連載小説
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旅55 天使と勇者が辿り着いた答え
「貴様……その堕天使について行ったらどうなるかわかっているだろうな?」
「セニック……ワタシと一緒にいて下さい!もうあなたがいないだなんて考えたくありません!!」

現在……時間なんて見てる余裕が無い。
私達は今、絶体絶命のピンチに追い込まれていた。

「堕天使の手を掴んでみろ……その瞬間から貴様は裏切り者の犯罪者。その腕を斬り落として、魔術でチリも残らず消し去ってやるぞ?」
「ワタシはセニックの事が好きなのです!!ワタシのわがままだってわかってますが……あなた無しでは生きていけないのです!!」

今、私達は大勢の教団兵に囲まれている。
その数は少なくとも100人以上はいるだろう……下手すれば200人はいる。たった4人の私達にいったい何が出来ると言うのだろうか。
そもそも私はたいした戦力にもならないし、アメリちゃんでもこれだけの人数は例のペンダントがあっても苦しいものがある。

「さあ、どうするのだ勇者よ?」
「セニック……ワタシと来てくれますよね?」

ただ、今この中で一番苦しみ、どうすればいいかわからないでいるのは私達でも、ましてや教団の人達でもないだろう。

「さあさあっ!!何を悩んでいる!?貴様の掲げている聖剣はなまくらなのか?」
「セニック……」

「……くそ……オレはどうすれば……」

私達……というかセレンちゃんと教団兵の隊長らしき人物に挟まれ、一人苦しく悩んでいる人物……勇者セニックだ。
セレンちゃんへの個人的な想いと、勇者としての立場が板挟みになり、どうしたらいいのかわからずずっと立ちすくんでいる。
おそらくセニックが答えを出した瞬間、今の睨み合いの状態から場は動き始めるだろう……ただ、どう転んでも私達が無事に済む確率は低そうだが。



そもそも、どうしてこんな状況になっているのかと言うと……話は数時間前まで遡る事になる。



「この先がいよいよペンタティアか……人化の術やローブの準備は出来てるか?」
「アメリは完璧だよ!」
「私も大丈夫……だけど、セレンちゃんの時みたいにバレないか心配だなぁ……」
「そういえばそんな事もありましたね。あのときのサマリは顔に大火傷を負ってるとか咄嗟の嘘を流れるように付いてましたね。今思えばよくあそこまで嘘を言えましたね」
「いやあ……あの時はバレないように必死だったからね」

ロキリアから出発した私達は、いよいよペンタティアに向かい始めていた。
ペンタティアは反魔物領……そのままの格好で私達が近付いたらマズいなんてものでは済まない……最悪捕まって殺されるだろう。
なので、何時ぞやに反魔物領の近くを通った時にした対策……アメリちゃんは人化の術を使うのと、使えない私はローブを被って角や尻尾など全身を隠しながら突き進む事になった。

「セレンちゃんも人化の術使えるんだね」
「一応ですね。ワタシは教会に勤めていたので問題は無いのですが、エンジェルによっては正体を隠して人に近付き、祝福を与えるに相応しい人か調査するなんて事もありますからね」
「へぇ〜……やっぱり私も覚えたほうがいいのかな……でも魔術なんてサッパリわからないんだよね……」

それにしても、アメリちゃんもセレンちゃんも人化の術を使っており、ユウロは正真正銘人間なので、私だけがローブを被っているので逆に目立つ気はしないでもない。
でも魔術の基礎すらわからない私ではすぐに出来るようになる気がしない……なのでこうするしかないのだ。

「しっかし二人とも人間には無い余分なパーツが付いてないと逆に違和感があるな……特に今回は念には念を入れてるのかアメリちゃんは髪や瞳の色も変えてるしさ」
「だってそのままだとセレンお姉ちゃんの時みたいに簡単にリリムってばれちゃうかもしれないもん……アメリも鏡見てん〜って思うけどね」
「まあ確かに角と翼と尻尾を隠しただけのあの姿は一目見ただけで怪しいと思いましたからね。あまり白髪で紅い瞳の人間はいませんし。まあ今回は魔力もきちんと押さえてあるので、最初からアメリが魔物だってわかってる相手さえいなければ大丈夫でしょう」

ユウロの言う通り、白い翼と光の輪が無いセレンちゃんや翼も無く白い髪も茶色になってるアメリちゃんなど人外パーツが無い二人は見慣れない。
特にアメリちゃんは顔は全く変わってないはずなのに特徴的な部分がまるまる変わっているから別人に見える程だ。

「さてと、無駄口はそれぐらいにして……そろそろ向かうか」
「そうですね……セニックがすぐに見つかるといいのですが……」

そんな感じにきちんと魔物の姿を誤魔化せているか確認した後、私達は魔界との境目から出て、ペンタティアへ近付き始めたのだった。

「ところでさ、ペンタティアって何か名物とかあるの?」
「まあ色々とありますけど……あまり観光はお勧めできませんよ?見つかったら騒ぎどころじゃ済まないですし」
「だよね〜……いやぁ、どうせ立ち寄るんだったらと思っただけだよ。そういうところでセニックの居所を聞き込み出来たりするかもしれないしさ」
「いえ、あまり勇者の一人の情報などそう出回ってないかと。情報規制はかなり厳しいですからね。それに、セニックの部屋さえ変わってなければそこで待ち伏せていれば良いだけですし」
「なるほどな……」

今回の目的はセニックとの接触であり、観光ではない。
折角行った事無い場所だし……そう思ったけど、あまり観光はしないほうが身の為みたいだ。

「ふぅ……しかし緊張するな……俺は正真正銘人間なのにこのままでいいのかひやひやしてきたぞ」
「まあおそらく大丈夫でしょう。微かに放たれている私達の魔力を感知される可能性はありますが、身体を交えてないのでユウロ自体は人間としか感知されないはずです」
「じゃあ大丈夫かな。皆がばれたら意味無いけど……ん?」

慎重に進んでいた私達だったが……ある程度進んだところで、ユウロが何かを見つけた。

「なんだあれ……人?それもかなりの人数……」
「……あれはちょっとマズイですね……おそらくペンタティア兵の一部隊でしょう。見つかったら一貫の終わりですよ」

それは、ペンタティアに所属する教団の兵隊だった。
おそらくロキリアへ侵攻しに行くところなのであろう……真っ直ぐこちらへ向かっている気がする。

「……ってこれまずくない?早くどこかに隠れないと……」
「そうだな……手遅れな気はするけど」
「え……」
「そうですね……こちらを指差して何か言ってますし、おそらくこちらがあちらに気付いているのもわかっていると思うので、下手に隠れようとしないほうがいいかと」

ならば早く隠れたほうがいいのではないかと思ったが……どうやら手遅れらしかった。
少し移動すればちょっとした森林があるので身を隠せるが、そういった事なら帰って怪しまれるのでジッとしていたほうが良いだろう……この時はそう思った。

「……いや待て。何か様子がおかしくないか?」
「え……武器を手にしながらこちらに向かって……まさか!?」

しかし……その判断は間違っていたようだ。

「動くな魔物ども!動いたら即殺す!!」
「く……やっぱばれてたか……」

怪しまれるも何も、既に魔物だってばれていたのだから。

「でもどうして……」
「なんでアメリ達が魔物だってわかったの?」
「ふん。たしかに2体の人化の術は完璧だ。だが、まずこんなところに居る奴が真っ当な人間とは思えない。しかも子供が二人とかいかにも怪しい。それにな……」

