わんことの日々
「んー、エル、今日はいい天気だな」
「そうですねご主人様♪」
何も特別な事はない、いつも通りののんびりとした昼下がり。
「そして絶好のお散歩日和ですね♪」
「だなー」
僕と彼女はその中で、のんびりと河川敷を散歩していた。
「見て下さいご主人様! 蝶々がいっぱい飛んでます!」
「おおっ、何十匹もいると凄いもんだな」
空を見上げると青い空に白い雲が浮かび、強すぎない日光が降り注ぐ。
川の涼しさを乗せた心地良い風が僕らの間を吹き抜ける度、彼女の体毛がふわふわと靡く。
僕をご主人様と慕う彼女――エルは目を輝かせながら散歩を楽しんでいる。
「綺麗ですねご主人様!」
「まあな。と言っても、エルには敵わないけどな」
「わふっ!? そ、そんな事急に言われても恥ずかしいですよ……えへへ……」
そんな彼女に綺麗だと言うと、顔を真っ赤にしながら手で覆い隠して首をぶんぶんと振る。
同時に腰から生えた尻尾も激しく揺れているから、恥ずかしいと言ってはいるがそれ以上に嬉しいがってくれているのだろう。
このように僕が褒めるととても嬉しそうにしたり、逆にしかると弱弱しく尻尾や耳を垂れるなど、全身を使って感情を表現する姿は非常に愛くるしいものだ。
「ほら、行くよエル」
「あっ待って下さいご主人様ー!」
そんなエルは、尻尾や体毛が生えている事からわかるように人間ではない。
腕や身体、足はふわふわな茶色の体毛に覆われ、同じ色の尻尾が腰から生えている。満面の笑みを浮かべるとちょっと人より鋭い犬歯がちらりと覗き、耳も顔の横ではなく頭の天辺付近から垂れるように付いており、また手足には肉球と、害はないがちょっと鋭い爪が伸びている。
そんな犬のような特徴を持つ彼女は、コボルドと呼ばれる魔物の一種だ。
「折角のお散歩なのですから、草花のいい匂いを堪能しながらもう少しゆっくり歩きましょうよー」
「仕方ないなぁ……じゃあ、手を繋いでもう少しゆっくり行くか」
「はいっ♪」
魔物は人間を襲う凶悪な生物だが、コボルドは別だ。
花の香りにうっとりとした笑顔を浮かべているところからもわかるように、実際エルは凶悪のきの字もないほど大人しく、主人である僕に従順である。
そのためか、ここらの地域は反魔物地域であるにも関わらずコボルドの飼育が認められており、このように『形式上では』彼女は僕のペットとして一緒に暮らしているのだ。もう飼い始めて2年程になる。
「くんくん、すりすりー♪」
「こら、歩いてる時に身体を擦り付けられたら歩き辛いじゃないか」
「えーちょっとぐらい良いじゃないですか」
「まったく……ご主人様の言う事を聞けないのか?」
「……はーい」
2年も一緒に居れば彼女の行動で大体の感情もわかる。
彼女が僕に身体を摺り寄せて匂いを嗅いでくる時、それは甘えたい時だ。できればそれに応えてやりたいが流石に散歩中は困るので止める。
すると彼女は、口を尖らせ頬を膨らませてと、あからさまに不機嫌になってしまった。ぶらぶらと振っていた尻尾もぴたりと止まっている。
「そんな不貞腐れるなって。家に帰ったらいっぱい甘えさせてあげるからさ」
「わふ……絶対ですよ!」
不機嫌な表情も可愛らしいものだが、笑顔のほうが断然良いので、頭を撫でながら機嫌を取る。
するとたちまち頬を緩ませ、尻尾もパタパタと振り始めた。どうやらすぐに機嫌が良くなったようだ。
「勿論だよ……ん?」
「んん? どうかなさいましたか……って、この声は……」
機嫌が良くなった彼女と手を繋ぎ、再びのんびりと歩き始めたところで、何か叫んでいるような声が聞こえてきた気がした。
僕よりもよっぽど耳の良いエルにはハッキリと聞こえたようで、さっきまでの緩い表情から一変して緊張感のある顔立ちを浮かべた。
「大変ですご主人様! 男の子が川で溺れてるみたいです!」
「何!? それは大変だ!」
この場から肉眼では見えないが、どうやら川で男の子が溺れているらしい。この声はその男の子が必死に助けを呼んでいるものなのだろう。
その叫びを聞き取ったエルはすぐさま駆け出し、犬の魔物らしくグングンと加速してあっという間に遠くまでいった。
