報復の覚悟 Retaliative resolution 後編
初陣を無事に終えて俺達は砦に戻って来た。
「成功…したね…。」
「リオン、大丈夫か?」
「少し…暴れ過ぎたかな…がっ!」
「血!?」
「やっぱり無理してたんだな…。」
「どういうことだよ…。」
「リオンは不治の病に冒されている、あと命は持って4ヶ月ほどだ。」
「なんだって!?」
「貴方に言うと、報復を止めようと言うと思ったからってリオンが言っていたわ。」
「俺は何も知らなかったのかよ…。」
「気にする事は…ないさ…、人はいずれは死ぬんだ、それが早いか遅いだけの違いしかないさ…。」
「…」
「どこ行くの!?」
「可能性がある場所が1つある!俺はそこに行く!」
「どこに…。」
「危険だから来るな!俺1人で行く!」
「…。」
俺は砦を出て走り出した。
「あいつ、どこにいるんだ…?」
ジュンが砦を出てからしばらく経ち、リオンが意識を取り戻した砦では、タニアが事のいきさつを話していた。
「ジュンが、私の病気を治せる可能性のある場所に行っただって!?」
「ああ、もう結構前に行った。」
「どこに行ったか聞かなかったのか?」
「ええ、だけど彼は「危険だから来るな」って言っていたわ。」
「ジュン、一体どこに行ったんだ…?」
その頃俺は、クルスの街に戻り連絡用の魔法球を使って魔王城に連絡を取っていた。
「そっちは魔王城か!?」
『はい、そうですよ。貴方は誰ですか?』
「俺ばジュン。魔界王女のブランかノワールに言えば分かる、取り次いで貰いたい。」
『わかりました、確認してきます。』
「頼む…戻っていてくれよ…。」
数分経って、また魔法球に連絡に出た魔物が映った。
『では今から取り次ぎます。』
「ありがとう。」
ブランの顔が魔法球に映り、話しかけてきた。
『一体どうしたの?』
「リオンを助けてくれ!」
『一体どうしたの、順序立てて話して。』
「俺達が砦に戻ってすぐにリオンが吐血したんだ。」
『そう…それから?』
「俺はリオンの病気のことを聞いた。」
『病気?』
「あいつの寿命はあと持って4ヶ月、不治の病だってな。」
『…。』
「頼む!リオンを助けてやってくれ!」
『…私達が助けても、また報復に行くんでしょう?』
「俺がリオンに報復をさせない。命に代えても止める、約束する。」
『…本気みたいね。』
「もう仲間を失いたくない、頼む!リオンを助けてやってくれ!」
『分かったわ、ならクルスの街の門前に一時間後に集合しましょう。』
「分かった。」
俺はすぐに走って砦に戻った。
「リオン、絶対にお前を死なせはしない!」
「…どういうことだ?」
「お前の病気を治す。」
「どういうことだ?まるで分からない。」
「とりあえずしっかり捕まっててくれ。」
「ジュン!」
「ウェイン、タニア、アスタ、俺達が戻るまで砦を頼む。」
「…分かった。」
俺はリオンを背負いながら馬に乗りクルスの街の門前に向かった。
「どうやって治すんだ?」
「ブラン達の力を借りる。」
「ジュン!君はまさか…。」
「リオンには報復をさせない条件で向こうも了承してくれた。」
「ジュン…。」
「リオンが病気と戦ってる間、俺達がリオンの分まで戦う。」
「君は…。」