私の変装はともかく、二人の人化の術は完璧だったはずだ。
遠目で見ただけではばれるはずが無いと思ったので、隊長だと思しき偉そうな人に聞いてみたところ……なんて事はない理由だった。

「こいつが、貴様らを見覚えがあると言ったからな!」
『あっ!!』
「……」

そう言って隊長格の人がひっぱりだしたのは……私達が、セレンちゃんが会いに行こうとしていた勇者、セニックだった。
たしかにセニックなら私達、特にセレンちゃんの姿はよく知っている……どれだけ誤魔化そうが誤魔化しきれるはずがなかった。
個人でいるのなら見逃してくれたかもしれないけど……侵攻中につき大勢の中に居たせいで無視出来なかったのであろう……

「セニック……」
「……ニトロ隊長……今こいつらと会話する許可、もらえますか?」
「こちらが不利になる事を漏らせば即座に切り落とすという条件付きでなら許可してやろう。特に堕天使については不明瞭な点が多い。参考までに聞き出せ」
「……了解しました……許可ありがとうございます……」
「……なんで……なんでこんなところに……セニック……」
「……それはこっちの台詞だ……セレン……なんでこいつらとこんな場所に居るんだ……」
「ワタシは……セニックに刺された後、死に掛けていたところを偶然通りかかったサマリ達に助けてもらいました。応急処置やワタシの治癒魔術、それに病院での治療などで現在では完治してます」
「そうか……なるほどな……」

そして、望んでいない形でセレンちゃんとセニックは再開し、募る話をし始めた。
その間に、他の兵士達は私達が逃げられないように囲み始めた……魔術師もいるから、空を飛んで逃げたとしても撃墜されるだろう。

「セレン、殺したはずのお前が生きていた理由は納得がいった。そしてこいつらと一緒に居る理由も……」
「見知らぬ親魔物領の土地でしたからね。一人でいるよりはたとえ敵対していた魔物であっても知り合いと一緒に居たほうが心強かったので。ですがまあおかげで楽しい旅ができましたし、魔物としての自分を受けいれる事ができましたよ」
「……そうか……」

この空間で言葉を発しているのはたった二人……念願の再開なのに、状況が状況なだけに多大な緊張が走る。

「それで、だ。セレン、どうしてお前は今ここに居るんだ?魔物としての自分を受けいる事ができたと言うなら、何故反魔物領であるペンタティアに向かっていたんだ?」
「そんなの……決まってるじゃないですか!!」

そして……セニックが肝心な部分を聞いてきたので……


「ワタシはセニックの事が好きだと言ったはずです!!好きな人と一緒に居たい、その想いであなたに会いにきたんです!!」
「っ……」
「セニックと一緒に居たい!セニックと愛し合っていたい!!それを伝える為に、ワタシはここまで来たのです!!」
「……やっぱりかよクソ……」


堪らずセレンちゃんは叫び、その想いと目的を叫んだのだった……



……そして今に至ると言うわけだ。



「おい勇者。いい加減にしろ。さっさと聖剣で目の前の魔物を斬りつけるんだ」
「……」

悩み続けているセニックに向け、イライラし始めた隊長の人が声をかけ始めた。

「ここで堕天使について行ったとして何ができると言うんだ?貴様の寿命が今日になるだけだぞ?」
「……」
「それを考えれば貴様の行動はただ一つしかないだろ。さあ、早く斬るんだ」

それを黙って聞くセニック……腹の立つ言い方ではあるが、たしかにセニック一人がセレンちゃんについていく……つまり私達の味方になったからと言って戦力差は覆らない。
それでも……私としてはセレンちゃんを選んでほしかった。

「……」
「……おいセニック。一ついいか?」
「……なんだ……」

ずっと黙ったまま、どうすればいいのか悩み続けるセニックに、まさかのユウロが口を開いた。

「お前自身はどうしたいんだ?勇者セニックじゃなくて、セニックとしてだ」
「オレ自身……?」
「ああ。お前が勇者としての選択のほうが正しいしそうするべきだと思うならば俺達を斬り殺せばいい。つってもそう簡単に殺される気はないけどな」
「……」
「でもだ。もし今のお前自身がセレンの想いに応えるほうが後に後悔しないって言うんだったら……あとはお前だったら俺以上にわかるよな?」
「……」
「勇者としての立場にこだわるな。セレンが大事なら、勇者である必要性なんて特にねえだろ。そんなくだらねえもの捨てちまえ。元勇者様からのありがたい言葉だぞ」
「何言ってんだお前……まあ、だがしかしお前の言う事はもっともだな……」
「貴様、何を納得しているんだ?そんなに死にt」
「お前は面倒だから黙ってろ」
「ぐ……堕ちた勇者如きが俺様に向かって偉そうな口を……」

それは、勇者としての立場を捨てたユウロならではのアドバイスだった。

「……そうだな……セレン……」
「……はい……」

そして、悩みに悩んだ結果セニックは……



「……ゴメンなセレン……そしてありがとう……」
「セニック……!!」



聖剣を鞘に収め、セレンちゃんを抱きよせた。
もちろん、その手にナイフなど持ってはいない。

「オレもセレン、お前の事が好きだ……お前と一緒に居たいから勇者としての立場なんか捨てても良い……」
「セニック……ありがとう……」

二人で抱きしめあいながら……人目も憚らず接吻を交わした。

二人の間には、幸せな雰囲気が出ていたのだが……

「よしわかった。やはり前科持ちはまともに相手してはいけないという事だな。おい貴様ら。この裏切り者の犯罪者ごとこいつ等を殺せ!」

それをぶち壊すように、教団兵達の隊長が全体へ命令を出したと思ったら……



「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああん♪」



何かが爆発する音と共に、教団兵……しかも女性の叫び声が聞こえてきた。
ただ、単に叫びと言っても最初こそ恐怖のものであったが……段々と快楽の叫び声に……

「な、なんだ!?」
「何が起こったのですか?」
「な……なん……だと……!?おい貴様ら!何が起こった!!」

一瞬のうちにいろんな事が起きたためよくわかっていないが……どうやら誰もが予測できなかった事態が起きているらしい。
叫び声が起きたほうを見てみると……大きな闇色の球体が、教団兵が沢山いた場所に無数に降り注いでいた。
あれは……以前アメリちゃんが精霊使いのシーボに放ったものと同じ、魔力の塊だ。
よく見ると巻き込まれた教団の女性兵士や魔法使い達、ついでに一部の男性も……背中から蝙蝠の翼を生やしたり腕が獣のものになったりと種族こそ違うが、皆一様に魔物化を始めている。

「いったい何が……」

「きゃは♪折角のいい雰囲気をぶち壊すなんて……あなた達お仕置き決定!」
「……それ、自分達も……」
「えっと……その……それもだけど……その……い、妹を助けるため……だよね?」

「なっ!?だ、誰……だ……!?」

そんな中、突然上空から複数の女性の声が聞こえてきた。
上を見上げると……そこに居たのはたった3人の魔物だった。
その3人の魔物達……全員似たような姿をしている魔物達が……地上に居る教団兵達に向け魔力の塊を投げ捨てている。

「あ……ああ……あぅ……」
「きゃはは♪アタシ達の美貌にメロメロで腰ぬけって感じ?触れても無いのに射精までしちゃってさ!でもアンタみたいな屑はお断り♪」
「……趣味じゃない……」
「えっと……わ、私は人妻です!!」

しかし、その3人の魔物が現れただけで……教団兵達は誰もが戦意を喪失した。
彼女達を見た者は全員、彼女達に夢中と言った感じだ……あの隊長らしき人ですら、顔を赤らめ腰を痙攣させながら彼女達から目を離さず立ち尽くしているのだから。
でも、それは仕方ないだろう……

