのキスを…」
「はい」
きっとギルも戸惑っているに違いない。
だというのに彼は、私の顎に指を掛けてほんの少し顔を上げさせると、そこへ口づけしてきた。
ダメだ、これは流石の私も堕ちてしまう。
うん? 堕ちてしまう…?
「さあ、それでは新婦の方はスカートを持ち上げてください。皆様は旦那様のものをお持ちになってお待ちください」
さっきから神父の言葉がおかしいとは思っていたが、そう言う事か。
この神父、ダークプリーストではないか!
堕落神と呼ばれる神に仕える教徒、その彼女がこの場を仕切っていた。
部屋に漂う匂いと魔力はそういう事だったのか。
「っ! ふざけるな、誰がそこまで…」
「アリス…」
やめてくれ、そんな悲しそうな眼で私を見ないでくれ!
会場のあらゆる方向からも、それと同類の視線が私に突き刺さるのを感じる。
ここまできて結婚式をぶち壊すつもりかという視線もあれば、はやくヤッてしまえという視線もあるようだ。
あぁ、ピュアはまず間違いなく後者の視線で私を見ているのだろう。
「あぁ、神よ。彼女にある穢れし心を、どうか許したまえ…」
「…っっ……えぇい、これでいいのかっ?」
神父の指示通り、スカートを大きく捲り上げる。
若干ヤケが入っていたが、状況を思い出して頭から一気に血の気が引くのを実感した。
サーッと血の気が引く、なんて言うが、本当に血が抜けて行っているような気分ですらある。
「あ、アリス…」
「っっっ……言うな…」
「おぉ、新婦は既に準備は出来ているようですね」
そこの神父、言うなと言っているだろうが。
さっきメイク室でギルとシてからというもの、常に誰かが傍に居てこっそりとでもショーツを履く事が出来なかったのだ。
現に今だって履いていなくてスカートを捲り上げれば大事な場所が丸見えである。
「では新郎の方、新婦の下のお口にもキスを…」
「はい」
おい、もっと別の言い方は無かったのか?!
女性器、ヴァギナ、おまんこ……ダメだ、どれも卑猥な意味以外に聞こえない。
きっとあのダークプリーストが持っている教典にも「下のお口」とか書かれているんだろうか。
「んうっ…」
「おめでとうございます。これで、晴れてあなた方は夫婦として神もお認めになる事でしょう」
こんな事で認められた所でちっとも嬉しく等無いわ。
しかもなんだ、そのニヤニヤとした顔は。
「ではこれより、皆さん全員で彼らの性行の成功を、性行で以て神と共に応援致しましょう。ざーめん」
……最悪だな。
とか考えている余裕など無かった。
「アリス…行くよ?」
「なっ?! ま、待てっ!」
見れば、下着がいつの間にか消え去ってギルの逸物が豪快にそそり立って私を貫こうとビクビク揺れている。
周りでは早速、待ってましたとばかりに夫婦やカップル達が始めてしまっていた。
なんだ、乱交パーティーか。
なんて騙されないぞ私はっ!?
「流石におかし…いひぃぃぃぃっ!!」
すっかり魔力にあてられていたギルを止める手立ては、私には無かった。
そのまま何度も子宮口を突かれては喘いでを繰り返して痴態を衆目に晒してしまう。
まぁその衆目に関しても、同じような事をしているから何か言えるような者は居ないだろうが。
その後、結婚式と言う名の乱交パーティーは夜が明けるまで続けられた。
だいたいアルラウネの蜜や魔界産の食材の所為だ。
それともう一つ、報告すべきことがある。
どうやら、ギルとの子供を身籠ったらしい。
つづく。
今の私は、されるがままの人形になっている。
それと言うのも…
「アレイスター様? もうちょっと右を向いてください?」
「う、うむ…」
メイドに手伝ってもらい、化粧をしていたのだ。
吸血鬼は鏡に映らない、なんて伝承があるらしいが、一体どこから湧いて出たのやら。
私が吸血鬼であるとメイドたちに明かした際、一番最初に聞かれたのがその話題だったのには驚きだったが、理由を聞いて驚きは呆れに変わる。
「化粧出来ないんじゃないですか?」だと?
