連載小説
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Report.02 俺と双角獣と蚯蚓 後編
「………………」
俺の叫びも空しく、コラムが巨大蚯蚓に飲み込まれた。
その現実に、急速に力の抜けた俺はボトリと地面に落ちる。
それなりに高い位置から落ちて全身が痛いが、身体中に走る痛みも、コレが現実だという事を嫌でも教える。

RrrrrLooOOOoooWaaaoooohh――――!!

落ちた俺に振り返る巨大蚯蚓は、勝利でほくそ笑んでるような咆吼を上げ、全身に生えた触手も歓喜でウネウネと蠢いている。
その巨大蚯蚓の身体の中で、コラムは溶かされていくのか。
クソッタレェ、そんなん、許せるかよぉっ!

「おおぉぉおぉぉおおおぉおぉおおおぉっ!」
俺は激痛走る身体に鞭打ち、風を纏わせ、叫びながら地面擦れ擦れの低空飛行で突進する。
折角だから、とでも言わんばかりに、巨大蚯蚓は見た目通りに地面を這いずりながら俺を飲み込もうと突っ込んでくる。
上等っ! ソッチの方が好都合だ!
激突する俺と巨大蚯蚓……激突する瞬間、俺は纏わせている風を飛行用ではなく、『旋風刃』へと切り替える。
『旋風刃』は『大嵐刃』と比べれば威力も切れ味も劣るが、こうやって身体に纏わせれば、触れたモノを切り裂く鎧になる。

「おおぉおおぉおぉぉおおぉおおおぉっ!」
巨大蚯蚓と激突した俺は勢いのままに巨大蚯蚓の体内へ侵入、赤黒い粘液を引き裂きつつコイツの尻の方へと突き進む。
それにしても、早くコラムを助けないと不味い。
不透明な赤黒い粘液は粘り気が強く、突進の勢いがみるみる削れ、長外套の所々が徐々に溶けていく。
魔法により服とは思えない程に頑丈さを持つ、この長外套もあまり持ちそうにない。

(何処だ、コラム……!)
焦りを感じながら、俺は巨大蚯蚓の体内を突き進むが、どうにも視界が悪過ぎてコラムが中々見つからない。
視覚はアテにならない以上、俺はコラムの魔力を頼りに突き進む。
どのくらい体内を進んだのか、前方に微かな魔力反応を捉え、俺は其処へと進んでいく。
(居たっ!)
そして、俺は漸くコラムを見つけた。

(コレは、治癒魔法?)
漸く見つけたコラムは全身が淡い光で包まれてて、その優しい魔力を溢れさせる光を俺は治癒魔法だと悟る。
そうだった……ユニコーンの角には強力な魔力が宿っていて、その魔力に比例した強力な治癒魔法が使えるんだ。
恐らくコラムは自分に治癒魔法を施し、身体が溶けるのを防いでいるのだろうが、ソレも限界が近い。
近付いていく内にも光は弱まり、花嫁衣装を思わせる服が少しずつ溶けていく。

(コラムッ!)
俺は『旋風刃』を解除してコラムを抱き締め、溶解を防ぐ為に俺の魔力を纏わせる。
コラムが見つかったのはいいが、問題は此処からどうやって脱出するかだ。
方法は、あると言えばあるんだが……此処に来る前、ゲイリーに

『彼の禁断魔法は、気軽に使う代物ではないのである。
幾等貴様が優れていても、ほんの数秒使うだけで魔力は空っぽになるのである。
その分、貴様の魔力供給衝動は強烈で、魔物を見たら即強姦! であ〜るな。
故に、如何に危険な状況でも、使用厳禁なのであ〜る』

なんて、釘刺されたかんなぁ。
だけど、そうは言ってらんねぇからな、悪いが使わせてもらう!

(はぁぁぁ――――――――……)
俺は体内に残ってる魔力を掻き集め、ソレを循環させて質と密度を高めていく。
コラムを巻き込まないよう何重にも『障壁』を重ね
(喰らえ、糞蚯蚓っ!)
俺は巨大蚯蚓への憤怒と、残された魔力全てを籠めて

『――――――――――――――――――――――――――』

咆吼する。
超震動を齎す異界の咆吼は俺達の周囲の粘液を沸騰させ、蒸発させ、俺達の周囲は赤黒い蒸気で包まれる。
赤黒い蒸気の籠もる空間は爆発的に拡大し

RrruuUUuLooOOooAaaaAAAaaAaaAaahh―――!!

