charme.s poemer
心の不浄を全て綺麗さっぱり洗い流してくれるような、そんな澄んだ音が、空気の
振動と共に耳に伝わって来て非常に心地がいい。
ここは家の中だと言うのに、まるで風の吹く草原に気持ち良く寝転んでいるかのよ
うな気分にさせてくれる。
響くピアノの弦が奏でる音色は、瞬く間に聞く者の心を落ち付かせて、頭の中が蕩
けてしまいそう。
「………」
一人の少年が、椅子に座って鍵盤に指を滑らせながら音色を奏で続ける。
一体、それがどれほど昔の事になっただろうか。
――――――――――――――――――――――――――
「………」
埃っぽい書斎に、山積みにされた本たちが一カ所を円にしてバリケードのように積
み重なっている。
どれもこれもペンのインクや修正液で汚れていて、扱いの悪さが一目で分かるだろ
う。
そんな本たちの中に隠れるようにして、一人の青年が机に向かってペンを走らせて
いた。
スラスラと文字を書いている彼の両手には、ビッシリと包帯が巻かれていて、見て
いるだけで痛々しさを痛感させられそうだ。
「……はぁ…………外でも出るか…」
書きかけの紙を裏返し、文鎮のような重石を乗せた青年は、ふと立ち上がると外出
の用意を始めた。
外はまだまだ寒さが残っているようで、厚めのコートを手に青年は外へ出ようと部
屋の扉を開ける。
「…リンシー、ちょっと出てくるよ…」
「ふっふふ〜ん♪…あっ、ヴィント〜♪」
扉を開けた先では、一人の少女が厨房に立って何かを作っていた。
ただ、その少女は明らかに人間では無かったのだ。
容姿はどこからどう見ても10代の少女、いや10代にも満たないかもしれない程に幼
い容姿をしている。
そんな彼女の衣服はとても幻想的で、この世界の物とは思えないような光沢を放っ
ていた。
まぁ、これだけだったらチョイスの残念な娘さんなんだなぁと思う程度かもしれな
いだろう。
だが、振り向いた彼女には、所々に人間の女性との相違点を見て取る事が出来る。
「あのねあのね〜?ヴィントの為にってご飯作ってたんだよー?」
「……ありがとう、リンシーは優しいな…」
「えっへへ〜♪」
明るく笑う彼女の耳は、常人では考えられない程に鋭く尖っていてとても長い。
このような特徴は、主にエルフなどに見られる特徴であったが、こっちは比較的色
々な種族の特徴にもなっているらしい。
次に、背中には胴体ほどの大きさの半透明の翼が生えていた。
コスプレ衣装なんかで見かける事もあるような大胆で斬新で、そして何より煌びや
かな印象を与えるこの羽根は、彼女達がリャナンシーと呼ばれる魔物である事を物
語っていた。
リャナンシー、大昔の伝承や物語に登場する男性に才能や知識を与える代わりに精
気や血を吸って死に追いやると言う魔女、もしくは鬼の事を言うらしい。
だが、そんなイメージをこの少女に抱く事が出来るだろうか?
音符を形取った帽子を被り、サイドポニーをフリフリと揺らす小さな女の子からは
、そんなイメージは微塵も感じられない。
「ねぇねぇ、私ね……最近思う事あるんだー…」
「…うん?どうしたんだ…?」
頭を撫でられて喜んでいるらしく、リンシーは小ぶりな顔をリンゴのように真っ赤
にしながら、手持無沙汰になっている手を体の前で組んで身体を妙にクネクネさせ
ていた。
女の子なら誰しも、恥ずかしい時についつい取ってしまうのではないだろうか。
特に好きな人の前でとか、何か言い辛い事がある時とかに。
「あのね………も、もうお腹いっぱいな毎日だし、ヴィントも毎日一緒だからとっ
ても嬉しいんだけど…」
「………要約すると?」
何か言いたい事がある事はあるらしいが、言いだし辛いのか言うのが恥ずかしいの
か、リンシーは前置き的な説明をいくつも口にして行く。
が、長々と話を聞いていては、言いたい事も言えなくなって会話がちぐはぐになっ
てしまうかもしれない。
だからこそ、ヴィントは話を纏めようとしたのだ。
「セックスレスで悩んでます」
「……随分ストレートに来たな…」
ついさっきまで顔を真っ赤にしてモジモジしていたリンシーだったが、一瞬だけ真
顔になったかと思えばこの爆弾発言である。
さすがのヴィントでも、これには少し引いたと言わざるを得ない。
と言うより、さっきまであれだけ恥ずかしそうにモジモジしていたのに、この瞬間
だけ素に戻ると言うのも卑怯だ。
「やらないか……と言うよりやらせてー!」
「……」
目が血走っているような勢いでグイグイとヴィントの服を引っ張る彼女の姿は、幼
い子供や妖精らしさを微塵も感じさせない。
目の前に居るこの小さな少女は、立派な一人の魔物であり、性に飢えた獣なのであ
る。
「沈黙は承認とみなす!よってこのまま……はぁはぁ……ゴクリ…」
「……そろそろなんじゃないか…?」
何かを知っているかのように、微動だにしないヴィントの事など気にも留めず、リ
ンシーはそのままヴィントのズボンをずらして荒い息遣いと共に、ビンビンに張り
詰めた彼の逸物をマジマジと見ている。
「はぁはぁ……ふぇ?そろそろ…って…はにゃぁぁあぁ…」
「……やっぱり…」
野獣の様な眼光で逸物を見つめていたリンシーだったが、不意に彼女の身体から少
量の湯気が立ち込めたかと思うと、みるみる内にリンシーの身体が縮んでいった。
あっという間に縮んでいき、気が付いた頃には手のひらサイズよりほんの少し大き
い程度までコンパクトになってしまう。
「はぅうぅぅ……ヴィントぉぉ…」
「やれやれ……そんな身体じゃ続きは出来ないな?それじゃ、ちょっと出てくるよ
…」
自身にかけてあった魔法が解けてしまい、縮んでしまったリンシーは悔しさからビ
ィビィと泣き始めてしまう。
呆れるように彼女の頭を撫でてやったヴィントは、身なりを整えて出掛けようと立
ち上がった。
「……どうしたんだ?一緒に行くか?」
「………うん、一緒にイカせて…」
なんだか危険なイントネーションだったような気もするが、それも気にせずヴィン
トはぐずるリンシーを肩に乗せ、家の扉をくぐって外へ出る。
これから出掛けようと思っている場所は、ヴィントにとってもリンシーにとっても
縁のある場所だ。
――――――――――――
彼らの住む家からそう離れていないような場所に、この建造物は聳えていた。
何十年も前からあるにも関わらず、その堅牢な作り故か地震や嵐などではびくとも
しなさそうな石造りが視界いっぱいに広がって来る。
カビ臭い匂いが良く似合う、この辺りでは結構有名な図書館だ。
一般公開もされているのだが、いつも暗い事と不気味な様相、そして何よりここの
主のちょっとしたクセのせいで誰もここに立ち寄ろうとはしないんだそうな。
「ねぇねぇヴィント〜♪今日もあの人のトコ行くの〜?」
「…ここまで来て聞く事がそれか…」
ヴィントの腕に抱きついて、じゃれつくように話しかけてくるリンシーだが、傍か
ら見れば彼女は抱っこ人形以外のモノには見えないだろう。
呆れ顔のヴィントの事など忘れて、リンシーはただひたすらにヴィントに甘えてく
るばかり。
これではそこらの猫やら犬となんら変わらないではないか。
そんな事を思いつつも扉に手をやったヴィントだったが、異変は不意に訪れる。
…………………
「……ヴぃ…ヴィントぉぉぉぉ…」