私が化粧をしているようにでも見えたと言うのか、あのメイドは…
まぁ今となってはすっかり和解して、メイクの手伝いをしてくれている訳だが。
「も、もう良いか…?」
「あ、動かないでくださいね。メイクがズレてしまいますので」
「うむ…」
どうして私が手伝いまでさせて化粧しているかというと…
「もうそろそろかい?」
「あ、ご主人様。もう少しお時間を戴けませんか?」
「うん、分かった。皆にもそう伝えておくよ」
「ありがとうございます」
ギルディアがメイクルームへ入ってきた。
白いスーツ姿で。
かく言う私も、純白のドレス姿だ。
それが意味する事はと言えば…
「……まさか私が結婚などと…」
吸血鬼が教会にいるという事自体、聞いたことも無い。
もしも来賓として呼んでいる者たちの中に吸血鬼が居たならば、きっと笑いものにされるだろう。
「…あっ! すみません、アレイスター様。メイク道具が足りていなかったので取りに行って参ります。少々お待ちくださいね」
「なっ……行ってしまったか…」
呼び止める暇もなくメイドは部屋を飛び出していってしまった。
これでは部屋に一人ぼっちになってしまうではないか。
それはなんというか…寂しい。
「しかし……綺麗なものだな、化粧というのは…」
改めて、鏡に映る自分の顔をよく見てみる。
元から美女だとピュアには言われていたが、自分ではそこまで自信を持てるほどの物でもなかった。
それがどうだ。
目の前に居るのが本当に自分なのかと疑いたくなるほど綺麗な女性が鏡に映っているではないか。
男性体だった頃は勿論の事、女性となってから化粧などしたことの無かった、というより興味の無かった私にとって、その変貌ぶりは驚愕の一言に尽きるというものだ。
「…へぇ、あの子、かなり綺麗に仕上げてくれてるみたいだね」
「ぎ、ギルディアっ?!」
ついつい愛称ではなく名前で呼んでしまった。
それをよく思わなかったのか、ギルは私の腕を掴んで自分の元へと抱き寄せる。
ダンスを踊っている訳ではないぞ?
「す、すまない…ギル…」
「えっ? どうして謝るのさ?」
そのキョトンとした顔はやめてくれ、私にはかなり効く。
噴き出して笑いそうになるとかそういうのじゃなくて、心がときめいてしまう。
「い、いや…特に意味は…ひゃんっ!」
「あっ…」
クシャッという何かを握る音と共に、胸を揉まれる感覚が背筋を走る。
視線を少し下げてみると確かに、ギルの手は私の胸を揉んでいた。
それも、揉んでいると分かるや否や執拗に揉み始める。
「ぎ、っる…ふぁっ…何をして…」
「……」
まるでオモチャを見つけた子供のように、無心になって私の胸を揉み続ける。
別に胸を揉む事自体は構わないのだが、時と場合を気にして欲しいものだ。
振り払おうにも彼の揉み心地の良さが勝ってしまっている現状では振り解ける物も振り解けない。
結局、彼の思うがままにされ…る訳には行かない。
「やめっ…シワになるぞ…」
「関係ないよ…アリスだってその気だったんじゃないのかい?」
どうにかギルからの解放を試みては見るものの、どうにもならないようだった。
膝が笑っているような状態では、マトモに力を入れる事もできずギルの腕を掴むので精一杯だ。
「め、メイドだってすぐに帰って…ひぅん!」
「大丈夫だって…すぐ終わらせるから…」
「お前は…はぅんっ…」
首筋に口づけされるだけで、痺れるような快感が身体中を駆け巡る。
それは私の専売特許だろうに、あの時の仕返しのつもりか?
