連載小説
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Extra Report.01 俺と母蛇と過去の約束
〜交易都市・セレファイス〜
「ぶぁっかも―――――――――――――――んなのであ―――るっ!!」
「仕方ねぇだろ、あの状況じゃ……」
俺、エヴァン・シャルズヴェニィは、幼馴染であるゲイリーの大声に眉を顰めていた。
獣の吼える森の調査を終えた俺は、其処で新しく仲間―もとい、妻―になったバイコーンのコラムと共に、セレファイスに滞在している。
んで、獣の吼える森で起きた事を話したら、開口一番で馬鹿呼ばわりされた。
「仕方ないも何も、我輩は彼の禁断魔法を使うなと釘を刺しておいたのであるぞ! にも、関わらず使ったのだから、貴様は馬鹿中の馬鹿の大馬鹿者なのであ―――るっ!」
まぁ、ゲイリーが叫ぶのも分かる……『星間駆ける皇帝の葬送曲』は禁断の魔法、使えばコッチにキッチリ反動―主に性欲として―が返ってくる。

「……ゲイリーさん?」
「をおぅっ!? コラムよ……そんな視線だけで人が殺せそうな目で、我輩を睨まないでほしいのであ〜る」
人を馬鹿だ、馬鹿だと言ってたゲイリーだがコラムのジト目に気圧され、一歩後ずさる。
正直俺も、そのジト目は本気で怖い。
「親しき仲にも礼儀あり、です……幾等ゲイリーさんがエヴァンさんの幼馴染でも、ソレ以上の暴言は許しませんよ」
フゥッ…と溜息を吐くコラムだが、いい加減慣れてくれねぇかなぁ。
コレが、俺とゲイリーのやり取りなんだが。

×××

「ソレにしても、我輩の医療所に泊まるという事は、暫く此処に滞在するつもりであるな?」
「正解、暫く此処に泊まらせてもらうぜ」
俺達はジパング伝来の『チャブダイ』を囲み、待合室で昼食を食ってる最中、ゲイリーは俺に暫く此処に居るのかと聞いてきた。
改めて考えたら、よく消毒液臭い待合室で飯を食えるよな、俺達。
慣れてるけど。
基本的に俺は宿屋を利用してるが、宿泊代も地味に痛い出費、長期滞在の時はゲイリーの医療所に泊めさせてもらってる。
因みに、ゲイリーの医療所は一階が診察室と待合室、二階が居住区という構成だ。

「今回の調査で、良く分かったよ……フェランもコラムも護身程度でいいから、攻撃魔法を使えるようにしねぇと」
そう、今回の長期滞在の目的はフェランとコラムに魔法を教える事。
前回の遺跡といい、今回の獣の吼える森といい、二回連続で怪物相手に大立ち回り。
二度ある事は三度あるとも言うし、何処かを探検もしくは調査で訪れて、また怪物が出て来てもめっちゃ困る。
だから、当分は此処で二人に魔法を教える事にしたんだ。

「そうだよねぇ〜、アタシも足手まといはイヤだもん」
「確かに、私達も魔法が使えれば、エヴァンさんにばかり負担を掛けなくて済みますし」
と、二人も言ってるし、『足長おばさん』からの今回の調査の報酬もある。
暫くは、ゲイリーの医療所に居候しながら二人に魔法を教えるとしよう。
「しっかし、三人組で三人とも魔法使いというのは、キツいと思うのであ〜る」
そう言った後、チュルチュルとスパゲッティを啜るゲイリー。
其処は突っ込まないでくれ、俺もそう思ったんだから。
だけど、俺が教えられるのは魔法だけだし、二人共武器を扱えるかどうか分からん。
今度探検する時は剣を使える傭兵でも雇ってみようかなぁ、とか考えてたら

―ゴンゴンッ

「ふぶ? ひゅうほぉくひゅうひ、いっふぁいふぁへへあふふぁ?」
「ゲイリーさん、口に食べ物を入れたまま喋らないでください」
ノック音が待合室に響き、口にスパゲッティを入れたままで喋るゲイリーをコラムが注意する。
「んぐっ……今は昼食中であって、休診中なのである。緊急でもない限り、勧誘も診査もお断りなのであ〜る」
そう言った後、ゲイリーは再びスパゲッティを啜るが、扉をノックした誰かは構わず扉を開けて医療所の中へと入ってきたようだ。
誰かは知らん、だって俺は扉に背を向けてるし……ズルズルという音がするから、恐らくラミア種の誰かだろうか?

