イヤな事は白い粉でサヨナラ
人は精神状態が不安定なまま過ごしていると、無意識に破滅へと全速力でダッシュすると聞く。
例えば、友人を傷付け自分も傷付き、修復の効かない深く暗い亀裂を自ら作り出す。
例えば、今まで愛していた者を傷付け、その責任逃れに自分も傷付こうとして気が付けば死んでしまう。
例えば、仲の良かった肉親や親友を手に掛け、そのひび割れた心に塗りたくる。
一体誰が言い出したか、「幸と不幸は紙一重」なんて言葉もあるくらいだ。
「………」
この青年、「アースラ」は思う。
暗く淀んだその瞳の先に見えるのは、今まで愛していた、愛してくれていた愛犬の横たわる姿。
何も誰かに殺された訳ではない。
元から長生きしてくれていた彼女にも、ついにその時が来たと言うだけだ。
だが、アースラは言い知れない悲しみに包まれていた。
「お前で……最後だったのにな……ハピネス…」
呟きながら、彼は涙を流して動かないままの愛犬を撫でていた。
彼の脳裏に過るのは、今まで目の前で儚く散って行った者たちの顔。
貧しかった自分を弟の様に可愛がってくれた兄貴分の顔。
貧民街で出会った、元気いっぱいの少年少女たち。
近所でパン屋をしていた魔物娘のおかみさん。
みんな、もうどこにも居ない。
「………俺も……皆の所に行くのかね…」
きっと城下町の方では今頃、王家がどうのとかでパレードの一つでも催しているのだろう。
祝砲の爆発音が、貧民街の路地裏に横たわる青年の腹に痛い程響いてくる。
富める者にはとにかく富を、貧しき者には慈悲も無し。
そんな国是は反感を買うだろう。
実際、何度となくデモは行われたが、どれもあっさり鎮圧されたのを思い出す。
そういえば、その時の騒乱で兄貴分も町の子供たちも皆…
「………雪…？」
空を見れば、ひらひらと降る粉雪が見て取れた。
だが季節は秋、程よい寒さと温かさが混ざり合ったような気温であり、ボロ布のような服を来ただけの彼でも丁度いいと感じるような気温だ。
そんな中で、雪が降るとは到底思えなかった。
「ははっ……お前が見せてくれてるのか……ハピネス…？」
「はぁぁぁぁああい！！」
「っ？！」
アースラは自分の目を疑った。
隣で横たわったまま動かず、後は身体の肉が腐るのを待つだけとなっていた愛犬を呼んだはずが、別の、というか真上から聞き覚えのない声が聞こえてきたのだ。
振り向いてみれば、そこに居たのはちょうど町の子供たちと同じような幼い少女。
それが、全裸で腰に綿を付けただけのような状態で「自分の頭の上から舞い降りた」
「なっ……なにっ…」
「みつけた〜♪みつけたみつけた〜♪」
「わっぷ！」
少女を見上げる形のまま、驚きのあまり固まっていたアースラだったが、気が付けば彼女は彼の目の前まで降りてきていた。
次の瞬間には、アースラの顔を腰の綿の中へ招き入れて彼の顔面に着地する。
「やぅん♪くすぐったぁい♪」
「っ？！？！？！」
分かりやすいよう説明するなら、全裸の幼女が天から舞い降りてきたかと思えば、彼の顔面を自分の股間にｼｭｩｰｰｰｰｰｯ！超ｴｷｻｲﾃｨﾝｯ！という訳である。
いや、別にｴｷｻｲﾃｨﾝｸﾞな訳がないが。
「よい…しょっとぉぉ！！」
「っ？！(ヤバ…)……？」
眼を白黒させて慌てふためくアースラの事など放置して、少女は彼の顔面へ体重を掛けて行く。
女の子の恥ずかしい所がむにむにと押し付けられる感覚に陶酔を覚えるよりも先に、アースラは危機を感じていた。
このまま倒されれば、彼女の下敷きになる形で後頭部を強打してしまう。
最悪死んでしまうかも知れない。
一瞬の出来事に対処が出来なかった彼が諦めようとも思った次の瞬間には、不思議な事が起こっていた。
頭を打つことも、のしかかられる事もなく、ただただふわりとした浮遊感に包まれていたのである。
