連載小説
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前編
「・・・・・」

川の上の橋で学生服を着た少年が1人柵に顎を乗せながら水面を眺めていた
彼の名前は田鹿 明、高校2年生だ、容姿は並より少し上程度の中性的な顔をしている
彼がこんな所で何をしているのかと言うと自殺しようとしているのだ

「・・・はぁ・・・」

それと言うのも彼には同じ年の幼馴染の少女が居た
彼女の名前は花菱 千華、容姿は金髪ツインテの美少女
聡明なる読者の方々ならもうお気づきだろうが彼女はツンデレである
中学までは幼馴染でとても仲が良かったが
高校に入り彼女が彼を異性と認識してからついつい邪険にしてしまうと言う行動を取っている
自殺の理由と言うのも親しかった彼女に邪険にされ続けたからである
厳密に言うとクラスの人気者である千華が明を邪険にしたので
クラス全員が明の事を『クラスの人気者である千華に嫌われてる悪人』
と認識している為、クラスで孤立してしまったのが自殺の原因である

「僕、何か悪い事したのかな・・・」

彼はそう言いながら柵に足をかけた

「田鹿明さん・・・ですか?」
「?」

柵にかけた足を地面に下ろし声のする方を見る明
そこには黒い修道服の女性が立っていた

「・・・貴女は?」
「そこの教会のシスターです、貴方をずっと探してました」
「・・・探していた?」
「ええ、詳しい話は教会で話します
ここじゃ誰が聞き耳を立てているか分かりませんからね」
「は?え?何?」
「良いから、貴方しか彼女を救える人は居ないんです」
「え?彼女?ってうわ、引っ張らないで・・・わ、分かった分かった!!自分で行きますよ!!」

ほぼ半強制的にシスターに教会に連れて来られた明

「それで?僕に何の用ですか?」
「・・・・・」

シスターは祭壇を弄くった、すると祭壇の下から地下への隠し階段が現れた

「・・・何ですかコレ」
「詳しい話は降りながらお話します」

地下への階段を歩く2人

「田鹿さん、貴方最近変な出来事有りませんでしたか?」
「変な出来事?」
「例えば仲の良かった筈の友人が掌返した様に冷たくなったとか」
「・・・・・何かの宗教の勧誘ですか?」
「別に貴方から金を取る気は有りませんよ、そもそも私は神の教えを広める者・・・
金なんて興味は有りません、私は唯彼女を救ってやりたいだけです」
「だからさっきから言っている彼女って誰?」

階段が終わり、通路に出た、通路には幾つものドアが有りその中の1つの前でシスターが止まった

「この部屋です、さぁ早く行ってあげて下さい」
「・・・・・」

明はゆっくりとドアを開き部屋の中に入った
部屋の中は簡素なベットとソファーと机など生活に必要な物が揃っていた
そしてベットの上に泣きながらこっちを見る千華の姿が

「ち、千華?」
「あ、あきら・・・会いたかったよー!!」

ベットから降りて光に抱きつく千華

「え?ちょ、何?」
「ううう・・・やっと・・・やっと会えた・・・」
「?????」

抱きつき涙を流す千華、混乱する明

「貴方に会えた感動で混乱している彼女に代わって私から説明しましょう」
「お、お願いしますシスターさん」
「簡潔に言うと今、貴方の学校に通っている
貴方を嫌っている千華さんは偽者です」
「・・・え?に、偽者?」
「ドッペルゲンガーと言う奴です、聞いた事有るでしょう?」
「有りますけど・・・本当ですかぁ?」
「信じられないのも無理は無いでしょう、ですが事実です
彼女は偽者の目から逃れる為に2年間この地下で生活していたんです」
「ありえない・・・だ、だって千華の両親は」
「彼女の両親も気付いていません、貴方でさえ気付けなかったのに
気付ける訳が有りません、いや、もう既にご両親も偽者に代わっているかも・・・
本物の千華さんはそれを恐れて私に助けを求めに来たんです」
「で、でも・・・それじゃあ何でもっと早く僕に連絡取らなかったの!?」
「本当ならもっと早く貴方を見つけたかったのですが
大々的に探すと偽者にばれる危険が有ったので探すのに時間がかかりました
今日貴方を見つけられたのは奇跡です」
「・・・それを僕が信じると」
「信じます、だって可笑しいじゃないですか何故
今まで仲が良かった幼馴染が貴方に対してあれ程冷たく接する必要が有るんですか?」
「・・・・・」
「もう1度言います、貴方の学校に通っている貴方の事が嫌いな花菱千華は偽者で
今、ここで貴方をずっと想い続け滂沱の涙を流しているのが本物の花菱千華です」
「・・・・・」
「・・・久々の再開です、2人きりで話して下さい」