「リリムが……あんなに……」
「わー!知らないお姉ちゃんがいっぱいいるー!!」

たった1人がその場に居るだけで大勢の男達を魅了できるリリムが……3人もいるのだから。

「こりゃあ……オレ達は絶対助かるな……」
「ですね……一国をたった一人で堕とせる魔物……それが3人もいれば、たった一つの大隊なんて何も出来ません……」

アメリちゃんがいるからか、私達やセニックには3人とも攻撃は愚か魅了すらしてこない。
でも、私達以外は全員魅了して……女性や一部の男性を魔物に変え、他の男性達を襲わせている。
突然の同僚の魔物化……しかも自分達もインキュバス化してるのだ……一切抵抗する事無く、全員が全員性の宴を繰り広げていた。
こんな状況の中、もちろん私達に剣を振ったり魔術を飛ばしてくるものなど、誰一人としていなかった。

「でも、いったいなんでこんなにリリムが集まってるんだ?」

そう疑問を口にするユウロ……でもたしかにそうだ。
今までリリムが複数人同じ場所に居た事なんてなかった……ミリアさんとセラさんは同じ日に会ったとは言っても、あれだってミリアさんに出会ってからセラさんに会いに行ったのであって、同時に会ったわけではない。

「きゃは♪気になる?教えてほしい?」
「あ、えっと……」
「……ユーリム姉……」
「あ、ちょっとキュリー!アタシが言おうとしたのに先言うなんて酷くない?」
「ロレン姉……アメリが困惑する……もったいぶらない……」
「あんたは相変わらず最低限の事しか言わないわね……」
「あわわ……ロレンもキュリーも喧嘩はダメ!」
「喧嘩はしてないわよトリーお姉様」

だから疑問に思っていたら……粗方魔物化させて余裕が出たためか、3人のリリム達が私達に近付いて来て、疑問に答えてくれた。

「えっとね……少し前にユーリム姉様から……その……」
「ユーリムお姉様からアタシ達三人に頼まれたのよ。アメリって言うアタシ達姉妹に会うために旅してる妹がペンタティア方面に向かったけど、教団兵がロキリアへの侵攻を企んでるらしいしもしかしたら巻き込まれちゃう可能性があるからその時は助けてあげてってね」
「あう……ロレンに先言われちゃった……」
「トリーお姉様は喋りが遅すぎるからね♪」
「なるほど……ユーリムさんが……」

どうやら少し前に会ったユーリムさんが呼び掛けて集めてくれたらしい。
そういえばこの3人のリリムの名はユーリムさんの口から聞いていた……おそらくだが私達が出発した後、今回の情報を掴んで先に声をかけたのだろう。

「さてと……アタシ達はまだ後処理をするから、あんた達はこの森林をここから真っ直ぐ進むと建ってる空き小屋まで行っててね。巻き込まれたいって言うならここにいてもいいけどね。きゃは♪」
「ゆっくりしてて……」
「その……私達も……えっと……後で行きますから……そこでお話しましょう……」
「うん、わかった!お姉ちゃんたち絶対来てね!!」

ロレンさん達は既に混沌と化しているこの場で更に何かするらしい……なので、私達は言われた通り森林の中にある空き小屋を目指して、あちこちで性行為をしている群れを横目に歩き始めたのであった。

……あの隊長らしき人物を尻尾で襲ってる、獣と蝙蝠と蠍を足して3で割ったような元教団兵らしき人って何の魔物だろうなと思いつつ、私達はせっせと森林へ急いだのであった。



=======[セレン視点]=======



「ふぅ……とりあえず一安心だね」
「アメリちゃんを見てるとつい忘れがちだけど……リリムって恐ろしいな……」
「え〜?」

あのリリム達に言われた通り森林を進んでいったら、本当に小屋がありました。
なのでワタシ達は小屋の中に入り、リビングのソファーに座りゆったりとくつろぐ事にしました。

「しかしセレンがお前達と一緒だったとはな……もしかしたら生きてるとは聞いたが、流石にそうとは思わなかったな」
「まあ偶然だけどな。というかこっちこそセレンは血を流して死に掛けてるわ刺したのがまさかのお前だわとあの時は本当に驚いたからな」
「……ああそうだな……本当に済まないなセレン……あの時のオレは……」
「いえ、あの時は仕方なかったのですよ……ワタシはもう気にしてませんから」

もちろんセニックも一緒です。
ちょっとは落ち着いたので、セニックがワタシを刺した後からのそれぞれの動きを説明していたのです。

「オレは……あの後からずっと後悔してた。オレを愛してくれた女をこの手で刺し殺した事をな……生きてるかもしれないと聞いて会いたくもなったが……同時に会いたく無いとも思ったさ」
「え〜なんで?」
「そりゃあ命令とはいえ殺しかけた相手だ……顔を合わせ辛いさ。それにな、オレ達が住む街に魔物が来たら、それこそ助からないからな……できれば会いに来るなんて事はしてほしくなかった」
「それは……でも、ワタシはそれでもセニックに会いたかったのです!」
「ああ……まあ、こうして無事に再会できたし、この幸運を主神ではなく魔王に感謝しないとな」

セニックはワタシを刺した事をずっと後悔していたようです……そこまで想ってくれた事を嬉しく思う反面、そんなに思い詰めていた事を苦しく思いもします。

「とにかく二人とも無事に会えて良かったじゃない。セレンちゃんおめでとう!」
「どういたしまして。そうそう、サマリも……」

まあとにかく、ワタシはセニックとこうして無事に結ばれました。
思い返してみると大勢の前でキスをしたわけですから少し恥ずかしいのですが……それでも、ワタシの想いがセニックと結ばれたのですから、それ以上に嬉しさがこみ上げてきます。
こうして自分達のほうは無事決着がついたので、もやもやしていたサマリ達の方を指摘してやろうかと思った、その時でした。

「いつ……」
「ん?どうしたのですかセニック?見せて下さい」

突然、セニックが痛そうに腕を抱えました。

「これは……」
「いやな……ここに来るまでにあの隊長にいびられてたもんでな……腕以外にも色々とやられたが、ここが一番酷いな」
「な……今すぐあの人をしばき倒してきます」

袖を捲り様子を見ると、なんと鞭で叩かれたような傷がいくつもありました。
どうやら先程の嫌な隊長がセニックを鞭で叩いていたようです……血が滲んでいるのを見て、湧き上がってくる怒りでどうにかなってしまいそうです。

「いやもうその必要はないだろ……マンティコアに調教されてたしな」
「ですが……」
「そう気にするな。これぐらいだったら痕も残らず治るだろうしさ」

顔の原型が無くなるまで殴り倒してあげたい程怒りが込み上がっていますが、被害者であるセニック自身がそういうので抑える事にしましょう。

「それでもこれは……そうだ、ワタシが今治療します。別室に移動しましょう」
「ああ頼む……別にここでもいいんじゃないのか?」
「いえ、腕以外もという事なので全身診ます。あまりセニックの裸を他の人に見てもらいたくありませんからね」
「別に俺達は気にしないけど……まあ、この小屋のどこかの部屋で治してこいよ」

それに、どうでもいい人を殴るよりセニックの怪我の治療のほうが優先です。
ですので、ワタシはセニックと二人きりになれるように小屋内の一部屋にセニックを連れて向かう事にしました。


