愛の騎士
「ハンス、お前は残れ」
俺は訓練が終わり家に帰ろうとしていたところを師匠に引き止められた。
「なんで俺だけ!」
「お前は中々筋がいいからなボクが特別に特訓してやろう」
「わかりましたよ」
しょうがなく俺はトボトボと師匠について行く。
「いいかハンス、今日は特訓は愛についてだ」
師匠の部屋まで連れて行かれると、師匠は鎧を脱ぎながら今日の特訓の内容を話し始めた。
「はぁ、愛についてですか? ところで師匠はなんで脱いでるんです?」
「ん? あぁ特訓といっても、今日は座学だからな。ボクだっていつも鎧を纏っているわけじゃないぞ」
師匠は鎧を脱ぎ終わると、下に着ていた純白ドレスのような服装で話を続けはじめる。
「この国は一体何の神様を崇めているかは知っているよな?」
「えっと、愛の女神エロス様でしたっけ」
「そうだ、ボクはエロス様に仕えているヴァルキリーだから魔物を嫌ってはいない、むしろ好いている。今の魔物は愛に生きているからね」
「まぁそうでなきゃ師匠はこの国にいられませんよね」
「……むぅ」
「どうしたんですか師匠?」
師匠は突然困ったような顔をすると何かを考え始めたようだった。
「なぁ、ハンス。今はボクとお前の二人しかいないんだ、ボクのことを師匠と呼ぶのはやめてもいいんだぞ」
「でも、師匠は師匠ですし」
「名前で呼べ、愛を学ぶにはそれからだ」
「えっと、じゃあエルルさん」
「もっと親しみをこめて」
「エルル」
「なんだい? ハンス」
ししょ……エルルはとても嬉しそうな笑顔で俺を見つめる。
「それで、愛の話の続きをお願いしたいんですけど」
「あぁそうだったね、それでハンスは恋人はいるのかな?」
「いえ、いませんけど。それと訓練に何の関係が?」
「よし、じゃあボクがキミの恋人に立候補しよう」
「はい!? 師匠、なに言ってるんですか」
突然のことに俺は驚く、しかも自分が師匠として慕ってきた人が恋人に立候補する言ってきたのだ。
「ボクのことは名前で言うようにと言ったはずだよ」
「いや、でも……今日は愛について教えてくれるんじゃあ」
「だから、愛について教えるには恋人になったほうが分かりやすいだろ?」
「わかりやすいって言われても」
「あぁ、もちろん恋人になるからには責任を取ってハンスと結婚するつもりだから安心しろ」
「そういうことじゃなくて」
「ん? ハンスはボクじゃあ嫌なのか?」
そう言われて改めてエルルを師匠としてではなく、一人の女性として見てみる。
鎧を纏っている時は凛々しくて、鎧を外せばお嬢様のような気品に溢れていて、何より俺の憧れの人で。
……断る理由なんて無い。
「嫌じゃありません、好きです」
「だったら、問題は無いな」
「でも、俺はエルルが守れるようになりたい」
「そこも心配ないぞ、ハンスはボクが惚れた男なんだそれこそ有名な勇者にもなれる素質があるんだからな。それに魔物と伴侶になった男は愛し合えば愛し合うほど強くなれるんだから」
「だから愛を学ぶんですか?」
「そうだ、愛は世界を救うからな。お前には博愛の精神を持った勇者になってもらうさ」
「俺は世界一エルルを愛することを誓うよ」
「だったらボクは世界一ハンスを愛してあげるさ」
ハンスはエルルを愛するあまり勇者として旅にでることなく、エルルと共にこの国の騎士教官として生涯を過ごすことになるのだが、それはまた別のお話。
俺は訓練が終わり家に帰ろうとしていたところを師匠に引き止められた。
「なんで俺だけ!」
「お前は中々筋がいいからなボクが特別に特訓してやろう」
「わかりましたよ」
しょうがなく俺はトボトボと師匠について行く。
「いいかハンス、今日は特訓は愛についてだ」
師匠の部屋まで連れて行かれると、師匠は鎧を脱ぎながら今日の特訓の内容を話し始めた。
「はぁ、愛についてですか? ところで師匠はなんで脱いでるんです?」
「ん? あぁ特訓といっても、今日は座学だからな。ボクだっていつも鎧を纏っているわけじゃないぞ」
師匠は鎧を脱ぎ終わると、下に着ていた純白ドレスのような服装で話を続けはじめる。
「この国は一体何の神様を崇めているかは知っているよな?」
「えっと、愛の女神エロス様でしたっけ」
「そうだ、ボクはエロス様に仕えているヴァルキリーだから魔物を嫌ってはいない、むしろ好いている。今の魔物は愛に生きているからね」
「まぁそうでなきゃ師匠はこの国にいられませんよね」
「……むぅ」
「どうしたんですか師匠?」
師匠は突然困ったような顔をすると何かを考え始めたようだった。
「なぁ、ハンス。今はボクとお前の二人しかいないんだ、ボクのことを師匠と呼ぶのはやめてもいいんだぞ」
「でも、師匠は師匠ですし」
「名前で呼べ、愛を学ぶにはそれからだ」
「えっと、じゃあエルルさん」
「もっと親しみをこめて」
「エルル」
「なんだい? ハンス」
ししょ……エルルはとても嬉しそうな笑顔で俺を見つめる。
「それで、愛の話の続きをお願いしたいんですけど」
「あぁそうだったね、それでハンスは恋人はいるのかな?」
「いえ、いませんけど。それと訓練に何の関係が?」
「よし、じゃあボクがキミの恋人に立候補しよう」
「はい!? 師匠、なに言ってるんですか」
突然のことに俺は驚く、しかも自分が師匠として慕ってきた人が恋人に立候補する言ってきたのだ。
「ボクのことは名前で言うようにと言ったはずだよ」
「いや、でも……今日は愛について教えてくれるんじゃあ」
「だから、愛について教えるには恋人になったほうが分かりやすいだろ?」
「わかりやすいって言われても」
「あぁ、もちろん恋人になるからには責任を取ってハンスと結婚するつもりだから安心しろ」
「そういうことじゃなくて」
「ん? ハンスはボクじゃあ嫌なのか?」
そう言われて改めてエルルを師匠としてではなく、一人の女性として見てみる。
鎧を纏っている時は凛々しくて、鎧を外せばお嬢様のような気品に溢れていて、何より俺の憧れの人で。
……断る理由なんて無い。
「嫌じゃありません、好きです」
「だったら、問題は無いな」
「でも、俺はエルルが守れるようになりたい」
「そこも心配ないぞ、ハンスはボクが惚れた男なんだそれこそ有名な勇者にもなれる素質があるんだからな。それに魔物と伴侶になった男は愛し合えば愛し合うほど強くなれるんだから」
「だから愛を学ぶんですか?」
「そうだ、愛は世界を救うからな。お前には博愛の精神を持った勇者になってもらうさ」
「俺は世界一エルルを愛することを誓うよ」
「だったらボクは世界一ハンスを愛してあげるさ」
ハンスはエルルを愛するあまり勇者として旅にでることなく、エルルと共にこの国の騎士教官として生涯を過ごすことになるのだが、それはまた別のお話。
14/09/17 08:36更新 / アンノウン