夏の暑さが惑わす心
「兄上、暑いのだ」
そういいながら妹が擦り寄ってくる。身に着けているものは下着だけで、頭には数ヶ月前までは無かったはずの角が生えている
。角だけではない、手も足も既に人間のものではなく異形のものになってしまっている。
原因は分かっている、兄の嫁になった人が確かリリムという種族だったはずだ。あの人が悪戯をしたと言っていたから。
魔物が普通に社会に溶け込んでいる今はそんなもの珍しくは無い。でも、それが自分の妹がそうなってしまっていたのなら話は
別だ。事実、俺は久しぶりに実家に帰ってきたら妹が魔物になっていて焦ってしまった。どう接していいのか分からず、距離を
とってしまった。
だが、妹は変わらない距離で俺と接してくれていた。だからいつも通りでいいのだ、自分にそう言い聞かせてやっといつもと同
じ日常を送れるようになっていた。
「暑いならくっつくな、余計に暑くなる」
「久しぶりに一緒にいられるんだから、くっついてもいいじゃない。それに扇風機の前を陣取っている兄上が悪いの」
汗でTシャツがべったりと肌に張り付いて妹の凹凸のないボディラインがくっきりと浮かび上がっている。そこに一瞬変な妄想
をしてしまったのは妹が変わってしまったからか、それとも暑さで俺がおかしくなったのか、おそらく後者であろう。妹は姿は
変わっていても中身が変わってしまった訳じゃないのだから。
「もうこうなったら俺は水風呂に入ってくる」
「兄上ずるいのだ、私も入る」
「俺の後に入りゃいいだろ、お前だってガキじゃないんだから一人で入れるだろうが」
俺は自分の部屋からのっそのっそとだるいながらも出て行き風呂場に向かう、後ろで妹が悪巧み特有の笑みを浮かべてるのにも
気づかずに。
「暑い日の昼間に水風呂に入るのは最高の贅沢だな」
俺はシャワーで汗を流した後、少し冷たく感じる風呂に入りながら独り言をつぶやく、やっぱりさっきの一瞬の変な妄想は暑さ
でおかしくなっていただけなのだろう。実の妹にそんな考えるわけ無い、考えるはずが無い、考えちゃいけないんだ。
「兄上、私も入るよ」
いきなりガラガラっと扉を開け妹が風呂場に入ってきた。体にタオルは……巻いてない。いや風呂に入るんだから当たり前だけ
どそこはせめて巻いて欲しかった。
「俺の後に入れって言ったじゃねぇか」
俺は妹に背を向けながら話す。
「だって兄上が長風呂してるんだもん、それに別に誰も気にしないでしょ」
そう言いながら妹はシャーいう音とともにシャワーを浴びる。
「ところで、兄上って向こうで彼女とかできたの?」
チャポンと湯船につかりながら聞いてくる。いたら妹に欲情しかけるような下種なことにはなってないんだがなぁ。
「いねぇよ、いたら報告してるからな」
背中合わせになりながら会話する。小さな背中から体温が伝わってくる。
「そっか、じゃあ兄上ちょっとこっち向いて」
言われるがまま顔を向ける。そうしたとたんに唇をふさがれていた、妹の小さな舌が俺の舌に絡ませられる。存分にキスをした後、妹は唇を離した。
「次に帰って来るまでに彼女ができなかったら私が兄上のお嫁さんになってあげるからね」
妹は笑顔で言う、俺は何も言えずにそのまま風呂からすぐに上がった。
なんでだ、なんであんなことをされた?俺の下心が読まれたから?からかっただけなのか?訳がわからない。する必要なんか無いはずだ、それに魔物になったとはいえ兄妹だぞ。
自分の部屋で俺は自分のしたことを悔やんでいた。水風呂に入って涼しかったはずなのに、気温と自分のしてしまった事で流れるように汗が吹き出ていた。
「兄上、どうしたの?」
原因が後ろから話しかけてくる、向こうも急いで上がってきたらしく髪が濡れている。
「さっきまでお風呂入ってたのに汗だくだね」
そのまま俺に抱きついてきて首元をペロッと舐めてきた、一瞬俺はビクッっとしてしまう。
「少しショッパイね、兄上の汗」
俺には妹がなぜこんなことをするのか分からない、理解できない。
「兄上は私の行動がわからなくて戸惑ってるんでしょ?分かるよ。だから、教えてあげる。私は兄上が好きなの、兄弟としてではなく異性として」
「好きだと!?ふざけるな。俺たちは兄妹なんだお前のしたことを血の繋がった兄妹でやるべきことじゃないんだぞ」
俺は声を荒げる、妹の気持ちは許されざることだから、揺れてしまっている自分の心にも言い聞かす為に叫んだ。
「魔物には、兄や妹なんか……血のつながりなんて関係ないんだよ。だから私は義姉さんに頼んで魔物にしてもらったの」
「それでも駄目なことなんだ」
本当は?うれしかったんだろ?さっきのキスが、首元を舐められた感触が、心地良かったんだろ?心の奥でそう語りかけてくる自分がいる。
「なんで?好きな人に好きと伝えてるだけ、好きな人に自分をあげたいだけ、それが駄目なの?兄上だってさっきのキスを拒まなかったじゃない本当に駄目だと思っているなら押しのけられたでしょ?」
そうだ、お前はこいつに欲情したじゃないか。なのに今更否定することは無いだろ?
