読切小説
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貴方に歌を ボクの心を
「あの、いきなり人の部屋にきて無言で睨みつけてくるのやめてもらえませんか?文句があるなら、なんか言ってもらわないと俺も対処のしようがないんだけど」

そう言ってもなお薄い緑色をした花蓮の瞳は俺をにらみ続けている。
俺は一体何かしただろうか?自分の記憶の限りではいつもと同じようにしていたはずなのだけれど。

「……なにもしてない」

花蓮はムスッとしながら言って、そのままそっぽを向いてしまった。

「なにもしてないなら何でそんなに怒ってるんだよ」

「だから怒ってるんだよ、せっかく好きな人と付き合えたのに付き合う前と距離が変わらないなんて寂しいだけなのにさ」

俺は花蓮と一緒にいるだけで満足してたけど、彼女にとってはそれは友達としての関係で恋人としてはもっと親密な関係になりたいんだ。
これは流石に自分のことしか考えられなかった俺が悪いな。

「だったらどうしたら許してくれる?俺は花蓮が笑顔になるなら何でもするよ」

「じゃあキスしてよ、今はそれで許してあげる」

そう言って花蓮はしてやったりという顔でこちらを向くと、そのまま目を閉じた。
なんていうか彼女の安心しきって目を瞑っているところを見ているとちょっといたずらしたいって気持ちが芽生えてくる。
だから俺は、そっと彼女の額にキスをした。

「むぅ、期待してたのと違う」

花蓮が少し残念そうな顔をするが、なかなか満更でもなさそうだ。まぁ、今回は場所を指定されていたわけでもないから俺が悪いわけじゃあないよな。

「じゃあ、ボクもお礼しないとね」

花蓮はそう言うといきなり俺に抱きついてきた、羽が首にあたって少しくすぐったいけれどそれは彼女が俺のそばにいる証拠であってなんだか安心する。

「ちょっと恥ずかしいから、目を瞑っててね」

俺は多分同じ事をされるんだろうなと思いつつ言われたとおりに目を瞑る。すると花蓮は俺の耳元で歌を歌ってきた、子守唄のように優しいメロディーなのに俺は彼女をより愛しく感じてそのまま彼女自身を欲しいという気持ちが強くなっていく。
そうだ、花蓮はセイレーンだった。あまり人前では歌わないし彼女も歌にこだわりがそこまであるわけじゃないって言っていたから、あまり気にしていなかったけれど。

「久しぶりに歌ったから恥ずかしかったけど、キミのために心を込めた『特別な歌』はどうだった?一応あんまり魔力は込めなかったけど」

「すごく良かったよ、綺麗な歌声だったし何より花蓮の気持ちが凄く伝わったから」

花蓮が歌い終わったあとも何とか保てた理性で感想を言う。彼女がもう少し魔力を込めていたら歌っている途中でそのまま襲っていたはずだ。

「ありがと」

花蓮が笑顔で俺にキスをしてきた。唇と唇が触れるだけのキスだったけれど、限界だった俺の理性が崩れ落ちるのには十分な笑顔とキスだった。
そして俺はそのまま花蓮をベッドに押し倒した。

「あれ、どうしたの?ボクをからかうんだったら、キミは押し倒してもそれ以上できないってわかってるんだかっん!?」

花蓮が何か言いかけていたけれども、無視して口を塞ぐようにキスをする。さっきみたいな軽く触れるだけじゃない舌と舌を絡ませるねっとりとした激しいキス。
どうやら花蓮もいきなりな事で驚いてたようでしばらくはなすがままだったけれど、なにをされてるかがわかるとそのまま自分から俺を求めるように舌を絡ませてきた。

「ぷはぁ。いきなりで驚いちゃったけど、キミなら最後まで……いいよ」

長いキスを終えたあと、花蓮は顔を赤らめながら恥ずかしそうに言った。そして俺はそのまま彼女の首筋にキスをする。そのまま彼女の髪の甘い香りがよりいっそう俺の頭を麻痺させる。

「ひゃう、ズルイよボクが首筋弱いこと知ってるくせにぃ」

いつもは強気な花蓮が攻められるとこんなにも甘い声を出すなんて知らなかった。けれどそれと同時にもっとこの声を聞いていたい、独り占めしたい、そんな気持ちも湧き上がってくる。
控えめな胸の双丘に手をかけてみると、ブラジャーの上からでも俺の手に収まりきった。

「あぅ……やっぱり胸は大きいほうが好きかな?」

心配そうに見つめてくる花蓮を俺はもう一度抱きしめる。こんなに愛くるしい生物がこの世界にいて、それを俺が独占できるなんてそれだけで幸せだ。

だから俺は答えの代わりに手をブラジャーの下に潜り込ませてそのまま花蓮の胸を最初はゆっくりと優しく、そして徐々に激しく揉んでゆく。
指が彼女の小さな突起に掠るたびに「んっ」という小さく可愛い声が彼女の口から漏れているのを聞いていると、俺は我慢できなくなりブラジャーをずらした。そこには綺麗なピンク色をした小さな果実が二個がなっている、俺にはその果実がいかにも自分に食べて欲しいように見えて迷わずに片方を口にした。