そう言うと部屋から出るシスター

「・・・・・」
「え・・・と千華?」
「・・・あ、ご、ゴメンね、くっ付いて」

慌てて離れる千華

「・・・あのシスターさんから聞いたんだけど
私の偽者が貴方を苛めてるって本当?」
「・・・・・・・・・・」

静かに眼を伏せる明

「・・・・・ごめんなさい」
「え?」

頭を下げる千華

「私が早く偽者を何とかしなかったから君をこんな目に・・・」
「そ、そんな事無いよ!!君と彼女は別人なんだろ!?
だったら君が謝る必要は無いよ!!第一、さっきから偽者云々言ってるけど本当なの?」
「・・・・・確かに信じられる話じゃないのは分かってるよ、でも事実なの」
「証拠は?君が僕をからかっていないという証拠は?」
「・・・・・じゃあ怖いけど今から行って見る?」
「何所に?」
「私ん家に・・・偽者のアイツに襲われるかもしれないけど」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!!」

外からシスターが慌てて入ってくる

「彼女を偽者に引き合わせるのは危険です!!ドッペルゲンガーで出会ったら死ぬんでしょう!?
みすみす彼女を危険に晒すのは私、認めませんよ!!」
「じゃあ如何しろと・・・」
「・・・こうしましょう、次の日曜日、貴方達二人で過ごしなさい
そして貴方が信頼する人物に頼み込んでその日の偽者のアリバイを証明して貰いましょう
これなら確実でしょう?」
「うーん・・・でも僕と仲が良い奴なんて・・・」
「楽太郎は?」
「楽太郎?・・・まぁ彼なら・・・」

三橘 楽太郎、明の同級生で端正な童顔の男子学生で
頭が切れ、とても交友関係が広く、面倒事や面白そうな事に首を突っ込んだりする事が大好きな男である
彼は基本的に誰か特定の誰かを嫌う事は無く頼まれて
それが面白そうな事だったら嬉々として引き受ける為、彼を頼り慕う学生達も多い
最近は恋に悩む女子の相談なんかを良くやっているらしい
ただ彼の実家は人に言えない仕事をしている為、黒い噂も色々有る人物である

「・・・じゃあ彼に頼む前に君が本物か確かめさせて貰うけど良い?」
「確かめるって如何やって?」
「僕達しか知らない事を言い合えば良い」
「例えば?」
「・・・僕の好きな食べ物は?」
「ブルーチーズ、だけど何時もは皆に引かれるからってミートスパゲッティと言っている」
「じゃあ、僕が小学校まで飼っていた犬の名前は?」
「飼っていない、預かっていただけって犬の散歩に行く時何時も愚痴ってたじゃない」
「僕が昔書いた小説の主人公の名前は!?」
「穴口探偵、だけどあれを小説と言うのは・・・ねぇ」
「う、五月蝿いな!!まだ小学校の頃の物なんだから仕方ないじゃないか!!」
「色々エキサイトしていますが、これで信じて貰いますか?」
「・・・じゃあ彼に頼んでみるとするよ」

―翌日、昼休み、屋上―

屋上で待っている明

「あたしを呼ぶとは何の用だねアッキー(明)( ノ〃⌒ー⌒)ノ 」

ヘラヘラしながら屋上に来る楽太郎

「頼みが有るんだけど」
「面白い事なら引き受けるよ\(⌒∇⌒)/」
「次の日曜日に千華を見張ってて欲しいんだけど・・・」
「( ̄ー ̄?)」
「良いかな?」
「(;¬д¬) 」
「・・・・・(ああ、怪しまれてる・・・駄目か・・・)」
「まぁ別に良いけどσ( ̄、 ̄=)・・・じゃあ何処かに遊びに誘っておくからお金頂戴( ̄・ ̄)//」
「え・・・じゃあ2万で良いかな」
「そんなにくれんの!?w( ̄△ ̄;)w」
「その代わり見張ってるってばれない様にやってね、後他言無用だよ」
「よっしゃ!!楽ちゃんに任せろい!!(≧∇≦)ノ
あ、一応見張ってたって証拠用にビデオでも取って置こうか。(⌒∇⌒。)三(。⌒∇⌒)。」
「え、でもそれってばれないの?」
「安心しろ、スパイ映画で良く見るボタン型カメラみたいな物持ってるから( ̄▽ ̄)」
「流石はヤクz」
「(  ̄口 ̄)ノ」
「★))゜□。)あべしっ」

