情報課の不思議で淫らな歓迎会
気が狂いそうだった。
毎日毎日、同じことの繰り返し。
朝から満員電車で押し潰されて、会社に着けばただひたすらにディスプレイに向かってキーボードを打ち続ける。二、三時間のサービス残業を終えて、ようやく寝るためだけに下宿に帰る。布団に入って目を瞑れば、もう日が昇っていてまた朝からのやり直し。
コロコロと定期的に職場は変わるが、良い刺激にはならない。
職場が変われば仕事も変わる。場合によっては一から仕事を覚え直して、覚えるに連れて分かってくる職場の惨状に胃を痛めながら、それでも何とか持ち直したかと思ったころには次の戦場へと送られてゆくだけだ。
IT土方を選んだ以上仕方のない事ではあったが、幾度と無く繰り返しても慣れるものでも無かった。
そんな生活が続いているせいか、最近は精神がやばくなりかけているようだった。以前は将来のことも不安に思っていたのだが、それすらも無くなり始めていた。
なんというか、もう色々な事がどうでも良くなり始めているのだ。
まともな思考力は低下して、本能的な欲ばかりが膨れ上がってゆく。
運動はしていないのに飯の量は増えているし、仕事をしていてもいつも眠い、そして何よりも性欲がやばかった。
若い女を見かけると、誰彼かまわず胸や尻を見てしまう。胸元が空いていれば谷間が見えないかと目で追ってしまうし、ミニスカートから覗く白い太ももには涎が垂れそうになる。
OLの見事に押し上げられたブラウスの膨らみ、タイトスカートから伸びる肉付きのいい脚。女子高生のボタンの外し過ぎの胸元や、パンツが見えそうなほど短いミニスカート。明らかに風俗嬢だろうという化粧の濃い女の胸の谷間や脚でさえも目で追ってしまう。
触りたい、匂いを嗅ぎたい、顔を埋めたい。
そんなことばかり考えている。もちろん考えるだけで、実行などするつもりは無いが。
流石にどんなに追いつめられていても、現実と妄想の区別はついている。嫌がる相手に触ったらそれは痴漢だ。犯罪だ。
自分の人生だって壊れてしまうし、相手の人生にだって傷を残すことになる。そんな事だけは絶対にしない。それくらいの理性は残っている。
ならば金を払って風俗にでも行けばいいのかもしれないが、なかなかそれも出来なかった。
時間も無ければ、勇気も無い。そしてそんな事に金を使ったら勿体無いという妙なプライドも邪魔をした。
溢れるばかりの欲求不満を抱えながら、いつまでも俺はチキンなのだった。
おまけに彼女が欲しいのかと言えばそういうわけでも無い。色んな職場の人間関係を遠巻きに見てきたが、その結論として出たのはやはり女の相手をするのは面倒そうだという事だけだった。
女は欲しくないけれど、性欲は満たしたい。自分でも本当に最底辺に落ちかけていると思う。
以前までの職場の派遣期間を終えて本社へと戻ると、すぐに次の顧客への派遣を命じられた。
今度の仕事は保守の仕事だそうだ。人員はそこまで必要ないとの事で、派遣されるのは俺一人だけだった。ただし派遣の期間についてはまだ未定との話だ。仕事ぶりによっては派遣延長や追加派遣等もあるとの事だった。
「悪いが明日から行ってほしい」と言う上司の命令に、俺は内心で溜息を吐きながらも頷かざるを得なかった。
翌日、俺は言われたとおりに、渡された資料を頼りに新しい勤務先へと出勤した。
派遣先の企業はアビスコーポレーションと言う名前だった。出来たばかりの会社なのか、社員は皆若く、そして女性が多かった。それもみんな美人ぞろいで、正直俺はオフィスを案内されただけでくらくらしてしまった。
職場に着くと、すぐに仕事について説明された。どうやら俺は社内システムの保守点検の手伝いをさせられるらしい。説明を受けた限りだと思ったよりもぬるい仕事のようだった。
同じ部署には、俺の他に五人の社員が居た。全員若い女性だった。説明をしてくれたのは、その中でも一番若い女の子だった。きっと説明するのは新人の仕事だったのだろう。
システムの資料を読みながらも、俺は周りの社員の身体を見ずにはいられなかった。皆スタイルが良く、美人だった。そして、こんな事を言っては失礼だが、皆どことなく少し助平そうなエロい顔つきだった。
どこを見ても胸の大きくて綺麗な女が目に入る。それだけで天国に居る気分だった。
派遣一日目は、そんな感じで平和に過ぎていった。
翌日。派遣二日目にして、俺の心は折れかかっていた。
どこを見ても美人が目に入るというのは、とても恵まれた環境ではあった。けれどもしかし、目が付いているのは俺だけでは無いのだ。
俺が彼女たちを見ている時、彼女たちも俺を見ている。
当然、俺が胸や尻に注目していれば、その姿も見られているということだった。
そのことに気づいた途端に、目のやり場に困るようになった。見まいとしても、おっぱいやおしりに無意識の内に目が行ってしまうのだ。そしてそれ以外にも、彼女たちの小さな仕草が目について仕方なかった。
今まで女所帯の職場だったせいなのか、彼女たちの所作は男の目を気にしないあけすけなものだった。谷間を気にせず前かがみになることはもちろん、胸元に空気を送るためにブラウスの前をパタパタさせたり、おっぱいの位置や汗が気になるのかちょくちょく胸元をいじったりするのだ。
俺はその度気になって彼女たちの事を見てしまい、後から誰かにそれを見られていたのだと気がついて背中に冷や汗を流した。
彼女たちが集まって小声で話している姿が気になった。仕事の話をしているのだろうとは思いつつも、俺に聞こえないところで厄介な変態が職場にやってきたと話しているのではないかと気が気ではなかった。
直接話に加われば済む話ではあるのだが、もともと会ったばかりの人間と仲良くするのも得意な方では無かった。出来上がった人間関係に一人で切り込んでいくことなど、俺には難易度が高すぎた。
昼休みの時間は特に顕著だった。
女性たちは皆連れ立ってランチに出て行く中、俺だけ一人で取り残されるのだ。
近場のめし処も分からない俺は、一人で買ってきたおにぎりを齧るのだった。
三日目以降も同じような日々が続いた。
本来やるべき仕事については、特に何の問題もなかった。使用されているプログラム言語も熟知しているものだったし、システムの構成もすっきりとしたもので、必要以上に複雑に入り組んでいるところは殆ど無かった。
大変だったのは、やはり人間関係だった。
自分以外が全員女性という職場は、思った以上に辛いものがあった。結局、何を話せばいいのか分からないのだ。
仕事の話であれば、滞り無く話は出来た。しかし特にシステム上も問題があるわけでも無いので、報告に行っても話す内容は殆ど無かった。
仕事以外の話になると、これがもうどうしていいのか分からなかった。雑談で何を話せばいいのかという以上に、女性の中にどうやったら自然に入っていけるのか全く見当がつかなかった。
必然的に、俺はひたすらにパソコンのディスプレイに向かうことになる。他のことも考えず集中するので、当然仕事はあっという間に片付いてゆく。
昼休みも、他の皆が食事に行く中、俺一人だけオフィスでコンビニ弁当だった。
そんな日々が二三日続いた。
会話は少なかったが、しかし話しかけてきてくれる子も居た。最初に仕事の説明をしてくれた、一番幼い感じの新人ちゃんだった。
外から来た人間ではあっても、経験年数としては俺のほうがだいぶ上だった。彼女の分からないところを教えてあげたりする内に、彼女とだけはそれなりに仲良くなれた気がした。
派遣されて一週間。孤独のコンビニ弁当にも慣れてきたそんな頃だった。
他の皆が出て行ったと思って弁当を取り出そうとしていると、急に誰かに見られているような気がした。
顔を上げると、新人ちゃんがまだ部屋に残っていた。視線を左右に彷徨わせ、胸元で指をいじりながら、そわそわと落ち着かない様子で俺の机の前に立っていた。
「どうしたの? みんなもう食事に行ったみたいだけど」
「し、知ってます。その、あなたにお伝えしておかなければならないことがあったので」
「あぁ、連絡事項か」
「はい。えっと、今日の夜ってお暇ですか」
「え? 残業の話?」
「ち、違います」
てっきり仕事の話かと思ったのだが、では何の話なのだろうか。
「歓迎会、まだしていなかったから。課のみんなであなたのこと歓迎しようって」
歓迎会! そういうのもあるのか。
確かに親睦は深めておきたい。……けれど、女性の中に一人というのは、嬉しい半面で緊張感がすごいことになりそうだ。
「来て、いただけますか?」
「あぁ、もちろん」
新人ちゃんの顔がパッと明るくなる。
「本当ですか。嬉しいです」
「むしろ俺一人のためにそんなことしてくれるなんて、逆に申し訳ないくらいだよ」
「そんな事ありません。独身の男性、いえ、あなたは私たちにとって、とても貴重な存在なんです。一人いれば私たちは十分ですもの」
「え?」
その表情は、なんというか笑顔というよりはだらしなく緩んでいるように見えた。大好物を前にしてよだれを垂らしかけているような、そんな顔だ。
よっぽどお腹が空いているのだろうか。
「と、とにかく、みんなあなたの事を歓迎してるってことですよ。場所はそこの、休憩室で行います。仕事の後残っていて下さいね」
新人ちゃんは息を荒げながら、オフィスの傍らにある休憩室の扉を指さした。まだ入ったことは無かったが、何人かで飲み食い出来るくらいには広いのだろうか。
冷静を装おうとしているようだったが、どうやらお腹がすいてお腹がすいてどうしようもないようだ。気になることは色々あったが、俺は早めに話を切り上げてやることにした。
「わ、分かった。とにかく今晩は空いているから、お昼ごはん食べてきなよ。早くしないと昼休み終わっちゃうよ、新人ちゃん」
「お昼ごはん。そ、そうですね。ぁあ、でも夜のご予定が空いていて本当に良かったです。今晩はみんなでご馳走ですよ。楽しみです。うふ、うふふふふ」
新人ちゃんはだらしない表情を浮かべたまま、ふらふらとした足取りで部屋を出ていく。
俺は茫然とそれを見送った。新人ちゃんの様子は、明らかにいつもと違っていた。
一体何なのだろう。この課の歓迎会では、そんなに美味しいものが出るのだろうか。
それならば昼飯を減らしておくべきか。俺はおにぎりを見つめながら一瞬考えたが、結局昼休みが終わるころには買ってきた昼飯は全て平らげてしまった。
気のせいだろうか。昼休みが終わってからというもの、視線をやけに感じた。
一挙手一投足まで監視されているようだった。しかしこちらから視線を送ると目をそらされる。けれども何となくだが、彼女達が俺の事を見ている事だけは雰囲気で分かった。
みんななんというか、表情が少したるんでいた。楽しくてたまらないというように、抑えようとしても感情が表情から出てしまっているという、そんな感じだった。
俺は何となく、居心地が悪かった。
俺が女の身体を見ていた時も、女の方はこんな感じだったのだろうか。
しかしながら、いつも通りに仕事をこなしているうちに時間は着実に流れていった。やがて定時のチャイムが鳴り、新人ちゃんの言っていた歓迎会の時間になった。
「うふふ。ようやくこの時が来たわね。それじゃあ、歓迎会の準備をしましょう」
最初に口火を切ったのは課長だった。
いつもは表情の硬い真面目そのものな人なのだが、彼女の顔も昼休みの新人ちゃんのようにだらしなく緩み切っていた。
舌なめずりをしながら同僚たちを見渡し、目くばせする。
「私達は準備を進めるから、あなたは彼に説明と最終確認をしてね」
「承知しました」
課長は新人ちゃんに命じると、他の三人を連れて休憩室へと入って行った。
準備とは言っていたが、しかし荷物も何も持っていっていなかった。会社の中で宴会をするのであれば、酒や食べ物などを持ち込まなければならないはずなのだが、まさか宴会ではないのだろうか。
訝っていると、新人ちゃんに名前を呼ばれた。振り向くと、目の前に彼女の豊かな双丘が並んでいた。
ふっくらした、ブラウスを張り詰めさせる見事な乳房。慌てて目線を上げると、新人ちゃんが上気したような目で俺を見下ろしていた。
「これから、あなたの歓迎会をします。でもその前に、色々と確認したいことがあるんです。あなたが、私達の歓迎を受けるに足る男性なのか、試させていただきます」
俺はぎくりと身を竦ませる。
彼女達の仲間に足る人物か評価される。そういう事だろう。しかし正直、自分は彼女達に釣り合う存在だとは思えない。
彼女達は、基本みんな真面目だ。業務時間中はほとんど私語もしないし、仕事も早い。
大して俺はスケベで不真面目もいいところだ。視線さえなければじっくりと舐めるように彼女達を鑑賞したいと考えてばかりいるし、黙ってパソコンに向かっていても頭の中で彼女達の裸を妄想している事だってしょっちゅうだ。
生理現象の面もあるが、仕事中に勃起してしまっている事さえある。気付かれていたらと思うと、恐ろしくてたまらない。
……まさか、歓迎会と言うのはただの名目で、俺をみんなで糾弾するつもりなのではないだろうか。
「お尋ねします。あなたは、女の子の事は好きですか? 私達の事はどう思っていますか?」
俺は内心震えながら必死で言葉を選ぶ。
「男よりは女がいいです。皆さんの事は、仕事の出来る頼れる同僚だと」
「私達の事は好きですか? 嫌いですか?」
「もちろん嫌いでは無いですけど」
「好きか嫌いかで答えてください」
中途半端はダメらしい。俺は深呼吸して、口を開いた。
「好きです」
「……うふ。じゃあ、私の事は? 理由まで言ってください」
「好き、です。その、色々気さくに話しかけてくれて」
「嬉しいです。私も好きですよ、あなたのこと」
「え?」
この問答は一体何なのだろうか。明らかに普通ではない。けれど、ここで逃げられる気もしない。
出口はそこに見えている。走ればすぐの場所だ。けれど、なぜだか彼女からは逃げられないような妙な確信があった。
さしずめ、猛禽類や山猫を前にしたネズミかウサギのような感覚、とでも言えばいいのだろうか。
新人ちゃんの笑顔が、更に喜色を濃くしてゆく。その笑みは可愛らしい少女のようでもあり、獲物を前にした捕食者のようでもあった。
「あなたは時々私達の身体を見ていますよね。どうしてですか?」
息が止まった。答えが出てこなかった。出てくるのは冷や汗ばかりだった。
新人ちゃんは表情を崩さず、ただにやにやと笑いながら俺の答えを待っている。
「べ、別に見て」
「言い逃れは出来ませんよ。あなたが私達の身体を見て鼻の下を伸ばしているの、私達だって見ていましたから。もう一度聞きます、どうして見ていたんですか?」
新人ちゃんは、ゆっくりと言葉を区切りながら言い聞かせてくる。
俺は観念するしかなかった。
「えっと、その。新人ちゃんたちの身体が、魅力的で」
「どういうところが魅力的だったんですか?」
「っ! お、おっぱいとか、おしりとか、むっちりした太ももとか、抱き心地が良さそうで」
「見ているだけですか? 仕事中に勃起させていたんじゃないですか」
そこまで見られていたのか!