「相変わらず足速いな……」
自分も足の速さには自信はあるが、残念ながらエルにはとても追いつけそうにもない。それでも自身で出せる最高速で彼女の後を追う。
しばらくすると川の中で一部白い泡が立っているのが見えてきた。おそらくそこが男の子が溺れていた場所だろう。
そう、溺れて『いた』場所だ。そのすぐ近くの水面には小さな子供らしきものを抱えた茶色い生物が岸に向かって泳いでいるのが見えた。つまり、僕よりも早く駆けていったエルが川に飛び込み、得意の泳ぎで男の子を助けたのだ。
「ぐぇ、げほっごほっ……」
「大丈夫?」
「う、うん……げふっ、ごほ……」
僕が追い付いた時には既にエルが男の子を助け終え、岸で飲み込んだ水を吐き出させようと背中を優しく擦っていた。
そこそこ水を飲んでしまったようだが、意識はあるし特別おかしなところもなさそうなので大丈夫だろう。
「はぁ……ふぅ……あ、ありがとう犬のおねーちゃん」
「どういたしまして!」
「また落ちないように気を付けるんだぞ」
「うん……」
周りに他の人がいないところを見ると、どうやら一人で遊んでる時に川に落っこちたみたいだ。
もし僕達がいなかったらどうなっていたことか……ちょっとぞっとしながらも、僕は男の子に軽く注意した。
「送っていかなくて大丈夫かい?」
「うん、もう大丈夫。それにお母さん……犬アレルギーだから……」
「それでは仕方ありませんね……それではお元気で!」
「うん! バイバイ犬のおねーちゃん!」
しばらくして、服はまだ濡れたままだが元気になったようで、笑顔で礼を言いながら男の子は帰って行った。
「さてと……よくやったなエル」
「わふぅ……」
男の子の姿が見えなくなった後、僕はエルの頭に手をポンッと乗せ褒める。髪や体毛はまだ湿っているが、そのうち乾くだろう。
「家に帰ったらご褒美あげないとな」
「ご褒美……早くお家に帰りましょうご主人様!」
「わっとと……まったく、ゆっくり散歩するんじゃなかったのか?」
「ご褒美くれるって聞いたらのんびりしていられませんよ!」
「やれやれ、仕方ないな」
ご褒美を上げると言った途端、パァーッと顔を明るくし、はち切れんばかりに尻尾を振りながら駆けだしたエル。
折角の散歩だからもう少しゆっくり歩こうとは何だったのかとちょっと呆れつつ、笑顔の彼女を追いかけるように駆け足で家に向かったのであった。
……………………
「ご主人様、ご褒美下さい!」
「帰宅後早々それか。まあ今日は人命救助をした事だし、いっぱいご褒美をやるか」
「ありがとうございます!」
家に着いた後、早々とベッドの上に仰向けに寝転がりご褒美をねだってきたエル。いつもなら僕のほうから切り出すまで枕に顔を埋めたりしているのだが、今日はご褒美がもらえると聞いて居ても立っても居られないのだろう。
今日は男の子を一人救ったのだから、ご褒美も最上級のフルコースにしよう。
「ほら、気持ちいいか?」
「くぅぅんっ……ひあっ♪」
僕もベッドの上に乗り、まずは柔らかな、それでいて決してだらしなくないエルのお腹を優しく撫でる。
普通の犬と違い臍の周りには毛が無く艶めかしい肌が露出しているが、そこを撫でられるのが気持ち良くて好きらしい。なんでも直接僕の熱を感じられるから気持ちいいのだとか。
だからと言って、体毛で覆われている脇腹も嫌というわけではない。毛の流れに逆らうように撫でると、恥ずかしそうに声を漏らす。
「ふぁっあうぅぅ……」
そのまま指を滑らせ、胸の辺りを優しく撫で上げる。胸の先端を指先でちょんと触れる度、熱い息が漏れだす。
勿論、これも彼女の言うご褒美の中に含まれている事だ。彼女の言うご褒美とは愛ある交わりの事で、この愛撫を行う行為もご褒美の一つなのだ。
「はふぅ……ご主人さまぁ……もっとぉ……♪」
胸やお腹、下腹部を丹念に撫でていると、エルの表情がとろんとなり、だらしなく舌を垂らし始めた。
まるで犬のようなそのだらしない表情は彼女が発情した証拠だ。鼻先がひくひくと動き、僕の精の匂いを強く求めている。