「……ありゃあセニックのやつ無事に済まない気がするな」
「セレンお姉ちゃんの目がだんなさんがいる魔物のお姉ちゃんと同じだったもんね。たぶんチューしてからずっと高ぶってたと思う」
「そうだね。多分だけど出てきた時はセレンちゃんの色変わってそう」


残りの3人が何か言ってますが、早急に治療をしないといけないので気にせずセニックを連れて行きました……



……………………



「さて、調子はどうですかセニック?」
「……うん。痛みはまったく無くなった。さすがセレン」

小屋の奥にあった、ベッドが一台と鏡が置かれているだけのシンプルな部屋に入り、セニックをベッドの上に座らせ、まずは一番酷かった腕の治療を始めました。
ワタシが念入りに治癒魔術を施行しているので、みるみるうちに傷が綺麗に無くなって行きます……セニックと触れ合えてるからか、どこかいつもより調子が良い気もしますね。

「さて、では他のところも見せなさい」
「いや、他はまあ痣になってる程度だから……」
「いいから服を脱ぎなさい」
「お、おう……」

他の場所もここより酷くないとは言いますが、実際どうかはわかったものではありません。セニックが軽く見てるだけの可能性も捨てきれません。
ですので、強い口調でセニックに着ているものを脱ぐように言います。
鎧はここに着くと同時に脱いでおり、シャツ1枚だけでしたのですぐにその裸体が外気に晒されました……しっかりと筋肉が付いており、思わずずっと触っていたくなる身体ですね。

「別にたいした事無いだろ?」
「いえ。痣になってる時点で充分たいした事です。あとズボンも脱ぎなさい」
「いや待ったセレン。それはちょっと……」
「いいから脱ぎなさい」
「……はい……」

そんなセニックの身体についた痣……一刻も早く消し去らなければいけません。
それに、ここまで痣があるのでしたらきっと下半身にもあるでしょう……という事で、ズボンも脱ぐように強要します。
恥ずかしがってるようですが……恋人に見られて困るものでもないでしょうに、何を躊躇しているのでしょうね。

「ああ……こんなに痣が……早速治してあげますね」
「おう、頼むよ」

全身に魔術を掛けやすいようにセニックにはベッドに寝転んでもらい、懸命に治癒魔術を使い、憎たらしい隊長に付けられた痣を消していくワタシ。
あんな隊長の付けた痕なんて全部ワタシの治癒魔術で塗り替えてやります。

「ふふ……」
「……なあセレン、なんかお前が怖いんだが……」
「気にしないでください。セニックをこんな目に遭わせた隊長さんへの怒りが治まらないだけですから」
「そ、そうか……」

どうやら未だ治まらない怒りが少し滲み出ていたようですね。
そんなワタシにちょっとだけ怯えるセニック……少しだけゾクッときたのは、以外とワタシはサドっ気でもあるのかもしれませんね。

「さて……粗方治りましたが……お尻は大丈夫ですか?」
「え…………あ、ああ、大丈夫だ。流石にそんなとこまではやられてない」
「嘘ですね。治療するので下着も脱いで下さい」
「え!?い、いやいや、嘘なんて言ってない……」
「仕方ありません。脱ぐ気が無いのでしたら脱がせます」
「えっ!?ちょ、ちょっと待てセレン!!」

見えてる範囲での痣は全て消し去りましたが、まだ下着の下が残っています。
ですので、慌てて下着を抑えるセニックの手を弾き、無理矢理下着をひっぺ剥がしました。

「……セニック?」
「あ、いや……これはそのだな……」

完全に裸になったセニック……たしかにセニックの言う通り、お尻には痣一つありませんでした。
しかし……

「ペニスが大きく膨らんでいますが……いったい何に興奮していたと言うのですかね?」
「え、いや……ち、治癒魔術が心地よくて……」
「嘘ですね。アメリやユウロに同じ事しても特に興奮してはいませんでしたから」
「ぐ……」

セニックの性器……つまりペニスが大きく膨らんでいました。
ワタシに見せないようにうつ伏せで誤魔化していたのですが、そのままでは痛いだろうからワタシは力任せにセニックを仰向けになるようひっくり返しました。
反動で大きく揺れる硬く勃起したペニス……ワタシにまじまじと見られて更に膨らんだように思えます……それが恥ずかしいのか起き上がって隠そうとしたので、ワタシは抑えつけてセニックの胸の上に座って隠せないようにしました。

「ワタシに触られて興奮でもしたのですか?それともワタシに裸を見られて?まさかセニックがそんな変態だったとは……」
「え、いや、ちが……」
「そんなに顔を真っ赤にされながら言われても説得力はないですよ。仕方ないですね……」
「いやだから……ってセレン!?」

どうやらワタシが原因でこうなってしまったようですので……ワタシは落ち着かせようと、セニックの大きくなっているペニスを優しく掴みました。

「セレン、お前何を……うっ……」
「何って……大きく膨らんでいるのですから、こういった事をされるのを望んでいるのでしょう?」
「い、いや違うぅ……こ、こんな事するのはよくなっああっ!」
「別にワタシ達は恋人同士ですし、何も問題はないかと。射精させて落ち着かせてあげますよ」

そのままゆっくりと手を動かし、扱いてみました。
感じているのか、時々大きく痙攣するセニックのペニス……鈴口からは透明な液が滲み出始めました。
しかし、こう赤黒くてぶよぶよしていると、先日食したねぶりの果実みたいです。
そう思うと……段々と美味しそうなものに見えてきますね。

「……はむっ」
「うあっ!?セレン……何を……はぅっ!?」
「ん……れる、じゅる、んふぅ……」

たまらずワタシはお尻をセニックの顔の方へスライドさせて、顔を近付けそのままペニスを口に含みました。
口に含んだ瞬間、鼻腔を刺激するセニックの匂いが口いっぱいに広がります。
それに、滲み出る透明な液もどこか甘美なものに思えます……ねぶりの果実なんて比べものにならないぐらいです。

「ふぁぁぁっ、くぅ……ぅあっ」
「じゅるう……ひもひいいへふか?」
「ふぁ、く、咥えながら喋らなっくぅ!」

どぷどぷと溢れ出てくる透明な液、ピクッと小刻みに震えるペニス。
舐めしゃぶるうちに先端が大きく膨らんできた気がします。ねぶりの果実と同じであれば、おそらく白いものを吐き出す前触れなのでしょう。

「はむ、じゅぷっ、じゅぽっ、じゅるるっ」
「や、やめっセレン!これ以上は……っ!」

自分の淫らな行動を疑問に思う事無く、ワタシはセニックの射精を促すかの如く攻めを激しくしました。
口にペニスを含んだ状態のまま、ゆっくりと顔を上下に動かしてみます。
たまに下げ過ぎで喉奥に当たったりしますが、むせる事無く、むしろ痺れるような嬉しさがこみ上げてきます。
それと、時折ワタシの大事な部分にセニックの鼻息が当たりますね。なんだかムズムズします。

「ぐぁ……セレ、も、離し……うぅっ!」
「んむ、じゅる、んふぅ……んんっ!?げほっ!!」

亀頭を舌でねちっこく舐め、唇を裏筋に這わせるうちに、ぷくっとペニスが膨らみました。
そして、気持ちよさそうな声を漏らし腰が跳ねたセニック……これは射精の寸前……そう思った時には、ワタシの口の中に熱くて粘っこいものが噴き出してきました。
突然喉に叩きつけられたものにワタシは驚きましたが、今回は果物では無くセニックですので、噛まないように咄嗟に咳込みペニスを吐き出しました。
しかし、セニックのペニスはその脈動を始めたばかりですので、精液がワタシの顔や服に飛び散ります。
仄かな熱を持ったそれは強烈な臭いと共にワタシを汚していきますが……ワタシはウットリとしながらそれを受け止めていました。