「別に、私達はあなたを責めるつもりはありません。ただ確認したいだけです」
「……はい。そういうことも、ありました」
「あなたがしていたのはそれだけですか? 家に帰ってから、私達をおかずにしたことは?」
俺はたまらず新人ちゃんを見上げる。彼女のにやにや笑いは一向に崩れない。俺をいたぶって楽しんでいるのか、軽蔑して薄ら笑いしているのか、表情からはその真意は読めない。
「おい。いくら何でもそれはっ」
「それじゃあ、質問を変えます」
彼女は自らのブラウスのボタンに指をかける。上から一つ一つボタンを外しながら、楽しそうに問いかけてくる。
「おっぱい、好きですか?」
ブラウスの隙間から雪のように白い肌がのぞく。色づく頂点を小さな生地で隠しただけの、二つの丸々とした見事な膨らみがあらわになる。
見てはならないと目をそらし続けながらも、思い描かずにはいられなかった夢の頂。それを眼前に晒されては、目を離さずにはいられなかった。
「素直に言ったら、ブラも外してあげます」
「好きです。大好きです」
「良く出来ました」
彼女の背中から小さな音がして、ブラジャーがはらりと落ちる。
薄紅色の小さな果実が顔を覗かせる。食べごろの、熟しかけの美味しそうな果実が。
彼女の両腕が俺の頭を捕える。ぎゅっとその柔らかで温かな胸元に抱き寄せられる。
甘酸っぱい女の子の匂いがした。たまらなく雄を刺激する雌の匂い。そして顔じゅうに押し付けられる、柔らかな弾力。その優しく温かい感触は、妄想を遥かに超えていた。下半身から湧き上がる抱きしめたいという衝動に駆られるまま、彼女の腰を抱き寄せる。
「もう一度聞きます。私達でオナニーしたことはありますか?」
「そ、それは」
「私達はありますよ。あなたの勃起したおちんぽが、私達のおまんこにじゅぶじゅぶ音を立てて出入りしているのを妄想しながら、一人エッチを。
一回だけじゃない。何度もしました。時には一人ではなく、二人や三人で。お昼休みにしたこともあった」
「え?」
胸の中から顔を上げると、新人ちゃんの顔が近づいてきた。
制止する間もなく、唇が重ねられた。湿ったそれが割れて、中から熱く濡れそぼった舌が侵入してくる。
「ん……。んっ」
舌は執拗に俺の舌に絡みつき、唾液を分泌させようとするかのようにねちっこく絡みついてくる。
新人ちゃんの瞳は欲情に濁り切って、俺の困惑したような顔が歪んで見えた。
「ぱはぁっ。おいしぃ」
唇を舐め取り、新人ちゃんは口の端を釣り上げる。
「私達で、オナニーしたことはありますか?」
「……あぁ、したよ。ほぼ毎日してるくらいだよ」
「ふふふ。やっぱりそうだった。毎日つんと来る精の匂いで、みんな頭がおかしくなりそうだったんですよ。我慢するのが大変だったんですから。
大変良くできました。それじゃ、ご褒美をあげましょうね」
彼女は俺から身を離すと、スカートのファスナーを下ろした。
腰を左右に振るとスカートははらりと落ちて、その下から可愛いピンクの紐パンが現れる。
新人ちゃんは、その紐をあっけない程簡単にほどいて見せた。
むわりと発情した雌の匂いが立ち上る。パンツは糸を引きながら彼女の身体を離れ、ぴちゃりと音を立てて床に放られた。
何も生えていない、つるりとした綺麗な割れ目が剥き出しになる。そこは既に濡れそぼっていて、太ももの内側には滴が垂れ落ちていた。
生で女性のそこを見るのは初めてだった。思わず、見とれてしまった。
気を取られているうちに、気が付くと股間が涼しくなっていた。見下ろせば、彼女の手によって自分の一物もまた剥かれてしまっていた。
「私が、欲しいですか?」
俺は彼女の目を見つめながら、頷く。
「私のおまんこに、あなたのおちんぽを挿入れたいですか? ぐちゅぐちゅに掻き回して、精液びゅーびゅー出したいですか」
「したい。したいよ」
「では、最後の質問です」
新人ちゃんは俺から身を離すと、両手を広げてその一糸まとわぬ美しい裸体を解放する。
「私が、私達が人間では無くても愛してくれますか? 私達が魔物娘でも、変わらず嫌わずにいてくれますか?」
「魔物、娘?」
聞いた事があった。
別世界からやってきた、異世界の住人達。ファンタジーの世界のモンスターのような姿形を取りながらも、彼女らは雌しかおらず、しかも皆美しい女性のような姿でもあるのだという。
サキュバスの魔王が支配する魔界から来た彼女達は、食事の為にも生殖の為にも人間の男の精を必要とする。だから彼女達魔物娘は例外無く淫らで、未婚の男を見つけたら自分の夫にするべく襲い掛かってくる。
彼女達は既にこの世界に侵入していて、人間の振りをしながら、自分達が自然に受け入れられる環境を作り出すためにいろいろな活動をしているのだという。
噂だ。ネットや週刊誌で面白半分に拡散される、本当かどうかわからない都市伝説。
けれどまさか、それが本当だったとしたら?
