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実況‼パワフル告白‼〜20XX年新年度決定版〜
「さて、始まりました。実況は私、放送部部長の栗嶋 忠。解説は新聞部部長のタスキさんがお送りいたします」
「いやぁ、新年度は恋多きシーズンですからね。ボクたちの出番も多くなると思いますよ」

「っと、ここで選手入場です。これは二年の目堂さんでしょうか?少しそわそわしながら校舎裏に入ってきましたね」
「約束の時間より少し早いですね、これは気合が入ってるんじゃないでしょうか」

「さあ少し遅れて、相手の臼井くんの登場だぁあああ‼試合開始のゴングが鳴り響……かないですね。どうやらお互いが『用事ってなんだよ』と口論してる模様です、お互いのフリをして呼び出した悪戯娘がいるようですね。私としてはそういう子は可愛いと思いますが」
「新聞部の記事のねt……いえ、恋を実らせようとしただけですからねぇボクは」
「おおっと‼犯人は私の横で解説をしていました‼ですが、そんな正直な所も可愛いと思いますね。さて、試合の方に戻しましょう開始自体は地味な展開になりましたが、呼び出しでお互いに意識している模様です」
「二人とも実は両想いなのに素直になれない性格ですからね、にらみ合いを断ち切って先手を取った側がかなり有利になると思いますよ」

「もう10分ほど進展は見られませんね」
「二人ともいざって時に日和ってしまいますからね、このままだと引き分けで終わってしまう可能性もあるんじゃないでしょうか」
「それは私達としても回避したい展開ですが……おおっと‼ここで目堂さんの髪の蛇が動いたぁぁぁあああ‼」
「素直になれない本体に代わって甘えに行きましたね、これは目堂さんがかなり優位に傾きますよ」
「絡む‼絡む‼『なでて、なでて』と言わんばかりに臼井くんの指に絡みつきに行く‼ これにはお互いにドギマギしているぞぉぉおお‼」
「必然的に距離が近くなりますから、このまま心の距離も近づけるといい試合展開にもって行けますよ」
「二人の目が合う……が、ここは気まずくなって逸らしました。これには蛇も不満気な様子です」
「そのままキスしてしまえばお互いに高得点でしたが、せっかくのナイスアシストを活かせませんでしたからね。勿体無いと思いますが、まだ目堂さんの蛇は臼井くんを離してないのでチャンスは十分にあるんじゃないでしょうか」
「ここで目堂さんの口から『アンタはアタシの事どう思ってるのよ?』発言きました‼これは覚悟を決めたか⁉」
「実質的に先に告白してきてくれ宣言ですからね、これは臼井くん大チャンスですよ‼」

「しかし臼井くん『別に……』の一言で返してしまったぁぁぁ。これはかなり痛いミス‼」
「恥ずかしがってはいるので本心は丸分かりなんですけどね、お互いに言葉通りに受け取ってしまうタイプなので苦しいミスになります」
「目堂さんも『……そう』の一言で終わってしまった‼目に見えて落ち込んでるのが分かりますね」
「これは試合放棄の可能性までありますね、非常に危険な状態です」
「っと‼‼『一緒にいて当たり前の存在だと思ってる』臼井くん逆転のチャンスを一気に切り開いてきたあああぁぁぁぁぁ‼‼」
「お互いに意地でもストレート投げませんからね、変化球ですが一生傍にいて欲しいと同義の言葉ですよ。かなり期待ができるんじゃないでしょうか‼‼」
「ヒットか⁉ヒットするのか⁉ここから逆転ホームランが決まるのか‼‼これには絡みつく蛇達にも緊張が走っている‼‼」
「いっその事このまま押し倒してしまえば最高の展開なんですけどね」
「『しょうがないわね、アタシがいないとなんも出来ないんだから♥♥』発言来ました‼‼場外までとは行きませんでしたが、これは文句なしのホームランじゃないでしょうか?」
「喜んでお受けいたしますって意味になりますから、これはカップル成立と言っても過言じゃないでしょう」

「いやーカップル成立を見届けるのは良いものですね、ちなみにタスキさんは好きなタイプとかは」
「一緒にいて盛り上がれるタイプですねぇ、息が合うように実況できる人はボクの好みですよ。忠くんはどうなんです?」
「私も一緒に盛り上がれるタイプですね、解説できる人には憧れますね」
「まぁボク達とっくに付き合ってるんですけどね」

「以上、実況は私、放送部部長の栗嶋 忠」
「解説はボク、新聞部部長のタスキがお送りしました‼」
「「次回もお楽しみに」」
21/04/16 00:05更新 / アンノウン

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