もし甘噛みでもしてこようものなら、逆に噛み返していた所だ。
スーツが血で汚れるとか知った事か。
……まぁ、そんな余力が私にあれば、の話だが。
「ほ、ホントにやめ…っ?!」
これはまずい。
廊下の方から誰かが走ってくる音が聞こえるのだ。
音からしてブーツやヒールの類ではない。
それを履いているとすれば、この建物の中ではメイドたちくらいな物だ。
そしてこちらへ走って向かってくるという事は…
「あれ、案外早かったね…」
「早かったね…じゃないだろう!」
こんな事をしている所を見られては、また怒られてしまう。
以前、私たちが初めて交わった時も探しに来た彼女の「どうして教えてくれなかったんですか」と2時間ほど叱られたものだ。
今度は二時間では済まないかもしれない。
そうなってしまっては、式に来てくれている者たちに示しがつかないではないか。
「いいから隠れろ!今すぐにだ!」
「えっと…それじゃここに」
「お、おいっ!?」
何をどうトチ狂ったら私のスカートに隠れようなどと思いつけるのだ。
しかも今から追い出そうにも、足音はもう扉の前でピタリと止まった所ではないか。
「お待たせしましたー! さぁ、アレイスター様! メイクの続きをしますよ?」
「す、すまないな、取りに行かせてしまって」
さてどうしたものか…
動こうにも、足元に居るギルがどうにも邪魔で一歩も歩く事が出来ない。
下手に動いてしまえば、スカートからギルの足が出てきてバレてしまう。
「いえいえ、仕上げが整えられないなんて事、私達メイドにはあってはならない事ですからー!」
「そ、そうk…んひっ!」
いきなり、内腿を触られた感触が背筋にゾクッとした感覚と一緒に襲い掛かる。
ギルがスカートの中でこっそりと触って来ているのだろう。
顔を近づけているのか、息がかかってくすぐったい。
「…? アレイスター様、どうかされましたか?」
「い、いや? なんでもない……一瞬、ハエか何かが通ったような羽音が聞こえてな」
「あー、分かります!いきなり耳元でブーンって来られるとビックリしちゃいますよねー」
どうやらセーフだったようだ。
我ながらかなりそれっぽい作り話をでっち上げられた物だ。
一瞬だけ耳を澄ませて部屋の音を聞いていると、確かに蚊でも入り込んでいるのか微かに羽音が聞こえる。
だが、気取られないように集中を研ぎ澄ませたのが仇となってしまった。
「んぁっ!!」
「あ、アレイスター様っ?!」
ギルの吐息がショーツ越しにかかっただけで、危うくイッてしまいそうだった。
もしあと少しだけでも集中力を高めていればその場で果ててしまっていたかもしれない。
「す、すまん……髪が敏感な所に当たってしまってな…忘れてくれ…」
「あぁ〜…私もたまにありますねー、くすぐったくて声出ちゃうアレですよね?」
「あぁ…」
話を分かってくれるメイドで本当によかった…
なんて思っていたのも束の間。
「そういうかん…じぃぃぃ!!」
「ど、どうしたんですかっ?!」
ギルめ…覚えているがいい…
お前は本当に隠れる気があるのか?
お前が隠れるスペースを作る為に開いている股の間に顔を突っ込んでいるのはまだスペースに余裕が無いから仕方ないとはいえ…
ショーツ越しに私の秘裂にキスをするなどとは。
反射的に閉じた私の脚でプレスされてしまえ!
「な…なんでもない…」
「そんな事言ったって、こんなにも顔が真っ赤…待っていてください! お医者様を呼んできます!」
またしても呼び止める間もなく走り去ってしまった。
健気なのは良い事だが、もう少し落ち着いてほしいものだ。
そして…
「……おい、ギル…」
「ふがふが…っ!」
どうだ、呼ばれたとて返事する事も出来まい。
まぁ、喋られた時点で私の負けなのだと気付くのはこの後すぐだったが。
「ふあぁぁっ!!」
吹きかけられた吐息と動かれた際のくすぐったさは私にとって、耐えられるようなものではなかった。
もしテーブルへ手を掛けていなければ、そのまま前のめりに倒れ込んでしまっていただろう。
「ぷぁ! 全くもう……ふかふかだったよ」
「き、貴様はぁ…」
やっとスカートの中から出て来てくれたはいいものの、どういう事だそれは?
なぜ、私の履いていたショーツをその手に持っている?