「ひゃふぁら、おふぉとブポォッ!?」
「ぎゃあぁぁぁぁっ!?」
「え、エヴァンさんっ!? 大丈夫ですかっ!?」
き、汚ぇぇっ! ゲイリーめ、いきなりスパ吹きやがった!
お陰でコイツの前に座ってた俺の顔に、唾と麺がぁっ!
コラムが手元にあったナプキンで俺の顔を拭いてくれたが、一体誰が来たんだ?
俺は扉の方に振り返り
「昼食中に済まないが、失礼するぞ」
飯を吹きはしなかったが、固まった。

「……よく、このような場所で昼食を食べられるな」
入口にはラミア種の魔物、待合室でチャブダイ囲んで昼食中の俺達を見て溜息を吐く。
うん、客観的に見れば、中々に珍妙な光景だな……って、違う!
ラミアやメドゥーサなら、親魔物派領のセレファイスで暮らすゲイリーは飯を吹かないし、探検家である俺も固まったりしない。
ラミア種はラミア種でも、医療所に入ってきたのはエキドナであり、このセレファイスでエキドナといったら一人しかいない。
「「りょ、りょりょりょ、領主様ぁっ!?」」

「りょ、領主様!? な、なな、何用で我輩の医療所に来たであるか!? 我輩、最近はちゃんと税金を納めてるのであーる!」
「安心せよ、我(ワレ)は私事で来ただけだ。それと、鼻から出ている麺を仕舞ったらどうだ?」
領主様に指摘され、ゲイリーは鼻をすすってスパゲッティを仕舞うんだが、啜るなよ。
つぅか、お前、税金を滞納してた事があんのか。
エキドナ……リリムやバフォメットに並ぶ最上位の魔物、彼女達が産む子供は第一子以外は種族等がバラバラという特殊な性質から『魔物の母』とも呼ばれてる魔物だ。
そして、俺達の前に居るエキドナは、このセレファイスの領主様でもある。

「私事、ですか……それでも、何でゲイリーの医療所に?」
何かと多忙な領主様が私事とはいえ、何で此処に来たんだ?
ソレを尋ねると、領主様は
「エヴァン、汝(ナレ)に所用があってな」
と魔物らしい、妖艶な笑みで俺に用事があると言ってきましたよ、オイ。

×××

セレファイス領主・ローラ……小さな街にすぎなかったセレファイスを、大陸でも有数の交易都市に発展させた女傑だ。
『一文無しでやってきて、交易路を携えて戻ってきた』
領主様の偉業を讃える囃し言葉であり、この言葉通りの偉業を領主様は成し得た。
さっきも言ったが、元々セレファイスは緩やかに寂れてきた小さな街だった。
だったんだが、一文無しで訪れた領主様は、街の近くにあった誰も気付かない小さな洞窟の奥で魔道具の材料等に使われる魔宝石の鉱脈を発見。
ちゃんと調査してみたら、その鉱脈は既存の魔宝石の鉱脈よりも広大で、一躍大金持ちになった領主様だが、ソレで満足しなかった。