「リオンの苦しみも俺が背負ってやる、だからリオンも病気なんかに負けるなよ…。」
「…あぁ、私の思いを君に託す。あの教団の奴らを…。」
「分かった。」
話ながら移動してしばらく経ち、クルスの門の前に着いた。
『ジュン!』
「ブラン!」
『彼の病を、治療すればいいのね?』
「ああ、頼む。」
「ジュン!」
「アスタ、タニア、ウェイン!」
「来るなって言ったろうが…。」
「リオンは、僕とタニアがついてるから。」
「…任せた。」
『なら早速リオンを手術室に運ぶわね。』
「ああ、頼んだ!」
ブラン達と別れ、俺とウェインは砦に戻った。
「日が沈んだら、俺達もリオンの大切な人達を殺した奴らのところに行こう。」
「あぁ。」
「なら今のうちに眠っておこう、疲れをとらないと。」
「あぁ、そうだな。」
日が傾き、夕暮れ前になり俺達は目を覚ました。
「ウェイン、準備は出来たか?」
「ジュンの方は?」
「後は何かを腹に入れたら準備万端だ。」
「そうだな。」
俺とウェインは軽く食事を取り、リオンの仲間を殺した教団がいる街に向かった。
「さあ、作戦開始だ。」
「あぁ。リオン…俺達もお前の敵と戦う、だからお前も負けるなよ…。」
俺達は教団の兵士達に切り込んで行った。
「でいゃぁぁぁぁぁぁ!」
ギン!ギン!ギン!ギン!ギン!ギン!ギン
ウェインが教団兵をまとめて一閃し、薙払う。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!
俺は教団兵達を両断していく。
「よし、後は教皇だけだ。」
「あぁ。」
バタン!
「ひぃっ!」
「教皇、お前の命を頂く。」
「わ、私を殺せば、たたた、ただでは済まんぞ!」
「もうあんたのお抱えの兵士はみんなあんた達が崇拝する[主神様]の元に送ったけどな。」
「な、何だと…。」
「さあ、今まで手を汚さずに傷つけ、苦しめ、殺してきた者達の分まで苦しんで死ね。」
「ひ、ひぃぃ、か、金か、金か?」
「…。」
「なな、何でも、何でもするから命だけは…。」
「お前はそうやって命乞いをした奴らを自分の手を汚さずにどれだけ苦しめて殺したんだ?」
「あ、ああ…」
「答えろよ。」
「憶えて…な…。」
「そうか、なら苦しめるだけ苦しめて殺す。」
「た、頼む…何でもするから命だけは…」
「今、[何でもする]って言ったよな?」
「言った、だ、だから命だけは…。」
「じゃあお前達に苦しめられた者達の分まで苦しんで死ね!」
ザシュッ!
「う、腕が…腕がぁぁぁ!」
俺は教皇の左腕の肘から先を切り落とした。
「ジュン!早くすませろ、兵士達が来た!」
「これはリオンの分!」
クジュッ!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「これはアスタの分!」
ギンッ!
「あ、足が…。」
「これはタニアの分!」
ドズッ!
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
片足と両腕を斬り潰された教皇が転げ回っていたが俺は気にしなかった。
「これはウェインの分!」
ギィン!
「ひぎ…が…。」
「そしてこれは故郷を失った俺とラミーの分だ!」
ゴッ!ブジュッ!
