連載小説
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#1867 なめくじ勇者
注意
今回は特に独自設定が強く
尚且つコイツメアリー・スーじゃね?って言う描写が有ります
更に本家SCPについてもぼかしながらも言及します
それでも良いと言う方はスクロールどうぞ













































ITEM#:1867
CODENAME:なめくじ勇者
Object Class:Safe

取り扱い方:#1867の収容室の部屋の隅に人の膝位の高さの塩の山を作って下さい
#1867の食事は数種の生野菜や果物を日に三度与えて下さい
必要以上の見張りは付けず#1867の知覚範囲に男性を進入させてはいけません
#1867の言動は全て記録されなければなりません

#1867の持ち物は彼女が望まない限り彼女に所有権がある為
奪い取ってはいけません、またこちらに渡してきた場合は
精査し危険ならば返却か破壊、安全ならば保管庫に保存する様にして下さい

基本的に#1867は積極的に収容されようとしています
彼女には敬意を払って接するべきです
それに彼女の持ち物はあまりに意味不明な物ばかりで
それらを使って来た場合何が起こるか分かりませんし
所有したくも有りません-第七室室長ライン

概要:#1867は下半身がなめくじの姿をした十代後半から二十代前半の女性ですが
本人は[編集済み]歳であると語り証拠を提出して来ます
纏っていた衣類も上等ですが非常に状態が悪い上着だけでした
塩をかけられると子供に姿になり充分な水分を摂取するか
数日後に自然に元通りの姿に戻ります

#1867は教団の勇者"セシール・ターナー・ホワイトアッシュ卿"と名乗り
自身の経歴を事細かに話そうとして来ます
今はなめくじの様な姿ですが元人間で
人間の時は世界から世界へ移動する事が出来ると語り
移動の為に使った魔術術式を証言しましたが試し様が無いので確認出来ません
ですが別の世界の自分の倉庫から物を取り出す事は可能で
様々な物品を我々に譲渡しますが理解不能の物を渡してくる場合があるので
精査する必要が有ります、彼女から譲渡された物の一覧は後日書き上げます

今すぐ書けよ-第一室室長ライト

#1867の物品の管理はデクスター博士に
一任しているので彼に言って下さい-第七室室長ライン

#1867は非常に精神が不安定で、男性を見ると急激に欲情し出しますが
必死に堪え自身に塩をかけて子供の姿になったり自傷などで耐えます
#1867は自身の身体の変容について『人生の中で二番目に最も忌々しい出来事』と語り
何故そうなったかを聞くと『それについて語るには私は自分の生い立ちから
今までの人生を全て語らなくてはならない』と語り自分の生い立ちから話を始めようとします
今、彼女の人生談は自身が8歳の時に差し掛かりましたが
長編小説が軽く5,6本書ける量で尚且つ『人生であまり変化が無かった時期』と語り
記録作業はまだまだ続くようです

記録を見る限り幸いにも話は面白い、記録は全て保管する様に-サルメゾン第一王子

#1867は絶叫する入り江(第三次異界侵攻時の初期地点)にて発見しました
当初#1867を捕獲しようとした行為は会話以外全て失敗しました
結局#1867に今までの無礼を詫び謝罪し宥める事で説得し
#1867の提案する自らの収容手順に従い#1867を収容する事になりました

#1867が元々居た世界では勇者と言う物が職業として明文化されており
魔物なる存在から世界を守る仕事や異世界への偵察任務などを行っていたと主張しています
実際に#1867は捕獲の際に卓越した剣術と魔術を披露し我々を退け続けました
様々な異世界を訪れ珍しいアーティファクトのコレクターを自称していますが
何故かそれらの物品を事有る毎に譲渡しようとしています
理由については『遺産を相続させる相手が居ないから』と話しています
しかし前述の通り精査は怠らないで下さい



インタビューログ#1867-18

■■博士:おはよう1867
#1867:ああ、おはよう博士!会えて嬉しいよ、さぁ座りたまえ
私の記憶が正しければ私の妹が病床に伏せ療養の為にジパングに向かった際の話の途中だったな
■■博士:実は君の話で幾つか質問が有るんだ、君の話は一々我々の常識と乖離し過ぎている
#1867:当然だとも、所変われば品変わる世界が変わったのならそれ相応に変化は有るよ
■■博士:なあ1867、我々は君の話が精巧なフィクションじゃない確証が持てないんだ
君が適当な話を並べ立てている様にしか
#1867:ナンセンス!!私がその様な事をすると思っているのかね!?
私は様々な世界を渡り歩いていたが何処でも私は私でしかなかったし
私が誰かの為に動いても自分がそうしたかったから以外の理由では動かない!!
現在だって私が何か仕出かさない様にここに居るし
私があの忌まわしい黒い太陽と戦おうとした時に他のものが何と言ったか心配したかと思うかね?
そうだとも!!私は私の為しか動かないのだよ!!
■■博士:[小休止]君は自分がなめくじだと分かっているかい
#1867:ああ畜生!!よりによって何でなめくじにしたんだあの[罵声]は!!
・・・少し落ち着こう、何かお茶でも持って来てくれ