「もっと、なんだい?」
「もっとしたぁ……ひゃうぅんっ!」
「……もうぐっしょりと濡れてるな」
「あうぅ……もっとぉ……」
お腹を撫でていたらもっと下のほうが良いと言ってきたので、望み通り手を下腹部に、それこそ既に湿っている股間のスリットへと滑らせる。
太腿辺りの体毛を濡らす粘液を指で掬い上げ見せつける。顔を真っ赤にして恥ずかしそうにするが、興奮のほうが勝っているようでもっともっととねだって来る。
「ご主人様……おちんちんもぉ……くだひゃいぃ……」
それだけでは飽き足らず、エルは僕の股間を潤んだ瞳でじっと見つめながらそうねだってきた。
だが彼女は普通の犬ではなくコボルドという魔物だ。つまり人間ですらない。
この国では勿論、魔物はおろか普通の動物など人間以外の生物との姦淫は禁止されているが……
「ほら……」
「わふぅっ❤」
僕は、一切の躊躇なく少し肥大化している自身の男性器を彼女に向け曝け出した。
別に今日が初めてというわけではなくもう既にエルとは何度も姦淫を繰り返しているので、戸惑いなど欠片も存在しなかった。
「ほらエル、こっちにおいで」
「はい……♪」
僕もベッドに上がり寝転び、エルを僕の上に寝転ぶように誘導する。
彼女の望み通り自らの性器を彼女の顔の前になるように体勢を整え、逆に僕の顔は彼女の股間と対面する。エルは小柄が故に身長差があるので少し辛いが、シックスナインの姿勢を取った。
「ほら、いいぞ」
「はむっ、ぴちゃ、れる……」
そして、僕が許可を出した瞬間、それこそ彼女の陰唇を再び弄り始めるよりも早く、彼女は僕の陰茎を手に取り一心不乱に舐め始めた。
舌をいっぱいまで出し、竿部分から亀頭までをぺろぺろと激しく舐る。
「じゅる、はむっ、じゅ、じゅぽ……」
ペニスに柔らかい舌が絡み、粘液が纏わりついてくる。亀頭も筋も余す事無く彼女の舌が這う。
それだけでも股間ははち切れんばかりに膨らんでいるが、彼女はそれだけでは満足せず、小さな口を大きく広げて飲み込む。
そして顔いっぱいを使いペニスを扱く。小さく大人しくても魔物は魔物、そのテクニックがもたらす快感に僕は腰を震えさす。
「じゅる、じゅずず……んふっ!」
勿論、ただ舐めさせるだけでは終わらない。
彼女の股付近は普段は体毛で覆われているが、性交時には魔力か何かで消え去り割れ目が露わになっている。という事で僕もエルの股間に顔を近付け、彼女の濡れた割れ目を舌でなぞる。
彼女に負けんとばかりに舌を使い陰核を突いたり、垂れてくる愛液を舐め取る。甘いその蜜を吸い上げると、彼女の身体がビクンと跳ねる。
僕のほうは慣れないので自分でも拙いと思っているが、エルはその動きで充分に感じてくれているようだ。尻尾を激しく揺らし、足を少し震わせ、ペニスを舐めながらも甘い息を漏らしている。
「はむっ、んふぅ、れる……んんっ♪」
むくむくと膨らむペニス。エルの小さな口に入りきらない程大きくなったそれを、一心不乱に舐め耽る。
彼女のザラザラとした舌が亀頭を刺激し続けるうちに、段々と射精感が込み上げてきた。
自分も負けじと陰唇を刺激し続けるが、股間の熱に集中してしまい上手くいかない。エルと交わるようになってから約半年、未だに上達はしていないようだ。
「え、エル、もう……!」
「んんっ、じゅ、じゅぽ、じゅるる、んふっ、ぐぽっ!?」
そのうちに僕は快感のあまりエルのお尻を掴むだけで、口を陰唇から離してしまう。
それでもエルの口淫は止まらず、僕はそのままなす術なく精液を彼女の口に放出してしまった。
「ん……おいひいれすご主人様ぁ♪」
どぷっと勢い良くエルの喉奥に吐き出した精液を、彼女は躊躇なく飲み込む。
それでも小さな口には収まりきらず、白い筋が恍惚の笑みを浮かべる口から零れている。
「私のお口、気持ち良かったですか?」
「ああ、良かったよエル」
「えへへー♪」
垂れた精液も舐め取り、笑顔を向けるエル。尻尾もはち切れんばかりに揺れていた。
「でも、ご主人様ぁ……」
「わかってる。ほら、股を開いて」
「わふぅ……❤」