「何故かって? そんなの決まってるじゃないか…」
「ひゃんっ! 貴様、何を…や、やめっ…ひぅ…」
スカートを持ち上げて、腰に引っかけるようにして私の下半身が露わになる。
異様に風通しが良くなったように感じるが、やはりショーツを脱がされているようだ。
見られているのと涼しい感覚だけでも身体が震えてしまう程の快感が私を襲う。
「大丈夫、すぐ終わらせるから…」
「そ、そういう問題ではないっ!」
「どうだか。アリスの方は準備万端みたいだけど?」
あっと言う間にズボンを降ろして、ギルのそそり立つモノが姿を現した。
既に臨戦態勢なようで、ビクンビクンと脈打っているのが顔を近づけずとも分かってしまう。
これからあれが私の大事な場所に入ってしまうのだと思うと、思わず涎が出てしまいそうだ。
勿論、下の口から。
「よいしょっと…挿れるよ?」
「ま、まっ…んぅぅぅ!」
クチュクチュといやらしい音を立てながら、私の膣内へギルが入ってくる。
一気に貫くのは以前に体験していたが、ゆっくりと挿入されるのもなかなかにクセになりそうだ。
「はぁ…はぁ…っ…」
「くぅ……う、動くよ?」
「い、今はまd…ひぅん!」
どうして彼はこうもせっかちなのだろうか。
まだ待ってくれと言い切る前にはもう腰を動かされていた。
だが、自分ではなく相手のペースで責められるこの感覚は、私を狂わせてしまうには十分だ。
ズンズンと突き入れられているお返しにキュンキュンとギルのモノを締めつけていると気付いたのは、かなり後になってからだった。
「はっ…あっ…こ…こんなっ…犬っ…みたいな…恰好でぇ…」
「アリス…どうだいっ…気持ち…いいだろぉ?」
結局あのまま、机に掴まっている事も出来ず床に崩れ落ちてしまった。
今となっては四つん這いでギルに犯されているが、ドレスが汚れてしまわないか心配だ。
「そんな…事…あはぁ!…そこっ…やめぇっ…」
「はぁっ…はぁっ……うっ!」
犬のような激しい腰振りをしていたからだろうか?
ギルめ、何も言わずに果ててしまったらしい。
ドクドクと膣内に流し込まれた精液のなんと甘美な事か。
なんて思っていたのも最初の内だけだ。
このままでは折角のドレスが汚れてしまうではないか!
「ご…ごめんよ……すぐに出しちゃった…」
「はぁ…はぁ……それよりも…拭く物だ…」
「えっ?」
「そこらから拭く物を持ってこいと言っているのだ、馬鹿者…」
ドレスのスカートにかかってしまっては、匂いに聡い者にバレてしまうではないか。
特に私の招待した者たちは、そのほとんどが魔物なのだ。
ピュアなどはサキュバスなのだし、あっという間に見破られてしまうだろう。
そして「ご主人様、だいたーん!」とか言われて変なポーズと共に弄られる事になる。
「ごめんなさい…あうっ!」
「き、貴様っ?!」
あぁ、してやられた。
まだギルのモノの中には吐きだせるだけの精子が残っていたらしく、引き抜いた際の刺激でそれがスプレーのように噴き出してしまった。
おかげでスカートの内側はすっかりギルの精液でベトベトだ。
「っっっ〜…」
「え、なにその顔…」
必死にこうならないよう気を配っていたというのに、貴様のせいで「精液臭い結婚式」になってしまうではないか。
ウェディングドレスの替えもなければ着替える時間も無いし、魔法で匂いを消そうにも私はその手の魔法はあいにくの不得手。
こうなってしまっては、もうこの精液臭いドレスのまま本番に臨まなくてはならない。
そうなってしまえば、こんな「泣きたいのと照れてるのが同居したような」顔にもなろうと言う物だ。
全部貴様のせいなのだぞ!
「…ごめん、もう一回いいかな?!」
「貴様…はぅっ!」
まさか出したばかりだというのに、早くも準備が整っているようだ。
今にも射精してしまいそうな程膨らんだ逸物が、またしても私の膣内へ入り込んでくる。
「んにぃぃぃ…」
「はぁ…はぁ……アリスの中…とっても締まって……すぐにでも射精ちゃいそうだ…」
「な…なら……早く終わって…ひんっ!」
まったく、催淫していなくともこれだけ元気とは、ギルには大したものだ。
もしやインキュバスとやらになっているのではなかろうか?
