迷い込んで樹海〜slime only kingdom〜
――――――――――――
「もう親父たちなんて大嫌いだっ！」
「っ！？待て、飛鳥っ！？」
大声が夜の帳に響き渡り、一つの家から少年が飛び出し去っていく。
「全く……稽古が苦しくてやってられない等と…」
そうブツブツと呟きながら、中年の男性は溜め息を一つ吐くと、すぐに困って帰ってくるだろうと思い家に戻った。
―――――――――――――――――
「もう二度と帰るもんかっ！親父なんか…親父なんか…」
そう呟きながら、少年はひたすらに走っていた。
気が付けば茂みに入り、野原を抜け、森の中にいたのだが、当人は気付かず走っていく。
「はぁ……はぁ…も、もう疲れた…」
そりゃ、5km程も走っていては疲れが出ない訳が無い。
極端に息が切れて、足が棒のようになって言う事を聞かない。
その上、ここはどことも分からない場所という不安が心を抉る。
「はぁ…はぁ…と、とりあえず休憩を……う？」
丁度良い大きさの岩を見つけた飛鳥は、とにかく休憩しようとその岩に座り込む。
しかし、それがいけなかった。
「う、うわぁぁぁああああああああああああっ！？」
岩に座り込んだ途端、岩が崩れて崖に落ちていく。
踏ん張ればなんとかなっただろうが、今の飛鳥にそれだけの余力は残されていない。
そのまま岩と一緒に崖を落ちていく。
このまま死ぬのだろう。
そう思った矢先に、飛鳥は意識を手放した。
―――――――――――――――――――――――――――
「―――い！おーい！大丈夫ー？！」
声がした。
聞いた事無いような可愛らしい声だ。
しかし、なぜそんなにも泣きだしそうな声音なのだろう？
まるで瀕死の人物に話し掛けるかの様じゃないか。
と、そう飛鳥が思った頃には意識がハッキリしはじめていた。
「うぅん……」
「っ！生きてるっ！よかった〜…」
物凄く安心したのか、声の主は大きく息を吐いているようだ。
と言うのも、今この状況で、何故か眼が開けられないのだ。
何かを被せているような、そんな違和感があるのが分かる。
となれば、それをどければいいだけの話だ。
「んしょっ…君が助けてくれ…」
「…？どうかした？」
飛鳥の目の前にいた声の主。
それは、飛鳥が頭の中でコッソリとイメージしていた人物像とは全く違っていた。
別に、声は可愛いのにブサイクとかそういう物では無い。
何より、彼女の身体を通して反対側の景色がごくうっすらと見える。
つまり彼女が半透明なのだ。
半透明の身体を持つ魔物を、飛鳥は知っていた。
色々な色彩を持つゲル状の身体を持つ魔物の娘。
スライムと呼ばれる魔物の娘が目の前に居たのだ。
「ま、魔物…」
「…？」
魔物だと分かった瞬間、反射的に少女から離れる。
その様子を見て、何が何だか分からない風な少女は首をかしげて飛鳥を見ていた。
「な、なんで…」
飛鳥の周りの領地は反魔物領とも言える場所であり、近くで魔物が住んでいるというだけで駆逐に向かう連中がいる。
そんな中で育った飛鳥は、家族や知人から魔物は恐ろしい物だと言う事をキッチリ教えられている。
そして、目の前にはその魔物娘がいるのだ。
驚き、そして何より恐れない訳が無い。
「そうだ！長老に報告しなきゃ…」
「…へっ？」
急に立ち上がった少女に驚き、身構え怯える飛鳥。
しかし、そんな飛鳥を置いて少女はどこかへ去ろうとする。
「あっ！そうだ、君も一緒に行こう？」
「へ…う、うわぁぁぁっ！？」
まるで角材でも担ぎあげるかのようにヒョイッと飛鳥を持ちあげた少女は、そのままどこかへ飛鳥を連れて行った。
その間、飛鳥がジタバタしていたのは言うまでもない。
――――――――――――――――――――――
「――と、言う訳なの。長老、なんとか出来ないかな〜…」