アビスコーポレーション。思い返せば、確かに資料の経営理念に魔物娘だとか、新たな世界との調和の為にとか、それらしいことも書かれていたような気がする。
「君は、魔物娘なの?」
「そうです。私達の種族名はジャブジャブ。図鑑世界の中でも、不思議の国と呼ばれる場所固有の珍しい種族なんですよ」
その身体が、淡い桃色の光に包まれる。
光が弾けた時にそこに居たのは、もう人間としての彼女では無かった。
こげ茶色だった髪は桃色に煌めき、光を振りほどきながら現れたその両腕はふわふわと柔らかそうなピンク色の羽毛を生やした翼に変わっていた。膝から下も羽毛に覆われ、鳥の脚に変わっていた。
明らかに人間離れしたその容姿にも関わらず、不思議と恐怖は無かった。
それもそのはずだ。彼女の身体にはおおよそ人を傷つけられそうなものが何もないのだから。
ふっくらとした唇はあっても、獲物をついばむ嘴も無い。翼の羽毛もふんわりしていて、ぬいぐるみのように柔らかそうだ。唯一足には爪が生えているが、その先端は丸まっていて何かを傷つけられそうもない。
それに加えて、この女性的な丸みを帯びた抱き心地の良さそうな身体だ。むしゃぶりつきたくなるようなおっぱいに、揉みしだきたくなるようなお尻、そして雄を求めて蜜を滴らせている雌の秘裂。
その表情には、さっきまでの余裕は無かった。笑みさえ浮かべては居たが、俺を上目遣いで不安そうに見上げていた。
「最後の質問の、答えは?」
俺は何も言わず、彼女に歩み寄る。
思っていたよりも彼女の背は低かった。
手を伸ばすと、彼女は目をつむって身を竦ませる。その小さな背中に両腕を回して、ぎゅっと抱きしめた。
「新人ちゃんの身体は、天使みたいに綺麗だなぁ」
「あなたのちんぽで、あなたの精液でドロッドロに汚してくれますか? あなただけの匂いに染めてくれますか?」
「俺なんかでいいのなら」
新人ちゃんは瞳を潤ませながら、にたりと笑ってキスをしてきた。
「合格です」
そして彼女は俺の背中に翼でしがみ付くと、器用に俺の一物を自身の中に飲み込んでくれた。
熱く滾る雌の秘肉が、俺の一物に絡みつき締め上げる。
翼でしがみ付くという不安定な体勢にも関わらず、彼女は腰をゆすり始める。普段は真面目に仕事に打ち込んでいる職場に、じゅぶじゅぶと言ういやらしい水音が響き渡る。
ずり落ちそうになる小さな体を、そのおしりを掴んで支える。胸に押し当てられている乳房に負けないくらいにすべすべで、指の動きに合わせて形の変わる素晴らしいおしりだった。
そのおしりを握りしめながら、ぐっと腰を引き寄せる。
一層奥までペニスが深く突き刺さり、新人ちゃんは可愛い悲鳴を上げた。
彼女の腰の動きに合わせ、俺もまた腰を振って彼女の身体を引き寄せる。一突きするたび奥から愛液が溢れ出し、彼女の内腿を、俺の脚を伝い、流れ落ちてゆく。
「気持ちいい。おちんぽ、いいのぉ」
背中に回されている翼に力が籠る。柔らかな羽毛が背中をくすぐりながら温める。全身に鳥肌が立つほどの快楽を感じながらも、同時に布団の中に包まれているように心安らかで暖かかった。
「キス、キスして」
せがまれるまま唇を重ねる。舌同士が絡み合い、彼女は砂漠を旅してきた旅人のように必死で俺の中の水分を求めた。
俺もやられているばかりではいられなかった。負けじと舌を擦りつけ、彼女の唾液を啜った。
女の甘い匂いが口の中一杯に広がる。鼻腔から直接官能が脳に突き刺さって、全身に感電してゆく。
背筋がびりびりする。腰が震えだす。抑えるように強く突き出し、彼女の身体を引き寄せてしがみ付く。
「んんんーっ」
もう耐えられなかった。彼女の軽い身体を抱えて、俺は立ったまま射精した。
脈動に合わせて、精液が膣の奥へと迸っているのが分かった。彼女一番大切な部分を、俺の欲望が犯し、穢してゆく。
「出てる。精液いっぱい、びゅーびゅー出てるのぉ」
小さな体がびくんと跳ねる。肌が紅潮してゆく。ついには耐えられなくなったように、俺の首筋に噛みついてくる。
「らめ、きもち、良すぎっ、て、おかしく、なりゅ」
俺達は快楽に震えながら、お互いの身体にしがみつき続ける。
やがて少しずつ射精の余韻も収まってきてようやく、身体も心も落ち着いていった。
俺は彼女の身体を机の上に下ろそうとしたものの、射精が済んでもなお、彼女は俺の身体にしがみついたまま離れようとはしなかった。
「新人ちゃん?」
「あ、あなたって、思っていた以上にスケベな人だったんですね……。初めてだったのに、こんなに激しく腰を打ち付けて来るなんて」
「初めてだったの?」
「あなただって、初めてだったんでしょう?」
「いや、俺は」
「嘘は無駄ですよ。匂いを嗅げば、そんなのすぐに分かります。
私達ジャブジャブの鼻は特に敏感なんですから。カウパーの乾き具合から、あなたのオナニーした時間や回数まで把握しているんですからね。ちなみに昨日は寝る前、深夜十一時半くらいにしてましたね。
今日の昼間の事だって分かってるんですよ。今日の午前十時くらいにも、真面目な顔しながらちんぽをおっ勃たせてましたよね。私の太もも、お気に入りですよね」
「分かった分かったもういいから。童貞でしたよ。いまだに中学生ばりのエロ妄想ばっかしてた童貞でしたよ悪かったか」
どうやら本当に隠し事は通用しないらしい。昨日のオナニーした時間も、今日の午前中の件も大体合っている。おかずまでぴったり言い当てられてしまった。
「悪いわけ無いじゃないですか。魔物娘にとって、性欲旺盛な人以上に魅力的な人は居ませんから」
「そりゃあ、良かった。かな。とりあえずそろそろ離れないか?」
「嫌です」
即答だった。
「このまま歓迎会場まで行きましょう。ほら、がーんばれ、がーんばれ」
思い切り射精したせいで若干の倦怠感を覚え始めていたが、もう新人ちゃんは俺の身体から離れる気は無いようだった。
休憩室では他の四人も待っているのだ。このまま休んでいるわけにもいかないだろう。
鳥の魔物娘のせいか、彼女の身体が軽いのが幸いだった。俺は彼女のおしりを掴んで、繋がったままの彼女を持ち上げる。
勃起したままの一物に、一度イってとろとろになった柔肉が絡みつく。細やかな柔毛が竿やかり首の細やかな凸凹にまで入り込んで、余すところなく包み込み擦りあげてくる。
歩き始めれば、振動が接合部を震わせて本格的に辛くなってくる。俺が我慢する姿を見て、新人ちゃんは嬉しそうに声を上げた。
そのうち、膝ががくがくしてきた。射精感が再び限界を迎えそうになったが、弾ける前に何とか扉の前にまでたどり着けた。
ノブを掴んだところで、俺はふとその事実に気が付いてしまった。
新人ちゃんは「私」ではなく、「私達」と言った。つまりここで一緒に働いていたみんなもまた、魔物娘のジャブジャブだったという事ではないか。
歓迎会。みんなでご馳走。食べ物も飲み物も持ち込まれていない休憩室。という事は、ご馳走と言うのはつまり……。
「もう、早く入りましょうよ」
逡巡している俺の手の上に、新人ちゃんの翼が重なる。
ノブが回ると、扉は勝手に開いた。あっ、と気を取られている内に風が吹いて、俺の身体は吸い込まれるようにして扉の向こうへと引きずり込まれてしまった。
部屋の中は真っ暗だった。
目と鼻の先も分からないくらいだったが、しかし真の闇というわけでは無いようだった。目を凝らすと、薄明かりのようなものが天井の辺りに瞬いていた。
少しずつ闇に目が慣れてくると、部屋の中の様子も少しずつ分かってきた。
天井は、濃い紫色をしていた。そこにピンク色の小さな光が星のように瞬いていた。
それ以外にも、ハートの形をした橙色の月が浮かんでいた。夜空の所々には若草色の雲も風に流れていて、それはまるで狂気に満ちた画家が描いた風景画のような光景だった。
風が吹いて、頬を生暖かい風が撫でてゆく。風は、熟れた果実のような甘い匂いも運んでいた。
そして俺ははっと気が付いた。
風はどこから吹いてきた? 窓が開いているのなら、会社の外の灯りが見えるはずだ。なのに四方を見渡しても、森のような光景が続くばかりで何も見えないではないか。
目を擦って、再度空を見上げる。あれは天井に書かれた絵なのか? それともプラネタリウムか? 違う。あれはどう見ても本物の夜空だ。
耳元から、くすくすという笑い声が聞こえてきた。新人ちゃんだ。新人ちゃんがその目に異様な光を宿しながら、俺の方を見ていた。
「驚きましたか? ここが私達の故郷です。不思議の国にようこそ」
「でも、ここは会社の中のはずじゃ」
「社長にお願いして、簡単な魔法で繋がるようにしてあるんです。会社の中と私達の故郷をね。不思議の国の女王様も面白がって協力してくれたみたいだったので、思っていたよりは簡単でした。
図鑑世界の入口があるのはここだけじゃありませんよ。会社中の色んな所に同じような扉があるんです」
「じゃあ、準備っていうのは」
「世界を繋げる魔法の準備です。あなたにこちらの世界を楽しんでもらうために」
俺は改めて周囲を見渡してみた。
夜空はロマンチックではあったが、そういう企画物のラブホテルのような猥雑さがあった。
周りを取り囲むのも、どこにでもある雑木林のようではありつつも、その姿は明らかに普通では無かった。生えているのは樹木では無く異常なほどに成長を遂げた野太いキノコだった。血管のような筋が浮き立ち、微妙に反り返ったそれは、男の一物にしか見えなかった。
キノコにはツタのような植物も這い回っていた。葉っぱの代わりに舌のようなものを生やしたそれは、キノコの筋に沿って蠢き、舌を動かしてキノコから分泌される樹液のような液体を啜っていた。
また、キノコの様子も俺が知っているものとはだいぶ違っていた。それらは時折小さく震え、その傘の割れ目からどろどろとした液体を溢れさせていた。
青臭いつんとした刺激臭は、俺が良く知っている匂いに似ていた。
他にも、地面からはどう見ても唇や女性器の形にしか見えない花が咲いていた。不思議の国の花は、赤、青、黄と色とりどりの花を咲かせながら、獲物を誘い込もうとするように明滅していた。
風が花を揺らしながら、その匂いをも運んでくる。甘酸っぱい匂いの中に、発情した獣の匂いが混ざっていた。
真っ黒な地面からは、土の感触はしなかった。踏みしめている足裏からは、上質な絨毯にくすぐられる感触しか伝わってこなかった。
ぽたり。と頬に滴が落ちてくる。
夜空は星が見えるほどに晴れ渡っていた。けれども再び、ぽたりぽたりと額に、肩に、背中に滴が落ちてくる。
匂いを嗅いでみると、これからも甘酸っぱい匂いがした。それと、先ほど嗅いだ新人ちゃんのような、発情した魔物娘の匂いも。水よりもねっとりとしているこれは、まさか。
「ふふ。やっとみんなこっちに気づいたみたいですね」
新人ちゃんは真上を見上げていた。つられて上を見ると、夜空を何かが飛び回っていた。その数、四。翼を持つ人影が飛んでいた。
無数の羽音と声が聞こえてくる。影が少しずつ大きくなる。近づいてきている。
「我慢できなくって、みんなあそこからエッチなお汁をお漏らししちゃってますね」
「じゃあ、この雨は」
「あなたに対する想いが溢れ出して零れ落ちた、魔物娘達の愛の雨ですよ」
翼を打ち付ける音が大きくなる。ようやく、その身体や顔を確認できるまでに近づいてくる。
「ちょっと、先にしちゃうなんてずるいじゃない」
彼女達は降り立つなり、いきなり新人ちゃんを僕から引き離した。
「私が一番仲良かったですし、おかずにもなっていましたし、いいじゃないですかぁ」
最初に口を開いたのと別のジャブジャブが喚きたてる。
「そういう事じゃないわ。この人はみんなの夫になる人なのよ」
大人しそうなジャブジャブが、静かに提案する。
「……ねぇ、みんなで平等にいただきましょう?」
しかしながら口論を始めた彼女らは提案を聞く気が無いのか、自分が先だのなんだのとぎゃあぎゃあと喚き続ける。
皆、その顔に見覚えがあった。さっきまで同じオフィスで働いていた、同僚の女性たちだ。私達、と新人ちゃんは言っていたが、まさか本当の本当に全員ジャブジャブだったのか。
「そこまでにしなさい。言い争いは後。今日は私達が待ちに待った、彼の歓迎会なのよ。一番大切な事を忘れてはダメ」
その一言に、ジャブジャブ達が一斉に静かになった。この声は、恐らく課長だろう。
「そうね、そうしましょう」
「まずは彼を歓迎することが先決ね」
「私達の身体をたっぷり味わってもらって」
「膣内に好きなだけ射精してもらって」
「私達の仲魔として歓迎しましょう」
熱っぽい視線が俺に集中する。にやにやと笑いながら、五匹の魔物娘がにじり寄ってくる。
どうしていいのか分から無い中、急に足払いを掛けられた。仰向けに倒れてしまったが、幸い地面は絨毯のようになっていて痛みは無かった。
「本当はもう少し様子を見ようかと思ったけど」
「目の前であんなに精液の匂いを嗅がせられ続けたら、私達ももう限界」
「本当は誰が最初に襲われるか、みんなで賭けてたんですよ。昼休みはその話題で持ちきりでした」
「なのに、あなたはいやらしい目で見るだけで誰にも手を出そうとしないんだから。だからみんなで一緒に襲う事にしたの」
「私達の身体と心、存分に楽しんでね。一週間分、いえ。生まれてからこれまで我慢し続けた私達の性欲、あなたに全部捧げるわ」