「…やれやれ…またこの展開か…」
扉を少し開けた矢先に、カビ臭い匂いが押し寄せるよりも早く不気味なうめき声と
も叫び声とも取れる声が聞こえてきた。
断末魔っぽく聞こえたかもしれないし、はたまた歓喜に酔い痴れる歓声にも聞こえ
た。
とにかく言える事と言えば、奥の方から誰かの声が聞こえてきたという事実。
そして、ここの常連さんであるヴィント達にはこの正体が何なのか、だいたいの見
当と察しはついている。
「…ほら、また怖がってる…」
「ひゃぅ!ヴぃ…ヴィントッ……んはぁぁ…」
リンシーがヴィントの腕にギュッとしがみ付いて、脈を測る器具に締め付けられる
ような感覚になっているヴィント。
だが、彼は嫌そうな顔一つせずに彼女のプルプルと小刻みに震えている半透明の羽
根を掴んで逆撫でる様に指を通す。
まるで身体中に電気が走ったかのような衝撃に、リンシーは身体をビクンッと跳ね上
がらせて恍惚にひたっているような表情になった。
「…さて、と」
「あはぅ……ま、まってぇぇ…」
ひとしきり撫でまわして、ヴィントの手の上ですっかり陶酔状態になってしまった
リンシー。
体はビクビクと震え、涎をだらしなく垂らしていながらもヴィントにもっともっと
としきりにねだって来る。
その内、ヴィントはパッと手を離して、とりあえず声の聞こえる方へ歩き出した。
リンシーの制止も聞き入れず、目的の場所へテクテク歩いて行く。
「…入るぞ…」
「うぁぁ……ま、またっ……出るぅぅぅぅ…」
「そうっ!もっと来てぇぇえ!」
「あはぁぁぁ!パパのテクニックは世界一イィィィッ!」
扉を開けると、そこでは地べたに寝転がって互いに戯れる三人の姿があった。
一人の少年が、二人の女性にのしかかられて快楽に喘いでいる。
ただ、その二人の方は明らかに人間では無いのだ。
片方は濃い群青色の粘体の身体を持ち、もう片方は鮮やかな水色の粘体で身体を構
築している。
世間一般的にも個体数はそこそこ生息しており、知名度もかなり高い。
彼女たちを総じて、「スライム」又は「ブルースライム」と皆は呼ぶ。
何故、ブルースライムと呼ぶ人も居るかと言うと、このスライムにはいくつか種類
があり、それらの粘体色は種類によってマチマチだからである。
どこかの物語では、非武装の村人Aが素手で倒せるような弱さをイメージさせたか
と思えば、別所では「武器が効かない」「取り込んで溶かして吸収」「無限に増え
る」と言った悪魔の様な強さをイメージさせる物語も存在するのだとか。
「はぅあぅ………あぁ…ヴィントさんか……って、ヴィントさんっ?!」
「あはぁ♪ヴィントさんだぁ〜♪お久しぶり〜♪」
「ヴィントお兄ちゃん、やっほー♪」
先程まで思いっきり性交に臨んでいたとは思えないほど、明るく陽気に挨拶をして
くれた二人のスライムに関しては何も言う事はあるまい。
そのニコニコとした笑顔がまぶし過ぎる程だ。
だが、問題はその二人では無く少年の方だろう。
今までにどれほど彼女たちに絞られてきたのだろうかと思うほどに、彼の手足には
力が入ってない様に感じられる。
事実、快感に浸ると言うよりは、衰弱しているのに力を入れようとしているような
感じで彼の四肢はプルプルと震えているのだから。
「…相変わらず、元気そうで何よりだよ…」
「うん…その………ひゃん!う、羨ましくなんかないんだからねっ?!」
「あははっ♪ひゃん!だって〜♪」
相変わらずヴィントの肩の上でモジモジしていたリンシーだったが、またしてもヴ
ィントに羽根を逆撫でられて体が飛び跳ねる。
それを見ていたスライムが、ケタケタと笑い飛ばす。
「久し振り、トリアとミアとマイ」
「あはは……お久しぶりぃ…」
「いぇーい!一児のママになっても元気なミアちゃんでーす!」
「あははっ♪ママもう元気なんだぁ♪トロットロだったのにぃ」
なんだかはっちゃけた感じもするが、これでもスライムとしては頭が働いているほ
うなんだそうだ。
まぁ、この二人の呼び方は、トリアに気力があればこのように…
「あぁもう!二人して僕の事襲うの止めてよっ!バカばっかりだなぁもう!」
「ふふっ…そんなにぷーぷーしてると牛になっちゃうよー?」
「パパの牛ー♪もー!もー!って!キャハハ♪」
と、まぁこのように、見ていて口の中がどうにも甘ったるくなってしまいそうな展
開が始まっていた。
夫婦水入らずどころか、一家団欒の様相を見せている。
否、見せつけているのだろうか。
なんにせよ、ヴィントはこういった状況に慣れている訳でも無ければ時間を潰しに
来た訳でも無い。
「さて、用件は迅速に。借りてた本、返しに来たよ」
「あぁ、ありがとう。手紙の一つもくれればこの子たちに取らせに行ったのに」
適当な場所に設置されている円卓の上に、持ってきた本を置いて早々にその場を去
る事にする。
というより、彼らのお楽しみをこれ以上邪魔するのは野暮というものだろうと感じ
たからだ。
それもあるし、何よりリンシーの様子が先ほどからおかしいのだ。
「うぅ〜……用事済んだなら早く出ようよぉ〜…」
「あぁ、分かったから引っ張らないで……それじゃぁ、これで失礼するよ」
「うん、また何か用があったr…あひぃ!」
どうやら、ヴィントが扉を閉めるよりも早く、スライムたちに襲われているようで
ある。
グチュグチュとしたいやらしい音と共に悲鳴と歓喜、そして笑い声が聞こえてくる
。
なんとも微笑ましい家族愛を視界の端に捉えながら、ヴィント達はこの場を後にす
るのだった。
「おっと、そうだ…ほら…」
「あひぃぃぃぃぃ!ふぁぁぁぁ、ありがとぉぉぉ…」
屋敷を出たあたりで、ふと思い出して肩に留まったままのリンシーのパタパタと揺
れる羽根をゆっくりと優しく、糸の解れを整えるように撫でてやる。
根元から先端まで撫でてやった為か、彼女は先ほどに同じようにしてやったのより
もオーバーな反応で身体をビクビクと震わせていた。
肩に座るように留まって居た為、あまりの快感に彼女が漏らす程に秘部を濡らして
いるのがよく分かった。
というか、肩に染みつくどころか浸透して肩を滴っていく。
一体どれだけ漏らしてるのやら。
まぁ、今となっては気にならないが。
というのも。
「まったく……どれだけ漏らせば気が済むんだ…」
「ゴメンゴメーン……あははは……んしょ…っと…」
リンシーが、どこからともなく取り出した魔法の粉が即座に肩へ振り掛けられる。
するとあっという間に肩に染みついていた液体が消え去ってしまう。
後には液が垂れていたどころか、まるで最初からお漏らしなんかしてないし粉なん
か振り掛けてないかのような状態に戻っていた。
「やっぱりすごいね!アヌビスの………えぇと…」
「オアシスさん、だろ?もう忘れたのか?」
「うん、そう、オアシスさんだ!」
恩人の名前を忘れるというのも酷いものだ。
彼らの言う人物とは、彼らが砂漠へ出向いていた時に出会ったアヌビスの夫婦の事
である。
歌のネタに事欠いてしまい、タイトルだけは決まっていたのでそれに基づくネタ集
めの為に砂漠を旅していた時に出会ったのだ。
今思えば、かなり突拍子もない出会いだった気がする。
「確実に今まで忘れてただろう…」
「そっ、そんな事あひぃぃぃぃ!」
どれだけ刃向うような態度を取っていても、結局の所、この快楽には勝つことが出
