連載小説
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Phase7 -お尋ね者- 
 日差しの暖かい今日この頃

 街道を走る一台の車があった

 自衛隊で採用されている高機動車である

 巻き上がる砂煙に反比例して進む速度はゆっくり(それでもこちらの世界の荷馬車よりは早い)としたものだ

 そして、相変わらず車内では一騒ぎ起きていた

 「八島〜!」「ご主人様〜!」

 ほぼ同時にかけられた楽しそうな声に助手席に座る裕は嫌な予感を感じた

 「...何?」

 「これ!見て見て♪」

 「......Σぶっ!」

 ゆっくりと、嫌な予感を全開で感じなながら振り返った裕が見たのは...

 「いいだろ♪この下着♪」

 「可愛いでしょ♪」

 迷彩服の上衣を脱ぎ、Tシャツを捲って下着を見せてきたイーシェと神崎だった

 「...どうした?それ」

 「一緒に送られてきたんだ、どうだ?興奮したか?」

 「ムラムラ〜♪」

 何故か無駄に息ぴったりの2人に思わず溜息が漏れた

 確かに、色気満点の黒レースの下着を着けた神崎、可愛らしい水色縞模様の下着のイーシェ、興奮するかと聞かれたらするが...今は疲労がそれを上回っていた

 「...さっさとしまいなさい...」

 「Σ何っ!?裕が興奮しない!?」

 「Σ想定外です!」

 ...何故こんなに無駄に息ぴったりなのか誰か教えてくれ...

 「仕方がない!最終手段だ!」

 「了解です!」

 そう言って下衣に手をかけた2人だったが...

 『ガッタンッ!』

 「Σイテっ!」

 「Σアイタッ!」

 段差に跳ねた衝撃で不安定な姿勢で居た2人はしこたま尻を叩きつける羽目になった

 「...あぁ、すいません...『抜け駆け』しようとしてた人達に『集中』してて前見てませんでした」

 「「「......」」」

 ...桂さん?何か黒いオーラ的なものが見えるんですけど...いつもの敬語が凄く怖いんですけど...

 「...桂...どうかしたか?」

 勇気を振り絞って裕が恐る恐る話しかけると...

 「何がですか?私は『普通』ですよ?」

 「...ソウデスネ...」

 怖い、ひたすら怖い

 笑ってるけど目が笑ってないよ桂さん

 思わず顔を逸らしてしまった

 「お2人も『ちゃんと』座ってないと危ないですよ?ここら辺は道が『悪そう』ですから」

 「「...ハイ、ワカリマシタ...」」

 すごすごと大人しく席に並んで座る2人

 「あ、それからちゃんと服は着た方がいいですよ?『馬鹿』でも風邪は引くらしいですから」

 「「...ハイ、ソウシマス...」」

 そそくさと服を着始める2人

 桂さん?あなたそんな毒吐く子でしたっけ?

 ...この日、3人の中で共通の事項が認識された

 ...『桂は怒らせると怖い』...と、いうことを...



























 街道を走り続けて約3時間、静かになった高機動車は新たな村に辿り着いた

 「...結構大きな村だな」

 「昨日の村よりは大きい感じですね」

 荷馬車の後ろをトロトロと遅く走りながら村の様子を伺う

 擦れ違う人々は高機動車の姿に「馬もいないのにどうやって動いているんだろう?」と首を傾げるが昨日の様に囲まれることはなかった

 「また囲まれて威嚇されながら誤解を解くのは御免だ」

 「人相悪いのが居るからな〜...」

 「よし、神崎の飯抜き」

 「Σちょっ!?」

 「ご主人様〜お腹空いた〜」

 裕と神崎の漫才をよそにイーシェが呻いた

 時計を見るとすでに13時を回っている、朝食も食べずに来たので腹の中は完全に空だ

 「そうだな...とりあえず宿屋を探そう、飯はそれからだ」

 マルカから貰った銀貨のお陰で懐は暖かいので昨日の様に何処にも泊れないということはなかった

 だが、問題発生...