ソレで得た資金を元にセレファイスを離れ、魔宝石を加工出来る腕利きのドワーフの誘致、加工した魔宝石を捌く為の交易路開発等、大陸を駆け巡って精力的に活動した。
既存の交易路に自ら開発した交易路を連結させ、寂れた街にすぎなかったセレファイスは大陸全土に開放された。
同時に、ソレは大陸全土から富、人材、活力が、このセレファイスに流れ込むのと同義であり、セレファイスは一躍、大陸有数の交易都市に未曾有の大発展を遂げた。
今のセレファイスは、領主様無しじゃ此処まで発展しなかったんだ。

「エヴァンよ、何を呆けておるのだ?」
「え、あ、その……」
目前を歩く―『這う』の方が正しいか―領し……じゃなかった、ローラさんが俺の方へと振り返り、ローラさんにいきなり声を掛けられて俺は我に帰った。
セレファイスの歴史を思い出したくなるよ……そうでもしねぇと、俺が何でこんな場所に居るのかを冷静に考えられねぇし。
因みに、何で『ローラさん』と呼んでるのかというと、その本人が私事では名前で呼べと言ってきたからで、流石に呼び捨ては無理なんで『さん付け』で妥協してもらった。

「目的地は、まだ先にあるのだ。此処で呆けておっても、仕方あるまい」
「はぁ……」
現在、俺とローラさんが居るのは、植物でありながらも動物のように動き回る事が出来る蔓状植物・触手植物が群生する『触手の森』。
この森はセレファイスから馬車で十分程の所にあり、街に住む魔物夫婦が挙って訪れる人気の場所。
何で、俺とローラさんが此処に居るのか?
そりゃ、ローラさんの『所用』の目的地が此処の最深部だからだ。

×××

『俺に用事、ですか……領主様が、しがない探検家に用事って』
初対面のフェランとコラムに領主様が自己紹介を済ませた後、俺は領主様に何の用事があって来たのかを聞こうとしたら
『ローラで構わん』
はい? 何で? 何で領主様を、名前で呼ばにゃならんのだ?
『確かに公では畏まる必要はあるが、今は私事で来ているのだから、畏まる必要は無い。それに、一方的とはいえ我と汝は親交があるのだぞ』
私事だから名前でいいって……って、ちょっと待て、一方的に?
一方的な親交って何だよ、ソレ?

『あ゛』
ゲイリー、お前……何だよ、その『あ゛』は。
背後でシマッタという感じの声を上げたゲイリーに、俺は振り返る。
『ぬははは……すっかり忘れておったであるが、『足長おばさん』からの手紙の封筒止めの蝋に、領主様の判子が捺されていたのであ〜る』
その封筒も中身を確認したら捨ててしまったである、とバツが悪そうに笑いながら、頭をポリポリ掻いてるゲイリー。
そうかっ! お前か、お前の所為か!
何時も『足長おばさん』からの手紙を受け取る時、手紙だけで封筒は何処だと思ってたら、お前が捨ててたんかい!

『まぁ、些事は放っておこう。此処に来れば、何れは会えると思うてな』
笑って許して、とほざいたゲイリーをタコ殴りにした後、領主様は此処に来た理由を話したんだが、肝心の用事は何でしょうか?
まぁ、領主様が俺に用事があっても、俺にも用事がな……フェランとコラムに、護身用の魔法を教えなくちゃならない事を伝えると
『直ぐに済む所用故、それ程時間は取らせぬ。では、エヴァンを拝借するぞ』
いきなり、領主様が下半身を俺に巻き付ける……って、オイッ!
問答無用ですか!? 俺に拒否権は無いと!?
俺を巻き付けたまま器用に這いずる領主様に、呆気にとられているフェラン達を残して、俺はゲイリーの医療所を後にした。
以上、触手の森に来るまでの経緯でした。