ジャブジャブ達の性欲に当てられたのか、周りの花々が一斉に桃色に発光する。その桃色の闇の中に、五匹のジャブジャブが浮かび上がった。
淫らな薄ら笑いを浮かべた彼女達は目くばせし合うと、一斉に俺の身体に飛び掛かってきた。
体中が、ふわふわした感触となめらかな感触に覆われる。
匂い立つ女の肌と、人肌の温もりを持った絹のような羽毛。五匹のジャブジャブ達が、俺の身体に抱きついて来たのだ。
唇が誰かの唇で覆われる。舌が入ってきて、口の中を蹂躙される。新人ちゃんのものとは違う、少し厚めで、唾液の量も多めの舌。喉に流れ込む唾液を嚥下している内に、身体がカッと熱くなってくる。
腕や胸の上にも、当然女達の肌が押し付けられていた。
しっとりとして、吸い付くようで、擦れるたびに身体が跳ねてしまう。
羽毛がくすぐり、乳首に口づけされ、舌で舐められ、吸われる。両腕にしがみついた彼女らは、俺の腕を自分達の乳房へと導いてきた。
片方の乳房は両手でも収まりきらないほどに大きく、指が沈み込んでいくほどに柔らかかった。もう片方の乳房は大きさはそれほどでも無いものの、心地よい弾力で指を押し返してくれる。
両足も二匹のジャブジャブに抱き付かれているようだった。太もものあたりを抱きかかえられているようで、両足ともに乳房や羽毛の感触に包み込まれていた。
勃起したままのペニスに、二つの軟体が絡みつく。
舌だ。足に抱き付いた二匹のジャブジャブ達が、右から左から俺の一物に口づけ、舌で舐め上げているのだ。
睾丸から、根元、裏筋、鈴口。緩急をつけて二本の舌に責め立てられ、無意識のうちに腰に力が入り、一物が跳ねてしまう。
抵抗のしようは無かった。両手首、両足首辺りに鳥の脚が絡みついていて、もはや自分一人の力では体の動かしようが無かった。
そこかしこから女の艶っぽい吐息が聞こえてくる。喘ぎ声のような色っぽい息遣いで世界が満たされているみたいだった。羽根の立てる音がさざなみのように混ざり合い、自分の呼吸の音も心臓の音も溶けてゆく。
もう、何もわからなかった。ただ気持ちいい事しか感じられなかった。俺はただ、彼女達に責め立てられるまま無様に身体を震わせることしか出来なかった。
「乳首舐められて感じちゃうなんて、かぁわいいっ」
「ねぇ、おっぱい気持ちいい? もっと好きにしていいんだよ?」
「おちんぽから二人の味がしますね。私達の愛の証ですね」
「若い雄の精液の味……。たまんなぁい」
「ねぇ、ちょっとどいてよ。今度は私がするんだから」
股間から舌の感触が遠のいたかと思うと、いきなり熱くぬるりとした感触に包まれた。
これも、新人ちゃんのと違う。きつく引き締まっていて、一秒でも早く精液を欲しがっているかのように激しく蠕動を繰り返している。
「入った。あぁんっ。見て見てみんな。私のおまんこにこんなおっきいおちんちんはいっちゃったよぉ」
「わぁ、すごぉい」
「私も早く挿入れたいなぁ」
「精液ちゃんとみんなの分取っといてよねぇ」
「気持ちいいですよね。彼のおちんぽ、やっぱり私達と相性最高だったみたいですから」
「うん。気持ちいぃ……。精液も、いっぱい欲しいなぁ」
そこら中からピンク色の声が聞こえてくる。もう、誰が何を言っているのか分からなかった。
俺に跨っている子が、腰を振り始める。激しく打ち付けられる肉同士が、弾けてぱちゅん、ぱちゅん、と淫らな音を奏で始める。
「あっ、やめっ、むぐっ」
制止しようと口を開こうとするも、二つの唇によって塞がれた。舌を入れられ、またもや唾液を混ぜ合わせられて流し込まれる。
今度の舌も、新人ちゃんの舌でもさっきの子の舌でも無かった。小さめで動きの激しいものと、ちょっと長めでゆっくりと口の中を動き回るもの。
口をふさがれ仕方なく鼻から呼吸すれば、発情した五匹の魔物娘の体臭の混ざり合った強烈な匂いが鼻孔を刺激した。
甘くて、酸っぱくて、獣のようでもあり、花や果実のようでもあった。とにかく女を抱きしめたくてたまらなくなる、雄の本能を刺激する雌の匂いだった。
胸の上で二人分の乳房がつぶれる。指が濡れた割れ目に誘い込まれ、くちゅくちゅと言う水音が響き始める。
「あっ、らめぇ…」
「指、きもちぃ」
片方は控えめな茂みの生えた、肉厚で汁気の多い割れ目だった。もう片方は毛が生えておらず、既にどろどろの粘液まみれだった。多分こっちは、新人ちゃんのものだろうか。
異なる刺激が、更なる快楽が浴びせられ続ける。
全身を包む快楽に、擦られ続ける欲棒に、俺は二度目の限界を迎える。
腰が跳ねる。身体の奥から白く濁った熱が噴き出す。尿道を駆け上がり、魔物の子宮を目指して叩きつけられる。
「あ! せ、せいえき。きったぁっ」
膣が痙攣し、一際強く締まる。その刺激も相まって、更に射精は激しくなった。
「奥っ、奥当たってる。おいしい、きもちいい! こんなの初めてぇ」
女の身体が、くたりと胸の上にかぶさってくる。絶頂を終えた一人だろう。
しかしろくに余韻に浸る間もなく、その身体はすぐに誰かの手で横にのけられてしまった。
「次はわーたしっ」
外気で冷める間もなく、再び勃起した欲棒が人肌の体温の中に飲み込まれていった。
今度は細やかな粒粒やざらざらで満たされた、少し触れ合っただけでも強烈な刺激を与えてくる膣だった。
口の中に入ってくる舌も、唾液の味や匂いも、身体に押し付けられる乳房の柔らかさや肌の感触も、また変わった。
萎えかける一物が、再び鎌首をもたげて硬くそそり立つ。自分でも己の絶倫さに恐ろしくなってしまう。普通では考えられない身体の反応だ。
まるで刺激が変わるごとに、ペニスにも新しく欲望が注入されているようだった。いや、彼女達が人外の魔物娘だと思えば、それもあながち間違っていないのかもしれない。魔力を流し込まれ続けて、俺は彼女達の仲間として適した存在へと変えられつつあるのかもしれないのだ。
なにせ、これは歓迎会なのだから。
ジャブジャブ達は代わる代わるローテーションを繰り返し、俺は一晩中犯され続けた。
そのうち、彼女達の身体の違いも分かってくるようになっていった。鳥の翼に鳥の脚、同じ特徴を持った同じ種族でも、おっぱいの大きさや弾力、柔らかさ、唇の硬さや舌の感触、おまんこのきつさ、締め付け、中の具合、それぞれが全然違っていた。
やがて不思議の国に弱弱しい朝日が差し込んで来ても、歓迎会は続いた。獣欲にまみれた宴会が終わったのは、現実世界とつながったままの扉の向こうから始業のベルが聞こえてきたあとの事だった。
そのころには、彼女達の羽毛の感触に違いまで分かってしまうくらいになっていた。
歓迎会も終わり、俺も晴れてこの課の仲間だ。早く職場に慣れて、バリバリ仕事をしていくぞ!
……と、普通の会社だったらそうなるのだが、どうやらこのアビスコーポレーションは流石に魔物娘が経営しているだけあり、仲間の意味も少し違うようだった。
いや、『仲間』では無く、『仲魔』か。何だかゲームみたいだ。俺もどうやら、転生してしまったようだし。
「うーん。難しいなぁこの言語」
耳元で囁かれ、俺はぞくぞくしながらもパソコンのディスプレイに集中しようとする。
が、そんな事出来ようはずも無かった。
裸になった新人ちゃんに正面から抱き付かれ、対面座位の形で交わりながらでは、仕事になるわけが無かった。
彼女が吐息を漏らすたび、少し体勢を変えるたび膣の締め付けが変わり、異なる刺激にペニスが暴れてしまう。
「あ、ンっ。そんなに動かれたら、勉強にならないですよぉ」
「こっちも仕事にならないよ」
新人ちゃんは翼で器用にプログラム言語のテキストを持ちながら、にたりと笑って僕に耳に口づけ舌を入れてくる。
我慢できず、射精した。
喘ぎ声がオフィスに響き、他のジャブジャブ達が色めき立つ。
「いった、いったわよね今」
「はい、交代よ交代」
「次は私ですよね」
「違うわ。私よ」
「いいえ先輩方。まだですよ。交代は時間制って決めたじゃないですか」
興奮した裸のジャブジャブ達がにじり寄ってくる。
当然、俺も裸だ。あの歓迎会の日以来、まともに服を着た記憶が無かった。けれどそれでも済んでしまうのだ。誰が見咎めるわけでもなく、休む間もなく女の肌と羽毛に包まれるおかげで風邪も引かない。それに服を着てもすぐに脱がされてしまうのだ。
万事がこんな調子だった。仕事中はもちろんの事、業務時間が終わってからこそが本番といった感じで、自分の部屋にも帰れていない。
会社に泊まり込みの日々ではあったが、この仕事を辞めたいとは思ってはいなかった。
何しろ美女五人が寝食を忘れて求めてくるのだ。男としてこんな幸せな事は無いだろう。
「はぁ、仕方ないわね。みんな、仕事に戻るのよ」
課長の鶴の一声により、彼女達は皆自分の席へと戻って行った。
彼女達は皆色欲狂いではあったが、意外と仕事はちゃんとこなしても居るのだった。……とは言っても、現在進めている企画そのものが『現代社会の効率的な魔界化計画』等と言う物騒なものなのだから何とも言えないが。
けれど、魔物達が皆彼女達のように愛に満ちた優しい存在であるならば、現代社会が魔界化してもいいような気もするが。
「でもさ新人ちゃん。栄養補給に精液がいるのは分かるけど、やっぱりセックスは子供を作る行為でもあるんだろ。妊娠したらどうするんだよ」
「どうするも何も、妊娠するためにしてるんじゃないですか」
「え?」
「あなたの精液が美味しいのもありますけど、みんなあなたの子が欲しいからしてるんですよ? 大丈夫。子種はあなたしかありえないですし、子育てもみんなでしますし。
私達は人間ほど手をかけなくても、一人でもちゃんと大人になれますしね。余計な面倒は掛けませんから、安心して生中出しして下さい」
そういうもの、なんだろうか。
「まぁ、子供が出来たら、俺もちゃんと父親出来るように頑張るよ。皆の子なら、きっと可愛い子だろうし」
いざとなったらその時はその時だ。可愛い我が子のためなら、俺だって頑張れるはず。
それに仕事するしか無かったせいで、使えずに貯まっている貯金もそれなりにはある。……流石に五人分とは言えないが。
「えへへ。私達の子は面白いんですよ。男の人が欲しくって、生まれる前に生まれてきちゃう子もいるんですから。私のママがそうでした。私のママは卵だったんですよぉ」
生まれる前に生まれる? 卵から鳥が生まれる? 当たり前のようで居て、どこか狂ったような新人ちゃんの言葉になんだかわけがわからなくなってくる。
「さて、みんな分かっていると思うけど、今日は部の企画会議もあるんだからね。全員参加よ。準備は出来ているわね」
課長の一喝に、皆が元気よく返事を返す。俺の混濁しかかった思考も、一気に晴れた。
「それと、あなた」
見上げると、机の前に課長が立っていた。ジャブジャブ特有の性欲に歪んだ締まりのない笑顔を眼鏡の向こうに浮かべて。
「会議の時間は私の番だから、分かってるわね」
「わ、分かりました。あとの時間に繰り下げて、ですね」
「そんなわけないでしょう。駅弁のまま会議に行くのよ」
「……は?」
意味が分からなかった。だが、課長の顔は本気にしか見えない。
「いやいや、冗談きついですよ」
「四つん這いで参加する役員も居るのに、冗談も何も無いでしょう? あぁ、そうだったわね、あなたは初めてだったものね。ここ会社の会議は凄いわよ。もう普通の感覚ではいられなくなっちゃうかも」
「既に普通では無いんですがそれは……」
「細かい事を気にする男はもてないわよ」
これ以上もてたらどうなってしまうのだろうか。
「四つん這い、駅弁、正常位、騎乗位。色々あるわ。あぁ、今から興奮してくるわね」
……やっぱりこの会社はとんでもないところのようだ。
けれどまぁ、辞めたいとは思わない。むしろ、ずっとここに居たいと思う。
毎日違った楽しくて気持ちいい事が起こるこの会社の事を、どうやら俺は大好きになってしまったようだ。
毎日毎日、同じことの繰り返し。
朝から満員電車で押し潰されて、会社に着けばただひたすらにディスプレイに向かってキーボードを打ち続ける。二、三時間のサービス残業を終えて、ようやく寝るためだけに下宿に帰る。布団に入って目を瞑れば、もう日が昇っていてまた朝からのやり直し。
コロコロと定期的に職場は変わるが、良い刺激にはならない。
職場が変われば仕事も変わる。場合によっては一から仕事を覚え直して、覚えるに連れて分かってくる職場の惨状に胃を痛めながら、それでも何とか持ち直したかと思ったころには次の戦場へと送られてゆくだけだ。
IT土方を選んだ以上仕方のない事ではあったが、幾度と無く繰り返しても慣れるものでも無かった。
そんな生活が続いているせいか、最近は精神がやばくなりかけているようだった。以前は将来のことも不安に思っていたのだが、それすらも無くなり始めていた。
なんというか、もう色々な事がどうでも良くなり始めているのだ。
まともな思考力は低下して、本能的な欲ばかりが膨れ上がってゆく。
運動はしていないのに飯の量は増えているし、仕事をしていてもいつも眠い、そして何よりも性欲がやばかった。
若い女を見かけると、誰彼かまわず胸や尻を見てしまう。胸元が空いていれば谷間が見えないかと目で追ってしまうし、ミニスカートから覗く白い太ももには涎が垂れそうになる。
OLの見事に押し上げられたブラウスの膨らみ、タイトスカートから伸びる肉付きのいい脚。女子高生のボタンの外し過ぎの胸元や、パンツが見えそうなほど短いミニスカート。明らかに風俗嬢だろうという化粧の濃い女の胸の谷間や脚でさえも目で追ってしまう。