だが、もちろんこれで満足するようなエルじゃない。というか、僕もまだ満足はしていない。
射精した事で少しだけ小さくなったとはいえまだまだ硬いペニス。そして、それをじっと見つめるエルは、股間から愛液を垂れ流している。
だから僕はベッドの上で寝転んでいるエルに股を開かせ、足の間に入った。
「ほら、いくぞ」
「んっ、あふぅぅんっ❤」
小柄な身体らしく小さ目な秘部に決して小さくないペニスを当てがい突き挿れる。
ゆっくりとエルの中に沈んでいく亀頭。本番も初めてではない為、特に引っ掛かりもなく奥へ進んでいく。
「わふぅ♪ ご主人様のおちんちんが、ナカにぃ……❤」
「くぅっ、相変わらずキツキツ……!」
エルの膣内は、僕のペニスから精液を搾りだそうと熱く締める。肉襞が亀頭に絡み、奥へ奥へとペニスを誘う。
根本まで沈めた後、抜ける寸前までゆっくりと腰を引く。スローリーな動きでも股間に与えられる快感は凄まじい。
「あっ、あはっ、イイッ、ああんっ」
ペニスが抽挿される度、高い声を上げるエル。もっと深く快感を得ようとしているのか自らの手で小さな胸を撫でる。さらに自らのモフモフの足を僕の腰に回し、自分の身体に抱き寄せている。
一方エルと会うまでそういった行為をしてこなかった僕は、正常位にも関わらず余裕がない。エルを愛撫する事なく両手で腰を掴み、暴発しないように下腹部に力を入れながら必死に腰を動かし続ける。
「んっ、あっ、ふっ、ご、ご主人様ぁっ、私、い、イッちゃいそうですぅぅっ❤」
だらしなく口から涎を垂らしながら喘ぐエル。はみ出した舌は口の中に納まりそうもない。目の焦点も合わなくなってきた。
ただ、貪欲に快感を貪る気はあるようで、その宣言通り身体を細かく震わせながら、足に力を入れて最奥に突きささせる。
彼女と同じように高みへと昇っていた僕は、その動きで亀頭が子宮口に触れた途端……我慢などできず脈動を開始した。
「ふぁ、あぁあぁぁああっ❤」
子宮に直接射精を始めると同時にエルもイッたようだ。身体を小刻みに震わせ、声になっていない叫び声を漏らしている。白目をむいただらしない顔を浮かべているし、おそらく意識も飛んでいるだろう。
それなのに僕に巻き付いている足の力が強いのは、ドクドクと自身に注がれる精液を一滴も逃さまいとしている本能からだろうか。元々そのつもりではあるが、僕はすべての精液を彼女の胎内に注ぐ。
「ぁっ、ぅっ……ぅあっ……❤」
やがて射精も終わり、エルの足が力なくベッドの上に落ちたところで、僕は少し縮んだペニスを彼女から引き抜く。
最初に口内に射精したにも関わらずかなりの量を射精したのもあり、エルの秘所からは愛液混じりの精液がとろりと零れる。
「ふぁっ、ご主人様のせーしぃ❤」
少しだけ落ち着いたエルは、自分の下腹部を幸せそうに撫でる。
「ご主人様との子供……わふぅ❤」
そう、エルは僕との子供ができる事を望んでいる。
「子供、できるといいな」
「そうですね……」
それは僕も同じだ。形式上ではエルはペットだが、その実僕とエルは夫婦なのだから、子供の一人や二人欲しいと考えるのは当たり前だ。
勿論、魔物との姦淫が禁止されているので子供なんてできた日にはめでたく大罪人の仲間入りだ。勿論そうなった日には……ちょっと怖いが、親魔物国家へ亡命するつもりだ。僕と彼女の愛は、それほど深くなっている。
しかし、僕は人間でエルは魔物。種族は違うのでそう簡単には身籠る事なんてできない。
「だからご主人様、その……」
「わかっている。まだまだヤるぞエル」
「はいっ!」
だからこそ、一回中に射精しただけでは終わらない。
エルと身体を重ね続けるうちに性欲も強まったのか、僕のモノもまだまだ硬く勃起している。エルのほうも顔を赤らめながら、まだまだその肉棒を欲しそうに見つめている。
「挿れるよ、エル……」
「はい、お願いします……ぅぁあっ❤」
今度は四つん這いになったエルに覆いかぶさり挿入して、獣の交尾の如く盛り上がるのであった。
そして僕達は夜更けまで互いを求め続ける。それが、僕達の日常なのであった。
