プレゼントは突然に
あれは今年の元旦での出来事だった。
あの日、ボクは新年早々オーディションに落ちてイライラしていた。いつものアパートの扉でさえ全て鉄で出来てるかのように重く感じられたほどだ。
扉を開け「ただいま」と一人暮らしだから絶対に返事の返ってこない挨拶をした……はずだった。「お帰りなさい」と玄関で言う、少しニヤついた顔をしたよく見た顔が居るまでは。
ボクは扉を閉め、部屋を確認する。ここはボクが部屋を借りてるアパートに間違いない、表札もボクの苗字であっている。もう一度、扉を開ける。よく見た顔が「お帰りなさい」の言葉を発する前に扉を閉めた。再度部屋を確認、間違っていないここはボクの部屋だ。そして扉を開けた。
「確認しなくてもここはお前の部屋だぞ」
ボクの幼馴染が言ってきた。部屋を確認する原因になった奴がどの口で言うか!!
「一つ質問するよ、何でキミがここに居るんだ?」
「んー……赤い服を着ていて白髭を関羽ぐらいの長さまでモフモフさせた爺さんに後ろから殴られて、気付いたらここに居た」
「ゴメン、そのお爺さんが活躍するイベントは一週間ぐらい前だったと思うんだ。それにボクはそのイベントのプレゼントにキミを頼んだ覚えはない」
「じゃあ、あれだな配達期間を間違えたんだな、その爺さんは。間違えて今年の分のプレゼントを持ってきたんだ!!」
「それは凄いな、キミはどんだけ自分に自信を持っているんだ?大体ボクはその頃には一流アイドルになってるかもしれないのに」
「まだ一回もオーディションに受かった事が無いアイドル候補生が何を言うか。どうせ今日のオーディションも落ちたんだろ?」
「これでも貧乏だけど事務所には入っているんだからな!!確かに今日もオーディションに落ちたけどさ……」
「まぁ……次があるさ。玄関で会話ってのも寒いし、上がってけよ」
「ここはボクの部屋だって、あたかも自分の部屋かのように扱うな!!」
そんなくだらない話をしながらボク等は居間にあるコタツでぬくぬくしていた、テレビも正月ということもあって娯楽には満足している。ここにボクのお腹を満たす食事さえあれば死んでも構わないくらいだ、本当に食事さえあれば。いや来客に対しての願望じゃないよ、彼がボクより料理がうまいからって期待してるわけじゃないよ、うん。
「ところで何しに来たのさ、正月の挨拶だけならボクを驚かせた罰として料理を作ることを要求する。無論、自腹で」
「いや、ちょっとした用事のついでにお前の母親からこれを届けるように頼まれてな。俺だって正月早々お前に料理なんか作りたくねーよ」
彼が取り出したのは重箱だった、これは……御節か!?御節なのだな!!母上様ありがとうございます、このご恩はいつかアイドル候補生からアイドルにランクアップしたときに返したいと思います。
「あと伝言も『この恩を返すつもりなら今度帰って来るときには、彼氏もしくは婚約者あるいは恋人それか将来の旦那を連れてきなさい。あなたを愛する父、母より』だって」
「全部同じじゃねーか!!御節の代償がそれって無理言うな!!それに、お母さんだけじゃなくお父さんまで……ボクはどうしたらいいんでしょうか?」
