負けると分かってルールに従う馬鹿は居ない
「やっほー」
王都に居る筈の彼女が何故かボクの宿の一室に居た。
王都で聖女になったはずの、 ボクの幼馴染が
と考える間も無く、 彼女はボクの手を引いて部屋に引きずり込んで
ベッドの上に押し倒してボクの胸に顔をうずめた。
「君が何処にも居なくなっちゃったから探したよぉ」
白く美しい絹の糸で編まれた聖女の法衣が眩しく感じた。
幼馴染の彼女はとても美しく育った。
「さ、 探したって・・・何で?」
照れと共にボクは目をそらした
「何で?」
甘い空気が一気に冷えた。
「君が居ないとダメじゃない」
「だ、 だめ?」
「そうだよ、 君はずっーーーーーーーーーーーーーーーーと
私と一緒に居ないとダメなんだよ?
それなのに学校を辞めちゃうなんて・・・何かあったの?」
「勉強についていけ「私が教えたのに何で何も言わなかったの?」
責める様にボクを見る彼女。
「だって君は聖女になるんだから「だから何?」
「い、 忙しいじゃないか
聖女になる為の努力を沢山してるのに「だから?」
ボクを抱きしめ始める彼女。
「君は昔さ、 私を助けてくれたじゃない、 いじめっ子とか」
「え、 う、 うん」
「私には君を助けさせてはくれないの?」
親を殺された様に怒りながら悲しみながらボクを見る彼女。
「ボクなんかよりっ」
抱きしめる力が増してボクは驚いた。
女の子の力じゃない。
聖女になると力も増すのか?
「なんかって何!? 私はキミが居たから必死に頑張って来たんだよ!?
キミにふさわしい女の子になる為に!!
なのに・・・君が居なくなってどうするの・・・」
彼女は泣いた。
ボクは子供の頃の様に彼女を撫でた。
「ごめん・・・」
「謝らないでよ、 私にも悪い所は沢山有るよ
山の様に有るよ、 うん、 君が助けを求める前に助けなかったり
聖女になる為の勉強にかまけて君と会う機会が少なくなったり
君が居なくなって3日目でやっと学校を辞めた事に気が付いたり
君を好きだって告白出来てなかったりとか
君の事を誰よりも何よりもずっとずっと
ずっーーーーーーーーーーーーーーーーっと大好きだったのに
それなのに扱いがぞんざい過ぎる、 こんなのダメに決まってるよ
好きな人を守れないのに聖女になるだなんて本当にお笑い草だよ
片田舎の小娘が聖女になるだなんて笑い話だよね、 本当にね」
「「ごめんね、 急に告白して困るよね、 私なんかにね
でも大丈夫だよ、 自分がどうしようもない奴だなんて
昔から知ってた筈なのに、 聖女とか言って調子に乗ってたね、 うん」
彼女がボクの言葉を遮って自責とボクへの好意を話し始める
これはダメだ、 聖女になった彼女がこんな事で道を踏み外すなんて
「君は聖女なんだから、 ボクなんか「黙れ」
口づけをする位に顔を近づけて端的に彼女は言った。
「私はキミへの対応はぜーんぶ失敗だった
本当に好きだったら聖女になったらとか好きだというとか
失敗を恐れるべきじゃなかった保身の結果
私は人生の敗残者、 恋愛の絶対敗者となった」
「いや、 そんな事はないだろう
聖女になったんならお貴族様とか、 もっと狙えるでしょ」
「・・・・・それ本気で言ってる?」
絶対零度よりも低い温度で彼女はボクを見た。
「まぁ、 私は幼馴染でずっーーーーーーーーーーーーーーーーっと
一緒に居る君に対して告白できなかった女だからね
貴族に尻振ってろとか言いたいんでしょ?」
「そんな事は無い!!」
ボクは声を荒げた。
「自分を卑下するなよ!!」「こっちの台詞よ!!」
ボクと彼女は互いに同じ言葉を吐いた。
「・・・・・ボクを連れ戻す気?」
「違う」
彼女の言葉にボクは首を傾げた、 と同時にあぁそうか、 とも思った。
「ボクと一緒に田舎に変える気?」
「違う」
「え? 違う・・・の?」
「うん、 ここで君を逃すのは私の人生の敗北
負けると分かってルールに従う馬鹿は居ない
だから、 私はルールを破った」
「破・・・った?」
白い法衣が黒く染まり彼女から黒い尻尾が生えた。
「主神を裏切って堕落した女神に趣旨替えした」
「!?」
魔物になったと言う事か!? ボクは彼女を引きはがそうとした
するとあっさり彼女はボクから離れた。
ボクは部屋のドアを開いた。
すると外は真っ暗だった、 否、 真っ黒だった。
「私が何で愛しいキミを前にしてグダグダ喋ってたと思ってるの?