「いいから落ち着きなさい！それと長老もやめてっ！私そんなに年じゃない！それと貴方の言いたい事は全部分かってるから！」
どろどろの液体が人間の形を取って会話している。
飛鳥の目には、どう見てもそうとしか映らなかった。
片方は、先程まで飛鳥を運んでいた一人の少女。
もう片方は、どこか気品にあふれる姿をした、やはりスライムだった。
良く見ると、村長と呼ばれた彼女にはもう片方と違い、紅い球体が体の中でﾌﾟｶﾌﾟｶと浮かんでいる。
装飾かとも思っていたが、スライムの構造を知っていた飛鳥は、数十秒の内にそれが何かを思い出す。
それはコア。
心臓部分にあたる、スライムの身体の中で一番重要であり大事な部分。
それが、村長の胸にはあって少女の胸には無い。
「全くもう……それで、君？」
「は、はいっ！？」
村長に呼ばれ、飛鳥は身体が硬直してしまう。
親などの大人に怒られる前の様な恐怖感とはまた違う。
心がドキドキして身体が反射的に反っただけのように思える。
「あらあら、そう堅くならないで…ｺｯﾁは堅くしてく…ｺﾞﾎﾝ、何でもないわ」
「…？」
何かを口走りかけた彼女だったが、不意に視線を逸らして事なきを得た。
まぁ、飛鳥自身はその事に関して何も理解していない。
「私の名前は……そうね、王…帝とでも呼んでちょうだい？」
自分を帝と名乗る女性は、そう言いながら飛鳥の頭を軽く撫でる。
「あっ！村長ずるーい！私も名前欲しい〜！」
今まで名前が無かったらしく、少女の方も頬を膨らませながら帝に抗議する。
その光景は、だだをこねる娘とそれを宥める母親に相違なかった。
「あーもうっ！分かったわよ……っ！そうだわ♪それで、君、名前は？」
「あっ、飛鳥って言いますっ！」
再び身体が飛び跳ね、自己紹介一つするのにも緊張が高まってしょうがない。
だが、それがいいとでも言わん限りに帝はそんな飛鳥の緊張した姿を見てニコニコと笑っていた。
「飛鳥君ねっ♪今から、私達全員と交わりなさいっ♪」
「えっ」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇええぇぇぇえぇぇっ？！！？』
帝の発案の後、一瞬の沈黙の後にあらゆる方向から二人と同じような容姿をしたスライム娘達がぞろぞろと湧き出て来た。
今現在いるこの部屋は、一見すると藁ぶき屋根の古風な造りの建物。
襖を吹き飛ばしそうな勢いで開け放ち、数人のｽﾗｲﾑが飛びこむ。
屋根の藁ぶきの隙間から滲み出て来たスライムが落ちてくる。
床の下から這い出るように数匹のスライムが湧く。
玄関から高速でこの部屋まで飛んできて数匹のスライムがツッコミを入れる。
合計すると、10匹程度のスライムが飛鳥を取り囲んでいた。
「そそ、村長っ？！この人たちは一体…」
「さぁっ！今日は宴よ！！新しい王国再建の為！我らの主人の門出よぉぉぉっ♪」
『お〜〜〜〜〜っ♪』
飛鳥の知り及ばない話の中で、グイグイと話は進んでいく。
――――――――――――――――――――――
「さぁて、殿は私が務めるわ！まずは誰が行くのかしら？」
「はぁい♪この子がいいと思いまーす♪」
「ふぇ？！わ、私？！」
「いいね〜♪一番最初に見つけて来た訳だし、それくらいの権利あるって！」
「やっちゃえやっちゃえー♪」
最早、この部屋はお祭り騒ぎになっていた。
10匹 帝が所狭しと飛鳥を囲み、皆がそれぞれにわいわいがやがやと騒がしくしている。
そんな中、飛鳥だけは彼女達と違った心持だった。
「…(…みんなして、なんでそんなに喜んでるんだろう…)」
「さてと、我らが主人、飛鳥君には最初のお仕事をお任せするわ♪」
飛鳥の肩を掴み、帝が真剣な眼差しで飛鳥を見つめる。