来ないようである。
パタパタと揺れる羽根を指の腹で弄ってやると、痙攣でも起こしたかのようにビク
ビクと硬直したまま震えて恍惚の笑みを浮かべる。
正直言って、いじけた時は高確率で肩の上に乗ってくる事と、こうしてやると低確
率で漏らす事に内心うんざりしていた。
「はぁ…はぁ…はふぅ……んぅぅ…」
「やれやれ…満足したらすぐに寝て……子供かと……子供か…」
自分で言っておいて自分で間違いに気付く、そしてその後には、なんとも言えない
沈黙が二人を包む。
元から人があまり来る所ではないからか、周囲には人っ子一人居ないから余計に虚
しくなるだけだ。
「はぁ……返すものも返したし、帰るか…」
ボソっと呟きながら、ヴィントは家路に戻る。
途中で適当な布きれを買ってやり、リンシーの毛布としてくるんでやったりもした
。
ハッキリ言ってパンか何かを包んでいるのかと思うような包み方だが、首から先だ
けはちゃんと出しているから勘違いされるような事は無いだろう。
――――――――――
「……むにゃ……あったかいよぉ…」
「そうか、それは何よりだ…」
そう遠くはなかった筈だが、リンシーの毛布を買いに寄り道していたからだろうか
、随分と夜遅くになってしまっていた。
晩御飯には丁度いいくらいだろう。
早速だが、ここで問題が生じていた。
というのも…
「ヴィントのコレェ……あったかくってぇ…きもちいぃよぉ…」
「ッ……」
だいたいどんな夢を見ているのかもだいたい想像がついた。
どれだけ欲求不満なのかもだいたい伝わってくる。
料理が出来るのは、この家ではリンシーだけなのだから困った。
ヴィントも出来ない事はない。
ただ、包帯だらけも手ではどうにも雑な物しか出来ない。
だからこそ、リンシーにいつも料理を頼むのである。
なのに料理担当ときたらコレだ。
「いい加減に起き…っ?!」
「んんぅっ!……っはぁ〜……ヴィント、おはよう〜♪」
リンシーを起こそうと彼女に触れた瞬間、確かにヴィントは体中から少しだけ力が
抜けたと感じた。
いや、奪われた、という方が正しいだろう。
その証拠に、起こそうとしたリンシーの身体は、ヴィントの手から微量の精気を吸
い取って成長し、今は10代半ばの女の子程の大きさになっている。
事前に机の上に降ろしておいて、本当に良かった。
「……リンシー…」
「はぁい?……って、何これ!おっきい?!色々と!」
「説明しなくていいからっ!」
目が覚めた時の自分の姿に驚いているのか、自分のたわわに実った胸を両手で鷲掴
みにして、その大きさを実感していた。
こねくり回したり、思いっきり力強く揉んでみたりもした。
そのどれもが気持ちいいらしく、悶えながら自分の身体で遊んでいるような風に見
える。
「すごぉい!すごいよヴィントォ!」
「分かった!分かったから…ってのわぁ!」
今までに見た事も無い程に自分の姿が成長していた事に歓喜したリンシーは、喜び
のあまりヴィントに抱き着いてくる。
小さい姿のままであれば、抱っこ人形のような感じで抱き着かれるだけで何も迷惑
になることも無い。
だが、今の彼女は人並みの大きさがある。
例え二周りも背丈に差があったとしても、今の彼女は人間大の大きさになっている
。
それは、不意打ちを受けたヴィントが地面に倒れるには十分な重さと勢いを持つ事
をも意味していた。
「がっ……あぁぁ……」
「ぅあ?!ウ"、ヴィントごめんなさいぃ〜!」
リンシーにそのまま押し倒される形になったヴィントは、足元の床に後頭部からダ
イブしていた。
ゴンッという鈍い音がするのとほぼ同時に、後頭部に激痛が走る。
幸いにも意識を失うような事にはならなかったが、相当に痛い。
そして何よりもまずい事になっていた。
「お…お前はぁ…っ?!」
「ごめん、ホンットにごめん!」
「いっ、いいから隠せっ!」
「えっ?何を……はっは〜ん?」
位置取り的に言ってしまえば、互いの股間が重なりあっているのだ。
幸いにも、ヴィントは勃起しているような事は無いので気付かれていないがこちら
はどうしても注意せずにはいられない。
リンシーが成長した際に、彼女の着ている服装もそれなりの物に変更されていた。
だが、それはサイズのまるで合わない男性用のシャツであり、四つん這いの状態に
ある彼女の胸はブランとぶら下がって丸見えになっていたのだ。
その光景に、不覚にもヴィントは興奮しそうになる。
この状態になっている事を、とにもかくにもリンシーに知られる訳にはいかない。
朝っぱらからセックスレスで悩んでいるなどと告白してくるような程だ。
彼女自身がどれだけ溜め込んでいるのか、分かったものではない。
「ねぇねぇ……ここもすっごく大きいんだよ〜?」
「ぅあ…や、やめろって……」
「えぇ〜?それじゃこのままベッド行ってくれる?」
のしかかったままだったリンシーは、これでもかという程分かりやすく自身の大き
くなった胸をヴィントの身体にこすり付ける。
そのままズリズリと下へ降りていくような動きをしてみせればヴィントは直ぐに意
図を理解して止めさせようとする。
そこがチャンスだった。
そのままなし崩しにお願いしてやると、ヴィントはいつも「あーはいはい」と了解
してくれる。
そして今回も同じだった事にリンシーは密かにクスッと笑っていた。
「あーはいはい、分かったから……ん?」
「よっしゃぁ言質とったぁ!行こうっ?ねぇ早く!」
「ちょっと待てって……あぁもう、今回だけだからな?!」
「はーい!……えへへっ♪」
あっと言う間に寝室のベッドへと連れ込まれてしまった。
そしてリンシーは大急ぎで服を脱いでしまうとその辺にポイッと捨ててしまう。
その際に服が幻か何かだったようにフワッと消えてしまっているがこの際どうでも
いい。
きっとあの服も、魔力が成した形だったのだろう。
「どう?成長した私は?」
「何と言うか……別人抱く見たいだなぁと…」
ここで、ヴィントのこの言葉の受け取り方はいくつかあるだろうがその中から二つ
ほど上げてみよう。
一つは、別人として見ていた事に対して酷いと言う。
もう一つは自分を美人と見てくれた事に対して嬉しいと言う。
「へぇ〜……そんなに綺麗なんだぁ…えへへっ♪」
「あぁ、すっごく綺麗だ、うん」
どうやらリンシーの場合は後者だったようだ。
嬉しくてついつい、くっついて無邪気に笑って見せたりする。
そんな彼女に癒されてか、ヴィントも自然とリンシーの頭を優しく撫でていた。
リンシーも嬉しいようで、一段と笑顔が明るくなっていく。
「さぁって、それじゃ早速………の、前に……あむっ…」
「うぉっ?!」
リンシーが胸を擦り付けていたからか、既にヴィントのモノは堅く大きくなってい
た。
それを見てか、リンシーはそっと指を這わせて都合のいい位置へ持ってきて手でし
っかりと固定する。
そのまま、口の中へ一気に突っ込む。
いつも以上の刺激が、ヴィントの全身を快楽で襲う。
「んぅ……あぅ……ぷぁ…どう?」
「あぁ、気持ちいいよ…」
「よかったぁ…はむっ……れろぉ……じゅるるるぅ…」
ヴィントに喜んで貰えて嬉しいのか、リンシーは尚もヴィントのいきり立つモノを
咥えて舐め回す。
絶妙な舌使いでヴィントを唸らせ、着実に絶頂へと近づけて行く。
