旅17 僕とわたしが愛しあっている証明!
「あとちょっとでヘプタリアだね!」
「そうだね!その後はジパング…凄くわくわくするな〜」
現在13時。
私達はヘプタリアに向けて和気藹々としながら進んでいた。
とりあえず山を越えてからは誰にも襲われてないし、特に危険な事もなかった。
このままヘプタリアまで何事もない事を願おう。
「ところで、ジパングにも魔物っているの?」
「いっぱいいるよ。ジパングでは妖怪って言うんだけどね」
「へぇ…共存とかは?」
「結構しているんじゃないかな?退魔師っていう大陸の教団みたいなのもあるけど、妖怪見たら即退治なんて人はほとんど居ないし…それに僕の故郷は水神様を…魔物の一種である『龍』を信仰してるしね」
「ほぉ…それはすごいね…」
話を聞けば聞く程早くジパングに行きたくなる。
いままで見たことも聞いたこともない世界が広がっているのだ。ワクワクしないほうがおかしい。
「とりあえずまずはツバキの故郷を目指すって事で案内は任せるぞ!」
「うん、任せてよ!」
自然と私達の足は、普段よりも速く動いていた。
…………
………
……
…
「さて、ここを越えたらヘプタリアが見えてくると思うけど…」
「うわぁ…うっかり足を滑らせたりすると大変だね…」
あと少しで町に着くという場所まで来たが…
急な斜面…というか崖がある道を通らなければいけないとは……
見た感じディナマのアジトの近くの崖より高そうだし…嫌だなぁ…
「うーん…まあ大丈夫だろ。一応内側歩いてれば誰かに突き落とされたりしない限り落ちる事無いだろうし」
「そうだよ!アメリ10人分位あるほど道広いんだもん!わざとおちようとしなかったらもんだいないよ!!」
「まあ…そうだけどさ…」
そう言うけど…一回落ちて死にかけた経験がある私としては怖いんだけど…
今回はアメリちゃんは飛べるから良いとして、残り二人及び私が落ちたらと思うとね…
「まあ余計な心配だと思うよ?あのときみたいにゴチャっとしてるわけでもないしそうそう落ちはしないかと」
「……そうだね。じゃあ行こうか!!」
いつまでも心配して進まないのはよくないので、不安を振り切って出発しようとしたら…
パシャーーン!!
「うっひゃあ〜〜〜〜!!」
突然何か冷たいものが私に飛んできて顔面に当たった。
この感覚的に飛んできたものは……水?
え?なんで水?ここまだ山なんだけど…?
「え!?何!?」
「水?何で!?」
「たぶんあそこにいるお姉ちゃんがとばしたんだよ!!」
「へ?」
そう言ってアメリちゃんが指した場所を見てみると…
「……」
黒い瞳に黒いロングの髪をした、ジパング人みたいな女性が一本の木にもたれかかっていた。
「えっと…今のはあなたが?」
「……」
私が話し掛けたら、その女性はかなり怖い顔で私達のほうを見てきて…
「…久しぶりだね椿…元気そうね……」
こう、かなり低い声で言ってきた。
私の質問に答えてくれてない…のは別にいいや…でもこの人誰なんだろう?
ジパング人っぽいし、ツバキの名前が出ていたし知り合いかな?
そう思いツバキのほうを見ると…
「あ……ああ………あ…」
もの凄く驚いた顔をしながら固まっていた。
いったいどうしたというのだろうか?
「どうしたのツバキ?」
「あ、あ…り……りん………」
「ありん?おーいツバキ〜、落ち着いt…」
ツバキが壊れた人形よろしく固まって何か呟き続けている。
このままじゃ知りたい情報を得られないので、身体を揺さぶって落ち着かせようとしたら…
「もこもこ白おんなぁああ!!椿に触るなああああ!!」
「ひゃいいっ!?ごめんなさい!!…ってもこもこ白女って私の事!?」
もの凄く怖い顔と恨みを乗せた声でその女性に怒られた。
本当になんなのだろうか?
「生きて…いたんだな……」
と、表情は驚いているままではあるがようやくツバキが動き始めた。
「うん……生きていたよ……人間じゃ無くなってるけどね……」
「え…?」
そういった彼女の姿が…見る見るうちに変化していった。
まず、肌色だった皮膚は青色に変わり、腕や足、腰は鱗に覆われていった。
次に耳が伸び先端が尖り、頭から深青色の角が4本対になるように生えてきた。
そして腰からは綺麗な魚の尾みたいなものが現れた。
この姿は…どうみたって人間じゃなくて魔物…鱗や鰭からしてたぶん水辺に棲む魔物だろうけど…なんて魔物だ?
「ネレイス…」
「え?」
「あのお姉ちゃん、『ネレイス』さんだよ…足だけ人間さんのものにしているけど…」
アメリちゃんが言うには、彼女はネレイスという魔物らしい。
この前聞いた話だと海のサキュバスだって言ってたからてっきりネレイスにも悪魔の様な尻尾や翼が生えているかと思ってたよ。違うんだね。
あれ?でもなんで海に棲んでいるネレイスがここに、しかもツバキに会いにきて……ん?
まさか……この女性って……
「そうか…ネレイスになって生きていたんだ…良かったよ…」
「林檎……」
やっぱり…ツバキの幼馴染みであり、彼女であり、大切な人であるリンゴのようだ。
「どうして…今まで会ってくれなかったんだい?」
「自分がどこに居るかわからなかったから…帰ろうとしても帰れなかったのよ…やっと故郷に帰ったらなぜか椿居ないし…」
なるほど…だからすぐにツバキの下に現れなかったのか…
そのままツバキが大陸に行ってしまい故郷に戻ってもおらず、大陸まで探しに来たってところかな?
どちらにせよ良かった…リンゴが生きていて本当に良かったよ…
「それでやっと見つけたと思ったらわたしの事忘れてもこもことイチャイチャしてるじゃん?ふざけんなって思ったよ…」
『え?』
…ん?なんだか話がおかしな方向に展開してきたような……
「なんなのその女?抱き合ったり楽しそうにお喋りしたりしてさぁ…まあわたしの事死んでるって思ってたんなら仕方ないとは思うけどね?」
「え、あの…林檎?」
あれ…本格的に話が変な方向になってきたぞ…
なんかリンゴから黒いオーラみたいなものが発生しているような…
「でもね、わたしは椿の事をずっと思い続けてたのに椿はわたしの事忘れて他の女とイチャついてるの見て許せると思う?許さないよ椿…」
「え、ちょっと待って林檎…僕未だに忘れてはいないんだけど…」
ツバキの話を聞こうとしない…というより耳に入っていなさそうなリンゴ。
実際は全くそんな事ないけど、空間がゴゴゴゴ…と音を立てながら歪んでいってるように感じる。
「いや…違う…椿も許さないけどそれより許せないのはもこもこのほう…あんたよくも人の男を奪ったわね…」
「え…何の事ですか?」
「とぼけるなああああああああああああああああああああああ!!」
「ひいぃっ!!」
そして、私をまるでこの世で最も嫌いな存在に向けるようなとても恐ろしい表情で睨みつけながら叫び始めた。
怖すぎる…いったいどうしたというのか…
「もこもこおおおおおおおおお!!アンタはわたしが駆除してやるうう!!人の男に手を出した事を後悔しながら死ねえええええええええええええええええええええ!!」
「え、ええーっ!?」
怒りと憎しみしか感じとれない表情からすると本気のようだけど…なんで私リンゴに殺されないといけないの?
