読切小説
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ビックマウスとラージマウス
大口たたいて彼は言う。

「世界一の冒険者になってやる」

ボクはなれるわけが無いなんて思いながら言い返す。

「キミはボクに勝ったことがあったかい?冒険者ってのは死と隣り合わせなんだぞ!ボクよりも弱いキミがそんなこと出来るのかい?無理に決まってるだろう」

これでもボクは彼を心配しているつもりだ。自分の知り合いが死なれた事を手紙で受け取るなんて勘弁だからな。

それでも彼は世界一の冒険者になろうとした、結局諦めたけど。



また彼は大口をたたいて言った。

「世界一の魔術師になってやる」

ボクは彼がダンジョンでゲットしたらしいチーズを食べながら反論する。

「キミみたいな魔力の欠片も無い人が魔術師になれるのかい?いいか、魔力が無い人が魔力を使うのは大変なんだぞ!それこそ命を落とすような危険だってある。キミにそんな覚悟があるのかい?あと、このチーズは美味い」

まあ、彼を心配してるつもりだ、チーズ美味しいし。

結局、彼はやっぱり途中で諦めた。毎回なんで世界一になろうとするんだろうか?



またまた彼は大口をたたいて言った。

「世界一の賞金稼ぎになってやる」

ボクは彼が魔法で作ったとか言ってたヨーグルトを食べながら言った。

「キミが賞金稼ぎとか無理に決まってるだろ!ボクよりは強くなったし魔法も使えるようになったけど、相手は賞金を掛けられるほどの奴らだよ!キミが生きて帰れるわけ無いだろ、あとヨーグルトも美味いな」

彼を心配しているのだ、これでも彼には生きていて欲しい、大事な人なんだから。

彼でも、少しぐらいは賞金稼ぎをやれたようだ。それでも彼はやめた。



彼は大口をたたいて言う。

「世界一のお前の結婚相手になってやる」

ボクは彼に渡された稼いだ賞金で買ったらしい指輪を眺めながら言う。

「キミは魔物娘と結婚するということがどういうことか分かっているのか?夜は搾り取られるのは当たり前だし、下手したら人間じゃなくなるかもしれないんだぞ!そんな勇気がキミにあるのか?あとこの指輪はなかなか高価なものだな」

ボクは彼を心配しているんだ、彼が他の娘と結婚するなんて……ん?『お前の結婚相手』?

「ボクの結婚相手だと!?」

「だからそう言ってるじゃん」

彼は顔色一つ変えずに言った、頭がおかしいんじゃなかろうか?ボクが顔を真っ赤にして恥ずかしがっているのに……

「ボ、ボクの結婚相手の条件は高いんだからな!!後悔するなよ!!」

「んー、これだけは途中で諦めるつもりは無いからな、まかせとけ」

真っ赤な顔をして無理難題を押し付けるボクとは裏腹に、尻尾は嬉しそうに大きく揺れていた。
14/09/17 08:44更新 / アンノウン

■作者メッセージ
最近、勢いだけで書いているアンノウンです。
勢いだけのせいで1000字に苦戦しております。
いや、どうでもいいことですけど。

11/22 zioさんに指摘されたところを修正

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