×××

「それにしても、何で触手の森に?」
「ソレは、最深部に着くまで秘密だ」
触手の森を歩く俺とローラさんだが、妙に静かなんだよなぁ……現在地は森の中層部で、そろそろ『アレ』が出てきてもおかしくない。
『マン・マリオネット』。
人魔問わず女性を狙う触手植物にしては珍しく、男性の方を狙う触手植物らしい。
魔物、動物、植物、地質等、探検に必要な知識は実体験込みで調べてるから、それなりに詳しいつもりだが、触手植物は俺もあまり知らない。
そもそも、触手の森を訪れるのは今回が初めて……だって、俺の好奇心を疼かせるモノが無くて、興味が湧かないんだもん。
兎に角、男性を狙う触手植物だという事以外、俺はマン・マリオネットの事は知らないし、現れたら俺の尻の純潔が危険だ。

「マン・マリオネットなら現れぬ故、汝も安心せよ」
貴方、人の心が読めるんですか? そもそも、何故現れないと断言出来るんですか?
「『完全遮断(パフェト・シャダウン)』を行使しておるからな。幾等彼奴等の知能が高かろうと、流石に触手植物では看破する事は出来ぬ」
だから、貴方、人の心を読まないでくださいよ。
だが、静かなのも納得……『完全遮断』は『気配遮断(シャダウン)』や『不可視(ノビジョン)』といった、姿を隠す魔法の中で最も体得が難しい魔法だ。
隠蔽系の魔法は行使している間、微量の維持魔力が漏れちまって、魔法使いや俺みたいな魔法的感覚が鋭い者が相手だと見つかる可能性が出てくる。
簡単に言えば、『姿は見えないけど魔法で姿を隠してる』のが、そういう相手だと見つかる。

「よく維持出来ますねぇ……」
『完全遮断』はその欠点を克服した魔法で、漏れる維持魔力を大気中の魔力と一体化させ、魔法使いが相手でも、その名の通り完全に姿を隠す魔法だ。
だが、それでも欠点はある……常に大気中の魔力の密度や質を計算して、それに合わせて維持魔力を変化させなくちゃなんねぇから、非常に神経を削る。
要するに、使ってる間は精神的に凄い疲れる。
彼此、二、三時間は歩いてる上に二人分の『完全遮断』、ローラさんはソレを平然と行使し、オマケに疲れた様子を一向に見せない。
同じ魔法を使う者として、素直に凄いと思うぜ。

×××

「しっかし、俺の探検を支援してくれてたのが、ローラさんだとは思わなかった」
「ふふっ……アリシアとの約束でな」
「母さんとの?」
俺の呟きにローラさんが答えるが、何で其処で母さんが出てくるんだ?
ソレを聞いてみると、ローラさんは昔を懐かしむように話し始める。

「アリシアが、我の住まう迷宮を訪れてな……」
曰く、俺の母さん……アリシア・セレスティーナ・エーデルマンとローラさんは、種族を超えた親友だそうだ。
母さんが知的好奇心を疼かせる何か―ついでに路銀を稼ぐ為の財宝―を求め、ローラさんが切り盛りしてた迷宮に潜り込んできたのが、二人が知り合う切欠になった。
知り合ってからの二人は共に探検し、苦楽を分かち合い、そして俺の父さんと出会った。

「あの頃は、我も若かったな……」
真面目で、お人好しで、何処か間の抜けた俺の父さん……クロウ・シャルズヴェニィを、母さんとローラさんは好きになった。
ローラさんは『魅了(イグラ)』が使える分、母さんより有利だが、ローラさんは『魔物』ではなく『一人の女性』として父さんに求愛したそうだ。
魔物と人間が夫婦になると子供は絶対に魔物になるから、結果は『人間』の俺がこの世に生まれた以上、母さんの勝ち。

「汝がまだ若い内に自分が死んだら、汝の面倒を見てやってくれと、な……」
負けたローラさんは以前住んでた迷宮に戻る気も起きず、セレファイスへ辿り着き、失恋を振り切るようにセレファイス発展に尽力した。
母さんとローラさんの再会は、俺が生まれる一年前。
母さんはこれからの探検の拠点として、父さんと共にセレファイスに移住してきた。
その時、発展の立役者として領主に就任してたローラさんと再会し、再会を祝して互いの近況を伝えあい、母さんと約束したらしい。

