メイトガード
ボクは目標を見据えて跳躍する。そして狙いの物を空中で捕まえてキャッチするとそのまま華麗に着地……着地は上手く出来なかったけど捕まえたものは無事だったので結果オーライ!!
「はい、今度は手を離さないように気を付けるんだよ?」
「おねえちゃん、ありがとう!!」
飛んで行ってしまった風船をボクから受け取るとさっきまで泣きそうだった子供は途端に笑顔になってお礼を言って去っていく。
「フフフ、また一つこの街から涙を拭ってしまった」
「なに格好つけてんだ、こけてたくせに」
ボクの幼馴染は一連の行動を見て冷めた目で見てくる、ちょっとひどいと思う。
「いいじゃん、格好よくキメたいんだもん」
「あー……そっちじゃねえ、足の方だ。お前は脚力はあるけど足を痛めやすいんだから」
流石にバレてた、着地した時に足を捻って痛いの我慢してたんだよね。
「大丈夫、我慢できるからヘーキヘーキ。ほらハードボイルドはやせ我慢って聞くし」
「そういうの似合わないからやめとけ、家までぐらいならおぶってやる」
「えっ……それは流石に」
「俺じゃ嫌だったか?」
「いや、そう言うわけじゃ無くて……そうだ!!恥ずかしいじゃん?」
たぶん気づいてないだけだよね?密着して抱きしめる事のボクの一族的な意味とか分かんないだろうし。
家までおんぶされてお母さんにバレたらすっごい生暖かい目で見られる。
「嫌じゃないなら素直におぶさっとけ、怪我が悪化した方が面倒だろ」
「うぅ……わかったよ、でも家の前でおろしてよね!!絶対だからね!!」
「へいへい、わかりましたよ」
彼の背中は思ってたよりも大きかった。ボクは四本の腕を使って離れないようにしがみつく。
「キミの背中、子供の時よりもだいぶ大きくなったね」
「そりゃそうだろ、いつまでも子供ってわけじゃねえし」
「あー小さい頃はボクの方が大きくて逆におぶってあげてたのになんかズルいなぁ」
「何がどうズルいんだよ」
「だってさ、あの時はキミがボクの背中にしがみついてくるのを背中で感じて『ボクが守ってあげるんだ!!』って思ってたんだよ」
あの時と同じように彼の体温を肌で感じてるのに、逆だとドキドキしてしまう。この鼓動がバレてませんように。
「こっちにだって男としてのプライドとかあるからな」
「ボクだって原種みたいに飛べれば怪我もしなかったし、むしろ飛んでキミを家まで送れたのに。なんで家の一族って飛行能力弱いんだろ」
「……それなんだけどさ、たぶん俺の推測で絶対とは言えないけど相変異おこったんじゃね?」
「なにそれ?」
言葉だけ聞くと格好良さそうなワードだけど。
「バッタとかである体の変化で、大群になると跳躍力が低くなる代わりに長距離移動するために飛行能力や食欲が増して、逆に少数になると跳躍力が増して飛行能力や食欲が減る現象」
「詳しいね」
「いろいろ調べたりしてるからな」
「実際、ボクの一族って魔界から移り住んできて長いからあり得るかもね」
「あと少数になると大群の時より独占欲が増してメイトガードって行動をするようになる」
「なんか技名っぽい」
「これは他の虫とかもするパートナーを守ろうとする行動だけどな」
ふむ、ガード技は基本技能なのか。
「じゃあバッタだとどうすんの?」
「パートナーにしがみつく」
「……は?」
まって、じゃあ今ボクがしてることって。
「こいつは自分のものだってアピールするためにパートナーにしがみついて離れないようにする」
いや、まぁボクの一族に好きな異性は抱きしめて離さないようにしておきなさいって教えあるけどさ。
「えっ……なっ……じゃあキミはボクが抱き着く意味知ってておんぶしたって事!?」
「あーその言い方だとやっぱりあるんだ、お前の両親っていつも腕組んだりしてるなとは思ってたけど」
うわぁやらかした!!黙ってればバレなかったのに!!