しかし、その瞳には真剣さは欠落していて、代わりに先程までニヤニヤしていた所為で形が笑っている。
淫らな事を考えている事がバレバレな目つきだったが、飛鳥にそれを見抜くだけの知識などある筈も無い。
「えっ？お仕事？(なるほど、働く人が欲しかったのか…)」
どこかの主人公のように、状況を自分で判断して完結させると言うバカをやってのける飛鳥。
だが、次の瞬間には飛鳥の運命は転落の一途を辿る事となる。
「この子達全員と子作りして、私達全員に名前を付けてあげてくださいっ♪」
「……は？」
いくらなんでも飛鳥が理解できる域を超えていた。
飛鳥が疑問を持つ以前に、意味を理解する一歩手前でｽﾗｲﾑ達が飛鳥を抱え上げ、抱きしめたのだ。
それにしてもこの帝、ノリノリである。
「さぁっ！おもいっきりヤっちゃいなさいっ♪」
「ほらほらっ♪」
二〜三人のスライム達が飛鳥の足を無理矢理開かせズボンを降ろす。
股の間からは、元気を見せようと努力しているように膨らんだ逸物が垂れさがる。
「えっ…あの…」
「ほぉら、あの子も待ち遠しそうに見てるわよ〜？」
帝に耳元で囁かれ、とっさに前へ振り向く。
そこには、最初に飛鳥の会った娘がモジモジしながらこちらを見ていた。
少女の姿は、申し訳程度に纏っていたスライムで出来た着物が溶けて消え去り、完璧に裸体その物となっていた。
「そ、それじゃ……ｺﾞｸｯ……失礼しますね…んぅ…」
「ふぁっ？！な、なにこれっ？！」
少女が、飛鳥に覆い被さるようにのしかかってきた。
それによって、飛鳥の肉棒は少女達の思惑通り、少女の股間の中へと飲み込まれる。
少女の体内は飛鳥の思っているイメージを遥かに凌駕していた。
優しく包み込むような、気持ち良い内部の感覚に頭の中が瞬時に蕩けてしまう。
「ど、どうでしょう…？」
「き、気持ち良過ぎてっ……も、だめぇぇ！」
ｽﾗｲﾑの粘体の中へ挿入して10秒と経たない内の射精。
ドクドクと脈打つように、精液の奔流が少女のスライム体の中へ注がれていく。
その光景は、さしずめ半透明の液体に濁った泥水を流し込むように言い表せる。
「あら？もう出しちゃったの？それじゃ、お名前を決めてあげなさい？」
「は、はいぃ…」
「……（ﾄﾞｷﾄﾞｷ」
射精による疲労で、呼吸をする事すらままならない状態にあった飛鳥を帝は、優しく顔に指を這わせて労う。
その指には何かオレンジ色のクリームらしきものが滴っており、飛鳥の顔に塗られて行く。
液体は飛鳥の肌に触れる度にみるみる肌に浸透して行き、濡れた跡すら残さない。
しかし、変化はすぐに起きる。
「う、はぁぁあああああっ！」
「きゃぅ！？」
「フフッ、効き目は上々じゃない♪さっすが上級魔族って奴なのかしら？」
帝が何を言っているのかは分からなかったが、そのような些細な事は飛鳥にとってどうでもよく思えた。
疲労困憊で呼吸もままならなかった身体はあっという間に元気を取り戻し、逸物も先程の時より一回りほど大きく見える。
更には尋常ならざるインスピレーション的な何かが湧き出してきて少女の名前を決めようと脳がフル回転を始めた。
「…あっ！そうだわ……えいっ！」
「んむっ！？」
「っ！？？！」
名前を思い付き、飛鳥がそれを少女へ託そうと口を開いた次の瞬間。
帝は何を思ったか少女を突き飛ばす。
そうして、飛鳥の開きかけていた口は少女の唇によって塞がれてしまう。
お互いに目を見開いて驚いてはいるようだが、直ぐに互いの舌を絡めトロンとした表情になる。
「うわ、すっごい絵になる…」
「ぐぬぬ、早く私もあんな事やこんな事したい……あぁん…」
「ちょ！思考が共有されてる私たちにも…んはぁ！」
ギャラリーの少女の一人が、飛鳥達の淫らな交わりを見つめる中で自分もしたいと言う妄想を膨らませる。