「ふぅ……わ、悪いセレン……」
「……なぜ謝るのです?ワタシの手でセニックを気持ち良くさせられたのですから、むしろ喜ばしいですよ」

顔や身体中に白濁液が飛び散り、ベトベトになってしまいましたが……嫌悪感はまったくありません。
それに、口の中に残るセニックの精液……果肉なんかとは比べ物にならない程甘美なものです。
口の中にはあまり入りませんでしたが、ワタシの顔や服、それにセニックのお腹にも降り注いでます……綺麗にする為にも、セニックのお腹のものから舐め取って行きましょうか。

「れる……ぴちゃ……」
「はぅっ!?せ、セレン、何して……」
「お腹についた精液を舐め取ってあげているのですよ。このままこびり付いてるよりはいいですよね?」
「いやそうだけども……お前気持ち悪くないのか?」
「何がですか?これは赤ちゃんの素ですよ?神聖な物であっても気持ち悪いものではないです」

舌を口から出し、丹念に舐め取ります。
精液だけでなくセニックの汗も同時に舐め取る事になってますが、これはこれで夢中になって舐めてしまう程です。
全て舐め終わったところで、今度は服を脱いで付着した精液を同じように舐め取ります。
いつの間にか濡れて気持ち悪くなっていた下着も剥ぎ取り適当に投げ捨て、一糸纏わぬ姿でセニックの胸に座り精を味わいます。

「れる……まあこんなものでしょうかね。おや、セニック?」
「な、なんだよ……」
「折角ワタシが射精させて落ち着かせたのに、まだ足りないんですか?」

服に付いたものも舐め終わり、顔から垂れてくるものも手で掬って口に運んだ時、出したばかりだというのに硬く反り勃つセニックのペニスが視界に入りました。
ワタシが精液を舐め取っている姿にでも興奮したのでしょうか。

「こんなに硬くして……あなたはそこまで変態でしたか」
「ちが……そういうセレンこそさっきから触ってもないのに濡らしてるじゃないか!お腹に垂れてきてるぞ」
「へ?ああ……」

たしかにセニックに言われた通り、一度として自分でも触った事のないワタシの性器から透明な液体が滲み出ています。と言いますか、とめどなく溢れています。
その液はワタシの股からお尻の方を通りセニックの胸を濡らしてました……どうやら知らないうちにワタシも性的興奮を覚えていたようです。

「なんです?ここに挿れたいのですか?」
「え、いや……そういうわけじゃ……」
「ワタシと子作りしてもらえないのですか?折角結ばれましたのに……セニックとの子供がほしいのですが……」
「あ……そ、そうだよな。これは子作りなんだよな……」

ですので、ワタシはセニックの上から降りてベッドの上に座り、股を大きく開いてセニックを誘ってみました。
ギラギラと睨みつけるようにワタシの秘所を見ているセニック……まじまじと観察されてると思うと少し恥ずかしいですが、こちらもセニックの血走るペニスを凝視しているのでおあいこです。

「さあ、きて下さいセニック。あなたのおちんちんを、ワタシのここに挿れてしまうのです」
「ああ……じゃあ、挿れるぞ」

ワタシの股の間に入り、ペニスを秘所に近付けます。
しかし、初めてだからか、それとも興奮のあまり焦っているのか、思うように入りません……硬く熱いおちんちんが、ワタシの筋に合わせてぬるぬると擦られてます。
たまにカリ首がクリトリスに引っ掛かりますし、これはこれで気持ち良いのですが、焦らされても子宮がもどかしくなるだけです。
ですので、ワタシは左手でセニックのペニスを添えて、右手で膣口を広げ誘導しました。

「はぐっ、なん……だこれ……すぐ、射精しちまいそうだ……!」
「はぅ……そうです、そのまま奥まで挿れてください……♪」

ゆっくりと、しかし着実にセニックの亀頭がワタシの中に入り込んでいきます。
異物が入ってくる圧迫感を感じますが、それが愛しのセニックのモノだとわかると、全身に幸福感が沁み渡って行く気がします。
そのまま沈めてくると、途中で引っ掛かりを感じました……どうやらワタシの処女膜のようです。
処女喪失は痛いと聞いた事はあります。だからかセニックも動きを止めてしまいましたが……

「セニック、気にしないで突き挿れて……」
「いや、でも……」
「あなたに破られてこそ意味があるのです。ですので……ひぁっ♪」

ワタシは気にしないでと言いながら、自分で足を使いセニックの腰を引き寄せ、無理矢理破かせました。
たしかに痛みは走りました……かなり痛くて、思わず涙が出る程です。セニックのペニスにも赤い血が垂れてます。
ですが……それ以上に、大好きな彼と一つになれた事に大きな悦びが溢れてきます。
ワタシの中で硬く膨らむセニックのモノが、下腹部に触れるだけでハッキリと感じられます。
今にも暴発してしまいそうなのか、挿れた後深く息をするだけで動こうとしないセニックにもどかしさを感じますが……やっぱりまだ少し痛いので、しばらくはそのままでいました。

「さあ、思うように動いていいのですよ」
「い、いいんだな?痛みは大丈夫なのか?」
「まだちょっと痛いですが……それでも、セニックと繋がってるという悦びが大きくて気になりません……♪」

しばらくじっとしているうちに痛みは治まって行き、快感が勝ってきました。
ですので、ワタシはセニックに動くように言いました。

「ひぁ、あっ、あっ、あふっ、ふぁ♪」
「ふっ、ぐあっ、き、キツ、すぐ、出ちまいそうだ!」
「気持ちい、ですか、ワタシ、気持ち、いいっ!!」

最初はゆっくりと、恐る恐るといった感じで小さく腰を動かし始めましたが、次第に快感を求めるように強く腰を打ちつけてきました。
激しい交わりの為か、翼がバサバサと揺れ動き羽根が舞ってしまいます……純白の羽根の中に黒いものが混ざっている気がしますが、気にする余裕はありません。
何故なら、ゴリゴリと膣内を容赦なく擦るペニスに、ワタシは快感に腰を震えさせてしまうのです。
ぐちゅっ、ぐちゅっっと卑猥な音を出しながら肉棒が出入りする度、ワタシのおまんこがセニックのおちんちんに合わせるように形を変えていってる気もします……より深く、より気持ちいい場所に亀頭が当たるようになってます。
セニックのおちんぽがGスポットに当たる度、子宮口をつつく度に、ワタシは頭の中が真っ白になって、天に昇っていく錯覚を感じます。

「ぐぅ……も、駄目だ、射精しちまう……!」
「そ、そのまま、ナカに、ナカに射精して下さい♪セニックの精子を、ワタシに注いでください♪」

激しい交わりの中、セニックのおちんちんがぐんと膨らんだのを感じました。
一度口で搾りだした為しばらくはもっていた射精感が込み上げてきたみたいで、情けない声を出しながら抜くべきかどうか悩んでいたので、抜けないようにワタシの足でセニックの腰をがっちり掴みました。
身体に掛けられるのもいいのですが、やはり処女膜を散らしたセックスではきちんと中出ししてほしいですからね。