何か私恨まれるようなことやった?
というか人の男…この場合はツバキの事だろう…ツバキを奪ったってどういうこと?
「ちょっと林檎!!落ち着け!!いきなり何言ってるんだ!?サマリに死ねってどうしたんだいったい!?」
「もこもこはサマリっていうのね…椿をわたしから奪ってさも自分の彼氏のように振舞ってるサマリを駆除するだけよ…そうすれば椿も目を覚ましてくれる…そうに違いない!!」
「はああ!?」
ちょっと待て!誤解にも程がある!
私がいつツバキを彼氏のようにしたのか…というかいつどこで何を見ていたんだ?
そもそも誤解で私は殺されるのか?それは何としても避けたいのだが…
「ち、違うぞ林檎!!」
「何が?何が違うっていうの椿?」
「サマリは大切な旅仲間であってそういう関係じゃ…」
「サマリは大切ぅ?そう…もうわたしよりもサマリのほうが良いって言うのね…」
「え、違うから!!僕の想いは林檎に向いたままだから!!」
「え…椿の想いはわたしに向いたまま…って事はサマリが無理矢理椿の事を…ゆ・る・さ・ん!!!!」
「あ、いや、そうじゃなくt」
「殺す!!椿を無理矢理自分のものにしている事を後悔させながら殺す!!」
「いや、だから…」
ツバキさんお願いだからもう喋らないで…って言ってもそれで更に余計酷くなりそうだから言えない…
なんかもう私リンゴの目線だけで死ぬんじゃないかと思えるほどにリンゴから恨みと殺意が私に向けられている。このままではこっちの話を聞いてもらう前に殺されてしまうだろう。
今のツバキでこの事態を収拾する事は到底出来無さそうなので、さっきから蚊帳の外にいるユウロとアメリちゃんに助けを求めようと視線を送ったら…
「…………」プルプル…
「…………」ガクガク…
アメリちゃんはユウロに抱きかかえられながら恐怖でプルプルと震えているし、ユウロはアメリちゃんを抱きかかえながらガクガクと恐怖に襲われていた。
そして私の目線に気付いた瞬間、全力で首を横に振り始めた…関わりたくないという事だろうか。
私だって関わりたくない…というか全力で逃げたいんだけど…だれか助けてほしいんだけど……
とか余所見をしているうちに…
「サマリィ…覚悟しなさい…『アクアムーヴウェーブ』!!」
「え!?な、なにあれ!?」
どうやらリンゴは私を殺す事にしたらしい。魔法だと思うものを私に向けて放ってきた。
両手で輪を作り、そこから微細振動しながらわたしのほうにかなりの速さで向かってくる水で出来た大きめの輪。
避けようにも片側は崖、もう一方は土壁である。当たる他どうしようもない。
でも当たって無事で居られるかと言うと…私を殺す気で撃ってきたのだから…無理な気がする…
と、いろいろ諦め思考を張り巡らせていたら…
スパッ!
パシャアアッ!!
「あ、あれ?」
突然その輪が真っ二つになって、辺りに水を撒き散らしながら消えた。
…いや、突然真っ二つになったのではなく……
「…なんで……なんでサマリを庇うのよ…椿!!」
そう…ツバキが私の前に出てリンゴが放った魔法を斬ったのだった…
助かったけど…余計大変な事になりそうだな……
=======[リンゴ視点]=======
「…なんで……なんでサマリを庇うのよ…椿!!」
意味がわからない。なんで椿が自分から進んでサマリを庇うの?
「なんでって…わざわざ説明しないと駄目かい?」
そう言う椿は…珍しく怒っていた。
離れている期間を除いても久々に見た椿の怒っている姿…
滅多に怒らない椿が……わたしに対して怒っていた。
なんで?どうして?わたし何か悪いことした?何か椿を怒らせるようなことした?
……………………
まさか……そんな……!!
「…椿はサマリのほうが大切なんだね…」
「はあ?なんでそうn…」
「バカー!!椿なんてもう知らない!!」
「…おーい…人のはなs…」
「もう二人まとめて崖から落としてやるうう!!『水力噴射』!!」
わたしは心の奥底から湧きあがってくる怒りにまかせ、腕を前から後ろに動かし身体を包むように水を纏い、掌を介してその水を後ろに噴射させながら二人に突進した。
このまま二人に突っ込めばわたし自身の重量と水の勢いで崖まで吹き飛んでいくはず。そう考えてわたしはこの術を使用した。
しかし、発動後に重大な欠点を思い出してしまった。
それは……
「うひょえええええええええええ!?」
「お、おい林檎!!何して……って危ない!!」
わたし…まだこれを完全には使いこなせていないと言う事をだ。
上手くコントロールできず、サマリはおろか椿にも当たらずに二人の横を通り過ぎ…
「わっ……あっ………!!」
あわてて術を解除したときには…勢いを殺しきれずに……
…私は崖に飛びだしていた。
目の前には…なにもない。
あるとしても、はるか遠くにある地面だけ…
わたしは…このまま落ちて……死ぬ……
やっと椿に会えたのに…死んだと思ったら生きている事が出来たのに…死んでしまう……
今度は絶対に助からない……椿とは永遠の別れ……
そんなの…嫌だ……嫌だよ……
でも……死が目前に迫って落ち着いてきた……
落ち着いてきたからこそ…わたしが今何をしていたのか…冷静に考えてしまった…
考えてしまったから……もう……助かる事を諦めた……
きっと、これは罰なんだ…
だってわたし…他人を殺そうとしたんだもの…
どんな理由であれ…良い事じゃないのに…
人を呪わば穴二つ…サマリを殺そうとしたから受けたわたしへの罰なんだ…
椿が怒っていたのは、きっとこの事だろう…
わたしが最低な事をしようとしていたから…間違ってる事をしていたから怒っていたのだろう…
ごめんね…椿……ごめんなさい……
もう遅いだろうけど…ごめんなさい……
わたしの身体は、重力に逆らう事無く落下して……
ガシッ!
「……セーフ!!」
「………………えっ!?」
…いや、落下しなかった。
落下する直前に、何者かに腕を掴まれたから…
何者かは声から予想はつくけれど…信じられないので上を見ると…
「だ、大丈夫…絶対に落とさないから…!!」
「な、なんで…どうしてアンタがわたしを助けるの…?」
そこには…もこもこの白っぽい毛に覆われている女…サマリが居た。
サマリが、崖から落ちそうになったわたしの腕を、上半身のほとんどを乗り出して掴んでいた。
「わたしが居なくなれば…アンタは椿と…」
「…イチャつくとでも思った?私もツバキも互いに恋愛感情は抱いていないのに?」
「…えっ!?」
恋愛感情は抱いていないって…どういうこと?