それらは帝の持つコアを通じて共有されている為か、思考はそのまま全員の思考へ上乗せされる。
そうする事により、この場の全員が大なり小なりの声で喘いでいた。
それらは場の空気をより一層ピンク色でエロティカルな雰囲気へと誘う。
「はっ……はぅぁぁぁぁぁ！」
「ﾌﾟﾊｯ…ま、また出……アスハｧｧｧｧｧｯ！」
やっとキスの体勢から解放された飛鳥だったが、次の瞬間には少女・アスハの締め付けが急にキツくなった。
それによる快感に耐えきれず、またもやアスハの体内へ精液をドクドクと流し込む。
「ふぁぁぁぁぁぁぁ…」
「ふぅん、アスハちゃん、かぁ……良いじゃない？グッドよ飛鳥君♪」
「は、はいっ！」
許容出来る量を超えそうな程に精液を流し込まれたアスハの身体は、所々から精液の塊がプカプカと浮いているのが見て分かった。
気持ち良さと精液の影響、その他諸々の嬉しさと悦びに満ち溢れ、アスハは飛鳥の身体へもたれかかる。
それでも尚、飛鳥の性欲の滾りは収まる事を知らずに逸物をビクンビクンと雄々しく揺らす。揺らす。揺らすったら揺らす。
「さぁ、この調子でここに居る全員を孕ませて名前を与えなさい、飛鳥君？」
「はいっ…うっ…」
「ほぉら、今度はお姉さんがお相手仕るぞー♪」
それから先、何時間、いや何日になるかも分からない程にスライムの少女達を抱き続けた飛鳥は、いつまでもその性欲が耐える事は無かった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
「んはぁ♪もっと！もっとよ飛鳥君っ！」
「はいっ！またイきますよ、帝様ぁぁぁぁぁぁぁ！」
「きてぇ！まだまだもっと流し込んでぇぇぇ！」
あれから最早時間と言う概念すらも忘れ去って、飛鳥はスライムと交わっていた。
激しく腰を振る帝へ、飛鳥はお礼とばかりに腰を打ち付け返し、大量の精液を帝のコアめがけてぶちまける。
その度に帝は飛鳥を強く抱きしめ、逸物も強く締め付けながらその愛を存分に受け止めるのだ。
「はぁ…はぁ……帝様ぁ…」
「うふふっ♪気持ち良かったわよ♪もうおやすみなさい？」
「はいぃ………」
帝の言われるがままに、飛鳥はあっという間に眠りに付いた。
帝が用意したスライム製の布団に身体を沈め、ぐっすりと身体を預けて眠りに落ちる。
その頭を、帝は優しく数度撫でてやるとその場を離れ、夜景のきれいな縁側へと出る。
「イン……貴方の野望ほど簡単では無かったけれど、私も2代でここまで来たわよ…？」
そう小さな声で呟きながら、帝は視線を落として城下に青々と広がる街並みを見下ろす。
城下町では、今も数々の長屋の光が絶えず、そこからは楽しそうな夫婦や家族の言葉が聞こえてきそうだった。
飛鳥をこのスライム達の場所へ迎え入れてからもうどれほどの月日が経ったかは分からない。
だが、一つだけ言える事がある。
それは、帝達クィーンスライムが一つの王国を築き上げようとしている事である。
あれからスライムの数はざっと数えるだけでも数十倍に増大し、森を飛びぬけて近隣の小さな農村を既に吸収している。
そこに居た男性達は、スライム達が気に入れば夫や養子として迎え入れ、妻子持ちや女性、御眼鏡に適わなかった者等は丁重に他の村へ送りつけていた。
ｱﾌﾀｰｹｱも万全に整えてあった事もあってなのか、このｽﾗｲﾑの王国を恨む者は極僅かしか居なくなっている。
たびたびに行商人や情報屋が駆け付け、情報や物品の売買が執り行われている。
「前の夫とでは子供を9人が限界だったのに……凄い子を迎え入れたものだわ、本当に…」
「んぅぅ…」
城下を見下ろすのを止め、飛鳥の寝ているすぐ隣に腰掛け、その頭を何度か撫でまわしながら帝はそう呟くのだった。