「あははっ♪こーんにちわ〜♪」
「一体なんなんだおま…え…？」
なにがどうなっているのか訳が分からなくなっていたアースラが少女を顔面から引き剥がして問う。
問おうとするのだが、どうにも頭がふわふわとした感じで思考が空回りしてしまう感じに苛まれる。
「あたしはハピネス〜♪幸せを呼ぶケサランパサラン…って知ってるかな〜？キャハハッ♪」
「幸せを呼ぶ…？」
「そそ〜♪あたしもその一人なのだよ〜♪えっへん！」
頭がふわふわとしてぼーっとした思考の中でも気付いた事がある。
彼女の体重が、異常に軽いのだ。
まるで大きな綿菓子でも持っているかのような軽さに、戸惑いはしてもそれ以上が考えられない。
結局は、この、自分をハピネスと名乗る全裸の少女と話をしてしまう。
「ハピネス……コイツと一緒だな……名前…」
「うん？このワンちゃん？ぐったりしてるね〜」
死んでるんだよ、とはどうしても伝えられなかった。
彼女の笑顔を曇らせたくないという理由もあったが、もっと強い理由があった。
それは「思考がぼやけていたから」だ。
悲しみに暮れて、きっと涙も枯れた自分も忘れて、ただぼーっとしている。
まるで、今までずっとそうしてきていたみたいに。
「よいしょ……うぅぅぅぅぅん……えいっ♪」
「なに…してるんだ…？」
「最近寒くなってきたからね〜♪毛玉の毛布だよ〜！風吹かなきゃあったかーい♪」
「そうか……ありがとうな…」
彼女が自分の腰についた毛玉の塊を、少し千切って宙へ放り投げる。
するとどうだろう、空中で平たくなったかと思えば、あっという間に掛布団が出来上がっていた。
新品で真っ白な、アースラだって使った事が無いような純白の羽毛布団だ。
それが、ゆっくりと安らかに眠るハピネスへ掛けられる。
この子なりに気を遣ってくれたのだろうか。
「さて、だんなさま？」
「えっ？うわっぷ…」
今度はアースラの顔の周りを、さっきと同じような毛玉が集中して飛ぶ。
ふわふわと浮くそれらは、空中で擦れ合う毎に分解していき、小さな粉の粒が彼の呼吸と共に体内へ入ってくる。
と同時に彼にはある異変が起こっていた。
「ぷぇあ！うあぁあ……あぅぅ…」
「あちゃ〜、やり過ぎたのかなぁ〜…まぁいいや♪」
先程までぼーっとしていたのと少し違い、何かを考えようとするのを阻止されるような感覚に襲われたアースラは、もう既にハピネスを抱いているだけで精一杯となっていた。
「ふふっ……ふ〜っ♪」
「うぁあっ！？や…ば…いぃぃ…」
ちょっと耳に息を吹きつけてやるだけでも、ボロ布を押し退けて彼の凶悪な逸物が一気にそそり立って今にも射精しそうな勢いでビクンビクンと揺れている。
本人の方も、目は虚ろでどこか空を見上げているようだ。
ピクピクと震える手足は、きっと何かしら動こうとしているのだろう。
「だしてい〜よ？あぁ〜……んっ♪」
「っぐぅっ？！？！あぁぁぁあぁっ！！」
ハピネスの小さな口が、ビクビクと暴れ狂うアースラのモノをパクリと咥える。
次の瞬間には、その刺激に耐えられず彼女の口の中へ思いっきり精を吐き出していた。
薄れた意識の中で分からないだろうが、きっと彼が今までに射精した中で一番の勢いがあったかも知れない。
「んぐっ……んぐっ………ぷぁぁ〜……けぷっ…」
「はぁ…はぁ……あぅぅ……はぴ…ねすぅ…」
もう自分が立っているのか座っているのかすらも分からない。
きっと座っているのだろうと言う事は分かっても、目の前に居る彼女の笑顔以外に何も考えたくないと思う自分がいる。
その顔は、出会ってほんの少ししか経っていない筈なのに、まるで幼い頃から好きだった幼馴染のような感じに見えた。
気が付けばアースラは、彼女の胸に顔を埋めてしまう。