「ツバキは…リンゴの事が忘れられないんだよ!自分の好きな人は、大切な人はリンゴしか居ないからって…他の魔物の誘惑を振り払ったり、私に絶対襲いかからないように釘を刺したりしてたんだよ!!」
「えっ?えっ?」
つまり…椿はサマリと愛し合っている訳じゃないって事なの?
「だから安心して!誰もツバキを奪ってなんかいないし、ツバキもリンゴ以外の誰かに恋したりしてないんだから!!」
「そ、そんな…じゃあ……」
わたしの…勘違いだったのか…早とちりだったのか…
わたしは…なんて事を…!!
「ごめんなさい……わたし……」
「謝るのは後にして!今はこの崖を登って!私の力じゃ持ち上げられない…どころか…そろそろ手を話しそうなほどギリギリだから…!!」
たしかにわたしを掴むサマリの腕は、限界が近いのか震えていた。
けれど、わたしも自分の力では登れそうにない。手を掛ける場所がないのだ。
「もういいよ…わたしが悪いんだもの…いいよ手をはn…」
「絶対に離さない!!やっとツバキとリンゴが再会できたのに、このままお別れなんて嫌だよ!!」
「なんで…なんでサマリがそこまで嫌がるの?」
なんとなく聞いた質問だったけれど…
「そんなの…大切な仲間だからに決まってるじゃん!!」
「!!」
答えは、サマリを勘違いで恨んでいた自分が惨めに思えるくらいのものだった。
「…はぁ……もう、世話を掛けさせないでよ…」
「あ、椿…」
と、椿がサマリの横に現れて…
「ここで林檎とまたお別れなんて、僕は絶対嫌だからね!」
わたしを腕を掴み、引っ張りあげてきた。
「二人だけだと大変だろうから俺も手伝うよ!」
「アメリはとんでだきあげるね!」
さらに、そういえば視界の淵に映っていた男の人とサキュバス…かな?の子供がそれぞれわたしの手と胴を持って…
わたしは、無事に崖から引っ張り上げられた。
…………
………
……
…
「ほんっとーにごめんなさい!!」
「いやあ…私は全然良いけど…」
あの後、少し場所を移動し広い場所に出た後に、完全に冷静になったわたしは皆からきちんと説明された。
どうやら山の上で抱きついていたのはわたしの事を思い出して暗くなっていた椿をワーシープ流に励ましていたらしい…勘違いするなって言うほうが無理な気がするけど…それをきちんと聞かず勝手に決め付けたわたしのほうが悪いよね…
心の底から謝らないと…ということでわたしは今サマリに土下座中。
それ以外にもいろいろと聞いた…どうやら皆は一緒にきままな旅をしている仲間らしい。
椿が大切とか言っていたのは仲間としてだった…ホントなんでわたしこうも人の話を聞かなかったんだろうか…人間だった頃はそんなことも無かったのに…
「はぁ……まあ襲われた本人が良いって言ってるから許すけど…もう少し人の話を聞いてほしいよ…」
「うぅ…ごめんなさい……」
そんなわたしに椿も呆れている…これは嫌われちゃったかな…
なんて考えは…する必要無かったようだ。
「はぁ…まあいいや…それよりも林檎…」
「何?つばk…!!」
椿は大きく一回溜息をついたあと、わたしの名前を呼びながら…
「おかえり…それと…大好きだよ…」
力いっぱい抱きしめて…わたしの耳元でこう囁いてくれたのだから…
「わたしも…椿の事大好き…ただいま!!」
だからわたしも、椿を抱きしめて…力強くこう言った…
いつまでも抱き合っていたい…もう離れたくない…なんて思っていたら……
「ツバキお兄ちゃん、リンゴお姉ちゃん、用意できたよー!!」
サキュバス…じゃなくてリリムのアメリちゃんがわたし達に話しかけてきた。
良い雰囲気だったのに……用意って、いったい何の事だろうか?
そう思い顔を上げてみると、目の前にはいつの間にかテント…て言うんだっけ?それが張ってあった。
「えっと…用意って…何?」
「アメリたちはお外にいるから、19時までは二人でつかってていいよ!おく二つのベッドはつかってないし、もう一つ手前のツバキお兄ちゃんが使ってるとこでもいいよ!!」
「へ?いきなり何を言っているんだいアメリちゃん?」
「……うん、ありがとアメリちゃん!」
「え?林檎は今のわかったの?」
今の言葉から…わたしの直感と本能が答えを導き出した。だからお礼を言ったのだ。
「じゃあ椿行こうか!そしてシようか!!」
「え、ちょっと、いきなり立ち上がって…僕を引き摺って『テント』に入って何する気!?」
そしてわたしはテントの中に椿を連れて入った。
今から、離れていた分も、それに人間だった時の分まで椿と『愛し合う』為に…
「二人でゆっくりとお楽しみに〜!」
「じゃあアメリたちはお外であそぼ!!」
「そうだな…何して遊ぼうか?」
「うーん…『テント』の中で二人がしてる事g「絶対しないからな」…冗談通じないなぁ…」
「言っていい冗談とそうでないものもあるだろ!」
「…で、なにするの?」
「うーん…ま、とりあえずここ日当たりもいいし、地面も芝生みたいだから昼寝でもしようぜ」
「賛成!!なんなら二人とも私に抱きつきながら寝て良いよ!」
「…襲わないよな?」
「たぶん大丈夫!!さあ寝よう!!おやすm………ぐぅ…………」
「「はやっ!?」」
====================
わたしは椿を引き摺りながらテントの中に入った。
……外見よりかなり広い気がするけど、今そんな事はどうでもいい。
アメリちゃんに言われたとおりに、一番奥のベッドまで行くことにした。
「ちょ、林檎…まさか…!?」
「何?嫌なの?」
「嫌じゃないけど…まだ昼だし…うわっ!?」
渋る椿を、わたしは構う事無くベッドの上に押し倒した。
もちろん、今から椿と性交を行う為にだ。
「いいじゃない…わたし、ずっとシたかったんだから…大好きな椿の精を、わたしのナカに注いでもらいたかったんだから…」
「林檎……もう立派に魔物だね…」
「…褒め言葉として受け取ってあげよう」
そのまま椿の穿いているものを摺り下げようとしているのだが、なかなか上手く下げられない…
「もぅ…わかった。皆も気遣ってくれたしね…」
が、椿がとうとうヤる気になったのか、自分から脱いでくれた。
脱がす楽しみが無くなってしまったのは残念だったがまあ仕方が無い。
「あ、そうだ…林檎、その足って本当の足じゃないんだろ?」
「え、あ、うん。いつもの足にしたほうが良い?」
「まあね…今の本当の林檎の姿をみたいしね」
「…わかった…」
椿がそう言う事だし、わたしは足の変化を解いた。そしたら、わたしの足は人間のものから、魚の鰭みたいになった。
もちろんこれは歩くのではなく、泳ぐ為のものだ。わたし達ネレイスは海に生きる魔物なのだから。