……出来れば、彼は人間のままでいてほしいものだ。
「そうはいかないよ……アリスも…気持ち良くさせなきゃ…ならないからねっ…」
「ギル…貴様というやt…ひぎぃっ! お…おくっ…えぐりゅにゃぁぁぁあ!!」
ギルの逸物が大きい事は知っていたが、こんな芸当が出来ただろうか?
子宮口を、まるで掘削するかのように無理矢理こじ開けてグリグリと抉るように突き入れられる。
肉を抉るようなゴリゴリという音が、骨伝導の要領で耳に直接聞こえているようだ。
まぁ本当に抉られているのかは、透視でもしてみなければ分からないだろうが。
「気持ち良さそうでよか…あうっ!」
「んひぃ! ま…まだ…おおきくなってく…ふあぁああ!!」
一体どこまで肥大化すれば気が済むのやら。
私の膣内を拡張させたいのか、この逸物は。
「アリス…アリスぅ…」
「はぁ…はぁ……っ! それはダメだ!」
ギルが私に覆いかぶさるようにして身体を重ねてくる。
そのままキスを求めてくるのだが、それはいけない。
化粧が崩れてしまうし、なにより口紅も塗ってあるのだ。
「なら、ここは?」
「はぅん!」
奴め、すっかり首筋にキスするのに味を占めたようだ。
私が喘いでしまう程に気持ち良い場所なのだと理解した途端に、擽るようにしながら何度もキスしてくる。
吸い付いている訳ではないのでキスマークとか呼ばれる痣は出来ないが、それにしたってくすぐったい。
「んっ…ぎるっ……ぎるぅ……はぁぁぁ!!」
「ありすっ……気持ちいいよ…ありすぅぅ…」
もうどちらが腰を振っているのかすら曖昧だ。
クチュクチュと粘り気のある音が部屋中に響いているのが、快感でぼんやりとした意識の中でもしっかりと分かる。
たくしあげたスカートはもうすっかりしわくちゃになってしまっているだろう。
これを着たまま式に臨まなくてはいけないのかと思うと残念でならない。
が、今の気持ち良さの前にはもうどうでもよくなってしまいそうだ。
「はぁぁ……お、おくぅぅ……ぐりゅって…えぐってるみたいにぃ…」
「はぁ…はぁ……っと、危ない危ない…」
ギルめ、何を考えているのだ?
一瞬ドクンと脈打つように逸物が震えたのを確かに私は感じた。
それは射精しそうだったという事ではないのか?
だと言うのに奴め、どうして腰の動きを止める?
「はぅ……ぎる…どうした…」
「いや、アリスと一緒にイキたいなと思って…」
「っ!?」
「うぁ! 締まるっ!」
無意識だろうがなんだろうが、そんな言葉を掛けられればキュンと締めたくもなると言う物だ、馬鹿者。
あぁ、そして私はなんて幸せ者なんだろうか。
「っ……どうした…私と共に…んぅっ!…逝くのだろう…?」
「あぁぁっ!…も、もちろんっ…そのつもり…うぅぅっ…」
限界を超えて膨張している逸物が、今にも精を吐き出してしまおうと震えているのが膣越しにでも分かる。
震える刺激や膣内を抉るような彼の腰の動き、首筋に掛かる彼の吐息にグッと堪える度に聞こえてくる呻き声。
そのどれもが、私を絶頂へと追いやって行く。
「はぁ…はぁっ! …こ、こいっ…私もっ…もうっ…イキそうだぁ…ギルぅ!」
「はぅぁ! あ、アリス…アリス……いくよ、このまま…」
何度も一番奥を突き上げられ、何度も彼の逸物を私の愛液で満たし、何度もイッてしまいそうになるのを堪えて彼を弄る。
それらの快感は、私を絶頂へと押し上げるには十分すぎた。
きっとそれはギルの方も同じなのだろう。
腰使いが、私を気遣って比較的そっと捻じ込むようにしていたものが、だんだんと力任せにブチ込み欲望に身を任せているように感じられる。
「いいぞっ……わっ…私の……私の膣内をっ…貴様のでっ……いっぱいにしてくれぇぇ!!」