 「...ところで、宿屋ってどれだ?」

 「「...」」

 神崎の問いに黙る裕と桂

 そう、店には看板がかけられ、すぐにでも解りそうなのだが...

 3人はこちらの世界の『字』が読めないのだ

 「...イーシェ?」

 こちらの世界出身のイーシェに助けを求めるが...

 「......(テヘッ」

 (((...お前もかいっ!!!)))

 ずっと森育ちのイーシェは読み書きができませんでした





























 −−−1412−−−

 「ご馳走様っ!」

 相変わらずの元気のいい声が宿屋の食堂に響いた

 あの後道行く人に宿屋の場所を聞き、何とか宿に辿り着いた裕達はそのまま食堂で遅い昼食を食べていた

 「ふ〜食った食った」

 「神崎親父くさい」

 「Σヒドっ!」

 「まぁまぁ」

 各々頼んだ物を食べ終え、談笑している時だった

 「...ちょいと、そこの方々」

 「?」

 突然声をかけられた

 振り向くとそこには60代程の白髪頭の男性が立っていた、脇には受付に居た宿屋の亭主もいる

 何だろうと思っていると男性は口を開いた

 「...あんたら...傭兵さんじゃろか?」

 「?...まぁ...その様なもんですが...?」

 そう応えると男性の顔がパァっと明るくなった

 「そうかそうか!助かった、これで村は救われる!」

 「へ?」

 はしゃぐような男性に思わず間抜けな声を出してしまった

 イーシェ達もきょとん、としている

 「あぁ、失礼...ワシはこの村の村長をやっとります、キーロフと申します」

 裕達を見て慌てて取り繕うと男−−−村長は自己紹介をした

 「はぁ...あの、村長さんが俺達に何か...?」

 「実はあなた方に頼みたい事があるんです」

 「...」

 何だろう、この世界に来てから必ず厄介事に巻き込まれてる気がする

 「...一応聞きますけど...内容は?」

 「おぉ!引き受けてくれますか!?」

 「いや、まず内容を」

 「ははははは!!!良かったっぁぁぁああっ!!!」

 「いやだから」

 「HAHAHAHAHAHA!!!HYAHOOOOOOOOOOOOOO!!!」

 「...」

 何か箍の外れた村長は老いを感じさせない喜びっぷりを発揮した

 「...あの...」

 「...すいません...村長参ってしまってて」

 思わず宿屋の主人に助けを求めると主人が申し訳なさそうに頭を下げた

 「...とりあえず内容を聞かせてください」

 「はい」

 宿屋の主人によると、1年ほど前からこの先の峠に盗賊が待ち構えていて、通りかかる商人や旅人を襲っているらしい

 幸い死者は出ておらず、身包み剥がされたものの被害者は全員無事に生還していた

 「...ただ、やっぱり噂になって...誰も来なくなってしまって...」

 「他に道は?」

 「ありません、他は森が深くて...」

 「何故こんな長期間放置されてたんですか?」

 「ギルドに依頼するにも街に行くには峠を通らないといけませんので...」

 「ふむ...」

 腕を組むと考え込んだ

 大きな街に行くにはこの先の峠を越えるしかない、しかしそこには障害がある

 これはこの村だけでは自分達の問題でもあるのだ

 「お陰で村は孤立状態で...店のほとんどは赤字続きですし...村長も心労であの通り...」

 「...解りました、やってみましょう」

 「いいんですか!?」

 「まぁ、他に道がないなら仕方がありません」

 「ありがとうございます!良かった!」

 若い主人は裕の手を掴むとぶんぶんと手を振った

 苦笑しながら3人に向き直ると皆仕方がないといった表情を浮かべていた

 「と、いう訳でお仕事です」

 「ま、しゃあないな」

 「ですね」

 「そうそう」

 そう言って作戦を立てようとしたが...

 「HAHAHAHAHAHAAHAHAHAHA!!!!!!!!!」

 「...すいません、うるさいんで村長どっかやってくれます?」

 「直ちに」

 主人は踊りだしていた村長を宿の外に連れて行った

 「AHYAHYAHYAHYAHYAHYAHYAHYAHYAHYAHYAHYA!!!!!!!!!!」

 ...村長の笑い声は暫らく聞こえていた...





