「これでいい?」
「うん…すっごく綺麗だよ…」
「へへっ…ありがと…!」
椿が綺麗だと褒めてくれて…わたしは嬉しくなった。
「それじゃあ椿…きて…」
「あ、ああ…でもその前に濡らしたほうが良いんだよな…もう大丈夫な気もするけど」
わたしは秘部を隠している鱗を取り去り、横になった。
椿と繋がれる事を考えていたら、自然と興奮していたから…椿の言うとおり、わたしのソコはすでに濡れていた。
早く椿のモノを挿入れてほしいという気持ちも大きいけれど…
「まずはキスしてほしい…それと、おっぱい…触ってほしいな…」
最後にしたのがいつかわからないキスを久々にやってもらいたかった。
それと、今まで一度も触ってもらったことのないおっぱいも触ってもらいたかった。
「ああ…わかったよ……んっ」
椿が了解の言葉を言うとすぐにわたしに覆い被さってきて、わたしの唇に自分の唇を重ね合わせた。
それは久しぶりの…優しく…甘く…暖かいキスだ……
「んっ……ちゅぷ……んる♪」
だが、それだけでは物足りない…
だからわたしは、自分の舌を椿の唇を押し分けて、椿の舌に絡めた。
椿もそれに気付いたからか、ぎこちない動きながらもわたしの舌に絡んでくる…
その動きが…わたしの脳を蕩けさせる…
「んじゅ……んんっ♪」
更に、椿はわたしのおっぱいを触って……いや、揉んできた。
初めてだから技術も何も無いけれど、椿がわたしのおっぱいを揉んでいるという事実が、わたしの気持ちを高鳴らせている。
「ぷはぁ……つばきぃ…♪」
長いキスも終わり、一旦口を離して椿の顔を見る。
軽い酸欠でも起こしたのか、それとも興奮の為か顔をほんのり赤くしながら、「はぁ…はぁ…」と息を荒げていた。
そして、お互いの唇からは銀色の細い橋が掛かっており……プツッと切れわたしの身体の上に雫が落ちた。
その目線の先…椿の股間を見ると、パンツに小高い山が形成されていた。
もう我慢できない…早く椿の陰茎でわたしの陰唇を貫いてほしい…精液をナカに沢山射精してほしい…
その山を見た途端、わたしの中でそんな想いが強くなってきた。
「つばき…もう…お願い……」
「…いいんだね、林檎?」
「当たり前よ……じゃあパンツ下ろすね…………わあっ♪」
だからわたしは、身体を起こして椿のパンツを自らの手で素早く下ろした。
そして、目の前に現れた椿の陰茎、ジパング人にしては珍しく剥き出しにされた亀頭を見たわたしは…
「つばきぃ……はやくちょーだい♪」
「うわっと!あ、慌てないで…」
…横になると同時に、鰭のついた足を使って椿の身体を自身に引き寄せていた。
もうわたしの下には愛液でできた大きなシミがあった…それほどわたしは待ち焦がれているのだ。
「じゃ、じゃあ…挿入れるよ…」
「うん……あっ♪」
そして、待ち焦がれていた瞬間がやってきた。
椿の亀頭が、わたしの陰唇に触れ…膣内まで挿入ってきた…
さらにどんどん奥へ進んでいき…そして……
「……いくよ…痛かったら言うんだよ……」
「うんっ……あ、あああっ……♪」
椿の陰茎が…わたしの処女を突き破った。
「だ、大丈夫か?」
「うん♪……わたし…椿と一つになれた!」
「……ああ!」
ちょっとだけ痛みを感じはしたけど…それ以上に快感と幸福がわたしを包んだ……
「つばき…動いていいよ…」
「あ、ああ……でも…」
椿が何か言いたそう……ってだいたいわかるけど…
さっきからわたしの膣は、わたしが椿を欲しがっているからか椿の陰茎をきゅうきゅうと締め付けている。
しかもただ締め付けているのではなく、まるで搾るようにしながらだ。
そして、そんなわたしの攻めを受けている椿の陰茎は…わたしのナカで大きく脈動していた。
つまり…
「すぐ射精しそうなのね…いいよ、射精して…わたしのナカに、いっぱい注いで…」
「わかった…じゃあ動くよ……」
そう言って椿は、ゆっくりと腰を動かし始めた。
単調な前後運動ではあるけれど、椿のモノがわたしの膣内を擦っているのを感じる…
それは、わたしを絶頂へと登らせるのには十分なものだった。
「はぁん、はっ、つ、つばきぃ、あっ、あ♪」
「ふっ、ふっ、り、りんご、うあっ…」
互いの名前を喘ぎ声に乗せ、くちゅっ…ぐちゃっ…と卑猥な音を部屋中に響かせながら、わたし達は互いに高鳴りあい……そして……
「はあっ、う、うぁあああっ!」
「ひゃっ!あ、あつっ、あぁああぁあああっ♪」
椿の亀頭がわたしの子宮口に触れた瞬間、椿の肉棒は精液を爆ぜた。
わたしも、子宮内に直接注がれる椿の精液を感じ取り…身体が大きく痙攣し、目の前は星が輝いたようにチカチカし、頭が真っ白になった……
わたしがネレイスになったときとは比べ物にならない程の快感や衝動、そして幸福感を全身で感じ取りながら…わたしはイった……
………
……
…
「ふぅ……ふぅ………りんご?」
「はっ♪はっ♪な〜につばきぃ?」
絶頂から戻ってきたわたしに、椿が何か言いたそうにしていた。
「えっと…腰を離さないようにしている足…どかしt」
「イヤ♪」
「…ええ〜……」
スキュラさんに教えてもらっただいしゅきホールドをやめろだなんて…そんなのお断りである。
しかも……
「まだ19時まではたっぷり時間があるしぃ…それに椿もまだ硬くしてるじゃん!」
「まあ……そうだけれど……」
そう、まだ外は明るいのだから時間ではないし、わたしの膣内に挿入されている椿のおちんちんはまだ硬く大きいままなのだ。
「だから…まだまだいっぱいしよ♪ずっとお預けくらってたんだもん…まだまだ足りないよ!!」
「あうっ!ちょっ、まっ、射精したばっかりで敏感だから…!!」
わたしの子宮には椿のモノが入っている…が、まだまだ満たされてはいないのだ。
なのでわたしは、そのまま腰を振り始めた。
椿を、わたしという海に溺れさせる為に…
わたしと一緒に、快楽という名の海に溺れていくように……
そして、ずっと繋がったまま、もう二度と離れ離れにならないように………
椿とわたしは…互いを求め……互いの事を想い………互いを愛し合った…………
「そうだね!その後はジパング…凄くわくわくするな〜」
現在13時。
私達はヘプタリアに向けて和気藹々としながら進んでいた。
とりあえず山を越えてからは誰にも襲われてないし、特に危険な事もなかった。
このままヘプタリアまで何事もない事を願おう。
「ところで、ジパングにも魔物っているの?」
「いっぱいいるよ。ジパングでは妖怪って言うんだけどね」
「へぇ…共存とかは?」