「はゃがぁぁぁ!」
俺は教皇を蹴り起こし、首を斬り落とした。
「よし、撤収だ。」
「何でそいつの頭を持って行くんだよ。」
「リオンに見せないと、敵を取ったから。」
「あ、なるほど。そうだな。」
俺達は砦に何とか戻り、ブラン達からの連絡を待った。
「…。」
「ジュン、眠いなら眠っていい。オレが番をしてやる。」
「疲れているのはウェインも同じだろう。」
「いや、お前の方が斬った教団兵の数が多い。」
「そうなのか?」
「だから眠っていい、連絡が来たら起こしてやる。」
「…ありがとう。」
ウェインの言葉に甘え、俺は眠ることにした。
「じゃあ、よろしく頼む。」
「あぁ、しっかり体力を回復するのに努めてくれ。」
「もちろん。」
そして俺が起こされたのは、夜明けの前だった。
「ジュン!連絡が来た!」
「分かった、すぐ行く!」
俺は魔法球に急いで向かい、見た。
『ジュン、成功よ♪』
「リオンは助かったのか。」
『当分絶対安静だけどね。』
「俺達もやることを終わらせたところだ。」
『その事を、私は喜べないわね…。』
「街を1つ陥落させられたんだ、そのことだけ喜べばいい。」
『そう…ね、準備が出来たら連絡してちょうだい。』
「なら今すぐ行く、どこに行けばいい?」
『前と同じ場所でいいわ。だけどしっかり食事を取って来なさいね、病人の前で倒れるのは笑えないわよ。』
「ああ!」
俺達は急いで食事を済ませ、クルスの門の前に向かった。
「よし、着いた。」
「そうだな。」
『ずいぶん早いわね。』
「大切な仲間が助かったんだ、もたもたしてなんかいられない。」
『なら行くわよ。』
「あぁ。」
しばらく上に引っ張られる感覚の後に、魔王城の門の前に着いたようだ。
『こっちよ。』
「ああ。」
しばらく階段を上り、10分ほど歩くと個室の前に来た。
『ここよ。』
「ありがとう。」
ウェインが扉を開けてくれたので、病室に入った。
「ジュン?」
「リオン!もう意識が戻ったのか!」
「…ありがとう。」
「リオンが助かったなら、安いもんだ。」
「ハハ…。」
「リオン、お前の仲間を奪った教団の教皇の顔、解るか?」
「…忘れる筈もないよ。」
「これ。」
俺は教皇の首を渡した。
『え?何それ…?』
「リオンの全てを奪った街にいた教皇の首」
『うわぁ…。本当に殺したのね…。』
「1つの命を滅ぼすのは、その命によって苦しめられる命を救うことになる。」
『そう考えてるのね、だけど罪悪感とかは無いの?』
「それよりも怒りや憎しみ、苦しみが勝った。」
『もっと私が早く貴方に会えていたら…。』
「あんた達にとっては朗報だ、少なくとも俺が教団の奴らを殺す事は恐らくもうないだろう。」
『どういうこと?』
「俺とリオンが恨んでいた教団の街が同じだった。」
『つまり貴方達の報復は、終わったの?』
「とりあえず一段落だな。」
「ありがとう、これでもう心置きなく…。」
「いやいやいや、死んだら意味ないだろ!」
「ハハッ、そうだね。」
「悪いが。」
「どうしたんだ、ウェイン?」
「…安心して疲れが出たようだ、どこかで休める場所はないか?」
『なら案内するわ。』
「…頼む。」
15分くらい経って、ブランが戻って来た。
「…終わったな。」
『約束…覚えてる?』
「…どの約束だ?」
『[報復が終わったら]って約束…。』
「ああ、それか…。」
『今さら逃げないわよね…?』
「逃げはしない、だがいきなりは心の準備が…。」
『そうよね…、まぁ貴方らしいと言えば貴方らしいわ。』
「まあじっくり行こう、俺はしばらくやることないんだし。」
『そうね。』
「アスタ!ジュン!」
「タニア…なのか?今までどこにいたんだ?」
『うん、私は魔物になってアスタの子供を、産めるようになったんだよ…。』
「ブラン!?」
『心残りを取り除いてあげたわ、もう貴方達が報復をしなくてもいいように。』
「お、おう。」
『アスタ〜。』
「な、何?」
『うふふ…。』
アスタはタニアに引っ張られて行った。
『もう一人の彼も、近いうちに姉さんが頂いちゃうわね♪』
「ウェイーーーン!」
俺達は、もう戦って居場所を手に入れる必要がなくなったようだ…。
『因みに彼も、もう予約済みよ♪』
「あらら…。」
「え?」
『貴方の世話をしてくれてりナースの娘がそう言っていたわ。』
「私の意見は無視なのか…?」
『まあ大丈夫よ、貴方に合う性格だと思うわ。』
「そういう問題ではないと思うんだけどなぁ…。」
「成功…したね…。」
「リオン、大丈夫か?」
「少し…暴れ過ぎたかな…がっ!」