〜（姦姦・姦姦）〜
「もう親父たちなんて大嫌いだっ！」
「っ！？待て、飛鳥っ！？」
大声が夜の帳に響き渡り、一つの家から少年が飛び出し去っていく。
「全く……稽古が苦しくてやってられない等と…」
そうブツブツと呟きながら、中年の男性は溜め息を一つ吐くと、すぐに困って帰ってくるだろうと思い家に戻った。
―――――――――――――――――
「もう二度と帰るもんかっ！親父なんか…親父なんか…」
そう呟きながら、少年はひたすらに走っていた。
気が付けば茂みに入り、野原を抜け、森の中にいたのだが、当人は気付かず走っていく。
「はぁ……はぁ…も、もう疲れた…」
そりゃ、5km程も走っていては疲れが出ない訳が無い。
極端に息が切れて、足が棒のようになって言う事を聞かない。
その上、ここはどことも分からない場所という不安が心を抉る。
「はぁ…はぁ…と、とりあえず休憩を……う？」
丁度良い大きさの岩を見つけた飛鳥は、とにかく休憩しようとその岩に座り込む。
しかし、それがいけなかった。
「う、うわぁぁぁああああああああああああっ！？」
岩に座り込んだ途端、岩が崩れて崖に落ちていく。
踏ん張ればなんとかなっただろうが、今の飛鳥にそれだけの余力は残されていない。
そのまま岩と一緒に崖を落ちていく。
このまま死ぬのだろう。
そう思った矢先に、飛鳥は意識を手放した。
―――――――――――――――――――――――――――
「―――い！おーい！大丈夫ー？！」
声がした。
聞いた事無いような可愛らしい声だ。
しかし、なぜそんなにも泣きだしそうな声音なのだろう？
まるで瀕死の人物に話し掛けるかの様じゃないか。
と、そう飛鳥が思った頃には意識がハッキリしはじめていた。
「うぅん……」
「っ！生きてるっ！よかった〜…」
物凄く安心したのか、声の主は大きく息を吐いているようだ。
と言うのも、今この状況で、何故か眼が開けられないのだ。
何かを被せているような、そんな違和感があるのが分かる。
となれば、それをどければいいだけの話だ。
「んしょっ…君が助けてくれ…」
「…？どうかした？」
飛鳥の目の前にいた声の主。
それは、飛鳥が頭の中でコッソリとイメージしていた人物像とは全く違っていた。
別に、声は可愛いのにブサイクとかそういう物では無い。
何より、彼女の身体を通して反対側の景色がごくうっすらと見える。
つまり彼女が半透明なのだ。
半透明の身体を持つ魔物を、飛鳥は知っていた。
色々な色彩を持つゲル状の身体を持つ魔物の娘。
スライムと呼ばれる魔物の娘が目の前に居たのだ。
「ま、魔物…」
「…？」
魔物だと分かった瞬間、反射的に少女から離れる。
その様子を見て、何が何だか分からない風な少女は首をかしげて飛鳥を見ていた。
「な、なんで…」
飛鳥の周りの領地は反魔物領とも言える場所であり、近くで魔物が住んでいるというだけで駆逐に向かう連中がいる。
そんな中で育った飛鳥は、家族や知人から魔物は恐ろしい物だと言う事をキッチリ教えられている。
そして、目の前にはその魔物娘がいるのだ。
驚き、そして何より恐れない訳が無い。
「そうだ！長老に報告しなきゃ…」
「…へっ？」
急に立ち上がった少女に驚き、身構え怯える飛鳥。
しかし、そんな飛鳥を置いて少女はどこかへ去ろうとする。
「あっ！そうだ、君も一緒に行こう？」
「へ…う、うわぁぁぁっ！？」
まるで角材でも担ぎあげるかのようにヒョイッと飛鳥を持ちあげた少女は、そのままどこかへ飛鳥を連れて行った。
その間、飛鳥がジタバタしていたのは言うまでもない。
――――――――――――――――――――――
「――と、言う訳なの。長老、なんとか出来ないかな〜…」