「うん？どしたの〜？…んひゃぅっ♪くすぐったぁい♪」
「はひ…ねふ……はぁ……はぁ…」
ハピネスの、成長のせの字もないような小さな胸をこれでもかと舐め回す。
胸全体を、円を書くように、だんだん中心へ向かう様に、頂点にある小さな蕾を甘く噛んでいく。
悶えるハピネスを、今では身体中で愛していた。
「うぅぅ……いたずらしちゃ……だめだよぉぉ…」
「はぁ…はぁ……うぅぅっ…」
気が付けば、抱き合う形になっていた彼女の腰目掛けておもいきり射精していた。
きっと頭の中がぼやけていなければ、ハッキリと射精した音が聞こえた事だろう。
刺激が強すぎて、もうどうにかなってしまいそうな感覚に、身体が悶える。
「もぉぉ……えっ？…んぎぃぃぃぃっ！」
「おぁあぁぁぁぁぁ！！」
身体が悶えたのがきっといけなかったのだろう。
まるで最初から狙っていたかのように、アースラはハピネスの膣内を自身の愚息でブチ抜いた。
その中は今まで味わった事の無い程のキツさと気持ち良さが同居していて、気が付けば大量の精を彼女へぶちまけていた。
ﾄﾞｸﾝﾄﾞｸﾝと脈打っている鼓動はちゃんと伝わってくるし、その刺激のおかげもあってか、靄にまみれた意識もなんとか戻ってくる。
気が付いて最初に見たのは、だらしなく涎を垂らして両手をﾌﾟﾙﾌﾟﾙと震わせながらも自分へ向けているﾊﾋﾟﾈｽの笑顔だった。
「えへぇぇぇぇ♪しゅっごいよぉぉぉ♪らぁいしゅきぃぃぃ♪」
「ぐっ……あぁぁぁ……あぅぅ…」
ﾊﾞﾁﾊﾞﾁと電気が身体中を流れているかのような刺激と快感に、自然と身体が彼女を抱き寄せる。
ギュッと彼女をしっかり持ち、人形でも抱いているかのように乱暴に動かしていく。
この際、いつのまに腕が動くようになっていたかなんてどうでもいい。
「ぎひにぃぃ♪ぎちぎちってしゅっごいにょぉぉぉぉ♪だんにゃしゃまはぁぁぁぁぁ♪」
「うおぁぁぁぁぁぁ……で、でるぅぅぅぅ！！」
そう言うが早いか、一気に一番奥まで捻じ込み、そのまま全てを彼女の一番奥のさらに奥めがけて吐き出した。
――――――――――――――――――――――
「――――えへへぇ♪ねぇねぇ、種できたよぉ♪」
「へぇ、どれどれ…？」
スラム街の一角にある家の窓から、城を覗く一人の少女がいた。
彼女は傍に居た彼を呼び、手に持つ小さな種子を彼に見せる。
今にも風に乗って飛んでいきそうな、そんな小さな種が、彼女の手には乗っていた。
「よいしょ………えいっと♪」
「そうやって風に飛ばすのか…」
「どうだろうねー？あたしはこうかなーって思っただけなのっ♪えらい？」
「あぁ、偉いよハピネス…」
そう言って彼女の頭をしっかりと優しく撫でてやる。
思い出すのは数年前、彼女と名を同じくする犬を飼っていた時の事だ。
飼っていた、と言うよりは友人として接していたのだが、ハピネスが鳥などを狩ってきた時なんかはとっても褒めてやったものだ。
"彼女"はもう居ないが"彼女"は今も傍に居る。
「にっひひ〜♪」
「………？」
いつもと同じように、彼へ笑顔を向ける彼女。
だが、その笑みはいつもとほんの少しだけ違うものだった。
何かを企み、これからそれをしてやろうと言う時の顔だ。
無邪気な子供の笑みを真似たのだろうが、可愛さ以外に感じ取れるものなど何もない。
「だぁ〜いすき♪愛してるよぉ、アースラぁ♪」
「いきなりどうｓ……俺もだよ、ハピネス…」
ぎゅっと抱きついてくる彼女には、流石の彼もお手上げであった。
いつからだっただろう、彼が人を嫌う事を止めたのは。
いつからだっただろう、彼女が彼を名前で呼ぶようになったのは。
彼が今まで呼んでいたのは、愛犬の名だった。
彼が今から呼んでいるのは、最愛の妻の名になる。
これから先、彼らに待ち受けているのは、ずっとずっと先まで愛し合う事だけなのだ。