「血!?」
「やっぱり無理してたんだな…。」
「どういうことだよ…。」
「リオンは不治の病に冒されている、あと命は持って4ヶ月ほどだ。」
「なんだって!?」
「貴方に言うと、報復を止めようと言うと思ったからってリオンが言っていたわ。」
「俺は何も知らなかったのかよ…。」
「気にする事は…ないさ…、人はいずれは死ぬんだ、それが早いか遅いだけの違いしかないさ…。」
「…」
「どこ行くの!?」
「可能性がある場所が1つある!俺はそこに行く!」
「どこに…。」
「危険だから来るな!俺1人で行く!」
「…。」
俺は砦を出て走り出した。
「あいつ、どこにいるんだ…?」
ジュンが砦を出てからしばらく経ち、リオンが意識を取り戻した砦では、タニアが事のいきさつを話していた。
「ジュンが、私の病気を治せる可能性のある場所に行っただって!?」
「ああ、もう結構前に行った。」
「どこに行ったか聞かなかったのか?」
「ええ、だけど彼は「危険だから来るな」って言っていたわ。」
「ジュン、一体どこに行ったんだ…?」
その頃俺は、クルスの街に戻り連絡用の魔法球を使って魔王城に連絡を取っていた。
「そっちは魔王城か!?」
『はい、そうですよ。貴方は誰ですか?』
「俺ばジュン。魔界王女のブランかノワールに言えば分かる、取り次いで貰いたい。」
『わかりました、確認してきます。』
「頼む…戻っていてくれよ…。」
数分経って、また魔法球に連絡に出た魔物が映った。
『では今から取り次ぎます。』
「ありがとう。」
ブランの顔が魔法球に映り、話しかけてきた。
『一体どうしたの?』
「リオンを助けてくれ!」
『一体どうしたの、順序立てて話して。』
「俺達が砦に戻ってすぐにリオンが吐血したんだ。」
『そう…それから?』
「俺はリオンの病気のことを聞いた。」
『病気?』
「あいつの寿命はあと持って4ヶ月、不治の病だってな。」
『…。』
「頼む!リオンを助けてやってくれ!」
『…私達が助けても、また報復に行くんでしょう?』
「俺がリオンに報復をさせない。命に代えても止める、約束する。」
『…本気みたいね。』
「もう仲間を失いたくない、頼む!リオンを助けてやってくれ!」
『分かったわ、ならクルスの街の門前に一時間後に集合しましょう。』
「分かった。」
俺はすぐに走って砦に戻った。
「リオン、絶対にお前を死なせはしない!」
「…どういうことだ?」
「お前の病気を治す。」
「どういうことだ?まるで分からない。」
「とりあえずしっかり捕まっててくれ。」
「ジュン!」
「ウェイン、タニア、アスタ、俺達が戻るまで砦を頼む。」
「…分かった。」
俺はリオンを背負いながら馬に乗りクルスの街の門前に向かった。
「どうやって治すんだ?」
「ブラン達の力を借りる。」
「ジュン!君はまさか…。」
「リオンには報復をさせない条件で向こうも了承してくれた。」
「ジュン…。」
「リオンが病気と戦ってる間、俺達がリオンの分まで戦う。」
「君は…。」
「リオンの苦しみも俺が背負ってやる、だからリオンも病気なんかに負けるなよ…。」
「…あぁ、私の思いを君に託す。あの教団の奴らを…。」
「分かった。」
話ながら移動してしばらく経ち、クルスの門の前に着いた。
『ジュン!』
「ブラン!」
『彼の病を、治療すればいいのね?』
「ああ、頼む。」
「ジュン!」
「アスタ、タニア、ウェイン!」
「来るなって言ったろうが…。」
「リオンは、僕とタニアがついてるから。」
「…任せた。」
『なら早速リオンを手術室に運ぶわね。』
「ああ、頼んだ!」
ブラン達と別れ、俺とウェインは砦に戻った。
「日が沈んだら、俺達もリオンの大切な人達を殺した奴らのところに行こう。」
「あぁ。」
「なら今のうちに眠っておこう、疲れをとらないと。」
「あぁ、そうだな。」
日が傾き、夕暮れ前になり俺達は目を覚ました。
「ウェイン、準備は出来たか?」
「ジュンの方は?」
「後は何かを腹に入れたら準備万端だ。」
「そうだな。」
俺とウェインは軽く食事を取り、リオンの仲間を殺した教団がいる街に向かった。
「さあ、作戦開始だ。」
「あぁ。リオン…俺達もお前の敵と戦う、だからお前も負けるなよ…。」
俺達は教団の兵士達に切り込んで行った。
「でいゃぁぁぁぁぁぁ!」
ギン!ギン!ギン!ギン!ギン!ギン!ギン
ウェインが教団兵をまとめて一閃し、薙払う。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!