巨大蚯蚓は俺達が居る場所を中心に赤黒い蒸気を噴きながら蒸発し、耳障りな咆吼と共に、僅か一滴すらも残す事も赦されずに、この世から消滅した。

×××

「オイッ、しっかりしろ!」
巨大蚯蚓が消滅し、その余波でデカい穴が開いた川辺……その穴の中心で、俺はコラムに呼びかける。
俺の胸の中にいるコラムはグッタリしており、角が放つ魔力の光も今にも消えそうな程に弱々しい……って、アレ? 何か、角がおかしいぞ?
良く見ると、角が今にも崩れそうな程にボロボロで、色褪せてる。
「ぬおっ!?」
事実、気になった俺が軽く触れただけで、砂で出来てたみたいに角が砕けた。

「角の無いユニコーンって、ただの白いケンタウロスだよなぁ……」
なんて、しょうもない上に失礼極まりない事を呟いたら、コラムの身体に異変が起きる。
耳に近い部分からユニコーンの角を半分にして、黒くした二本角がニョッキリ生える。
毛色が純白から灰色へ、灰色から艶やかな黒へと変色していく。
花嫁衣装みたいな服は黒い光に包まれ、露出度の高い娼婦みたいな黒い服へ変化する。
「オイオイ……どうなってんだ、こりゃ?」
真っ黒けになったコラムに戸惑っている内に、真っ黒コラムはゆっくりと目を覚ますと

「ん、んむっ❤」
「んんっ!?」
俺の頭を引き寄せ、いきなりキスしてきた。
や、柔らかぁい……なんて、考えてる場合かい!
本来、ユニコーンは純潔の男性―所謂、童貞である―にしか好意を持たないのだが、この真っ黒コラムは、フェランと交わって『非童貞』である俺にキスしてきた。
何でだ? 何で、俺にキスを?

―ドクンッ……

「……んむぅっ!?」
ま、不味い……魔力供給衝動が、こんな時に!
なん、で、コラムが、こんな、ことを、すんのか、を、かんが、えた、いの、にっ!
「ぷはっ……エヴァンさんのクチビル、オイしかったですよ❤」
ホしい、ホしい、ホしい、コラムがホしい。
マっクロにオちた、コラムがホしい。

×××

「エヴァンさん……私を、貴方の好きにしてもいいですよ❤」
真っ黒コラムが只でさえ露出度の高い服を脱ぎ、美しい裸体がオレの前に晒される。
コレからする事を想像していたのか、既に真っ黒コラムの乳首はピンと立っており、彼女の秘所もしとどに濡れている。
これだけ濡れているなら、前置きは必要なさそうだ。
そう思ったオレは真っ黒コラムを抱き寄せ、対面座位に近い形で真っ黒コラムの秘所へとオレのモノを挿し入れる。
真っ黒コラムの秘所からは一筋の血が滴り、ほんの少し前までは彼女が処女であった事を示していた。

「ん、んぁっ❤ いきなり、入れるなんて、エヴァンさんの鬼畜眼鏡❤」
鬼畜とは失礼だな、鬼畜とは。
鬼畜と言われてしまったオレは、鬼畜なら鬼畜らしくと、真っ黒コラムの秘所を最初から激しく突き上げる。
「んぅっ、あふっ、あ、あぁんっ❤ …いきなりっ、あんっ、激しっ、ふぁっ、いぃっ❤ ……エヴァンさんのぉっ、あんっ、ん、んぁっ、ケダモノォッ❤」
交わる相手を選ぶものの、本来好色たるユニコーン―今は、全身真っ黒だが―だけあってか、真っ黒コラムの秘所は貪欲に、オレのモノを締め付ける。
肉壁の襞の一つ一つがオレのモノを刺激し、往復させる度に強い快感がオレのモノを襲う。
抜こうとすれば、離さないと言うように吸いつく。
押し入れれば、迎え入れるように優しく包み込む。

「ん、んぁっ、あふっ、ひゃんっ、エヴァンさんっ❤ …もっとぉっ、はぅんっ、んふっ、あ、あぁっ、激しくっ、してぇっ❤」
激しく腰を突き上げるオレを真っ黒コラムは抱き締め、彼女の豊満な胸がオレの視界を、女性特有の甘い香りがオレの嗅覚を占拠する。
ギュッと押しつけられた胸の所為で息苦しさを感じるが、ソレは甘美で幸福な窒息であり、ソレは興奮を昂らせる媚薬でもある。