「そうですねご主人様♪」
何も特別な事はない、いつも通りののんびりとした昼下がり。
「そして絶好のお散歩日和ですね♪」
「だなー」
僕と彼女はその中で、のんびりと河川敷を散歩していた。
「見て下さいご主人様! 蝶々がいっぱい飛んでます!」
「おおっ、何十匹もいると凄いもんだな」
空を見上げると青い空に白い雲が浮かび、強すぎない日光が降り注ぐ。
川の涼しさを乗せた心地良い風が僕らの間を吹き抜ける度、彼女の体毛がふわふわと靡く。
僕をご主人様と慕う彼女――エルは目を輝かせながら散歩を楽しんでいる。
「綺麗ですねご主人様!」
「まあな。と言っても、エルには敵わないけどな」
「わふっ!? そ、そんな事急に言われても恥ずかしいですよ……えへへ……」
そんな彼女に綺麗だと言うと、顔を真っ赤にしながら手で覆い隠して首をぶんぶんと振る。
同時に腰から生えた尻尾も激しく揺れているから、恥ずかしいと言ってはいるがそれ以上に嬉しいがってくれているのだろう。
このように僕が褒めるととても嬉しそうにしたり、逆にしかると弱弱しく尻尾や耳を垂れるなど、全身を使って感情を表現する姿は非常に愛くるしいものだ。
「ほら、行くよエル」
「あっ待って下さいご主人様ー!」
そんなエルは、尻尾や体毛が生えている事からわかるように人間ではない。
腕や身体、足はふわふわな茶色の体毛に覆われ、同じ色の尻尾が腰から生えている。満面の笑みを浮かべるとちょっと人より鋭い犬歯がちらりと覗き、耳も顔の横ではなく頭の天辺付近から垂れるように付いており、また手足には肉球と、害はないがちょっと鋭い爪が伸びている。
そんな犬のような特徴を持つ彼女は、コボルドと呼ばれる魔物の一種だ。
「折角のお散歩なのですから、草花のいい匂いを堪能しながらもう少しゆっくり歩きましょうよー」
「仕方ないなぁ……じゃあ、手を繋いでもう少しゆっくり行くか」
「はいっ♪」
魔物は人間を襲う凶悪な生物だが、コボルドは別だ。
花の香りにうっとりとした笑顔を浮かべているところからもわかるように、実際エルは凶悪のきの字もないほど大人しく、主人である僕に従順である。
そのためか、ここらの地域は反魔物地域であるにも関わらずコボルドの飼育が認められており、このように『形式上では』彼女は僕のペットとして一緒に暮らしているのだ。もう飼い始めて2年程になる。
「くんくん、すりすりー♪」
「こら、歩いてる時に身体を擦り付けられたら歩き辛いじゃないか」
「えーちょっとぐらい良いじゃないですか」
「まったく……ご主人様の言う事を聞けないのか?」
「……はーい」
2年も一緒に居れば彼女の行動で大体の感情もわかる。
彼女が僕に身体を摺り寄せて匂いを嗅いでくる時、それは甘えたい時だ。できればそれに応えてやりたいが流石に散歩中は困るので止める。
すると彼女は、口を尖らせ頬を膨らませてと、あからさまに不機嫌になってしまった。ぶらぶらと振っていた尻尾もぴたりと止まっている。
「そんな不貞腐れるなって。家に帰ったらいっぱい甘えさせてあげるからさ」
「わふ……絶対ですよ!」
不機嫌な表情も可愛らしいものだが、笑顔のほうが断然良いので、頭を撫でながら機嫌を取る。
するとたちまち頬を緩ませ、尻尾もパタパタと振り始めた。どうやらすぐに機嫌が良くなったようだ。
「勿論だよ……ん?」
「んん? どうかなさいましたか……って、この声は……」
機嫌が良くなった彼女と手を繋ぎ、再びのんびりと歩き始めたところで、何か叫んでいるような声が聞こえてきた気がした。
僕よりもよっぽど耳の良いエルにはハッキリと聞こえたようで、さっきまでの緩い表情から一変して緊張感のある顔立ちを浮かべた。
「大変ですご主人様! 男の子が川で溺れてるみたいです!」
「何!? それは大変だ!」
この場から肉眼では見えないが、どうやら川で男の子が溺れているらしい。この声はその男の子が必死に助けを呼んでいるものなのだろう。
その叫びを聞き取ったエルはすぐさま駆け出し、犬の魔物らしくグングンと加速してあっという間に遠くまでいった。