「そう、だったんですか……」
両親が死んだのは今から四年前、両親が死んだのを切欠に、母さんに憧れてた俺は探検を始めたんだっけ。
平均寿命三〇〇年のエキドナであるローラさんから見れば、俺はまだまだ子供。
だから、母さんとの約束を果たす為に、ローラさんは俺の探検を支援してくれたんだ。
最初の支援は本当に驚いた……探検に必要な知識や魔法を勉強してたら、いきなり大量の金貨が実家に送られてきたんだから。
勿論、その金貨は生活費だけではなく、魔法書や探検に必要な道具の購入にも使ったが。
因みに、あまりの大金に使っても使っても減らず、現在進行形で支援金は貯まる一方で、一部をゲイリーの医療所の建設費や消耗品に充ててるのは秘密だ。

「さぁ、着いたぞ」
母さんとローラさんの過去を聞いていたら、目的地に到着したみてぇだな。
さてさて、一体此処に何の用事があるんだ?
辿り着いたのは、見上げても天辺が見えない大樹の根元……かなりデカいよなぁ、ずっと見上げてると首が痛くなりそうだ。
「コレは『宝樹』。我の、いや……此の地を訪れるモノ達全員の目的だ」
「ふぅん……」
俺は好奇心のままに大樹に近付いて、大樹を観察する。
いや、樹じゃない……表面が何かウネウネと蠢いてるし、触るとほんのりと温かい。
まさか、コレは触手なのか?

「勘が鋭いな、エヴァン。汝の想像通り、『宝樹』は数多の触手植物が絡まりあい、樹木のように見えておるだけだ」
そう言いながらローラさんが宝樹に近付いてくと、俺が触っていた辺りから一本の触手がニュルリと伸びたんだが……その、何だ、アレだ。
凄く、大きいです。
ざっと見ただけでも俺のチ○コより一回りは太くて、男として地味にヘコむぞ。

「はむっ……ん、んくっ、んふっ」
伸びてきた触手をローラさんが咥えると、何かを飲み込むような声が。
オイオイ、ローラさん? 貴方、何をしてるんですか?
「ぷはっ……ふふ、ふふふふふふふっ」
咥えていた触手を口から離したローラさんだが、様子が明らかにおかしい。
顔は酒を飲んだみてぇに真っ赤、目はトロンと潤み、その目には獲物を狙う狩人の光が!
「さぁ、我と交わろうではないか♪ ……っと、逃げるでないぞ、エヴァン!」
逃げるわ! いきなり交わろうなんて言われりゃ、誰でも尻込みして逃げるわ!
逃げようとする俺だが、ローラさんは下半身が蛇とは思えない速度で近付き、その下半身で俺を拘束する。

×××

「ふふっ❤ さぁ、楽しもうぞ……んっ、ちゅるっ、んふっ」
俺を下半身でグルグル巻きにしたローラさんは、困惑する俺にキスしてくる。
細長い舌が俺の口腔内に潜り込み、俺の舌を探り当てると踊るように絡ませてくる。
「はぷっ、んふっ、れるるっ、じゅずるっ」
大胆に、濃厚に、ローラさんが舌を絡ませ、俺の頭は興奮でぼんやりしてくる。
「ふふっ❤ 汝のコレも、すっかり元気になりおったな❤」
唇を離したローラさんは俺の股間に手を当て、嬉しそうに笑う。
あ、分かります? 分かるよねぇ……俺のチ○コは、ローラさんのキスだけでギンギンに勃起してるんだし。

「どれ……我が慰めてやろう❤」
そう言ってから、ローラさんは俺のズボンを下ろしてチ○コを晒し、胴体に巻き付けてた下半身を解き、その蛇体を俺の股の間を通らせた。
俺はやんわりと押し倒され、ローラさんの即席かつ特製のベッドに仰向けで寝そべる。
「はむっ…れるっ、んふっ、ぢゅるる……んむっ、んぅっ」
俺の下半身に顔を近付けたローラさんは俺のチ○コを咥え、ゆっくりと頭を上下させて口で扱き始める。
へこんだ頬、はしたない顔、興奮で潤んだ目。
常に威風堂々とした、ローラさんらしくない姿に俺は興奮を隠せない。