「うっ、うおおぉぉ……!!」
「ひゃぁっ♪射精してます♪ワタシの子宮に、セニックのアツいものがあぁ♪」

一際強く腰を打ちつけ、子宮口に鈴口がくっ付くと同時に、最大まで膨らんだペニスは脈動し始め、子宮に熱く滾る精液がドクドクと注がれました。
口でシた時と違い射精中も膣を締め刺激を与え続けているせいか、勢いは衰えず射精は納まりません。
子宮に出されたはずなのに、何故かわかるセニックの精の味は……口に含んだ時よりも濃厚で幸福感を得られるものでした。
ワタシも恍惚とした中で……たしかな熱と快楽を感じました。

「ふぐ……ふぅ……ふぅ……」
「はふっ……♪」

射精も納まり、力無くベッドに座り込むセニック。
その時に、まだ少しだけ硬さを保っているペニスもワタシのおまんこから抜けてしまいました。
栓が無くなった事でワタシの愛液と混じってセニックが出した大量の精液の漏れ出してしまいます……なんともったいない事か。

「セニック……」
「はぁ……ん?なん……うわっ!?」

それに、軽くイキましたが、まだまだワタシは満足していません。
頭の中でもっと快楽を求め、より淫らに相手の身体を求めよと声が響きます。
より快楽に溺れ、欲望に忠実に性交し、深く堕落せよと心に話しかけてきます。
ですので、荒い息をついているセニックをベッドに押し倒し、彼のおちんちんの上に跨りました。
より深い快楽を与え、より堕ちていくように……

「まさかこれで終わりではないですよね?ですが疲れているようですので、次はワタシから動いてあげましょう」
「なっ……おいセレン、お前……身体gふぁっ!?」
「ふふ……変態おちんぽはまだまだ硬いですね……これなら大丈夫でしょう♪」

少し手で弄るだけで、またむくむくと勃起したおちんちん。
ワタシの姿を見たセニックが何か言いたそうでしたが、気にせず腰を下ろし再び膣内へセニックのおちんぽを収めました。

「ぐぅ、せ、セレン……!!」
「んっ、くぅんっ、どうですか、気持ちいいですか?」
「あぅ、ああっ!」
「ふふ、気持ち良すぎて、あんっ、声も出ませんかっ♪」

性器をぎゅうぎゅうに締めつけながら、腰を揺さぶります。
愛撫するためセニックの上に置いた手がどこか蒼くなっている気がしますが、性交にはなんの関係もありませんね。
それよりももっとセニックを感じるべく、ワタシは結合を外さないようにしながら、上下に激しくピストン運動を始めました。
自分で細かく調整しているので当たり前ですが、ピストンする度にGスポットに当たり軽くイキ続けてしまいます。

「うぐ、うぁ、あ、ああっ!」
「あうっ、さっきよりも、喘ぎが大きいですね♪やっぱり攻められるほうが好きな変態さんでしたか♪」
「だ、だからちが、はぁうっ!」
「んんっ♪大丈夫です、そんな変態さんでも大好きですから♪お望み通りおちんぽをぐちゃぐちゃになるまで搾ってあげます♪」

先程正常位でシてた時よりも大きく喘ぎ、またおちんぽもワタシのナカで大きく膨らませています。
先程と違い脇や背筋への愛撫や乳首を弄っていたりしているとはいえ、どうやらセニックは攻められていたほうがより興奮するらしいです。
これなら一瞬思い付いたけどやっぱりやめた顔面騎乗なんかもやってあげれば悦んだかもしれませんが……まあそれは今度でいいでしょう。
という事で、ワタシはちょっと強めにセニックの乳首を摘んだり引っ掻いたりしながら、不規則に腰を捻り射精を促し始めました。

「うあっ、ああっ、ぐああっ!!」
「あふっ、ふあっ、きもちいい、いい、も、もうすぐ、い、イキそうです♪」

亀頭が子宮口を擦り、突き、めり込み、犯され……いつしかワタシに、大きな絶頂が間近に迫っていました。
それはセニックも同じで、ビクビクっとおちんぽが大きく震えています……その振動が、ワタシを更に高みへと昇らせます。

「ふあっ、い、イク、イッちゃう、イックウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ♪」
「うああ、ああ、あああぁああああっ!!」

そして、とうとうその時がキてしまいました。
ワタシの身体は、子宮から全身へ電流のように流れる快感に、大きく背を仰け反らせ、漆黒の翼を激しく羽ばたかせ、ガクガクと震えました。
爆発するような快感に震える腰……同時に締まる膣に、セニックも止めを刺され、3回目だというのに今まで以上の勢いで射精を始めました。
びゅぶっという音が聞こえる程の射精……ワタシの子宮や膣内に納まりきらなかったザーメンが、結合部から漏れ出てきます。

「ああ……あぁ……ぁ……はぁ……はぁ……」
「はぁ……♪気持ち良かったですね♪」

数十秒もの長い絶頂も落ち着きましたが、子宮に溜まるセニックの精にうっとりとしてしまいます。
セニックは息も絶え絶えになってます……やはり勇者と言えど慣れない性行為は疲労が溜まるのでしょう。
しかしワタシはまだまだシ足りません……もっと精を、もっと性交を行うのだと身体が言っています。
ですが、この通りセニックは疲労でもう動けそうにありません……ワタシに挿入しっぱなしのおちんぽも、力無くくったりとしてしまってます。
おそらく膣内を脈動させれば多少は復活すると思いますが……これ以上激しくセックスを続けると気絶してしまうかもしれませんし、気絶している相手を搾っていても面白くありませんからね。

「……パンデモニウム……」
「はぁ……はぁ……あ?」

すると、突然頭の中に一つの単語が思い浮かびました。
パンデモニウム……万魔殿……そこは、堕落神様が統べる異界……永遠に同じ時を刻み続ける、堕天使達の楽園。
老いる事も、疲れる事も無く、ただひたすらに交わり続ける事ができる、堕落した者たちのパラダイス。
その場所への行き方は……鮮明に頭に思い浮かびます。
交わりの途中から誰かの声が響いているとは思いましたが、どうやら堕落神様がワタシの為に色々と導いてくれていたようです。

「では、早速行きましょうか……より堕落的な生活を送る為に……」
「え?へ?な、なんだ?」

善は急げという言葉があるそうですが、まさに今がそうする時です。
一応繋がったままのセニックごと、ワタシは万魔殿への転移を開始して……

「……いや、ちょっと待って下さい。一つやり忘れていた事がありましたね」
「な、何が起きてるんだ?魔法陣が展開したと思ったら消え……」

……しなければいけない事を思い出したので、途中でやめました。

「ごめんなさいセニック。もう少しだけパンデモニウムへ行くのは待っていただけないでしょうか?」
「は?あ、ああ、別にいい……ってか今行こうとしてたのかよ!」
「はい。嫌ですか?」
「……嫌じゃない。セレンと一緒にいられるならオレはどこへでも行くよ」
「ありがとうございます♪」

セニックの許可も貰えたので、名残惜しいのですが結合を解いて服を着ました。パンツは……まあ無くても問題無いでしょう。
そしてワタシは、ある用とお別れの挨拶をする為に、3人が待つリビングまで急いだのでした……



=======[サマリ視点]=======



「……という事で、ワタシはセニックとパンデモニウムへ行きます。短い間ではありましたが大変お世話になりました」
「お、おう……」
「やっぱりセニックお兄ちゃんとラブラブしたんだね」
「もちろんセックスぐらいしますよ。何と言ってもワタシは魔物ですからね」

現在17時。
やけに長いセニックの治療を終えて部屋から出てきたセレンちゃんは、案の定ダークエンジェルになっていた。
下着を穿いてないのか、太股に強い臭いを放つ白濁液を垂れ流しながら、自分達はこのままパンデモニウムとかいう場所へ行くからお別れになるという事をわざわざ言いに来てくれたのだ。