―日曜日、遊園地―

次の日曜日、明と千華は遊園地に来ていた

「それで自称本物の千華」
「なぁに?」
「何で僕達はこんな所に居るの?」
「いや、シスターさんが『折角の休み二人で過ごすのだから教会でジッとしてるより
遊園地にでも行った方が良い』って・・・」
「何か違う気がする・・・まるでデートじゃないか」
「で、デート!?」

赤面する千華、言った後で恥ずかしくなる明

「あ・・・そ、その・・・」
「・・・と、とりあえず何か乗ろうよ」
「そ、そうだね・・・」

― 一方その頃、楽太郎は―

楽太郎は千華や他の生徒何人かを連れてカラオケに来ていた

「じゃあまず飲み物注文するよ!!(゚∇^)]」
「はい」

女子の1人が手を挙げる

「はいキッツー(⌒▽⌒)σ」
「コーンスープ」
「( ´_ゝ`)・・・あ、今のはドリンクと言う"飲み物"( ´_ゝ`)を注文する所に( ´_ゝ`)
スープと言う"飲み物"( ´_ゝ`)を注文するって言うのが面白いんだよ( ´_ゝ`)( ´_ゝ`)( ´_ゝ`)」
「・・・あ、ボケじゃなくて普通にコーンスープが飲みたかったんだけど・・・」
「あ、そうなの(  ̄_ ̄)]じゃあ他に注文したい人」
「じゃあ私ファンタグレープ」
「俺も」
「じゃあ俺はジンジャーエール」
「私、サイダー」
「はいはいはい( ̄。 ̄) でビッシー(千華)は如何する?(ノ ̄▽ ̄)ノ」
「私は麦茶で」
「おk把握、じゃあ注文するよー(゚∇^)]コーンスープにファンタグレープ2つ
ジンジャーエールにサイダー、後麦茶で、あたしはしのだそばで(^∇^)]」
「このカラオケって、そばやってるの?」
「やってないよん( ̄▽ ̄)乂」
「じゃあ何で注文してるの?」
「分からないのビッシー?(* ̄ ̄ ̄ ̄ー ̄ ̄ ̄ ̄)フッ」
「その顔ムカつくから止めて」
「ククク・・・じゃあお願いしますよ大将(〃 ̄▽ ̄)]
向かいのカラオケの202号室の『ブラック団御一行様』ですよ(〃 ̄▼ ̄)]」
「出前かよ!!と言うか何だその団体名は!!」

こんな感じで楽太郎は千華達を盛り上げて今日一日カラオケを楽しんだ

「じゃあ一曲目はときめきはバラードにするかーヾ(⌒∇⌒彡☆キャッキャッ彡☆⌒∇⌒)ツ」
「おい、馬鹿、止めろ」
「そんなテンションで歌う曲じゃねぇだろ」

―そして遊園地の2人は―

「ヒィイイイハァッアアアアアアアアア!!!!!」
「テンション上げ過ぎだよ恥ずかしい」

ジェットコースターを満喫したり

『ウバァァアアアアアア・・・!』
「キャ・・・」

明の腕に捕まる千華

「ど、如何したの?」
「暗くて足踏み外した」
『ウギャアアアアアアア・・・!!』
「だ、大丈夫?」
「大丈夫、でも暗くて怖いからこのまま捕まってて良い?」
「別に良いけど・・・」
『ディルラアアアアアア・・・!!!』
「お化け屋敷はスタッフの人が所々居るから
怪我しても安心けど暗いからあんまり好きじゃないんだよね」
「お化け屋敷の人達は怪我しても良い様に配置されてはいないと思うけど・・・」
「だってお化けの中身人間じゃん」
『うわあああああああん!!!怖がれよぉぉおお!!』

お化け屋敷に入ったり

「右手作法で行こう」
「迷おうよ、折角迷路に入ったんだし」
『迷路で迷おうと思うんだったらさっきのお化け屋敷で怖がれよおぉぉ!!』
「おいバイト、気持ちは分かるが持ち場に戻れ」
『しゅ、主任!!』