終わり
例えば、友人を傷付け自分も傷付き、修復の効かない深く暗い亀裂を自ら作り出す。
例えば、今まで愛していた者を傷付け、その責任逃れに自分も傷付こうとして気が付けば死んでしまう。
例えば、仲の良かった肉親や親友を手に掛け、そのひび割れた心に塗りたくる。
一体誰が言い出したか、「幸と不幸は紙一重」なんて言葉もあるくらいだ。
「………」
この青年、「アースラ」は思う。
暗く淀んだその瞳の先に見えるのは、今まで愛していた、愛してくれていた愛犬の横たわる姿。
何も誰かに殺された訳ではない。
元から長生きしてくれていた彼女にも、ついにその時が来たと言うだけだ。
だが、アースラは言い知れない悲しみに包まれていた。
「お前で……最後だったのにな……ハピネス…」
呟きながら、彼は涙を流して動かないままの愛犬を撫でていた。
彼の脳裏に過るのは、今まで目の前で儚く散って行った者たちの顔。
貧しかった自分を弟の様に可愛がってくれた兄貴分の顔。
貧民街で出会った、元気いっぱいの少年少女たち。
近所でパン屋をしていた魔物娘のおかみさん。
みんな、もうどこにも居ない。
「………俺も……皆の所に行くのかね…」
きっと城下町の方では今頃、王家がどうのとかでパレードの一つでも催しているのだろう。
祝砲の爆発音が、貧民街の路地裏に横たわる青年の腹に痛い程響いてくる。
富める者にはとにかく富を、貧しき者には慈悲も無し。
そんな国是は反感を買うだろう。
実際、何度となくデモは行われたが、どれもあっさり鎮圧されたのを思い出す。
そういえば、その時の騒乱で兄貴分も町の子供たちも皆…
「………雪…？」
空を見れば、ひらひらと降る粉雪が見て取れた。
だが季節は秋、程よい寒さと温かさが混ざり合ったような気温であり、ボロ布のような服を来ただけの彼でも丁度いいと感じるような気温だ。
そんな中で、雪が降るとは到底思えなかった。
「ははっ……お前が見せてくれてるのか……ハピネス…？」
「はぁぁぁぁああい！！」
「っ？！」
アースラは自分の目を疑った。
隣で横たわったまま動かず、後は身体の肉が腐るのを待つだけとなっていた愛犬を呼んだはずが、別の、というか真上から聞き覚えのない声が聞こえてきたのだ。
振り向いてみれば、そこに居たのはちょうど町の子供たちと同じような幼い少女。
それが、全裸で腰に綿を付けただけのような状態で「自分の頭の上から舞い降りた」
「なっ……なにっ…」
「みつけた〜♪みつけたみつけた〜♪」
「わっぷ！」
少女を見上げる形のまま、驚きのあまり固まっていたアースラだったが、気が付けば彼女は彼の目の前まで降りてきていた。
次の瞬間には、アースラの顔を腰の綿の中へ招き入れて彼の顔面に着地する。
「やぅん♪くすぐったぁい♪」
「っ？！？！？！」
分かりやすいよう説明するなら、全裸の幼女が天から舞い降りてきたかと思えば、彼の顔面を自分の股間にｼｭｩｰｰｰｰｰｯ！超ｴｷｻｲﾃｨﾝｯ！という訳である。
いや、別にｴｷｻｲﾃｨﾝｸﾞな訳がないが。
「よい…しょっとぉぉ！！」
「っ？！(ヤバ…)……？」
眼を白黒させて慌てふためくアースラの事など放置して、少女は彼の顔面へ体重を掛けて行く。
女の子の恥ずかしい所がむにむにと押し付けられる感覚に陶酔を覚えるよりも先に、アースラは危機を感じていた。
このまま倒されれば、彼女の下敷きになる形で後頭部を強打してしまう。
最悪死んでしまうかも知れない。
一瞬の出来事に対処が出来なかった彼が諦めようとも思った次の瞬間には、不思議な事が起こっていた。
頭を打つことも、のしかかられる事もなく、ただただふわりとした浮遊感に包まれていたのである。
「あははっ♪こーんにちわ〜♪」