 −−−2000−−−

 真っ暗な峠を一台の荷馬車がゆっくりと、ランタンの明かりを頼りに進んでいた

 荷台は木箱や食べ物が入った籠が積まれている

 乗っているのはどうやら男1人だけのようだ

 外套を羽織り、フードを被っているため人相までは解らないが、この『匂い』は間違えようがなかった

 『ベキベキベキっ...ドスーンッ!』

 突如、脇に生えていた木が倒れ、荷馬車の行く手を塞いだ

 乗っていた男は慌てて手綱を引き、荷馬車を止めた

 その瞬間だった

























 「「おらおらーっ!!!」」

 突如として現れた人影に荷馬車は完全に囲まれてしまった

 人数は12、3人といった所か

 しかし、斧や棍棒を握り、荷馬車を囲んだ集団は皆『人』ではなかった

 集団をよく見ると2つに大別できた

 1つはパッと見子供にしか見えなかった

 小柄な身長に自分と同じくらい大きな棍棒を握る彼女らは頭には角が生えている

 彼女らは『ゴブリン』と呼ばれる魔物だった

 しかし、もう片方は違った

 肉付きのいい体、胸や股間など最低限しか隠せていない皮の鎧、握られた石斧

 そして何より、臀部から生えたくるくると螺旋状になっている尻尾、頭には豚のような耳

 そう、彼女らは『オーク』と呼ばれるまた別の種族であった

 「へへっ!ちょいと兄ちゃん待ちなっ!」

 「ここはあたいらの縄張りだぜっ!」

 ゴブリンとオークが交互に喋ると、男を荷馬車から降ろした

 「「親分!捕まえました!」」

 片方ずつ男の腕を掴んだゴブリンとオークは揃って闇の方に報告した

 「「おうっ!」」

 すると闇の中からまた揃って声が返ってきた

 そして足音が近づき、声の主達がランタンに照らされた

 「ふっふっふ、残念だったな」

 「お前さんはあたいら」

 「ラチェットとっ!」

 「プラムのっ!」

 「「『ゴブーク盗賊団』に捕まっちまったんだからな!!!」」

 バーンっと台詞を言い、登場したのは他の魔物よりも派手な装飾を纏った「ラチェット」と名乗るゴブリンと「プラム」と名乗るオークだった

 自信満々の2人に、男は一言呟いた


























 「...........語呂悪」

 「「Σガビーンッ!!!」」

 揃って愕然とするラチェットとプラム、周りの娘達は何故かうんうんと頷いていた

 「...だから『オーゴブ盗賊団』にしようって言ったじゃん!」

 「何さ!そっちこそ『ゴブーク』でいいって言ったじゃん!」

 「そっちは最初自分の名前付けようとしてただろ!」

 「てめぇもだろ!」

 ぎゃあぎゃあと言い争いを始めてしまった2人に男は微妙な表情を浮かべてしまう

 「...帰っていいか?」

 思わず男が両サイドを固めた2人に聞くと

 「...気持ちはわ解るけど...」

 「...少し待っててくれ...」

 2人も...いや、全員がそれぞれのリーダーの口喧嘩に溜息をついていた

 どうやら彼女達も大変なようだ

 「「...親分、親分...」」

 「「Σっ!」」

 双方の副官ぽいのがつつくと、2人は慌てて男に向き直った

 「げふんっ!...てめぇはあたいらの縄張りに勝手に入った!」

 「ショバ代払ってもらおうか!あの食いもんと」

 「「てめぇの体でだ!」」

 揃ってズビシッ!と男を指差す2人...仲がいいのか悪いのか...