「ありすっ……いくよっ…僕の全てをっ……受け取ってくれぇぇぇぇ!!」
「あっ!! はぁあぁああああっ!!」
トドメに一番奥まで貫かれ、そのままドクドクと精液を流し込まれる。
ビュルビュルビュルと射精する音が、まるで耳元で聞いているかのような程しっかりと聞き取れてしまう。
それと同時に、私も絶頂に身を委ねて潮を噴いて果てていた。
私の噴いた潮とギルの吐き出した精液、そしてそれらが混ざった粘液でウェディングドレスはすっかり内側部分がドロドロになってしまった。
「はぁ…はぁ……んぅぅぅ…」
「うっ……うぁぁぁ…」
どうやらギルの方は、私よりも長く絶頂の余韻に溺れているようだ。
蕩けたような表情のまま、同時イキしてから暫く経っても壊れた蛇口のように射精を繰り返していた。
私がそっと繋がりを解いてからもそれは収まらず、少しずつチョロチョロと精液が尿を漏らすかの如く流れ出していく。
このままではまずい。
彼の人間としての、ひいては命そのものが危ないではないか。
「おいっ! ギルッ! しっかりしろっ!」
「あぅぅ……うあぁぁ…」
こんな状況になってしまっては、気持ち良さに浸っている余裕などない。
愛する者がこんな事になってしまっていてまで気持ち良さに逃げてしまうような臆病者には誰かを「愛」する資格などありはしない!
とはいえ、この状況をどうするか…
「ええぃ、ままよっ!」
「へぶっ!」
とりあえず顔面に両側から挟み込むようにビンタする。
これならその後に式へ赴こうともビンタの跡は残るまい。
だが…
「うぁぁ…」
「ダメか……これならどうだっ!」
「はぅぁ!?!」
ビンタでは効果は無かった。
ならば、暴走しているモノそのものを打つ。
股を蹴りあげ、逸物の勢いをダメージで以て削ぐ。
しかし…
「くっ…また噴き出したか…」
「はぁ…はぁ…あぁぁ…」
私の足に射精しただけで、射精そのものは収まらない。
もう彼の顔色がどうにもならなさそうな程に悪くなっていくのが見て分かる。
こうなってはしょうがない。
「……んっ!」
こんな馬鹿らしい理由で、貴様に死んでもらっては困るのだ!
こうなってしまえばもうメイクがどうとか知った事か。
後で整え直して貰えばいいだけだ。
今考えると、どうしてここでキスしようという考えに至ったのだろうか。
普通に考えたならば、むしろ逆効果だろうと言うのに。
「……」
「……」
だが、効果はしっかりと現れていた。
射精はすっかり収まり、顔色も徐々に元へ戻って行く。
「……ぷぁ…」
「………ありす…」
意識も戻ってくれたようだ。
感謝だけでなく安堵からでもあるのだろうが、抱きついてくる彼を優しく受け止め、彼の言葉をしっかりと思い出してあることに気付く。
「ギル…」
「うん…?」
「私達魔物にとって、言葉とは時として武器にもなるのだ…だから、「僕の全て」などと言うな」
ギルの全て、つまりは命すらも私へと流し込もうとした事になってしまう。
もし、私が途中で繋がりを解いていなければ、ギルはまず間違いなく全てを精にして流し込んで腹上死していた事だろう。
そんな馬鹿な話で愛する夫を失ったともなれば未来永劫笑い者だ。
「そうなのか……ごめん、今度からは気を付けるよ…」
「当然だ、馬鹿者…」
お互いをギュッと抱きしめ合い、無事を確認すると同時に廊下の方から誰かが歩いてくる音が聞こえてくる。
メイドが医者を探すと言っていたし、その医者を連れて帰ってきたのだろう。
…それにしても、ギルに起こったあの現象はなんだったのだろうか。
さっきはああ言いくるめる事が出来たが、正直言って私にも何が起きたのか分からないでいる。
もしかすると、魔物娘とはそこまで人間を壊してしまえる存在だという事なのだろうか?