「あんっ、んふっ、ん、んんっ、あぁんっ❤ ……駄目ぇっ、ですぅっ❤ ……私っ、もう、イってっ、あんっ、ふぁっ、あ、あぁっ、しまいますぅ❤」
胸に顔を埋めたまま突き上げていると快感で蕩けた、だらしない顔をした真っ黒コラムが限界を告げるが、知った事では無い。
オレは飢えた欲望を満たすだけであり、激しく腰を突き上げ、真っ黒コラムの最奥を亀頭で何度も小突く。

「ん、んんんっ、んあぁっ、あぁぁぁぁっ――――っ❤」
子宮を小突かれた真っ黒コラムは絶頂を迎え、秘所はキツくオレのモノを締め付ける。
その締め付けでオレのモノは滾る欲望を吐き出し、真っ黒コラムの子宮に叩きつける。
既にフェランと交わっており、強力なインキュバスと化したオレの精液の量は半端無く、結合部からは逆流した精液が溢れだす。
「あぉぉ、おぉ、かはぁおぉぉ……」
長い射精は真っ黒コラムの身体を絶頂へと導き続け、獣の呻きのようでありながら只管に甘い声で彼女は喘ぎ続けている。
されど、足りないっ、足りないっ、足りないっ! オレは、飢えたりっ!

「あひゅぅんっ❤」
オレは秘所からモノを抜き、抜いただけで真っ黒コラムは軽い絶頂を迎える。
そして、オレは真っ黒コラムの後ろへと回り込み、彼女の尻を掴む。
「ふぁっ、エヴァンさんっ、ソッチも……あふぁぁぁっ❤」
真っ黒コラムの声を無視して、オレは彼女のもう一つの秘所……馬部分の秘所へとオレのモノを挿し入れる。
「かはっ、おぉぉっ、おふっ、あぉぉぉっ❤」
真っ黒コラムはもう一つの秘所から伝わる快感で、獣じみた喘ぎ声を上げ、オレの為すがままにされている。
コレは好都合、此方のヤりたいようにやらせてもらうとしよう。

「おふぅっ、あふんっ、はおぉっ、あぁぁっ、あおぁぁっ❤」
オレは為すがままにされている真っ黒コラムの尻を掴み、わざと大きい音が立つように腰を激しく動かす。
肌同士のぶつかり合う音、淫らな水音、真っ黒コラムの甘い声が、戦いの跡地に響き渡る。
若しかしたら、この森に住む魔物が見ているかもしれないぞ?
オレは真っ黒コラムに囁くと、オレに突かれている方の秘所がキツく締まる。

「いやっ、いやれすっ❤ ……こんなっ、ひょころっ、エヴァンさんっ、いがひにっ、みらりぇたくっ、なひでふぅっ❤」
呂律の回らない喘ぎ声で言われても、微塵も説得力が無いな。
「らって、らってっ❤ …きもひっ、よふぎふのでふぅっ❤ ……エヴァンさんのっ、オチン○ンッ、きもひっ、よふぎへぇっ❤」
顔は分からないが、恐らく真っ黒コラムの顔は気高さの欠片も無い、快感で蕩けきった顔になっているだろうな。
ソレを想像すると、背筋にゾクゾクとした快感が走る。
堕としている、純潔の象徴であるユニコーンを、快感で堕としている。
ソレを意識した途端、オレのモノは震え、膨らみ始める。

「あふっ、おほぉっ、らすんれふねっ、らふのれすねっ❤ えっちなっ、わらひのっ、なひゃにっ、らひてぇぇぇぇっ❤」
羞恥心をかなぐり捨てた甘過ぎる声で、真っ黒コラムは秘所の中に出される事を求める。
ソレが引金になり、オレのモノは二度目と思えない程の量を真っ黒コラムの秘所へと放つ。
「あぁっ、あおぉおおぉぉぉおぉぉ――――――っ❤」
獣じみた嬌声を上げながら真っ黒コラムは二度目の絶頂を迎え、操り糸の切れた操り人形のように上半身が弛緩する。
だが、オレの渇きを満たすには、まだまだ足りない。
オレはもう一つの秘所からモノを抜き、今度は前の秘所を突こうと回り込む。
あぁ、オレの渇きが満たされるまで、獣じみた性交は続くんだ……