 「あれ?こいつ女持ちですぜ?」

 男を掴んでいたオークが鼻をヒクつかせる

 「構うもんか、あたいらしか見えないようにしてやるよ」

 「じっくり、調教してな」

 「「あーはっはっはっはっは!」」

 揃って笑う2人が揃って男のフードに手を掛けた


































 「−−−悪いが」

 男がこちらを見る、その顔には黒いサングラスの様なものがのっていた

 「−−−そいつは無理だ」

 『ピンッ...ゴトッ』

 男の外套から何かが落ちた

 全員の視線がそちらに向いた瞬間
























 『バンッ!!!』





















 凄まじい閃光と轟音が辺りを覆った

 「「ギャアッ!!!」」

 ラチェットとプラムが...いや、男を除くその場にいた全員が悲鳴を上げた

 その瞬間木箱の蓋が開き、中から人が...神崎達が飛び出してきた

 箱から出た神崎達は暗視眼鏡を着けると動けない盗賊達を素早く拘束していった

 「くっそっ...!」

 「何が...!?」

 2人は武器を握ると立ち上がるが上手く動けない

 目の前に立つ男−−−裕が使った『閃光発音筒』の効果だった

 『閃光発音筒』、通称『スタングレネード』、通常の手榴弾と違い殺傷ではなく相手の無力化を目的とした非殺傷兵器だった

 凄まじい轟音と閃光は周りに居た盗賊達の目と耳を完全に無力化していた

 霞む視界の中、プラムは目の前に立つ裕を捉えた

 「野郎ぉ...何しやがった!」

 石斧をしっかり握るとそのまま裕に向かって突進した

 「おらぁ!」

 右手に持った石斧を振る

 このまま行けば当たる…と次の瞬間

 『ふわっ...ドスンッ!』

 左手で武器を持った右手を掴み、右手をプラムの腰を掴むと同時にそのまま懐に入りプラムの体を腰に載せた

 そのまま突進の力と合わせて腰を跳ね上げた裕はプラムを投げ飛ばした

 自衛隊において『腰投げ』と呼ばれる技だった

 「かふっ...」

 まともに地面に叩きつけられたプラムはそのまま伸びてしまった

 「プラム!この野郎!」

 ラチェットもまた、棍棒を片手に突進して来たが

 『スンッ...ドスンッ!』

 先程のように武器を持った右手を掴む、すると今度は両手で手首を掴み、半身をずらすとそのまま右足を支点にぐるんっと手首を捻りながら投げ飛ばした

 自衛隊において『手首返し』と呼ばれる技だった

 「きゅう...」

 ラチェットもまた、プラムの様に伸びてしまった

 閃光発音筒で弱っていたとはいえ魔物と人間では力の差は歴然である、だが裕はそれを受け流すことで対処していた

 まさに、『柔よく剛を征す』だった































 「小隊長、全員確保しました」

 「よし、状況終了だな」

 「今回は楽に済んだな」

 「お腹空いた〜」

 状況はわずか5分で終了した

 閃光発音筒の効果で戦闘能力を奪われた彼女達を拘束するのはそれほどに簡単だった

 「う〜...」

 「くそ〜…」

 拘束された盗賊達は悔しそうに顔をしかめていた、プラムとラチェットは拘束されているがまだ気絶していた

 「あ〜あ...初めての仕事で御用か〜…」

 ん?

 「...今、初めてって言ったか?」

 「え?そう言ったけど...」

 裕が...4人がそう応えたオークに詰め寄る

 おかしい

 ここにいる盗賊は1年も前からここで獲物を狙っていたはず...