「やっぱ今のなし、ってか今すぐ下ろせ!!」
「ダメです、ってか下ろせって言ってる割にしがみついたままなのはなんなんだよ」
「こうなったらキミも道連れだからな!!キミだって小さいころにボクにしがみついてたんだから」
「俺はその頃からお前のこと好きだったから道連れでも構わないな」
「なんでそういうことサラッというんだよ!!」
「これからの人生道連れよろしくな相棒」
「あーもー、絶対離してやらないからな」
密着した肌からは恥ずかしいやらなにやらでお互いの高鳴った鼓動の音が伝わっていた。
「はい、今度は手を離さないように気を付けるんだよ?」
「おねえちゃん、ありがとう!!」
飛んで行ってしまった風船をボクから受け取るとさっきまで泣きそうだった子供は途端に笑顔になってお礼を言って去っていく。
「フフフ、また一つこの街から涙を拭ってしまった」
「なに格好つけてんだ、こけてたくせに」
ボクの幼馴染は一連の行動を見て冷めた目で見てくる、ちょっとひどいと思う。
「いいじゃん、格好よくキメたいんだもん」
「あー……そっちじゃねえ、足の方だ。お前は脚力はあるけど足を痛めやすいんだから」
流石にバレてた、着地した時に足を捻って痛いの我慢してたんだよね。
「大丈夫、我慢できるからヘーキヘーキ。ほらハードボイルドはやせ我慢って聞くし」
「そういうの似合わないからやめとけ、家までぐらいならおぶってやる」
「えっ……それは流石に」
「俺じゃ嫌だったか?」
「いや、そう言うわけじゃ無くて……そうだ!!恥ずかしいじゃん?」
たぶん気づいてないだけだよね?密着して抱きしめる事のボクの一族的な意味とか分かんないだろうし。
家までおんぶされてお母さんにバレたらすっごい生暖かい目で見られる。
「嫌じゃないなら素直におぶさっとけ、怪我が悪化した方が面倒だろ」
「うぅ……わかったよ、でも家の前でおろしてよね!!絶対だからね!!」
「へいへい、わかりましたよ」
彼の背中は思ってたよりも大きかった。ボクは四本の腕を使って離れないようにしがみつく。
「キミの背中、子供の時よりもだいぶ大きくなったね」
「そりゃそうだろ、いつまでも子供ってわけじゃねえし」
「あー小さい頃はボクの方が大きくて逆におぶってあげてたのになんかズルいなぁ」
「何がどうズルいんだよ」
「だってさ、あの時はキミがボクの背中にしがみついてくるのを背中で感じて『ボクが守ってあげるんだ!!』って思ってたんだよ」
あの時と同じように彼の体温を肌で感じてるのに、逆だとドキドキしてしまう。この鼓動がバレてませんように。
「こっちにだって男としてのプライドとかあるからな」
「ボクだって原種みたいに飛べれば怪我もしなかったし、むしろ飛んでキミを家まで送れたのに。なんで家の一族って飛行能力弱いんだろ」
「……それなんだけどさ、たぶん俺の推測で絶対とは言えないけど相変異おこったんじゃね?」
「なにそれ?」
言葉だけ聞くと格好良さそうなワードだけど。
「バッタとかである体の変化で、大群になると跳躍力が低くなる代わりに長距離移動するために飛行能力や食欲が増して、逆に少数になると跳躍力が増して飛行能力や食欲が減る現象」
「詳しいね」
「いろいろ調べたりしてるからな」
「実際、ボクの一族って魔界から移り住んできて長いからあり得るかもね」
「あと少数になると大群の時より独占欲が増してメイトガードって行動をするようになる」
「なんか技名っぽい」
「これは他の虫とかもするパートナーを守ろうとする行動だけどな」
ふむ、ガード技は基本技能なのか。
「じゃあバッタだとどうすんの?」
「パートナーにしがみつく」
「……は?」
まって、じゃあ今ボクがしてることって。
「こいつは自分のものだってアピールするためにパートナーにしがみついて離れないようにする」
いや、まぁボクの一族に好きな異性は抱きしめて離さないようにしておきなさいって教えあるけどさ。
「えっ……なっ……じゃあキミはボクが抱き着く意味知ってておんぶしたって事!?」
「あーその言い方だとやっぱりあるんだ、お前の両親っていつも腕組んだりしてるなとは思ってたけど」
うわぁやらかした!!黙ってればバレなかったのに!!
「やっぱ今のなし、ってか今すぐ下ろせ!!」
「ダメです、ってか下ろせって言ってる割にしがみついたままなのはなんなんだよ」
「こうなったらキミも道連れだからな!!キミだって小さいころにボクにしがみついてたんだから」
「俺はその頃からお前のこと好きだったから道連れでも構わないな」
「なんでそういうことサラッというんだよ!!」
「これからの人生道連れよろしくな相棒」
「あーもー、絶対離してやらないからな」
密着した肌からは恥ずかしいやらなにやらでお互いの高鳴った鼓動の音が伝わっていた。
25/12/12 17:09更新 / アンノウン