「ぁん♪……なめちゃ……らめぇ」

その果実を舌で転がしていると花蓮は甘えるように呟いてきた、だから俺はそれを軽く甘噛みする。

「あっ……ダメっ……キちゃうっ!!」

花蓮の体がビクッと震える、どうやら今ので達してしまったようだ。その少し疲れたような官能的な姿を見て俺も我慢できなくなり、自分の分身を取り出した。

「んっはぁ♪ついにボクはキミとひとつになれるんだよね……嬉しいなぁ。ボク、もうビショビショだから大丈夫だよ」

そう言って花蓮はホットパンツとパンティーを脱ぐと彼女の言ったとおりにビショビショに濡れている無毛の秘所が露になった。
俺は自分の分身を秘所に押し付けながら、ゆっくりと沈めていく。すると先端が入った辺りで何かに進入を阻まれた。

「そのまま……全部っ入れちゃて……初めてだけど、キミに初めてが捧げられて……ボク、すごくうれしいんだよ♥」

花蓮に言われるがままに俺は分身を無理やりに押し込んでいく。彼女の中はとても熱く、そして分身を気持ちよくさせようと別の生き物みたいににゅるにゅると絡みついてきて全部入った頃には、もうすでに俺は達してしまいそうだった。

「全部入ったの?……イタイのにキミが入ってきているのがわかるだけで……キモチよくてボクもうなにかキちゃいそうだよ♥」

俺は一度落ち着くために、花蓮の中に分身を入れたまま彼女にキスをした。お互い涎がこぼれているのも気にせずに舌を求め合う、さまざまに絡み合わせては何度もお互いの唾液を交換して味わう、それを幾度となく繰り返していく。

「もう、動いても大丈夫だよ……痛みも退いてきたし、キモチイイだけだから」

そう言われて、俺はゆっくりと腰を動かし始めた。入れただけでも達しそうに気持ちよかったのだ、すこし落ち着いたぐらいではまたすぐに絶頂へと俺は導かれてしまう。

「あんっ♪……でそうなんだよねっ……ボクもしゃっき一人でイっちゃったからぁ……ボクの中でいっぱい出しちゃっていいよぉ♥」

花蓮は少し呂律が回らない口調で言うとそのまま足を俺の腰に絡めてきて逃がさないようにガッチリとホールドしてきた。
そして俺はこらえきれずにそのまま彼女の中であっけなく果ててしまった。

「あぁぁ♪……キミのオチンポが……ビクビクってなってて♥……しぇえしがいっぱいでてりゅのわかるよぉ♥」

一回出したにもかかわらず、花蓮の中は相変わらず俺の分身を激しく攻め立ててくる。それによって萎えかけた分身は再び元気を取り戻していく。

「まだだしぇるの?……ボクももっろキモチよくなりたいし♥……もっといっぱいらして♥」

俺は完全に呂律の回らなくなった花蓮をお返しと言わんばかりに激しく動き始めた。俺が動くたびに彼女は艶のある喘ぎ声を何度も上げる、それを聞いた俺は一度吐き出して余裕があるからかさらに強く腰を打ち付ける。何度もそれを繰り返していった。

「もうっらめぇ……クりゅっ!おっきいのキちゃうぅぅっ♥」

数十回繰り返した頃に花蓮が大きく叫んだ、それと同時に彼女はきつく締め付けてきた。再び我慢の限界となっていた俺の分身は彼女と同時に達していった。
流石にインキュバスではないので、もう出せなくなった俺が分身を花蓮から引き抜くと、彼女の初めての証と俺自身の欲望が混ざり合ったピンクの液体がドロリと彼女の秘所から流れ出してきた。

「はぅぅ、もったいないなぁ」

花蓮は自身の秘所から流れ出るそれを翼で器用に掬い上げるとそのまま口元に運んでいき、ぺろりとなめてしまう。

「んっやっぱりキミの精子美味しい♥」

なんというかその姿にも少し興奮を覚えてしまった。でも今はそれを我慢する、これ以上搾り取られると本当にきついものがあるから。

「花蓮、ちょっとこっち向いてくれ」

俺はそう言って、こっちを向いてきた花蓮に最初と同じような唇同士が触れるだけのキスをした。

「まぁ、行為をした後もしっかりこういうことをするのが女性は一番嬉しいって聴いたことがあったからしてみたんだけど」

聞いただけだが、しないよりは遥かにマシだろうと考えて俺はキスをした。その感想を花蓮に聞いてみると。

「……もしかして、理性戻ってきてる?」

花蓮が当たり前な質問をしてきた。確かに最初は理性が吹き飛んで押し倒してしまったけども、途中からははっきりと俺は自分の意思で彼女を愛していたはずだが。それに対して俺は頭を縦に振って頷く。

「これは責任をとってもらわないとなぁ、ボクは初めてをキミに捧げちゃったんだし」

「ちょっと待て、初めてなのは俺も一緒の条件だぞ」

俺は少し慌てる、もちろん責任を取れと言われたならとるつもりだがまるで脅されるように言われると正直良い気はしない。

「冗談だよ、ボクだってキミが初めてなのはわかってたし、だけどさ一つだけ約束してくれるかな?」

「約束による、言わないだろうけど一夜限りの過ちだったことにしようなんていうのは絶対にいやだぞ」

「そんなこと冗談でも言わないよ。ずっと、ボクのことを好きでいてね」

「当たり前だ、だって俺は花蓮のこと愛してるから」

そう言って俺は花蓮に再びキスをした。
14/09/17 08:41更新 / アンノウン

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