×××

「マタ、ヤッチマッタ……」
俺は現在進行形で、絶賛自己嫌悪中だ。
いきなり真っ黒コラムにキスされて、運悪くも魔力供給衝動が襲ってきたとはいえ、幾等何でもヤり過ぎだろ!
だってさ、だってさぁ!
「………………」
ユニコーンの気高さの欠片も何もねぇ、快感でドロッドロに蕩けた顔しながら気絶してる真っ黒コラムが俺の隣に居るんだぞ!
而も、前も後ろも、俺の出した精液が滝みてぇに溢れてるし!
畜生っ! 何で俺の魔力供給衝動は、こんなに強過ぎるんだよぉっ!

「すいませんでしたぁぁぁぁぁぁっ!」
真っ黒コラムが目が覚ますと同時に、俺はジパングから伝わった謝罪方法であるドゲザで謝り、いきなりドゲザされて戸惑っていた真っ黒コラム。
真っ黒コラムは自分の身体を見て、何があったかを思い出したらしく、顔を赤くして
「きゃあぁぁぁぁ――――――――――――――――――――っ!!」
『星間駆ける皇帝の葬送曲』と勘違いしそうな程の大音量で、悲鳴を上げた。
まぁ、当然だよなぁ……目が覚めたら、こんな状態になってんだからさ。

「どうやら、私は『バイコーン』になってしまったようですね……」
落ち着きを取り戻し、直ぐ近くの川で俺の精液を洗い流した真っ黒コラムは、冷静に自分の変化を受け入れていた。
バイコーン……肉欲に溺れ、爛れた存在である事を肯定する『不純の象徴』、ユニコーンと真逆の性質を持つ彼女達の亜種だ。
改めて考えると、何でコラムはバイコーンに変化したんだ?
バイコーンへの変化は非童貞と交わるか、旦那が他の魔物と交わって、ユニコーン以外の魔力が混ざった魔力を供きゅ……あ゛。

「俺の、所為か?」
そう言えば……あの巨大蚯蚓に飲み込まれた時、溶解と『星間駆ける皇帝の葬送曲』からコラムを守る為に、俺は『俺の魔力』で包んだっけ。
俺の魔力にはフェランの魔力が混じってて、コラムの身体は魔力が枯渇寸前だった。
枯渇した魔力を回復させる為、コラムの身体が周囲の魔力を吸収したのなら、先ず身体を包んでた『俺の魔力』が吸収される訳で。
「…………」
どうやら、コラムもソレに思い至ったらしいな。
まさか、あの時の判断が巡り巡って、この状況になったのかよ。
ある意味、最悪だ……気まずい沈黙が、凄くキツい。

「そ、そそそ、それよりも! な、何でコラムは此処に来たんだ?」
気まずい沈黙を誤魔化すように、俺はコラムに聞きたかった事を聞いてみる。
「え、ええ? えっと、ソレは、その……」
顔を俯かせながら、コラムはどうして俺と巨大蚯蚓が戦っていた場所に来たのかを話す。
曰く、戦えなくても自分に出来る事をしたかったから。
ユニコーンは強力な治癒魔法を使えるから、俺が苦戦していれば治癒魔法で援護出来ると思い、フェランを下流にある洞窟へ避難させた後、コッチに来たそうな。

「貴方は、恨みのあるオークを助けてくれました。この森に住む魔物にとって、どれだけ悪事を行おうと、この森に住むモノ全てが自分達の家族なのです」
流石にあの怪物は別ですが、と言ってからコラムは優しい、母性に溢れる笑みを浮かべる。
成程ねぇ……家族を助けてくれた恩を返す為に、態々危険を冒してまで来たのか。
「ま、俺はコラムに助けられたし、お相子って事で」
「そうですか……ふふっ」

「おほんっ……それでですね、あのエヴァンさん?」
「は、はひっ!?」
急に畏まったコラムに、俺は素っ頓狂な声で返事する。
い、一体何を言いたいんだ、コラムは……なんか、顔が真面目過ぎて逆に怖い。
「魔力供給衝動の所為とはいえ、私の……処女を貰いましたよね? それも、前も後ろも」
うぐぅっ!? ヤメテ、ソレを言わないで、また自己嫌悪しちゃうから。
「ですから、責任を取ってくれますか?」
責任かぁ、当然取らなくちゃなんねぇけど、俺にはフェランが居るし……って、ちょっと待った、確かバイコーンは。