「結構しているんじゃないかな?退魔師っていう大陸の教団みたいなのもあるけど、妖怪見たら即退治なんて人はほとんど居ないし…それに僕の故郷は水神様を…魔物の一種である『龍』を信仰してるしね」
「ほぉ…それはすごいね…」
話を聞けば聞く程早くジパングに行きたくなる。
いままで見たことも聞いたこともない世界が広がっているのだ。ワクワクしないほうがおかしい。
「とりあえずまずはツバキの故郷を目指すって事で案内は任せるぞ!」
「うん、任せてよ!」
自然と私達の足は、普段よりも速く動いていた。
…………
………
……
…
「さて、ここを越えたらヘプタリアが見えてくると思うけど…」
「うわぁ…うっかり足を滑らせたりすると大変だね…」
あと少しで町に着くという場所まで来たが…
急な斜面…というか崖がある道を通らなければいけないとは……
見た感じディナマのアジトの近くの崖より高そうだし…嫌だなぁ…
「うーん…まあ大丈夫だろ。一応内側歩いてれば誰かに突き落とされたりしない限り落ちる事無いだろうし」
「そうだよ!アメリ10人分位あるほど道広いんだもん!わざとおちようとしなかったらもんだいないよ!!」
「まあ…そうだけどさ…」
そう言うけど…一回落ちて死にかけた経験がある私としては怖いんだけど…
今回はアメリちゃんは飛べるから良いとして、残り二人及び私が落ちたらと思うとね…
「まあ余計な心配だと思うよ?あのときみたいにゴチャっとしてるわけでもないしそうそう落ちはしないかと」
「……そうだね。じゃあ行こうか!!」
いつまでも心配して進まないのはよくないので、不安を振り切って出発しようとしたら…
パシャーーン!!
「うっひゃあ〜〜〜〜!!」
突然何か冷たいものが私に飛んできて顔面に当たった。
この感覚的に飛んできたものは……水?
え?なんで水?ここまだ山なんだけど…?
「え!?何!?」
「水?何で!?」
「たぶんあそこにいるお姉ちゃんがとばしたんだよ!!」
「へ?」
そう言ってアメリちゃんが指した場所を見てみると…
「……」
黒い瞳に黒いロングの髪をした、ジパング人みたいな女性が一本の木にもたれかかっていた。
「えっと…今のはあなたが?」
「……」
私が話し掛けたら、その女性はかなり怖い顔で私達のほうを見てきて…
「…久しぶりだね椿…元気そうね……」
こう、かなり低い声で言ってきた。
私の質問に答えてくれてない…のは別にいいや…でもこの人誰なんだろう?
ジパング人っぽいし、ツバキの名前が出ていたし知り合いかな?
そう思いツバキのほうを見ると…
「あ……ああ………あ…」
もの凄く驚いた顔をしながら固まっていた。
いったいどうしたというのだろうか?
「どうしたのツバキ?」
「あ、あ…り……りん………」
「ありん?おーいツバキ〜、落ち着いt…」
ツバキが壊れた人形よろしく固まって何か呟き続けている。
このままじゃ知りたい情報を得られないので、身体を揺さぶって落ち着かせようとしたら…
「もこもこ白おんなぁああ!!椿に触るなああああ!!」
「ひゃいいっ!?ごめんなさい!!…ってもこもこ白女って私の事!?」
もの凄く怖い顔と恨みを乗せた声でその女性に怒られた。
本当になんなのだろうか?
「生きて…いたんだな……」
と、表情は驚いているままではあるがようやくツバキが動き始めた。
「うん……生きていたよ……人間じゃ無くなってるけどね……」
「え…?」
そういった彼女の姿が…見る見るうちに変化していった。
まず、肌色だった皮膚は青色に変わり、腕や足、腰は鱗に覆われていった。
次に耳が伸び先端が尖り、頭から深青色の角が4本対になるように生えてきた。
そして腰からは綺麗な魚の尾みたいなものが現れた。
この姿は…どうみたって人間じゃなくて魔物…鱗や鰭からしてたぶん水辺に棲む魔物だろうけど…なんて魔物だ?
「ネレイス…」
「え?」
「あのお姉ちゃん、『ネレイス』さんだよ…足だけ人間さんのものにしているけど…」
アメリちゃんが言うには、彼女はネレイスという魔物らしい。
この前聞いた話だと海のサキュバスだって言ってたからてっきりネレイスにも悪魔の様な尻尾や翼が生えているかと思ってたよ。違うんだね。
あれ?でもなんで海に棲んでいるネレイスがここに、しかもツバキに会いにきて……ん?
まさか……この女性って……
「そうか…ネレイスになって生きていたんだ…良かったよ…」
「林檎……」
やっぱり…ツバキの幼馴染みであり、彼女であり、大切な人であるリンゴのようだ。
「どうして…今まで会ってくれなかったんだい?」
「自分がどこに居るかわからなかったから…帰ろうとしても帰れなかったのよ…やっと故郷に帰ったらなぜか椿居ないし…」
なるほど…だからすぐにツバキの下に現れなかったのか…
そのままツバキが大陸に行ってしまい故郷に戻ってもおらず、大陸まで探しに来たってところかな?
どちらにせよ良かった…リンゴが生きていて本当に良かったよ…
「それでやっと見つけたと思ったらわたしの事忘れてもこもことイチャイチャしてるじゃん?ふざけんなって思ったよ…」
『え?』
…ん?なんだか話がおかしな方向に展開してきたような……
「なんなのその女?抱き合ったり楽しそうにお喋りしたりしてさぁ…まあわたしの事死んでるって思ってたんなら仕方ないとは思うけどね?」
「え、あの…林檎?」
あれ…本格的に話が変な方向になってきたぞ…
なんかリンゴから黒いオーラみたいなものが発生しているような…
「でもね、わたしは椿の事をずっと思い続けてたのに椿はわたしの事忘れて他の女とイチャついてるの見て許せると思う?許さないよ椿…」
「え、ちょっと待って林檎…僕未だに忘れてはいないんだけど…」
ツバキの話を聞こうとしない…というより耳に入っていなさそうなリンゴ。
実際は全くそんな事ないけど、空間がゴゴゴゴ…と音を立てながら歪んでいってるように感じる。
「いや…違う…椿も許さないけどそれより許せないのはもこもこのほう…あんたよくも人の男を奪ったわね…」
「え…何の事ですか?」
「とぼけるなああああああああああああああああああああああ!!」
「ひいぃっ!!」
そして、私をまるでこの世で最も嫌いな存在に向けるようなとても恐ろしい表情で睨みつけながら叫び始めた。
怖すぎる…いったいどうしたというのか…
「もこもこおおおおおおおおお!!アンタはわたしが駆除してやるうう!!人の男に手を出した事を後悔しながら死ねえええええええええええええええええええええ!!」
「え、ええーっ!?」
怒りと憎しみしか感じとれない表情からすると本気のようだけど…なんで私リンゴに殺されないといけないの?