「それで肝心のセニックは?」
「部屋のベッドで休憩してます。なんだかんだいってよく縁もあったし軽い挨拶ぐらいしておくとは言ってましたが、いかんせん激しく搾りとったので腰が抜けてしまってさらに疲労がもの凄い事になってたので、ある程度動けるようになってからくると思います」
「……あ、ああ……わかった……」

ウットリと、大人のサキュバス顔負けな程恍惚とした笑みを浮かべながらセニックと性行為をした事を話すセレンちゃん……相変わらず敬語は抜けてないが、垂れている精液を指で弄り口に運んでいる姿は純粋なエンジェルとは言えないだろう。

「でも、パンデモニウムに行っちゃうってことはもうアメリたちとは会えないの?」
「いいえ。たしかに基本的にはずっとあちらに居るつもりですけど、たまには外界の方にも行こうと思います。あなた達との旅は面白かったので、今度はセニックといろんな場所を見てみたいとも思いますからね」
「なるほどね。旅は楽しいから、また会ったらいっぱいお話しようね」
「もちろんですとも。それに、もし何か用があるなら、一応万魔殿にもサバトや刑部狸なんかが出入りしているようなので、もしかしたらカリンの繋がりで連絡を取る事も可能だと思いますので、その時は連絡下さい」
「わかった」

パンデモニウムと言うのはこことは違う空間にある魔界らしい。
よくわからないが、とりあえず普通に行く事は出来ないらしいので、セレンちゃんと会う機会はめっきり減ってしまうだろう。
それでも、セレンちゃんも時々旅に……というか観光に出るそうだから、全く会えなくなるわけではない。
また会える事もあるだろうから、その時を楽しみにしておこう。

「あ、それと、ちょっとサマリにお話があるので来てもらえませんか?」
「私に?」

一通りお別れの挨拶を済ませたので、あとはセニックの復活を待つだけ……そう思っていたら、セレンちゃんが私に話があると言った。

「なーに?」
「サマリにだけ話したい事ですので、アメリやユウロはここで待っていてくれませんか?」
「えー」
「ああ、わかった。ほらアメリちゃん、ここで大人しく待ってような」
「むぅ……秘密のお話……アメリの悪口じゃないよね?」
「そんなわけないでしょ。サマリにだけ言いたい事があるだけです。という事でついて来て下さい」
「うん、わかった」

皆の前では出来ない話らしいけど……いったいなんだろうか?
不思議に思いながらも、私は一人セレンちゃんについて行って、セニックがいる部屋とは違う部屋に入ったのだった……



…………



………



……







「それで話って?ユウロやアメリちゃんには聞かれたくない話?」
「そうですね……アメリはともかく、ユウロにはあまり聞かれたくない話ですね」

部屋に入り、置いてあった椅子に腰かけ、話を始めた私達。
念を入れて部屋の鍵を閉めたため、この部屋に居る私達以外には話は聞こえないし、誰も入って来ないだろう。

「まあ、正確にはサマリにだけ用があるわけですが」
「ん?何?どんな用があるの?」

盗み聞きされてない事を確認したセレンちゃんは、早速お話を始めた。
どうやら私にだけ言いたい事があるみたいだ……いったいなんだろうか?

「単刀直入に聞きますが……サマリはユウロの事どう思っていますか?」
「……へ?ユウロの事?」

何かと思っていたら、ユウロの事をどう思っているかという質問だった。
いきなりどうしたのかと思ったが、とりあえず思っている事を言う事にした。

「それはまあ……一緒に旅する仲間だよ」
「……そうですか……」

ユウロは旅仲間……それ以上でも、それ以下でもない。
それ以上の関係を持ってはいけないし、かといって仲が悪いわけでもないから、回答としてはそんなところだろう。
何故だか少しだけもやっとしたが……別に間違っては無いと思う。

「つまり……」
「ん?」

その回答を聞いたセレンちゃんは、納得してないのか……

「別にユウロ個人に特別な想いを持っているわけではない、そう言うのですね」
「……」

いきなり、そんな事を言い出した。

「あ、当たり前じゃんか。ユウロだってそう言うの望んで無いわけだし……」

そう言われ、少し動揺する私。
別に動揺する事無いはずなのだが……何故か心臓がバクバクと荒ぶっている。

「それなのに私がそんな事思ったら……ユウロに悪いじゃんか」
「……そうですね……」

一言、一言を言うのが、何故か苦しく感じる。

「でも、それは本心ですか?」
「っ!?」

気付いてはいけない事を、気付かされようとしているように感じる。
これ以上セレンちゃんの話を聞いてはいけない……そう、脳が危険信号を送ってるような気がしてきた。

「本当にユウロの事はただの旅仲間としか思ってない……あくまでもそう言い張るのですか?」
「い、言い張るも何も……」

それが事実であり本心だ。
私は……そう言うべきなのに……そう言えなかった。

「いい加減、自分の気持ちに嘘をつくのはやめなさい」
「え……う、嘘なんか……」

セレンちゃんが言葉を繋ぐ度、身体が大きく震える。

「もう一度聞きます。あなたはユウロ個人に特別な想いは持ってないのですか?」
「だから、ユウロは彼女とか作ってはいけないから……」
「……あーもう……」

ただ座って話をしているだけのはずなのに……私は全身に大量の汗を浮かべていた。

「ユウロの都合なんて抜きに考えなさい!」
「ひっ!」

突然強い口調になったセレンちゃんの気迫に押され、椅子から転げ落ちてしまった。

「ユウロにも都合があるのは知ってます!でも、今はそんな話をしているのではありません!!サマリ、あなた自身がユウロの事をどう思っているのかを聞いているのです!!」
「わ、私自身……が?」
「そうです!ユウロの都合なんて無視した自分の気持ちはどうかと聞いているのです!!」

ユウロの都合……自分の出生や過去から誰かと恋仲になるのは怖いという点を無視した場合の自分の気持ち……
言われてから気付いたが、そんな事考えた事なんてなかった。

『いや、まあ魔物だけじゃなくて人間でもかな?俺は結ばれるのはもちろん、彼女を作る訳にはいかないからね』

一緒に旅を始めたばかりの頃、アクチさんのところでユウロが言ったこの言葉が、ずっと私に根付いていた。
だからこそ、今までもユウロが襲われないように注意を払っていたし、自分も意識しないようにしていた。
でも……それを気にしないのであれば……自分は……私は、ユウロの事をどう思って……



『うおっ!なんだこれ!?めっちゃウマい!!下手すりゃそこらへんの店で売ってるものよりウマい!!』
『くっ!大丈夫かサマリ!?』
『おーサマリ!歩けるようになったのか!!』
『ちょ!?なにするんだ…あ……ねむ………ぐぅ…………』
『物理的にも精神的にも無理だからな…』
『なっ!!うぉああああぁぁぁぁ………』
『わりぃ…ちょっと肩貸してくれ…』
『うん…塩加減がいいな…流石サマリだ』
『ま、俺の場合は『居場所を失ったあなたへ』だったけどな……』
『いや、それは恥ずかしいから遠慮するよ……』
『それにしても……じっくり見た事無かったけど可愛い寝顔してるなこいつ……』


『……ありがとうサマリ……』




「……」

今までの旅で見てきたユウロの姿、今まで交わしてきたユウロとの会話、ユウロの浮かべた笑顔も寝顔も苦痛も悲しみもいろんな表情も、どれもこれもユウロに関してはすぐに思い出せる。
そんなユウロの事を考えてるだけで、私の胸は高鳴ってくる。
ユウロとずっと一緒に居たい。
ユウロとずっと一緒に旅をしていたい。
ユウロと……