 「それはd」

 「「ぎゃあああああああああああああっ!!!!!!」」

 問は悲鳴にかき消された

 そちらを見るとプラムとラチェットが起きていた

 2人共涙目になりながら震えていた

 「すいませんっ!すいませんっ!すいませんっ!すいませんっ!!!」

 「どうか命だけは御許しをっ!!!」

 プルプルと震えながら謝る2人に裕達は完全に毒気を抜かれていた

 「えと...何もしないから質問に答えなさい」

 「「は、はいぃ...」」

 とりあえず、震える2人から事情聴取をした

 それによると、彼女達がこの峠に来たのは3ヶ月前

 森から出てこの峠を通りかかった所、そこには10人ばかりの男達が居たそうだ

 皆彼女達の姿を見るや慌てて森に逃げて行ったらしい

 そして残された彼女達は男達が残していった拠点を見つけ、そこで盗賊を始めたらしい

 つまり−−−

 「逃げて行ったのが手配中の盗賊で君らは別件...てことか」

 蓋を開けてみたらあまりにも間の抜けた話に思わずいつもの溜め息をついていた

 「「あの...」」

 脱力していると2人が声をかけてきた

 「あっしら一体」

 「どうなるんでしょうか?」

 涙目は治ったが、未だに緊張した面持ちの2人はジッとこちらを見てきた

 「どうかこいつらは許してやってください」

 「悪いのは全部あっしらなんです」

 ぺこりと頭を下げてきた

 「「そんな親分!」」

 「「お前らは黙ってろ!」」

 子分達の声を遮るとまた頭を下げた、どうやら指揮官としての自覚はあるようだ

 「...」

 『パチッ...シュラッ』

 裕が黙ってナイフを抜くとその場に緊張が走った、だが裕が取った行動は全員が考えていた事とは違った

 『スタスタスタ...ブチッ』

 2人の後ろに行くと拘束していた縄を切ってしまった

 「「...え?」」

 きょとんとする2人に裕は言った

 「...お前らの拠点に案内してくれ」




































 「うわぁ...」

 彼女達の案内で来た拠点、それは洞窟だった

 そしてその最深部、そこで裕は呆れた声を出した

 「よくもまぁ...ここまで...」

 裕の目の前には積み重ねられた金品の山があった、全て前の盗賊達が残していったものらしい

 「...それじゃ、全部運び出すよ」

 「「「へいっ!」」」

 裕の言葉に控えていた盗賊達が動き出し、袋や木箱に金品を納め始めた

 「本当にこれを返せば」

 「許して貰えるんですか?」

 裕の両隣に立つラチェットとプラムが不安そうに聞いてきた

 「まぁ、君らがやった訳ではないからね...これ全部返せば問題ないよ」

 裕の出した条件、それは強奪された品々を村に返すというものだった

 実際、彼女達は何もやっていないので罪に問われる心配もない

 裕を襲った件もこれを運ぶことで帳消しにすることになったのだ

 「相変わらず甘いというか...」

 「いやいや、それが小隊長のいいところですよ」

 「まぁな」

 神崎と桂が何か言ってるが...聞こえな〜い

 「...ねぇねぇ」

 イーシェが2人をつついた

 「何でオークとゴブリンが一緒に盗賊してるの?」

 確かに、オークもゴブリンも徒党を組んで盗賊などをやる場合はある

 だが両者が組んでというのは珍しかった

 「こいつら、子供の頃からの仲なんです」

 「そうそう、昔からこの面子だよな」

 2人の話によると、全員同じ村で育った幼馴染らしい

 何でもその村にはオークとゴブリンが多く住んでいたとか、そのため子供の頃から皆で遊んでいたらしい

 両種の関係は非常に良好だったがそれがある時、些細な事からいざこざが起きた

 それは日に日に悪化し、険悪な状態になってしまった

 すると子供達はそんな大人達に嫌気がさし、全員で村を出てしまった

 「ただ行く当てもなくてさまよってたんです」

 「そしたらここに着いて、道具も有ったし、ねぐらにも調度良かったんで」

 「...なるほど...」

 「...この後どうしようか?」

 「ん〜...行く当ても無いしね...」

 悩む2人に裕は言った

 「それも何とかなるぞ」

 「「え?」」


































 −−−3日後−−−

 「...見事に解け込んだな」

 宿の部屋の窓から村を見下ろす裕は思わず呟いた

 視線の先には村で働くオークやゴブリンの姿があった

 あの後、村まで強奪された品を運んできた裕は喜ぶ村長にこう言った

 「彼女達が手伝ってくれたんです」

 裕は彼女達は盗賊退治を手伝ってくれた第3者であると説明し、行く当てを探していると説明すると、有頂天の村長は2つ返事でこの村で引き受けると約束してくれた