何か私恨まれるようなことやった?
というか人の男…この場合はツバキの事だろう…ツバキを奪ったってどういうこと?
「ちょっと林檎!!落ち着け!!いきなり何言ってるんだ!?サマリに死ねってどうしたんだいったい!?」
「もこもこはサマリっていうのね…椿をわたしから奪ってさも自分の彼氏のように振舞ってるサマリを駆除するだけよ…そうすれば椿も目を覚ましてくれる…そうに違いない!!」
「はああ!?」
ちょっと待て!誤解にも程がある!
私がいつツバキを彼氏のようにしたのか…というかいつどこで何を見ていたんだ?
そもそも誤解で私は殺されるのか?それは何としても避けたいのだが…
「ち、違うぞ林檎!!」
「何が?何が違うっていうの椿?」
「サマリは大切な旅仲間であってそういう関係じゃ…」
「サマリは大切ぅ?そう…もうわたしよりもサマリのほうが良いって言うのね…」
「え、違うから!!僕の想いは林檎に向いたままだから!!」
「え…椿の想いはわたしに向いたまま…って事はサマリが無理矢理椿の事を…ゆ・る・さ・ん!!!!」
「あ、いや、そうじゃなくt」
「殺す!!椿を無理矢理自分のものにしている事を後悔させながら殺す!!」
「いや、だから…」
ツバキさんお願いだからもう喋らないで…って言ってもそれで更に余計酷くなりそうだから言えない…
なんかもう私リンゴの目線だけで死ぬんじゃないかと思えるほどにリンゴから恨みと殺意が私に向けられている。このままではこっちの話を聞いてもらう前に殺されてしまうだろう。
今のツバキでこの事態を収拾する事は到底出来無さそうなので、さっきから蚊帳の外にいるユウロとアメリちゃんに助けを求めようと視線を送ったら…
「…………」プルプル…
「…………」ガクガク…
アメリちゃんはユウロに抱きかかえられながら恐怖でプルプルと震えているし、ユウロはアメリちゃんを抱きかかえながらガクガクと恐怖に襲われていた。
そして私の目線に気付いた瞬間、全力で首を横に振り始めた…関わりたくないという事だろうか。
私だって関わりたくない…というか全力で逃げたいんだけど…だれか助けてほしいんだけど……
とか余所見をしているうちに…
「サマリィ…覚悟しなさい…『アクアムーヴウェーブ』!!」
「え!?な、なにあれ!?」
どうやらリンゴは私を殺す事にしたらしい。魔法だと思うものを私に向けて放ってきた。
両手で輪を作り、そこから微細振動しながらわたしのほうにかなりの速さで向かってくる水で出来た大きめの輪。
避けようにも片側は崖、もう一方は土壁である。当たる他どうしようもない。
でも当たって無事で居られるかと言うと…私を殺す気で撃ってきたのだから…無理な気がする…
と、いろいろ諦め思考を張り巡らせていたら…
スパッ!
パシャアアッ!!
「あ、あれ?」
突然その輪が真っ二つになって、辺りに水を撒き散らしながら消えた。
…いや、突然真っ二つになったのではなく……
「…なんで……なんでサマリを庇うのよ…椿!!」
そう…ツバキが私の前に出てリンゴが放った魔法を斬ったのだった…
助かったけど…余計大変な事になりそうだな……
=======[リンゴ視点]=======
「…なんで……なんでサマリを庇うのよ…椿!!」
意味がわからない。なんで椿が自分から進んでサマリを庇うの?
「なんでって…わざわざ説明しないと駄目かい?」
そう言う椿は…珍しく怒っていた。
離れている期間を除いても久々に見た椿の怒っている姿…
滅多に怒らない椿が……わたしに対して怒っていた。
なんで?どうして?わたし何か悪いことした?何か椿を怒らせるようなことした?
……………………
まさか……そんな……!!
「…椿はサマリのほうが大切なんだね…」
「はあ?なんでそうn…」
「バカー!!椿なんてもう知らない!!」
「…おーい…人のはなs…」
「もう二人まとめて崖から落としてやるうう!!『水力噴射』!!」
わたしは心の奥底から湧きあがってくる怒りにまかせ、腕を前から後ろに動かし身体を包むように水を纏い、掌を介してその水を後ろに噴射させながら二人に突進した。
このまま二人に突っ込めばわたし自身の重量と水の勢いで崖まで吹き飛んでいくはず。そう考えてわたしはこの術を使用した。
しかし、発動後に重大な欠点を思い出してしまった。
それは……
「うひょえええええええええええ!?」
「お、おい林檎!!何して……って危ない!!」
わたし…まだこれを完全には使いこなせていないと言う事をだ。
上手くコントロールできず、サマリはおろか椿にも当たらずに二人の横を通り過ぎ…
「わっ……あっ………!!」
あわてて術を解除したときには…勢いを殺しきれずに……
…私は崖に飛びだしていた。
目の前には…なにもない。
あるとしても、はるか遠くにある地面だけ…
わたしは…このまま落ちて……死ぬ……
やっと椿に会えたのに…死んだと思ったら生きている事が出来たのに…死んでしまう……
今度は絶対に助からない……椿とは永遠の別れ……
そんなの…嫌だ……嫌だよ……
でも……死が目前に迫って落ち着いてきた……
落ち着いてきたからこそ…わたしが今何をしていたのか…冷静に考えてしまった…
考えてしまったから……もう……助かる事を諦めた……
きっと、これは罰なんだ…
だってわたし…他人を殺そうとしたんだもの…
どんな理由であれ…良い事じゃないのに…
人を呪わば穴二つ…サマリを殺そうとしたから受けたわたしへの罰なんだ…
椿が怒っていたのは、きっとこの事だろう…
わたしが最低な事をしようとしていたから…間違ってる事をしていたから怒っていたのだろう…
ごめんね…椿……ごめんなさい……
もう遅いだろうけど…ごめんなさい……
わたしの身体は、重力に逆らう事無く落下して……
ガシッ!
「……セーフ!!」
「………………えっ!?」
…いや、落下しなかった。
落下する直前に、何者かに腕を掴まれたから…
何者かは声から予想はつくけれど…信じられないので上を見ると…
「だ、大丈夫…絶対に落とさないから…!!」
「な、なんで…どうしてアンタがわたしを助けるの…?」
そこには…もこもこの白っぽい毛に覆われている女…サマリが居た。
サマリが、崖から落ちそうになったわたしの腕を、上半身のほとんどを乗り出して掴んでいた。
「わたしが居なくなれば…アンタは椿と…」
「…イチャつくとでも思った?私もツバキも互いに恋愛感情は抱いていないのに?」
「…えっ!?」
恋愛感情は抱いていないって…どういうこと?