巨大迷路に迷っていたりした

「御飯食べようか?」
「そうだね、そろそろお昼だし・・・」

2人はフードコートに入りカウンターに並ぶ

「ゴチュウモンヲドウゾ」

茶色の肌の店員が片言で接客する

「じゃあ私はフライドポテトにたこ焼きに」
「タコヤキ二まよねーずハ?」
「要りません、それからラーメンに」
「メンノカタサ、アジノコサ、アブラノリョウ、エラベマスガ」
「麺固めで後全部普通、それからハンバーガー、ピクルス抜きで
チキンナゲットにクレープ、あ中身はカスタードで」
「ちきんなげっとノそーすハますたーずトけちゃっぷ」
「要りません、後、バニラシェイク、明は?」
「相変わらず良く食べる・・・僕は天ぷらうどんで」
「そっちも相変わらずじゃない・・・あ、私払うよ」
「え、良いの?」
「教会に匿って貰ってる間シスターさんの手伝いしてお金貯めてたんだ」
「へぇ・・・」

そうこうしている間に注文の品が来て食べ始める2人

「こうやって御飯食べるの久しぶりだね」
「うん・・・(そう言えば高校に入ってからの千華は全然食べなくなったな・・・
この千華の今まで行動を見ていると完全に僕の知っている千華だ・・・
若しかしたら偽者云々って言う話は本当かも・・・)」

その後色々周り楽しんだ2人

「日も暮れて来たしそろそろ帰る?」
「・・・・・いや、ラストにあれ乗ろう」

千華が指を指したのは観覧車

「観覧車・・・だと?」
「・・・嫌?」
「別に嫌じゃないけど・・・(可笑しい・・・千華は高所恐怖症だったはず・・・
小4の頃に観覧車に乗ったら大泣きした・・・・・まさかこの千華が偽者で僕を嵌めようとしている?)」

―3分後、観覧車の中―

(と思ったらそんな事は無かったぜ)
「ああああ、あの、あの、あのねあき、明、わた、わたし、あの、わたし」

向かいに座る千華は観覧車に乗って30秒後に恐怖に振るえ、まともに会話が成立しなくなった

「ご、ごめめん、ちょ、ちょちょっとあれ、うん、あうん」
「落ち着きなよ」
「ちょ、うん、ま、うん、あ、あれうん」

―更に1分後―

「うああああああああ!!!うあ!!うあああああ!!!」

明達の観覧車がてっぺんに上った

『何で観覧車でこんな怖がるのにお化け屋敷で怖がらないんだ!!』
「うわ!!お化け屋敷のスタッフさん!!」
「降ろしてえぇぇ!!降ろせぇぇ!!!」
「だから持ち場に戻れバイトォ!!」
『うわあああぁぁ主任んんんんん!!!』
「もう殺してぇぇ!!」
「落ち着きなよ千華」
「た、助けて明!!」
「う、うわっ!!」

明に抱きつく千華

「う・・うぐ・・・」
「ちょ・・・千華・・・」

真っ赤になる明

―更に4分後、地上―

「・・・・・さっきはゴメン」
「い、良いよ、気にして無いから」

ベンチに腰掛ける明と千華

「所で千華、何で観覧車に乗ろうって言い出したの?
君は高所恐怖症じゃなかったの?」
「・・・・・良く有るじゃない、ドラマや漫画やアニメとかでさ」

ベンチから立ち上がる千華

「何が?」
「分からない?凄い有るシチュエーションじゃない」
「???」
「鈍感だなぁ・・・・・ほら」

夕日を背に彼女が言う

「夕方の観覧車の中で告白するって言うの有るじゃない」
「・・・え?」
「私さ・・・明に会えなかった2年間、ずっと明に会いたかった
何で父さんや母さんを差し置いて明に会いたかったのか良く分からなかった
だけど今日1日一緒に居てやっと分かったよ・・・・・」

明の元に近付く千華

「月並みな台詞だけど私は明が好き」
「え・・・いや・・・その・・・」
「・・・若しかして私が偽者の千華じゃないかとか思ってる?」
「え、いや、そんな事は」
「じゃあ偽者でも良いよ」
「思って・・・え?」
「もう偽者とか本物とかもう如何でも良い、もう私は花菱 千華じゃなくて良い
ただ田鹿 明の恋人になれればそれで良い」

