読切小説
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アルプになんか絶対負けない!
「よっす、おはろー」
「おう、おはょ……なにそのツノ?」

朝、学校で親友からの挨拶の返事をしようとして俺は言葉に詰まった。何故かって? 親友がいきなり魔物になったら驚くしかないだろ。

「いやー、朝起きたら女になってたんだよ。ヤバイね」
「ヤバイ……じゃねえだろ。もっと焦れよ」

コイツは元々女顔だったが、これじゃあもう男子制服を着たかわいい女の子にしか見えないな、いや実際そうなってるのか。

「ほら、この学校は魔物かなり多いじゃん? だから、その魔力に当てられてアルプになったんじゃないかなとボクは睨んでるわけですよ」
「おう、それで?」
「やっぱり、オナニーの快感って男より女の方がすごかったわ」
「いや、確かに気になってはいたけど今はそんなこと聞いてないからな」
「えーだったらナニを聞きたいんだよ。あれか、ボクの朝のオカズを聞きたいのか?」

堂々と俺に下ネタをふってくる所とかは変わんないんだな、そこらへんは安心できるか。

「その情報もいらん。焦りとかないの? なんでこうなったんだ、とかさ」
「なったもんは仕方ないだろ、むしろ女になれてボクは喜んでるし」
「あぁ、そうかお前はそういう奴だったな、何か起こったらそれを全力で楽しむ奴だった」
「今も全力で楽しんでるよ」
「例えば?」
「ほら、男子の制服って羽とか尻尾を通す穴なんて開いてないだろ?」
「そりゃな、普通は生えないからな」
「だからTシャツやパンツの下に入れるしかないわけよ、生えたてで敏感だからか知らないけど擦れたりすると……んっ……きもち、いい」

学校で堂々とオナるとか、レベル高すぎだろコイツ。

「変態だな、お前」
「男はみんな変態だろ? ボクは元男だけど。それにキミだって本音を言えば今のでちょっとは興奮したんじゃないの?」
「まぁ……確かにちょっと色っぽいとは思った」

実際、コイツの喘ぎ声で興奮したのは本当だし、隠したところで変に勘が鋭いから隠し切れないので正直に言う。

「そっかぁ、キミはボクで興奮できるくらいには意識してるんだね」
「まぁ、今のお前すごいかわいいし。しょうがないだろ」
「ほほう? ボクをかわいいと言ってくれたね。これは女になって一番嬉しいかもしれないな」
「嬉しいって、男にかわいいなんて言われて嬉しいのかよ」
「今のボクは女だよ、男に褒められて嬉しくない訳がないだろ」

ダメだ、コイツは完璧に女を楽しんでやがる。

「あれ、でもアルプって好きな男がいないとならないんじゃなかったっけ?」
「それなら、ボクが好きなのはキミだからね。この学校は魔物が多いしキミにもすぐに彼女が出来るんだろうなと思って諦め掛けてた所でアルプになれたから最高だね」

えっなにその衝撃発言。

「マジで俺のことが好きなの?」
「本気だよ、キミが彼女欲しいとか言ってるときも、ボクは女に生まれてたらすぐにキミに告白するのに他の女の子は見る目がないなぁとか思ってたよ。ってことでボクを彼女にどうよ?」
「えっと、いきなりそんなこと言われても」

昨日まで男だった親友に告白されても、気持ちの整理がつかない。

「キミ好みに成長するおっぱい付き」
「あー、そういわれると結構迷うなぁ」

男はみんな変態だ。

「今ならなんと、羽が敏感だからキミが後ろから背中を触るだけで遠隔ロータープレイモドキができるオマケ付き」
「買った!!」

何度でも言う、男はみんな変態だ。

「よっしゃ、これでボクはキミの彼女だ」
「勢いに任せて、買ったなんて言ったけどお前はそれでいいのか?」
「お客さん、返品は聞きませんよ。自分の発言に責任待たなくちゃ」
「そうじゃなくて、こんな軽いノリで付き合うことになっても」
「気にしないよ、キミは自分が大切なものは大事にするって分かってるし。それにボクはキミにならどんなハードなプレイを要求されても嬉しいからね」
「楽しんでるなお前」
「そりゃ好きな人が隣にいるんだから楽しいに決まってるだろ」

爛々と輝く笑顔を見て、俺はコイツにはずっと勝てないんだろうなと悟った。
14/09/17 08:37更新 / アンノウン

■作者メッセージ
アルプには勝てなかったよ……

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