「ツバキは…リンゴの事が忘れられないんだよ!自分の好きな人は、大切な人はリンゴしか居ないからって…他の魔物の誘惑を振り払ったり、私に絶対襲いかからないように釘を刺したりしてたんだよ!!」
「えっ?えっ?」
つまり…椿はサマリと愛し合っている訳じゃないって事なの?
「だから安心して!誰もツバキを奪ってなんかいないし、ツバキもリンゴ以外の誰かに恋したりしてないんだから!!」
「そ、そんな…じゃあ……」
わたしの…勘違いだったのか…早とちりだったのか…
わたしは…なんて事を…!!
「ごめんなさい……わたし……」
「謝るのは後にして!今はこの崖を登って!私の力じゃ持ち上げられない…どころか…そろそろ手を話しそうなほどギリギリだから…!!」
たしかにわたしを掴むサマリの腕は、限界が近いのか震えていた。
けれど、わたしも自分の力では登れそうにない。手を掛ける場所がないのだ。
「もういいよ…わたしが悪いんだもの…いいよ手をはn…」
「絶対に離さない!!やっとツバキとリンゴが再会できたのに、このままお別れなんて嫌だよ!!」
「なんで…なんでサマリがそこまで嫌がるの?」
なんとなく聞いた質問だったけれど…
「そんなの…大切な仲間だからに決まってるじゃん!!」
「!!」
答えは、サマリを勘違いで恨んでいた自分が惨めに思えるくらいのものだった。
「…はぁ……もう、世話を掛けさせないでよ…」
「あ、椿…」
と、椿がサマリの横に現れて…
「ここで林檎とまたお別れなんて、僕は絶対嫌だからね!」
わたしを腕を掴み、引っ張りあげてきた。
「二人だけだと大変だろうから俺も手伝うよ!」
「アメリはとんでだきあげるね!」
さらに、そういえば視界の淵に映っていた男の人とサキュバス…かな?の子供がそれぞれわたしの手と胴を持って…
わたしは、無事に崖から引っ張り上げられた。
…………
………
……
…
「ほんっとーにごめんなさい!!」
「いやあ…私は全然良いけど…」
あの後、少し場所を移動し広い場所に出た後に、完全に冷静になったわたしは皆からきちんと説明された。
どうやら山の上で抱きついていたのはわたしの事を思い出して暗くなっていた椿をワーシープ流に励ましていたらしい…勘違いするなって言うほうが無理な気がするけど…それをきちんと聞かず勝手に決め付けたわたしのほうが悪いよね…
心の底から謝らないと…ということでわたしは今サマリに土下座中。
それ以外にもいろいろと聞いた…どうやら皆は一緒にきままな旅をしている仲間らしい。
椿が大切とか言っていたのは仲間としてだった…ホントなんでわたしこうも人の話を聞かなかったんだろうか…人間だった頃はそんなことも無かったのに…
「はぁ……まあ襲われた本人が良いって言ってるから許すけど…もう少し人の話を聞いてほしいよ…」
「うぅ…ごめんなさい……」
そんなわたしに椿も呆れている…これは嫌われちゃったかな…
なんて考えは…する必要無かったようだ。
「はぁ…まあいいや…それよりも林檎…」
「何?つばk…!!」
椿は大きく一回溜息をついたあと、わたしの名前を呼びながら…
「おかえり…それと…大好きだよ…」
力いっぱい抱きしめて…わたしの耳元でこう囁いてくれたのだから…
「わたしも…椿の事大好き…ただいま!!」
だからわたしも、椿を抱きしめて…力強くこう言った…
いつまでも抱き合っていたい…もう離れたくない…なんて思っていたら……
「ツバキお兄ちゃん、リンゴお姉ちゃん、用意できたよー!!」
サキュバス…じゃなくてリリムのアメリちゃんがわたし達に話しかけてきた。
良い雰囲気だったのに……用意って、いったい何の事だろうか?
そう思い顔を上げてみると、目の前にはいつの間にかテント…て言うんだっけ?それが張ってあった。
「えっと…用意って…何?」
「アメリたちはお外にいるから、19時までは二人でつかってていいよ!おく二つのベッドはつかってないし、もう一つ手前のツバキお兄ちゃんが使ってるとこでもいいよ!!」
「へ?いきなり何を言っているんだいアメリちゃん?」
「……うん、ありがとアメリちゃん!」
「え?林檎は今のわかったの?」
今の言葉から…わたしの直感と本能が答えを導き出した。だからお礼を言ったのだ。
「じゃあ椿行こうか!そしてシようか!!」
「え、ちょっと、いきなり立ち上がって…僕を引き摺って『テント』に入って何する気!?」
そしてわたしはテントの中に椿を連れて入った。
今から、離れていた分も、それに人間だった時の分まで椿と『愛し合う』為に…
「二人でゆっくりとお楽しみに〜!」
「じゃあアメリたちはお外であそぼ!!」
「そうだな…何して遊ぼうか?」
「うーん…『テント』の中で二人がしてる事g「絶対しないからな」…冗談通じないなぁ…」
「言っていい冗談とそうでないものもあるだろ!」
「…で、なにするの?」
「うーん…ま、とりあえずここ日当たりもいいし、地面も芝生みたいだから昼寝でもしようぜ」
「賛成!!なんなら二人とも私に抱きつきながら寝て良いよ!」
「…襲わないよな?」
「たぶん大丈夫!!さあ寝よう!!おやすm………ぐぅ…………」
「「はやっ!?」」
====================
わたしは椿を引き摺りながらテントの中に入った。
……外見よりかなり広い気がするけど、今そんな事はどうでもいい。
アメリちゃんに言われたとおりに、一番奥のベッドまで行くことにした。
「ちょ、林檎…まさか…!?」
「何?嫌なの?」
「嫌じゃないけど…まだ昼だし…うわっ!?」
渋る椿を、わたしは構う事無くベッドの上に押し倒した。
もちろん、今から椿と性交を行う為にだ。
「いいじゃない…わたし、ずっとシたかったんだから…大好きな椿の精を、わたしのナカに注いでもらいたかったんだから…」
「林檎……もう立派に魔物だね…」
「…褒め言葉として受け取ってあげよう」
そのまま椿の穿いているものを摺り下げようとしているのだが、なかなか上手く下げられない…
「もぅ…わかった。皆も気遣ってくれたしね…」
が、椿がとうとうヤる気になったのか、自分から脱いでくれた。
脱がす楽しみが無くなってしまったのは残念だったがまあ仕方が無い。
「あ、そうだ…林檎、その足って本当の足じゃないんだろ?」
「え、あ、うん。いつもの足にしたほうが良い?」
「まあね…今の本当の林檎の姿をみたいしね」
「…わかった…」