「いいから落ち着きなさい！それと長老もやめてっ！私そんなに年じゃない！それと貴方の言いたい事は全部分かってるから！」
どろどろの液体が人間の形を取って会話している。
飛鳥の目には、どう見てもそうとしか映らなかった。
片方は、先程まで飛鳥を運んでいた一人の少女。
もう片方は、どこか気品にあふれる姿をした、やはりスライムだった。
良く見ると、村長と呼ばれた彼女にはもう片方と違い、紅い球体が体の中でﾌﾟｶﾌﾟｶと浮かんでいる。
装飾かとも思っていたが、スライムの構造を知っていた飛鳥は、数十秒の内にそれが何かを思い出す。
それはコア。
心臓部分にあたる、スライムの身体の中で一番重要であり大事な部分。
それが、村長の胸にはあって少女の胸には無い。
「全くもう……それで、君？」
「は、はいっ！？」
村長に呼ばれ、飛鳥は身体が硬直してしまう。
親などの大人に怒られる前の様な恐怖感とはまた違う。
心がドキドキして身体が反射的に反っただけのように思える。
「あらあら、そう堅くならないで…ｺｯﾁは堅くしてく…ｺﾞﾎﾝ、何でもないわ」
「…？」
何かを口走りかけた彼女だったが、不意に視線を逸らして事なきを得た。
まぁ、飛鳥自身はその事に関して何も理解していない。
「私の名前は……そうね、王…帝とでも呼んでちょうだい？」
自分を帝と名乗る女性は、そう言いながら飛鳥の頭を軽く撫でる。
「あっ！村長ずるーい！私も名前欲しい〜！」
今まで名前が無かったらしく、少女の方も頬を膨らませながら帝に抗議する。
その光景は、だだをこねる娘とそれを宥める母親に相違なかった。
「あーもうっ！分かったわよ……っ！そうだわ♪それで、君、名前は？」
「あっ、飛鳥って言いますっ！」
再び身体が飛び跳ね、自己紹介一つするのにも緊張が高まってしょうがない。
だが、それがいいとでも言わん限りに帝はそんな飛鳥の緊張した姿を見てニコニコと笑っていた。
「飛鳥君ねっ♪今から、私達全員と交わりなさいっ♪」
「えっ」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇええぇぇぇえぇぇっ？！！？』
帝の発案の後、一瞬の沈黙の後にあらゆる方向から二人と同じような容姿をしたスライム娘達がぞろぞろと湧き出て来た。
今現在いるこの部屋は、一見すると藁ぶき屋根の古風な造りの建物。
襖を吹き飛ばしそうな勢いで開け放ち、数人のｽﾗｲﾑが飛びこむ。
屋根の藁ぶきの隙間から滲み出て来たスライムが落ちてくる。
床の下から這い出るように数匹のスライムが湧く。
玄関から高速でこの部屋まで飛んできて数匹のスライムがツッコミを入れる。
合計すると、10匹程度のスライムが飛鳥を取り囲んでいた。
「そそ、村長っ？！この人たちは一体…」
「さぁっ！今日は宴よ！！新しい王国再建の為！我らの主人の門出よぉぉぉっ♪」
『お〜〜〜〜〜っ♪』
飛鳥の知り及ばない話の中で、グイグイと話は進んでいく。
――――――――――――――――――――――
「さぁて、殿は私が務めるわ！まずは誰が行くのかしら？」
「はぁい♪この子がいいと思いまーす♪」
「ふぇ？！わ、私？！」
「いいね〜♪一番最初に見つけて来た訳だし、それくらいの権利あるって！」
「やっちゃえやっちゃえー♪」
最早、この部屋はお祭り騒ぎになっていた。
10匹 帝が所狭しと飛鳥を囲み、皆がそれぞれにわいわいがやがやと騒がしくしている。
そんな中、飛鳥だけは彼女達と違った心持だった。
「…(…みんなして、なんでそんなに喜んでるんだろう…)」
「さてと、我らが主人、飛鳥君には最初のお仕事をお任せするわ♪」
飛鳥の肩を掴み、帝が真剣な眼差しで飛鳥を見つめる。
しかし、その瞳には真剣さは欠落していて、代わりに先程までニヤニヤしていた所為で形が笑っている。