「相変わらず足速いな……」
自分も足の速さには自信はあるが、残念ながらエルにはとても追いつけそうにもない。それでも自身で出せる最高速で彼女の後を追う。
しばらくすると川の中で一部白い泡が立っているのが見えてきた。おそらくそこが男の子が溺れていた場所だろう。
そう、溺れて『いた』場所だ。そのすぐ近くの水面には小さな子供らしきものを抱えた茶色い生物が岸に向かって泳いでいるのが見えた。つまり、僕よりも早く駆けていったエルが川に飛び込み、得意の泳ぎで男の子を助けたのだ。
「ぐぇ、げほっごほっ……」
「大丈夫?」
「う、うん……げふっ、ごほ……」
僕が追い付いた時には既にエルが男の子を助け終え、岸で飲み込んだ水を吐き出させようと背中を優しく擦っていた。
そこそこ水を飲んでしまったようだが、意識はあるし特別おかしなところもなさそうなので大丈夫だろう。
「はぁ……ふぅ……あ、ありがとう犬のおねーちゃん」
「どういたしまして!」
「また落ちないように気を付けるんだぞ」
「うん……」
周りに他の人がいないところを見ると、どうやら一人で遊んでる時に川に落っこちたみたいだ。
もし僕達がいなかったらどうなっていたことか……ちょっとぞっとしながらも、僕は男の子に軽く注意した。
「送っていかなくて大丈夫かい?」
「うん、もう大丈夫。それにお母さん……犬アレルギーだから……」
「それでは仕方ありませんね……それではお元気で!」
「うん! バイバイ犬のおねーちゃん!」
しばらくして、服はまだ濡れたままだが元気になったようで、笑顔で礼を言いながら男の子は帰って行った。
「さてと……よくやったなエル」
「わふぅ……」
男の子の姿が見えなくなった後、僕はエルの頭に手をポンッと乗せ褒める。髪や体毛はまだ湿っているが、そのうち乾くだろう。
「家に帰ったらご褒美あげないとな」
「ご褒美……早くお家に帰りましょうご主人様!」
「わっとと……まったく、ゆっくり散歩するんじゃなかったのか?」
「ご褒美くれるって聞いたらのんびりしていられませんよ!」
「やれやれ、仕方ないな」
ご褒美を上げると言った途端、パァーッと顔を明るくし、はち切れんばかりに尻尾を振りながら駆けだしたエル。
折角の散歩だからもう少しゆっくり歩こうとは何だったのかとちょっと呆れつつ、笑顔の彼女を追いかけるように駆け足で家に向かったのであった。
……………………
「ご主人様、ご褒美下さい!」
「帰宅後早々それか。まあ今日は人命救助をした事だし、いっぱいご褒美をやるか」
「ありがとうございます!」
家に着いた後、早々とベッドの上に仰向けに寝転がりご褒美をねだってきたエル。いつもなら僕のほうから切り出すまで枕に顔を埋めたりしているのだが、今日はご褒美がもらえると聞いて居ても立っても居られないのだろう。
今日は男の子を一人救ったのだから、ご褒美も最上級のフルコースにしよう。
「ほら、気持ちいいか?」
「くぅぅんっ……ひあっ♪」
僕もベッドの上に乗り、まずは柔らかな、それでいて決してだらしなくないエルのお腹を優しく撫でる。
普通の犬と違い臍の周りには毛が無く艶めかしい肌が露出しているが、そこを撫でられるのが気持ち良くて好きらしい。なんでも直接僕の熱を感じられるから気持ちいいのだとか。
だからと言って、体毛で覆われている脇腹も嫌というわけではない。毛の流れに逆らうように撫でると、恥ずかしそうに声を漏らす。
「ふぁっあうぅぅ……」
そのまま指を滑らせ、胸の辺りを優しく撫で上げる。胸の先端を指先でちょんと触れる度、熱い息が漏れだす。
勿論、これも彼女の言うご褒美の中に含まれている事だ。彼女の言うご褒美とは愛ある交わりの事で、この愛撫を行う行為もご褒美の一つなのだ。
「はふぅ……ご主人さまぁ……もっとぉ……♪」
胸やお腹、下腹部を丹念に撫でていると、エルの表情がとろんとなり、だらしなく舌を垂らし始めた。
まるで犬のようなそのだらしない表情は彼女が発情した証拠だ。鼻先がひくひくと動き、僕の精の匂いを強く求めている。
「もっと、なんだい?」
