読切小説
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ブルーバード
「〜〜♪」

「練習お疲れ様。どう、調子は?」

太陽の光がよく差し込む池の傍、立ち並ぶ木々の中から綺麗な透き通った歌声が聞こえる。
それはどこか心を魅了し、まるで愛し合う男女のようなときめきを心に芽生えさせてくれた。
声の元をたどって行けばそこでは一人の少女が倒木に座り込んで眼を閉じ、リラックスしながら歌っていた。
両腕には翼を持ち、人ならざる脚とも相まって彼女が普通の人間ではないという事は一目でわかる。

「しゃ、シャルさん…?!」

「おぉ、遂に私の事を渾名で呼ぶようになってくれたかぁ…チファで最後なんだよねぇ…」

背後から声を掛けられたからか、チファと呼ばれた少女はびっくりしてその場で飛びはねる。
倒木が遥か向こうまで蹴飛ばされている辺り、彼女の脚力が伺えるだろう。
後ろからわざと驚かせようと声を掛けてきた女性「シャルラッハ・ロート」
彼女は、誤解を招くような言い方をしてしまえば、チファを含めた複数人を管理している人間だ。

「っ!……そ、それで一体何の用でしょう?シャルラッハさん?」

「いや、チファの青くて綺麗な髪と翼をみたいなぁと思って…」

「ち、茶化さないでくださいっ!」

自分の事を褒められて、怒ってはいても満更ではないようで、彼女の顔は見て分かる程に紅潮していた。
髪が翼より少し深い程度に青いからか、顔が赤くなっているのがとても分かりやすい。
両手の翼で隠そうとも、翼が透き通っているように顔が隠せていない。
よく見れば尾羽もフリフリと揺れていて感情が丸見えだ。

「そんな事ないよ?ほら、身体の力を抜いて…」

「ふぁ?!ち、ちょっとシャルさんっ?!」

座り込む彼女の背後にそっと回り込んで、身体を支えるように肩へ手を伸ばす。
熱いわけではないのだが、湿度が高いからか彼女の肌はしっとりとした感触を伝えてくる。

「んっ……ぅうっ……s、しゃるさぁん…」

「ふふっ、ホントにチファはここが……弱いよねっ!」

「んひゃぅっ!」

彼女の肌を伝うように指を這わせ、ここだと思った場所をぐいっと押し込んでやる。
そうすれば、まるでロボットがボタン一つで動き出すように身体をビクッと震わせて顔を赤らめトロンとした表情を浮かべた彼女が目の前に現れた。
快感に身を震わせている彼女は、その気持ち良さからか目には涙が浮かんでいたりもする。

「これくらい我慢しなさいよ……女の子…でしょっ?」

「んぅっ!ら…らっへぇ…」

口では嫌がってこそ居ても、シャルからの刺激に身体を悶えさせこそしてももがいて逃げようとは動いていない。
というより、動けないのかもしれなかった。

「んっ……よっし、まだやる?」

「はぁ…はぁ……や…も……いい…れひゅ…」

ひとしきり彼女の身体をこねくり回した後になると、息も絶え絶えになっている彼女はそのままシャルへもたれかかる。
倒れてきてシャルが感じる事と言えばやはり、見た目と比べてあまりに軽い彼女の体重だっただろう。
座っていて、もたれかかってきただけだったとは言え、彼女の身体は普通ではありえない程に軽かった。

「もー…肩もみしてただけなのにどうしてこうなるかねぇ…」

「はぅ……し、知っててやってるくせにぃ…」

そう、シャルがチファにやっていた事は、なにも厭らしい類の事ではない。
身体の緊張と疲労を解そうと肩に手を添えマッサージをしていたに過ぎないのだ。
だがチファの反応は過敏で、もうグッタリしたまま動けそうにない。
ハーピー属にはよく見られる傾向の一つらしく、羽ばたく際に袖があると邪魔で動きづらいからと言う理由で彼女たちはノースリーブを好んで着る。
それが原因なのか、彼女たちは肩が敏感である事が多いんだそうな。

「あははっ!やっぱり顔赤くしてるチファは可愛いよ?」

「もうっ!茶化さないでください!」

「茶化す?もし本気だったら…?」

身体を持たれかけているチファにそう囁いて、シャルが彼女の身体にそっと指を這わせる。
リラックスしている、というよりは弛緩している彼女の身体は、シャルの手を受け入れる事しか出来ないでいた。
汗を拭うように走る指先は、チファの神経を逆撫でてくすぐる。
それは奇しくもチファに快感に似た刺激を与える結果となった。