「一体なんなんだおま…え…？」
なにがどうなっているのか訳が分からなくなっていたアースラが少女を顔面から引き剥がして問う。
問おうとするのだが、どうにも頭がふわふわとした感じで思考が空回りしてしまう感じに苛まれる。
「あたしはハピネス〜♪幸せを呼ぶケサランパサラン…って知ってるかな〜？キャハハッ♪」
「幸せを呼ぶ…？」
「そそ〜♪あたしもその一人なのだよ〜♪えっへん！」
頭がふわふわとしてぼーっとした思考の中でも気付いた事がある。
彼女の体重が、異常に軽いのだ。
まるで大きな綿菓子でも持っているかのような軽さに、戸惑いはしてもそれ以上が考えられない。
結局は、この、自分をハピネスと名乗る全裸の少女と話をしてしまう。
「ハピネス……コイツと一緒だな……名前…」
「うん？このワンちゃん？ぐったりしてるね〜」
死んでるんだよ、とはどうしても伝えられなかった。
彼女の笑顔を曇らせたくないという理由もあったが、もっと強い理由があった。
それは「思考がぼやけていたから」だ。
悲しみに暮れて、きっと涙も枯れた自分も忘れて、ただぼーっとしている。
まるで、今までずっとそうしてきていたみたいに。
「よいしょ……うぅぅぅぅぅん……えいっ♪」
「なに…してるんだ…？」
「最近寒くなってきたからね〜♪毛玉の毛布だよ〜！風吹かなきゃあったかーい♪」
「そうか……ありがとうな…」
彼女が自分の腰についた毛玉の塊を、少し千切って宙へ放り投げる。
するとどうだろう、空中で平たくなったかと思えば、あっという間に掛布団が出来上がっていた。
新品で真っ白な、アースラだって使った事が無いような純白の羽毛布団だ。
それが、ゆっくりと安らかに眠るハピネスへ掛けられる。
この子なりに気を遣ってくれたのだろうか。
「さて、だんなさま？」
「えっ？うわっぷ…」
今度はアースラの顔の周りを、さっきと同じような毛玉が集中して飛ぶ。
ふわふわと浮くそれらは、空中で擦れ合う毎に分解していき、小さな粉の粒が彼の呼吸と共に体内へ入ってくる。
と同時に彼にはある異変が起こっていた。
「ぷぇあ！うあぁあ……あぅぅ…」
「あちゃ〜、やり過ぎたのかなぁ〜…まぁいいや♪」
先程までぼーっとしていたのと少し違い、何かを考えようとするのを阻止されるような感覚に襲われたアースラは、もう既にハピネスを抱いているだけで精一杯となっていた。
「ふふっ……ふ〜っ♪」
「うぁあっ！？や…ば…いぃぃ…」
ちょっと耳に息を吹きつけてやるだけでも、ボロ布を押し退けて彼の凶悪な逸物が一気にそそり立って今にも射精しそうな勢いでビクンビクンと揺れている。
本人の方も、目は虚ろでどこか空を見上げているようだ。
ピクピクと震える手足は、きっと何かしら動こうとしているのだろう。
「だしてい〜よ？あぁ〜……んっ♪」
「っぐぅっ？！？！あぁぁぁあぁっ！！」
ハピネスの小さな口が、ビクビクと暴れ狂うアースラのモノをパクリと咥える。
次の瞬間には、その刺激に耐えられず彼女の口の中へ思いっきり精を吐き出していた。
薄れた意識の中で分からないだろうが、きっと彼が今までに射精した中で一番の勢いがあったかも知れない。
「んぐっ……んぐっ………ぷぁぁ〜……けぷっ…」
「はぁ…はぁ……あぅぅ……はぴ…ねすぅ…」
もう自分が立っているのか座っているのかすらも分からない。
きっと座っているのだろうと言う事は分かっても、目の前に居る彼女の笑顔以外に何も考えたくないと思う自分がいる。
その顔は、出会ってほんの少ししか経っていない筈なのに、まるで幼い頃から好きだった幼馴染のような感じに見えた。
気が付けばアースラは、彼女の胸に顔を埋めてしまう。
「うん？どしたの〜？…んひゃぅっ♪くすぐったぁい♪」
「はひ…ねふ……はぁ……はぁ…」