「れぅ……じゅるっ……んぅ…」
「はぁ…はぁ……っくぅ!……あぁっ!」
口と舌を巧みに用いている為か、ヴィントは脳が蕩けそうな程の快感に苛まれてい
た。
気が付けば、リンシーの頭を両手でしっかり固定して自分から腰を振るようになっ
ていた。
あまりに気持ちよかったヴィントは、そのまま勢いよくリンシーの口の中へ自分の
精を思い切り吐き出した。
「んんぅっ?!………んぐっ……んぐぅ……ぷぁあぁ…」
「はぁ…はぁ……うぉっと!」
ありったけ吐き出したヴィントは、そのまま背後のベッドに座り込む。
いつもリンシーが人間の姿のまま過ごしたい時などに使っているものなのだが、見
た目以上にフカフカしていて気持ちがいい。
ついつい身体を預けてしまいたくなるが、今はちょっと遠慮しなくては。
「はぁ…はぁ……もう、いいよね…」
「あ、あぁ……おいで…」
ヴィントの言葉と共に、リンシーはヴィントに跨る。
柔らかな内腿の感触を感じると共に、リンシーが見た目よりずっと軽いという事に
気付いたが、今はそんな事はどうでもよかった。
「よいしょ………んぅ……っはぁぁ!」
非常にゆっくりとした動きではあるが、リンシーは自分の中へヴィントのモノを受
け入れていく。
妖精態とも今朝のような少女の姿でもない故に忘れがちだが、リンシーは…
「はぅ〜……は、はじめてだよぉ……あ、あげちゃったぁぁ…」
「あぁぁ……きっつ……うぁ…」
そう、リンシーは処女であった。
妖精にとっての処女の定義がなんであれ、リンシーは初めて男性と繋がれた事にな
る。
きっと、夢にまで見た瞬間だったのだろう。
「あ、あはぁぁ……きもちいぃよぉぉぉぉ!ヴィントぉぉぉぉ!」
「はっ、激しすぎで…っも、もう……うぁあぁぁぁ!」
ムードも何もかもを踏みにじるような、センスの無さ。
それは彼女の子供っぽさ故なのかもしれない。
体中に迸る快感の嵐を受け止めきれず、もっともっとと貪欲にむさぼるリンシーは
、これでもかと思うほどに勢いよく腰を振っていた。
その勢いにすっかり負けていたヴィントは、呆気ないほど早くにリンシーの膣の奥
の奥に贈り物を捧げるのであった。
「はぅぅぅ……どくどく言ってる……でてるよぉぉぉ!」
「こん……のぉ……よいさっ!」
なんとかしてリンシーよりも早く復帰したヴィント。
快感の波に揺られてビクビクと震える彼女を抱え、ゆっくりとヴィントが起きあがる
。
「はぁ……はぁ………あっ、ヴィントちょっと離れて…?」
「…?あぁ…よいしょ…っと」
リンシーに言われるまま、一旦二人の繋がりを解いてベッドの上から降ろしてやる
。
二歩ほど後ろに下がったリンシーの姿は、みるみる内に縮んでいった。
今となっては、いつも通りの人間体の彼女が目の前にポツンと立っている。
まあ、先程と同じく一糸纏わぬ姿ではあったが。
いつも通りの彼女の身体のはずなのに、ヴィントにはそれがいつもの数倍魅力的に
見えた。
「……ふぅ、戻っちゃった…」
「あぁ、でもその姿も可愛いよ…」
「えっ?!ホント?うれしー!続きしよー!ね?!答えは聞いてないっ!」
可愛い、と言われただけでかなり喜んだようで、リンシーはその場でドタバタと飛
び跳ねて喜びを表現する。
以前に聞いた所によると、リンシーの変身の資質は低い方らしく、一糸纏わぬ今の
姿ならその所以も垣間見えた。
彼女の背中をよく見ると、妖精体の時の彼女が一番敏感な所である妖精の羽根が刺
青のような形で体に表れていたのだ。
これが彼女の変身能力が未熟であるという事なのだろう。
などと考えてはいたが、そんな考察をしている間に、リンシーはヴィントを再び押
し倒して彼に跨っていた。
「ねっ?行くよ?…んぅ………いっ……ひぅ……は、はいったぁ!」
「せますぎっ……潰れそうだっ……っくぅ…」
幼い少女の姿であるリンシーは、あっという間に自分の膣へヴィントを迎え入れる
。
先程のような年頃の女性のような身体的余裕は全くなく、膣内は更に狭くなってい
た。
ヴィントのモノも変わらずその大きさを保っていただけにリンシーへの負担も相当
な物だろう。
「あぐっ……きつくて……でも気持ちいぃ……ぅあ…」
ヴィントのモノをよりキツく締め付けるリンシー。
本能的、反射的に身体が彼の張りつめた棒をキュンキュンと締め付けている感覚は
、ヴィントへ極上の快楽を与えていた。
グチュグチュといやらしい音を立てながら、気が付けばヴィントはリンシーの腰を
両手で持ってズンズンと腰を突き入れていた。
「んはぁぁ!いぃっ!いいよぉぉ!んぁっ!……ヴィント…ヴィントぉぉぉぉ!」
「リンシー……すっご…くっ……気持ちいい……すごいぞリンシぃぃぃぃ!」
大きかった方のリンシーの時よりも、何倍も濃く絡み合う二人。
いつの間にか、腰を激しく打ち付けるパンパンという音が寝室の中を反響していた
。
「ひぅぅぅ!いっ……いくぅ……いっしょに…いっしょにいこ?ヴィントぉ…」
「そうだな……いっしょに……一緒にイクぞリンシーぃぃ!」
暫くの間、これでもかという程に激しく交わり合い、愛し合っていた二人。
だが二人とも限界を迎えそうになり、お互いがお互いをギュッと強く抱きしめる。
それと一緒に、リンシーは膣肉を総動員してヴィントの逸物をガッシリと掴んで離
さなくなった。
捕まったのを合図に、ヴィントは最後に思いっきり奥へと腰を突き入れてやる。
グリュッと内蔵を抉られるような感覚と共に、脳内が蕩けそうな程の快感がリンシ
ーを襲う。
それは、彼女が絶頂へ達するのには十分すぎる刺激だった。
「いぐぅ?!ぐりゅってつぶれりゅのぉぉぉ!こわれひゃぅぅぅぅっ!」
「ぐっ……イクッ!出すぞ、リンシー!出る出る…うぁぁあぁぁ!?」
これでもかという程に腰を突き入れ、リンシーの最奥かそれよりもっと奥でヴィン
トは果てた。
自分の思いの限りを尽くして、リンシーの子宮の中へと自分の精子をぶち込んでい
く。
ドクドクと吐き出される大量の迸りはリンシーの身体の中へとゴクゴクと飲み干さ
れていくのだ。
暫くは荒い息と共にギュッと抱き締めあったまま動かなかったが、どちらからとも
なく意識が遠退いていくのだった。
――――――――――――――――――――
――――――――――
「……んっ…うぅ……ここ…は…」
朝の眩しい日差しが目に入り込んできて、安らかだった睡眠から無理矢理に起こさ
れてしまう。
「すー……くー…むにゃ……」
自分の胸の上では妖精の姿でリンシーが眠っており、安らかな寝息を立てていた。
ふと、昨日の事を思い出してみる。
あれからリンシーは、ありったけの愛の言葉を呟きながら、気絶するように眠って
しまった。
対してヴィントは、少し残念に思いながらも二人の繋がりを解いて彼女をベッドに
ストンと落とした所で意識を手放していた。
だからだろうか、二人の身体は昨日の一連の出来事がすべて現実だったと思い知ら
せるように体中が精液や愛液でベタベタになっていた。
半ば乾いてしまっていて体に纏わりつく感覚が非常に気持ち悪い。
「あぁ……そうか…………風呂でも入るか…よっと…」
スヤスヤと寝息を立てるリンシーを、猫でも抱くかのように優しく抱え上げてヴィ
ントはバスルームへと向かうのだった。
終わらない、この思……終わりです!