明の顔に自らの顔を近づける千華

「私を貴方の恋人にして下さい・・・」
「千華・・・」

そして二人は目を瞑り唇を・・・

PLLL、PLLL

明の携帯が鳴る

「「あ」」

明は携帯を取り出した

「・・・良いよ出て」
「・・・・・」

明は電話に出た

『あ、アッキー?楽太郎だけどー(〃 ̄▽ ̄)』
「通話なのに顔文字って便利だね」
『何言ってんの(゚_。)?まぁ良いよ、それより今日だけどさー(⌒∇⌒)』
「如何だった・・・千華の様子は?」
『ああ、ビッシーね( ̄へ ̄)・・・てっきり何か有るのかなーって思って観察したけど
特に何も無かったよ(´ー`)まぁ皆で楽しくカラオケしてラストに皆で魔弾歌ったら良しとするよ(>▽<)
で、今お開きになったから君に電話を入れたんだが・・・それで?( ̄∀ ̄)』
「それで?」
『今回のビッシーを見張ってろって話、一体何の意味が有ったんだ?( ̄0 ̄)』
「・・・・・・・詳しい事は話せないよ・・・でもこれだけは言える」

千華にキスをする明

「!!」
『・・・もしもし?(; ̄ー ̄)もしもし?(´д` ) もしもし?(´д`) もしもーし?( ´д`) 』
「・・・君のお陰で僕に彼女が出来ました」
『・・・何か良く分からんけどおめでとう\( ̄▽ ̄;)/ワーイ?
じゃあ彼女さんとごゆっくりー(-_-)』

電話を切る明

「・・・明」
「千華・・・」

再び唇を重ねる明と千華・・・そして唇を離す

「ん・・・」
「それで千華・・・これから如何する?」
「・・・ホテルにでも行く?」
「ちょ!!」
「冗談よ、そうね・・・学校は行くのは危ないと思う
私の偽者も居るし・・・まだまだシスターさんのお世話になるかな」
「・・・偽者のせいで君が割を食うなんて・・・」
「そうね・・・・でもちょっと偽者に感謝してるかも」
「何で?」
「貴方に思いを打ち明けられたから・・・」
「・・・・・」

赤面する二人

「じゃ、じゃあ教会まで送ってくよ」
「あ、有難う・・・」

明は千華を教会へ送った後帰路に着いた

―翌日、通学路―

明は何時もの通り登校していた、途中千華に出くわした

「あら、田鹿じゃない、丁度良かった私の鞄持ちなさい」
「・・・・・」

千華の呼び止めを無視する明

「・・・ちょっと田鹿」
「・・・・・」

無視する明

「私を無視するなんて偉くなったわね田鹿」
「・・・・・」
「・・・ちょっと!!」

明の肩を掴む千華、即座に振り払う明

「なっ・・・あ、アンタねぇ!!」
「・・・・・」

構わず歩く明

「ちょ、ちょっと?」
「・・・・・」

流石に動揺し始めた千華

「ね、ねぇったら」
「・・・・・」

無視

「何とか言いなさいよ!!」
「・・・・・」

無視

「・・・・・」
「・・・・・」

無視

「な、なんなのよ!!」
「・・・・・」

全力疾走で走る明

「あ・・・ちょっと!!」

追う千華

「・・・・・」

立ち止まり振り返る明

「明・・・!?危なっ!!」

釣られて千華も立ち止まるが立ち止まった場所は道路のど真ん中
トラックがこっちに向かって来る慌てて歩道に走る千華

「っぶねーだろ糞餓鬼ぃ!!」
「っち」

トラックの運ちゃんの怒声が響きトラックが去って行った

「・・・ねぇ、今舌打したでしょ」
「・・・・・」

再び歩き出す明

「今・・・私殺す気だった?」
「・・・・・」
「そ、そこまで悪い事した?」

立ち止まる明

「面倒になって来たから答える、だから離れてくれ」
「な」
「まず最初にお前は極悪人だ、今も尚継続して悪事を現在進行形でしている
殺されても文句なんて言えない」
「わ、私が何をしたって言うの!!」
「お前・・・まさか殺してないからOKだとかそんな考えじゃないよな?もう殺したも同然だ!!」
「は、はぁ!?だから何を言って」
「もう良い、話が通じない・・・あぁそうか、惚けてるのか」
「惚けるって何を・・・」
「お前、成り済ましてるだけだろ」
「は?何の事?」
「・・・・・惚けるのもそこまで行くと立派だな」
「え?え?」
「じゃあね、今度一切僕に近寄るな」



明はスタスタと立ち去った

千華はその場で立ち尽くしていた
19/03/10 22:54更新 / Mr.後困る
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■作者メッセージ
彼女が偽者か本物か?本物に決まっているじゃないか
こんなに僕を好きで居てくれるんだ、彼女は本物に違いない
僕の知ってる千華はとても優しくて良い子だった、こんな嫌な奴じゃない
もう偽者の声なんて聞こえない、もう偽者の姿なんて見えない
お前の事なんか見てやる物か、お前の事なんかに構う物か

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