俺は教団兵達を両断していく。
「よし、後は教皇だけだ。」
「あぁ。」
バタン!
「ひぃっ!」
「教皇、お前の命を頂く。」
「わ、私を殺せば、たたた、ただでは済まんぞ!」
「もうあんたのお抱えの兵士はみんなあんた達が崇拝する[主神様]の元に送ったけどな。」
「な、何だと…。」
「さあ、今まで手を汚さずに傷つけ、苦しめ、殺してきた者達の分まで苦しんで死ね。」
「ひ、ひぃぃ、か、金か、金か?」
「…。」
「なな、何でも、何でもするから命だけは…。」
「お前はそうやって命乞いをした奴らを自分の手を汚さずにどれだけ苦しめて殺したんだ?」
「あ、ああ…」
「答えろよ。」
「憶えて…な…。」
「そうか、なら苦しめるだけ苦しめて殺す。」
「た、頼む…何でもするから命だけは…」
「今、[何でもする]って言ったよな?」
「言った、だ、だから命だけは…。」
「じゃあお前達に苦しめられた者達の分まで苦しんで死ね!」
ザシュッ!
「う、腕が…腕がぁぁぁ!」
俺は教皇の左腕の肘から先を切り落とした。
「ジュン!早くすませろ、兵士達が来た!」
「これはリオンの分!」
クジュッ!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「これはアスタの分!」
ギンッ!
「あ、足が…。」
「これはタニアの分!」
ドズッ!
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
片足と両腕を斬り潰された教皇が転げ回っていたが俺は気にしなかった。
「これはウェインの分!」
ギィン!
「ひぎ…が…。」
「そしてこれは故郷を失った俺とラミーの分だ!」
ゴッ!ブジュッ!