振動と共に耳に伝わって来て非常に心地がいい。
ここは家の中だと言うのに、まるで風の吹く草原に気持ち良く寝転んでいるかのよ
うな気分にさせてくれる。
響くピアノの弦が奏でる音色は、瞬く間に聞く者の心を落ち付かせて、頭の中が蕩
けてしまいそう。
「………」
一人の少年が、椅子に座って鍵盤に指を滑らせながら音色を奏で続ける。
一体、それがどれほど昔の事になっただろうか。
――――――――――――――――――――――――――
「………」
埃っぽい書斎に、山積みにされた本たちが一カ所を円にしてバリケードのように積
み重なっている。
どれもこれもペンのインクや修正液で汚れていて、扱いの悪さが一目で分かるだろ
う。
そんな本たちの中に隠れるようにして、一人の青年が机に向かってペンを走らせて
いた。
スラスラと文字を書いている彼の両手には、ビッシリと包帯が巻かれていて、見て
いるだけで痛々しさを痛感させられそうだ。
「……はぁ…………外でも出るか…」
書きかけの紙を裏返し、文鎮のような重石を乗せた青年は、ふと立ち上がると外出
の用意を始めた。
外はまだまだ寒さが残っているようで、厚めのコートを手に青年は外へ出ようと部
屋の扉を開ける。
「…リンシー、ちょっと出てくるよ…」
「ふっふふ〜ん♪…あっ、ヴィント〜♪」
扉を開けた先では、一人の少女が厨房に立って何かを作っていた。
ただ、その少女は明らかに人間では無かったのだ。
容姿はどこからどう見ても10代の少女、いや10代にも満たないかもしれない程に幼
い容姿をしている。
そんな彼女の衣服はとても幻想的で、この世界の物とは思えないような光沢を放っ
ていた。
まぁ、これだけだったらチョイスの残念な娘さんなんだなぁと思う程度かもしれな
いだろう。
だが、振り向いた彼女には、所々に人間の女性との相違点を見て取る事が出来る。
「あのねあのね〜?ヴィントの為にってご飯作ってたんだよー?」
「……ありがとう、リンシーは優しいな…」
「えっへへ〜♪」
明るく笑う彼女の耳は、常人では考えられない程に鋭く尖っていてとても長い。
このような特徴は、主にエルフなどに見られる特徴であったが、こっちは比較的色
々な種族の特徴にもなっているらしい。
次に、背中には胴体ほどの大きさの半透明の翼が生えていた。
コスプレ衣装なんかで見かける事もあるような大胆で斬新で、そして何より煌びや
かな印象を与えるこの羽根は、彼女達がリャナンシーと呼ばれる魔物である事を物
語っていた。
リャナンシー、大昔の伝承や物語に登場する男性に才能や知識を与える代わりに精
気や血を吸って死に追いやると言う魔女、もしくは鬼の事を言うらしい。
だが、そんなイメージをこの少女に抱く事が出来るだろうか?
音符を形取った帽子を被り、サイドポニーをフリフリと揺らす小さな女の子からは
、そんなイメージは微塵も感じられない。
「ねぇねぇ、私ね……最近思う事あるんだー…」
「…うん?どうしたんだ…?」
頭を撫でられて喜んでいるらしく、リンシーは小ぶりな顔をリンゴのように真っ赤
にしながら、手持無沙汰になっている手を体の前で組んで身体を妙にクネクネさせ
ていた。
女の子なら誰しも、恥ずかしい時についつい取ってしまうのではないだろうか。
特に好きな人の前でとか、何か言い辛い事がある時とかに。
「あのね………も、もうお腹いっぱいな毎日だし、ヴィントも毎日一緒だからとっ
ても嬉しいんだけど…」
「………要約すると?」
何か言いたい事がある事はあるらしいが、言いだし辛いのか言うのが恥ずかしいの
か、リンシーは前置き的な説明をいくつも口にして行く。
が、長々と話を聞いていては、言いたい事も言えなくなって会話がちぐはぐになっ
てしまうかもしれない。
だからこそ、ヴィントは話を纏めようとしたのだ。
「セックスレスで悩んでます」
「……随分ストレートに来たな…」
ついさっきまで顔を真っ赤にしてモジモジしていたリンシーだったが、一瞬だけ真
顔になったかと思えばこの爆弾発言である。
さすがのヴィントでも、これには少し引いたと言わざるを得ない。
と言うより、さっきまであれだけ恥ずかしそうにモジモジしていたのに、この瞬間
だけ素に戻ると言うのも卑怯だ。
「やらないか……と言うよりやらせてー!」
「……」
目が血走っているような勢いでグイグイとヴィントの服を引っ張る彼女の姿は、幼
い子供や妖精らしさを微塵も感じさせない。
目の前に居るこの小さな少女は、立派な一人の魔物であり、性に飢えた獣なのであ
る。
「沈黙は承認とみなす!よってこのまま……はぁはぁ……ゴクリ…」
「……そろそろなんじゃないか…?」
何かを知っているかのように、微動だにしないヴィントの事など気にも留めず、リ
ンシーはそのままヴィントのズボンをずらして荒い息遣いと共に、ビンビンに張り
詰めた彼の逸物をマジマジと見ている。
「はぁはぁ……ふぇ?そろそろ…って…はにゃぁぁあぁ…」
「……やっぱり…」
野獣の様な眼光で逸物を見つめていたリンシーだったが、不意に彼女の身体から少
量の湯気が立ち込めたかと思うと、みるみる内にリンシーの身体が縮んでいった。
あっという間に縮んでいき、気が付いた頃には手のひらサイズよりほんの少し大き
い程度までコンパクトになってしまう。
「はぅうぅぅ……ヴィントぉぉ…」
「やれやれ……そんな身体じゃ続きは出来ないな?それじゃ、ちょっと出てくるよ
…」
自身にかけてあった魔法が解けてしまい、縮んでしまったリンシーは悔しさからビ
ィビィと泣き始めてしまう。
呆れるように彼女の頭を撫でてやったヴィントは、身なりを整えて出掛けようと立
ち上がった。
「……どうしたんだ?一緒に行くか?」
「………うん、一緒にイカせて…」
なんだか危険なイントネーションだったような気もするが、それも気にせずヴィン
トはぐずるリンシーを肩に乗せ、家の扉をくぐって外へ出る。
これから出掛けようと思っている場所は、ヴィントにとってもリンシーにとっても
縁のある場所だ。
――――――――――――
彼らの住む家からそう離れていないような場所に、この建造物は聳えていた。
何十年も前からあるにも関わらず、その堅牢な作り故か地震や嵐などではびくとも
しなさそうな石造りが視界いっぱいに広がって来る。
カビ臭い匂いが良く似合う、この辺りでは結構有名な図書館だ。
一般公開もされているのだが、いつも暗い事と不気味な様相、そして何よりここの
主のちょっとしたクセのせいで誰もここに立ち寄ろうとはしないんだそうな。
「ねぇねぇヴィント〜♪今日もあの人のトコ行くの〜?」
「…ここまで来て聞く事がそれか…」
ヴィントの腕に抱きついて、じゃれつくように話しかけてくるリンシーだが、傍か
ら見れば彼女は抱っこ人形以外のモノには見えないだろう。
呆れ顔のヴィントの事など忘れて、リンシーはただひたすらにヴィントに甘えてく
るばかり。
これではそこらの猫やら犬となんら変わらないではないか。
そんな事を思いつつも扉に手をやったヴィントだったが、異変は不意に訪れる。
…………………
「……ヴぃ…ヴィントぉぉぉぉ…」
「…やれやれ…またこの展開か…」
扉を少し開けた矢先に、カビ臭い匂いが押し寄せるよりも早く不気味なうめき声と