ログ終了


インタビューログ#1867-41

■■博士:おはよう1867
#1867:ああ、おはよう博士!会えて嬉しいよ、さぁ座りたまえ
私の記録が正しければジパングで現地の子供と共に度胸試しに廃寺に忍び込んだ所だったな
■■博士:実は君の話で幾つか質問が有るんだ、君は自分がなめくじになった経緯を話すのに
何で幼少時まで遡らなければならない?
#1867:重要な話だよ、私のこれまでの経験やら何やらで
形成された性格を知らなければ、私が何故その決断をしたのかが君達が理解出来ないだろう
無論、私はなめくじになどなりたく無かったが
■■博士:分かった様な分からない様な・・・
#1867:説明下手と良く言われたよ
■■博士:そうか・・・今日は別の事を聞きたいんだ
君は世界から世界へ渡り歩く時、どんな魔法を使っていた?
単独で異世界間移動とは膨大な魔力が必要なのでは?
#1867:昔ビッグ3と呼ばれた魔法使いが居てね
その中の1人が物凄い長いが唱えれば異世界へ行ける魔法を編み出してね
だが長すぎて唱えるのに1ヶ月は掛かるんだよ
それで私は短縮の為に印を結ぶ事にした
■■博士:印?
#1867:ジパングの魔術体系の一つで手で特定の所作を行う事で
魔術の詠唱の代わりとした、無言で行うから暗殺などに用いられたそうだ
これに私は足や全身を加える事体全部で印を結び更に口での詠唱する事で
詠唱時間の短縮になったと言う訳だ、それでも10日はかかる
まだ長いので魔法陣を加え、更に風水、これもジパングに伝わる物の1つで
簡単に言えばこの場所は良くないとか何処何処の方向が良いとか占いの類に近い
■■博士:つまり魔法を行使する場所?
#1867:そうだ、更に月の満ち欠け、日の傾き具合、私の普段の所作などなど
ここまで入念に準備してやっと詠唱が1日に収まる様になったよ
■■博士:一日中ずっと体中を動かし、尚詠唱?
#1867:若い頃はそれなりにスタミナは有ったからね、一応勇者だし
■■博士:具体的にどんな詠唱、いや印を?
#1867:足が無いから印は出来ないが口頭で説明しよう
まず[判別不能]る
■■博士:え?
#1867:[判別不能]るんだよ、次に[判別不能]ってそれから
■■博士:何だって?
#1867:[判別不能]るんだって
■■博士:貴女が何言っているか分からない
#1867:え?[判別不能]るを知らないって・・・マジで?
■■博士:いや全く・・・
#1867:えーっとだねつまり

#1867は[判別不能]について説明しようとするもまるで理解出来なかった
[判別不能]について分かった事は食べる、寝る位に
人間の生存維持に重要な動作で有る、らしい

ログ終了



インタビューログ#1867-70

■■博士:おはよう1867
#1867:ああ、おはよう博士!会えて嬉しいよ、さぁ座りたまえ
君から貰ったこの世界の雑誌から[判別不能]に酷似した物を見つけたよ、語ってあげよう
■■博士:いや、今日は上からジパングとやらについて聞けと言われたんだ
#1867:そうか、まぁ良いか、ジパングだがまぁいい所だよ湿気が強いのが難点だがね
島国だから独自の文化を持っているよ、私が住んでいた大陸とは
異なる剣術、魔術など差異は数え切れないが、宗教が最も大きな差異だと思う
■■博士:宗教?
#1867:そう、宗教はこの世界にも有るよね?
■■博士:勿論
#1867:ジパングの宗教は何と言うか・・・多い
■■博士:宗教の数が多いって事?
#1867:それも多いけど、神の数が異常に多い、八百万の神々と言って
800万は神が居るらしい、と言うか森羅万物全部に神が宿ると
■■博士:意味が分からないな、宗教戦争とかないのか?
#1867:全く無いね、神と魔物の境界線すらあやふやで
強大な魔物を神として崇めたりもしてる村も有る
で隣村の別の神を崇めている連中と仲良く祭りを開いたりしてる
■■博士:・・・君の話だと君は教団と言う大陸の宗教団体の者と聞いたが
君の教団とやらはジパングを教化したりはしないのかね?
#1867:無理、武力制圧はまず不可能だ
ジパングの魔術師が全力で上陸を妨害したり
上陸したにせよジパングの戦士は教団の連中とは錬度が違うし覚悟も有る
そもそも教団の戦術は対魔物を想定しているがジパングは対人戦術だ
ジパング固有の魔物も居るし教団の兵では対応は難しい
宣教活動も芳しくないね、何処かで間違って伝承されて
全く新しい宗教が出来上がってしまったらしい
■■博士:新しいって、えぇ・・・
#1867:だが夏は特に湿気が強くなるから夏以外にバカンスを過ごすならお勧めだ
実に良いぞ、秋なんて紅葉と言う木が葉を赤くして山が赤く染まる様なんて絶景だ
食べ物も旨いし、気立ての良い奴が多い
■■博士:そうか、魔術の文化について詳しく
#1867:印に興味が有るなら止めた方が良い
私は子供の頃ジパングに居て幼少時から手遊びと称した現地の遊びを良くやった
大人になってから気付いたが印を結ぶ為の手の柔軟性を上げる訓練と
遊びを両立させた物だったらしい
■■博士:つまり?
#1867:君がやったら君の手は攣ってしまうよ、今日はここまでにしようか