触りたい、匂いを嗅ぎたい、顔を埋めたい。
そんなことばかり考えている。もちろん考えるだけで、実行などするつもりは無いが。
流石にどんなに追いつめられていても、現実と妄想の区別はついている。嫌がる相手に触ったらそれは痴漢だ。犯罪だ。
自分の人生だって壊れてしまうし、相手の人生にだって傷を残すことになる。そんな事だけは絶対にしない。それくらいの理性は残っている。
ならば金を払って風俗にでも行けばいいのかもしれないが、なかなかそれも出来なかった。
時間も無ければ、勇気も無い。そしてそんな事に金を使ったら勿体無いという妙なプライドも邪魔をした。
溢れるばかりの欲求不満を抱えながら、いつまでも俺はチキンなのだった。
おまけに彼女が欲しいのかと言えばそういうわけでも無い。色んな職場の人間関係を遠巻きに見てきたが、その結論として出たのはやはり女の相手をするのは面倒そうだという事だけだった。
女は欲しくないけれど、性欲は満たしたい。自分でも本当に最底辺に落ちかけていると思う。
以前までの職場の派遣期間を終えて本社へと戻ると、すぐに次の顧客への派遣を命じられた。
今度の仕事は保守の仕事だそうだ。人員はそこまで必要ないとの事で、派遣されるのは俺一人だけだった。ただし派遣の期間についてはまだ未定との話だ。仕事ぶりによっては派遣延長や追加派遣等もあるとの事だった。
「悪いが明日から行ってほしい」と言う上司の命令に、俺は内心で溜息を吐きながらも頷かざるを得なかった。
翌日、俺は言われたとおりに、渡された資料を頼りに新しい勤務先へと出勤した。
派遣先の企業はアビスコーポレーションと言う名前だった。出来たばかりの会社なのか、社員は皆若く、そして女性が多かった。それもみんな美人ぞろいで、正直俺はオフィスを案内されただけでくらくらしてしまった。
職場に着くと、すぐに仕事について説明された。どうやら俺は社内システムの保守点検の手伝いをさせられるらしい。説明を受けた限りだと思ったよりもぬるい仕事のようだった。
同じ部署には、俺の他に五人の社員が居た。全員若い女性だった。説明をしてくれたのは、その中でも一番若い女の子だった。きっと説明するのは新人の仕事だったのだろう。
システムの資料を読みながらも、俺は周りの社員の身体を見ずにはいられなかった。皆スタイルが良く、美人だった。そして、こんな事を言っては失礼だが、皆どことなく少し助平そうなエロい顔つきだった。
どこを見ても胸の大きくて綺麗な女が目に入る。それだけで天国に居る気分だった。
派遣一日目は、そんな感じで平和に過ぎていった。
翌日。派遣二日目にして、俺の心は折れかかっていた。
どこを見ても美人が目に入るというのは、とても恵まれた環境ではあった。けれどもしかし、目が付いているのは俺だけでは無いのだ。
俺が彼女たちを見ている時、彼女たちも俺を見ている。
当然、俺が胸や尻に注目していれば、その姿も見られているということだった。
そのことに気づいた途端に、目のやり場に困るようになった。見まいとしても、おっぱいやおしりに無意識の内に目が行ってしまうのだ。そしてそれ以外にも、彼女たちの小さな仕草が目について仕方なかった。
今まで女所帯の職場だったせいなのか、彼女たちの所作は男の目を気にしないあけすけなものだった。谷間を気にせず前かがみになることはもちろん、胸元に空気を送るためにブラウスの前をパタパタさせたり、おっぱいの位置や汗が気になるのかちょくちょく胸元をいじったりするのだ。
俺はその度気になって彼女たちの事を見てしまい、後から誰かにそれを見られていたのだと気がついて背中に冷や汗を流した。
彼女たちが集まって小声で話している姿が気になった。仕事の話をしているのだろうとは思いつつも、俺に聞こえないところで厄介な変態が職場にやってきたと話しているのではないかと気が気ではなかった。
直接話に加われば済む話ではあるのだが、もともと会ったばかりの人間と仲良くするのも得意な方では無かった。出来上がった人間関係に一人で切り込んでいくことなど、俺には難易度が高すぎた。
昼休みの時間は特に顕著だった。
女性たちは皆連れ立ってランチに出て行く中、俺だけ一人で取り残されるのだ。
近場のめし処も分からない俺は、一人で買ってきたおにぎりを齧るのだった。
三日目以降も同じような日々が続いた。
本来やるべき仕事については、特に何の問題もなかった。使用されているプログラム言語も熟知しているものだったし、システムの構成もすっきりとしたもので、必要以上に複雑に入り組んでいるところは殆ど無かった。
大変だったのは、やはり人間関係だった。
自分以外が全員女性という職場は、思った以上に辛いものがあった。結局、何を話せばいいのか分からないのだ。
仕事の話であれば、滞り無く話は出来た。しかし特にシステム上も問題があるわけでも無いので、報告に行っても話す内容は殆ど無かった。
仕事以外の話になると、これがもうどうしていいのか分からなかった。雑談で何を話せばいいのかという以上に、女性の中にどうやったら自然に入っていけるのか全く見当がつかなかった。
必然的に、俺はひたすらにパソコンのディスプレイに向かうことになる。他のことも考えず集中するので、当然仕事はあっという間に片付いてゆく。
昼休みも、他の皆が食事に行く中、俺一人だけオフィスでコンビニ弁当だった。
そんな日々が二三日続いた。
会話は少なかったが、しかし話しかけてきてくれる子も居た。最初に仕事の説明をしてくれた、一番幼い感じの新人ちゃんだった。
外から来た人間ではあっても、経験年数としては俺のほうがだいぶ上だった。彼女の分からないところを教えてあげたりする内に、彼女とだけはそれなりに仲良くなれた気がした。
派遣されて一週間。孤独のコンビニ弁当にも慣れてきたそんな頃だった。
他の皆が出て行ったと思って弁当を取り出そうとしていると、急に誰かに見られているような気がした。
顔を上げると、新人ちゃんがまだ部屋に残っていた。視線を左右に彷徨わせ、胸元で指をいじりながら、そわそわと落ち着かない様子で俺の机の前に立っていた。
「どうしたの? みんなもう食事に行ったみたいだけど」
「し、知ってます。その、あなたにお伝えしておかなければならないことがあったので」
「あぁ、連絡事項か」
「はい。えっと、今日の夜ってお暇ですか」
「え? 残業の話?」
「ち、違います」
てっきり仕事の話かと思ったのだが、では何の話なのだろうか。
「歓迎会、まだしていなかったから。課のみんなであなたのこと歓迎しようって」
歓迎会! そういうのもあるのか。
確かに親睦は深めておきたい。……けれど、女性の中に一人というのは、嬉しい半面で緊張感がすごいことになりそうだ。
「来て、いただけますか?」
「あぁ、もちろん」
新人ちゃんの顔がパッと明るくなる。
「本当ですか。嬉しいです」
「むしろ俺一人のためにそんなことしてくれるなんて、逆に申し訳ないくらいだよ」
「そんな事ありません。独身の男性、いえ、あなたは私たちにとって、とても貴重な存在なんです。一人いれば私たちは十分ですもの」
「え?」
その表情は、なんというか笑顔というよりはだらしなく緩んでいるように見えた。大好物を前にしてよだれを垂らしかけているような、そんな顔だ。
よっぽどお腹が空いているのだろうか。
「と、とにかく、みんなあなたの事を歓迎してるってことですよ。場所はそこの、休憩室で行います。仕事の後残っていて下さいね」
新人ちゃんは息を荒げながら、オフィスの傍らにある休憩室の扉を指さした。まだ入ったことは無かったが、何人かで飲み食い出来るくらいには広いのだろうか。
冷静を装おうとしているようだったが、どうやらお腹がすいてお腹がすいてどうしようもないようだ。気になることは色々あったが、俺は早めに話を切り上げてやることにした。
「わ、分かった。とにかく今晩は空いているから、お昼ごはん食べてきなよ。早くしないと昼休み終わっちゃうよ、新人ちゃん」
「お昼ごはん。そ、そうですね。ぁあ、でも夜のご予定が空いていて本当に良かったです。今晩はみんなでご馳走ですよ。楽しみです。うふ、うふふふふ」
新人ちゃんはだらしない表情を浮かべたまま、ふらふらとした足取りで部屋を出ていく。
俺は茫然とそれを見送った。新人ちゃんの様子は、明らかにいつもと違っていた。
一体何なのだろう。この課の歓迎会では、そんなに美味しいものが出るのだろうか。
それならば昼飯を減らしておくべきか。俺はおにぎりを見つめながら一瞬考えたが、結局昼休みが終わるころには買ってきた昼飯は全て平らげてしまった。
気のせいだろうか。昼休みが終わってからというもの、視線をやけに感じた。
一挙手一投足まで監視されているようだった。しかしこちらから視線を送ると目をそらされる。けれども何となくだが、彼女達が俺の事を見ている事だけは雰囲気で分かった。
みんななんというか、表情が少したるんでいた。楽しくてたまらないというように、抑えようとしても感情が表情から出てしまっているという、そんな感じだった。
俺は何となく、居心地が悪かった。
俺が女の身体を見ていた時も、女の方はこんな感じだったのだろうか。
しかしながら、いつも通りに仕事をこなしているうちに時間は着実に流れていった。やがて定時のチャイムが鳴り、新人ちゃんの言っていた歓迎会の時間になった。
「うふふ。ようやくこの時が来たわね。それじゃあ、歓迎会の準備をしましょう」
最初に口火を切ったのは課長だった。
いつもは表情の硬い真面目そのものな人なのだが、彼女の顔も昼休みの新人ちゃんのようにだらしなく緩み切っていた。
舌なめずりをしながら同僚たちを見渡し、目くばせする。
「私達は準備を進めるから、あなたは彼に説明と最終確認をしてね」
「承知しました」
課長は新人ちゃんに命じると、他の三人を連れて休憩室へと入って行った。
準備とは言っていたが、しかし荷物も何も持っていっていなかった。会社の中で宴会をするのであれば、酒や食べ物などを持ち込まなければならないはずなのだが、まさか宴会ではないのだろうか。
訝っていると、新人ちゃんに名前を呼ばれた。振り向くと、目の前に彼女の豊かな双丘が並んでいた。
ふっくらした、ブラウスを張り詰めさせる見事な乳房。慌てて目線を上げると、新人ちゃんが上気したような目で俺を見下ろしていた。
「これから、あなたの歓迎会をします。でもその前に、色々と確認したいことがあるんです。あなたが、私達の歓迎を受けるに足る男性なのか、試させていただきます」
俺はぎくりと身を竦ませる。
彼女達の仲間に足る人物か評価される。そういう事だろう。しかし正直、自分は彼女達に釣り合う存在だとは思えない。
彼女達は、基本みんな真面目だ。業務時間中はほとんど私語もしないし、仕事も早い。
大して俺はスケベで不真面目もいいところだ。視線さえなければじっくりと舐めるように彼女達を鑑賞したいと考えてばかりいるし、黙ってパソコンに向かっていても頭の中で彼女達の裸を妄想している事だってしょっちゅうだ。
生理現象の面もあるが、仕事中に勃起してしまっている事さえある。気付かれていたらと思うと、恐ろしくてたまらない。
……まさか、歓迎会と言うのはただの名目で、俺をみんなで糾弾するつもりなのではないだろうか。
「お尋ねします。あなたは、女の子の事は好きですか? 私達の事はどう思っていますか?」
俺は内心震えながら必死で言葉を選ぶ。
「男よりは女がいいです。皆さんの事は、仕事の出来る頼れる同僚だと」
「私達の事は好きですか? 嫌いですか?」
「もちろん嫌いでは無いですけど」
「好きか嫌いかで答えてください」
中途半端はダメらしい。俺は深呼吸して、口を開いた。
「好きです」
「……うふ。じゃあ、私の事は? 理由まで言ってください」
「好き、です。その、色々気さくに話しかけてくれて」
「嬉しいです。私も好きですよ、あなたのこと」
「え?」
この問答は一体何なのだろうか。明らかに普通ではない。けれど、ここで逃げられる気もしない。
出口はそこに見えている。走ればすぐの場所だ。けれど、なぜだか彼女からは逃げられないような妙な確信があった。
さしずめ、猛禽類や山猫を前にしたネズミかウサギのような感覚、とでも言えばいいのだろうか。
新人ちゃんの笑顔が、更に喜色を濃くしてゆく。その笑みは可愛らしい少女のようでもあり、獲物を前にした捕食者のようでもあった。
「あなたは時々私達の身体を見ていますよね。どうしてですか?」
息が止まった。答えが出てこなかった。出てくるのは冷や汗ばかりだった。
新人ちゃんは表情を崩さず、ただにやにやと笑いながら俺の答えを待っている。
「べ、別に見て」
「言い逃れは出来ませんよ。あなたが私達の身体を見て鼻の下を伸ばしているの、私達だって見ていましたから。もう一度聞きます、どうして見ていたんですか?」
新人ちゃんは、ゆっくりと言葉を区切りながら言い聞かせてくる。
俺は観念するしかなかった。
「えっと、その。新人ちゃんたちの身体が、魅力的で」
「どういうところが魅力的だったんですか?」
「っ! お、おっぱいとか、おしりとか、むっちりした太ももとか、抱き心地が良さそうで」
「見ているだけですか? 仕事中に勃起させていたんじゃないですか」
そこまで見られていたのか!