違う、俺は、俺は……
「だから、ね。兄上、私と一緒に堕ちてしまおう?」
あぁ……俺は堕ちていくんだ。
そういいながら妹が擦り寄ってくる。身に着けているものは下着だけで、頭には数ヶ月前までは無かったはずの角が生えている
。角だけではない、手も足も既に人間のものではなく異形のものになってしまっている。
原因は分かっている、兄の嫁になった人が確かリリムという種族だったはずだ。あの人が悪戯をしたと言っていたから。
魔物が普通に社会に溶け込んでいる今はそんなもの珍しくは無い。でも、それが自分の妹がそうなってしまっていたのなら話は
別だ。事実、俺は久しぶりに実家に帰ってきたら妹が魔物になっていて焦ってしまった。どう接していいのか分からず、距離を
とってしまった。
だが、妹は変わらない距離で俺と接してくれていた。だからいつも通りでいいのだ、自分にそう言い聞かせてやっといつもと同
じ日常を送れるようになっていた。
「暑いならくっつくな、余計に暑くなる」
「久しぶりに一緒にいられるんだから、くっついてもいいじゃない。それに扇風機の前を陣取っている兄上が悪いの」
汗でTシャツがべったりと肌に張り付いて妹の凹凸のないボディラインがくっきりと浮かび上がっている。そこに一瞬変な妄想
をしてしまったのは妹が変わってしまったからか、それとも暑さで俺がおかしくなったのか、おそらく後者であろう。妹は姿は
変わっていても中身が変わってしまった訳じゃないのだから。
「もうこうなったら俺は水風呂に入ってくる」
「兄上ずるいのだ、私も入る」
「俺の後に入りゃいいだろ、お前だってガキじゃないんだから一人で入れるだろうが」
俺は自分の部屋からのっそのっそとだるいながらも出て行き風呂場に向かう、後ろで妹が悪巧み特有の笑みを浮かべてるのにも
気づかずに。
「暑い日の昼間に水風呂に入るのは最高の贅沢だな」
俺はシャワーで汗を流した後、少し冷たく感じる風呂に入りながら独り言をつぶやく、やっぱりさっきの一瞬の変な妄想は暑さ
でおかしくなっていただけなのだろう。実の妹にそんな考えるわけ無い、考えるはずが無い、考えちゃいけないんだ。
「兄上、私も入るよ」
いきなりガラガラっと扉を開け妹が風呂場に入ってきた。体にタオルは……巻いてない。いや風呂に入るんだから当たり前だけ
どそこはせめて巻いて欲しかった。
「俺の後に入れって言ったじゃねぇか」
俺は妹に背を向けながら話す。
「だって兄上が長風呂してるんだもん、それに別に誰も気にしないでしょ」
そう言いながら妹はシャーいう音とともにシャワーを浴びる。
「ところで、兄上って向こうで彼女とかできたの?」
チャポンと湯船につかりながら聞いてくる。いたら妹に欲情しかけるような下種なことにはなってないんだがなぁ。
「いねぇよ、いたら報告してるからな」
背中合わせになりながら会話する。小さな背中から体温が伝わってくる。
「そっか、じゃあ兄上ちょっとこっち向いて」
言われるがまま顔を向ける。そうしたとたんに唇をふさがれていた、妹の小さな舌が俺の舌に絡ませられる。存分にキスをした後、妹は唇を離した。
「次に帰って来るまでに彼女ができなかったら私が兄上のお嫁さんになってあげるからね」
妹は笑顔で言う、俺は何も言えずにそのまま風呂からすぐに上がった。
なんでだ、なんであんなことをされた?俺の下心が読まれたから?からかっただけなのか?訳がわからない。する必要なんか無いはずだ、それに魔物になったとはいえ兄妹だぞ。
自分の部屋で俺は自分のしたことを悔やんでいた。水風呂に入って涼しかったはずなのに、気温と自分のしてしまった事で流れるように汗が吹き出ていた。
「兄上、どうしたの?」
原因が後ろから話しかけてくる、向こうも急いで上がってきたらしく髪が濡れている。
「さっきまでお風呂入ってたのに汗だくだね」
そのまま俺に抱きついてきて首元をペロッと舐めてきた、一瞬俺はビクッっとしてしまう。
「少しショッパイね、兄上の汗」
俺には妹がなぜこんなことをするのか分からない、理解できない。
「兄上は私の行動がわからなくて戸惑ってるんでしょ?分かるよ。だから、教えてあげる。私は兄上が好きなの、兄弟としてではなく異性として」
「好きだと!?ふざけるな。俺たちは兄妹なんだお前のしたことを血の繋がった兄妹でやるべきことじゃないんだぞ」
俺は声を荒げる、妹の気持ちは許されざることだから、揺れてしまっている自分の心にも言い聞かす為に叫んだ。
「魔物には、兄や妹なんか……血のつながりなんて関係ないんだよ。だから私は義姉さんに頼んで魔物にしてもらったの」
「それでも駄目なことなんだ」
本当は?うれしかったんだろ?さっきのキスが、首元を舐められた感触が、心地良かったんだろ?心の奥でそう語りかけてくる自分がいる。
「なんで?好きな人に好きと伝えてるだけ、好きな人に自分をあげたいだけ、それが駄目なの?兄上だってさっきのキスを拒まなかったじゃない本当に駄目だと思っているなら押しのけられたでしょ?」
そうだ、お前はこいつに欲情したじゃないか。なのに今更否定することは無いだろ?
違う、俺は、俺は……
「だから、ね。兄上、私と一緒に堕ちてしまおう?」
あぁ……俺は堕ちていくんだ。
14/09/17 08:42更新 / アンノウン