「はゃがぁぁぁ!」
俺は教皇を蹴り起こし、首を斬り落とした。
「よし、撤収だ。」
「何でそいつの頭を持って行くんだよ。」
「リオンに見せないと、敵を取ったから。」
「あ、なるほど。そうだな。」
俺達は砦に何とか戻り、ブラン達からの連絡を待った。
「…。」
「ジュン、眠いなら眠っていい。オレが番をしてやる。」
「疲れているのはウェインも同じだろう。」
「いや、お前の方が斬った教団兵の数が多い。」
「そうなのか?」
「だから眠っていい、連絡が来たら起こしてやる。」
「…ありがとう。」
ウェインの言葉に甘え、俺は眠ることにした。
「じゃあ、よろしく頼む。」
「あぁ、しっかり体力を回復するのに努めてくれ。」
「もちろん。」
そして俺が起こされたのは、夜明けの前だった。
「ジュン!連絡が来た!」
「分かった、すぐ行く!」
俺は魔法球に急いで向かい、見た。
『ジュン、成功よ♪』
「リオンは助かったのか。」
『当分絶対安静だけどね。』
「俺達もやることを終わらせたところだ。」
『その事を、私は喜べないわね…。』
「街を1つ陥落させられたんだ、そのことだけ喜べばいい。」
『そう…ね、準備が出来たら連絡してちょうだい。』
「なら今すぐ行く、どこに行けばいい?」
『前と同じ場所でいいわ。だけどしっかり食事を取って来なさいね、病人の前で倒れるのは笑えないわよ。』
「ああ!」
俺達は急いで食事を済ませ、クルスの門の前に向かった。
「よし、着いた。」
「そうだな。」
『ずいぶん早いわね。』
「大切な仲間が助かったんだ、もたもたしてなんかいられない。」
『なら行くわよ。』
「あぁ。」
しばらく上に引っ張られる感覚の後に、魔王城の門の前に着いたようだ。
『こっちよ。』
「ああ。」
しばらく階段を上り、10分ほど歩くと個室の前に来た。
『ここよ。』
「ありがとう。」
ウェインが扉を開けてくれたので、病室に入った。
「ジュン?」
「リオン!もう意識が戻ったのか!」
「…ありがとう。」
「リオンが助かったなら、安いもんだ。」
「ハハ…。」
「リオン、お前の仲間を奪った教団の教皇の顔、解るか?」
「…忘れる筈もないよ。」
「これ。」
俺は教皇の首を渡した。
『え?何それ…?』
「リオンの全てを奪った街にいた教皇の首」
『うわぁ…。本当に殺したのね…。』
「1つの命を滅ぼすのは、その命によって苦しめられる命を救うことになる。」
『そう考えてるのね、だけど罪悪感とかは無いの?』
「それよりも怒りや憎しみ、苦しみが勝った。」
『もっと私が早く貴方に会えていたら…。』
「あんた達にとっては朗報だ、少なくとも俺が教団の奴らを殺す事は恐らくもうないだろう。」
『どういうこと?』
「俺とリオンが恨んでいた教団の街が同じだった。」
『つまり貴方達の報復は、終わったの?』
「とりあえず一段落だな。」
「ありがとう、これでもう心置きなく…。」
「いやいやいや、死んだら意味ないだろ!」
「ハハッ、そうだね。」
「悪いが。」
「どうしたんだ、ウェイン?」
「…安心して疲れが出たようだ、どこかで休める場所はないか?」
『なら案内するわ。』
「…頼む。」
15分くらい経って、ブランが戻って来た。
「…終わったな。」
『約束…覚えてる?』
「…どの約束だ?」
『[報復が終わったら]って約束…。』
「ああ、それか…。」
『今さら逃げないわよね…?』
「逃げはしない、だがいきなりは心の準備が…。」
『そうよね…、まぁ貴方らしいと言えば貴方らしいわ。』
「まあじっくり行こう、俺はしばらくやることないんだし。」
『そうね。』
「アスタ!ジュン!」
「タニア…なのか?今までどこにいたんだ?」
『うん、私は魔物になってアスタの子供を、産めるようになったんだよ…。』
「ブラン!?」
『心残りを取り除いてあげたわ、もう貴方達が報復をしなくてもいいように。』
「お、おう。」
『アスタ〜。』
「な、何?」
『うふふ…。』
アスタはタニアに引っ張られて行った。
『もう一人の彼も、近いうちに姉さんが頂いちゃうわね♪』
「ウェイーーーン!」
俺達は、もう戦って居場所を手に入れる必要がなくなったようだ…。
『因みに彼も、もう予約済みよ♪』
「あらら…。」
「え?」
『貴方の世話をしてくれてりナースの娘がそう言っていたわ。』
「私の意見は無視なのか…?」
『まあ大丈夫よ、貴方に合う性格だと思うわ。』
「そういう問題ではないと思うんだけどなぁ…。」
15/04/04 23:51更新 / サボテン
戻る
次へ