もう絶対逃げられない様にするためだよ?」
彼女は手を広げてボクに迫った。
「君から離れないし、 君は逃げられない
一緒に永遠に愛し合おうね」
「ねーねー、 それからパパとママはどうしたの?」
「そこからずっーーーーーーーーーーーーーーーーっとパパとママは
仲良しだよね?」
宿の中の一室と呼ぶにはあまりに異常な空間で永遠とも言える時を
ボク達は過ごし愛し合った。
子供も沢山産まれた、 子供達は窓やドアの外から出て行ったり
ボク達のまぐわいをずっと見ている。
「もう絶対絶対、 君の事を離さないから」
「あぁ・・・ボクも君を離さないよ」
既にボクも魔物となって、 昔の事を思い出せなくなってきた。
この外が黒い部屋の中でずっと彼女とまぐわう事に安心を感じる。
ただ一つ不満があるとすれば少年時代に
彼女と過ごした木漏れ日の優しい日材を感じられなくなったと言う事か・・・
王都に居る筈の彼女が何故かボクの宿の一室に居た。
王都で聖女になったはずの、 ボクの幼馴染が
と考える間も無く、 彼女はボクの手を引いて部屋に引きずり込んで
ベッドの上に押し倒してボクの胸に顔をうずめた。
「君が何処にも居なくなっちゃったから探したよぉ」
白く美しい絹の糸で編まれた聖女の法衣が眩しく感じた。
幼馴染の彼女はとても美しく育った。
「さ、 探したって・・・何で?」
照れと共にボクは目をそらした
「何で?」
甘い空気が一気に冷えた。
「君が居ないとダメじゃない」
「だ、 だめ?」
「そうだよ、 君はずっーーーーーーーーーーーーーーーーと
私と一緒に居ないとダメなんだよ?
それなのに学校を辞めちゃうなんて・・・何かあったの?」
「勉強についていけ「私が教えたのに何で何も言わなかったの?」
責める様にボクを見る彼女。
「だって君は聖女になるんだから「だから何?」
「い、 忙しいじゃないか
聖女になる為の努力を沢山してるのに「だから?」
ボクを抱きしめ始める彼女。
「君は昔さ、 私を助けてくれたじゃない、 いじめっ子とか」
「え、 う、 うん」
「私には君を助けさせてはくれないの?」
親を殺された様に怒りながら悲しみながらボクを見る彼女。
「ボクなんかよりっ」
抱きしめる力が増してボクは驚いた。
女の子の力じゃない。
聖女になると力も増すのか?
「なんかって何!? 私はキミが居たから必死に頑張って来たんだよ!?
キミにふさわしい女の子になる為に!!