も叫び声とも取れる声が聞こえてきた。
断末魔っぽく聞こえたかもしれないし、はたまた歓喜に酔い痴れる歓声にも聞こえ
た。
とにかく言える事と言えば、奥の方から誰かの声が聞こえてきたという事実。
そして、ここの常連さんであるヴィント達にはこの正体が何なのか、だいたいの見
当と察しはついている。
「…ほら、また怖がってる…」
「ひゃぅ!ヴぃ…ヴィントッ……んはぁぁ…」
リンシーがヴィントの腕にギュッとしがみ付いて、脈を測る器具に締め付けられる
ような感覚になっているヴィント。
だが、彼は嫌そうな顔一つせずに彼女のプルプルと小刻みに震えている半透明の羽
根を掴んで逆撫でる様に指を通す。
まるで身体中に電気が走ったかのような衝撃に、リンシーは身体をビクンッと跳ね上
がらせて恍惚にひたっているような表情になった。
「…さて、と」
「あはぅ……ま、まってぇぇ…」
ひとしきり撫でまわして、ヴィントの手の上ですっかり陶酔状態になってしまった
リンシー。
体はビクビクと震え、涎をだらしなく垂らしていながらもヴィントにもっともっと
としきりにねだって来る。
その内、ヴィントはパッと手を離して、とりあえず声の聞こえる方へ歩き出した。
リンシーの制止も聞き入れず、目的の場所へテクテク歩いて行く。
「…入るぞ…」
「うぁぁ……ま、またっ……出るぅぅぅぅ…」
「そうっ!もっと来てぇぇえ!」
「あはぁぁぁ!パパのテクニックは世界一イィィィッ!」
扉を開けると、そこでは地べたに寝転がって互いに戯れる三人の姿があった。
一人の少年が、二人の女性にのしかかられて快楽に喘いでいる。
ただ、その二人の方は明らかに人間では無いのだ。
片方は濃い群青色の粘体の身体を持ち、もう片方は鮮やかな水色の粘体で身体を構
築している。
世間一般的にも個体数はそこそこ生息しており、知名度もかなり高い。
彼女たちを総じて、「スライム」又は「ブルースライム」と皆は呼ぶ。
何故、ブルースライムと呼ぶ人も居るかと言うと、このスライムにはいくつか種類
があり、それらの粘体色は種類によってマチマチだからである。
どこかの物語では、非武装の村人Aが素手で倒せるような弱さをイメージさせたか
と思えば、別所では「武器が効かない」「取り込んで溶かして吸収」「無限に増え
る」と言った悪魔の様な強さをイメージさせる物語も存在するのだとか。
「はぅあぅ………あぁ…ヴィントさんか……って、ヴィントさんっ?!」
「あはぁ♪ヴィントさんだぁ〜♪お久しぶり〜♪」
「ヴィントお兄ちゃん、やっほー♪」
先程まで思いっきり性交に臨んでいたとは思えないほど、明るく陽気に挨拶をして
くれた二人のスライムに関しては何も言う事はあるまい。
そのニコニコとした笑顔がまぶし過ぎる程だ。
だが、問題はその二人では無く少年の方だろう。
今までにどれほど彼女たちに絞られてきたのだろうかと思うほどに、彼の手足には
力が入ってない様に感じられる。
事実、快感に浸ると言うよりは、衰弱しているのに力を入れようとしているような
感じで彼の四肢はプルプルと震えているのだから。
「…相変わらず、元気そうで何よりだよ…」
「うん…その………ひゃん!う、羨ましくなんかないんだからねっ?!」
「あははっ♪ひゃん!だって〜♪」
相変わらずヴィントの肩の上でモジモジしていたリンシーだったが、またしてもヴ
ィントに羽根を逆撫でられて体が飛び跳ねる。
それを見ていたスライムが、ケタケタと笑い飛ばす。
「久し振り、トリアとミアとマイ」
「あはは……お久しぶりぃ…」
「いぇーい!一児のママになっても元気なミアちゃんでーす!」
「あははっ♪ママもう元気なんだぁ♪トロットロだったのにぃ」
なんだかはっちゃけた感じもするが、これでもスライムとしては頭が働いているほ
うなんだそうだ。
まぁ、この二人の呼び方は、トリアに気力があればこのように…
「あぁもう!二人して僕の事襲うの止めてよっ!バカばっかりだなぁもう!」
「ふふっ…そんなにぷーぷーしてると牛になっちゃうよー?」
「パパの牛ー♪もー!もー!って!キャハハ♪」
と、まぁこのように、見ていて口の中がどうにも甘ったるくなってしまいそうな展
開が始まっていた。
夫婦水入らずどころか、一家団欒の様相を見せている。
否、見せつけているのだろうか。
なんにせよ、ヴィントはこういった状況に慣れている訳でも無ければ時間を潰しに
来た訳でも無い。
「さて、用件は迅速に。借りてた本、返しに来たよ」
「あぁ、ありがとう。手紙の一つもくれればこの子たちに取らせに行ったのに」
適当な場所に設置されている円卓の上に、持ってきた本を置いて早々にその場を去
る事にする。
というより、彼らのお楽しみをこれ以上邪魔するのは野暮というものだろうと感じ
たからだ。
それもあるし、何よりリンシーの様子が先ほどからおかしいのだ。
「うぅ〜……用事済んだなら早く出ようよぉ〜…」
「あぁ、分かったから引っ張らないで……それじゃぁ、これで失礼するよ」
「うん、また何か用があったr…あひぃ!」
どうやら、ヴィントが扉を閉めるよりも早く、スライムたちに襲われているようで
ある。
グチュグチュとしたいやらしい音と共に悲鳴と歓喜、そして笑い声が聞こえてくる
。
なんとも微笑ましい家族愛を視界の端に捉えながら、ヴィント達はこの場を後にす
るのだった。
「おっと、そうだ…ほら…」
「あひぃぃぃぃぃ!ふぁぁぁぁ、ありがとぉぉぉ…」
屋敷を出たあたりで、ふと思い出して肩に留まったままのリンシーのパタパタと揺
れる羽根をゆっくりと優しく、糸の解れを整えるように撫でてやる。
根元から先端まで撫でてやった為か、彼女は先ほどに同じようにしてやったのより
もオーバーな反応で身体をビクビクと震わせていた。
肩に座るように留まって居た為、あまりの快感に彼女が漏らす程に秘部を濡らして
いるのがよく分かった。
というか、肩に染みつくどころか浸透して肩を滴っていく。
一体どれだけ漏らしてるのやら。
まぁ、今となっては気にならないが。
というのも。
「まったく……どれだけ漏らせば気が済むんだ…」
「ゴメンゴメーン……あははは……んしょ…っと…」
リンシーが、どこからともなく取り出した魔法の粉が即座に肩へ振り掛けられる。
するとあっという間に肩に染みついていた液体が消え去ってしまう。
後には液が垂れていたどころか、まるで最初からお漏らしなんかしてないし粉なん
か振り掛けてないかのような状態に戻っていた。
「やっぱりすごいね!アヌビスの………えぇと…」
「オアシスさん、だろ?もう忘れたのか?」
「うん、そう、オアシスさんだ!」
恩人の名前を忘れるというのも酷いものだ。
彼らの言う人物とは、彼らが砂漠へ出向いていた時に出会ったアヌビスの夫婦の事
である。
歌のネタに事欠いてしまい、タイトルだけは決まっていたのでそれに基づくネタ集
めの為に砂漠を旅していた時に出会ったのだ。
今思えば、かなり突拍子もない出会いだった気がする。
「確実に今まで忘れてただろう…」
「そっ、そんな事あひぃぃぃぃ!」
どれだけ刃向うような態度を取っていても、結局の所、この快楽には勝つことが出
来ないようである。