「じゅるるっ、んぅんっ…んぐっ、ふぅっ、んふっ……」
気持ち良いのか?
そう尋ねるように上目遣いで俺を見上げるローラさんに、俺は頷く事で答える。
俺の頷きに蕩けてた目を、更に蕩けさせたローラさんは頭を上下させる速度を上げ、幅を大きくし、根元まで咥えこむ。
ジュプジュプと淫らな音が静謐な空間に響き渡り、その音とローラさんの痴態が俺の興奮を際限無く高めていく。
いかん、気持ち良くて出ちまいそうだ……

「ぷはっ……んっ、ふふっ……精液を出すなら此処に、な?」
射精寸前になった俺のチ○コからローラさんは口を離し、見るだけで興奮しそうな妖艶な笑みを浮かべつつ、股間を隠す布を外す。
晒されたローラさんの秘所に、俺は生唾を飲み込んだ……何故なら、ローラさんの秘所は、水を零したみたいにビショビショに濡れていた。
「ふふっ❤ さぁ、エヴァンよ……我と、繋がろうではないか❤」
ヌラヌラといやらしく輝く俺のチ○コをローラさんは優しく掴み、騎乗位の体勢で自らの秘所へと導いてく。
亀頭が入口に軽く触れただけで俺のチ○コは期待で熱く脈打ち、吸い込まれるように俺のチ○コはローラさんの秘所に飲み込まれていく。

「ん、ふぁぁっ……入った、ぞ」
ブヅリ、と肉を裂くような感覚を感じた俺は、半分程まで飲み込まれたチ○コを見ると、ツゥッと紅い筋が……って、えぇぇっ!?
ま、ままま、まさか!? ローラさんは『アレ』ですかぁ!?
「あぁ、そのまさかだ……我は、未通女(オボコ)だったのだぞ❤」
嬉しそう、かつ茶目っ気タップリに言われても困る! めっちゃ困る!
覆い被さるローラさんを押し退けようとすると、離さないと言わんばかりにローラさんは俺の頭をギュッと抱きしめる。

「漸く、なのだ……漸く、我の願いが果たされたのだ。離しはしないぞ、エヴァン」
俺を頭を抱きしめたまま、ローラさんは腰を動かし始める。
ローラさんの中はギュウギュウと俺のチ○コを締め付け、絡みついてくる。
襞の一つ一つが快感を齎し、背筋がゾワゾワとしてくる。
「ん、んふっ、あぁっ…嬉しいっ、あんっ、嬉しいぞっ❤ ……こうしてっ、んぅっ、あふっ、汝とっ、繋がれたのがっ、ふぁっ、あふっ、んんっ❤」
耳元で囁かれる甘い声、耳を擽る吐息、絡みつく秘所。
ソレ等全てが、ローラさんが俺を求めていた事を告げる。

「あんっ、んんっ、あぁっ❤ …エヴァンッ、くふっ、んふっ、あんっ、我のっ、愛しいっ、エヴァン❤ ……愛してっ、おるぞっ、ん、んぁっ、あふっ❤」
破瓜の痛みも何のその、愛の告白を俺の耳元で囁きながらローラさんは激しく腰を動かす。
「あんっ、んぁっ、くふっ、あ、あんっ❤ 二〇年もっ、んっ、待ってっ、あふっ、おったのだっ……ずっとっ、ずっとっ、あ、あんっ、んんっ、ふぁぁっ❤」
今の今まで溜め込んできた想いをぶつけるような、激しい交わり。
強烈な快感が襲う最中、俺は意識の片隅で不躾な事を考えてしまう。
俺は、手に入らなかった父さんの、代わりなのか?