淫らな事を考えている事がバレバレな目つきだったが、飛鳥にそれを見抜くだけの知識などある筈も無い。
「えっ？お仕事？(なるほど、働く人が欲しかったのか…)」
どこかの主人公のように、状況を自分で判断して完結させると言うバカをやってのける飛鳥。
だが、次の瞬間には飛鳥の運命は転落の一途を辿る事となる。
「この子達全員と子作りして、私達全員に名前を付けてあげてくださいっ♪」
「……は？」
いくらなんでも飛鳥が理解できる域を超えていた。
飛鳥が疑問を持つ以前に、意味を理解する一歩手前でｽﾗｲﾑ達が飛鳥を抱え上げ、抱きしめたのだ。
それにしてもこの帝、ノリノリである。
「さぁっ！おもいっきりヤっちゃいなさいっ♪」
「ほらほらっ♪」
二〜三人のスライム達が飛鳥の足を無理矢理開かせズボンを降ろす。
股の間からは、元気を見せようと努力しているように膨らんだ逸物が垂れさがる。
「えっ…あの…」
「ほぉら、あの子も待ち遠しそうに見てるわよ〜？」
帝に耳元で囁かれ、とっさに前へ振り向く。
そこには、最初に飛鳥の会った娘がモジモジしながらこちらを見ていた。
少女の姿は、申し訳程度に纏っていたスライムで出来た着物が溶けて消え去り、完璧に裸体その物となっていた。
「そ、それじゃ……ｺﾞｸｯ……失礼しますね…んぅ…」
「ふぁっ？！な、なにこれっ？！」
少女が、飛鳥に覆い被さるようにのしかかってきた。
それによって、飛鳥の肉棒は少女達の思惑通り、少女の股間の中へと飲み込まれる。
少女の体内は飛鳥の思っているイメージを遥かに凌駕していた。
優しく包み込むような、気持ち良い内部の感覚に頭の中が瞬時に蕩けてしまう。
「ど、どうでしょう…？」
「き、気持ち良過ぎてっ……も、だめぇぇ！」
ｽﾗｲﾑの粘体の中へ挿入して10秒と経たない内の射精。
ドクドクと脈打つように、精液の奔流が少女のスライム体の中へ注がれていく。
その光景は、さしずめ半透明の液体に濁った泥水を流し込むように言い表せる。
「あら？もう出しちゃったの？それじゃ、お名前を決めてあげなさい？」
「は、はいぃ…」
「……（ﾄﾞｷﾄﾞｷ」
射精による疲労で、呼吸をする事すらままならない状態にあった飛鳥を帝は、優しく顔に指を這わせて労う。
その指には何かオレンジ色のクリームらしきものが滴っており、飛鳥の顔に塗られて行く。
液体は飛鳥の肌に触れる度にみるみる肌に浸透して行き、濡れた跡すら残さない。
しかし、変化はすぐに起きる。
「う、はぁぁあああああっ！」
「きゃぅ！？」
「フフッ、効き目は上々じゃない♪さっすが上級魔族って奴なのかしら？」
帝が何を言っているのかは分からなかったが、そのような些細な事は飛鳥にとってどうでもよく思えた。
疲労困憊で呼吸もままならなかった身体はあっという間に元気を取り戻し、逸物も先程の時より一回りほど大きく見える。
更には尋常ならざるインスピレーション的な何かが湧き出してきて少女の名前を決めようと脳がフル回転を始めた。
「…あっ！そうだわ……えいっ！」
「んむっ！？」
「っ！？？！」
名前を思い付き、飛鳥がそれを少女へ託そうと口を開いた次の瞬間。
帝は何を思ったか少女を突き飛ばす。
そうして、飛鳥の開きかけていた口は少女の唇によって塞がれてしまう。
お互いに目を見開いて驚いてはいるようだが、直ぐに互いの舌を絡めトロンとした表情になる。
「うわ、すっごい絵になる…」
「ぐぬぬ、早く私もあんな事やこんな事したい……あぁん…」
「ちょ！思考が共有されてる私たちにも…んはぁ！」
ギャラリーの少女の一人が、飛鳥達の淫らな交わりを見つめる中で自分もしたいと言う妄想を膨らませる。