「ふぁぁ……し…しゃるさん…?」

「ほぉら、こうやって…」

「んぅっ!?」

肩から指を滑らせ、今度は脇を攻めはじめる。
効果はすぐに現れたらしく、脇をキュッと締めたチファの表情は泣きそうな、でも笑いを堪えているような表情をしていた。

「っくぅ……んっ…はぅっ…」

「なんかさぁ……声、エロいよ?」

「ふぇ?!あっ!ちょ!あっははははははは!!!」

チファがシャルの言葉に気を緩めた、というか動揺したのをシャルは見逃さなかった。
ギュッと締めていた脇が緩んだ瞬間に脇の奥まで手を伸ばして、指を動かしまくる。
当たる指の全てがチファに刺激を与え続け、それに耐えかねて彼女がその場にぐったりとして動けなくなるまで時間はそうかからなかった。

「はぁっ…はぁっ……っはぁっ……し、しゃる…さぁん…」

「うっ……余計にエロく…」

息も絶え絶えに、荒くなっていて。
それに伴って顔も上気していて眼には涙が浮かび、表情は綻んで、というか崩れて女の子がしちゃいけないような表情になってしまっている。
身体はビクビクと小刻みに震えて力が入ろうとしない。

「………我慢…出来ないよ…?」

「はぁ…はぁ……はぁっ?!」

役目を終えた両手が、チファを支えていたはずなのに、気が付けば徐々に彼女の身体を這いずり回る。
汗に濡れた薄手の服をゆっくりとボタンに指を掛け、あっという間に外してしまう。
露わになったのは、彼女の年齢にしてはやや成長に乏しい、胸板とも言えるものだった。

「あっ…声……んぅっ!」

「そうそう……多分それなんじゃないかなぁ…ほぉら…」

優しく包み込むように、チファの胸を手で覆い隠して上から団子でもこねるようにコロコロと転がして遊ぶ。
揉み解されていく中で数えきれない程の快感が身体を蹂躙していった末、チファはその場で悲鳴と共に果ててしまう。
今にも止まってしまいそうな息をしながら、チファはシャルにしがみつくだけしか出来なかった。

「や…やめへっ……おねg…ひんっ!」

「だめだめ……もっと解してあげなくちゃ…」

力が全く入らないチファを、お姫様抱っこで持ち上げたシャルは、少し行ったところに敷いてあったシートの上へチファを優しく降ろす。
彼女のスカートは、さっき派手にイッた際にぐちょぐちょに濡れてしまっている。

「あらら……もっと可愛がってあげるから…」

「んひぃぃぃっ!!」

苦悶の表情を浮かべ、チファはその場でもがき苦しむ。
シャルが何をしていたかと言えば、彼女の乳首を口で啄んでいた。
脳を刺すような刺激に苛まれ続けているチファからすればさらに追い打ちを掛けられているようなものだ。

「あむあむ……コリコリッ…」

「っっっっっっっっ!!??!」

乳首を甘噛みされつつ舌で弄ばれる。
それだけで、チファが再び果てるのには十分すぎた。
咄嗟に、というかほぼ無意識の内にギュッとシャルを抱きしめたかと思えば身体を限界まで反らせて果ててしまう。

「………っ?!あ、あれ…?」

「はひぃ…はひゅー…」

過呼吸になっているかのような、かすれそうな呼吸をしながら、チファはだんだんと薄れ行く景色の中で涙目になりながら何度も謝るシャルの姿を見逃さなかった。

―――――――――――――――――――――

あれから数か月の時が過ぎて行った。
今更になってしまったが、チファの仕事についての話をしようと思う。

「それでは今日はここまで!皆〜!どうもありがとー!」

そう、彼女の仕事はアイドル歌手である。
自分を知り、応援してくれる人々の為に彼女は今日も歌い踊って観客を魅了していった。
その陰にはいつも、シャルという力強いパートナーが居てくれた事もまた事実。

「ふぅ……お疲れ様でしたー」

「うん、お疲れ様。今日も良かったよ?最っ高の笑顔だった」

「ありがとうございます!」

わしゃわしゃと頭を撫でられ、照れながらも礼を述べるチファ。
彼女の表情は、以前よりいくらか成長したものを感じる。
それは単純な成長なんかではなく、もっと複雑で洗練された成長と言えるだろう。
それは…

「シャルラッハさん、私あなたの事が大好きです!」

「うん、私もだよ〜?」

「あぁ!また適当にはぐらかしてる!」

一人の少女を女性へと駆り立て成長させたもの。
それは一途な恋だ。
例えそれが、周りから見ればいくらか歪んで見えていようとも、そんなものは関係ない。
誰かを好きで、誰かに好かれて、そうして成長する姿はとても美しいと思えないだろうか?

幸せに溢れた笑顔を運ぶ、青い羽持つ鳥の少女は、真っ赤な女性に熱く燃えるような恋をした。
赤と青を混ぜれば紫だろうが、彼女たちは紫どころかきっと虹色に輝くだろう。  Fin
16/06/05 19:49更新 / 兎と兎

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