「『P.S.出来ちゃった婚でもかまいません、早く孫の顔が見たいです』だと……まぁ、どんまい」
「こっちは良くないよ、正直なところここまで両親を恨んだことは無いからね。大体、彼氏が居るなら自慢してるっての……こうなりゃ自棄だ御節食うぞチクショウ!!」
「そうするか、お前と違ってお前の母親は料理うまいしな」
「ふぅーもうお腹いっぱい、流石にこれ以上は食べられないや」
「俺としては重箱を三つ空にするお前の胃袋に驚いたよ、もうお前はアイドルより大食いタレント目指したらどうだ?」
「やだ、アイドルはボクの子供の頃からの夢だったんだから」
「まぁそうやって自分の言ったことを貫き通すのはお前の良い所だな」
「やっとボクの魅力に気付いたのか、今ならファン1号としてボクに料理を作る義務を与えてやってもいいぞよ」
「嫌だよそんな義務、ただの家政夫じゃねぇか、それにお前はまだアイドル候補生だろ。大体、お前は本当に褒めるとすぐ調子に乗る、それだからオーディションに合格しないんじゃねぇの?」
「その通りです……」
「全くそれで大丈夫なのかよ……」
「いや、これでもボイストレーニングやダンスレッスンとか基礎は頑張ってるんだよ。後はオーディションにさえ合格すればボクだってデビューできるはずなんだよ」
「とりあえず俺は応援しか出来ないなっと、こんな時間か、そろそろ帰るわ」
「んーもう帰るの?暇なときは何時でもご飯を作りに着ていいよ」
「安心しろそれは無い、一週間遅れだけどこれ渡しとくな」
そういって彼が渡してきたのは丁寧にラッピングされた小さな箱だった。
「なに?これ?」
「クリスマスプレゼントだ、じゃあな」
彼はボクにそれを渡すとさっさと出て行ってしまった。
とりあえず彼がくれたプレゼントを開けると、そこにはダイヤで装飾された指輪とメモが入っていて、メモには彼からのメッセージが書いてあった。
『いきなりこんな物を渡されて困るかもしれないが、俺はずっと前からお前のことが好きだったんだ、もしもOKだったらこの指輪にチェーンでもつけてネックレスにしてつけていくれ、俺はお前のすぐそばでお前の夢が叶うのを見ていたいからずっと応援している』
ったく、こんなに格好つけちゃってさ。こんなことされたら嬉しくて涙が出ちゃうじゃないか……答えは決まってるよ、大体このメモには断り方が書いてないじゃないか。
あの日、ボクは新年早々オーディションに落ちてイライラしていた。いつものアパートの扉でさえ全て鉄で出来てるかのように重く感じられたほどだ。
扉を開け「ただいま」と一人暮らしだから絶対に返事の返ってこない挨拶をした……はずだった。「お帰りなさい」と玄関で言う、少しニヤついた顔をしたよく見た顔が居るまでは。
ボクは扉を閉め、部屋を確認する。ここはボクが部屋を借りてるアパートに間違いない、表札もボクの苗字であっている。もう一度、扉を開ける。よく見た顔が「お帰りなさい」の言葉を発する前に扉を閉めた。再度部屋を確認、間違っていないここはボクの部屋だ。そして扉を開けた。
「確認しなくてもここはお前の部屋だぞ」
ボクの幼馴染が言ってきた。部屋を確認する原因になった奴がどの口で言うか!!
