連載小説
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出会い〜彼からみてどうなった?〜
正直、俺には信頼を置ける人間なんて居ない。信じたところで裏切られたら意味ないし、それに……俺が人を信じていい人じゃないから。だから俺は色がつかなくなっていった、景色も、人も、何にもかかわりたくなかったから。

それなのに、俺は彼女に……フロクアに出会って、甘えてしまったんだ。それは俺には許されないことだった。とても、とてもつらくて悲しい結果になるのは分かっていたのに……俺は……

俺とフクロアが出会ったのは偶然だった。学校の四階にある空き教室がいつもの俺の居場所で、そこ以外はいつも居心地が悪かった。人がいっぱい居て、苦しくなる。

でも、その日はフクロアがそこで空を眺めていた。多分俺は初めてフクロアの姿を見たときに心を奪われてしまったのかもしれない。彼女が空を見ている姿は、とても寂しそうで、羨ましそうで、憎悪に満ちていたから。

そんなフクロアに俺は何か自分と同じものを感じて、声をかけたんだ「どうしたの?」って。

そしたら彼女は少し驚いていた、誰も居ないと思っていたところでいきなり声をかけられたら当たり前の反応か。

でも、すぐに「空を見ていたの」と答えてくれた。俺が「何で?」と聞くと、彼女は「なんとなく」と答えた。

会話じゃない、ただの受け答え。それでも俺の心に何かが満たされていくのを感じた。それが気になってもっと彼女と話したくなった。

次の日も彼女は俺の居場所に来てくれて、くだらない受け答えをしていた。そんな日が繰り返して、受け答えが会話になったときのことだった。

「フクロア、ボクの名前はフクロアだよ。キミはなんて言うの?」彼女からの初めての質問だった。彼女から話しかけられるのは珍しくてキョトンとしてしまったが「俺はシュトラだ。よろしくな、フクロア」とすぐ名乗っていた。このときならまだ他人に戻れたかもしれないのに。

フクロアは普通の女の子だった、お洒落をしたり、誰かに認めてもらおうとして背伸びしたり。会話の限りじゃ本当に普通の女の子だった。でもそれが本当なら、俺と同じように誰も居ない空き教室になんか来ない事ぐらい分かってる。

でも、俺はそんなこと責められない。俺も彼女との会話なんて嘘ばっかりで理想の自分を並べてるだけだったから。

それでも、俺はフクロアと会話するときに満たされる感覚が心地よくて、嘘でも彼女と一緒に居たくなっていった。そんな嘘の関係が長くは続かない事ぐらい理解はしていたけど、一瞬でもあの感覚を味わって居たかったから。
11/05/06 03:50更新 / アンノウン
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