「んぁっ、あんっ、あふっ、違うっ……我がっ、ん、んふっ、欲しいのはっ、んふっ、ん、んんっ……汝っ、なのだっ」
俺の心を読んだように、喘ぎ声を上げながらローラさんは囁く。
「あふっ、んぁっ、くふっ、汝はっ、んんっ、汝だっ……クロウではっ、んふっ、ないっ」
激しかった動きが緩やかになり、動きが止まるとローラさんは俺の顔をジッと見つめる。
「確かに、我はクロウを求めた……じゃが、過去のモノを求めた所で無意味だ」
……ローラさん。
「我は……今を生きる我は過去のクロウでなく、共に今を生きるエヴァンが欲しいのだ」
あ〜あ、失礼な事を考えちまった。
ローラさんは、本当に俺が欲しかったんだ。

「ひゃんっ!? こ、こらっ、んふっ、エヴァンっ、あぁんっ、急にっ、んぁぁっ!」
失礼な事を考えてしまったお詫びとして、俺は腰を動かし、ローラさんを突き上げる。
「ん、あふっ、んあっ、エヴァンッ、エヴァンッ、エヴァンッ❤」
俺が突き上げる度に、ローラさんは甘い声で俺の名前を呼ぶ。
俺が突き上げる度に、ローラさんの秘所が愛しそうに締め付ける。
さっきまで激しくされてたから、俺のチ○コはもう限界だ。

「んぁっ、ん、んんっ❤ …エヴァンっ、んふっ、あんっ、我のっ、中にっ、ふぁっ、あ、あぁんっ❤ ……出してっ、くれっ、あ、あふっ、んくっ❤」
流石に中に出すのは不味いとは思うが、ローラさんがそうして欲しいなら。
限界が近い俺は更に突き上げ、ローラさんの奥を何度も小突く。
「あ、あふっ、んぁっ、ん、んぁぁぁ―――――――――っ❤」
くぅっ……甲高い声を上げてローラさんは絶頂を迎え、絶頂でキツく締め付けてきた秘所に俺のチ○コは盛大に精液を放つ。
ドクドクとローラさんの秘所に注がれる精液は収まりきらずに逆流し、ローラさんの処女の証と混ざり合って薄い桃色に染まっている。
「ん、あ、あぁぁぁ……エヴァンの、精液が、我の中に、溢れておる❤」
心底嬉しそうに顔を綻ばせるローラさんを見て、俺も何だか嬉しかった。

×××

「……エヴァンよ、汝は絶倫だな♪」
「……すいません、ローラさん、ソレを言わないで」
俺はローラさんと、一五回も交わってしまった。
あちゃぁ……コレでローラさんが妊娠したら、途轍もなく面倒な事になりそうだ。
俺は『宝樹』の根元に座り、ローラさんは蛇体を俺に巻き付け、事後の余韻に浸っている。

「漸く、我の願いが果たせた……二〇年は、本当に長かった」
「さっきも、言ってましたけど……何ですか、その願いって?」
ローラさんの願いって、一体何なんだ?
気になった俺はソレを尋ねたんだが、聞いて後悔する事になった。
「ん? あぁ、ソレはだな……エヴァンを、汝を『婿』にする事だ❤」
「……………………はい? はいいぃぃぃぃぃぃっ!?」
む、むむむ、婿ぉっ!? 俺を、ローラさんの婿にする事だとぉぉぉっ!?