「むっ…いかんな…かくなる上は…」
「あ、アリスっ?!」
「先生、こっちです!」
医者を連れてきたのだろうが、もう無駄な事だ。
メイドには申し訳ないが、私には不必要故、お引き取り願おうか。
「んっ……むぅ…」
「んぅ…ちゅっ…んっ…」
「おっほ」
おいそこの老いぼれ医者、なんて声を上げているのだ。
熱烈なキスの最中なのだ、見世物ではないのだから、お引き取り願おうか。
「あー……先生、席の方へお戻りください…」
「そうじゃのう……うっひ」
あぁ、もう既に酒で出来上がっているな、この笑い方は。
私も以前、パーティーに招待された際にああいった笑い方をする酔いどれ伯爵に会った事があるから分かる。
ワインにビールにウィスキーにと呑みに呑んだ結果だろう。
「……ぷはっ…」
「ご主人様…」
「ふぅ…ごめんよ、我慢できなくて、ついね」
おお、こんな時でも庇ってくれるとは。
それでこそ男と言う物だ。
「全くもう…紅が移ってしまってるので、落としてから式場へいらしてくださいね」
「ああ、分かった。アリス、それじゃあね」
「う、うむ…」
去っていく彼の背中に、おもわずときめいてしまった。
式が終わるまでは内緒にしておいた方が良いだろう。
でないと、式の間も心の中がごちゃごちゃしてしまいそうだ。
それからメイクは仕切り直しとなって、だいたいが終わっていた事もあってかすぐに仕上がった。
途中、何かの匂いに首を傾げた時は心臓が止まるかと思ったものだ。
そして、結婚式の本番が始まったのだが…
====
「……」
「……」
チャペルの扉の前に立っているだけでも分かる。
人間の精液の匂いと、それを隠そうとする香水の匂いがこれでもかと漂っているではないか。
もしかすると、私の招いた者たちの大半が、待ち時間の間にどこかしらで致していたのではないだろうか?
私達のように。
ギルは特に匂いに関しては何も気付いていないようだったが、これは教えない方がいいだろう。
しかも、うっすらとだが魔力が漂っているのも感じられる。
「〜〜〜」
「! お二方、さぁどうぞ」
扉の奥で誰かが私達の到着を知らせていたらしく、それを合図にメイドたちが扉を開いてくれた。
被ったヴェールはちゃんと降りているし、種類は知らないが白い花も持った。
後はギルと腕を組んで、教えられた通りのタイミングで歩いて神父の前まで歩いて行く。
見れば、遠くの方ではピュアが手を振っているのも見える。
どうか大人しくしていてくれ。
「両者、前へ」
その言葉を合図に、神父が教典を開いて読み説いて行く。
それにしても、神父とはこんな恰好だっただろうか?
フードを深く被っていて、口元しかよく見えない。
それに、体格を見るにまだ若い、それも女性の神官のようだ。
私の招いた吸血鬼仲間やその従者たちも、人間以外はフードを被っているし、果たしてこれは結婚式と呼んでいいのか?
「夫、ギルディア・シュテリウム」
「はい」
「汝は、この者アレイスター・イルドーナを妻とし、良き時も悪き時も…」
うむ、練習していた通りに進んでいるようだ。
フードを被っている者たちの事が気になるが、何事も無く進んでくれているようで何よりだ。
「飢えし時も物足りなき時も」
あれ?
「せがまれし時もおねだりされし時も」
……んん?
「共に交わり、他の者に依らず」
……良き時も悪き時も、即ち大丈夫な日かダメな日、みたくなってはいないか?
「死が二人を別つその時まで、愛を誓い」
……おい、今ニヤリと笑わなかったか、口元が!?
「妻を欲し、妻のみに己の全ての愛を捧げる事を、神聖なる婚姻の契約の下に誓いますか?」
「誓います」
同じ事を私にも言ってくるが、ここは落ち着いてその場の流れに任せて「誓います」としておこう。
だが、その後が問題だった。
「それでは皆さん、ご起立ください」
その合図で会場の参加者全員が席を立つ。
こんな事、事前の練習ではやっていなかったではないか。
これは何かのサプライズなのか?
