読切小説
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ボクはアナタに恋してる
ボクはアナタのいつだって傍にいた。

ボクはアナタが生まれた年と同じ年に生まれて、家も隣同士だったこともあってよく一緒に遊んでいたね。

人見知りだったボクを引っ張って探検に出かけたりして、ボクが転んで膝を擦りむいて泣き出したときはアナタはどうしていいかわからずオロオロしていた。

ボクがおままごとをやりたいと言った時は嫌々ながらもしっかり付き合ってくれたよね、ありがとう。

いつも遊んでいるうちに風がよく通る丘を見つけて二人だけの秘密の場所にしたよね。

小学校に入ってからは二人で一緒に居るとカップルだ、なんてからかわれた事もあって学校じゃあ一緒に遊ばなくなったっけ。

それでも休みの日はボクが飛ぶ練習を手伝ってくれたり、なんだかんだでよく遊んだね。ボクが始めて飛べたときはアナタは自分のこと以上にも喜んでくれた、その時の顔をボクは今でも覚えてるよ。

よく喧嘩して、秘密の場所で仲直りしたりもしたね。一緒に寝そべって風を受けながらお互いに「ごめんね」って言って。

中学に入ってからはお互いに部活動に入って遊べなくなる時間が多くなったね。ボクは合唱部で、アナタはテニス部。

そんな中、アナタは女子テニス部の子と付き合うことになったって真っ先に仲が良いボクに話してくれたよね。ボクはあの時「おめでとう」の一言しか言えなかった。

だって、ボクは悲しかったから。ボクの中の大切な物が壊されたような感覚があったんだ。そこで初めてボクはアナタに恋していることに気づいたんだ。

ボクは一人で泣いていた、アナタに見られたくなくて自分の部屋で。アナタに気づいて欲しくて二人だけの秘密の場所で。

ごめんね、あの時はアナタの幸せを喜んであげられなくて。

数ヶ月たったころにアナタが振られたって泣いていたね、ごめんね。ボクはあの時喜んでしまっていたんだ。アナタがボクと一緒に居られるって。

高校に入ってボクがアナタに告白したとき、アナタは二つ返事でOKしてくれたね。ありがとう。本当に嬉しかったよ。

そこからボクとアナタの恋人としての関係が始まったんだね、お互い不器用でどうやって愛を伝えたらいいのか分からなくて、

今までと変わらないような毎日を送っていたよね。

それでも、ボクは……魔物としての本性なのかな?アナタとキスしたい、繋がりたい。って思うようになっていったんだ。

そして、ボクはある日アナタをボクの部屋に呼び出して押し倒してしまった。その日が発情期だったのもあるかもしれない、でもほとんどは自分の意思だったよ。

その日以降、ボク達はことあるごとに体を重ねていったね。当たり前だけど少ししてボクに子供ができてしまった。

高校卒業まで隠し通せたけど、あの時は二人で冷や冷やしてたね。そして卒業してすぐに結婚。

でもね、結婚して子供が出来てもボクはアナタに今でもこう思ってるよ。

「ボクはアナタに恋してる」ってね。
14/09/17 08:42更新 / アンノウン

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