ログ終了



インタビューログ#1867-100

■■博士:おはよう1867
#1867:・・・・・おはよう
■■博士:何だ、今日は元気ないじゃないか
#1867:いや、少し黄昏てただけだ・・私が異世界に渡れる魔法を使えた事は知ってるね?
■■博士:勿論だとも、それが如何したんだ?
#1867:最後に、いや、あの君達が私を保護した入り江が最後に私が訪れた世界だったな
その前に訪れた異世界の夢を見てね、教団の任務では最後に訪れた世界だったな
特に印象に残った世界だったよ
■■博士:・・・どんな世界だったんだい?
#1867:1人でに走る鉄の馬車、空を鉄の船が飛び、50階以上建ての建物が立ち並び
街中に有る喋る動く大きな絵は世界の情勢について語り、数十億の人間が住まう世界だったよ
■■博士:数十億・・・想像も出来ないな
#1867:凄い世界だったよ、色々な物を見て来たが
世界を大まかな場所を見渡すのにたった2,3年で済んだ
空飛ぶ鉄の船は数日掛からずに世界を一回り出来る代物だ
■■博士:どんな魔法なんだ、一体
#1867:本で調べようとしても理解出来ないと言う事だけ理解出来たよ
それに町中が光に包まれて夜通し騒いでいる所も少なくない
街では巨大な喋る絵が世界で起こった出来事を喋っていたりと感嘆の一言だよ
私のコレクションも大幅に増えた
■■博士:凄い世界だな・・・所で2,3年居たって言っていたけど滞在費は如何したんだ?
#1867:路地裏のゴロツキを締め上げて金を奪った
あの世界では金貨より紙の通貨が主流だったな
それから私があの世界に居た期間はもっと長い
■■博士:ん?世界の大まかな場所を見渡すのに2,3年と言っていたが
#1867:ある日の出来事だ、喋る大きな絵が一つの船を映し出した
大きな船は煙を吐いて進んでいたが突然止まった
そして甲板の人々が落ち、次の瞬間には大きな腕が船を真っ二つにしてしまった
■■博士:それで?
#1867:それからその国の王様が非常事態宣言を出したよ
それから皆目に見えて怯え始めた、思えばこの時さっさと帰れば良かったんだが・・・
■■博士:何か有ったのか?
#1867:奇妙な物がどんどん増えたよ、街の光がどんどん減った
私は一時街から森に避難した、1ヶ月位して戻ったら街が廃墟になっていた酷い有様だったよ
更に理解不能な物が街に蹂躙していた
■■博士:例えば?
#1867:・・・人を何処までも追いかけ体に潜り込み人を殺す石ころ
鳥の様なマスクを被り人を殺しゾンビの様に生き返らせる人型の何か
鉄の馬車に擬態して人を襲う馬鹿でかい虫、あとピエロ
私も四本腕のやたらタフなデブに襲われたよ、殺すのに2時間もかかった
その他にも愉快で出鱈目な連中が次から次へとやって来たよ
逃げても逃げても行く先々世界中にそんな物が存在した
私はこの世界が滅んだと確信したね
■■博士:良く生きていたな
#1867:その世界には異常な存在を確保して閉じ込める組織が有ってね
彼等に何度も助けられたよ、もっとも彼等の殆どは直ぐに殺される事が多かったが・・・
私は彼等の打ち捨てられた秘密基地にも行ったよ、幾つかアーティファクトを貰って行った
■■博士:大丈夫なのか、そんな物持って行って
#1867:私は感覚的に大分時間が経っている事を感じていた
手ぶらで帰ったら何をされるか・・・まぁ私は色々お宝を持っていったんだよ
だが帰る為の魔法を組むのには前にも話したが時間がかかるんだ
1日に1度は何かしらに襲われたから魔法を組む事は出来なかった
だが・・・その世界に来てから大体10年位経ったある日
大勢の人間が崩壊した都市にやって来た、そして復興を始めた
■■博士:待て・・・世界は滅んだんじゃ無かったのか?
#1867:ああ、滅んだ・・・筈だ、私はまた異常な何かがやって来たと思い
再び近場の森に隠れた、その時に私は自分が王様が異常事態宣言を発した時に居た
街へ戻っていた事に気付いたんだ、そして、私は1ヶ月後に・・・・・
■■博士:・・・何かショックな事が有ったのか?
#1867:・・・・・私は1ヶ月後に街に戻った、街は平和その物だった
船が真っ二つになる、あの絵の前の状態に
■■博士:事態が収集したって事ではないのか?喜ばしい事じゃないか
#1867:それから私は新聞を見たんだ、だが何処にも化け物の話題や
奇妙な物の話題、船を真っ二つにした手の話は無かった
復興を祝う声なんかも無かった
■■博士:・・・復興ムードが終わって平常運転になったからでは?
#1867:いや、気になって前の新聞を調べに図書館へ向かったんだよ
そうしたら1ヶ月以上前の新聞が出て来た
■■博士:・・・・・・・え?つまり他の地域ではもっと早く復興が
#1867:いや、どの新聞にも化け物やら変な物やらの事は載っていなかった
復興の事もだ、私は図書館の司書にこの街が一ヶ月前は廃墟で
復興したのに何で皆普通に暮らしているんだと聞いた
そうしたら司書は『貴女は何を言っているんですか?ここが廃墟になっていたって?
私は生まれて27年ずっとこの街で暮らしていますがそんな事は無かったですよ』と返した
■■博士:・・・・・つまり世界の終わりは君の妄想だと?
#1867:いや実際に有った出来事だ、その筈だ、恐らく私がさっき言った組織が
何らかの対策を講じたと結果と私は推測した
何れにせよ、長居は無用と元の世界に戻ったよ
上には散々絞られたが土産が気に入られてそれほど重い罰にはならなかった
■■博士:土産?何だ?
#1867:何でも治す薬や自分で動く熊のぬいぐるみ、見ると病気になる本
見続けると働きたくて仕方なくなる像
後は崩壊していた時に集めていた大量の貴金属
■■博士:何でも治す薬は興味が有るな・・・
#1867:辛かったがコレクションが充実した旅だったよ・・・
色々出会いも有った・・・だが色々ともう無理だなとも思ったよ
当時[編集済み]歳だったからな、体力的にキツくなっていた
■■博士:1867・・・
#1867:今はなめくじになったが若返った・・・その事を喜ぶべきか・・・
・・・喜んで良い訳無いだろうが!!この馬鹿め!!