ハピネスの、成長のせの字もないような小さな胸をこれでもかと舐め回す。
胸全体を、円を書くように、だんだん中心へ向かう様に、頂点にある小さな蕾を甘く噛んでいく。
悶えるハピネスを、今では身体中で愛していた。
「うぅぅ……いたずらしちゃ……だめだよぉぉ…」
「はぁ…はぁ……うぅぅっ…」
気が付けば、抱き合う形になっていた彼女の腰目掛けておもいきり射精していた。
きっと頭の中がぼやけていなければ、ハッキリと射精した音が聞こえた事だろう。
刺激が強すぎて、もうどうにかなってしまいそうな感覚に、身体が悶える。
「もぉぉ……えっ？…んぎぃぃぃぃっ！」
「おぁあぁぁぁぁぁ！！」
身体が悶えたのがきっといけなかったのだろう。
まるで最初から狙っていたかのように、アースラはハピネスの膣内を自身の愚息でブチ抜いた。
その中は今まで味わった事の無い程のキツさと気持ち良さが同居していて、気が付けば大量の精を彼女へぶちまけていた。
ﾄﾞｸﾝﾄﾞｸﾝと脈打っている鼓動はちゃんと伝わってくるし、その刺激のおかげもあってか、靄にまみれた意識もなんとか戻ってくる。
気が付いて最初に見たのは、だらしなく涎を垂らして両手をﾌﾟﾙﾌﾟﾙと震わせながらも自分へ向けているﾊﾋﾟﾈｽの笑顔だった。
「えへぇぇぇぇ♪しゅっごいよぉぉぉ♪らぁいしゅきぃぃぃ♪」
「ぐっ……あぁぁぁ……あぅぅ…」
ﾊﾞﾁﾊﾞﾁと電気が身体中を流れているかのような刺激と快感に、自然と身体が彼女を抱き寄せる。
ギュッと彼女をしっかり持ち、人形でも抱いているかのように乱暴に動かしていく。
この際、いつのまに腕が動くようになっていたかなんてどうでもいい。
「ぎひにぃぃ♪ぎちぎちってしゅっごいにょぉぉぉぉ♪だんにゃしゃまはぁぁぁぁぁ♪」
「うおぁぁぁぁぁぁ……で、でるぅぅぅぅ！！」
そう言うが早いか、一気に一番奥まで捻じ込み、そのまま全てを彼女の一番奥のさらに奥めがけて吐き出した。
――――――――――――――――――――――
「――――えへへぇ♪ねぇねぇ、種できたよぉ♪」
「へぇ、どれどれ…？」
スラム街の一角にある家の窓から、城を覗く一人の少女がいた。
彼女は傍に居た彼を呼び、手に持つ小さな種子を彼に見せる。
今にも風に乗って飛んでいきそうな、そんな小さな種が、彼女の手には乗っていた。
「よいしょ………えいっと♪」
「そうやって風に飛ばすのか…」
「どうだろうねー？あたしはこうかなーって思っただけなのっ♪えらい？」
「あぁ、偉いよハピネス…」
そう言って彼女の頭をしっかりと優しく撫でてやる。
思い出すのは数年前、彼女と名を同じくする犬を飼っていた時の事だ。
飼っていた、と言うよりは友人として接していたのだが、ハピネスが鳥などを狩ってきた時なんかはとっても褒めてやったものだ。
"彼女"はもう居ないが"彼女"は今も傍に居る。
「にっひひ〜♪」
「………？」
いつもと同じように、彼へ笑顔を向ける彼女。
だが、その笑みはいつもとほんの少しだけ違うものだった。
何かを企み、これからそれをしてやろうと言う時の顔だ。
無邪気な子供の笑みを真似たのだろうが、可愛さ以外に感じ取れるものなど何もない。
「だぁ〜いすき♪愛してるよぉ、アースラぁ♪」
「いきなりどうｓ……俺もだよ、ハピネス…」
ぎゅっと抱きついてくる彼女には、流石の彼もお手上げであった。
いつからだっただろう、彼が人を嫌う事を止めたのは。
いつからだっただろう、彼女が彼を名前で呼ぶようになったのは。
彼が今まで呼んでいたのは、愛犬の名だった。
彼が今から呼んでいるのは、最愛の妻の名になる。
これから先、彼らに待ち受けているのは、ずっとずっと先まで愛し合う事だけなのだ。
終わり
16/02/01 17:38更新 / 兎と兎