それらは帝の持つコアを通じて共有されている為か、思考はそのまま全員の思考へ上乗せされる。
そうする事により、この場の全員が大なり小なりの声で喘いでいた。
それらは場の空気をより一層ピンク色でエロティカルな雰囲気へと誘う。
「はっ……はぅぁぁぁぁぁ！」
「ﾌﾟﾊｯ…ま、また出……アスハｧｧｧｧｧｯ！」
やっとキスの体勢から解放された飛鳥だったが、次の瞬間には少女・アスハの締め付けが急にキツくなった。
それによる快感に耐えきれず、またもやアスハの体内へ精液をドクドクと流し込む。
「ふぁぁぁぁぁぁぁ…」
「ふぅん、アスハちゃん、かぁ……良いじゃない？グッドよ飛鳥君♪」
「は、はいっ！」
許容出来る量を超えそうな程に精液を流し込まれたアスハの身体は、所々から精液の塊がプカプカと浮いているのが見て分かった。
気持ち良さと精液の影響、その他諸々の嬉しさと悦びに満ち溢れ、アスハは飛鳥の身体へもたれかかる。
それでも尚、飛鳥の性欲の滾りは収まる事を知らずに逸物をビクンビクンと雄々しく揺らす。揺らす。揺らすったら揺らす。
「さぁ、この調子でここに居る全員を孕ませて名前を与えなさい、飛鳥君？」
「はいっ…うっ…」
「ほぉら、今度はお姉さんがお相手仕るぞー♪」
それから先、何時間、いや何日になるかも分からない程にスライムの少女達を抱き続けた飛鳥は、いつまでもその性欲が耐える事は無かった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
「んはぁ♪もっと！もっとよ飛鳥君っ！」
「はいっ！またイきますよ、帝様ぁぁぁぁぁぁぁ！」
「きてぇ！まだまだもっと流し込んでぇぇぇ！」
あれから最早時間と言う概念すらも忘れ去って、飛鳥はスライムと交わっていた。
激しく腰を振る帝へ、飛鳥はお礼とばかりに腰を打ち付け返し、大量の精液を帝のコアめがけてぶちまける。
その度に帝は飛鳥を強く抱きしめ、逸物も強く締め付けながらその愛を存分に受け止めるのだ。
「はぁ…はぁ……帝様ぁ…」
「うふふっ♪気持ち良かったわよ♪もうおやすみなさい？」
「はいぃ………」
帝の言われるがままに、飛鳥はあっという間に眠りに付いた。
帝が用意したスライム製の布団に身体を沈め、ぐっすりと身体を預けて眠りに落ちる。
その頭を、帝は優しく数度撫でてやるとその場を離れ、夜景のきれいな縁側へと出る。
「イン……貴方の野望ほど簡単では無かったけれど、私も2代でここまで来たわよ…？」
そう小さな声で呟きながら、帝は視線を落として城下に青々と広がる街並みを見下ろす。
城下町では、今も数々の長屋の光が絶えず、そこからは楽しそうな夫婦や家族の言葉が聞こえてきそうだった。
飛鳥をこのスライム達の場所へ迎え入れてからもうどれほどの月日が経ったかは分からない。
だが、一つだけ言える事がある。
それは、帝達クィーンスライムが一つの王国を築き上げようとしている事である。
あれからスライムの数はざっと数えるだけでも数十倍に増大し、森を飛びぬけて近隣の小さな農村を既に吸収している。
そこに居た男性達は、スライム達が気に入れば夫や養子として迎え入れ、妻子持ちや女性、御眼鏡に適わなかった者等は丁重に他の村へ送りつけていた。
ｱﾌﾀｰｹｱも万全に整えてあった事もあってなのか、このｽﾗｲﾑの王国を恨む者は極僅かしか居なくなっている。
たびたびに行商人や情報屋が駆け付け、情報や物品の売買が執り行われている。
「前の夫とでは子供を9人が限界だったのに……凄い子を迎え入れたものだわ、本当に…」
「んぅぅ…」
城下を見下ろすのを止め、飛鳥の寝ているすぐ隣に腰掛け、その頭を何度か撫でまわしながら帝はそう呟くのだった。
〜（姦姦・姦姦）〜
12/11/05 18:13更新 / 兎と兎