「フェランさんの事を考えたのでしょう? 安心してください、エヴァンさん。私はバイコーンですから、二股上等です♪」
そんな晴れやかな笑顔で、二股上等なんて言わないでくれ。
忘れてたぜ……一夫一妻主義の多い魔物には珍しく、バイコーンは一夫多妻主義の魔物で、ハーレムばっち来いやぁっ! な性質だった。
「コレからもフェランさん共々、よろしくお願いします、『旦那様』❤」
眩しい笑顔で、そんな事言わないでくれよぉ。
まぁ、可愛い女の子二人ぐらいなら養ってけるし、コラムをバイコーンにしちまった責任はキチンと取らないとな。
「あぁ、これからもよろしくな、コラム」

×××

〜獣の吼える森・上空〜
「だぁぁぁぁぁっ! クソッタレ、クソッタレ、クソッタレ、クソッタレェッ! 遺跡の残留魔力辿ってきてみりゃ、今度は『GE‐01』がぶっ壊されたしよぉ!」
エヴァンとコラムが和やかに語り合っていた時。
獣の吼える森の上空で、白一色の少年が悪態を吐いていた。
エヴァンと巨大蚯蚓の戦いの一部始終を見ていた白一色の少年は、何も無い空中で胡坐をかいており、苛立ちと怒りを露にする。

「あのクソッタレがぁ……手間暇掛けて『三〇〇年』も育ててきたGE‐01を、完全にぶっ壊しやがってぇっ! あぁ、クソッタレクソッタレクソッタレェッ!」
何も無い筈の空間で、駄々を捏ねるように仰向けで暴れる白一色の少年だったが、唐突に上半身を起こして、外観とは不相応な壮絶な笑みを浮かべる。
「まぁ……GE‐08と01をぶっ壊した奴は分かったしぃ! 監視でも付けて、見張ってるかぁっ! 何時でも、あのクソッタレをぶっ殺せるようになぁっ!」
ケラケラと嗤う白一色の少年の手には、恐怖に満ちた顔をしたオークの生首。

「それに、コイツ等も役に立ってくれたぜぇっ! 僕が『でっち上げた』神様を糞真面目に信じて、GE‐01をココまで育ててくれたんだからなぁっ!」
その生首を自分の視線の高さにまで持ち上げ、まるで話しかけるように、白一色の少年は喋り出す。
「屑は何処まで行っても、屑だよなぁっ! 屑共が神様って信じてたヤツが、実は屑共を滅ぼす兵器だったのに、ソレに気付かねぇんだもん! あぁっはははははっ!」
白一色の少年は、嗤いながらオークの生首を放り投げ、不可視の何かで生首を粉砕する。
白一色の少年は異常である……何故なら、死者を冒涜する悪逆非道な行いを、『嗤いながら』行っていたのだから。

「待ってろよぉ、クソッタレ……今度見つけたら、バラバラにぶっ殺してやるからさぁっ!」
白一色の少年は何も無い空間にしっかりと足を付けて立ち上がると、軽く跳躍する。
すると、白一色の少年の足元に空間の歪みを伴った穴が開き、少年がその穴の中に入ると、空間に開いた穴諸共に少年は姿を消した。

―アァッハハハハハハハハハハハハハハッ!

悪意しか存在しない、禍々しい嗤い声の残響を残しながら……

Report.02 俺と双角獣と蚯蚓 Closed
12/09/26 12:32更新 / 斬魔大聖
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■作者メッセージ
お待たせしました、第二話後編です。
本編中にあった、コラムのユニコーン→バイコーンへの変化は、筆者の個人的解釈が混じっておりますので注意してください。
自分で執筆しておいて何ですが、魔力が空っぽになったエヴァンは随分と鬼畜です。
第一・二話の終わりに出てきた白一色の少年が何者なのかは、近々執筆いたしますので、それまでお待ちください。
それでは魔物娘捕食者、次回をお楽しみにしててください。

それでは、恒例の登場人物紹介を。
―コラム―
獣の吼える森で出会った魔物で、元はユニコーンだったが、本編中にバイコーンへと変化する。
本編四年前に教団に住処を追いやられ、放浪の末に獣の吼える森に辿り着き、森で起きた住人同士の諍いを仲裁しつつ、静かに暮らしていた。
真面目で心優しく、お淑やかで、バイコーンらしい性格。
精神年齢の幼いフェランに対しては、姉のように振舞っている。

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