「別に、私達はあなたを責めるつもりはありません。ただ確認したいだけです」
「……はい。そういうことも、ありました」
「あなたがしていたのはそれだけですか? 家に帰ってから、私達をおかずにしたことは?」
俺はたまらず新人ちゃんを見上げる。彼女のにやにや笑いは一向に崩れない。俺をいたぶって楽しんでいるのか、軽蔑して薄ら笑いしているのか、表情からはその真意は読めない。
「おい。いくら何でもそれはっ」
「それじゃあ、質問を変えます」
彼女は自らのブラウスのボタンに指をかける。上から一つ一つボタンを外しながら、楽しそうに問いかけてくる。
「おっぱい、好きですか?」
ブラウスの隙間から雪のように白い肌がのぞく。色づく頂点を小さな生地で隠しただけの、二つの丸々とした見事な膨らみがあらわになる。
見てはならないと目をそらし続けながらも、思い描かずにはいられなかった夢の頂。それを眼前に晒されては、目を離さずにはいられなかった。
「素直に言ったら、ブラも外してあげます」
「好きです。大好きです」
「良く出来ました」
彼女の背中から小さな音がして、ブラジャーがはらりと落ちる。
薄紅色の小さな果実が顔を覗かせる。食べごろの、熟しかけの美味しそうな果実が。
彼女の両腕が俺の頭を捕える。ぎゅっとその柔らかで温かな胸元に抱き寄せられる。
甘酸っぱい女の子の匂いがした。たまらなく雄を刺激する雌の匂い。そして顔じゅうに押し付けられる、柔らかな弾力。その優しく温かい感触は、妄想を遥かに超えていた。下半身から湧き上がる抱きしめたいという衝動に駆られるまま、彼女の腰を抱き寄せる。
「もう一度聞きます。私達でオナニーしたことはありますか?」
「そ、それは」
「私達はありますよ。あなたの勃起したおちんぽが、私達のおまんこにじゅぶじゅぶ音を立てて出入りしているのを妄想しながら、一人エッチを。
一回だけじゃない。何度もしました。時には一人ではなく、二人や三人で。お昼休みにしたこともあった」
「え?」
胸の中から顔を上げると、新人ちゃんの顔が近づいてきた。
制止する間もなく、唇が重ねられた。湿ったそれが割れて、中から熱く濡れそぼった舌が侵入してくる。
「ん……。んっ」
舌は執拗に俺の舌に絡みつき、唾液を分泌させようとするかのようにねちっこく絡みついてくる。
新人ちゃんの瞳は欲情に濁り切って、俺の困惑したような顔が歪んで見えた。
「ぱはぁっ。おいしぃ」
唇を舐め取り、新人ちゃんは口の端を釣り上げる。
「私達で、オナニーしたことはありますか?」
「……あぁ、したよ。ほぼ毎日してるくらいだよ」
「ふふふ。やっぱりそうだった。毎日つんと来る精の匂いで、みんな頭がおかしくなりそうだったんですよ。我慢するのが大変だったんですから。
大変良くできました。それじゃ、ご褒美をあげましょうね」
彼女は俺から身を離すと、スカートのファスナーを下ろした。
腰を左右に振るとスカートははらりと落ちて、その下から可愛いピンクの紐パンが現れる。
新人ちゃんは、その紐をあっけない程簡単にほどいて見せた。
むわりと発情した雌の匂いが立ち上る。パンツは糸を引きながら彼女の身体を離れ、ぴちゃりと音を立てて床に放られた。
何も生えていない、つるりとした綺麗な割れ目が剥き出しになる。そこは既に濡れそぼっていて、太ももの内側には滴が垂れ落ちていた。
生で女性のそこを見るのは初めてだった。思わず、見とれてしまった。
気を取られているうちに、気が付くと股間が涼しくなっていた。見下ろせば、彼女の手によって自分の一物もまた剥かれてしまっていた。
「私が、欲しいですか?」
俺は彼女の目を見つめながら、頷く。
「私のおまんこに、あなたのおちんぽを挿入れたいですか? ぐちゅぐちゅに掻き回して、精液びゅーびゅー出したいですか」
「したい。したいよ」
「では、最後の質問です」
新人ちゃんは俺から身を離すと、両手を広げてその一糸まとわぬ美しい裸体を解放する。
「私が、私達が人間では無くても愛してくれますか? 私達が魔物娘でも、変わらず嫌わずにいてくれますか?」
「魔物、娘?」
聞いた事があった。
別世界からやってきた、異世界の住人達。ファンタジーの世界のモンスターのような姿形を取りながらも、彼女らは雌しかおらず、しかも皆美しい女性のような姿でもあるのだという。
サキュバスの魔王が支配する魔界から来た彼女達は、食事の為にも生殖の為にも人間の男の精を必要とする。だから彼女達魔物娘は例外無く淫らで、未婚の男を見つけたら自分の夫にするべく襲い掛かってくる。
彼女達は既にこの世界に侵入していて、人間の振りをしながら、自分達が自然に受け入れられる環境を作り出すためにいろいろな活動をしているのだという。
噂だ。ネットや週刊誌で面白半分に拡散される、本当かどうかわからない都市伝説。
けれどまさか、それが本当だったとしたら?