なのに・・・君が居なくなってどうするの・・・」
彼女は泣いた。
ボクは子供の頃の様に彼女を撫でた。
「ごめん・・・」
「謝らないでよ、 私にも悪い所は沢山有るよ
山の様に有るよ、 うん、 君が助けを求める前に助けなかったり
聖女になる為の勉強にかまけて君と会う機会が少なくなったり
君が居なくなって3日目でやっと学校を辞めた事に気が付いたり
君を好きだって告白出来てなかったりとか
君の事を誰よりも何よりもずっとずっと
ずっーーーーーーーーーーーーーーーーっと大好きだったのに
それなのに扱いがぞんざい過ぎる、 こんなのダメに決まってるよ
好きな人を守れないのに聖女になるだなんて本当にお笑い草だよ
片田舎の小娘が聖女になるだなんて笑い話だよね、 本当にね」
「「ごめんね、 急に告白して困るよね、 私なんかにね
でも大丈夫だよ、 自分がどうしようもない奴だなんて
昔から知ってた筈なのに、 聖女とか言って調子に乗ってたね、 うん」
彼女がボクの言葉を遮って自責とボクへの好意を話し始める
これはダメだ、 聖女になった彼女がこんな事で道を踏み外すなんて
「君は聖女なんだから、 ボクなんか「黙れ」
口づけをする位に顔を近づけて端的に彼女は言った。
「私はキミへの対応はぜーんぶ失敗だった
本当に好きだったら聖女になったらとか好きだというとか
失敗を恐れるべきじゃなかった保身の結果
私は人生の敗残者、 恋愛の絶対敗者となった」
「いや、 そんな事はないだろう
聖女になったんならお貴族様とか、 もっと狙えるでしょ」
「・・・・・それ本気で言ってる?」
絶対零度よりも低い温度で彼女はボクを見た。
「まぁ、 私は幼馴染でずっーーーーーーーーーーーーーーーーっと
一緒に居る君に対して告白できなかった女だからね
貴族に尻振ってろとか言いたいんでしょ?」
「そんな事は無い!!」
ボクは声を荒げた。
「自分を卑下するなよ!!」「こっちの台詞よ!!」
ボクと彼女は互いに同じ言葉を吐いた。
「・・・・・ボクを連れ戻す気?」
「違う」
彼女の言葉にボクは首を傾げた、 と同時にあぁそうか、 とも思った。
「ボクと一緒に田舎に変える気?」
「違う」
「え? 違う・・・の?」
「うん、 ここで君を逃すのは私の人生の敗北
負けると分かってルールに従う馬鹿は居ない
だから、 私はルールを破った」
「破・・・った?」
白い法衣が黒く染まり彼女から黒い尻尾が生えた。
「主神を裏切って堕落した女神に趣旨替えした」
「!?」
魔物になったと言う事か!? ボクは彼女を引きはがそうとした
するとあっさり彼女はボクから離れた。
ボクは部屋のドアを開いた。
すると外は真っ暗だった、 否、 真っ黒だった。
「私が何で愛しいキミを前にしてグダグダ喋ってたと思ってるの?
もう絶対逃げられない様にするためだよ?」
彼女は手を広げてボクに迫った。
「君から離れないし、 君は逃げられない
一緒に永遠に愛し合おうね」
「ねーねー、 それからパパとママはどうしたの?」
「そこからずっーーーーーーーーーーーーーーーーっとパパとママは
仲良しだよね?」
宿の中の一室と呼ぶにはあまりに異常な空間で永遠とも言える時を
ボク達は過ごし愛し合った。
子供も沢山産まれた、 子供達は窓やドアの外から出て行ったり
ボク達のまぐわいをずっと見ている。
「もう絶対絶対、 君の事を離さないから」
「あぁ・・・ボクも君を離さないよ」
既にボクも魔物となって、 昔の事を思い出せなくなってきた。
この外が黒い部屋の中でずっと彼女とまぐわう事に安心を感じる。
ただ一つ不満があるとすれば少年時代に
彼女と過ごした木漏れ日の優しい日材を感じられなくなったと言う事か・・・
25/03/22 23:48更新 / Mr.後困る