いや、サプライズだったならどれだけ良かったことか…
「それでは、新郎はズボンを、新婦はヴェールを取ってください。これで貴方達を隔てる物は何も無くなります」
「……はぁっ?!」
穏便に済ませる筈が、この指示には余りの驚きに声を上げてしまった。
「そして、私達もフードを取りましょう。男性の方々はズボンを脱いでお待ちください。女性の方々はまだ手を付けてはいけません」
「きゃー!貴方の、もう既におっきーい!」
あそこで騒いでいるのはピュアだろうか?
本気で止めて貰いたい。
出来ればこの会場全てをだ。
神聖な場である筈ではないのか、この教会は。
「それでは新郎の方、新婦に誓いのキスを…」
「はい」
きっとギルも戸惑っているに違いない。
だというのに彼は、私の顎に指を掛けてほんの少し顔を上げさせると、そこへ口づけしてきた。
ダメだ、これは流石の私も堕ちてしまう。
うん? 堕ちてしまう…?
「さあ、それでは新婦の方はスカートを持ち上げてください。皆様は旦那様のものをお持ちになってお待ちください」
さっきから神父の言葉がおかしいとは思っていたが、そう言う事か。
この神父、ダークプリーストではないか!
堕落神と呼ばれる神に仕える教徒、その彼女がこの場を仕切っていた。
部屋に漂う匂いと魔力はそういう事だったのか。
「っ! ふざけるな、誰がそこまで…」
「アリス…」
やめてくれ、そんな悲しそうな眼で私を見ないでくれ!
会場のあらゆる方向からも、それと同類の視線が私に突き刺さるのを感じる。
ここまできて結婚式をぶち壊すつもりかという視線もあれば、はやくヤッてしまえという視線もあるようだ。
あぁ、ピュアはまず間違いなく後者の視線で私を見ているのだろう。
「あぁ、神よ。彼女にある穢れし心を、どうか許したまえ…」
「…っっ……えぇい、これでいいのかっ?」
神父の指示通り、スカートを大きく捲り上げる。
若干ヤケが入っていたが、状況を思い出して頭から一気に血の気が引くのを実感した。
サーッと血の気が引く、なんて言うが、本当に血が抜けて行っているような気分ですらある。
「あ、アリス…」
「っっっ……言うな…」
「おぉ、新婦は既に準備は出来ているようですね」
そこの神父、言うなと言っているだろうが。
さっきメイク室でギルとシてからというもの、常に誰かが傍に居てこっそりとでもショーツを履く事が出来なかったのだ。
現に今だって履いていなくてスカートを捲り上げれば大事な場所が丸見えである。
「では新郎の方、新婦の下のお口にもキスを…」
「はい」
おい、もっと別の言い方は無かったのか?!
女性器、ヴァギナ、おまんこ……ダメだ、どれも卑猥な意味以外に聞こえない。
きっとあのダークプリーストが持っている教典にも「下のお口」とか書かれているんだろうか。
「んうっ…」
「おめでとうございます。これで、晴れてあなた方は夫婦として神もお認めになる事でしょう」
こんな事で認められた所でちっとも嬉しく等無いわ。
しかもなんだ、そのニヤニヤとした顔は。
「ではこれより、皆さん全員で彼らの性行の成功を、性行で以て神と共に応援致しましょう。ざーめん」
……最悪だな。
とか考えている余裕など無かった。
「アリス…行くよ?」
「なっ?! ま、待てっ!」
見れば、下着がいつの間にか消え去ってギルの逸物が豪快にそそり立って私を貫こうとビクビク揺れている。
周りでは早速、待ってましたとばかりに夫婦やカップル達が始めてしまっていた。
なんだ、乱交パーティーか。
なんて騙されないぞ私はっ!?
「流石におかし…いひぃぃぃぃっ!!」
すっかり魔力にあてられていたギルを止める手立ては、私には無かった。
そのまま何度も子宮口を突かれては喘いでを繰り返して痴態を衆目に晒してしまう。
まぁその衆目に関しても、同じような事をしているから何か言えるような者は居ないだろうが。
その後、結婚式と言う名の乱交パーティーは夜が明けるまで続けられた。
だいたいアルラウネの蜜や魔界産の食材の所為だ。
それともう一つ、報告すべきことがある。
どうやら、ギルとの子供を身籠ったらしい。
つづく。
17/05/14 00:26更新 / 兎と兎
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