アビスコーポレーション。思い返せば、確かに資料の経営理念に魔物娘だとか、新たな世界との調和の為にとか、それらしいことも書かれていたような気がする。
「君は、魔物娘なの?」
「そうです。私達の種族名はジャブジャブ。図鑑世界の中でも、不思議の国と呼ばれる場所固有の珍しい種族なんですよ」
その身体が、淡い桃色の光に包まれる。
光が弾けた時にそこに居たのは、もう人間としての彼女では無かった。
こげ茶色だった髪は桃色に煌めき、光を振りほどきながら現れたその両腕はふわふわと柔らかそうなピンク色の羽毛を生やした翼に変わっていた。膝から下も羽毛に覆われ、鳥の脚に変わっていた。
明らかに人間離れしたその容姿にも関わらず、不思議と恐怖は無かった。
それもそのはずだ。彼女の身体にはおおよそ人を傷つけられそうなものが何もないのだから。
ふっくらとした唇はあっても、獲物をついばむ嘴も無い。翼の羽毛もふんわりしていて、ぬいぐるみのように柔らかそうだ。唯一足には爪が生えているが、その先端は丸まっていて何かを傷つけられそうもない。
それに加えて、この女性的な丸みを帯びた抱き心地の良さそうな身体だ。むしゃぶりつきたくなるようなおっぱいに、揉みしだきたくなるようなお尻、そして雄を求めて蜜を滴らせている雌の秘裂。
その表情には、さっきまでの余裕は無かった。笑みさえ浮かべては居たが、俺を上目遣いで不安そうに見上げていた。
「最後の質問の、答えは?」
俺は何も言わず、彼女に歩み寄る。
思っていたよりも彼女の背は低かった。
手を伸ばすと、彼女は目をつむって身を竦ませる。その小さな背中に両腕を回して、ぎゅっと抱きしめた。
「新人ちゃんの身体は、天使みたいに綺麗だなぁ」
「あなたのちんぽで、あなたの精液でドロッドロに汚してくれますか? あなただけの匂いに染めてくれますか?」
「俺なんかでいいのなら」
新人ちゃんは瞳を潤ませながら、にたりと笑ってキスをしてきた。
「合格です」
そして彼女は俺の背中に翼でしがみ付くと、器用に俺の一物を自身の中に飲み込んでくれた。
熱く滾る雌の秘肉が、俺の一物に絡みつき締め上げる。
翼でしがみ付くという不安定な体勢にも関わらず、彼女は腰をゆすり始める。普段は真面目に仕事に打ち込んでいる職場に、じゅぶじゅぶと言ういやらしい水音が響き渡る。
ずり落ちそうになる小さな体を、そのおしりを掴んで支える。胸に押し当てられている乳房に負けないくらいにすべすべで、指の動きに合わせて形の変わる素晴らしいおしりだった。
そのおしりを握りしめながら、ぐっと腰を引き寄せる。
一層奥までペニスが深く突き刺さり、新人ちゃんは可愛い悲鳴を上げた。
彼女の腰の動きに合わせ、俺もまた腰を振って彼女の身体を引き寄せる。一突きするたび奥から愛液が溢れ出し、彼女の内腿を、俺の脚を伝い、流れ落ちてゆく。
「気持ちいい。おちんぽ、いいのぉ」
背中に回されている翼に力が籠る。柔らかな羽毛が背中をくすぐりながら温める。全身に鳥肌が立つほどの快楽を感じながらも、同時に布団の中に包まれているように心安らかで暖かかった。
「キス、キスして」
せがまれるまま唇を重ねる。舌同士が絡み合い、彼女は砂漠を旅してきた旅人のように必死で俺の中の水分を求めた。
俺もやられているばかりではいられなかった。負けじと舌を擦りつけ、彼女の唾液を啜った。
女の甘い匂いが口の中一杯に広がる。鼻腔から直接官能が脳に突き刺さって、全身に感電してゆく。
背筋がびりびりする。腰が震えだす。抑えるように強く突き出し、彼女の身体を引き寄せてしがみ付く。
「んんんーっ」
もう耐えられなかった。彼女の軽い身体を抱えて、俺は立ったまま射精した。
脈動に合わせて、精液が膣の奥へと迸っているのが分かった。彼女一番大切な部分を、俺の欲望が犯し、穢してゆく。
「出てる。精液いっぱい、びゅーびゅー出てるのぉ」
小さな体がびくんと跳ねる。肌が紅潮してゆく。ついには耐えられなくなったように、俺の首筋に噛みついてくる。
「らめ、きもち、良すぎっ、て、おかしく、なりゅ」
俺達は快楽に震えながら、お互いの身体にしがみつき続ける。
やがて少しずつ射精の余韻も収まってきてようやく、身体も心も落ち着いていった。
俺は彼女の身体を机の上に下ろそうとしたものの、射精が済んでもなお、彼女は俺の身体にしがみついたまま離れようとはしなかった。
「新人ちゃん?」
「あ、あなたって、思っていた以上にスケベな人だったんですね……。初めてだったのに、こんなに激しく腰を打ち付けて来るなんて」
「初めてだったの?」
「あなただって、初めてだったんでしょう?」
「いや、俺は」
「嘘は無駄ですよ。匂いを嗅げば、そんなのすぐに分かります。
私達ジャブジャブの鼻は特に敏感なんですから。カウパーの乾き具合から、あなたのオナニーした時間や回数まで把握しているんですからね。ちなみに昨日は寝る前、深夜十一時半くらいにしてましたね。
今日の昼間の事だって分かってるんですよ。今日の午前十時くらいにも、真面目な顔しながらちんぽをおっ勃たせてましたよね。私の太もも、お気に入りですよね」
「分かった分かったもういいから。童貞でしたよ。いまだに中学生ばりのエロ妄想ばっかしてた童貞でしたよ悪かったか」
どうやら本当に隠し事は通用しないらしい。昨日のオナニーした時間も、今日の午前中の件も大体合っている。おかずまでぴったり言い当てられてしまった。
「悪いわけ無いじゃないですか。魔物娘にとって、性欲旺盛な人以上に魅力的な人は居ませんから」
「そりゃあ、良かった。かな。とりあえずそろそろ離れないか?」
「嫌です」
即答だった。
「このまま歓迎会場まで行きましょう。ほら、がーんばれ、がーんばれ」
思い切り射精したせいで若干の倦怠感を覚え始めていたが、もう新人ちゃんは俺の身体から離れる気は無いようだった。
休憩室では他の四人も待っているのだ。このまま休んでいるわけにもいかないだろう。
鳥の魔物娘のせいか、彼女の身体が軽いのが幸いだった。俺は彼女のおしりを掴んで、繋がったままの彼女を持ち上げる。
勃起したままの一物に、一度イってとろとろになった柔肉が絡みつく。細やかな柔毛が竿やかり首の細やかな凸凹にまで入り込んで、余すところなく包み込み擦りあげてくる。
歩き始めれば、振動が接合部を震わせて本格的に辛くなってくる。俺が我慢する姿を見て、新人ちゃんは嬉しそうに声を上げた。
そのうち、膝ががくがくしてきた。射精感が再び限界を迎えそうになったが、弾ける前に何とか扉の前にまでたどり着けた。
ノブを掴んだところで、俺はふとその事実に気が付いてしまった。
新人ちゃんは「私」ではなく、「私達」と言った。つまりここで一緒に働いていたみんなもまた、魔物娘のジャブジャブだったという事ではないか。
歓迎会。みんなでご馳走。食べ物も飲み物も持ち込まれていない休憩室。という事は、ご馳走と言うのはつまり……。
「もう、早く入りましょうよ」
逡巡している俺の手の上に、新人ちゃんの翼が重なる。
ノブが回ると、扉は勝手に開いた。あっ、と気を取られている内に風が吹いて、俺の身体は吸い込まれるようにして扉の向こうへと引きずり込まれてしまった。
部屋の中は真っ暗だった。
目と鼻の先も分からないくらいだったが、しかし真の闇というわけでは無いようだった。目を凝らすと、薄明かりのようなものが天井の辺りに瞬いていた。
少しずつ闇に目が慣れてくると、部屋の中の様子も少しずつ分かってきた。
天井は、濃い紫色をしていた。そこにピンク色の小さな光が星のように瞬いていた。
それ以外にも、ハートの形をした橙色の月が浮かんでいた。夜空の所々には若草色の雲も風に流れていて、それはまるで狂気に満ちた画家が描いた風景画のような光景だった。
風が吹いて、頬を生暖かい風が撫でてゆく。風は、熟れた果実のような甘い匂いも運んでいた。
そして俺ははっと気が付いた。
風はどこから吹いてきた? 窓が開いているのなら、会社の外の灯りが見えるはずだ。なのに四方を見渡しても、森のような光景が続くばかりで何も見えないではないか。
目を擦って、再度空を見上げる。あれは天井に書かれた絵なのか? それともプラネタリウムか? 違う。あれはどう見ても本物の夜空だ。
耳元から、くすくすという笑い声が聞こえてきた。新人ちゃんだ。新人ちゃんがその目に異様な光を宿しながら、俺の方を見ていた。
「驚きましたか? ここが私達の故郷です。不思議の国にようこそ」
「でも、ここは会社の中のはずじゃ」
「社長にお願いして、簡単な魔法で繋がるようにしてあるんです。会社の中と私達の故郷をね。不思議の国の女王様も面白がって協力してくれたみたいだったので、思っていたよりは簡単でした。
図鑑世界の入口があるのはここだけじゃありませんよ。会社中の色んな所に同じような扉があるんです」
「じゃあ、準備っていうのは」
「世界を繋げる魔法の準備です。あなたにこちらの世界を楽しんでもらうために」
俺は改めて周囲を見渡してみた。
夜空はロマンチックではあったが、そういう企画物のラブホテルのような猥雑さがあった。
周りを取り囲むのも、どこにでもある雑木林のようではありつつも、その姿は明らかに普通では無かった。生えているのは樹木では無く異常なほどに成長を遂げた野太いキノコだった。血管のような筋が浮き立ち、微妙に反り返ったそれは、男の一物にしか見えなかった。
キノコにはツタのような植物も這い回っていた。葉っぱの代わりに舌のようなものを生やしたそれは、キノコの筋に沿って蠢き、舌を動かしてキノコから分泌される樹液のような液体を啜っていた。
また、キノコの様子も俺が知っているものとはだいぶ違っていた。それらは時折小さく震え、その傘の割れ目からどろどろとした液体を溢れさせていた。
青臭いつんとした刺激臭は、俺が良く知っている匂いに似ていた。
他にも、地面からはどう見ても唇や女性器の形にしか見えない花が咲いていた。不思議の国の花は、赤、青、黄と色とりどりの花を咲かせながら、獲物を誘い込もうとするように明滅していた。
風が花を揺らしながら、その匂いをも運んでくる。甘酸っぱい匂いの中に、発情した獣の匂いが混ざっていた。
真っ黒な地面からは、土の感触はしなかった。踏みしめている足裏からは、上質な絨毯にくすぐられる感触しか伝わってこなかった。
ぽたり。と頬に滴が落ちてくる。
夜空は星が見えるほどに晴れ渡っていた。けれども再び、ぽたりぽたりと額に、肩に、背中に滴が落ちてくる。
匂いを嗅いでみると、これからも甘酸っぱい匂いがした。それと、先ほど嗅いだ新人ちゃんのような、発情した魔物娘の匂いも。水よりもねっとりとしているこれは、まさか。
「ふふ。やっとみんなこっちに気づいたみたいですね」
新人ちゃんは真上を見上げていた。つられて上を見ると、夜空を何かが飛び回っていた。その数、四。翼を持つ人影が飛んでいた。
無数の羽音と声が聞こえてくる。影が少しずつ大きくなる。近づいてきている。
「我慢できなくって、みんなあそこからエッチなお汁をお漏らししちゃってますね」
「じゃあ、この雨は」
「あなたに対する想いが溢れ出して零れ落ちた、魔物娘達の愛の雨ですよ」
翼を打ち付ける音が大きくなる。ようやく、その身体や顔を確認できるまでに近づいてくる。
「ちょっと、先にしちゃうなんてずるいじゃない」
彼女達は降り立つなり、いきなり新人ちゃんを僕から引き離した。
「私が一番仲良かったですし、おかずにもなっていましたし、いいじゃないですかぁ」
最初に口を開いたのと別のジャブジャブが喚きたてる。
「そういう事じゃないわ。この人はみんなの夫になる人なのよ」
大人しそうなジャブジャブが、静かに提案する。
「……ねぇ、みんなで平等にいただきましょう?」
しかしながら口論を始めた彼女らは提案を聞く気が無いのか、自分が先だのなんだのとぎゃあぎゃあと喚き続ける。
皆、その顔に見覚えがあった。さっきまで同じオフィスで働いていた、同僚の女性たちだ。私達、と新人ちゃんは言っていたが、まさか本当の本当に全員ジャブジャブだったのか。
「そこまでにしなさい。言い争いは後。今日は私達が待ちに待った、彼の歓迎会なのよ。一番大切な事を忘れてはダメ」
その一言に、ジャブジャブ達が一斉に静かになった。この声は、恐らく課長だろう。
「そうね、そうしましょう」
「まずは彼を歓迎することが先決ね」
「私達の身体をたっぷり味わってもらって」
「膣内に好きなだけ射精してもらって」
「私達の仲魔として歓迎しましょう」
熱っぽい視線が俺に集中する。にやにやと笑いながら、五匹の魔物娘がにじり寄ってくる。