#1867は塩の山に突っ込んで自身を縮め、尚且つ嗚咽を漏らした

ログ終了
15/06/09 00:09更新 / Mr.後困る
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■作者メッセージ
参考にしたSCP
SCP-1867 うみうし紳士
執筆者:Djoric様
http://scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/SCP-1867

予想外に長くなってしまいました、短い物2つにする予定とは何だったのか・・・

今回の元ネタは皆大好きブラックウッド卿
ブラックウッド卿はTale多い方ですし、私もこれからホワイトアッシュ卿の話は
それなりに多く書く予定です、番外編の様に書いてみたいですね

ホワイトアッシュ卿ですが彼女はクロビネガの魔物娘図鑑世界の
教団の勇者だった魔物と言う設定で世界を移動する魔法を持っているので
本家SCPの世界に良く似た或いは同じ世界に行ってSCPやら家電製品を持ち帰っています
そして某未来の猫型ロボの腹のポケットの様な機能の魔法で
別次元に別の世界の物品をコレクションする趣味を持っています
何でこんな設定を付けたかと言うと本家ブラックウッド卿が
様々な物品のコレクションをしていたのでそれの再現です
でも勇者だし普通じゃつまらないからSCP集めさせるか
と言う理由でこんな事になっています

何だか書いている内にどんどん話が膨らんでしまいまして
見る人によってはメアリー・スーっぽくなっているのではないかと心配です
SCP知っている人なら察していますがこの人、人間の時にKクラスシナリオ発生している中で
数年単位で生き残っています、何だこの人
元ネタのブラックウッド卿もTaleでKeterクラスに遭遇して生残っているので
お目こぼし下さい

次回投稿はPCの調子が良くないのでデータの移転やらで遅れると思います
次回は前回捕虜になったスライム娘と彼女を使った実験の予定です
ではご意見、ご感想、ご批判よろしくお願いします

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