 そしてたった3日で彼女達は村に馴染んでいた


































 −−−例その1、オーク副官、村長宅−−−

 「...お、おい...洗い物ができないだろ///」

 「ふぉっふぉっふぉっ、タリアさんの乳はいつも揉んでいたいからの♪(モミモミ」

 「これが終わるまで待ってろよ///」

 「いや、実はもう限界での(ギンギン」

 「Σなっ!ちょっまっ...あぁんっ♥(パンパンッ」






























 −−−例その2、ゴブリン副官、宿屋−−−

 「部屋の掃除終わったぜ!」

 「ありがと、助かったよ」

 「別にいいさ...ふ、夫婦なんだから...///(テレテレ」

 「Σっ!///(ズキューンッ!」

 「お、おいっ大丈夫か?」

 「ごめん、我慢できない(ギンギン」

 「Σはっ!?ちょっ...あぁんっ♥(ギシギシ」


































 ...以上のように、非常に馴染んでいる

 「これなら安心だな」

 「いや、安心か?」

 神崎の突っ込みは気にしないでおこう

 「小隊長!出発準備できました!」

 「おう!今行く!」

 テーブルの上の鉄帽を掴むとそのまま部屋を出る

 「さて、次はどこに行くやら」

 「のんびりバカンスでもしたいぜ」

 「まぁな」

 神崎と外に出ると、そこには村の村長と宿屋の主人、それにプラムとラチェット、元盗賊達が総出で待っていた

 「本当にありがとうございました、盗られた物を取り返して貰ったどころか嫁まで連れてきてくれて」

 ツヤツヤとした村長が代表して礼を言った

 「いえ、結局盗賊は捕まえられませんでしたから」

 「何、森に逃げたならまず大丈夫でしょう」

 「?」

 「森は魔物だらけですからな」

 「......あー...」

 おそらく、貞操を守れた者はいないだろう...

 「あたいたも居場所を見つけることができやした!」

 「本当にありがとうございました!」

 プラムとラチェットが頭を下げると控えていた全員が頭を下げた

 「どういたしまして...これからも達者でな」

 「「はいっ!」」

 2人の元気な返事に微笑むとそのまま高機動車に乗り込んだ

 「「「さようならーっ!!!」」」

 村の人達の声を背に、車は走り出した

 村を出て、峠に向けて走り出す

 次は何が起きるやら...裕達の旅は続く










 to be a 「ちょっと待て」

 裕に締めを邪魔された

 「何でお前らが乗ってる?」

 裕の視線を追っていくとそこには...

 「「...(テヘッ」」

 ラチェットとプラムが居た

 「あっしら旦那の男気に惚れました!」

 「たとえ火の中水の中、どこまでも!」

 「「お供します!!!」」

 揃って詰め寄る2人に裕は深く溜め息をついた

 こうして、裕はまた新たな仲間を手に入れたのだった

 めでたしめでたし































 「めでたくねえええええええええええええっ!!!!!!」

 裕の叫びは、青い空に吸い込まれていった







 to be a continued... 


14/01/15 13:12更新 / chababa
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■作者メッセージ
 はい!7話終了です!

 休みが終わって仕事が始まり更新速度が遅くなってしまいました

 すいませんでした

 感想に「魔物が人を殺すのは良くない」とありました

 自分もそうは思ったのですが、演出上必要な表現でしたのでそのままにしました

 今後は少し考えて見たいと思います

 さて、今回の画像は『閃光発音筒』通称『スタングレネード』です!

 スタングレネードは、1960年代にイギリス陸軍の特殊部隊SASが世界で初めて採用して以降、世界中の軍隊や警察で採用されており、日本では西鉄バスジャック事件で突入の際に利用された事でも有名です!

 自衛隊でもその流れに乗った感じです

 約100万カンデラ以上の閃光と、1.5m以内に160-180デシベルの爆音(飛行機のエンジンの近くで120デシベル)を発するとされていて爆発すると付近の人間に一時的な失明、眩暈、難聴、耳鳴りなどの症状と、それらに伴うパニックや見当識失調を発生させて無力化することを狙って設計されており、非殺傷兵器の代表格となっています

#画像はwikipediaから引用

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