パタパタと揺れる羽根を指の腹で弄ってやると、痙攣でも起こしたかのようにビク
ビクと硬直したまま震えて恍惚の笑みを浮かべる。
正直言って、いじけた時は高確率で肩の上に乗ってくる事と、こうしてやると低確
率で漏らす事に内心うんざりしていた。
「はぁ…はぁ…はふぅ……んぅぅ…」
「やれやれ…満足したらすぐに寝て……子供かと……子供か…」
自分で言っておいて自分で間違いに気付く、そしてその後には、なんとも言えない
沈黙が二人を包む。
元から人があまり来る所ではないからか、周囲には人っ子一人居ないから余計に虚
しくなるだけだ。
「はぁ……返すものも返したし、帰るか…」
ボソっと呟きながら、ヴィントは家路に戻る。
途中で適当な布きれを買ってやり、リンシーの毛布としてくるんでやったりもした
。
ハッキリ言ってパンか何かを包んでいるのかと思うような包み方だが、首から先だ
けはちゃんと出しているから勘違いされるような事は無いだろう。
――――――――――
「……むにゃ……あったかいよぉ…」
「そうか、それは何よりだ…」
そう遠くはなかった筈だが、リンシーの毛布を買いに寄り道していたからだろうか
、随分と夜遅くになってしまっていた。
晩御飯には丁度いいくらいだろう。
早速だが、ここで問題が生じていた。
というのも…
「ヴィントのコレェ……あったかくってぇ…きもちいぃよぉ…」
「ッ……」
だいたいどんな夢を見ているのかもだいたい想像がついた。
どれだけ欲求不満なのかもだいたい伝わってくる。
料理が出来るのは、この家ではリンシーだけなのだから困った。
ヴィントも出来ない事はない。
ただ、包帯だらけも手ではどうにも雑な物しか出来ない。
だからこそ、リンシーにいつも料理を頼むのである。
なのに料理担当ときたらコレだ。
「いい加減に起き…っ?!」
「んんぅっ!……っはぁ〜……ヴィント、おはよう〜♪」
リンシーを起こそうと彼女に触れた瞬間、確かにヴィントは体中から少しだけ力が
抜けたと感じた。
いや、奪われた、という方が正しいだろう。
その証拠に、起こそうとしたリンシーの身体は、ヴィントの手から微量の精気を吸
い取って成長し、今は10代半ばの女の子程の大きさになっている。
事前に机の上に降ろしておいて、本当に良かった。
「……リンシー…」
「はぁい?……って、何これ!おっきい?!色々と!」
「説明しなくていいからっ!」
目が覚めた時の自分の姿に驚いているのか、自分のたわわに実った胸を両手で鷲掴
みにして、その大きさを実感していた。
こねくり回したり、思いっきり力強く揉んでみたりもした。
そのどれもが気持ちいいらしく、悶えながら自分の身体で遊んでいるような風に見
える。
「すごぉい!すごいよヴィントォ!」
「分かった!分かったから…ってのわぁ!」
今までに見た事も無い程に自分の姿が成長していた事に歓喜したリンシーは、喜び
のあまりヴィントに抱き着いてくる。
小さい姿のままであれば、抱っこ人形のような感じで抱き着かれるだけで何も迷惑
になることも無い。
だが、今の彼女は人並みの大きさがある。
例え二周りも背丈に差があったとしても、今の彼女は人間大の大きさになっている
。
それは、不意打ちを受けたヴィントが地面に倒れるには十分な重さと勢いを持つ事
をも意味していた。
「がっ……あぁぁ……」
「ぅあ?!ウ"、ヴィントごめんなさいぃ〜!」
リンシーにそのまま押し倒される形になったヴィントは、足元の床に後頭部からダ
イブしていた。
ゴンッという鈍い音がするのとほぼ同時に、後頭部に激痛が走る。
幸いにも意識を失うような事にはならなかったが、相当に痛い。
そして何よりもまずい事になっていた。
「お…お前はぁ…っ?!」
「ごめん、ホンットにごめん!」
「いっ、いいから隠せっ!」
「えっ?何を……はっは〜ん?」
位置取り的に言ってしまえば、互いの股間が重なりあっているのだ。
幸いにも、ヴィントは勃起しているような事は無いので気付かれていないがこちら
はどうしても注意せずにはいられない。
リンシーが成長した際に、彼女の着ている服装もそれなりの物に変更されていた。
だが、それはサイズのまるで合わない男性用のシャツであり、四つん這いの状態に
ある彼女の胸はブランとぶら下がって丸見えになっていたのだ。
その光景に、不覚にもヴィントは興奮しそうになる。
この状態になっている事を、とにもかくにもリンシーに知られる訳にはいかない。
朝っぱらからセックスレスで悩んでいるなどと告白してくるような程だ。
彼女自身がどれだけ溜め込んでいるのか、分かったものではない。
「ねぇねぇ……ここもすっごく大きいんだよ〜?」
「ぅあ…や、やめろって……」
「えぇ〜?それじゃこのままベッド行ってくれる?」
のしかかったままだったリンシーは、これでもかという程分かりやすく自身の大き
くなった胸をヴィントの身体にこすり付ける。
そのままズリズリと下へ降りていくような動きをしてみせればヴィントは直ぐに意
図を理解して止めさせようとする。
そこがチャンスだった。
そのままなし崩しにお願いしてやると、ヴィントはいつも「あーはいはい」と了解
してくれる。
そして今回も同じだった事にリンシーは密かにクスッと笑っていた。
「あーはいはい、分かったから……ん?」
「よっしゃぁ言質とったぁ!行こうっ?ねぇ早く!」
「ちょっと待てって……あぁもう、今回だけだからな?!」
「はーい!……えへへっ♪」
あっと言う間に寝室のベッドへと連れ込まれてしまった。
そしてリンシーは大急ぎで服を脱いでしまうとその辺にポイッと捨ててしまう。
その際に服が幻か何かだったようにフワッと消えてしまっているがこの際どうでも
いい。
きっとあの服も、魔力が成した形だったのだろう。
「どう?成長した私は?」
「何と言うか……別人抱く見たいだなぁと…」
ここで、ヴィントのこの言葉の受け取り方はいくつかあるだろうがその中から二つ
ほど上げてみよう。
一つは、別人として見ていた事に対して酷いと言う。
もう一つは自分を美人と見てくれた事に対して嬉しいと言う。
「へぇ〜……そんなに綺麗なんだぁ…えへへっ♪」
「あぁ、すっごく綺麗だ、うん」
どうやらリンシーの場合は後者だったようだ。
嬉しくてついつい、くっついて無邪気に笑って見せたりする。
そんな彼女に癒されてか、ヴィントも自然とリンシーの頭を優しく撫でていた。
リンシーも嬉しいようで、一段と笑顔が明るくなっていく。
「さぁって、それじゃ早速………の、前に……あむっ…」
「うぉっ?!」
リンシーが胸を擦り付けていたからか、既にヴィントのモノは堅く大きくなってい
た。
それを見てか、リンシーはそっと指を這わせて都合のいい位置へ持ってきて手でし
っかりと固定する。
そのまま、口の中へ一気に突っ込む。
いつも以上の刺激が、ヴィントの全身を快楽で襲う。
「んぅ……あぅ……ぷぁ…どう?」
「あぁ、気持ちいいよ…」
「よかったぁ…はむっ……れろぉ……じゅるるるぅ…」
ヴィントに喜んで貰えて嬉しいのか、リンシーは尚もヴィントのいきり立つモノを
咥えて舐め回す。
絶妙な舌使いでヴィントを唸らせ、着実に絶頂へと近づけて行く。
「れぅ……じゅるっ……んぅ…」
「はぁ…はぁ……っくぅ!……あぁっ!」