椿がそう言う事だし、わたしは足の変化を解いた。そしたら、わたしの足は人間のものから、魚の鰭みたいになった。
もちろんこれは歩くのではなく、泳ぐ為のものだ。わたし達ネレイスは海に生きる魔物なのだから。
「これでいい?」
「うん…すっごく綺麗だよ…」
「へへっ…ありがと…!」
椿が綺麗だと褒めてくれて…わたしは嬉しくなった。
「それじゃあ椿…きて…」
「あ、ああ…でもその前に濡らしたほうが良いんだよな…もう大丈夫な気もするけど」
わたしは秘部を隠している鱗を取り去り、横になった。
椿と繋がれる事を考えていたら、自然と興奮していたから…椿の言うとおり、わたしのソコはすでに濡れていた。
早く椿のモノを挿入れてほしいという気持ちも大きいけれど…
「まずはキスしてほしい…それと、おっぱい…触ってほしいな…」
最後にしたのがいつかわからないキスを久々にやってもらいたかった。
それと、今まで一度も触ってもらったことのないおっぱいも触ってもらいたかった。
「ああ…わかったよ……んっ」
椿が了解の言葉を言うとすぐにわたしに覆い被さってきて、わたしの唇に自分の唇を重ね合わせた。
それは久しぶりの…優しく…甘く…暖かいキスだ……
「んっ……ちゅぷ……んる♪」
だが、それだけでは物足りない…
だからわたしは、自分の舌を椿の唇を押し分けて、椿の舌に絡めた。
椿もそれに気付いたからか、ぎこちない動きながらもわたしの舌に絡んでくる…
その動きが…わたしの脳を蕩けさせる…
「んじゅ……んんっ♪」
更に、椿はわたしのおっぱいを触って……いや、揉んできた。
初めてだから技術も何も無いけれど、椿がわたしのおっぱいを揉んでいるという事実が、わたしの気持ちを高鳴らせている。
「ぷはぁ……つばきぃ…♪」
長いキスも終わり、一旦口を離して椿の顔を見る。
軽い酸欠でも起こしたのか、それとも興奮の為か顔をほんのり赤くしながら、「はぁ…はぁ…」と息を荒げていた。
そして、お互いの唇からは銀色の細い橋が掛かっており……プツッと切れわたしの身体の上に雫が落ちた。
その目線の先…椿の股間を見ると、パンツに小高い山が形成されていた。
もう我慢できない…早く椿の陰茎でわたしの陰唇を貫いてほしい…精液をナカに沢山射精してほしい…
その山を見た途端、わたしの中でそんな想いが強くなってきた。
「つばき…もう…お願い……」
「…いいんだね、林檎?」
「当たり前よ……じゃあパンツ下ろすね…………わあっ♪」
だからわたしは、身体を起こして椿のパンツを自らの手で素早く下ろした。
そして、目の前に現れた椿の陰茎、ジパング人にしては珍しく剥き出しにされた亀頭を見たわたしは…
「つばきぃ……はやくちょーだい♪」
「うわっと!あ、慌てないで…」
…横になると同時に、鰭のついた足を使って椿の身体を自身に引き寄せていた。
もうわたしの下には愛液でできた大きなシミがあった…それほどわたしは待ち焦がれているのだ。
「じゃ、じゃあ…挿入れるよ…」
「うん……あっ♪」
そして、待ち焦がれていた瞬間がやってきた。
椿の亀頭が、わたしの陰唇に触れ…膣内まで挿入ってきた…
さらにどんどん奥へ進んでいき…そして……
「……いくよ…痛かったら言うんだよ……」
「うんっ……あ、あああっ……♪」
椿の陰茎が…わたしの処女を突き破った。
「だ、大丈夫か?」
「うん♪……わたし…椿と一つになれた!」
「……ああ!」
ちょっとだけ痛みを感じはしたけど…それ以上に快感と幸福がわたしを包んだ……
「つばき…動いていいよ…」
「あ、ああ……でも…」
椿が何か言いたそう……ってだいたいわかるけど…
さっきからわたしの膣は、わたしが椿を欲しがっているからか椿の陰茎をきゅうきゅうと締め付けている。
しかもただ締め付けているのではなく、まるで搾るようにしながらだ。
そして、そんなわたしの攻めを受けている椿の陰茎は…わたしのナカで大きく脈動していた。
つまり…
「すぐ射精しそうなのね…いいよ、射精して…わたしのナカに、いっぱい注いで…」
「わかった…じゃあ動くよ……」
そう言って椿は、ゆっくりと腰を動かし始めた。
単調な前後運動ではあるけれど、椿のモノがわたしの膣内を擦っているのを感じる…
それは、わたしを絶頂へと登らせるのには十分なものだった。
「はぁん、はっ、つ、つばきぃ、あっ、あ♪」
「ふっ、ふっ、り、りんご、うあっ…」
互いの名前を喘ぎ声に乗せ、くちゅっ…ぐちゃっ…と卑猥な音を部屋中に響かせながら、わたし達は互いに高鳴りあい……そして……
「はあっ、う、うぁあああっ!」
「ひゃっ!あ、あつっ、あぁああぁあああっ♪」
椿の亀頭がわたしの子宮口に触れた瞬間、椿の肉棒は精液を爆ぜた。
わたしも、子宮内に直接注がれる椿の精液を感じ取り…身体が大きく痙攣し、目の前は星が輝いたようにチカチカし、頭が真っ白になった……
わたしがネレイスになったときとは比べ物にならない程の快感や衝動、そして幸福感を全身で感じ取りながら…わたしはイった……
………
……
…
「ふぅ……ふぅ………りんご?」
「はっ♪はっ♪な〜につばきぃ?」
絶頂から戻ってきたわたしに、椿が何か言いたそうにしていた。
「えっと…腰を離さないようにしている足…どかしt」
「イヤ♪」
「…ええ〜……」
スキュラさんに教えてもらっただいしゅきホールドをやめろだなんて…そんなのお断りである。
しかも……
「まだ19時まではたっぷり時間があるしぃ…それに椿もまだ硬くしてるじゃん!」
「まあ……そうだけれど……」
そう、まだ外は明るいのだから時間ではないし、わたしの膣内に挿入されている椿のおちんちんはまだ硬く大きいままなのだ。
「だから…まだまだいっぱいしよ♪ずっとお預けくらってたんだもん…まだまだ足りないよ!!」
「あうっ!ちょっ、まっ、射精したばっかりで敏感だから…!!」
わたしの子宮には椿のモノが入っている…が、まだまだ満たされてはいないのだ。
なのでわたしは、そのまま腰を振り始めた。
椿を、わたしという海に溺れさせる為に…
わたしと一緒に、快楽という名の海に溺れていくように……
そして、ずっと繋がったまま、もう二度と離れ離れにならないように………
椿とわたしは…互いを求め……互いの事を想い………互いを愛し合った…………
12/05/04 22:38更新 / マイクロミー
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