「アリシアと約束してな……」
ローラさん曰く。
俺がまだ赤ん坊の時、お祝いの品を自ら届けにきたローラさんに、俺の母さんが
『ねぇ、ローラ? この子が大きくなったら、アンタの婿にしちゃっていいわよ♪』
と言い、当然だが母さんの発言にローラさんは驚いた。
『アタシはクロウを貰ったし、さ……ローラも幸せになってほしいし』
と言われ、
『だから、エヴァンが大きくなって、結婚出来る齢になったら、アンタにあげるわ』
と、いう事で、ローラさんは俺が成長したら婿として貰う事を約束したそうな。

「あんの糞母ぁぁぁぁぁぁっ!!」
畜生! 生まれて初めて、母さんを恨むぞ!
勝手に人の将来を、それこそ物のように決めんじゃねぇぇぇぇっ!
「実に長かったが……漸く、汝を我の婿に出来たぞ❤」
そして、其処ぉっ! ウットリしてんじゃねぇぇぇぇっ!
「エヴァンよ、話は変わるのだが……何故、この巨大触手が『宝樹』と呼ばれておるのかを、汝は知っておるか?」
知りませんがな……俺は触手に興味は無い。

「『宝樹』はな……夫婦が最も望む宝を授けてくれるが故に、『宝樹』と呼ばれておる」
「夫婦の望む『宝』?」
何だ? 何だか、めっさ嫌な予感がするぞ。
何というか、こう、俺の将来を確定させる何かが決まったような気が。
「先刻、我が『宝樹』の触手を咥えておっただろう? 『宝樹』の粘液には子宮を活性化させる効能がある」
しきゅうの、かっせいか?
「ふふっ、肝心な所で鈍いな……つまり、『宝樹』の粘液を摂取した状態で交わり、精液を中に出されれば、一回の交わりで子供を妊娠出来るのだ」
え゛? ソレ、ホントウデスカ?
「事実だ。魔物夫婦が挙って此処を訪れようとするのも、コレが目的だからだ」
してやったり、という感じで笑うローラさん。
は、嵌められたぁっ! いや、ハめたのは俺だけど!

「ふふっ、我とエヴァンの子か♪ 第一子故にエキドナであろうが、汝のように探検家を目指すのだろうか?」
お腹を擦りながら幸せそうに微笑むローラさんだが、俺は冷や汗が滝のようにダラダラ流れる。
や、やってしまった……領主であるローラさんを、妊娠させちゃったよ。
「戻ったら、我もエヴァンのハーレムに混ぜてもらうように頼むとしよう♪」
本来、ラミア種は総じて嫉妬深いんだが、コラムのハーレム思想に感化されてんのか。
ローラさん、俺のハーレムに混ぜてもらおうなんて言ってるし。
ダークマター、バイコーン、エキドナ……何だよ、稀少な魔物ばっかりじゃねぇか! 独身の親魔物派男性が見たら、『チ○コ、もげろ』って言われるぞ!
コレでリリムとか、バフォメットとか、ドラゴンとかが加わったら確実だ。
そうならない事を、本気で祈りたい……

「さて、我の目的も願いも果たせた! エヴァン、セレファイスに戻るぞ」
意気揚々とローラさんが歩き始め、溜息と苦笑いをしながら俺もローラさんの後を追う。
まぁ、それでもいいかと思う俺は、やっぱり父さんの息子なんだな。
お人好しな父さんの血をちょっと恨みながら、俺はセレファイスへと戻る。
後で、フェランとコラムも此処に連れてこようかなぁ……

Extra Report.01 俺と母蛇と過去の約束 Closed
12/09/29 00:17更新 / 斬魔大聖
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■作者メッセージ
魔物娘捕食者第三話、お待たせしました。
第三話は日常をメインに、バトル抜きで執筆しました。
バイコーンのコラムの影響で、ハーレムを築くエヴァン。
最終的にどうなるかは、楽しみにしていてください。
次回、あの白一色の少年が登場します。

それでは、登場人物説明を。
―ローラ―
エヴァンが探検の拠点にしている親魔物派領・セレファイスの領主様。
本編にも書かれている通り、小さな街だったセレファイスを大陸有数の交易都市に発展させた女傑であり、その功績で領主に就任した。
常に威風堂々とした態度で接する真面目な性格で、エヴァンの母とは種族を超えた親友同士。

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