口と舌を巧みに用いている為か、ヴィントは脳が蕩けそうな程の快感に苛まれてい
た。
気が付けば、リンシーの頭を両手でしっかり固定して自分から腰を振るようになっ
ていた。
あまりに気持ちよかったヴィントは、そのまま勢いよくリンシーの口の中へ自分の
精を思い切り吐き出した。
「んんぅっ?!………んぐっ……んぐぅ……ぷぁあぁ…」
「はぁ…はぁ……うぉっと!」
ありったけ吐き出したヴィントは、そのまま背後のベッドに座り込む。
いつもリンシーが人間の姿のまま過ごしたい時などに使っているものなのだが、見
た目以上にフカフカしていて気持ちがいい。
ついつい身体を預けてしまいたくなるが、今はちょっと遠慮しなくては。
「はぁ…はぁ……もう、いいよね…」
「あ、あぁ……おいで…」
ヴィントの言葉と共に、リンシーはヴィントに跨る。
柔らかな内腿の感触を感じると共に、リンシーが見た目よりずっと軽いという事に
気付いたが、今はそんな事はどうでもよかった。
「よいしょ………んぅ……っはぁぁ!」
非常にゆっくりとした動きではあるが、リンシーは自分の中へヴィントのモノを受
け入れていく。
妖精態とも今朝のような少女の姿でもない故に忘れがちだが、リンシーは…
「はぅ〜……は、はじめてだよぉ……あ、あげちゃったぁぁ…」
「あぁぁ……きっつ……うぁ…」
そう、リンシーは処女であった。
妖精にとっての処女の定義がなんであれ、リンシーは初めて男性と繋がれた事にな
る。
きっと、夢にまで見た瞬間だったのだろう。
「あ、あはぁぁ……きもちいぃよぉぉぉぉ!ヴィントぉぉぉぉ!」
「はっ、激しすぎで…っも、もう……うぁあぁぁぁ!」
ムードも何もかもを踏みにじるような、センスの無さ。
それは彼女の子供っぽさ故なのかもしれない。
体中に迸る快感の嵐を受け止めきれず、もっともっとと貪欲にむさぼるリンシーは
、これでもかと思うほどに勢いよく腰を振っていた。
その勢いにすっかり負けていたヴィントは、呆気ないほど早くにリンシーの膣の奥
の奥に贈り物を捧げるのであった。
「はぅぅぅ……どくどく言ってる……でてるよぉぉぉ!」
「こん……のぉ……よいさっ!」
なんとかしてリンシーよりも早く復帰したヴィント。
快感の波に揺られてビクビクと震える彼女を抱え、ゆっくりとヴィントが起きあがる
。
「はぁ……はぁ………あっ、ヴィントちょっと離れて…?」
「…?あぁ…よいしょ…っと」
リンシーに言われるまま、一旦二人の繋がりを解いてベッドの上から降ろしてやる
。
二歩ほど後ろに下がったリンシーの姿は、みるみる内に縮んでいった。
今となっては、いつも通りの人間体の彼女が目の前にポツンと立っている。
まあ、先程と同じく一糸纏わぬ姿ではあったが。
いつも通りの彼女の身体のはずなのに、ヴィントにはそれがいつもの数倍魅力的に
見えた。
「……ふぅ、戻っちゃった…」
「あぁ、でもその姿も可愛いよ…」
「えっ?!ホント?うれしー!続きしよー!ね?!答えは聞いてないっ!」
可愛い、と言われただけでかなり喜んだようで、リンシーはその場でドタバタと飛
び跳ねて喜びを表現する。
以前に聞いた所によると、リンシーの変身の資質は低い方らしく、一糸纏わぬ今の
姿ならその所以も垣間見えた。
彼女の背中をよく見ると、妖精体の時の彼女が一番敏感な所である妖精の羽根が刺
青のような形で体に表れていたのだ。
これが彼女の変身能力が未熟であるという事なのだろう。
などと考えてはいたが、そんな考察をしている間に、リンシーはヴィントを再び押
し倒して彼に跨っていた。
「ねっ?行くよ?…んぅ………いっ……ひぅ……は、はいったぁ!」
「せますぎっ……潰れそうだっ……っくぅ…」
幼い少女の姿であるリンシーは、あっという間に自分の膣へヴィントを迎え入れる
。
先程のような年頃の女性のような身体的余裕は全くなく、膣内は更に狭くなってい
た。
ヴィントのモノも変わらずその大きさを保っていただけにリンシーへの負担も相当
な物だろう。
「あぐっ……きつくて……でも気持ちいぃ……ぅあ…」
ヴィントのモノをよりキツく締め付けるリンシー。
本能的、反射的に身体が彼の張りつめた棒をキュンキュンと締め付けている感覚は
、ヴィントへ極上の快楽を与えていた。
グチュグチュといやらしい音を立てながら、気が付けばヴィントはリンシーの腰を
両手で持ってズンズンと腰を突き入れていた。
「んはぁぁ!いぃっ!いいよぉぉ!んぁっ!……ヴィント…ヴィントぉぉぉぉ!」
「リンシー……すっご…くっ……気持ちいい……すごいぞリンシぃぃぃぃ!」
大きかった方のリンシーの時よりも、何倍も濃く絡み合う二人。
いつの間にか、腰を激しく打ち付けるパンパンという音が寝室の中を反響していた
。
「ひぅぅぅ!いっ……いくぅ……いっしょに…いっしょにいこ?ヴィントぉ…」
「そうだな……いっしょに……一緒にイクぞリンシーぃぃ!」
暫くの間、これでもかという程に激しく交わり合い、愛し合っていた二人。
だが二人とも限界を迎えそうになり、お互いがお互いをギュッと強く抱きしめる。
それと一緒に、リンシーは膣肉を総動員してヴィントの逸物をガッシリと掴んで離
さなくなった。
捕まったのを合図に、ヴィントは最後に思いっきり奥へと腰を突き入れてやる。
グリュッと内蔵を抉られるような感覚と共に、脳内が蕩けそうな程の快感がリンシ
ーを襲う。
それは、彼女が絶頂へ達するのには十分すぎる刺激だった。
「いぐぅ?!ぐりゅってつぶれりゅのぉぉぉ!こわれひゃぅぅぅぅっ!」
「ぐっ……イクッ!出すぞ、リンシー!出る出る…うぁぁあぁぁ!?」
これでもかという程に腰を突き入れ、リンシーの最奥かそれよりもっと奥でヴィン
トは果てた。
自分の思いの限りを尽くして、リンシーの子宮の中へと自分の精子をぶち込んでい
く。
ドクドクと吐き出される大量の迸りはリンシーの身体の中へとゴクゴクと飲み干さ
れていくのだ。
暫くは荒い息と共にギュッと抱き締めあったまま動かなかったが、どちらからとも
なく意識が遠退いていくのだった。
――――――――――――――――――――
――――――――――
「……んっ…うぅ……ここ…は…」
朝の眩しい日差しが目に入り込んできて、安らかだった睡眠から無理矢理に起こさ
れてしまう。
「すー……くー…むにゃ……」
自分の胸の上では妖精の姿でリンシーが眠っており、安らかな寝息を立てていた。
ふと、昨日の事を思い出してみる。
あれからリンシーは、ありったけの愛の言葉を呟きながら、気絶するように眠って
しまった。
対してヴィントは、少し残念に思いながらも二人の繋がりを解いて彼女をベッドに
ストンと落とした所で意識を手放していた。
だからだろうか、二人の身体は昨日の一連の出来事がすべて現実だったと思い知ら
せるように体中が精液や愛液でベタベタになっていた。
半ば乾いてしまっていて体に纏わりつく感覚が非常に気持ち悪い。
「あぁ……そうか…………風呂でも入るか…よっと…」
スヤスヤと寝息を立てるリンシーを、猫でも抱くかのように優しく抱え上げてヴィ
ントはバスルームへと向かうのだった。
終わらない、この思……終わりです!
15/04/10 19:39更新 / 兎と兎