「もっとしたぁ……ひゃうぅんっ!」
「……もうぐっしょりと濡れてるな」
「あうぅ……もっとぉ……」
お腹を撫でていたらもっと下のほうが良いと言ってきたので、望み通り手を下腹部に、それこそ既に湿っている股間のスリットへと滑らせる。
太腿辺りの体毛を濡らす粘液を指で掬い上げ見せつける。顔を真っ赤にして恥ずかしそうにするが、興奮のほうが勝っているようでもっともっととねだって来る。
「ご主人様……おちんちんもぉ……くだひゃいぃ……」
それだけでは飽き足らず、エルは僕の股間を潤んだ瞳でじっと見つめながらそうねだってきた。
だが彼女は普通の犬ではなくコボルドという魔物だ。つまり人間ですらない。
この国では勿論、魔物はおろか普通の動物など人間以外の生物との姦淫は禁止されているが……
「ほら……」
「わふぅっ❤」
僕は、一切の躊躇なく少し肥大化している自身の男性器を彼女に向け曝け出した。
別に今日が初めてというわけではなくもう既にエルとは何度も姦淫を繰り返しているので、戸惑いなど欠片も存在しなかった。
「ほらエル、こっちにおいで」
「はい……♪」
僕もベッドに上がり寝転び、エルを僕の上に寝転ぶように誘導する。
彼女の望み通り自らの性器を彼女の顔の前になるように体勢を整え、逆に僕の顔は彼女の股間と対面する。エルは小柄が故に身長差があるので少し辛いが、シックスナインの姿勢を取った。
「ほら、いいぞ」
「はむっ、ぴちゃ、れる……」
そして、僕が許可を出した瞬間、それこそ彼女の陰唇を再び弄り始めるよりも早く、彼女は僕の陰茎を手に取り一心不乱に舐め始めた。
舌をいっぱいまで出し、竿部分から亀頭までをぺろぺろと激しく舐る。
「じゅる、はむっ、じゅ、じゅぽ……」
ペニスに柔らかい舌が絡み、粘液が纏わりついてくる。亀頭も筋も余す事無く彼女の舌が這う。
それだけでも股間ははち切れんばかりに膨らんでいるが、彼女はそれだけでは満足せず、小さな口を大きく広げて飲み込む。
そして顔いっぱいを使いペニスを扱く。小さく大人しくても魔物は魔物、そのテクニックがもたらす快感に僕は腰を震えさす。
「じゅる、じゅずず……んふっ!」
勿論、ただ舐めさせるだけでは終わらない。
彼女の股付近は普段は体毛で覆われているが、性交時には魔力か何かで消え去り割れ目が露わになっている。という事で僕もエルの股間に顔を近付け、彼女の濡れた割れ目を舌でなぞる。
彼女に負けんとばかりに舌を使い陰核を突いたり、垂れてくる愛液を舐め取る。甘いその蜜を吸い上げると、彼女の身体がビクンと跳ねる。
僕のほうは慣れないので自分でも拙いと思っているが、エルはその動きで充分に感じてくれているようだ。尻尾を激しく揺らし、足を少し震わせ、ペニスを舐めながらも甘い息を漏らしている。
「はむっ、んふぅ、れる……んんっ♪」
むくむくと膨らむペニス。エルの小さな口に入りきらない程大きくなったそれを、一心不乱に舐め耽る。
彼女のザラザラとした舌が亀頭を刺激し続けるうちに、段々と射精感が込み上げてきた。
自分も負けじと陰唇を刺激し続けるが、股間の熱に集中してしまい上手くいかない。エルと交わるようになってから約半年、未だに上達はしていないようだ。
「え、エル、もう……!」
「んんっ、じゅ、じゅぽ、じゅるる、んふっ、ぐぽっ!?」
そのうちに僕は快感のあまりエルのお尻を掴むだけで、口を陰唇から離してしまう。
それでもエルの口淫は止まらず、僕はそのままなす術なく精液を彼女の口に放出してしまった。
「ん……おいひいれすご主人様ぁ♪」
どぷっと勢い良くエルの喉奥に吐き出した精液を、彼女は躊躇なく飲み込む。
それでも小さな口には収まりきらず、白い筋が恍惚の笑みを浮かべる口から零れている。
「私のお口、気持ち良かったですか?」
「ああ、良かったよエル」
「えへへー♪」
垂れた精液も舐め取り、笑顔を向けるエル。尻尾もはち切れんばかりに揺れていた。
「でも、ご主人様ぁ……」
「わかってる。ほら、股を開いて」
「わふぅ……❤」
だが、もちろんこれで満足するようなエルじゃない。というか、僕もまだ満足はしていない。