「一つ質問するよ、何でキミがここに居るんだ?」
「んー……赤い服を着ていて白髭を関羽ぐらいの長さまでモフモフさせた爺さんに後ろから殴られて、気付いたらここに居た」
「ゴメン、そのお爺さんが活躍するイベントは一週間ぐらい前だったと思うんだ。それにボクはそのイベントのプレゼントにキミを頼んだ覚えはない」
「じゃあ、あれだな配達期間を間違えたんだな、その爺さんは。間違えて今年の分のプレゼントを持ってきたんだ!!」
「それは凄いな、キミはどんだけ自分に自信を持っているんだ?大体ボクはその頃には一流アイドルになってるかもしれないのに」
「まだ一回もオーディションに受かった事が無いアイドル候補生が何を言うか。どうせ今日のオーディションも落ちたんだろ?」
「これでも貧乏だけど事務所には入っているんだからな!!確かに今日もオーディションに落ちたけどさ……」
「まぁ……次があるさ。玄関で会話ってのも寒いし、上がってけよ」
「ここはボクの部屋だって、あたかも自分の部屋かのように扱うな!!」
そんなくだらない話をしながらボク等は居間にあるコタツでぬくぬくしていた、テレビも正月ということもあって娯楽には満足している。ここにボクのお腹を満たす食事さえあれば死んでも構わないくらいだ、本当に食事さえあれば。いや来客に対しての願望じゃないよ、彼がボクより料理がうまいからって期待してるわけじゃないよ、うん。
「ところで何しに来たのさ、正月の挨拶だけならボクを驚かせた罰として料理を作ることを要求する。無論、自腹で」
「いや、ちょっとした用事のついでにお前の母親からこれを届けるように頼まれてな。俺だって正月早々お前に料理なんか作りたくねーよ」
彼が取り出したのは重箱だった、これは……御節か!?御節なのだな!!母上様ありがとうございます、このご恩はいつかアイドル候補生からアイドルにランクアップしたときに返したいと思います。
「あと伝言も『この恩を返すつもりなら今度帰って来るときには、彼氏もしくは婚約者あるいは恋人それか将来の旦那を連れてきなさい。あなたを愛する父、母より』だって」
「全部同じじゃねーか!!御節の代償がそれって無理言うな!!それに、お母さんだけじゃなくお父さんまで……ボクはどうしたらいいんでしょうか?」
「『P.S.出来ちゃった婚でもかまいません、早く孫の顔が見たいです』だと……まぁ、どんまい」
「こっちは良くないよ、正直なところここまで両親を恨んだことは無いからね。大体、彼氏が居るなら自慢してるっての……こうなりゃ自棄だ御節食うぞチクショウ!!」
「そうするか、お前と違ってお前の母親は料理うまいしな」
「ふぅーもうお腹いっぱい、流石にこれ以上は食べられないや」
「俺としては重箱を三つ空にするお前の胃袋に驚いたよ、もうお前はアイドルより大食いタレント目指したらどうだ?」
「やだ、アイドルはボクの子供の頃からの夢だったんだから」
「まぁそうやって自分の言ったことを貫き通すのはお前の良い所だな」
「やっとボクの魅力に気付いたのか、今ならファン1号としてボクに料理を作る義務を与えてやってもいいぞよ」
「嫌だよそんな義務、ただの家政夫じゃねぇか、それにお前はまだアイドル候補生だろ。大体、お前は本当に褒めるとすぐ調子に乗る、それだからオーディションに合格しないんじゃねぇの?」
「その通りです……」
「全くそれで大丈夫なのかよ……」
「いや、これでもボイストレーニングやダンスレッスンとか基礎は頑張ってるんだよ。後はオーディションにさえ合格すればボクだってデビューできるはずなんだよ」
「とりあえず俺は応援しか出来ないなっと、こんな時間か、そろそろ帰るわ」
「んーもう帰るの?暇なときは何時でもご飯を作りに着ていいよ」
「安心しろそれは無い、一週間遅れだけどこれ渡しとくな」
そういって彼が渡してきたのは丁寧にラッピングされた小さな箱だった。
「なに?これ?」
「クリスマスプレゼントだ、じゃあな」
彼はボクにそれを渡すとさっさと出て行ってしまった。
とりあえず彼がくれたプレゼントを開けると、そこにはダイヤで装飾された指輪とメモが入っていて、メモには彼からのメッセージが書いてあった。
『いきなりこんな物を渡されて困るかもしれないが、俺はずっと前からお前のことが好きだったんだ、もしもOKだったらこの指輪にチェーンでもつけてネックレスにしてつけていくれ、俺はお前のすぐそばでお前の夢が叶うのを見ていたいからずっと応援している』
ったく、こんなに格好つけちゃってさ。こんなことされたら嬉しくて涙が出ちゃうじゃないか……答えは決まってるよ、大体このメモには断り方が書いてないじゃないか。
14/09/17 08:44更新 / アンノウン