「私は……」

ここまで言われて、私はようやく、ずっと引っ掛かっていたものに気付く事ができた。

「私は……私は……!!」

今まで気付かないふりをしてきた、大事な自分の想いに気付いてしまった。




「私は……ユウロの事が……好きなんだ!」




私は、旅をしているうちに……ユウロの事が、好きになっていた。

「ユウロと一緒に居たい!ユウロと結婚したい!ユウロと……」

気付いてしまっては、もう溢れる想いは止まらない。

「ユウロと……私とユウロとの子供が……ほしい!!」

今まで塞ぎ止めていた想いが、欲望が、口から飛び出て止まらない。

「やっと、本当にようやく自分自身の気持ちに気付きましたか……」
「……うん……」
「相手を思いやる気持ちはたしかに大切です。ですが、それで自分の想いを押し殺していたら意味が無いのですよ」

こんなにもユウロの事で頭がいっぱいなのに……私は自分の恋心に気付かないようにしていた。
たとえ本能的にユウロを襲おうとしても……その度に異常な理性で押し込んでいた。
今までも自分が恋とかわからないと思っててもどこか引っ掛かっていた……それもそうだ。私は自分で恋しないように、必死に恋心に蓋を被せていたのだから。

「でも……どうしよう……」
「何がですか?」
「私がユウロの事が好きでも……ユウロが困っちゃうよ……」

蓋を被せていたのは、ユウロの為だ。
大好きな人からの、心からの頼みだったからだ。
あんな強烈なトラウマを持ったユウロの意に反して私が恋人になりたいだなんて……大好きだからこそ、言えるはずがなかった。

「好きだって言ったら……ユウロに嫌われちゃうよぉ……」

恋心に気付いてしまったからこそ、考えたくなかった大きな問題が現実味を帯びてきて……どうすればいいのかわからなくて、私は涙が溢れてきた。

「泣かないでください。サマリは考えすぎです」
「えっ……?」

そんな私に向けて、私の恋心を気付かせたセレンちゃんは……

「好きだって、自分の気持ちを素直に伝えてしまえばいいのです。相手がどんな悩みを持っていようが、自分なら大丈夫だと言ってあげればいいのですよ」

私の涙を拭いながら、そう言ってくれた。

「ワタシはユウロにどんな事情があるのか詳しくは知りません。それでも、魔物であるサマリがそこまで自分の気持ちを押し込める程ですから、簡単な事ではないとは思います」
「うん……」

そうは言っても、ユウロの持つトラウマは……とても簡単に解消なんて出来るものではない。

「でもですよ。サマリが何もしなければ、サマリは勿論、ユウロもずっと苦しみ続けるだけなのですよ」
「……」
「あなたが、ユウロの苦しみをその愛を持って取り除いてあげればいいのです。本気で愛するのであれば、きっと報われますから」
「うん……」

そうは言うけれど……きっと難しいだろう。

「まあ、今すぐ告白しろだなんて言いません。自身の気持ちに気付けただけでも一歩前進ですからね。慌てる必要はありません。まずは自分の中でどうしたら一番いいのかをしっかりと考えて、それから行動に移りなさい」
「でも……」
「いいですか?絶対に自分の気持ちを押し殺す事だけはしてはいけませんよ!」
「はい……」

気付いてしまった自分の気持ちをどうするべきか……ハッキリとした答えは見つからないまま、この話は締めくくられた。
セレンちゃんの言う通り、これからの旅の中で見つけていけばいいのだろう……
ユウロとの旅の中で、私がどれだけユウロの事が好きで、ユウロの苦痛を取り除けるかの答えを……



====================



「お、二人とも話は終わったか。二人がゆっくりと話してる間にセレンの愛しの旦那さんも復活してるぞ」
「おいユウロ、変な言い方するな!」
「でも間違ってないだろ?」
「む……まあそうだが……」

セレンちゃんの説教も終わり、ユウロとアメリちゃんが待つリビングに向かったら、そこにはある程度体力が戻ったセニックもいた。
先程までと違いしっかりとセレンちゃんの魔力が染み付いているのがわかる……これならすぐにインキュバス化するだろう。

「さて、こちらも用が終わりましたし、早速向かいましょうか」
「おう、いいぞ。オレの方も一応挨拶はしたしな」
「ふん。今度闘う時も俺が勝ってやるよ!」
「ほざいとけ。そもそもお前とはサシで闘った事ないからな。今度闘う機会があればオレがお前をけちょんけちょんにしてやる!」

どうやら私達が話をしている間に、セニックとユウロもいろいろと募る話をしていたみたいだ。
まあ男同士だし、何度か闘った仲だから話も弾んだのだろう……アメリちゃんも話に混ざっていたようだが、途中で飽きたのか独楽で遊んでいた。

「さてと、あらためて言うが、セレンがお世話になった。お前達には感謝してもしきれない。本当にありがとう!」
「いえ、お気になさらず。私達もセレンちゃんには色々と助けられましたから」
「じゃあねセレンお姉ちゃん!セニックお兄ちゃん!!」

そして、とうとうお別れの時だ。
セレンちゃんがセニックと自身の足元に魔法陣を展開させた……おそらくこれからパンデモニウムという場所へ転移を始めるのだろう。
本当にセレンちゃんには色々と助けられた……旅してる間、治癒魔術を施してくれたり、家事も手伝ってくれたり、そして今も……私の気持ちを気付かせてくれた。

「それでは……サマリ、しっかりするのですよ」
「……うん!」

最後に一言、私にエールを残し……セレンちゃん達は消えてしまった。
二人はこれから永遠の時の中で、ずっと愛し合って過ごすのだろう……

「しっかりするって……サマリ、お前なんかセレンに言われたのか?」
「うん、まあね……」
「何々?」
「えっとね……秘密!」
「むぅ……サマリお姉ちゃんもそれかぁ……」

セレンちゃんに言われた通り、私も自分の恋心としっかり向き合わないといけない。
ユウロへの想いに、答えを見つけ出さないといけない。

「お姉ちゃんたちまだかな〜。アメリはやくお話したいな〜」
「そうだな……ん?サマリ、なんか近くないか?」
「き、気のせいだって。ほら、最近毛を伸ばしっぱなしだからちょっと感覚が変わってるんじゃない?」
「ふーん……まあ別にいいけどさ……」

大好きなユウロの横にちょこんと座り、ユウロの発する熱を感じながら、私達はロレンさん達がここにくるのを静かに待っていたのだった。
13/08/04 16:30更新 / マイクロミー
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■作者メッセージ
ようやくセレンとセニックの関係に決着がつきました。
エロはやっぱり難しい……違和感が無ければいいですが……

そして……ようやく、55話目にしてやっとこさサマリが自身の恋心に気付く事が出来ました。
今までずっと無意識に押し込めていた思いが、ようやく解放されました。
ここからのサマリは、自分の想いとユウロのお願いとの間で苦しみ始める事になりますが……彼女が結局どのような答えを出すのかは、もうしばらくお付き合いいただけたらと思います。

という事で、これにてセレン編完結。次回からいよいよ最終章に入ります。

次回は……今回助けに出てきた3人の姉妹との会話パート。そして、自分の恋心に悩むサマリは、溢れるユウロへの気持ちを抑えきれずに……の予定。

ちなみに話の区切りなので旅裏も更新しました〜!

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