射精した事で少しだけ小さくなったとはいえまだまだ硬いペニス。そして、それをじっと見つめるエルは、股間から愛液を垂れ流している。
だから僕はベッドの上で寝転んでいるエルに股を開かせ、足の間に入った。
「ほら、いくぞ」
「んっ、あふぅぅんっ❤」
小柄な身体らしく小さ目な秘部に決して小さくないペニスを当てがい突き挿れる。
ゆっくりとエルの中に沈んでいく亀頭。本番も初めてではない為、特に引っ掛かりもなく奥へ進んでいく。
「わふぅ♪ ご主人様のおちんちんが、ナカにぃ……❤」
「くぅっ、相変わらずキツキツ……!」
エルの膣内は、僕のペニスから精液を搾りだそうと熱く締める。肉襞が亀頭に絡み、奥へ奥へとペニスを誘う。
根本まで沈めた後、抜ける寸前までゆっくりと腰を引く。スローリーな動きでも股間に与えられる快感は凄まじい。
「あっ、あはっ、イイッ、ああんっ」
ペニスが抽挿される度、高い声を上げるエル。もっと深く快感を得ようとしているのか自らの手で小さな胸を撫でる。さらに自らのモフモフの足を僕の腰に回し、自分の身体に抱き寄せている。
一方エルと会うまでそういった行為をしてこなかった僕は、正常位にも関わらず余裕がない。エルを愛撫する事なく両手で腰を掴み、暴発しないように下腹部に力を入れながら必死に腰を動かし続ける。
「んっ、あっ、ふっ、ご、ご主人様ぁっ、私、い、イッちゃいそうですぅぅっ❤」
だらしなく口から涎を垂らしながら喘ぐエル。はみ出した舌は口の中に納まりそうもない。目の焦点も合わなくなってきた。
ただ、貪欲に快感を貪る気はあるようで、その宣言通り身体を細かく震わせながら、足に力を入れて最奥に突きささせる。
彼女と同じように高みへと昇っていた僕は、その動きで亀頭が子宮口に触れた途端……我慢などできず脈動を開始した。
「ふぁ、あぁあぁぁああっ❤」
子宮に直接射精を始めると同時にエルもイッたようだ。身体を小刻みに震わせ、声になっていない叫び声を漏らしている。白目をむいただらしない顔を浮かべているし、おそらく意識も飛んでいるだろう。
それなのに僕に巻き付いている足の力が強いのは、ドクドクと自身に注がれる精液を一滴も逃さまいとしている本能からだろうか。元々そのつもりではあるが、僕はすべての精液を彼女の胎内に注ぐ。
「ぁっ、ぅっ……ぅあっ……❤」
やがて射精も終わり、エルの足が力なくベッドの上に落ちたところで、僕は少し縮んだペニスを彼女から引き抜く。
最初に口内に射精したにも関わらずかなりの量を射精したのもあり、エルの秘所からは愛液混じりの精液がとろりと零れる。
「ふぁっ、ご主人様のせーしぃ❤」
少しだけ落ち着いたエルは、自分の下腹部を幸せそうに撫でる。
「ご主人様との子供……わふぅ❤」
そう、エルは僕との子供ができる事を望んでいる。
「子供、できるといいな」
「そうですね……」
それは僕も同じだ。形式上ではエルはペットだが、その実僕とエルは夫婦なのだから、子供の一人や二人欲しいと考えるのは当たり前だ。
勿論、魔物との姦淫が禁止されているので子供なんてできた日にはめでたく大罪人の仲間入りだ。勿論そうなった日には……ちょっと怖いが、親魔物国家へ亡命するつもりだ。僕と彼女の愛は、それほど深くなっている。
しかし、僕は人間でエルは魔物。種族は違うのでそう簡単には身籠る事なんてできない。
「だからご主人様、その……」
「わかっている。まだまだヤるぞエル」
「はいっ!」
だからこそ、一回中に射精しただけでは終わらない。
エルと身体を重ね続けるうちに性欲も強まったのか、僕のモノもまだまだ硬く勃起している。エルのほうも顔を赤らめながら、まだまだその肉棒を欲しそうに見つめている。
「挿れるよ、エル……」
「はい、お願いします……ぅぁあっ❤」
今度は四つん這いになったエルに覆いかぶさり挿入して、獣の交尾の如く盛り上がるのであった。
そして僕達は夜更けまで互いを求め続ける。それが、僕達の日常なのであった。
15/12/31 22:59更新 / マイクロミー