どうしていいのか分から無い中、急に足払いを掛けられた。仰向けに倒れてしまったが、幸い地面は絨毯のようになっていて痛みは無かった。
「本当はもう少し様子を見ようかと思ったけど」
「目の前であんなに精液の匂いを嗅がせられ続けたら、私達ももう限界」
「本当は誰が最初に襲われるか、みんなで賭けてたんですよ。昼休みはその話題で持ちきりでした」
「なのに、あなたはいやらしい目で見るだけで誰にも手を出そうとしないんだから。だからみんなで一緒に襲う事にしたの」
「私達の身体と心、存分に楽しんでね。一週間分、いえ。生まれてからこれまで我慢し続けた私達の性欲、あなたに全部捧げるわ」
ジャブジャブ達の性欲に当てられたのか、周りの花々が一斉に桃色に発光する。その桃色の闇の中に、五匹のジャブジャブが浮かび上がった。
淫らな薄ら笑いを浮かべた彼女達は目くばせし合うと、一斉に俺の身体に飛び掛かってきた。
体中が、ふわふわした感触となめらかな感触に覆われる。
匂い立つ女の肌と、人肌の温もりを持った絹のような羽毛。五匹のジャブジャブ達が、俺の身体に抱きついて来たのだ。
唇が誰かの唇で覆われる。舌が入ってきて、口の中を蹂躙される。新人ちゃんのものとは違う、少し厚めで、唾液の量も多めの舌。喉に流れ込む唾液を嚥下している内に、身体がカッと熱くなってくる。
腕や胸の上にも、当然女達の肌が押し付けられていた。
しっとりとして、吸い付くようで、擦れるたびに身体が跳ねてしまう。
羽毛がくすぐり、乳首に口づけされ、舌で舐められ、吸われる。両腕にしがみついた彼女らは、俺の腕を自分達の乳房へと導いてきた。
片方の乳房は両手でも収まりきらないほどに大きく、指が沈み込んでいくほどに柔らかかった。もう片方の乳房は大きさはそれほどでも無いものの、心地よい弾力で指を押し返してくれる。
両足も二匹のジャブジャブに抱き付かれているようだった。太もものあたりを抱きかかえられているようで、両足ともに乳房や羽毛の感触に包み込まれていた。
勃起したままのペニスに、二つの軟体が絡みつく。
舌だ。足に抱き付いた二匹のジャブジャブ達が、右から左から俺の一物に口づけ、舌で舐め上げているのだ。
睾丸から、根元、裏筋、鈴口。緩急をつけて二本の舌に責め立てられ、無意識のうちに腰に力が入り、一物が跳ねてしまう。
抵抗のしようは無かった。両手首、両足首辺りに鳥の脚が絡みついていて、もはや自分一人の力では体の動かしようが無かった。
そこかしこから女の艶っぽい吐息が聞こえてくる。喘ぎ声のような色っぽい息遣いで世界が満たされているみたいだった。羽根の立てる音がさざなみのように混ざり合い、自分の呼吸の音も心臓の音も溶けてゆく。
もう、何もわからなかった。ただ気持ちいい事しか感じられなかった。俺はただ、彼女達に責め立てられるまま無様に身体を震わせることしか出来なかった。
「乳首舐められて感じちゃうなんて、かぁわいいっ」
「ねぇ、おっぱい気持ちいい? もっと好きにしていいんだよ?」
「おちんぽから二人の味がしますね。私達の愛の証ですね」
「若い雄の精液の味……。たまんなぁい」
「ねぇ、ちょっとどいてよ。今度は私がするんだから」
股間から舌の感触が遠のいたかと思うと、いきなり熱くぬるりとした感触に包まれた。
これも、新人ちゃんのと違う。きつく引き締まっていて、一秒でも早く精液を欲しがっているかのように激しく蠕動を繰り返している。
「入った。あぁんっ。見て見てみんな。私のおまんこにこんなおっきいおちんちんはいっちゃったよぉ」
「わぁ、すごぉい」
「私も早く挿入れたいなぁ」
「精液ちゃんとみんなの分取っといてよねぇ」
「気持ちいいですよね。彼のおちんぽ、やっぱり私達と相性最高だったみたいですから」
「うん。気持ちいぃ……。精液も、いっぱい欲しいなぁ」
そこら中からピンク色の声が聞こえてくる。もう、誰が何を言っているのか分からなかった。
俺に跨っている子が、腰を振り始める。激しく打ち付けられる肉同士が、弾けてぱちゅん、ぱちゅん、と淫らな音を奏で始める。
「あっ、やめっ、むぐっ」
制止しようと口を開こうとするも、二つの唇によって塞がれた。舌を入れられ、またもや唾液を混ぜ合わせられて流し込まれる。
今度の舌も、新人ちゃんの舌でもさっきの子の舌でも無かった。小さめで動きの激しいものと、ちょっと長めでゆっくりと口の中を動き回るもの。
口をふさがれ仕方なく鼻から呼吸すれば、発情した五匹の魔物娘の体臭の混ざり合った強烈な匂いが鼻孔を刺激した。
甘くて、酸っぱくて、獣のようでもあり、花や果実のようでもあった。とにかく女を抱きしめたくてたまらなくなる、雄の本能を刺激する雌の匂いだった。
胸の上で二人分の乳房がつぶれる。指が濡れた割れ目に誘い込まれ、くちゅくちゅと言う水音が響き始める。
「あっ、らめぇ…」
「指、きもちぃ」
片方は控えめな茂みの生えた、肉厚で汁気の多い割れ目だった。もう片方は毛が生えておらず、既にどろどろの粘液まみれだった。多分こっちは、新人ちゃんのものだろうか。
異なる刺激が、更なる快楽が浴びせられ続ける。
全身を包む快楽に、擦られ続ける欲棒に、俺は二度目の限界を迎える。
腰が跳ねる。身体の奥から白く濁った熱が噴き出す。尿道を駆け上がり、魔物の子宮を目指して叩きつけられる。
「あ! せ、せいえき。きったぁっ」
膣が痙攣し、一際強く締まる。その刺激も相まって、更に射精は激しくなった。
「奥っ、奥当たってる。おいしい、きもちいい! こんなの初めてぇ」
女の身体が、くたりと胸の上にかぶさってくる。絶頂を終えた一人だろう。
しかしろくに余韻に浸る間もなく、その身体はすぐに誰かの手で横にのけられてしまった。
「次はわーたしっ」
外気で冷める間もなく、再び勃起した欲棒が人肌の体温の中に飲み込まれていった。
今度は細やかな粒粒やざらざらで満たされた、少し触れ合っただけでも強烈な刺激を与えてくる膣だった。
口の中に入ってくる舌も、唾液の味や匂いも、身体に押し付けられる乳房の柔らかさや肌の感触も、また変わった。
萎えかける一物が、再び鎌首をもたげて硬くそそり立つ。自分でも己の絶倫さに恐ろしくなってしまう。普通では考えられない身体の反応だ。
まるで刺激が変わるごとに、ペニスにも新しく欲望が注入されているようだった。いや、彼女達が人外の魔物娘だと思えば、それもあながち間違っていないのかもしれない。魔力を流し込まれ続けて、俺は彼女達の仲間として適した存在へと変えられつつあるのかもしれないのだ。
なにせ、これは歓迎会なのだから。
ジャブジャブ達は代わる代わるローテーションを繰り返し、俺は一晩中犯され続けた。
そのうち、彼女達の身体の違いも分かってくるようになっていった。鳥の翼に鳥の脚、同じ特徴を持った同じ種族でも、おっぱいの大きさや弾力、柔らかさ、唇の硬さや舌の感触、おまんこのきつさ、締め付け、中の具合、それぞれが全然違っていた。
やがて不思議の国に弱弱しい朝日が差し込んで来ても、歓迎会は続いた。獣欲にまみれた宴会が終わったのは、現実世界とつながったままの扉の向こうから始業のベルが聞こえてきたあとの事だった。
そのころには、彼女達の羽毛の感触に違いまで分かってしまうくらいになっていた。
歓迎会も終わり、俺も晴れてこの課の仲間だ。早く職場に慣れて、バリバリ仕事をしていくぞ!
……と、普通の会社だったらそうなるのだが、どうやらこのアビスコーポレーションは流石に魔物娘が経営しているだけあり、仲間の意味も少し違うようだった。
いや、『仲間』では無く、『仲魔』か。何だかゲームみたいだ。俺もどうやら、転生してしまったようだし。
「うーん。難しいなぁこの言語」
耳元で囁かれ、俺はぞくぞくしながらもパソコンのディスプレイに集中しようとする。
が、そんな事出来ようはずも無かった。
裸になった新人ちゃんに正面から抱き付かれ、対面座位の形で交わりながらでは、仕事になるわけが無かった。
彼女が吐息を漏らすたび、少し体勢を変えるたび膣の締め付けが変わり、異なる刺激にペニスが暴れてしまう。
「あ、ンっ。そんなに動かれたら、勉強にならないですよぉ」
「こっちも仕事にならないよ」
新人ちゃんは翼で器用にプログラム言語のテキストを持ちながら、にたりと笑って僕に耳に口づけ舌を入れてくる。
我慢できず、射精した。
喘ぎ声がオフィスに響き、他のジャブジャブ達が色めき立つ。
「いった、いったわよね今」
「はい、交代よ交代」
「次は私ですよね」
「違うわ。私よ」
「いいえ先輩方。まだですよ。交代は時間制って決めたじゃないですか」
興奮した裸のジャブジャブ達がにじり寄ってくる。
当然、俺も裸だ。あの歓迎会の日以来、まともに服を着た記憶が無かった。けれどそれでも済んでしまうのだ。誰が見咎めるわけでもなく、休む間もなく女の肌と羽毛に包まれるおかげで風邪も引かない。それに服を着てもすぐに脱がされてしまうのだ。
万事がこんな調子だった。仕事中はもちろんの事、業務時間が終わってからこそが本番といった感じで、自分の部屋にも帰れていない。
会社に泊まり込みの日々ではあったが、この仕事を辞めたいとは思ってはいなかった。
何しろ美女五人が寝食を忘れて求めてくるのだ。男としてこんな幸せな事は無いだろう。
「はぁ、仕方ないわね。みんな、仕事に戻るのよ」
課長の鶴の一声により、彼女達は皆自分の席へと戻って行った。
彼女達は皆色欲狂いではあったが、意外と仕事はちゃんとこなしても居るのだった。……とは言っても、現在進めている企画そのものが『現代社会の効率的な魔界化計画』等と言う物騒なものなのだから何とも言えないが。
けれど、魔物達が皆彼女達のように愛に満ちた優しい存在であるならば、現代社会が魔界化してもいいような気もするが。
「でもさ新人ちゃん。栄養補給に精液がいるのは分かるけど、やっぱりセックスは子供を作る行為でもあるんだろ。妊娠したらどうするんだよ」
「どうするも何も、妊娠するためにしてるんじゃないですか」
「え?」
「あなたの精液が美味しいのもありますけど、みんなあなたの子が欲しいからしてるんですよ? 大丈夫。子種はあなたしかありえないですし、子育てもみんなでしますし。
私達は人間ほど手をかけなくても、一人でもちゃんと大人になれますしね。余計な面倒は掛けませんから、安心して生中出しして下さい」
そういうもの、なんだろうか。
「まぁ、子供が出来たら、俺もちゃんと父親出来るように頑張るよ。皆の子なら、きっと可愛い子だろうし」
いざとなったらその時はその時だ。可愛い我が子のためなら、俺だって頑張れるはず。
それに仕事するしか無かったせいで、使えずに貯まっている貯金もそれなりにはある。……流石に五人分とは言えないが。
「えへへ。私達の子は面白いんですよ。男の人が欲しくって、生まれる前に生まれてきちゃう子もいるんですから。私のママがそうでした。私のママは卵だったんですよぉ」
生まれる前に生まれる? 卵から鳥が生まれる? 当たり前のようで居て、どこか狂ったような新人ちゃんの言葉になんだかわけがわからなくなってくる。
「さて、みんな分かっていると思うけど、今日は部の企画会議もあるんだからね。全員参加よ。準備は出来ているわね」
課長の一喝に、皆が元気よく返事を返す。俺の混濁しかかった思考も、一気に晴れた。
「それと、あなた」
見上げると、机の前に課長が立っていた。ジャブジャブ特有の性欲に歪んだ締まりのない笑顔を眼鏡の向こうに浮かべて。
「会議の時間は私の番だから、分かってるわね」
「わ、分かりました。あとの時間に繰り下げて、ですね」
「そんなわけないでしょう。駅弁のまま会議に行くのよ」
「……は?」
意味が分からなかった。だが、課長の顔は本気にしか見えない。
「いやいや、冗談きついですよ」
「四つん這いで参加する役員も居るのに、冗談も何も無いでしょう? あぁ、そうだったわね、あなたは初めてだったものね。ここ会社の会議は凄いわよ。もう普通の感覚ではいられなくなっちゃうかも」
「既に普通では無いんですがそれは……」
「細かい事を気にする男はもてないわよ」
これ以上もてたらどうなってしまうのだろうか。
「四つん這い、駅弁、正常位、騎乗位。色々あるわ。あぁ、今から興奮してくるわね」
……やっぱりこの会社はとんでもないところのようだ。
けれどまぁ、辞めたいとは思わない。むしろ、ずっとここに居たいと思う。
毎日違った楽しくて気持ちいい事が起こるこの会社の事を、どうやら俺は大好きになってしまったようだ。
15/10/24 20:46更新 / 玉虫色